1 有価証券の評価基準及び評価方法
満期保有目的の債券
…償却原価法
子会社株式及び関連会社株式
…移動平均法による原価法
その他有価証券
市場価格のない株式等以外のもの
…時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)
市場価格のない株式等
…移動平均法による原価法
2 デリバティブの評価基準及び評価方法
時価法
3 棚卸資産の評価基準及び評価方法
貯蔵品のうち燃料、一般貯蔵品及び商品は総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)、特殊品は個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)によっている。
4 固定資産の減価償却の方法
有形固定資産及び無形固定資産は定額法によっている。
耐用年数はおおむね法人税法の定めによっている。
5 外貨建の資産及び負債の本邦通貨への換算基準
外貨建金銭債権債務は、決算日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理している。
6 引当金の計上基準
(1) 貸倒引当金
売掛債権等の貸倒れ損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上している。
(2) 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上している。
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっている。
数理計算上の差異については、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(5年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌事業年度から費用処理することとしている。
過去勤務費用については、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(5年)による定額法により費用処理することとしている。
(3) 独禁法関連損失引当金
当社は、2023年3月30日に公正取引委員会から九州地区、関西地区の特別高圧電力及び高圧電力の供給に関して、独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を受けた。これに伴い、今後の課徴金納付の可能性に備えるため、当該課徴金納付命令に基づく金額を計上している。
(4) 渇水準備引当金
渇水による損失に備えるため、電気事業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第72号)附則第16条第3項の規定により計上している。
7 収益及び費用の計上基準
主要な事業である発電・販売事業においては、電気の供給を行うことを主な履行義務としている。
当該履行義務に係る収益については、「電気事業会計規則」に基づき、主に、毎月の検針により使用量を計量し、それに基づき算定される料金を電灯料・電力料等として当月分の売上高(営業収益)に計上する方法(検針日基準)によっている。
なお、これに伴い検針日から期末日までの使用量に係る収益は翌月に計上されることとなる。
8 ヘッジ会計の方法
(1) ヘッジ会計の方法
繰延ヘッジ処理によっている。
なお、振当処理の要件を満たしている為替予約取引については振当処理によっている。
(2) ヘッジ手段とヘッジ対象
(3) ヘッジ方針
リスク管理方針に基づき、為替レートが変動することによるキャッシュ・フローの変動リスク、燃料価格が変動することによるキャッシュ・フローの変動リスク及び域外相対卸電力取引におけるキャッシュ・フローの変動リスクをヘッジすることを目的としている。
(4) ヘッジ有効性評価の方法
ヘッジ対象のキャッシュ・フロー変動額の累計とヘッジ手段のキャッシュ・フロー変動額の累計を四半期ごとに比較してヘッジの有効性を評価している。
ただし、振当処理によっている為替予約取引並びにヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が同一である為替予約取引及び燃料価格スワップ取引については、有効性の評価を省略している。
9 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項
(1) 特定原子力発電施設の廃止措置に係る資産除去債務相当資産の費用計上方法
有形固定資産のうち特定原子力発電施設の廃止措置に係る資産除去債務相当資産の費用計上方法は、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号 平成23年3月25日)第8項を適用し、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(平成元年通商産業省令第30号)の規定に基づき、毎事業年度、原子力発電施設解体引当金等取扱要領に定められた算式(解体に伴って発生する廃棄物の種類及び物量から解体に要する費用を見積もる方法)により算定した原子力発電施設解体費の総見積額を発電設備の見込運転期間にわたり、定額法により計上する方法によっている。
ただし、エネルギー政策の変更等に伴って原子炉を廃止する場合の費用計上方法は、特定原子力発電施設の廃止日の属する月から起算して10年が経過する月までの期間にわたり、定額法により計上する方法によっている。
(2) 廃炉円滑化負担金及び原子力廃止関連仮勘定に係る会計処理の方法
エネルギー政策の変更等に伴って廃止した原子炉の残存簿価等(原子力特定資産簿価、原子力廃止関連仮勘定及び原子力発電施設解体引当金の要引当額。以下、「廃炉円滑化負担金」という。)については、「電気事業法施行規則」(平成7年通商産業省令第77号)の規定により、一般送配電事業者の託送料金を通じて回収している。
当社は、廃炉円滑化負担金の額について申請を行い、経済産業大臣の承認を得た。これを受け、九州電力送配電株式会社は、経済産業大臣からの通知に基づき託送供給等約款を変更し、廃炉円滑化負担金の回収及び当社への払い渡しを行っている。
