文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「お客様の想いをかなえる価値創造に加え、未来社会が抱える課題からのアプローチによって新たなマーケットの扉を開く」というビジョンのもと、急速に変化する市場・顧客ニーズを先取りした高付加価値製品・サービスを提供していくとともに、社会環境の変化の中で生じる課題を解決するために、これまで培ってきた独自技術やノウハウに加えて外部リソースを活用し、より高度なソリューションの創出に挑戦し、環境変化に強い事業構造への変革を進めることで、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2020年度を初年度とする3カ年の連結経営計画「New Value 2022(2020年度~2022年度)」において、「既存事業の収益基盤強化」と「次世代の柱となる新たな事業領域の創出」の実現に向けて、以下の基本戦略を掲げております。
① 次世代の柱となる事業領域の創出
自動車、エネルギー、医療・ヘルスケアなど成長分野において、既存の事業や技術の枠を超えたグループ横断的な戦略推進体制を構築し、次世代の柱となる事業基盤を確立する。
② 継続的な新規事業の創出体制の構築
将来の社会環境の変化や技術革新の中にビジネスチャンスを見出し、既存の技術やノウハウに捉われず、外部リソースを積極活用し、継続的な新規事業の開発体制を構築する。
③ 持続的な成長を支える経営基盤の強化
次世代を担うグローバル人材の育成・確保、グループの多様な人的リソースの有効活用に向けた人事インフラを整備・構築するとともに、新たな成長戦略を支えるグループ経営管理体制の高度化、機能強化を推進する。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、収益性を高めながら成長投資を積極拡大することで、将来に向けた成長軌道の確立を目指しており、連結経営計画「New Value 2022(2020年度~2022年度)」では、総資産経常利益率(ROA)8%以上、自己資本当期純利益率(ROE)9%以上を目標としております。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
次期の事業環境は、中国での主要都市封鎖など新型コロナウイルス感染症による影響の長期化に加え、ウクライナ情勢の悪化など地政学リスクの顕在化に伴う資源価格の高騰や物流網の混乱、為替相場の急変が懸念されるなど、先行き予断を許さない状況が続くとみております。
このような状況のもと、当社グループは、原材料の高騰や供給不足など直面する課題に対処するとともに、次期を最終年度とする中期経営計画「New Value 2022」で掲げた次世代の柱となる事業領域の創出、継続的な新規事業の創出体制の構築、持続的な成長を支える経営基盤の強化を果たすために、以下の課題に取り組んでまいります。
① 次世代の柱となる事業領域での成長基盤を確立するために、液晶ディスプレイ関連分野での安定的な収益基盤の維持・拡大を図りつつ、自動車、情報・電子など成長分野での市場・顧客ニーズの変化や技術革新を見据えた新製品・技術開発、製品用途・顧客開拓への取り組みを加速し、新たな事業機会の創出に注力する。
② 環境保全や社会課題の解決を志向した新たな事業を創出するために、医療ヘルスケア・環境・エネスルギー分野を重点領域とし、先進的かつ独創的な技術・着想を有する研究機関やスタートアップ企業との連携強化を図り、新たな技術獲得とビジネスモデルの開発・推進体制を確立する。
③ 持続的な成長を支える強固な経営基盤を構築するために、次世代を担うグローバル人材の育成や多様な人材の活用に向けた人事施策の推進、経営環境の変化を踏まえたコンプライアンス・リスク管理体制の高度化、先進的な情報技術の活用推進によるコーポレート・ガバナンス体制の強化に注力する。
当社グループは、これらの課題に取り組むことで、環境変化に強い事業構造への転換を図り、アジア地域を中心とする海外市場での競争力を高めるとともに、事業活動を通じて様々な社会課題の解決に貢献し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を果たしてまいります。
当社グループの経営成績、財務状態及びキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社グループにおいては、これらのリスクの発生を防止、分散あるいはヘッジすることにより軽減を図っておりますが、予測を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
① 経済動向及び市場動向
当社グループのケミカルズ製品は、電子・情報分野をはじめとし、自動車・家電・建材、その他日用品等と幅広い分野で使用されており、装置システムの販売対象も、合成樹脂、塗料・インキ等のメーカーなど多岐にわたっております。このため、当社グループの経営成績は、景気動向及び設備投資動向全般の影響を受けております。特に、液晶ディスプレイ関連用途における需要動向・競合状況・価格情勢により、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性があります。
② 原材料市況
