2019年度から2023年度までの中期経営計画においては、事業環境の変化が著しい時代を生き抜き適応していくために「質」重視の経営を掲げ、「強靭な経営体質・経営基盤の構築」「商品力向上・競争力強化」「コア商品の商権維持拡大」に取り組んでまいりました。その結果、事業環境の変化が激しい中計期間において、一定レベル以上の利益を確保することができました。総還元性向は安定配当と機動的な自社株買いを実施し、目標を上回るレベルで推移しました。
世界情勢は不安定さを増しており、世界経済後退懸念は継続、不確実で先が見通せない状況です。当社グループを取り巻く事業環境においては、企業再編が進み、グローバル競争の激化、電動化に向けた開発の本格化など、大きく変化しようとしています。
このような環境下、当社グループは2024年度から2028年度までの5か年中期経営計画を策定しました。本中計期間を、2030年以降の本格的な電動車普及期に向けて手を打つ重要な期間と位置づけ、基本方針を「質を追求しプレゼンスを高める」としました。ビジョン・ミッション・バリューのもと、質重視の経営を更に追求し、プレゼンスを高め、なくてはならない存在へと成長しつづけます。骨子を①コア事業における攻めと挑戦、②電動化に向けたコア商品の進化、③サステナビリティ経営の推進、とし、事業環境の変化をチャンスと捉えて、経営課題に取り組み、企業価値の向上と社会課題解決への貢献を目指します。
① コア事業における攻めと挑戦
自動車業界での企業再編が進み、国内商用車メーカーが大きな変化を迎える中、コア商品における当社の強みを武器に、攻めの経営で事業拡大を目指します。主要取引先の共通プラットフォーム車においては、共通化によるボリューム拡大への対応と受注車型・車種の拡大を図ります。地域別・事業別戦略に対しては、当社海外拠点の活用等、積極的に対応してまいります。また、この度の新規受注アクスルを足掛かりに、国内ではトラック4社全方位に向けた商権拡大を図ります。競争に勝ち抜くためのプレゼンス向上に向け、当社の強みである技術開発・提案力とものづくり力の追求にも注力します。
建設機械関連事業においては、客先のモデルチェンジをターゲットに、キャビン商品のフルラインナップ化に取り組みます。狙い目としては、油圧ショベル用ミニ/小型キャビン、ホイールローダー、農機・産機キャビン等、メーカー各社の調達戦略変化を好機とした受注拡大・付加価値拡大にも取り組みます。
② 電動化に向けたコア商品の進化
当社コア商品は電動車においても必要な構成部品であり、新パワートレインに適合する商品を開発中。電動化に向けた開発が本格化する中、バッテリー搭載を考慮したフレーム多機能化やEV用のアクスル開発を継続しており、タイではEV専用アクスルを受注し量産準備中です。
電動車専用商品に対しては、車両構造の変化により必要となるバッテリー保護部品や衝撃吸収製品を開発。EV化が先行する欧州拠点においては、すでに受注・量産開始しており、実績から得た知見を活かし、将来的な国内での法規改正を見据えた受注活動を展開してまいります。
③ サステナビリティ経営の推進
当社グループは2022年に長期視点で取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティ経営を推進しております。新中期経営計画においても、重要課題(マテリアリティ)に取り組み、持続可能な社会の実現に向け、企業価値の向上を目指します。
「人材の多様性と活性化」は当社グループの将来成長を支える重要な取り組みと位置づけ「やりぬく」「創造力」「多様性」「安心・安全」をキーワードとした人的資本戦略の各施策に取り組みます。
人権への取り組みを進め、人権デューデリジェンスを単独から開始し、順次展開を図ります。
「地球環境・社会への貢献」では、カーボンニュートラル実現に向けた活動、生物多様性の保全、水リスクへの対応等を推進します。「コーポレートガバナンスの強化」としては、事業継続のための建屋更新・耐震工事、サイバーセキュリティ対策、リスク管理体制強化等に取り組んでまいります。
新中期経営計画(2024~2028年度)における経営目標値は以下の通りです。
なお、中計期間における総還元性向は60%以上としております。
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2028年度目標 |
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売上高 |
2,400億円 |
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営業利益率 |
8.0%以上 |
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ROE |
9.0%以上 |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ推進体制及びガバナンスの状況
当社グループは、「プレス工業グループ サステナビリティ基本方針」のもと、社会から信頼され、全てのステークホルダーと共に中長期的に成長し続けるため、サステナビリティ経営に取り組んでおります。
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プレス工業グループ サステナビリティ基本方針 プレス工業グループは、「ビジョン・ミッション・バリュー」のもと、持続可能な社会の実現に向けESG課題に積極的に取組み、中長期的な企業価値の向上を目指します。 |
2022年5月に、経済的価値と社会的価値の両立の観点から、当社グループとして中長期視点で取り組むべきサステナビリティに関する4つの重要課題(マテリアリティ)と21の活動項目を策定いたしました。
