当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人に、よりよく」を企業理念とし、これを企業活動の基本方針として事業を行っております。
これまでの当社グループの成長を支えてきたものは、事業機会の創出やマーケティング全般にわたるサポート、そして販売実績の向上等を通じて培ってきた、販社及び販売代理店との信頼関係です。
今後とも更なるご信頼をいただけるよう、新商材やサポート、ソリューションサービスを充実し、販社と代理店双方の「ベストビジネスパートナー」を目指してパートナー企業と共に成長し続けるため、知恵と情熱を注ぎ続けてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、株主利益の増大を重視し、収益性と資本効率を高めることにより総合的に企業価値の最大化を図るという観点から、売上高営業利益率及び連結ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標と定め、具体的には、売上高営業利益率を5%、連結ROE(株主資本当期純利益率)10%を中長期における目標と定めております。
(3) 経営環境
当社グループの企業構造は、当社が持株会社として、グループ全体に関わる経営戦略を検討・立案・推進するとともに、全社の人事や経理、総務等のバックオフィス業務を一手に担っております。事業に関しましては、営業活動の利便性を高めるために、当社にて方針を決定した上で子会社がそれを遂行する体制を採用しております。
現在の当社グループでは、5Gマーケティング事業、B to Bイノベーション事業、環境サステナ事業を各子会社において主管して展開しつつ、子会社間でも連携を取り合い、シナジーを高めることにより、より効率的なグループ経営を進めております。
当社グループにおいては、継続的な収益の源泉を獲得し短期的な景気の悪化等の影響を容易に受けることはない収益基盤を確保することを第一義として、継続収益を発生させる他社サービスの代理店として、これを展開する事業として通信事業者の通信サービスの取次等を行う5Gマーケティング事業、オフィス通販サービスの顧客の獲得等を行うB to Bイノベーション事業に注力してまいりました。これらは一定の安定的収益基盤として長く当社グループを支えておりますが、いずれの市場においてもサービスの普及が相当程度に進み、モバイル市場の動きは鈍化して急激な成長は見込みづらい段階に至っております。また、オフィス通販に関しても、大手通信販売事業者が広く取り扱いを開始したため、競合他社の増加により競争が激化しております。
そのような中、当社グループは、長期的な成長を見据えて、自らがサービスの提供元となる商材を開発するため、環境サステナ事業に数期に亘り積極的な投資を継続しております。当該事業の現在の主軸はLED照明機器の販売・レンタルですが、環境への配慮等の観点からLED照明への置き換えが推奨されてはいるものの、導入に要する初期費用の高額化の観点から導入を見送っていた事業者に向けて、レンタルでのLED照明利用を提案しております。具体的には、置き換えにより期待される電気料金の削減効果を説明し、初期費用を発生させず、その削減額の範囲内でLED照明機器のレンタル代金を設定することで事業者側における導入への障壁を緩和する、という営業手法により、これまで置き換えが進んでいなかった事業者へ数多くの提案を行うことができております。特に、当社グループが取り扱うLED照明機器については、ノイズカットやフリッカーレス(高速点滅の制御)といった特長を有する商品を主力商材としていることから、精密機器や従業者及び来訪者等への影響を懸念する事業者への訴求力が高いと判断し、レンタル及び商材の特性を活かしこれまでLED照明機器の普及率が低かった医療法人へ営業活動を進め、一定規模の導入実績を築き上げております。また、全国における約8,000の病院に対して、今後も積極的な提案を続けてまいります。
当社グループは、成熟段階に至った5Gマーケティング事業、B to Bイノベーション事業による安定的な収益に加え、新たな成長曲線を生み出す環境サステナ事業により、安定と成長双方の実現を目指してまいります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社の事業は継続収入の確保を基盤とするものであり、その基盤をより多く創造し、またより強固に成長させていくことが永続的な成長のための当社のミッションであると考えております。これを実現し、中長期的な成長力の強化を目指すため、当社はグループの持株会社として以下の課題に取り組んでおります。
A 代理店網の維持・強化