当社グループでは、原材料の調達に関しては国内外に複数の調達先を確保し、安定した原材料調達と原材料コストの低減を図っております。しかしながら、ケミカルズ製品の主要原材料であるアクリル酸エステル類や酢酸エチルなどの価格は、原油・ナフサ価格の市況の影響を受けており、上昇したコストを販売価格に転嫁できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制・コンプライアンス
粘着剤をはじめとしたケミカルズ製品の多くは、製造工程において有機溶剤を使用しております。有機溶剤の取り扱いにあたり、労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法や消防法等の法規制を受けております。当社グループは、企業倫理委員会等での定期的な法令順守状況のチェックにより関連する法規制の遵守を徹底するとともに、環境汚染の防止、安全衛生の推進に努めておりますが、これらの関連法規制が強化された場合や新たな法規制が設けられ制約を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは役員・従業員等に対して定期的な教育等によりコンプライアンスの徹底に努めておりますが、コンプライアンス上の問題が発生した場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外での事業展開
当社グループは、アジア地域、特に中国におけるケミカルズ製品の市場の将来性に注目し、子会社4社を通じ積極的に事業展開を行っておりますが、現地における法令の改変、商慣習、政治・経済情勢の混乱、自然災害、伝染病等に起因する予期せぬ事態が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 環境問題
当社グループは、原材料として有機溶剤等の各種化学物質を取り扱うため、労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法や消防法等の規制を受けております。これらの法規制を遵守するとともに、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境負荷物質の排出抑制にも努めております。しかしながら、環境保全に関する規制は年々強化されており、使用する化学物質が制限されるほか、対応するための大型設備投資等が必要になる場合には、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 災害事故
当社グループは、化学物質、特に危険物を取り扱うため、自然災害や火災爆発事故等により、重大な損失を招くリスクがあります。このため、製造設備の点検・保守、安全のための設備投資、定期的な防災訓練の実施など、予防管理に努めております。しかしながら、大規模自然災害の発生や不慮の事故等により、建屋・生産設備等が損害を被った場合や電気・ガスなどのインフラ被害、広範囲にわたるサプライチェーンの断絶等により、生産活動等に大きな影響が生じた場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新製品開発
当社グループは、常に市場・顧客ニーズに適合した高付加価値な製品・技術を開発していく必要があると考え、新製品・新技術の基礎研究及び応用研究の両面から積極的に研究開発を行っております。しかしながら、市場・顧客ニーズの変化に適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 特定製品分野への依存
当社グループのケミカルズ製品は、液晶ディスプレイ等に組み込まれる光学フィルムの貼り合わせやそれら部材の製造等に使用されております。当社グループは、今後も市場・顧客ニーズに応えるべく新製品の開発を進めてまいりますが、技術革新に伴い光学フィルムが不要になった場合もしくは競合製品・代替製品がより低価格で導入され価格競争が激化した場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 新規事業
当社グループは、事業拡大のために新規事業への展開を中長期的な経営戦略として積極的に推進しております。新規事業開発は慎重な検討を重ねたうえで取り組んでおりますが、安定して収益を生み出すまでには長期間を要することもあり、製品需要や技術進化の変化等により、当初の計画どおりの成果が得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 製造物責任
当社グループは、高品質な製品・サービスを安定して供給していくために、国際的な品質マネジメントシステム(ISO9001)の認証に基づいた厳格な品質管理体制を構築しております。当社の事業の中心は生産材の製造であり、最終消費者に対して賠償や回収を行う可能性は低いと考えますが、当社製品の品質により、製造物賠償責任等が発生した場合、当社及び当社製品に対する信頼性を損なうものであり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 知的財産権
当社グループは、知的財産権が事業活動・製品競争力に重要な役割を果たしていることを認識し、知的財産権の取得による自社権利の保護に努める一方で、他社の知的財産権を調査し、問題の発生防止を図っております。しかしながら、他社との間で知的財産権を巡る紛争が生じたり、他社から知的財産権を侵害された場合には、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 情報セキュリティ