これら重要課題と活動項目は、中長期の経営計画及び各年度方針に反映し、経営会議での審議を踏まえ、取締役会で決議しております。決議された方針や計画は、社内各部門、グループ会社、関係する社内各種委員会(環境、防災、安全、情報システム等)に展開され、活動内容及び重要案件については、都度経営会議及び取締役会へ附議・報告しております。
<サステナビリティ全般に対応するガバナンス体制図>
(2)リスク管理
サステナビリティ全般に関するリスク管理については、「
(3)TCFD提言に基づく開示
① ガバナンス
当社グループは、気候変動問題への対応を経営上の重要課題と位置づけており、「環境方針」に基づき、取締役会の監督の下、積極的・能動的に取り組んでおります。気候変動をはじめとする環境問題全般については、生産部門担当役員及び人事・労務担当役員が主導する中央環境委員会(年4回開催)において管理・対応しており、CO2排出量削減目標設定から施策・実行までを強力に推進しております。中央環境委員会における活動内容は経営会議に開催の都度報告され、重要事項については必要に応じ経営会議及び取締役会にて審議・決定されております。
<気候変動問題に対応するガバナンス体制図>

② 戦略
当社グループは、気候変動が当社グループの事業活動に及ぼす影響度を評価するため、TCFD提言に基づくリスク・機会のシナリオ分析を実施しております。分析にあたっては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表した4℃シナリオ・2℃以下シナリオ等を考慮しております。対応策については、現在取り組み状況や将来課題とすべき項目を踏まえ、当社グループの新たな価値創造に繋がるかという視点を加え、定義・評価しております。
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理については、「
④ 指標及び目標
当社グループは、短期・中期・長期における排出量削減目標を以下の通り設定しております。
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指標 |
対象 |
基準年 |
基準 |
目標年 |
目標値 |
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CO2 |
Scope1,2 (連結) |
2019年度 |
t-CO2 |
2025年度 |
2019年度比 ▲21%削減 86,900 t-CO2 |
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2030年度 |
2019年度比 ▲41%削減 64,900 t-CO2 |
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2050年度 |
排出量ネットゼロ |
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Scope3 (連結) |
1,134,000 t-CO2 |
2030年度 |
2019年度比 ▲20%削減 907,245 t-CO2 (削減対象:C1,3,5) |
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2050年度 |
排出量ネットゼロ |
各削減目標の達成にあたっては、「やめる・直す・とめる・下げる・拾う・変える」の視点のもと、高効率設備の導入、生産工程の見直し、生産性向上、生産工法の改善、業務の効率化、太陽光発電をはじめとするグリーンエネルギーの活用等の諸施策を全社を挙げて推進し、カーボンニュートラルの実現を目指しております。
<参考>
・当社グループScope1+2及びScope3排出量の実績と目標値
・当社グループScope3排出量*1実績推移(単位:t-CO2)
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カテゴリ |
カテゴリ概要 |
19年度 |
20年度 |
21年度 |
22年度 |
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1 |
購入した製品・サービス |
購入した原材料等の資源採掘、製造、輸送での排出 |
1,054,762 |
809,788 |
1,026,903 |
1,118,177 |
|
2 |
資本財 |
購入した有形固定資産の製造、輸送 での排出 |
29,774 |
30,892 |
16,966 |
54,888 |
|
3 |
Scope1・2に含まれない燃料及び エネルギー関連活動 |
購入した化石燃料、電力の資源採掘、製造、輸送での排出 |
15,816 |
12,968 |
15,020 |
15,125 |
|
4 |
輸送、配送(上流) |
原材料購入時、製品出荷時等の輸送、配送での排出 |
21,009 |
17,507 |
15,744 |
21,053 |
|
5 |
事業から出る廃棄物 |
各拠点から排出した廃棄物の処理、 輸送での排出 |
3,847 |
3,434 |
3,933 |
4,290 |
|
6 |
出張 |
従業員の出張に伴う排出 |
696 |
646 |
632 |
628 |
|
7 |
雇用者の通勤 |
雇用者の通勤に伴う排出 |
2,736 |
2,450 |
2,428 |
2,397 |
|
8 |
リース資産(上流) |
賃借しているリース資産の運用に伴う排出 |
414 |
282 |
245 |
281 |
|
9 |
輸送、配送(下流) |
販売した製品の最終消費者までの 物流に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
10 |
販売した製品の加工 |
販売した製品の加工に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
11 |
販売した製品の使用 |
最終消費者による製品の使用に伴う 排出 |