当社グループの収益力の源泉として各事業を大きく支えているのは代理店網であり、当社グループは販社と代理店がよりスピーディーに販路拡大、収益拡大できるように販売スタッフの教育、経営ノウハウの提供、販売・仕入情報等、さまざまな経営サポートを提供することで代理店網の基盤強化を進めてまいります。
B 継続的な収入の増大
当社グループは、5Gマーケティング事業及びB to Bイノベーション事業のように顧客獲得後、顧客の利用量に応じた収入が得られる商品・サービスの提供、また環境サステナ事業のようにサービス提供により一定期間の安定的な収入が確保される商材の提供に注力することで、安定的かつ継続的な利益の獲得を目指してまいります。
C 新商材の開発
安定的に継続的な収入を生み出すためには、その源泉となる商材を確保することが不可欠となります。経営環境の変化に対応していくため、既存の収益基盤に満足することなく、常に新しい商材を開発してまいります。
D 顧客網の拡大・活用
B to Bイノベーション事業における約10万の法人等の稼働顧客、及び環境サステナ事業における医療法人を中心とした顧客など、事業を通じて築き上げた顧客網は、当社にとっての大きな経営資源であり、次なる成長への重要な源泉と認識しております。そのために、この顧客網を拡大していくのみならず、築き上げた顧客網に対して、グループ内で扱う他商材、新規商材も積極的に展開していくことにより、当社グループの「継続的な利益成長」を目指してまいります。
E 経営効率の向上
経営資源の集約によるバックオフィス業務の効率化や業務フローの改善を実施し、機会損失やロスを最小限に抑えます。また、徹底したコスト管理とコーポレートガバナンスの充実、内部統制の整備により財務体質の健全化に努めてまいります。
当社グループは、事業を通して環境問題に取り組むことで持続可能な社会に貢献することができると考えております。その考えのもと、現在は「環境サステナ事業」を特に推進し、LED照明機器のレンタル・販売、太陽光発電、EV充電サービス等の事業展開に積極的に取り組んでおり、その具体的な内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、経営の適法性及び効率性の確保を図るべく経営上の組織体制を整備し、必要な施策を実施していくことと捉え、「継続的な利益成長」を通して企業価値の最大化を実現するための、経営上の最も重要な課題のひとつと位置付けております。
この企業統治体制を整える上で、取締役会を経営の基本方針や業務執行に関する重要課題を審議決定する最高意思決定機関として位置づけ、月に1回の定時取締役会を開催し、法令、定款及び取締役会規程等に定められた審議・決定並びに各取締役の業務執行状況を監視・監督しております。
当社グループでは、取締役会における重要課題等の審議決定を効率的かつ有意義に行うため各種の機関を設置しており、グループ全般の様々なリスクの検討及び審議はリスク・コンプライアンス委員会が担っております。対象とするリスクの種類を限定しているものではありませんが、年に1回、当社の経営環境を勘案し、想定しうるリスクを一覧化し選別した上で、リスク強度、発生可能性、時期等を鑑みてこれらリスク管理についての重要事項を決定し、所管部門に適切に当該リスクの管理を遂行するよう指示しております。これを受けて各所管部門では日々の業務遂行においてリスク管理に取り組んでおります。この過程において、環境問題をはじめとするサステナビリティ関連リスクは特に重要なものであると位置づけ、社会情勢も踏まえてリスクのみならず関連する機会についても遺漏なく対応できるよう注視し、原則として週に1回開催される経営会議において共有を図り、重要度に応じてリスク・コンプライアンス委員会及び取締役会にて審議する体制を整えております。
(2)戦略
当社グループは環境問題による影響を把握するとともに、これらへの対応策を検討するにあたり発生する経済や社会における変革を事業機会として捉え、社会全体へのリスクの解決に取り組むことにより当社グループの発展及び持続可能な社会の実現を目指します。近時では、カーボンニュートラル実現のため政府が普及を推進するEVについて、充電インフラ整備によりその普及の一助となることを目的として、EV充電器の設置サポート及び充電専用システムの開発・提供を行うEV充電サービスの展開を開始し、その確立に努めております。
今後も、成熟段階に至った5Gマーケティング事業及びB to Bイノベーション事業により生み出される収益を環境サステナ事業に再投資し、新商材や新サービスの開発・構築に取り組んでまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、経営環境及び事業活動に関わるあらゆるリスクに迅速に対応できるよう、(1)ガバナンスに記載したリスク管理体制を整えております。さらにこの体制が実効的に機能するよう各会議体の管理を徹底し、事業部門単位で行われる会議にて、情報が集約され適切に識別されるよう努めております。