当社グループにとって、情報システムは事業運営上重要な役割を担っており、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報をシステムで管理しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、関連規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等さまざまな対策を講じておりますが、災害、サイバー攻撃、不正アクセスその他不測の事態により、情報システムに重大な障害が発生した場合、重要な業務の中断や機密データの漏洩等が発生し、当社グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担や企業イメージ低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 人材確保・育成
当社グループの持続的な成長を実現するためには、グローバル市場で活躍ができる人材や新たな事業を創出していく人材を確保する必要があります。当社グループでは今後も事業の拡大に伴い積極的に人材を採用していく方針でありますが、人材を十分に確保・育成できない場合や現在在籍している人材が流出した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑭ 減損
当社グループは、生産設備や研究設備等様々な固定資産を保有しております。これらの資産は、資産の時価が著しく下落した場合、又は事業資産の収益性が悪化し回復の可能性が見込めないなど減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期が見通せないなか、経済活動の停滞の長期化や当社を取り巻く事業環境が変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、在宅勤務の推進や国内外への出張自粛など感染防止策を徹底しておりますが、罹患者が発生した場合、生産活動の停止、営業活動の自粛等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における経済情勢は、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展や経済対策による景気回復が進む一方で、原油価格の高騰や部材不足の深刻化、物流網の混乱などが下押し要因となり、さらには、変異株による感染再拡大や地政学的リスクの顕在化の影響が懸念されるなど、先行き不透明かつ厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、原材料の調達難や価格高騰に対処し、安定的な製品供給の継続と適正利益の確保に最善を尽くすとともに、持続的成長に向けて、中長期的な需要を見据えた生産・供給能力の増強、技術革新が進む自動車・情報電子分野など成長領域での製品開発・販売体制の強化、社会課題の解決を志向した医療ヘルスケア・エネルギー分野などでの新規事業開発に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、液晶ディスプレイ関連の需要拡大が進む中国市場を中心にケミカルズの販売が伸長したことや、装置システムの工事完成高が増加したことに加え、人民元高に伴い中国子会社の売上高の為替換算額が増加したこともあり、売上高は386億38百万円(前連結会計年度比22.7%増)となりました。
一方、利益面につきましては、増販効果はありましたが、原油価格の高騰や需給逼迫に伴う原材料価格の上昇に歯止めが掛からず、コスト削減や価格転嫁に努めたものの、急激なコスト上昇を吸収するまでには至らず、営業利益は22億29百万円(前連結会計年度比34.4%減)、経常利益は27億44百万円(前連結会計年度比23.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億40百万円(前連結会計年度比25.1%減)となりました。
セグメントの状況は、以下のとおりです。
<ケミカルズ>
ケミカルズについては、売上高342億15百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。製品別の状況は、以下のとおりです。
粘着剤関連製品は、中国市場を中心に需要拡大が続く液晶ディスプレイ関連用途向けの販売が伸びたことや、建材・自動車分野など一般用途向けの販売も回復傾向で推移したことなどにより、売上高は218億35百万円(前連結会計年度比24.9%増)となりました。
微粉体製品は、中国市場での光拡散用途向けの販売数量が第4四半期に顧客の在庫調整の影響を受けて前年度並みに留まったものの、人民元高の影響により、売上高は30億21百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。
特殊機能材製品は、中国市場での電子材料用途向けの販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は35億21百万円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。
加工製品は、中国市場での機能性粘着テープの販売が自動車内装部材・電子情報機器用途向けで増加したことなどにより、売上高は58億37百万円(前連結会計年度比17.8%増)となりました。
<装置システム>
装置システムについては、資材価格の高騰や調達難など厳しい受注環境にありましたが、大型設備工事案件の工事完成高の増加などにより、売上高は44億22百万円(前連結会計年度比38.3%増)となりました。