対象外*3 |
対象外*3 |
対象外*3 |
対象外*3 |
|
12 |
販売した製品の廃棄 |
最終消費者による製品の廃棄時の 処理に伴う排出 |
5,016 |
3,896 |
4,811 |
4,783 |
|
13 |
リース資産(下流) |
賃貸しているリース資産の運用に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
14 |
フランチャイズ |
フランチャイズ加盟社における排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
15 |
投資 |
投資の運用に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
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合計 |
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*1:今後、算定精度の向上を目的とした算定方法や排出原単位の見直し及び算定の誤りが判明した場合は、算定結果を遡及して修正します。
*2:当社に該当する事業活動がないため、算定対象範囲から除外しています。
*3:当社が排出削減に影響力を及ぼすことが困難なため、算定対象範囲から除外しています。
(4)人的資本戦略
1)人材戦略
当社グループのビジネスの中心は人であり、誠実と努力によって培われる全ステークホルダーとの信頼は、当社グループの大きな財産です。多様な人材を採用し、教育・育成制度や人事制度を整備して多様な人材の能力が最大限発揮できるような働きやすい職場・作業環境づくりに取り組んでおり、「人材の多様性と活性化」を重要課題の一つとし、目指す姿・ありたい姿、これを達成するための活動項目を掲げました。
① 目指す姿・ありたい姿
・一人ひとりが「自ら考え、行動し、やりぬく」経験を重ね、成長し続けている。
・多様なバックボーンと価値観を持つ人たちが、互いを尊重し、意見をぶつけ合い、新しい価値を生みだしている。
・全員が安心していきいきと働き、活躍している。
② 活動項目
・全員のやりぬく力と創造力の醸成
・ダイバーシティと機会均等の推進
・安心・安全な職場づくり
・働きやすい職場環境の整備
・人権の尊重
2)方針及び施策骨子
① 人材育成方針
・やりぬく意志を持って自ら考え、新しい価値を生み出す人材を育成する
・変化に対応できる人材を育成する
② 社内環境整備方針
・人材が育ち、最大限能力が発揮できるようにハード、ソフト両面より環境整備を図る
③ 施策の骨子
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キーワード |
やりぬく |
創造力 |
多様性 |
安心・安全 |
|
取組内容 |
・課題解決力の向上 |
・基礎・専門教育の拡充、強化 |
・採用の多様化 |
・健康経営の継続推進 |
|
・コーチング強化 |
・異分野・異業種との交流 |
・自己実現施策の推進 |
・本質安全の推進 |
|
|
|
・多能工化 |
・多様な働き方に対応した人事諸制度の整備 |
・施設の充実(多様性、耐震、デジタル、再生エネルギー) |
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|
|
|
・コンプライアンス/ハラスメント研修の充実 |
④ 取り組み内容及び目標値(当社単体ベース)
以下の目標については、当社において取組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社の実績を記載しております。
1. やりぬく
従来より、役職に応じた階層別教育を実施しておりますが、これまでの取組みに加え、将来の目指す姿・ありたい姿に向けて解決すべき課題を設定し、これを実現していくことができる能力の強化を目的とした人材育成を図ってまいります。
≪やりぬく≫に関する目標
|
目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
|
|
|
- |
|
※ |
|
|
9.2% |
|
|
※23年度よりプログラムを開始したため、22年度の実績はありません。
※23年度末における総合職399名に対する研修プログラム受講率であります。
2. 創造力
当社では、PKSD(Presskogyo Self-Development)という自己啓発を前提とした能力開発プログラムを従来より実施しております。
階層別に応じた専門知識やマネジメントスキルなど、通信講座を中心として運用しておりますが、さらに新しい知識の習得や、自律的な学習を促すため、講座数の拡大(2024年3月末現在、147講座)やeラーニングの採用などによる利便性向上など、充実を図ってまいります。
≪創造力≫に関する目標値
|
目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
|
|
|
8.1% |
|
|
|
|
- |
|
※ |
※23年度より集計を開始したため、22年度の実績はありません。
3. 多様性
当社は、国籍・性別・信条の如何に関わらず、それぞれの立場や考えを尊重するとともに、労働基準法をはじめとした関係法令を遵守し、国籍、性別、新卒・中途採用に関わらず、多様な人材の能力が最大限発揮できるよう、働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。
また、年に1回、中長期のキャリアプランや能力開発の取組み状況を申告する自己申告制度を設けております。
≪多様性≫に関する目標値
|
目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
|
|
|
21.3% |
|
※ |
|
|
2.6% |
