第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

当社グループは、「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」をグループ経営理念に掲げ、グループの創意を結集し、地域の持続的成長に貢献していく方針です。また、当社グループの「長期ビジョン2030」において「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を目指す姿に掲げ、株式会社常陽銀行と株式会社足利銀行が培ってきたお客さま、地域とのリレーション、地域への深い理解を維持・深化しつつ、広域ネットワークを活用した経済交流圏域の広がりの追求、総合金融サービスの規模・範囲の拡大を図り、「地域産業の掘り起し、地域経済の活性化や新たな市場創造」に取り組み、地域とともに持続的成長を目指してまいります。

(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題

①金融経済環境

2023年度のわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む中で、設備投資や個人消費の持ち直しに加え、雇用にも改善の動きがみられ、緩やかな回復が続きました。一方、不安定な海外情勢、物価上昇や人手不足を背景とした供給制約などもあり、景気の先行きには下振れリスクも残す状況となりました。

当社グループの主要営業地盤である北関東地域においても、個人消費や鉱工業生産の持ち直しの動きに加え、雇用も緩やかな回復が続くなど、概ね同様の動きとなりました。

金融市場では、円の対米ドル相場は、日米の金融政策を巡り一時的に円高に振れる展開もあったものの、総じてみれば、年度を通し円安ドル高が進み、年度末は1ドル151円台となりました。日経平均株価は、好調な企業業績や東京証券取引所による市場構造改革を受けた企業価値向上への期待感などから、年度を通じて上昇し、2024年2月にはバブル期の高値を34年ぶりに更新しました。また、金利は、物価の上昇や賃金引上げの動きなどを受けた日本銀行による金融政策の変更に伴い、長短ともに上昇に転じました。長期金利は、7月の日本銀行による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の修正以降は急速な上昇に転じ、年末以降は落ち着きを取り戻したものの、年度当初の0.3%台から年度末0.7%台まで上昇しました。短期金利は、8年に及んだ日本銀行のマイナス金利政策が2024年3月の金融政策決定会合によって解除され、年度末にはマイナス圏からプラス圏へと転じました。

②経営環境

少子高齢化、産業・就労構造の変化、地政学リスクの高まりといった社会・経済環境の変化に加え、他業態を含めた競争の激化など、地域金融機関を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。

他方、脱炭素・循環型社会への移行などの大きな潮流に加え、ライフスタイルや社会行動の変化などによって、総合金融サービス分野や非金融サービス分野の広がりが期待されます。また、長期に及んだマイナス金利の解除など、金融政策の枠組みが見直されつつあり、預金や貸出金、有価証券運用といった伝統的な金融サービス分野におきましても、潮目が変わる様相を呈しております。

③優先的に対処すべき課題

上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、両子銀行が長年培ってきた地域への深い理解やお客さまとのリレーション、広域ネットワークを最大限に活かし、中長期的な視点での地域社会の課題にも目を向け、その解決を通じて地域とともに持続的成長を実現していく必要があります。

このため、当社グループは「長期ビジョン2030」に掲げた目指す姿「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を実現すべく、「第3次グループ中期経営計画」の達成に向け全力で取り組んでまいります。

伝統的銀行領域の革新と総合金融サービス領域の深化に向けた取組みの継続により、経営体質を一層強化するとともに、新事業領域への種まき、育成、スケール化に向けた取組みを着実に進め、従来の枠組みを超えて地域に貢献してまいります。

また、持続可能な社会の実現に向け、一段と重要性が増しているサステナビリティへの取組みでは、「グループサステナビリティ方針」に定めた5つの重要課題(①地域経済・地域社会の活性化、②気候変動対応・環境保全、③デジタル化の推進、④高齢化への対応、⑤ダイバーシティの推進)に引き続き取り組んでまいります。取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」のもとグループの機能と知見を結集させ、サステナビリティへの取組みを一層加速させることにより、経済的価値、社会的価値の両面から当社グループの企業価値向上につなげてまいります。

(3)中期的な経営戦略

当社グループでは、「長期ビジョン2030」に掲げた「地域とともにあゆむ価値創造グループ」の実現に向け、2022年度より「第3次グループ中期経営計画」(計画期間:2022年度から2024年度までの3年間)をスタートしました。「地域を支えるビジネスモデルの追求」、「持続可能な経営基盤の構築」、「人材の育成・活躍促進」の3つの基本戦略のもと諸施策を展開しております。

① 地域を支えるビジネスモデルの追求

当社グループが提供する地域・お客さまの課題解決に関するサービスの質を高め、事業領域を拡げていくことで、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。また、デジタルサービスによる利便性と対面での高度なサービス・安心感を提供し、地域になくてはならない存在となることを目指してまいります。

伝統的銀行領域においては、デジタル技術や非対面サービスの活用によるお客さまの利便性向上、相談機能の強化や課題解決との一体提供によるサービス価値の向上のほか、有価証券運用・投融資の多様化に取り組んでまいります。総合金融サービス領域においては、コンサルティングやグループ機能を強化し、より多くのお客さまの課題解決への貢献に取り組んでまいります。加えて、新事業領域においては、当社グループの強みや戦略的な投資・提携等を活用した従来の枠組みを超える価値提供に挑戦してまいります。

② 持続可能な経営基盤の構築

デジタル技術の活用等を通して、ビジネスモデルの変革と業務革新に取り組み、新しい価値を創出するとともに経営体質を強化してまいります。

DXを推進し、非対面・リモート手続きの拡充、デジタルチャネルと対面チャネルを活用したデータの蓄積を進めるとともに、蓄積したデータやデジタル技術を活用し、新サービスの提供や従来サービスの高付加価値化に取り組んでまいります。また、伝統的銀行領域における業務革新を加速させることで経営資源を捻出し、コンサルティングなどの付加価値の高い業務や新しい事業領域に投入していくほか、事業領域の拡大に対応した経営管理体制を整備することで、グループ経営の高度化を図ってまいります。

③ 人材の育成・活躍促進

価値創造できる人材の育成・確保や働きがいの充実を通じて、多様性と自立性を備える集団を形成し、地域・お客さまに、新しい価値と安心を提供していくことで、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高めてまいります。

価値を創造する人材の育成・確保に向け、総合金融サービス領域の深化や事業領域の拡大に向けた人材の育成に取り組むほか、デジタル化の進展を踏まえたリスキリング機会の拡充などに取り組んでまいります。また、多様な人材の活躍機会の拡大や持続的な成長を支える組織風土の醸成に向け、ダイバーシティの実践や働きがいの充実に取り組んでまいります。

 

こうした取り組みを通じて、質の高い総合金融サービスの提供を実践するとともに、当社グループの企業価値の向上を図り、地域とともに持続的な成長を目指してまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、第3次グループ中期経営計画の中で以下の経営指標を目標として利用し、各種施策に取り組んでおります。

目標とする経営指標

算出方法

当該経営指標を利用する理由

連結純利益

親会社株主に帰属する当期純利益

事業の成長性を追求するため

コアOHR(子銀行合算)

経費÷(業務粗利益-国債等債券損益)

(注)経費、業務粗利益、国債等債券損益はいずれも子銀行合算

業務粗利益からは、投信解約損益、日本銀行からの地域金融強化のための特別付利及び新型コロナ対応オペによる付利を除く。

経営の効率性を追求するため

連結ROE

親会社株主に帰属する当期純利益÷((期首株主資本合計+期末株主資本合計)÷2)

経営の効率性を追求するため

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題として認識し、地域の課題解決と持続的な成長とともに、当社グループの持続的成長と企業価値向上の好循環を図ることを目的として「グループサステナビリティ方針」を制定するとともに、社会・経済動向の変化と環境認識を踏まえ、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、「ⅰ.地域経済・地域社会の活性化」、「ⅱ.気候変動対応・環境保全」、「ⅲ.デジタル化の推進」、「ⅳ.高齢化への対応」、「ⅴ.ダイバーシティの推進」を特に重点的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として設定し、地域の課題解決に向けて取り組んでいます。

加えて、環境、人権及びダイバーシティに関する取り組みを明確化すべく、「グループ環境方針」、「グループ人権方針」、「グループダイバーシティ方針」、「環境・社会に配慮した投融資方針」、「調達・購買ガイドライン」を制定し、各方針に基づき業務運営を行っています。

<グループサステナビリティ方針>

株式会社めぶきフィナンシャルグループ及び当社グループ内会社は、グループ経営理念「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」に基づき、地域の課題解決をはかることを通して、持続可能な地域社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

①ガバナンス

当社グループは、サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題として認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会等による監督を行っています。

≪取締役会による監督体制≫

取締役会は、サステナビリティにかかる議案(方針策定、目標設定や取り組みの進捗状況等)について監督する役割を担っており、サステナビリティ委員会を開催する都度、審議内容を取締役会へ付議・報告することで、取締役会が当社グループの取り組みについて監督する態勢を構築しています。

≪サステナビリティにかかる経営者の役割≫

サステナビリティにかかる事項は、取締役社長が統括します。また、取締役社長はサステナビリティ委員会の委員長としてサステナビリティを巡る課題・対応が事業に与える影響について評価し、対応策の立案及び目標の設定を行い、達成状況の管理を統括します。

≪サステナビリティ委員会≫

当社グループは、サステナビリティに関する取り組みの策定・進捗を一元的に管理するとともに、サステナビリティへの取り組みを促進するため、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、半年に1回以上開催しております。

サステナビリティ委員会は、取締役社長を委員長とし、業務執行取締役全員及び執行役員全員ならびに経営企画部統括部長、経営管理部統括部長、地域創生部統括部長をもって構成し、必要に応じ子会社の社長や子銀行の担当部署の部長等を参集し、気候変動や生物多様性などの環境問題や人的資本をはじめとしたサステナビリティに関する施策・方針、取り組み状況などについて審議・報告を行っています。