製品の種類別売上高は、下表のとおりであります。
当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて51億78百万円増加し、455億82百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金、有価証券、棚卸資産が増加したことなどにより、前期末に比べ32億73百万円増加し、278億73百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券が減少したものの、有形固定資産が増加したことなどにより、前期末に比べ19億5百万円増加し、177億8百万円となりました。
一方、負債については契約負債等その他流動負債が減少したものの、支払手形及び買掛金、長期借入金が増加したことなどにより、前期末に比べ24億21百万円増加し、172億34百万円となりました。
当期末における純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前期末に比べ27億57百万円増加し、283億48百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前期末63.3%から1.1ポイント減少し62.2%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億3百万円増加し、112億3百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、39億73百万円(前年同期は53億26百万円の増加)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益27億73百万円、減価償却費19億3百万円、仕入債務の増加24億33百万円などによる増加と、契約負債等その他の減少13億69百万円、棚卸資産の増加13億69百万円などに伴う減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、34億42百万円(前年同期は17億68百万円の減少)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得36億83百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、7億83百万円(前年同期は6億93百万円の減少)となりました。
これは、主に長期借入金の借入れ15億30百万円による増加と、長期借入金の返済1億20百万円、配当金の支払額6億17百万円などに伴う減少によるものであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(以下「当期」という。)の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という。)に比べて22.7%増の386億38百万円となりました。セグメント別の概況につきましては「第2[事業の状況]3[経営者による 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。
売上原価は、前期に比べ35.7%増の283億76百万円となりました。売上総利益は、販売数量の増加に伴う増産効果があったものの原材料価格の急騰に価格転嫁が追い付かず、前期に比べ3.1%減の102億61百万円となり、売上高総利益率は7.1ポイント減の26.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、販売増に伴う物流費用の増加などにより、前期に比べ11.7%増の80億32百万円となり、売上高販管費比率は前期に比べ2.0ポイント減の20.8%となりました。
これらにより、営業利益は前期に比べ34.4%減の22億29百万円となり、売上高営業利益率は5.0ポイント減の5.8%となりました。
営業外損益は、円安の進行により為替差益が2億14百万円増加したことなどにより、前期に比べ189.4%増の5億15百万円となりました。経常利益は前期に比べ23.2%減の27億44百万円となり、売上高経常利益率は4.3ポイント減の7.1%となりました。
特別損益では、政策保有株式の売却損益57百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は、前期に比べ25.3%減の27億73百万円となりました。
法人税等を7億79百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ25.1%減の20億40百万円となり、売上高当期純利益率は3.4ポイント減の5.3%となりました。
当社グループは、2022年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画「New Value 2022」において、「既存事業の収益基盤の強化」と「次世代の柱となる新たな事業領域の創出」を基本方針として掲げております。
同中期経営計画2年目の当期は、売上は中国の液晶ディスプレイ関連分野の市場拡大を取りこんだ粘着剤の売上高の大幅な増加や装置システムにおける大型案件の完成、大幅に円安が進んだことによる中国子会社の円換算額が増加したことなどにより、同中期経営計画最終年度の目標を1年前倒しで達成することができました。