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※5年間の平均採用割合の実績を示しております。
4. 安心・安全
「安全衛生」はすべてに優先する、という基本理念のもと、労働災害の発生防止、安全に安心して働ける職場づくりを推進しております。
≪安心・安全≫に関する目標値
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目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
|
|
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1.50 |
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※1 |
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49.1 |
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※2 |
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14.2日 |
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※1 23年度より休業災害発生度数率に変更しております(22年度実績は不休災害含む度数率)。
※2 23年度は健康経営優良法人2024認定を返納したため実績がありません。
以下において、当社グループの事業その他に関するリスク要因と考えられ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主な事項を記載しております。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況の変動
当社グループの主要製品は、自動車部品や建設機械用部品であり、当社グループの営業収入は、これらの製品を直接的及び間接的に供給している国や地域の経済状況の影響を受けるため、情報を収集・分析しその内容を年度計画や中期経営計画等の事業計画へ反映するよう努めております。しかし、日本・北米・欧州・アジアを含めて、当社グループの主要市場における景気後退や、それに伴う予測を超えた需要減少は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 海外事業環境の変動
当社グループは、日本・北米・欧州・アジアで生産及び販売活動を展開しており、海外事業において以下のリスクが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・政治的または経済的に不安定な事象や、戦争、テロ、過激なデモ、暴動、ストライキ等の社会的な混乱
・法律、規則や税制の予期しない変更
・労働争議、人件費の急激な上昇、人材確保や採用の難化
・大規模な自然災害や感染症、伝染病
・合弁事業における経営方針、経営環境などの変化
(3) 為替レートの変動
当社グループの海外関係会社の財務諸表は、現地通貨で表示されており、連結財務諸表の作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより当社グループの経営成績及び財政状態へ悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人材の確保・育成
当社グループは、業界における競争力を維持・向上し、グローバルな事業活動を強化することを目的として、専門技能に精通した人材やマネジメント能力に優れた人材を将来に渡り確保・育成することが、極めて重要な課題と認識しております。このため、国内外での積極的な採用活動や、研修・教育の充実などの対策をとっております。しかし、当社グループ内の人材確保・人材育成が遅れた場合には、当社グループの将来的な事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 技術・製品開発
当社グループを取り巻く事業環境は、企業再編が進み、グローバル競争の激化、電動化に向けた開発の本格化など、大きく変化しようとしています。このため、事業環境の変化をチャンスと捉えて、中期経営計画において①コア事業における攻めと挑戦、②電動化に向けたコア商品の進化を掲げ、技術革新や新製品開発に経営資源を投入しております。しかし、市場ニーズや顧客ニーズの変化への対応が結果として不十分であったり、実現時期がタイムリーでなかったりした場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 気候変動
当社グループは、気候変動リスクへの対応を経営上の重要課題として位置付けており、2050年度カーボンニュートラル実現を目指し、CO₂排出量(Scope1, 2※)を2030年度までに2019年度基準で41.0%削減する中間目標を設定、その達成に向けた取組を進めております。具体的には、省エネ活動の徹底(待機電力削減等)、高効率設備への更新、生産ラインの再編及び再生可能エネルギーの導入を加速させます。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿ったシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しており、そのリスクへの対応をさらなる成長の機会と捉え、製品軽量化、新商品開発、新技術・新工法の技術開発への取組を強化し、脱炭素社会における新たな市場ニーズへ対応してまいります。しかし、気候変動により生じる物理的リスクや、脱炭素社会への移行リスクに適切に対応できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
※ Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