≪サステナビリティにかかる所管部署≫

当社グループは、サステナビリティに関する専門組織(当社に「サステナビリティ統括グループ」、子銀行の常陽銀行及び足利銀行に「サステナビリティ推進室」)を設置し、サステナビリティにかかる統括・推進を行っています。

当社サステナビリティ統括グループは、サステナビリティ委員会の事務局を担当するとともに、サステナビリティ戦略にかかる企画・立案及び管理を行い、全社的なサステナビリティにかかる事項をサステナビリティ委員会に提言します。

≪グループ内の連携・統制≫

中核事業会社である常陽銀行及び足利銀行のほかグループ内会社においては、それぞれの機能に応じた会議体により、当社のサステナビリティ委員会及びサステナビリティ統括グループと連携をとることによりグループ会社全体の統制を図っています。

≪サステナビリティにかかる監査の状況≫

監査等委員会は「グループサステナビリティ方針に基づく諸施策の取組み状況」を2023年度の監査計画の重点監査項目に掲げ監査活動を行いました。サステナビリティ委員会には、常勤の監査等委員が監査の立場から出席しており、当該委員会で議論された内容は、取締役会における業務執行報告の事前に監査等委員会において常勤の監査等委員から非常勤の監査等委員に報告がなされ情報を共有しています。また、非常勤の監査等委員は、監査等委員会における議論に加え、必要に応じて取締役会において意見を述べています。

内部監査を担う監査部は、2023年度のグループ内部監査計画において、「サステナビリティへの取組状況」を重要施策監査の対象とし、サステナビリティの取組みに係る監査を実施、監査結果については取締役会、監査等委員会、代表取締役あてに報告を行いました。

 

 

②戦略

当社グループは、「グループサステナビリティ方針」の制定に際し、社会・経済動向の変化と環境認識を踏まえ、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、特に重点的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として次の5項目を設定し、それぞれリスクと機会を整理した上で地域の課題解決に向けて取り組んでいます。

マテリアリティ

リスク

機会

具体的な取り組み

地域経済・地域社会の活性化

・多様化・高度化するお客さまのニーズに対応できないことによる地域経済の低迷

・地域経済の低迷による廃業・倒産増加に伴う業績悪化

・総合金融サービスの深化によるコンサルティング・サービス提供機会の増加

・従来の枠組みを超えた課題解決への挑戦による持続可能な地域社会の実現と当社グループの成長

・資金需要の拡大によるファイナンス・コンサルティング提供機会の増加

《総合金融サービスの深化》

・事業者向けコンサルティングの強化

・地域創生・SDGsへの取組み

《事業領域拡大への挑戦》

・グループの強みを活用した新事業領域の開拓

・戦略的出資・提携等の活用

気候変動対応・環境保全

・自然災害発生や政策変更・規制の強化に伴う取引先企業の業績悪化

・情報開示不足や炭素関連資産保有による評判リスク増加・信用低下

・環境関連ビジネス機会の増加

・ステークホルダーへの積極的な情報開示と対話による企業評価・社会的評価の向上

《総合金融サービスの深化》

・地域のSDGsや脱炭素への取組支援

・地域社会における環境保全活動の推進

《グループ経営の高度化》

・気候変動リスクへの対応

・事業活動を通じた環境保全・環境負荷低減への取り組み

・TCFD・TNFD提言への取り組み

デジタル化の

推進

・デジタル化の遅れに伴う生産性や競争力の低下による取引先企業の業績悪化

・当社グループのデジタル化の遅れに伴う提供サービスの魅力低下による顧客基盤の減少、生産性の相対的低下による競争力低下

・取引先や地域のデジタル化支援に関するビジネス機会の増加

・デジタル技術を活用した利便性向上による顧客の接点強化と体験価値向上、業務革新による生産性向上

《DXの推進》

・取引先や地域へのDX支援

・業務革新の加速

《伝統的銀行サービスの革新》

・デジタル化を活用した顧客接点・非対面サービスの拡充

・チャネル・ネットワークの適正化と相談機能強化

高齢化への対応

・高齢化の進展に伴う取引顧客の減少、金融資産残高の減少

・高齢化の進展に伴う介護離職等による労働力の減少による地域経済の低迷

・人生100年時代に向けた新たな商品・サービス提供機会の増加

・高齢者家族世帯との接点確保、取引機会の増加

《総合金融サービスの深化》

・高齢化社会への対応強化

・ライフプランコンサルティングの深化

・ジェロントロジーサービスの提供に向けた体制強化

・高齢者と家族の困りごとへのワンストップサポート体制の構築

ダイバーシティの推進

・働き方・意識の変容に対応できず、多様な人材が力を発揮しきれないことによる従業員の士気低下や人材流出、人材獲得機会の逸失

・ダイバーシティへの対応強化による人材確保・企業文化の変革

・人的資本経営の推進による企業価値の向上

《人材の育成・活躍促進》

・ダイバーシティ方針に基づく取り組みの実践と環境整備

・シニア人材活躍への取り組み

・女性の活躍機会充実・上位職登用に向けた取り組み強化

・働きがいの充実に向けた取り組み強化

 

(注)第3次グループ中期経営計画の個別戦略の詳細は、当社ホームページ参照(https://www.mebuki-fg.co.jp/company/policy/)

 

③リスク管理

当社グループでは、リスク管理を企業価値向上の重要な取り組みと位置付け、ALM・リスク管理委員会を設置しています。

ALM・リスク管理委員会は、取締役社長を委員長とし、業務執行取締役全員及び執行役員全員ならびに経営企画部統括部長、経営管理部統括部長、経営管理部バーゼル室長をもって構成し、リスク対応方針やリスク対応議題について、意思決定を図る機関です。ALM・リスク管理委員会の中で、各種リスクについてモニタリングをしており、経営に及ぼす影響の大きさを総合的に判断し、対応方針を決定しています。

なお、サステナビリティにかかる事項は、ALM・リスク管理委員会とサステナビリティ委員会が連携して対応を行い、サステナビリティにかかるリスクのモニタリング・再評価及び重要リスクの絞り込みを行ったうえで、グループ戦略に反映しています。

 

④指標及び目標

当社グループでは、サステナビリティの取り組みにおいて次の3つの目標を設定しています。

(ⅰ)サステナブルファイナンス

・目標金額

: 3兆円(うち環境分野2兆円)

・取組期間

: 2021年度~2030年度

・対象投融資

: 関連する外部基準(グリーンローン原則、グリーンボンド原則、及びソーシャルボンド原則など)を参考に、

  「環境・社会課題の解決を通じて持続可能な社会の実現を目指すお客さまの活動を支援するファイナンス」

 

 

(ⅱ)CO2排出量

・2030年度のCO2排出量目標

: ネット・ゼロ

 

・対象

: Scope1、Scope2

・実績の開示

: 毎年、統合報告書等にて前年度の実績の情報開示を行います。

 

 

(ⅲ)係長以上に占める女性比率

・目標

: 35%以上

・目標期限

: 2025年3月末

 

 

 

(2) 気候変動・環境保全への取り組み

経済の発展は生活や教育などの社会条件によって成り立ち、社会は自然環境によって支えられております。持続可能な地域社会の実現ならびに地域社会及び当社グループの持続的な発展は、環境の維持・保全が大前提となることから、当社グループは、気候変動・環境保全への対応を、事業戦略上、重要なファクターの一つであると認識し、特に重点的に取り組んでいます。持続可能な自然環境の実現に向け、「グループ環境方針」、「環境・社会に配慮した投融資方針」、「調達・購買ガイドライン」に基づき、自らの企業活動における環境負荷の低減に努めるとともに、環境保全に寄与するサービスの提供やサプライチェーンへの働きかけなど、事業活動を通じた環境保全への取り組みを強化しています。また、2021年3月にTCFD提言、2024年1月にTNFD提言への賛同を表明しており、今後も積極的な情報開示を進めてまいります。

 

①ガバナンス

ガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般」の「①ガバナンス」を参照してください。

なお、2023年度は、サステナビリティ委員会において「GXリーグへの参画」、「インターナル・カーボンプライシング(ICP)の導入」、「TCFD提言に基づく今後の対応」、「TNFD提言への賛同及びTNFDフォーラムへの参画」などについて、審議・報告を行いました。

また、当社グループは「グループ人権方針」に基づき、地域社会を含むあらゆるステークホルダーの基本的人権を尊重するために、融資先や調達・委託先(サプライチェーン)の企業活動が人権に与える負の影響に関心を持ち、人権尊重の取り組みを進めています。

 

②戦略

≪気候変動(TCFD)関連≫

当社グループでは、事業活動に影響を及ぼすと想定される気候変動のリスクと機会を特定したうえで、財務インパクトの評価を実施しております。また、評価結果を踏まえ、当社グループの事業活動におけるCO2排出量削減やグループ会社による再生可能エネルギー発電事業への参入、お客さまへの資金やコンサルティング提供を通じた積極的な気候変動対策支援など、リスクの軽減ないし機会の獲得に向けた対応を進めています。

 

(ⅰ)機会

[機会認識]

当社グループが認識する気候変動に伴う主な機会は以下のとおりです。

 

詳細

時間軸※

ビジネス機会の増加

・脱炭素化に向けた気候変動関連ビジネス(コンサルティング、商品・サービスの提供等)需要の増加

・再生可能エネルギー関連融資をはじめとするサステナブルファイナンス等の取引拡大

・異常気象災害へ備えるインフラ投資、被害(事業所や住宅の毀損等)を低減させるための設備投資等への資金需要の増加

短期~長期

コスト削減

・省資源、省エネルギー化等による当社グループの事業コストの低下

短期~長期

社会的評価の向上

・気候変動対応強化と積極的な開示による企業価値・社会的評価の向上

中期~長期

 

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

(ⅱ)リスク

[リスク認識]

当社グループが認識する気候変動に伴う主なリスクは以下のとおりです。

 