(4)指標及び目標
当社グループは、企業の社会的責任(CSR)を果たすため、環境負荷の低い商材を取り扱うことに注力するとともに、SDGsの中でも特に「健康・長寿の達成」「成長市場の創出・科学技術のイノベーション」「インフラ整備」「省・再生エネルギー」「あらゆる人が活躍する社会」の5テーマを、当社グループにおける持続可能な開発目標として掲げております。
これらの目標の実現に向け、「経済産業省令和3年6月:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」における「2035年までに乗用車新車販売で電動車100%を実現する」という政府方針の一助となるため、EV充電サービスにおいて、短期的にはEVスタンド年間2,000台以上の設置、中長期的には日本全国への設置実現を指標として設定しております。
当社グループでは、企業集団全体のリスク低減策として、5Gマーケティング事業、B to Bイノベーション事業、環境サステナ事業へ経営資源を分散して、3本の柱となる収益基盤を打ち立てるとともに、いずれの事業においても、外部的な環境に容易に影響されない「安定した継続性」を第一義とした「STOCK」型の収益構造を志向しております。
その上で、当社グループでは、株価及び財務状況並びに経営等に影響を及ぼす可能性のあるリスクの発生頻度や影響の規模を低減していくため、毎事業年度に1回、事業部門単位でリスクを抽出し、そのリスクの当社グループへの影響度、発生頻度を検討した上で、管理部門にて取りまとめ、リスク・コンプライアンス委員会へ提出しております。リスク・コンプライアンス委員会においては、この提出された情報から特に重要なリスク項目を定め、当該リスクの影響度、発生頻度を踏まえてリスク低減に関わる施策を議論するとともに、有効性に対する評価等を行い、その結果を関連各部門へ報告または伝達しております。
その主な内容は以下のとおりであります。ただし、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 特定の取引先への高い依存度について
① 各通信事業者への依存(特に重要なリスク)
② 株式会社カウネットへの依存(特に重要なリスク)
<内容>
当社グループにおいては、5Gマーケティング事業、B to Bイノベーション事業のサービス提供元である各通信事業者及び株式会社カウネットとの取引から発生する収益が大部分を占めております。
具体的には、5Gマーケティング事業では、通信事業者が提供する通信サービスの利用契約の取次ぎを行うことにより、通信事業者または一次代理店より契約取次ぎの対価として手数料等を収受しております。
また、B to Bイノベーション事業では、株式会社カウネットの運営するオフィス通販システム「カウネット」の顧客獲得及び販売促進を行うことにより、顧客に対して「カウネット」の商品を販売したことによる売買代金、及び販売を促進したことに対する株式会社カウネットからの販売奨励金等が主な収益源となっております。
したがって、通信事業者等または株式会社カウネットの事業方針等により、今後大幅な取引条件等の変更が生じた場合や提供されるサービス自体が終了した場合には、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
<対策>
上記①、②のリスクについては、上位取引先の経営方針等に左右されることのない当社が提供元となる新しいサービスや商材の開発に注力し、近年は第三の柱となる環境サステナ事業に積極的な投資を進めております。
(2) 在庫について
③ 通信端末の在庫(特に重要なリスク) 2024年3月期末時点468百万円
④ LED照明機器の在庫(特に重要なリスク) 2024年3月期末時点191百万円
<内容>
5Gマーケティング事業及び環境サステナ事業においては、在庫(5Gマーケティング事業における通信端末、環境サステナ事業におけるLED照明機器)を保有しております。急激な市況の変動等により滞留在庫が発生した場合には、在庫の廃棄コストのみならずキャッシュ・フローの悪化や管理費の増加を招き、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
<対策>
通信端末の在庫管理につきましては、20年以上の事業ノウハウを活かし、市場の動向や売れ筋商品の見極めなど顧客のニーズを分析して適正な在庫管理に努めております。また一方で、より多くの販売機会を創出し、また仕入におけるスケールメリットを生み出しコストを削減しております。