(7) 自然災害等による影響
当社グループでは、自然災害等による生産活動への影響を最小化するために、BCP(事業継続計画)に基づく訓練、並びに政府指針等に基づく諸施策の徹底を図り、リスク発生の未然防止や啓蒙活動等を進めております。しかし、想定を超える大規模な自然災害等が発生し、建物や設備の倒壊・破損、ライフラインやサプライチェーン、輸送ルート、情報インフラの寸断、人的資源への重大な影響などにより、生産能力の著しい低下や操業の中断といった事態が起こった場合は、顧客への製品供給が遅れたり、損害を蒙った建物・設備等の修復に多額の費用が必要となったりすることで、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 材料・部品の調達
当社グループは、事業活動に必要な材料・部品の多くをグループ外の仕入先から購入しております。特定の仕入先の納入遅延、製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、並びに想定を超える自然災害などにより、原材料や部品の不足やコストの上昇が生じる事態が懸念されます。調達先の複数確保や迅速な復旧支援等、調達方針に基づく諸施策を講じておりますが、著しい原価上昇や生産停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品の欠陥
当社グループは、国際的に認知されている品質管理基準に基づき製品を製造しており、製品品質の安定と向上に取り組むとともに、第三者審査を受けることにより、品質管理体制を整備しております。しかし、全ての製品について欠陥がなく、将来においてリコールなどの問題が発生しない保証はありません。また、製造物賠償責任に関しては、保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額は、保険によって十分にカバーされない事態も懸念されます。そのため、リコールや製造物責任賠償につながる製品の欠陥が生じた場合は、多大なコストと社会的信用の低下を発生させ、当社グループの評価に大きな影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報セキュリティ
当社グループは、顧客からの情報や自社の開発情報など、営業上・技術上の機密情報を有しております。また、生産活動をはじめとした事業活動全般において、IT技術・ネットワークを活用しております。当社グループでは、サイバー攻撃の未然防止とその事件・事故を対象とした、ネットワークやサーバー等の脅威監視や分析の範囲拡大など、インシデント検知・対応能力の強化を図るとともに、テレワークやクラウドサービス利用の増加に対応するためのセキュリティ対策基盤の強化や、教育の充実を図っております。しかし、日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃等による不測の事態が発生した場合、情報漏洩による社会的信用の低下や損害賠償責任の発生、復旧のための費用、システムダウンによる顧客や調達先全体を巻込んだ業務の停止などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)企業倫理の遵守
当社グループの従業員は、労務関連、独占禁止、情報管理、知的財産保護、環境保護、適正な会計・税務処理、インサイダー取引防止といった各種法令等を遵守する必要があります。このため、当社グループでは、「倫理規定」を制定し、全社的な「行動指針」として守るべきルールやマナー、業務への取組姿勢などを定め、企業倫理を遵守した業務運営や啓蒙活動に努めております。また、コンプライアンス対応やハラスメント防止に関する相談窓口を社内・社外に設け、寄せられた事案に関しては、適時・適切に対応しております。しかし、従業員による法令違反等の問題が万一発生した場合は、直接的な費用の増加や社会的制裁、風評被害等、有形無形の損害の発生により、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)大規模感染症等の流行による影響
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症等の大規模な感染症拡大防止に向けて衛生管理を徹底し、在宅勤務・フレックス勤務・時差出勤等の柔軟な働き方を許容・推奨する労務管理を実施しております。しかしながら、ひとたび国内外で大規模な感染拡大が起こった場合、ロックダウン等の外出措置により経済や生活に著しい制限が生じ、事業活動に多大な影響を及ぼすことが想定され、当社グループの経営成績及び財政状況に重大な影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における国内及び海外のトラック・建設機械の事業環境は、半導体等の部品不足は改善が進んだものの、第4四半期では、米国のUAWストや国内架装メーカーの供給不足等により稼働停止・生産調整が発生し、生産活動に影響を受けました。また、円安進行、世界経済の景気後退懸念が継続し、先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループにおいては、生産変動への対応力強化と合理化活動を継続し、収益の確保に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,978億17百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益は128億7百万円(前年同期比2.3%減)、経常利益は134億61百万円(前年同期比1.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80億78百万円(前年同期比18.9%増)となりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ133億40百万円増加し、1,917億42百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ39億83百万円増加し、712億98百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ93億57百万円増加し、1,204億44百万円となりました。