リスク

詳細

時間軸

物理的リスク

・地球温暖化の進行による台風・洪水等の急性的な自然災害の激甚化や降水量増加等の慢性的な気候変化

・お客さまの業績悪化や担保物件毀損の発生による当社グループの与信関係費用の増加

・当社グループの拠点が被災することにより事業が継続できないリスクや事業継続にかかる対策・復旧によるコスト増加

短期~長期

移行リスク

・CO2排出削減目標の厳格化や炭素税の導入・引き上げなどの法規制強化、産業構造の変化 

・お客さまの業績悪化による当社グループの与信関係費用の増加やそれに伴う投融資方針(セクター別方針)などの事業戦略の見直し等

中期~長期

・気候変動問題への取り組み不足や情報開示不足等によるレピュテーション悪化

・当社グループの資金調達環境の悪化等

短期~長期

 

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

 

 

[シナリオ分析]

当社グループでは、気候変動シナリオを考慮した当社グループのレジリエンス(強靭性)を評価するとともに、お取引先との対話(エンゲージメント)を強化することを目的として「物理的リスク」、「移行リスク」のシナリオ分析を実施しています。なお、今年度から物理的リスクのリスク事象に「洪水による自社拠点の毀損」を追加しました。今回の分析手法により算出した当社グループへの影響額は、いずれも限定的であるとの結果になりました。分析結果はお客さまとのエンゲージメントに活用し、お客さまの気候変動対応、脱炭素化に向けた取り組みを支援し、当社グループとお客さまの機会の最大化及びリスクの最小化に努めるとともに、引き続き分析の高度化に努めてまいります。

(物理的リスク)

リスク事象

洪水による

・不動産担保の毀損

・お客さまの事業停止に伴う財務悪化

・自社所有拠点の毀損

シナリオ

IPCCによるRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)

分析対象

国内に事業拠点を有するお客さま

国内の全所有建物

分析期間

2050年まで

リスク指標

増加が想定される与信関係費用(信用コスト)

浸水被害が発生する拠点数及び毀損額

リスク量

与信関係費用の増加額:最大150億円程度

拠点数:111拠点(全拠点の内16.6%)

毀損額:最大15億円程度

 

(移行リスク)

リスク事象

脱炭素社会への移行に伴うお客さまの財務悪化

シナリオ

・IEAによるNZEシナリオ(1.5℃シナリオ)

・IPCCによるRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)

分析対象

「電力」「石油化学」「自動車」「金属・鉱業」セクター

分析期間

2050年まで

リスク指標

増加が想定される与信関係費用(信用コスト)

リスク量

与信関係費用の増加額:最大187億円程度

 

 

[炭素関連資産の状況]

当社グループの総与信残高※1に占める炭素関連業種※2の与信残高及び貸出金における割合は以下のとおりです。

 

エネルギー

運輸

素材・建物

農業・食料・
林産物

与信額

1,826億円

4,702億円

31,228億円

2,874億円

40,629億円

割合

1.5%

3.7%

24.9%

2.3%

32.4%

 

※1 貸出金、支払承諾、外国為替、私募債、コミットメントライン空枠等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く。

※2 TCFD提言における対象業種はGICS(世界産業分類)における業種分類を推奨していますが、当社では日銀業種分類に当てはめて集計しているため、差異が生じる場合があります。

≪自然資本(TNFD)関連≫

当社グループは、TNFD提言v1.0を参考に、当社グループの事業活動における自然への依存と影響、リスクと機会の分析を行いました。ただし、現時点では分析に着手した段階であり、更に精度を高めていく必要があると認識しております。今後も、調査・研究を重ね、分析の高度化に努めてまいります。

 

(ⅰ)依存と影響

当社グループでは、当社グループの事業活動による直接的な自然への依存と影響だけでなく、投融資活動を通じた間接的な自然への依存と影響を把握する必要があると考えています。そこで、ENCOREのデータを活用し、当社グループにおける投融資額の上位セクターについて、セクターごとの自然への依存と影響を分析・整理しました。

分析・整理の結果、自然への依存では、供給サービスの「地表水」「地下水」、調整サービスの植生による「気候調整(気温・湿度・風速などの調整)」「洪水・暴風被害抑制」、「土壌安定・浸食抑制(沿岸や砂丘等の安定化や浸食防止、雪崩や地滑りなどの防止)」に依存しているセクターが多いことが分かりました。また、自然への影響では、GHG(温室効果ガス)の排出による気候変動への影響が最も大きく、そのほか、水質・土壌の汚染に影響を与えるセクターが多いことが分かりました。

分析結果を踏まえ、当社グループでは、引き続き、お客さまの脱炭素化支援や、植樹活動などの自然保護活動に積極的に取り組むとともに、分析対象の拡大・分析内容の高度化に努めてまいります。

 

(ⅱ)機会

[機会認識]

TNFD提言の分類に沿った、当社グループが現時点で認識している機会は以下のとおりです。

TNFDの自然機会の分類

事象例

当社グループの事業活動における機会

時間軸

企業業績に関する機会

製品・

サービス

・自然へのポジティブな影響又はネガティブな影響の緩和効果を持つ製品・サービスの開発・拡大

・生物多様性の保全と持続可能な利用を促進する新技術の開発・普及

・競争優位性の確立

・自然関連のリスク・機会の分析や事業戦略策定を支援するコンサルティング機会の増加

・新たな投融資機会の増加

短期~中期

市場

・新規市場・新興市場の広がり

・消費者の行動変化(持続可能性に配慮した製品・サービスに対する需要の増加)

・自然関連ビジネス、商品・サービスの開発

中期~長期

資源の
効率性

・環境負荷の低い原材料への変更等の生産プロセスの転換

・自然に配慮した原材料の認証制度の広まり

・再生素材の活用とリサイクルの広まり

・水使用量と消費量の削減

・多様な原材料の活用(未利用資源の活用)

・汚染防止や廃棄の削減

・コンサルティング機会、ビジネスマッチング機会の増加

・新たな投融資機会の増加

中期~長期

資金フローと資金調達

・自然関連のグリーン金融の広まり

・公的インセンティブの活用による環境保護

・新たな投融資機会の増加

短期~中期

評判

・ステークホルダーの理解促進・関係強化、協働の広まり

・ブランドイメージの向上、他社との差別化

・自然関連リスクへの対応やソリューション開発による評判向上

・ネイチャーポジティブへの貢献による評価の高まり・企業価値の向上

中期~長期

持続可能性のパフォーマンスに関する機会

天然資源の
持続可能な使用

(資源の効率性と同じ)

(資源の効率性と同じ)

中期~長期

生態系の
保護、修復、
再生

・自然の保全・再生活動

・地域におけるグリーンインフラの実装

・希少生物の保護

・コンサルティングニーズや投融資機会の増加

中期~長期

 

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

(ⅲ)リスク

[リスク認識]

TNFD提言の分類に沿った、当社グループが現時点で認識しているリスクは以下のとおりです。

 

 

事象例

社会や経済への影響例

当社グループの事業活動におけるリスク

時間軸

当社グループの主な対応策

(リスク軽減策)

物理的リスク

急性

・自然災害の増加

・少雨や干ばつ等の気象の変化

・病虫害の発生

・自然災害被害の増大に伴う事業停止・管理コスト増加

・農林水産物の収穫量の低下

・感染症の発生

・取引先の業績悪化による信用コストの増加

・投融資先による自然資本毀損が発生した場合のレピュテーション悪化

短期

・取引先への情報提供・啓発、コンサルティング

・提携先の拡充等によるソリューションメニューの充実

慢性

・土地及び海洋利用の変化

・湿地や森林の荒廃

・生態系の変化

・汚染

・農林水産資源の枯渇化

・水等資源供給の減少

・伝染病媒介生物の生息地の変化

・侵略的外来種の増加

・生産プロセス及びバリューチェーンの毀損

・渇水による操業停止

・事業のリロケーション及び調整

・原材料等の調達コスト増加

・受粉や水資源涵養等の生態系サービスの低下

中期~

長期

 

 

 

 

 

 

事象例

社会や経済への影響例

当社グループの事業活動におけるリスク

時間軸

当社グループの主な対応策

(リスク軽減策)

移行

リスク

政策/

規制

・規制・基準の導入・強化

・生産量規制の変化

・訴訟の増加

・規制・基準への対応コストの発生・増加

・調達量の減少、価格上昇によるコストの増加

・訴訟対応コストの増加

・取引先の業績悪化による信用コストの増加

・変化に対応できないことによる収益機会の逸失

・競争力の低下

中期

・継続的な情報収集と動向把握に基づく対応策の策定

・取引先への情報提供・啓発、コンサルティング

・提携先の拡充等によるソリューションメニューの充実

市場/業界

・消費者行動の変化

・商品・サービスに対する需要と供給の変化

・サプライチェーンからの要請拡大(トレーサビリティ、認証など)

・売上機会・顧客の喪失

・対応コストの増加(例:認証取得費用)

・自然資本・生物多様性に配慮した調達に伴うコストの増加

・業界勢力図の変化

短期~中期

技術

・自然資本・生物多様性に配慮した技術の開発・普及

・産業構造・事業競争力の変化

・技術開発・導入コストの増加

中期~長期

評判

・自然資本の毀損への関与や対応の遅れ・不十分な場合の批判や評価の低下

・ブランド価値の毀損、抗議行動、不買運動

・投資家・金融機関からの評価の低下に伴う資金調達の困難化

・従業員エンゲージメントの低下

・レピュテーションの悪化

・顧客離れや企業イメージ・ESG評価の低下

中期~

長期

・適切な情報発信とステークホルダーとの対話の実施

訴訟/

賠償

責任

・法規制、判例法の発展による賠償責任の発生

・既存法規制の強化や新たな法規制の導入に伴う賠償責任・行政処分

・生態系影響に対する反対運動による賠償責任

・自然資本・生物多様性への認識が高まり、企業活動における対応が広範となり、スキルを有する人材確保が課題となる。

・自然資本・生物多様性の知見を有する人材の確保

・投融資先による自然資本毀損が発生した場合のレピュテーション悪化

短期~中期

・継続的な情報収集と動向把握に基づく対応策の策定

システ
ミック
リスク

生態系

安定性

リスク

・自然の喪失により、自然が重要な生態系サービスを提供できなくなることによる、連鎖的な自然破壊

・人獣共通感染症の発生(例:COVID-
19)