またLED照明機器の在庫管理につきましては、事業が開始してから10年弱と通信端末の在庫管理に比べると年月は浅いものの、一定のノウハウを活かし通信端末と同様の管理を進めるとともに、汎用性の高いLED照明機器の開発や、LED照明機器の受注から設置までの期間を縮めつつ、顧客からの受注を確認してから必要なLED照明機器を発注するなどの施策を推し進めております。
(3) 将来収益の回収について
⑤ 各通信事業者からの将来収益(特に重要なリスク・毀損可能性 低)
⑥ 株式会社カウネットからの将来収益(特に重要なリスク・毀損可能性 低)
⑦ プレミアムウォーター株式会社、株式会社コスモライフからの将来収益(重要なリスク・毀損可能性 中)
⑧ LED照明機器の各設置先からの将来収益(特に重要なリスク・毀損可能性 低)
<内容>
当社の収益基盤の大半は、先行して投資したサービス等への対価を長期かつ継続的に回収するスキームであり、その主なものが⑤~⑧であります。したがって、取引先の経営状況の悪化や取引関係の破綻、その他の予期せぬ事情によるサービス利用の停止等が発生すれば、その規模によっては当社の安定的な将来収益の基盤が毀損されるおそれがあります。
<対策>
本リスクについては、与信管理及び顧客管理を適切に行うことにより個々の取引における未回収リスクを最小限に抑えるとともに、サービス提供先を拡大し、また提供するサービスの種類を増加させることにより、発生時における当該事象のインパクトを低減及び分散させることに努めております。
なお、上記⑤~⑦に関しては、相手方の規模等から与信力には申し分ないと判断しており、また⑧についても、主なLED照明機器の設置先は医療法人や学校法人、あるいは地方自治体であることから、同様に非常に与信力が高いと判断しております。そのため、いずれの相手方についても、取引関係を良好に維持することを第一義として、営業活動に努めております。
(1) 経営成績等の業績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へと移行し、社会経済活動の正常化が進む一方で、地政学的リスクの高まりや為替変動による原材料や原油価格の高騰、これに伴う物価上昇、さらに令和6年能登半島地震の発生等、依然として不透明な状況で推移いたしました。
このような環境下で、当社グループは強みである継続的収益基盤の安定及び強化のため、既存事業の維持に努めるとともに、新たな商材の開発にも注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高139億12百万円(前期比2.6%増)、営業利益7億10百万円(前期比24.5%増)、経常利益7億46百万円(前期比36.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4億1百万円(前期比71.8%増)となりました。
A 5Gマーケティング事業
5G対応通信端末の普及や関連サービスの高度化、本体価格の高騰による買い替えサイクルの長期化、さらに、一部の通信事業者においてオンライン手続の強化やキャリアショップの統廃合の方針が掲げられるなど、モバイル市場は変革の時期にあります。
このような動向を受けて販売代理店の役割も変化しつつある中、当社グループは、引き続き通信端末販売の代理店展開及び直営店舗での販売の展開に努めてまいりました。オンラインによる新たな販路の開拓を企図して独自のWEBメディアの運営に取り組む一方で、実際の販売ショップにもなお大きな需要が見込まれると判断し、商業施設等の好立地への出店を継続しております。また、サービスが複雑化し高い専門性が求められる販売ショップに特化した人材派遣においても、人材確保等の事業拡大に向けた動きに注力しました。
この結果、売上高は107億56百万円(前期比3.8%増)、営業利益4億5百万円(前期比154.3%増)となりました。
B B to Bイノベーション事業
現在の主軸であるオフィス文具通販の代理店展開に関しては、競合他社のみならず大手通販サービスも市場へ参入していることにより厳しい状況にありますが、コロナ禍の収束に伴う経済活動の正常化により売上高及び営業利益のいずれも増加しております。また、特定の取引先に依存しない新たな収益基盤の構築のため、これまでグループ全体で構築してきた法人顧客網を活用できる事業者向けの商材やサービスの開発にも引き続き取り組み、特に近時では、医療・社会福祉法人向けのコンサルティングサービスの利用者拡大に向けた営業活動に注力しております。
この結果、売上高は7億71百万円(前期比8.2%増)、営業利益1億95百万円(前期比219.0%増)となりました。
C 環境サステナ事業
現在の主軸であるLED照明機器の販売・レンタルにおきましては、数期に亘る営業活動の結果として当社グループの提供するサービスを導入した医療施設の規模は40,000床を超え、これらの顧客から月々のレンタル料を受領することにより、堅調な利益を確保しております。