b.経営成績
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(自動車関連事業)
当セグメントにおける国内及び海外の事業環境及び業績は次のとおりであります。
<国内>
普通トラックの国内需要は前年同期比12.6千台増の67.6千台、小型トラックの国内需要は前年同期比3.5千台増の76.0千台となりました。輸出は普通トラック・小型トラックが前年同期に比べ減少いたしましたが、国内及び輸出を併せた売上高は増加いたしました。
<タイ>
1トンピックアップトラックの国内需要は減少したものの、THAI SUMMIT PKK BANGPAKONG CO.,LTD.ではSUV向け等の生産が前年同期に比べ増加し、売上高は増加いたしました。
<米国>
国内需要は増加したものの、一部得意先向け車種の生産終了やUAWによるストライキ等により、PK U.S.A.,INC.の生産は前年同期に比べ減少し、売上高も減少いたしました。
<インドネシア>
商用車の国内需要やタイ向けの輸出が減少したことにより、PT.PK Manufacturing Indonesiaの生産は前年同期に比べ減少し、売上高も減少いたしました。
<スウェーデン>
欧州での商用車需要は増加いたしましたが、一部得意先の在庫調整等により、PRESS KOGYO SWEDEN ABの生産は前年同期に比べ減少し、売上高も減少いたしました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,629億54百万円(前年同期比8.3%増)となり、セグメント利益は160億83百万円(前年同期比2.7%増)となりました。
(建設機械関連事業)
当セグメントにおける国内及び海外の事業環境及び業績は次のとおりであります。
<国内>
建設機械の国内需要が堅調に推移したことや新規受注車型立上げ等により、国内のキャビン生産は前年同期に比べ増加し、売上高も増加いたしました。
<中国>
普莱斯工業小型駕駛室(蘇州)有限公司(PRESS KOGYO MINI CABIN(SUZHOU)CO.,LTD.)の生産は国内需要の低迷により前年同期に比べ減少し、売上高も減少いたしました。
なお、蘇州普美駕駛室有限公司(PM CABIN MANUFACTURING CO.,LTD.)については2021年9月28日付で解散し、2024年6月11日付で清算結了いたしました。
以上の結果、当セグメントの売上高は343億86百万円(前年同期比0.2%減)となり、セグメント利益は3億67百万円(前年同期比54.8%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ63億76百万円増の287億6百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前年同期比60億43百万円増の272億30百万円となりました。これは主として減価償却費の増加及び棚卸資産の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前年同期比43億44百万円増の141億27百万円となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前年同期比38億24百万円減の70億17百万円となりました。これは主として短期借入金の純減少等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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自動車関連事業(百万円) |
160,506 |
8.0 |
|
建設機械関連事業(百万円) |
35,234 |
0.2 |
|
報告セグメント計(百万円) |
195,741 |
6.5 |
|
その他(百万円) |
3,109 |
18.2 |
|
合計(百万円) |
198,850 |
6.7 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連事業 |
159,394 |
2.6 |
39,443 |
△2.7 |
|
建設機械関連事業 |
35,275 |
△0.3 |
7,008 |
0.6 |
|
報告セグメント計 |
194,670 |
2.1 |
46,451 |
△2.3 |
|
その他 |
3,158 |
20.4 |
342 |
17.1 |
|
合計 |
197,829 |
2.3 |
46,794 |
△2.1 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連事業(百万円) |
162,493 |
8.4 |
|
建設機械関連事業(百万円) |
32,213 |
△0.5 |
|
報告セグメント計(百万円) |
194,707 |
6.9 |
|
その他(百万円) |
3,109 |
18.2 |
|
合計(百万円) |
197,817 |
7.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
いすゞ自動車㈱ |
30,843 |
16.7 |
32,266 |
16.3 |
|
Mitsubishi Motors (Thailand ) Co.ltd. |
16,176 |
8.8 |
21,519 |