・複数の業種で同時に大きな財務的な損失が発生(例:乱獲による漁業の崩壊、原材料の調達困難化等)

・パンデミックが発生し、社会・経済活動が停滞する

・取引先の業績悪化による信用コストの増加

・営業活動が停滞することによる収益機会の逸失

短期~

長期

・シナリオ分析の高度化

・コンティンジェンシープランの定期的な見直し

金融

安定性

リスク

・複数の政策、法律、技術的対応、社会的対応が同時に発生

・多くのセクターや個人の生活に多大な財務的・社会的影響が発生

 

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

 

 

③リスク管理

≪気候変動(TCFD)・自然資本(TNFD)共通≫

当社グループは、環境・社会に負の影響を与える可能性のあるセクターへの投融資に関しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」を定め、環境・社会に対する負の影響の低減・回避に向け努めているほか、投融資方針に則り、適切に運営されているかについて定期的にモニタリングを行っています。

 

≪気候変動(TCFD)関連≫

気候変動リスクは、信用リスクやオペレーショナル・リスクのほか、広範かつ複雑な経路や様々な時間軸を通して波及し、当社グループの事業運営・戦略・財務計画に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しています。

当社グループは、グループの事業が気候変動によって受ける影響を把握し、評価するため、気候変動により想定されるリスクの波及範囲を考察し、シナリオ分析を行い、現時点で想定される気候変動のリスクと機会を特定しています。

 

物理的リスク

移行リスク

信用リスク

自然災害激甚化の影響で、お客さまの資産が被災することによる担保価値の毀損、お客さまの事業停滞・業績悪化に伴う信用リスクの増加

脱炭素社会への移行に向けた、政策・規制、マーケット、技術開発等の変化への対応不足等による、お客さまの業績悪化に伴う信用リスクの増加

市場リスク

自然災害激甚化の影響による有価証券等の価値の下落に伴う市場リスクの増加

脱炭素社会への移行に伴う投資先の業績悪化や、市場における投資家の行動の変化による有価証券等の価値の下落に伴う市場リスクの増加

流動性リスク

自然災害激甚化により被災した顧客の資金繰り悪化による預金引出など資金流出の増加に伴う流動性リスクの増加

気候変動リスクへの対応不足などによる当社グループの格付低下を受けた市場調達コストの上昇、預金流出に伴う流動性リスクの増加

オペレーショナルリスク

当社グループの拠点被災による有形資産リスクの増加、事業中断や防災コストの増加

脱炭素社会への移行への対応不足(開示の不足や炭素関連資産の保有)によるレピュテーショナルリスク(風評リスク)の増加

 

≪自然資本(TNFD)関連≫

当社グループの事業活動における自然資本関連のリスクについて、現時点で整理した内容を、上記②戦略≪自然資本(TNFD)関連≫の(ⅲ)リスクに記載しております。

今後は、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスク等のリスクカテゴリーに与える影響や時間軸についてさらに分析を深めるとともに、シナリオ分析の高度化をはかることで、リスクとインパクトの関係についての整理を行い、管理態勢の構築に努めてまいります。

 

④指標及び目標

(ⅰ)サステナブルファイナンス

当社グループは、お客さまへの金融サービスの提供を通じて、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、サステナビリティ長期KPIとして、サステナブルファイナンスの実行額目標を設定しております。目標及び実績は以下のとおりです。

KPI

実績(2021年度~2023年度累計)

サステナブルファイナンス

(2021~2030年度累計)

3兆円

1兆1,574億円

(うち、環境)2兆円

7,569億円

 

 

(ⅱ)CO2排出量

当社グループは、事業活動を通じて自ら排出するCO2を削減するとともに、脱炭素社会の実現や地域社会の持続的発展への貢献を加速するため、サステナビリティ長期KPIとして、CO2排出量(Scope1、2)に関する目標を設定しております。目標及び実績は以下のとおりです。

KPI

2023年度排出量

2013年度比削減率

CO2排出量削減

 (Scope1、2)

2030年度ネット・ゼロ

10,294 t-CO2

▲54.1%

 

 

なお、Scope3の2023年度排出量は以下のとおりです。

[カテゴリー別排出量]                                  (単位:t-CO2)

カテゴリー

2023年度排出量

①購入した商品・サービス

8,147

②資本財

13,833

③Scope1~2に含まれない燃料及びエネルギー活動

2,106

④輸送、配送(上流)

542

⑤事業から出る廃棄物

26

⑥出張

1,089

⑦雇用者の通勤

3,264

⑮投融資

19,337,643

合計

19,366,652

 

※カテゴリー⑧~⑭は算定による排出量がゼロ

[カテゴリー15(投融資)詳細]                           (単位:t-CO2)

業種

2023年度排出量

農業

1,529,772

製紙・林業

664,658

飲料・食品

18,613

金属・鉱業

1,928,204

化学

887,127

石油・ガス

328,653

建築資材・資本財

4,680,049

自動車

574,426

電力

1,178,225

不動産管理・開発

262,572

陸運

874,840

海運

75,616

空運

14,641

その他

6,320,243

合計

19,337,643

 

気候変動・環境保全への取組に関する詳細は、当社ホームページ(https://www.mebuki-fg.co.jp/sustainability/)又は統合報告書を参照ください。

 

 

(3)人的資本経営への取り組み

当社グループは、長期ビジョン2030において「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を目指す姿として掲げており、伝統的銀行領域や総合金融サービス領域といったコアビジネスを強化しながら、その強みを活かした事業領域の拡大に挑戦していくとともに、従来の金融サービスの枠組みを超えて地域課題の解決に挑戦し、その取り組みにより得られたノウハウをコアビジネスに還元していくことで、新しい価値を創造していくことを目指しています

その実現に向けては、当社グループの事業の進化及び事業戦略を遂行する「人材」が重要なファクターとなることから、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高め、価値創造できる人材の育成・確保や働きがいの充実を通じて、多様性と自律性を備える集団を形成し、地域・お客さまに、新しい価値と安心を提供していくことが必要であると認識し取り組んでいます

 

①ガバナンス

ガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般」の「①ガバナンス」を参照してください。

なお、2023年度は、サステナビリティ委員会において「人材育成方針」、「社内環境整備方針」、「リスク管理」、「指標及び目標」について審議したほか、「他社動向等を踏まえた当社の今後の取り組み」などについて審議・報告しました

 

②戦略

≪人的資本経営の取り組み≫

経営理念である「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」を体現し、企業価値向上を図っていくための最大の経営資源は「人材」であるとの考え方のもと、人材育成、社内環境整備に取り組んでいます。

 

≪人材育成方針・社内環境整備方針策定にあたっての前提(考え方)≫

当社グループでは目指す姿に「地域とともにあゆむ価値創造グループ」(2022年4月策定 長期ビジョン2030)を掲げ、この実現に向けて以下の取り組みを確実に遂行していく方針です。このため、当社グループでは、地域への深い思いや理解に加え、金融の知識にとどまらず多様な角度から地域・お客さまの課題を発掘し、解決に向けて行動できる人材の育成、増強に取り組む必要があると考えています。

(長期ビジョンにおける主な取り組み)

(ⅰ)伝統的銀行領域や総合金融サービス領域といったコアビジネスを強化しながら、その強みを活かした事業領域の拡大に挑戦していく。

(ⅱ)従来の金融サービスの枠組みを超えて地域課題の解決に挑戦し、その取り組みにより得られたノウハウをコアビジネスに還元していくことで、新しい価値を創造していく。

(長期ビジョンの実現に向けた人的資本)

次のようなスキルを有する人材の育成、増強ならびにこれらのスキルを有する多種多様な人材が、持てる力を最大限発揮し、活躍できる社内環境を整備することで人的資本の充実を図り、長期ビジョンの実現に繋げていきます。

<目指す姿に向けた人的スキル例>

・お客さまのニーズ・課題を引き出すコミュニケーション能力

・お客さまのニーズ・課題の解決に向けた分析力やデジタル・デザイン思考などの構想力

・各種コンサルティングを提供していく上でのコーディネート力や専門的なスキル

・変革に向けた創造力、企画力

・新たなことへチャレンジする意欲、リーダーシップ              

×

スキルを発揮し活躍

できる機会の提供

(成長機会、多様な人材の

活躍機会、経験の活用・

発揮、心身の健康等)

 

 

 

≪人材育成方針≫

お客さまの期待と信頼に応えるための課題解決力の向上に向け、専門的なスキルを有する人材やお客さまの多様化するニーズにお応えし、新たな価値を創造する人材の確保・育成に取り組んでいきます。また、リスキリング機会の充実を図り、将来にわたり事業環境の変化に適応し続けられる人材を増強していきます。

 

≪社内環境整備方針≫

多様な知見、能力を持った人材一人ひとりが持てる力を最大限発揮することができるよう、次の方針に基づき社内環境を整備します。

■自律的な成長を後押しする組織風土

従業員の自律的な成長やチャレンジを促進するため、「成果と貢献が適切に評価され成長を実感できる」、「従業員が自律的にキャリアを切り拓くことにより新たな価値を創造し続ける」組織風土を醸成します。また、意欲・能力のある従業員が、より高いフィールドで活躍し、輝くことができる環境を整備していきます。

■ダイバーシティ&インクルージョン

一人ひとりが活躍し、持続的に成長できる企業グループであり続けるため、年齢・性別等にかかわらず、従業員それぞれの多様な考え方や経験を活かし、多様性と自律性を備える集団を形成することで、組織力の向上を図っていきます。また、ライフスタイルや就業意識の変化を踏まえつつ、多様な人材が当社グループで長く活躍できるよう、働きやすい職場環境・諸制度の整備を進めていきます。