電力小売やエネルギー利用状況等に関するコンサルティングサービスでは、原油価格の高騰を受けた電気料金の高騰により新規顧客獲得に向けた積極的な営業活動は控えていたものの、既に獲得した顧客から発生する収益は一定規模に達しております。また、太陽光発電やウォーターパックの販売によっても安定的な収益がもたらされております。
さらに、前事業年度より本格的に営業活動を開始したEV充電サービスについても、補助金等を活用した充電器設置サポートの提案を、充電器の設置が利便性の向上に繋がるような施設の管理又は運営をする事業者を主要なターゲットとして展開しております。充電インフラの整備によりEVが順調に普及し、充電器利用者が拡大することによって、利用量に応じた手数料を安定的に収受するという新たな収益基盤の確立のため、協力企業も増やしつつ積極的な先行投資を進めております。
この結果、売上高は23億90百万円(前期比4.2%減)、営業利益1億9百万円(前期比68.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローについては、営業活動により4億92百万円増加し、投資活動により1億74百万円減少し、財務活動により2億87百万円減少しました。その結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末より30百万円の増加となり、当連結会計年度末残高は25億98百万円(前期比1.2%増)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果獲得した資金は、4億92百万円(前期は6億91百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益7億54百万円、減価償却費の計上額2億69百万円、減損損失の計上額74百万円、仕入債務の増加額51百万円等の増加要因に対し、売上債権の増加額4億64百万円、法人税等の支払額1億79百万円、棚卸資産の増加額1億74百万円等の減少要因があったことによるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果使用した資金は、1億74百万円(前期は10億51百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産取得による支出1億91百万円、差入保証金の差入による支出48百万円、貸付けによる支出30百万円、投資有価証券の取得による支出29百万円等の減少要因に対し、差入保証金の解約による収入1億36百万円、定期預金の払戻による収入22百万円等の増加要因があったことによるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果使用した資金は、2億87百万円(前期は1億51百万円の獲得)となりました。これは、自己株式の取得による支出5億88百万円、長期借入金の返済による支出3億30百万円、配当金の支払額67百万円の減少要因に対し、長期借入れによる収入7億円の増加要因があったことによるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
A 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
5Gマーケティング事業 |
5,169,325 |
96.7 |
|
B to Bイノベーション事業 |
112 |
0.9 |
|
環境サステナ事業 |
1,309,175 |
121.3 |
|
合計 |
6,478,613 |
100.7 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
B 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
5Gマーケティング事業 |
10,756,000 |
103.8 |
|
B to Bイノベーション事業 |
770,042 |
108.3 |
|
環境サステナ事業 |
2,386,736 |
96.1 |
|
合計 |
13,912,779 |
102.6 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
楽天トータルソリューションズ株式会社 |
1,702,513 |
12.6 |
2,237,688 |
16.1 |
|
KDDI株式会社 |
2,047,873 |
15.1 |
1,828,541 |
13.1 |
|
テレコムサービス株式会社 |
1,509,309 |
11.1 |
1,552,084 |
11.2 |