10.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
財政状態について、当社グループは、有利子負債残高の抑制と事業収益の確保により、財務体質とキャッシュ・フローの改善を図っております。
当連結会計年度における財政状態の分析は、以下のとおりであります。
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比133億40百万円増の1,917億42百万円となりました。これは主として、現金及び預金が63億78百万円増加、機械装置及び運搬具が51億75百万円増加したためであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比39億83百万円増の712億98百万円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金が19億53百万円増加、繰延税金負債が6億38百万円増加したためであります。
(純資産合計)
純資産は、前連結会計年度末比93億57百万円増の1,204億44百万円となりました。これは主として、利益剰余金が49億77百万円増加、為替換算調整勘定が17億89百万円増加したためであります。
なお、自己資本比率は56.2%となりました。
2)経営成績
経営成績について、当社グループは、企業ビジョンを達成するため、全社一丸となったコスト削減や拡販活動に取り組んでまいりました。
当連結会計年度における経営成績の分析は、以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は、前連結会計年度比129億72百万円増の1,978億17百万円となりました。
国内売上高は、前連結会計年度比54億30百万円増の830億66百万円、海外売上高は、前連結会計年度比75億42百万円増の1,147億50百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前連結会計年度比2億4百万円増の11億39百万円となりました。これは主として、受取利息が1億17百万円増加、受取配当金が1億2百万円増加したためであります。
営業外費用は、前連結会計年度比1億55百万円増の4億86百万円となりました。これは主として、支払利息が1億29百万円増加したためであります。
(特別利益、特別損失)
特別利益は、前連結会計年度比1億22百万円減の10億2百万円となりました。これは主として、投資有価証券売却益が4億62百万円増加、関係会社清算益が8億85百万円減少したためであります。
特別損失は、前連結会計年度比16億87百万円減の3億18百万円となりました。これは主として、減損損失が16億24百万円減少したためであります。
(法人税、住民税及び事業税)
法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度比4億12百万円増の34億79百万円となりました。
法人税等調整額は、前連結会計年度比1億42百万円減の1億41百万円となりました。税効果会計適用後の法人税等の負担率は、前連結会計年度比0.6ポイント減の25.5%となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
非支配株主に帰属する当期純利益は、主としてTHAI SUMMIT PKK BANGPAKONG CO.,LTD.及びTHAI SUMMIT PK CORPORATION LTD.の非支配株主に帰属する利益であり、前連結会計年度比2億43百万円減の24億45百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比12億85百万円増の80億78百万円となりました。売上高に対する当期純利益率は4.1%となりました。また、親会社株主に帰属する1株当たり当期純利益は、79.41円となりました。
なお、前連結会計年度の親会社株主に帰属する1株当たり当期純利益は、65.54円であります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、コア商品(フレーム、アクスル、建設機械用キャビン、パネル)における新規受注に対応するための生産体制の確立、コストの削減及び品質の向上に重点をおき、設備投資を行っております。
当連結会計年度における設備投資額は、前連結会計年度比44億79百万円増の169億92百万円となりました。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
1)主要な資金及び財源
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資であります。
これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
2)資金の流動性
手元の運転資金につきましては、当社と国内関連会社において寄託契約を実施しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
また、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるようにコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。
当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における国内及び海外のトラック・建設機械の事業環境は、中国ロックダウン、半導体不足、物流混乱等により部品供給制約が継続し、加えて欧州情勢によるエネルギーコスト及び原材料価格の高騰・高止まり、急激な為替変動等、先行き不透明な状況で推移いたしました。このような事業環境のもと、中期経営計画で掲げる「質」重視の経営と成長に向け、生産体制の見直しや合理化活動を強力に推進し、収益の確保に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度における経営指標は以下のとおりとなり、2019~2023年度中期経営計画の経営目標値を達成いたしました。