■健康経営

地域社会・地域経済の発展に貢献していくためには、従業員が心身ともに健康であることが必要不可欠であるとの認識のもと、従業員一人ひとりが健康でいきいきと働くことができ、力を最大限発揮できるよう、健康の保持・増進を支援していきます。

 

 

(長期ビジョンと人的資本)

 


 

 

≪足元の取り組み状況≫

1.人材育成にかかる取り組み状況

社内外研修機会の充実、トレーニー派遣・外部からの出向受け入れなどにより、高いスキルと課題解決力を有する人材の育成を進めるとともに、キャリア採用等により即戦力となる外部人材の確保を進めています。また、デジタル化やDXの進展に伴うリスキリング施策の展開や、グループ内子銀行における研修共通化を進めています。

成果の一例として、グループサステナビリティ方針にかかる重要課題(マテリアリティ)の一つとして設定した「デジタル化の推進」に関しては、地域・取引先のDX支援と当社グループのDX推進の土台となる「DXベース人材」(ITパスポート取得者)の早期育成・確保を目的に2024年3月末に3,000名体制とする目標を掲げて資格取得奨励・育成に注力した結果、2022年12月末に、1年以上前倒しで3,000名を突破し、2024年3月末時点では3,924名となっています

 

2.社内環境整備にかかる取り組み状況

(1)自律的な成長を後押しする企業風土

従業員に対して分野・部門毎に必要とするスキルを明示し、習得したスキルを評価・認定するなどの施策を展開しているほか、従業員が自ら手を挙げて、行内外トレーニーや研修に参画する仕組みの導入や特定部署への公募による配属、各種休日講座・ワークショップの開催、E-ラーニングの拡充など、自律的なキャリア形成を支援し、チャレンジを促進する環境の整備を行っています。

上記のほか、ワークライフバランス充実に向けた諸制度の整備により、従業員が働きがいの充実を感じることができる組織風土の醸成を図っています。

(2)ダイバーシティ&インクルージョン

当社グループ全体の女性活躍推進をリードし、若手女性従業員のロールモデルになりうる女性リーダーを育成するための「めぶき女性塾」開催をはじめ、女性の活躍機会拡充・上位職登用に向けた取り組みを強化しているほか、休暇・休職制度や時短勤務など、ライフイベントに応じた働き方や仕事と家庭との両立が図れるよう、諸制度の整備や社内全体の理解を深める取り組みを展開しています。

また、多様化する個々人のライフスタイルや価値観にも最大限配慮しつつ全従業員に早期の自己成長を促し、公平なキャリアアップ機会を提供するとともに、意欲・能力に優れた従業員は、年齢・性別・国籍等にかかわらず登用できる人事制度を両子銀行において採用しています。担当業務の難易度・貢献度に応じた納得性・公平性の高い処遇体系の実現により、全従業員が持てる能力を最大限発揮できる体制を整備しています。

また、今後増加していくシニア人材のスキル・経験を活かせる活躍機会の拡充にも取り組んでいます。

(3)健康経営

健康経営宣言に基づき、からだの健康の保持・増進の観点から、疾病の早期発見と重症化及び生活習慣病の予防に向け、人間ドックや定期健康診断の実施などに取り組んでいます。

併せて、全従業員を対象としたストレスチェックの実施や相談窓口の設置など、心の健康づくりを推進しているほか、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みなど、従業員の心身の健康促進に取り組んでいます。

また、従業員の資産形成面での「豊かな暮らしの実現」は、心身の健康に影響を与えるとともに、従業員と当社グループがともに成長していくために必要不可欠であると考え、従業員向け資産形成支援として、持株会、確定拠出年金をはじめとした福利厚生制度の拡充に取り組んでいます。

 

 

③リスク管理

人的資本に関するリスクについては、対応次第でリスクにも機会にもなりうると認識し、対応しています。人的資本のリスクと機会について、以下の通り認識し、対応を行うとともに、人的資本への投資を強化する必要があると認識しています

 

■環境認識等を踏まえたリスク・機会と対応の方向性

社会・経済動向の変化と

環境認識

リスク

機会

対応の方向性

≪外部環境の急速な変化とライフスタイル・価値観の多様化≫

環境変化のスピードが増しており、今後も目まぐるしい変化が予想されます。また、シェアリングエコノミー、コト消費の拡大や、脱炭素化・SDGsなど個人レベルでの社会課題への意識が高まりつつあります。

取り巻く環境の不確実性が高まる中、ステークホルダーの期待は、持続可能な地域社会の実現に向け当社グループがいかに貢献するかであり、価値を創造する人材の育成・確保と従業員の輝きを通じて、当社グループのビジネスを変容させていく必要があると認識しています。

人材の確保や育成が不足することで外部環境変化への対応の遅れ、多様化する顧客ニーズに応えられないことによる

・グループ全体の成長の停滞

・業界内競争力の低下

・他業態との競争激化

・お客さまの離反(業績悪化)

・従業員のモチベーション低下・離職(経営基盤の崩壊)

外部環境の変化に対応し、顧客ニーズに応えることの出来る人材の充実による

・グループの成長

・事業領域の拡大

・収益基盤の強化

・お客さまの満足度の向上

・従業員のスキル向上と人材の多様化(組織の活性化)

≪人材確保≫

・「新卒・第2新卒の採用」及び即戦力となる人材確保に向けた「キャリア採用」を通年で実施しています。

・スキルの高い多様な人材を確保すべく、子銀行において、リファラル採用や一旦退職し外部で経験を積んだ人材のカムバック採用等、これまでの慣例や運用にとらわれることなく、価値を創造する人材の確保を行っています。

・副業人材の受け入れなど人材確保手段も多様化しており、事業戦略の進展に応じ、戦略遂行に必要な人材を確保していきます。

≪人材育成≫

・多様化する顧客ニーズに対応できる人材を育成すべく、社内認定制度やグループ内外トレーニー派遣を通じ、従業員のスキル向上に努めています。また、外部企業からの出向者を受け入れ、新たな知見・ノウハウの獲得を行っています。

・自律的なキャリア支援やチャレンジを促進すべく、公募によるトレーニー派遣を増加させています。また、副業制度の導入に伴い、本業では得られない経験やネットワークの構築を通じ、自律的なスキルアップにつなげていくことも今後期待されます。

≪ダイバーシティ・働き方の変容≫

女性活躍推進にとどまらない、多様な人材の活躍促進が社会的にも注目されています。副業やキャリア採用など、人材の流動化や異なる企業文化を持つ人材を活用した企業変革も活発化しています。

コロナ禍を経て、在宅勤務やテレワーク等、職場へ通わなくても勤務できる働き方が一気に普及し一般化しており、このような働き方は継続・定着していくものと思われます。

多様な人材が力を発揮しきれないこと、働き方・意識の変容に対応できないことによる

・競争力の低下

・優秀人材の流出・離職者増加

・人材獲得競争での劣後

・従業員の士気及びパフォーマンスの低下

 

 

 

ダイバーシティへの対応強化、ジェンダー格差の無い職場実現、働き方の見直しによる

・企業文化の変革とグループの成長

・イノベーション創出

・コンサルティングの幅の広がり、質の向上

・優秀な人材確保、定着化

・パフォーマンスの向上

・ワークライフバランスの充実と従業員のモチベーション/エンゲージメント向上

・女性活躍推進諸施策の展開により、女性の更なる活躍機会拡充に取り組んでいます。係長以上に占める女性比率をKPIとして設定し管理しています。

・キャリア採用への取り組み強化に加え、スキルアップや自己成長、地域社会への多面的な貢献を目的に当社グループ全社において副業制度を導入しています。

・フレックスタイム制勤務・テレワークの導入など、働き方の柔軟性を高めるべく諸制度の整備を行っています。

・従業員の活力や生産性の向上等、組織の活性化に向け、従業員が心身ともに健康的に働ける環境整備や健康投資などの「健康経営」を継続していきます。

≪少子・高齢化の進展≫

人口の地域的な偏在の加速化等が進むことにより地域の活力低下が懸念されるなか、子育て・高齢期を迎えた従業員が安心して働くことができ、従業員本人とその家族が、より豊かな暮らしができるよう環境を整備する必要があると認識しています。

労働人口減少に伴う

・事業継続のための必要人員確保の困難化

・人材不足に対する採用コストの上昇

親の介護等に伴う

・休職・離職者数の増加

多様な担い手、働き方の確保による

・スキルの伝承

・シニア層のノウハウ活用

・ワークライフバランスの充実

・人事ノウハウの地域への提供

・様々な機会を通じた若手人材・女性の育成やシニア層の活用により、人材の活躍推進に取り組んでいます。特に、当社グループにおいては今後、60歳以上の人員が増加する見通しであり、シニア層が持つ知見、経験の活用といった組織貢献が一層重要となります。定年延長や処遇見直し等を含め、シニア層の従業員がモチベーションを高く持ち活躍できる態勢整備を進めていきます。

・育児・介護休業や有給休暇の取得促進など両立支援制度の充実、ライフステージに応じた柔軟な働き方を可能とする環境整備に取り組んでいます。

 

 

 

 

社会・経済動向の変化と

環境認識

リスク

機会

対応の方向性

≪DX・デジタル化の進展≫

デジタル化の波は、コロナ禍を経て一段と拡大、加速しています。当社グループにおいてもビジネスや業務のあり方を抜本的に見直すなどのDXの推進は必要不可欠であり、今後も加速が予想されるデジタル化への対応スピード・方法は、当社グループ全体の成長を左右するリスクであると認識しています。

専門性の高い人材が不足し、DX・デジタル化への対応が遅れることによる

・グループ全体の成長の停滞

・競争力の低下

専門性の高い人材を充実させ、DX・デジタル化を進展させることによる

・お客さまのCXの向上

・事業領域の拡大

・労働生産性の向上とコスト削減

 