3 2023年4月1日付で、楽天モバイル株式会社は吸収分割によるグループ組織再編を実施し、楽天トータルソリューションズ株式会社に承継されました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A 経営成績等の分析・検討
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績等の概要」に記載のとおり、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高はほぼ前連結会計年度と同水準を維持した一方で、各段階利益はいずれも前連結会計年度を上回っております。
要因といたしましては、売上高に関しては各事業において前連結会計年度と同等の規模での営業活動を継続したこと、営業利益に関しては、5Gマーケティング事業では出店を継続しつつも前連結会計年度の規模ではなかったこと、コロナ禍の収束に伴い販売代理店への販売支援金を見直すなど販売管理費の圧縮が図られたこと、B to Bイノベーション事業では、高収益が見込めるオフィス文具等の販売促進に特に注力したことや、新商材や新サービスへの投資活動が一段落し、収益化に向けた営業活動に注力したことによるものであります。
安定した収益基盤から生ずる利益の確保に努めた結果であり、業績は概ね計画通りに推移したものと評価しております。
財政状態については、以下のとおりであります。
(流動資産)
流動資産の増加(前連結会計年度末比5億62百万円増)は、リース債権及びリース投資資産が4億75百万円、商品が58百万円増加したことが主たる要因であります。
(固定資産)
固定資産の減少(前連結会計年度末比1億24百万円減)は、差入保証金が73百万円、のれんが43百万円、繰延税金資産が37百万円減少し、工具、器具及び備品が56百万円、機械及び装置が51百万円、貸倒引当金が33百万円増加したことが主たる要因であります。
(流動負債)
流動負債の増加(前連結会計年度末比1億66百万円増)は、未払法人税等が1億61百万円、その他の流動負債が64百万円、買掛金が51百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が1億39百万円減少したことが主たる要因であります。
(固定負債)
固定負債の増加(前連結会計年度末比5億26百万円増)は、長期借入金が5億9百万円増加したことが主たる要因であります。
(純資産)
純資産合計は、48億92百万円(前連結会計年度末比2億54百万円減)となりました。主な減少要因は、自己株式の取得による減少5億88百万円、配当金の支払いにより67百万円であり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が4億1百万円増加したことが主たる要因であります。
B 経営成績に重要な影響を与える要因の分析・検討
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。特に、現在の当社を支える主力事業の5Gマーケティング事業及びB to Bイノベーション事業は、いずれも通信事業者の代理店、カウネットの代理店という立場で運営するものであり、その商材の提供元に業績が大きく左右されうるという側面を有しております。
そのため、当社グループでは目先の業績に捉われず、将来の成長のため、各事業において新たな商材・サービスの開発に取り組み、特定の取引先に依存しない収益基盤の確保に引き続き注力しております。
C 資本の財源及び資金の流動性の分析・検討
(a) 財務戦略及び経営資源の配分に関する基本的な考え方
当社グループにおいては、健全な財務体質の維持と将来的な成長のバランスを重視しつつ、企業価値の向上のため、より成長性が高いと判断した事業へ戦略的に投資し、当社のビジネスモデルの根幹である安定的な収益基盤をより強化していくことを財務戦略の基本方針としております。
健全な財務体質の維持に関しては自己資本比率の水準を50%以上に保ちつつも、慎重に社内にて検討した上で当社が適切と判断する程度の担保があるなど投資に対しての回収可能性が高いと見込まれる場合においては、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるとともに、成長のための投資活動を優先して実行しております。
また、株主還元についても「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、経営の重要課題として位置づけ、盤石な収益基盤の拡大に伴って、安定的な配当を継続するとともに、長期的には配当性向の拡大にも努めてまいります。
(b) 資金需要の主な内容