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|
中期経営計画 (2024年3月期) 目標 |
2024年3月期 実績 |
|
営業利益率 |
7.0% |
6.5% |
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ROE |
7.0% |
7.8% |
なお、当社グループの資本政策として掲げる総還元性向35%以上に対し、当連結会計年度は45.0%となりました。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度はビジョン・ミッション・バリューのもと、2022年5月に当社グループが長期視点で取り組むべき重要課題(マテリアリティ)が策定されました。本マテリアリティは将来に亘って新たな価値を創造し続けるうえで最も重要であり、EV/FCV化への対応は喫緊に進めていく必要があります。
また、アクスル、フレーム、建設機械用キャビン、パネルといった当社のコア商品の中長期先を展望した研究開発活動、海外生産への移行が進む中、国内のコア事業以外の新たなビジネス発掘を目的として、新技術・新工法の調査、実験、検討を行ってまいりました。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1) 新規事業に関する取組み
当社コア事業である自動車関連、建設機械関連とは異なる分野に於いて、プレス工業グループ全体の強みを活かした新しい事業に関し、調査、検討、商品の開発を行ってまいりました。さらに、検討結果の一部の特許出願を進めてきました。
今後も、SDGs、脱炭素化を切り口に、短期のみならず長期的な視点で、環境負荷軽減や社会・市場のニーズを捉えた商品を提案、具現化を図り、新たなビジネスの創出を目指してまいります。
(2) コアビジネスの更なる進化への取組み
① 自動車関連事業
EV/FCV化への対応に加え、環境負荷に配慮した軽量化、高強度化に向けた当社オリジナル商品・仕様提案及びその具現化のための要素技術開発、生産準備期間のさらなる短縮を狙った技術データベースの蓄積及び安定した品質を得る工法の検討、強度・精度・形状などお客様の高度な要望にお応えできる当社オリジナル要素技術のさらなる構築を行ってまいりました。また、既存設備を活用した当社製品の付加価値、競争力向上のための技術開発に取り組んでまいりました。これらの技術開発は、国内外で新たな量産部品の獲得へ繋がり、当社からの提案はお客様から高い評価をいただいております。
これらの取組みを効率よく行う手段として、当社が利用技術を構築してきた塑性加工成形シミュレーションがあります。塑性加工成形シミュレーションにより通常目視することができない金型内の材料の変形過程を含めて模擬し確認することができ、精度不良原因の特定を製品設計段階で行い、その対策を金型設計の早期に反映させる取組みにより、開発期間の短縮、開発コスト削減に大きな効果をあげています。
また、車両の軽量化ニーズにより年々需要が高まっている高強度材の部品では、より塑性加工成形シミュレーション活用の必要性が高まっております。更なるQCDの向上、技術の適用範囲拡大のため、検証を積み重ね、塑性加工成形シミュレーションの予測精度向上に取組んでおり、次期製品開発の軽量化・高強度化への取組みにも寄与しております。今後も当社オリジナルの塑性加工成形シミュレーション技術の確立を進めてまいります。
コア商品であるフレームの生産において、金型製作費を抑制して小ロット生産への対応が可能なロール成形機を新規導入しました。現在保有する生産設備とノウハウを有効活用し、自社で開発した装置を採用することで客先要求品質を満足するロール成形技術を確立することができました。現在、量産に向けた準備を進めており、2026年2月から生産を開始する計画です。
溶接組立分野では、当社独自のセンシング技術の構築とそれを利用した溶接品質安定手法の確立、自動検査技術の確立、過去に経験のない新規設備を導入するにあたり工場・メーカー等とコラボレーションしながら早期立ち上げ及び確実な品質評価手法の確立を行っております。これらの手法ノウハウを活用した新大型アクスルラインの設置を藤沢工場で進めており、2025年8月から生産を開始する計画です。
なお、自動車関連事業に係る研究開発費は
② 建設機械関連事業
建設機械分野ではキャブの商品力向上と品質信頼性向上を図ってまいりました。2024年3月には新形状異形鋼管を採用し視界性向上や新機能を織込んだ当社オリジナルキャブの開発が完了し、得られた成果をお客様に提案し、高い評価をいただいております。またROPS対応ではFEM解析での事前検証により各部位の板厚や補強構造を最適とする事で軽量化や開発期間の短縮にも貢献しております。
これらの取組みは、国内メーカーのみならず、海外メーカーのお客様とのワールドワイドな新たなビジネスチャンスに繋がっています。
なお、建設機械関連事業に係る研究開発費は
(3) 全社共通
環境問題への対応は世界全体で取り組む喫緊の課題です。当社グループも2050年目標としてカーボンニュートラル実現を掲げ、全社を挙げて推進しております。中間目標として、スコープ1,2は2019年度比で2025年度までに20.6%削減、2030年度までに41%削減を設定しております。2023年度は目標4.8%削減の目標に対し5.2%削減しており、2025年度の中間目標は、前倒しで達成見込みとなっています。
また、国内全工場、事務所におきましてISO14001を遵守した活動を継続しています。開発部門におきましても、環境に優しくさらに世の中に活用される技術の開発を継続的に取り組んでおります。