・当社グループの強みを活かして付加価値を創出するために、デジタルの活用を進め、お客さまの体験価値の最大化、非対面チャネルの拡充・利便性向上と、その実現に向けたDXを推進する人材育成に取り組んでいます。

・デジタル化の進行により、従来以上に人との繋がりに対する価値が高まると考えられ、人材力を高め、対面での相談・コンサルティングとデジタルの両輪でコミュニケーションの高度化と安心、付加価値を提供していきます。

≪コンプライアンスの遵守≫

コンプライアンス対応は単に法令等を遵守するだけではなく、その行動が「社会的に受け入れられるか」という視点がより一層重要となり、持続的な企業活動のために取り組む重要性の高いテーマであるとともに、企業の社会的責任(CSR)に対する期待や要求はさらに高まっていくと認識しています。

従業員のモラル低下による

・信頼の失墜とブランドイメージの低下

・法令違反による行政処分

メンタルヘルス、ハラスメント、長時間労働問題の発生による

・従業員離反

・人材確保の困難化

・社会的評価の低下

従業員の倫理感と誠実性を高めることによる

・健全な企業風土の醸成

・お客さまからの信頼向上(地域に信頼され続ける企業グループ)

・当社グループでは、コンプライアンス意識の醸成を図り、コンプライアンスを最優先とした行動を実践するため、ハラスメントをはじめとした人権問題、汚職や不祥事件の防止を含む研修を各階層別に実施するなど、コンプライアンスの徹底に取り組んでいます。

・企業倫理の浸透、内部通報制度の実効性確保、従業員意識調査・エンゲージメント等による現状把握に努め、個々人及び組織としての倫理観と誠実性を高めていきます。

 

 

 

④指標及び目標

(ⅰ)人材育成方針にかかる指標及び目標

(ア)人材育成

当社グループでは、様々な角度から地域・お客さまの課題を発掘し、解決に向けて行動できるコンサルティング人材の育成・確保を当面注力すべき取り組みと捉えています。

昨今のDX・デジタル化の進展に適応し、当社グループのビジネスモデルの変革やお客さまのDX・デジタル化支援においてベースとなる人材を早急に育成・確保する観点から、第3次グループ中期経営計画において「DX人材・DXベース人材の育成」を目標に掲げ取り組んでいます。

コンサルティング領域は幅が広く、DX関連以外の指標もいくつか考えられますが、当社グループの中核事業は金融業であることを踏まえ、「高度資格保有者(FP1級、中小企業診断士、証券アナリスト保有者ののべ人数)」及び「FP2級保有者」を指標としました。このほか、専門人材の育成・確保にあたっては、専門分野に応じた資格を取得することを推奨して取り組んでいます。

目標

目標達成時期

 

2021年度末

2022年度末

2023年度末

進捗率

人数

従業員比率

人数

従業員比率

人数

従業員比率

DX人材
※1

400

2025年3月末

2行合算

 

551名

9.9%

663

12.1%

165.8%

うち常陽銀行

 

253名

8.2%

307名

10.2%

うち足利銀行

 

298名

11.9%

356名

14.5%

DXベース
人材※2

3,000

2024年3月末

2行合算

1,268名

21.7%

3,538名

63.3%

3,924

71.7%

130.8%

うち常陽銀行

1,057名

32.9%

1,911名

61.9%

2,092名

69.2%

うち足利銀行

211名

8.1%

1,627名

65.2%

1,832名

74.7%

 

※1 デジタルを活用した新たなビジネス創出や業務革新を企画し牽引する本部人材及び取引先企業へのDX支援を実行できる人材で、両子銀行ごとに設定された要件により認定された人材

※2 ITパスポート取得者

 

指標

 

2021年度末

2022年度末

2023年度末

人数

従業員

比率

人数

従業員

比率

人数

従業員

比率

高度資格保有者数
 (FP1級、中小企業診断士、証券アナリストの
資格保有者の延べ人数)

2行合算

470名

8.1%

476名

8.5%

490

9.0%

うち常陽銀行

257名

8.0%

263名

8.5%

274名

9.1%

うち足利銀行

213名

8.1%

213名

8.5%

216名

8.8%

FP2級保有者数

2行合算

3,511名

60.2%

3,638名

65.1%

3,756

68.6%

うち常陽銀行

2,144名

66.7%

2,185名

70.6%

2,226名

73.6%

うち足利銀行

1,367名

52.2%

1,453名

58.2%

1,530名

62.4%

 

 

当社グループでは、従業員の能力・スキル向上に資する人的資本投資を強化しており、現中期経営計画期間(2022~2024年度)の投資累計額は前中期経営計画期間(2019~2021年度)の累計額比約1.5倍の20億円超を見込んでいます。引き続き、従業員の自律的な成長を支援するとともに、新たな価値を創造する人材の育成に積極的に取り組んでまいります。

なお、常陽銀行では、「人的資本理論の実証化研究会※」へ参加し、スキルマップの作成等による従業員スキルの可視化に向けた取り組みを開始しています。今後、経年データの蓄積・分析を行い、人材投資が財務へ与える影響度合いの可視化にも取り組んでまいります。

※  人的資本が企業価値や業績にどの程度寄与しているかを、定量データを用いて検証することを目的とした研究会(2023年12月末時点会員数 33社)

(単位:百万円)

 

2021年度

2022年度

2023年度

行内研修関連費用※1

81

84

115

外部研修・トレーニー関連※2

289

459

499

その他人材開発費※3

75

160

181

合計

445

703

795

 

※1:外部講師費用・教材費

※2:外部研修・トレーニー派遣者の人件費、トレーニー派遣先への支払い

※3:上記以外の研修費(自宅学習システム、コアラーン受講料、資格取得奨励金、販売資格受験費用等)

 

(イ)人材確保

当社グループの人材ポートフォリオを踏まえると年齢構成に偏りがあるため、持続的な成長に向けては、安定的な「新卒・第2新卒の採用」はもちろんのこと、事業領域の拡大、コンサルティング機能の深化や事業戦略の進展に応じて、戦略遂行に必要なスキルを有する人材の確保が重要と認識しています。

その一つとして、高いスキルと専門性を有し、即戦力となる「キャリア採用」を強化していくことから、「キャリア採用人数」を指標として掲げました。

 

2021年度

2022年度

2023年度

人数

キャリア採用割合

人数

キャリア採用割合

人数

キャリア採用割合

2行合算

23名

8.8%

30名

14.4%

68名

24.2%

うち常陽銀行

9名

6.7%

12名

11.7%

12名

9.0%

うち足利銀行

14名

11.2%

18名

17.0%

56名

38.1%

 

※キャリア採用割合:キャリア採用人数÷年間採用人数

 

(ⅱ)社内環境整備方針にかかる指標及び目標

(ア)自律的な成長を後押しする組織風土

当社グループは、従業員一人ひとりが自律的にスキルアップやキャリア形成することで個人及び組織が成長し、組織の活性化と強固な組織の構築につながり、経営戦略が実現できると考えています。

従業員が専門的なスキルを身に付け、さまざまな場面や角度から専門性を活かすことができるよう、当社グループとして支援し続けることが必要不可欠であることから、従業員が自ら手を挙げて内外の知見を吸収し、成長できる機会である「グループ内外トレーニー派遣数」を目標とするとともに、「公募によるトレーニー、ポストチャレンジ制の応募者数及び派遣・配置者数」を指標としました。

また、さまざまな場面や角度において気づき、専門性を活かすためには、幅広い業務において一定程度のスキルが必要との認識から、「複数分野の研修受講者数」を指標としました。

なお、この他にも、各種休日講座・ワークショップの開催、E-ラーニングの拡充など、自律的なキャリア支援・チャレンジを促進する環境の整備を行っています。

目標

目標期間

 

2021年度

2022年度

2023年度

進捗率

人数

従業員比率

人数

従業員比率

人数

従業員比率

グループ内外
トレーニー
派遣数

120

2022年4月

2025年3月末

2行合算

34名

0.6%

60名

1.1%

79

1.4%

115.8%

うち常陽銀行

23名

0.7%

46名

1.5%

54名

1.8%

うち足利銀行

11名

0.4%

14名

0.6%

25名

1.0%

 

 

指標

 

2021年度

2022年度

2023年度

人数

従業員比率

人数

従業員比率

人数

従業員比率

公募によるトレーニー、
ポストチャレンジ制の応募者数※1

2行合算

49名

0.8%

74名

1.3%

101

1.8%

うち常陽銀行

28名

0.9%

52名

1.7%

70名

2.3%

うち足利銀行

21名

0.8%

22名

0.9%

31名

1.3%

公募によるトレーニー、
ポストチャレンジ制による
派遣・配置者数※1

2行合算

10名

0.2%

32名

0.6%

32

0.6%

うち常陽銀行

6名

0.2%

28名

0.9%

25名

0.8%

うち足利銀行

4名

0.2%

4名

0.2%

7名

0.3%

複数分野の研修受講者数※2

2行合算

1,491名

25.6%

1,593名

28.5%

2,361

43.1%

うち常陽銀行

779名

24.2%

519名

16.8%

1,312名

43.4%

うち足利銀行

712名

27.2%

1,074名

43.0%

1,049名

42.8%

 

※1 従業員が自ら手を挙げ、トレーニーや特定のポジションに応募、派遣・配置した従業員数及び比率

※2 さまざまなカテゴリーの研修に参加した従業員数及び比率(パートタイマー及び休日講座を除く)

 

 

従業員一人ひとりが持てる能力を最大限発揮し、やりがい・働きがいを持って活躍できる職場環境の整備や組織力の向上を目的に、両子銀行においてエンゲージメントサーベイを実施しています。

常陽銀行(使用ツール:Wevox)

 

202210月より、エンゲージメント向上取組を開始し、営業店所属の行員を対象に「Wevox※」を用いて2ヵ月ごとにサーベイを実施しています。

定期的なサーベイ実施とその分析結果を踏まえたチームミーティングの開催により、職場ごとの課題の発見やコミュニケーションの活性化など、エンゲージメント向上取組の浸透が図られつつあり、サーベイスコアも当初より向上しています。