九州電力送配電株式会社より払い渡された廃炉円滑化負担金相当金については、廃炉円滑化負担金相当収益に計上している。
また、エネルギー政策の変更等に伴って原子炉を廃止する場合、原子力廃止関連仮勘定簿価(原子炉の運転を廃止したときに当該原子炉の運転のために保全が必要な固定資産(原子力特定資産を除く。)及び当該原子炉に係る核燃料の帳簿価額(処分見込額を除く。))及び原子力廃止関連費用相当額(当該原子炉の廃止に伴って生ずる使用済燃料の再処理等の実施に要する費用及び当該核燃料の解体に要する費用に相当する額)については、原子力廃止関連仮勘定に振り替え、又は計上した上で、経済産業大臣の承認後、毎事業年度において、九州電力送配電株式会社からの払い渡しに応じて、原子力廃止関連仮勘定償却費に計上している。
(3) 原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に要する拠出金の計上方法
原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に要する費用は、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」(平成28年法律第40号、以下「改正法」という。)第4条第1項に規定する拠出金を、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料の量に応じて使用済燃料再処理等拠出金費に計上する方法によっている。
なお、使用済燃料再処理機構に対する拠出金には改正法第2条に規定する使用済燃料の再処理関連加工に係る拠出金が含まれており、当該拠出金については、使用済燃料再処理関連加工仮勘定に計上している。
(4) 退職給付に係る会計処理の方法
退職給付に係る未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の未処理額の財務諸表における会計処理の方法は、連結財務諸表におけるこれらの会計処理の方法と異なっている。
(重要な会計上の見積り)
繰延税金資産
1 当事業年度の財務諸表に計上した金額
2 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額の算出方法
当社は経営者が承認した事業計画等に基づく将来の課税所得の見積りにより、回収可能と判断した部分について繰延税金資産を計上している。
(2) 当事業年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定
当該課税所得の見積りについては、総販売電力量や販売価格の見通し、原子力発電所の稼働想定など、財務諸表作成時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っている。
(3) 翌事業年度の財務諸表に与える影響
気温・気候の変化、経済・景気動向などの避けがたい外部環境の影響などによる総販売電力量の減少や販売価格の低下、原子力発電所の計画外停止などによって、将来の課税所得の著しい悪化が見込まれることになった場合は、繰延税金資産の取崩しにより、当社の業績に影響を与える可能性がある。
(表示方法の変更)
(貸借対照表関係及び損益計算書関係)
2023年4月1日に「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第46号)が施行されたことに伴い、電気事業会計規則が改正されたため、前事業年度まで「新エネルギー等発電設備」に表示していた設備を、当事業年度から「新エネルギー等発電等設備」として、また、「新エネルギー等発電費」に表示していた費用を「新エネルギー等発電等費」として区分することとなった。この変更は当該改正に関する電気事業会計規則附則の定めにより遡及適用は行わない。
(損益計算書関係)
前事業年度において、区分掲記していた「事業外収益」の「物品売却益」は、営業外収益の総額の100分の10以下となったため、当事業年度より「雑収益」に含めて表示している。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表の組替えを行っている。
この結果、前事業年度の損益計算書において、「事業外収益」の「物品売却益」に表示していた2,855百万円は、「雑収益」として組み替えている。
(追加情報)
(電気・ガス価格激変緩和対策事業への参画)
「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及び「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により国が定める値引き単価による電気料金等の値引きを行っており、その原資として受領する補助金を、前事業年度において、「電気事業雑収益」に43,794百万円、「ガス供給事業営業収益」に273百万円、当事業年度において、「電気事業雑収益」に182,988百万円、「ガス供給事業営業収益」に907百万円それぞれ計上している。
(「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」の施行に伴う電気事業会計規則の改正)
2024年4月1日に「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第44号。以下「改正法」という。)及び「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」(令和6年経済産業省令第21号。以下「改正省令」という。)が施行されたことにより、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(平成元年通商産業省令第30号。以下「解体省令」という。)が廃止され、電気事業会計規則が改正された。
実用発電用原子炉に係る廃炉の実施に必要な費用は、従来、資産除去債務に計上し、資産除去債務相当資産について、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号 平成23年3月25日)第8項を適用し、解体省令の規定に基づき、毎事業年度、原子力発電施設解体引当金等取扱要領に定められた算式(解体に伴って発生する廃棄物の種類及び物量から解体に要する費用を見積もる方法)により算定した原子力発電施設解体費の総見積額を発電設備の見込運転期間にわたり、定額法により計上していたが、改正省令の施行日以降は、改正法第3条の規定による改正後の「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律」第11条第2項に規定する廃炉拠出金を、廃炉拠出金費として計上することになる。