営業利益は、急激な原材料価格の上昇に対し、価格転嫁やコスト削減などを進めたものの、収益性の悪化を避けることはできず、また販売増、事業活動正常化に伴う物流、活動経費等の増加もあり、同中期経営計画最終年度の営業利益目標の63.7%となりました。原材料価格の変動の影響を受けやすい損益状況は変わっておらず、中期経営計画最終年度に向け売上の増加だけでなく、環境変化に耐えうる経営基盤の強化に取り組んでまいります。
当社グループの主な資金需要は、事業活動に要する運転資金、生産及び研究開発に要する設備投資や配当金支払等であります。これらの資金の源泉は、手元資金と営業キャッシュ・フローであり、必要に応じて金融機関からの短期・長期借入金等により必要資金を調達しております。なお、「第2 [事業の状況] 1 [経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の中国事業拠点における生産能力増強や研究開発機能の拡充、新規事業開発などの成長投資資金については、手元資金に加えて金融機関からの借入により調達する予定であります。
また、海外子会社を含めたグループ内資金を有効活用するために、グループ資金管理体制の整備・強化、資金効率の向上に努めております。
なお、不測の事態に備えて取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しており、安定的な資金調達手段を確保することにより資金の流動性を補完しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果については、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響については、「第5 [経理の状況] 1 [連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 固定資産の減損
固定資産の減損会計の適用に際して用いた会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
b. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産を取り崩して法人税調整額を計上する可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、国際競争に打ち勝ち、高収益を上げ続けるため、「研究開発力」と「生産技術力」に重点を置き、既存事業での顧客・市場ニーズへの迅速かつ的確な対応と、社会環境の変化や技術革新を見据えた新規事業の創出・育成に取り組んでおります。
研究開発体制は、グループ全体の研究開発体制を統括する研究開発本部の下、中長期視点での基盤技術強化、新たな高機能性材料の開発、生産プロセスの技術開発は研究開発センターが担い、既存事業の製品開発機能は製品開発部へ集約しております。また、中国子会社(蘇州)にも製品開発拠点を設置し、中国市場における現地でのニーズ探索・顧客対応力強化を図っております。
研究投資につきましては、中長期的な事業戦略に基づき、新規材料開発にウェイトを置いており、独自技術やノウハウを活用するだけでなく、外部研究機関との共同研究や他社協業を積極的に進めております。
当連結会計年度末における子会社を含む研究開発部門の従業員数は140名であり、当連結会計年度における研究開発費は
研究開発活動における注力分野は、電子・情報材料分野、モビリティー分野、ライフサイエンス分野及びヘルスケア分野としており、事業領域の拡大に向けた新たな製品・サービスの創出に取り組んでおります。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
(ケミカルズ)
粘着剤につきましては、液晶ディスプレイ(LCD)の偏光板用途などのフラットパネルディスプレイ(FPD)分野において、更なるシェア拡大を図るために顧客ニーズに迅速かつ的確に対応した製品の開発に注力しております。また、自動車・建材分野等において、市場拡大が見込まれる有機溶剤による環境負荷を抑制した環境配慮型製品や、バイオマス度の高い粘着剤の開発にも取り組んでおります。
微粉体につきましては、事業領域の拡大に向けて、主力のLCD分野における光拡散シート用途に留まらず、他の光学フィルム関連分野への製品展開を図るための開発に注力しております。また、成長が期待される電子材料や電池関連分野での市場・顧客ニーズに応じた高機能製品の開発や、化粧品分野での生分解性材料の開発にも取り組んでおります。
特殊機能材につきましては、顧客ニーズに応じた電子材料用樹脂の開発に注力するとともに、主材料へ新たな機能を付与する樹脂改質剤や、導電性高分子製品開発にも取り組んでおります。
加工製品につきましては、中国自動車市場での販売拡大を図るため環境配慮型製品の機能向上に注力するとともに、スマートフォンなどの電子情報機器分野での市場ニーズの変化に対応した高機能テープ・フィルム製品の品揃え拡充や改良に取り組んでおります。
新規事業につきましては、医療・ヘルスケア分野において、抗菌・抗ウィルス材料や医療用樹脂(メディカルポリマー)の開発テーマを推進するとともに、環境・エネルギー分野では新規テーマ探索を行っており、革新的技術を保有する研究機関やスタートアップ企業と連携を図りながら、社会課題の解決を志向した新たな事業創出に向けて取り組んでおります。
(装置システム)
装置システムにつきましては、研究開発活動の大半がケミカルズの設備技術開発を兼ねており、記載を省略しております。