働きがいのある職場づくりや自発的に課題解決に取り組む従業員の増加による組織力向上をめざし、取り組みを継続していきます。

 

 

 

※株式会社アトラエが提供する組織力向上プラットフォーム。

 


 ベンチマーク(同規模の金融機関平均)は68ポイントであり、ベンチマーク比良好な状態。

 

 

足利銀行(使用ツール:Qualtrics EmployeeXM)

2023年11月より、従業員のエンゲージメントの状態を可視化のうえ課題を整理し、エンゲージメント向上に向けた諸施策への反映を目的に、全従業員を対象に、「Qualtrics EmployeeXM※1」を用いてサーベイを開始しました(2024年3月末時点の実施回数は1回)。

経営層を含む全従業員に結果を共有し、2024年度より各部店の実態に即したアクションプランの策定・実行などに取り組み、一人ひとりがやりがいを持って活躍できる職場環境づくりを促進しています。

今後も、サーベイで得られた課題等を踏まえ、エンゲージメントの向上に向けた施策等を展開するとともに、従業員の状態を定点観測することで継続的改善に取り組んでいきます。

(参考)初回のエンゲージメントスコア※2:52%(正社員のみ:53%)

※1 クアルトリクス合同会社が提供するEX(従業員体験)データ分析プラットフォーム。

※2 エンゲージメントに関する設問に対する回答の肯定的回答率(1~5の5段階のうち4もしくは5と回答した割合)。

 

 

 

(イ)ダイバーシティ&インクルージョン

当社グループの人材ポートフォリオを踏まえ、外部環境の急速な変化に適応するとともに、価値を創出し、企業理念の体現と企業価値向上を図っていくためには、女性、シニア層、専門性と様々な経験を持つキャリア採用者など、多様な人材を起用し、それぞれの特性や能力を最大限発揮できる環境を継続的に整備していくことが必要不可欠と認識しています。

多様な考え方や経験を活かし、組織のマネジメントや意思決定を担う候補者を増やす方策として、女性の活躍機会拡充・上位職登用に向けた取り組みを強化しているほか、休暇・休職制度や時短勤務など、ライフイベントに応じた働き方や仕事と家庭の両立が図れるよう、制度の整備・拡充、社内全体の理解を深める取り組みを展開しています。将来のマネジメント層の人材プール確保状況を示すものとして、「係長以上に占める女性比率」を目標として掲げたほか、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「代理以上に占める女性比率」、「男女の賃金の差異」、「男性の育児休職取得率」に加え、「女性の育児休職後の復職者数・復職者率」を指標としました。

なお、「係長以上に占める女性比率」については、上記の取り組みの結果、登用が前倒しで進んだことから、2023年度末において1年前倒しで目標を達成しました。今後、より経営層に近いポジションを担える女性の育成・登用を進めるべく、「上級管理職に占める女性比率」を新たに指標とし、取り組みを強化していきます。

多様な人材が働きがいを感じ、多様な考え方や経験を活かすことができる組織を構築することで、新しい価値とイノベーションを創出し、持続的な成長を実現していきます。

 

目標

目標

期間

 

2021年度末

2022年度末

2023年度末

進捗率

女性

人数

女性

比率

女性

人数

女性

比率

女性

人数

女性

比率

係長以上に
占める
女性比率

35以上

2025年3月末

2行合算

1,174名

31.4%

1,238名

33.3%

1,302名

35.2

100.5%

うち常陽銀行

490名

26.5%

550名

29.5%

603名

32.4%

うち足利銀行

684名

36.1%

688名

37.1%

699名

37.9%

 

 

指標

 

2021年度末

2022年度末

2023年度末

女性

人数

女性

比率

女性

人数

女性

比率

女性

人数

女性

比率

代理以上に占める
女性比率

2行合算

428名

16.9%

492名

19.3%

547名

21.6

うち常陽銀行

170名

13.6%

212名

16.5%

240名

18.7%

うち足利銀行

258名

20.1%

280名

22.3%

307名

24.6%

上級管理職※
に占める
女性比率

2行合算

43名

5.3%

45名

5.7%

67名

8.5

うち常陽銀行

21名

5.7%

24名

6.3%

35名

8.9%

うち足利銀行

22名

5.0%

21名

5.1%

32名

8.2%

 

※管理監督者

 

 

指標

 

2021年度

2022年度

2023年度

男性の育児休職取得率
※1、2

2行合算

64.1%

130.4%

105.5

うち常陽銀行

91.1%

130.2%

89.8%

うち足利銀行

39.3%

130.5%

118.3%

 

※1 法令に基づき、当事業年度中に育児休職等を取得した労働者数÷当事業年度中に出産(又は配偶者が出産)した労働者数にて算出していることから、年度跨ぎで育児休職等を取得した場合、100%を上回る場合があります。

※2 男性の育児休職取得率は、「100%維持」に努めてまいります。

 

指標

 

2021年度

2022年度

2023年度

復職者数

復職率

復職者数

復職率

復職者数

復職率

女性の育児休職後の復職者数※3・復職率※4

2行合算

151名

95.5%

132名

95.7%

124名

92.5

うち常陽銀行

91名

94.8%

78名

96.3%

69名

89.6%

うち足利銀行

60名

96.8%

54名

94.7%

55名

96.5%

 

※3 産前産後休業、育児休業(育児休業等)から復職した従業員数

※4 育児休業等から復職した従業員の総数÷育児休業等の後復職する予定だった従業員の総数×100

 

同一コース・同一職位・同一職種の場合、男女の賃金の差異はございません。なお、下表のとおり総体では男女の賃金の差異がありますが、正規雇用労働者については、当社グループの人材ポートフォリオの人員構成・年齢分布及び女性の上位職比率が低いがゆえに差異が生じております。また、パート・有期労働者については、管理職以上の従業員を定年後に再雇用する際の雇用形態である嘱託行員など、相対的に給与水準の高い雇用形態の従業員が男性に多いため、差異が生じております。今後、女性の積極的な登用を通じて男女の賃金の差異を解消していきます。

なお、より実態に即した開示とするため、過去実績含めて算出方法の見直しを行いました。

 

指標

 

2021年度

2022年度

2023年度

男女の賃金の差異
(正規雇用労働者)

2行合算

55.5%

58.2%

60.4

うち常陽銀行

55.1%

58.2%

60.8%

うち足利銀行

55.8%

57.6%

59.5%

男女の賃金の差異
(パート・有期労働者)

2行合算

65.2%

61.5%

62.1

うち常陽銀行

68.6%

68.7%

64.9%

うち足利銀行

61.7%

54.8%

59.5%

 

※算出方法…出向者及び無給休職者を除いて算出

正規雇用労働者:正行員及び正行員に順ずる役割の行員

パート・有期労働者:嘱託行員、シニア行員(定年後再雇用者)、パートタイマー(パート・有期労働者については、

各社における正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数をもとに算出)

 

 

 

■正規雇用労働者の役職別人員構成(男女の賃金の差異の要因)

 


 


 

 

■パート・有期労働者の雇用形態別人員構成(男女の賃金の差異の要因)

 


 


 

 

(ウ)健康経営

当社グループでは、企業が健全であるためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが必要不可欠であると認識しております。保健指導や産業医面談等による従業員の健康保持・増進やメンタルヘルス対応としてカウンセリング窓口を設置するなど、フィジカルヘルス、メンタルヘルスの両面で不調者の早期発見に努めるとともに保健指導などを行っています。

これら健康経営の状況を示すものとして、「平均有給休暇取得日数」、「健康診断受診率」、「特定保健指導対象者率」を指標としました。

なお、常陽銀行と足利銀行は、2024年3月に経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されました。

 

指標

 

2021年度

2022年度

2023年度

平均有給休暇取得日数

2行合算

11.9日

13.0日

13.1

うち常陽銀行

12.4日

13.3日

13.3日

うち足利銀行

11.4日

12.6日

12.8日

健康診断受診率※1

2行合算

99.9%

99.6%

99.9

うち常陽銀行

99.9%

99.5%

99.9%

うち足利銀行

99.8%

99.8%

99.9%

特定保健指導対象者率

2行合算

8.6%

8.7%

7.9

うち常陽銀行

7.7%

8.7%

7.8%

うち足利銀行

9.6%

8.7%

8.1%

 

※1 人間ドックの受診を含む

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載が無い限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当該リスクについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のリスク管理体制のもと、適切に対応しております。

 

(1) 戦略リスク

①ビジネス戦略

当社グループは、2022年4月から2025年3月までを計画期間とする第3次グループ中期経営計画(以下、「中期経営計画」といいます。)のほか、さまざまなビジネス戦略を実施しております。しかしながら、以下のような要因から、中期経営計画において業績目標としている利益等については、想定した結果を得られない可能性があります。

     ・中堅・中小企業を中心とした法人、及び個人向けの貸出が想定通りに拡大しないこと

   ・市場金利の変化や競合激化により、貸出利回りが想定通りに推移しないこと

     ・経済環境の悪化による貸出先の業況悪化等により、与信関係費用が想定通りに推移しないこと

     ・株式市場の低迷や企業業績の悪化等により、株式等関連損益が想定通りに推移しないこと

     ・投資信託や保険等の預り資産商品の販売が想定通りに拡大しないこと

     ・長期金利の変動等により、債券関連損益等が想定通りに推移しないこと

②地域経済の動向に影響を受けるリスク

当社グループは、茨城県、栃木県及びその隣接地域を主な営業地盤としていることから、地域経済が悪化した場合は、業容の拡大が図れないほか、信用リスクが増加するなどして当社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

③競争

金融制度の規制緩和や主要行等の中堅・中小企業向け貸出の強化などにより、一層競争が激化することで、当社グループの競争力が相対的に低下し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