原子力事業者は、従来、その各々が保有する実用発電用原子炉に係る廃炉に要する資金を確保する責任を負っていたが、改正法に基づき、毎事業年度、使用済燃料再処理・廃炉推進機構(以下「機構」という。)に対して廃炉拠出金を納付することで費用負担の責任を果たすこととなり、機構は廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う経済的な責任を負うこととなる。
これにより、2024年度第1四半期において、資産除去債務相当資産18,995百万円及び資産除去債務291,011百万円を取崩す予定である。改正法附則第10条第1項の規定により、廃炉推進業務の費用にあてるため、機構に支払わなければならない金銭274,782百万円は、改正省令附則第7条の規定により、未払廃炉拠出金に計上する予定である。これによる損益への影響はない。このうち10,039百万円を一年以内に期限到来の固定負債に振り替える予定である。あわせて改正省令附則第8条の規定により2,765百万円を原子力廃止関連仮勘定に計上する予定である。
※1 固定資産の工事費負担金等の受入れによる圧縮記帳額(累計)
※2 当社の総財産は、下記の社債及び株式会社日本政策投資銀行からの借入金の一般担保に供している。
※3 1年以内に期限到来の固定負債
※4 未払税金には、次の税額が含まれている。
※5 損益計算書に記載されている附帯事業に係る固定資産の金額
6 偶発債務
(1) 金融機関からの借入金に対する保証債務
(2) その他契約の履行に対する保証債務
7 貸出コミットメント(貸手側)
当社は、福岡国際空港株式会社と株主ローン契約を締結している。なお、当該契約に基づく貸出コミットメントの未実行残高は次のとおりである。
※1 関係会社に係る営業費用
※2 関係会社に係る営業外収益
※3 渇水準備引当金の取崩し
前事業年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)
「電気事業法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第72号)附則第16条第3項の規定によりなおその効力を有するものとして読み替えて適用される同法第1条の規定による改正前の「電気事業法」(昭和39年法律第170号)第36条第2項の規定に基づき、特例許可による渇水準備引当金の取崩しについて、経済産業大臣に申請を行い、2023年3月22日に同申請の許可を得たため、同引当金の一部を取崩している。
当事業年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
該当事項なし。
※4 独禁法関連損失引当金繰入額の内容
前事業年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)
当社は、2023年3月30日に公正取引委員会から九州地区、関西地区の特別高圧電力及び高圧電力の供給に関して、独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を受けた。これに伴い、今後の課徴金納付の可能性に備えるため、当該課徴金納付命令に基づく金額を、独禁法関連損失引当金繰入額として特別損失に計上している。
当事業年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
該当事項なし。
前事業年度(2023年3月31日)
子会社株式及び関連会社株式
(注)上記に含まれない市場価格のない株式等
当事業年度(2024年3月31日)
子会社株式及び関連会社株式
(注)上記に含まれない市場価格のない株式等
1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
3 法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社は、グループ通算制度を適用しており、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第42号 2021年8月12日)に従って、法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理並びに開示を行っている。
(重要な後発事象)
共通支配下の取引等
1 取引の概要
(1) 対象となった事業の名称及び当該事業の内容
地熱事業
(2) 企業結合日
2024年4月1日
(3) 企業結合の法的形式
当社を分割会社とし、当社の100%子会社である九電みらいエナジー株式会社を承継会社とする吸収分割である。
(4) 結合後企業の名称
九電みらいエナジー株式会社
(5) その他取引の概要に関する事項
九電グループは、2021年4月に策定した「九電グループカーボンニュートラルビジョン2050」において、2050年のカーボンニュートラル実現への挑戦を宣言し、低・脱炭素のトップランナーとして再生可能エネルギー主力電源化に取り組んでいる。
今回、九電グループの再生可能エネルギー事業に関する意思決定の迅速化や経営資源・情報の効果的な獲得等を目的に吸収分割を実施した。これにより、今後、九電グループの2030年再生可能エネルギー開発目標500万kW達成への取組みを加速させるだけではなく、リーディングカンパニーとしてお客さまや社会の幅広いニーズにお応えしていき、再生可能エネルギー事業における新たな価値創造に挑戦していく。
2 実施した会計処理の概要
「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成31年1月16日)及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号 平成31年1月16日)に基づき、共通支配下の取引として処理している。