当連結会計年度における当社グループの主な資金需要といたしましては、5Gマーケティング事業においては、通信端末の仕入れや携帯電話販売店舗の出店費用、環境サステナ事業におけるレンタル・販売対象であるLED照明機器等の商品・在庫の仕入、また設置工事費用などがございます。
(c) 資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を調達する手法といたしましては、自己資金や必要に応じて借入金の活用に加えて、当社事業の収益モデルの特性からキャッシュポジションを上昇させるために取引先からの将来収益債権の流動化なども行っております。
(d) 分析・検討
当連結会計年度におきましても、前年度までと同様、市況を鑑みて既存の事業活動の遂行に加えて、新たな収益基盤の確保のため、新商材の展開等のため投資活動も進めてまいりました。当社グループの現状を踏まえて、効果的に資金を運用できたと考えております。
引き続き長期的な成長を見据えた積極的な投資活動を継続してまいります。
D セグメントごとの分析・検討
(a) 5Gマーケティング事業
5Gマーケティング事業につきましては、急激な成長が見込めるものではなくとも、当社グループを支える主力事業として将来の安定収益を確保するため、積極的な営業活動の一方で出店計画や販売支援金の見直し等の販管費の圧縮に努めました。また、オンラインによる販路の強化のため独自のWEBメディアの運営にも注力するとともに、コロナ禍の収束に伴う人材需要の高まりを見据えて、人材派遣の拡大にも取り組みました。
以上の結果として、前連結会計年度と比較して売上高はほぼ同水準ですが、営業利益は大きく増加しました。
(b) B to Bマーケティング事業
オフィス文具通販の代理店展開におきましては、従来の競合他社に加えて大手インターネット通販事業者の参入があるなど、顧客側の選択肢が多様化し、より厳しい市場環境になっておりますが、コロナ禍の終息に伴う経済活動の正常化への動きを受けて、高収益が見込める商材の販売促進活動に注力いたしました。また、医療法人や社会福祉法人に特化した経営改善等のコンサルティングサービスなどの新商材・サービスの開発への投資活動も一段落し、収益化の段階へと移行しております。
以上の結果として、前連結会計年度と比較して売上高及び営業利益のいずれも増加いたしました。
(c) 環境サステナ事業
本事業においては、蛍光灯からの置き換えが進んでいるLED照明機器の販売・レンタルを、数期にわたり主力商材として積極的に展開しております。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へ移行し、主要顧客である医療法人等への営業活動も行いやすくなったことなどを受けて、着実に当社提供の照明機器の設置先施設は増加しております。
また、従来から進めておりましたウォーターパックの販売、ソーラーパネルを活用した売電、電力小売やエネルギー利用状況等に関するコンサルティングサービスにより、堅実に利益を確保しております。
これらの収益の再投資として、前連結会計年度よりEV充電サービスの提供を開始し、補助金等を活用した充電器設置サポートの提案を積極的に展開いたしました。
以上により堅調に収益が確保された結果として、前連結会計年度と比較して売上高はほぼ同水準ですが、営業利益は減少いたしました。
E 経営指標の達成状況に関する分析・検討
当社グループにおいては株主利益の増大を重視していることから、「収益性」「資本効率」の双方を高める為に、連結売上高営業利益率及び連結ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標として位置づけております。そのような中、当該経営指標を高める強固な基盤を作り出す為に、昨今においては「安定した継続性」の構築を第一義とし、継続的な収益を生み出す基盤の構築を進め、売上高営業利益率5%、連結ROE(株主資本当期純利益率)10%を中長期における目標と定めております。
当連結会計年度における目標の達成状況といたしましては、連結売上高営業利益率は5.11%、連結ROE(株主資本当期純利益率)は8.00%であり、着実に増加しております。
次期においては、コロナ禍の収束を受けて、従来の収益基盤を維持しつつも攻めの姿勢へと転ずる局面だと判断し、新たな商材・サービスへ積極的に投資してまいります。そのため、売上高は同水準を維持しつつも営業利益については減少を予想していることから連結売上高営業利益率は4.59%と減少することを、一方で連結ROE(株主資本当期純利益率)については8.04%と同水準を維持することを見込んでおります。安定的に前述の目標数値を維持し続けることができる新たな収益基盤が確立されるまで、引き続き、将来への投資活動に注力してまいります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
特記すべき事項はありません。