④自己資本比率

・自己資本比率の悪化

当社グループの2024年3月末の自己資本比率は12.71%(連結ベース)です。当社又は子銀行の自己資本比率が国内基準で要求される4%を下回る場合は、金融庁から業務の全部又は一部の停止等の命令を受けることとなります。

・繰延税金資産

当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて繰延税金資産を算出しておりますが、予測・仮定の前提条件が変わることにより、繰延税金資産の全部は一部を回収できない場合には、当社グループの業績及び自己資本比率に悪影響が及ぶ可能性があります。

 ⑤規制変更

将来における法律、規則、会計基準、政策、実務慣行、解釈等の変更により、当社グループの業績遂行等に影響が発生し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

(2) 信用リスク

①不良債権の状況

当社グループの金融再生法ベースの不良債権額(破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権の合計額)は、2024年3月末現在で1,952億円、総与信額に占める割合は、1.52%です。将来の景気、金融政策、地域経済の動向、不動産価格等の変動、当社グループの貸出先の業況の変動等によっては、予想以上に不良債権が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

②貸倒引当金の状況

当社グループは、貸倒による損失の発生状況や貸出先の状況、不動産・有価証券等担保の価値などに基づいて、貸倒引当金を計上しています。貸倒発生の増加、貸出先の業況の悪化、担保価値の下落等により貸倒引当金が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

③貸出先への対応

   ・中小企業等に対する貸出金について

当社グループは、地元の中小企業及び個人向け貸出金の増強に継続して取り組んでおり、小口化によるリスクの分散を図っておりますが、中小企業の業績や担保不動産の価格、個人の家計等の動向により、当社グループの業績及び財務内容に悪影響が及ぶ可能性があります。

   ・特定の業種等への取引集中に係るリスク

当社グループは、小口分散化された貸出ポートフォリオの構築を進めてきておりますが、不動産及び製造業に対する貸出金の占める割合が他の業種に比べて高くなっております。今後これらの業種の経営環境が悪化した場合は、不良債権額及び与信関係費用が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)市場リスク

①保有株式のリスク

当社グループは、市場性のある株式を保有しておりますが、景気・市場の動向、株式発行体の業績悪化等により株式の価格が下落し、減損処理等の損失発生により、当社の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

②投資活動に伴うリスク

当社グループは投資活動において、債券、投資信託等を保有するとともに、デリバティブ取引等を行っております。これらは、適切なリスク管理態勢を構築しておりますが、金利、為替、株価及び債券価格の変動リスク等を負っておりますので、当社グループに不利に変動した場合には、減損処理等の損失発生により当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

また、市場の混乱等により取引が出来ない、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされる、あるいは減損処理等の損失発生の可能性があります。

③為替リスク

当社グループの資産及び負債の一部は外貨建てとなっております。これらの外貨建資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合、は適切にヘッジされていない場合には、為替相場の不利な変動によって、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

(4) 流動性リスク

内外の経済情勢や市場環境が大きく変化した場合に、当社グループの資金繰りに悪影響を及ぼしたり、通常より高い金利での調達を余儀なくされる可能性があります。

格付機関により当社や子銀行の信用格付が引き下げられた場合には、インターバンク市場における当社グループへの与信限度額圧縮や短期借入金等の調達コストの増加を招き、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

(5)オペレーショナルリスク

①システムリスク

プログラムの不備、情報通信機器の故障、外部委託先の役務提供の瑕疵等の内的要因に加えて、災害、コンピューターの不正使用、サイバー攻撃等の外的要因により、当社グループの情報通信システムが停止は誤作動し、業務処理の誤りや遅延、情報の破壊や流出が生じるおそれがあります。この場合、損害賠償やシステムの機能回復等にかかる損失の発生、当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

②事務リスク

当社グループはお客さまとの取引等に伴い膨大な事務処理を行っておりますが、適正な処理が行われなかった場合には、損害賠償責任を負うこと等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

③情報漏洩等

当社グループが管理している顧客情報や経営情報などについて漏洩、紛失、改ざん、不正使用等が発生した場合、損害賠償責任を負うことや社会的信用の低下等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

④内部管理

コンプライアンスが徹底しないことやリスク管理・内部監査態勢が適切に機能しないこと等により、不祥事件等を防げない場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

⑤業務委託リスク

当社グループ業務の委託先において、当社グループが委託した業務に関し、事務事故、システム障害、情報漏洩などの事故が発生した場合、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

⑥金融犯罪等に係るリスク

当社グループでは、キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺等の金融犯罪による被害を防止するため、セキュリティ強化に向けた対策を講じております。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営の重要な課題と位置付け、管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、高度化する金融犯罪等の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合、不測の損失の発生や信用失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦自然災害等のリスク

地震や風水害等の自然災害、犯罪等により、当社グループの有形資産等が毀損することなどで、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、貸出先が被害を受けたり、不動産価格の低下による担保価値の下落の影響を受けることにより、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

⑧感染症の流行

新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等感染症の流行により、地域の経済活動が停滞し、また、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

⑨風評リスク

当社グループに関する謂れなき風評等により当社グループに対する信頼が低下し業務運営に支障をきたした場合、社会的信用の失墜等によって当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

(6) 気候変動リスク

気候変動に伴う異常気象や自然災害等によってもたらされる物理的な被害、気候関連の規制強化や低炭素社会への移行が当社グループ 及び貸出先の事業や財務状況に及ぼす悪影響等を通し、当社グループの業績及び財務状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

(7) その他のリスク

①退職給付に係る資産・負債

当社グループの年金資産の時価下落や、退職給付債務を計算する前提条件の変更などにより、退職給付費用が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

②固定資産の減損会計

固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針を適用し、所有する固定資産に損失が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

③財務報告に係る内部統制に関するリスク

当社は、金融商品取引法に基づき財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を内部統制報告書において開示しております。

当社グループは、自らの事業活動全体が効率的かつ適正に行われ、財務報告の信頼性が確保できるよう適切な内部統制の構築に努めておりますが、予期しない重要な不備が発生した場合や、監査人より財務報告に係る内部統制が十分に機能していないと評価された場合は、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

④持株会社のリスク

当社は銀行持株会社であるため、当社の収入の大部分を傘下の子銀行から受領する配当金に依存しております。一定の状況下で、様々な規制上又は契約上の制限により、その金額が制限される場合があります。また、子銀行が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合には、当社株主に対する配当の支払が不可能となる可能性があります。

⑤外的要因によるリスク

特定地域が抱える政治的、軍事的、社会的な緊張の高まりなどの地政学的リスクの顕在化に伴い、世界経済の停滞等を通じてお取引先の経営環境が悪化した場合は、当社グループの不良債権残高や与信関係費用が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、銀行業務を中心とした総合金融サービスを提供しております。当社グループが営む銀行業務以外の事業については重要性が乏しいことから、セグメント情報の記載を省略しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当社グループの連結業績は、経常収益が前連結会計年度比193億89百万円減少3,100億68百万円となり、経常費用が前連結会計年度比357億99百万円減少2,470億26百万円となりました。

この結果、経常利益は前連結会計年度比164億10百万円増加630億42百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比111億89百万円増加433億66百万円となりました。

また、包括利益は前連結会計年度と比べ1,541億38百万円の増加となりました。

当社グループの連結財政状態につきましては、総資産が、貸出金や有価証券の増加等により、前連結会計年度比3,986億円増加21兆7,861億円となり、純資産はその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度比846億円増加9,893億円となりました。

主要勘定の残高につきましては、預金は、個人、法人、公共預金がともに増加したことにより、前連結会計年度比5,366億円増加17兆6,739億円、貸出金は、公共向け貸出が減少したものの、個人向け、法人向け貸出の増加等により前連結会計年度比2,220億円増加12兆6,582億円、有価証券は、相場動向に応じた適切なポートフォリオ運営に取り組んだ結果、前連結会計年度比4,712億円増加4兆1,335億円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、譲渡性預金の減少や貸出金の増加等により、235億円の支出(前連結会計年度は3兆3,680億円の支出)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得が売却を上回ったことを主因に3,253億円の支出(前連結会計年度は9,224億円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得(総額200億円)及び配当金の支払いによる支出等により319億円の支出(前連結会計年度は166億円の支出)となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ3,808億円減少し、4兆4,214億円となりました。

 

(参考)

(1) 国内・国際業務部門別収支

資金運用収支については、国内業務部門で1,365億14百万円、国際業務部門で43億66百万円、全体では1,408億80百万円となりました。

また、役務取引等収支については、国内業務部門で481億22百万円、国際業務部門で35百万円、全体では453億85百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

138,842

10,071

△0

148,913

当連結会計年度

136,514

4,366

△0

140,880

うち資金運用収益

前連結会計年度

140,647

31,302

△826

171,124

当連結会計年度

138,037

46,053

△655

183,435

うち資金調達費用

前連結会計年度

1,805

21,230

△826

22,210

当連結会計年度

1,522

41,687

△655

42,554

信託報酬

前連結会計年度

27

27

当連結会計年度

31

31

役務取引等収支

前連結会計年度

45,625

69

△3,018

42,676

当連結会計年度

48,122

35

△2,772

45,385

うち役務取引等収益

前連結会計年度

61,324

445

△4,827

56,943

当連結会計年度

65,428

442

△4,595

61,275

うち役務取引等費用

前連結会計年度

15,699

375

△1,808

14,266

当連結会計年度

17,306

407

△1,823

15,890

特定取引収支

前連結会計年度

357

1,533

1,890

当連結会計年度

363

212

576

うち特定取引収益

前連結会計年度

357

1,533

1,890

当連結会計年度

363

212

576

うち特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

その他業務収支

前連結会計年度

△27,836

△47,070

△253

△75,160

当連結会計年度

△27,475

△3,716

△256

△31,448

うちその他業務収益

前連結会計年度

13,723

2,993

△260

16,456

当連結会計年度

5,055

3,474

△259

8,270

うちその他業務費用

前連結会計年度

41,559

50,063

△7

91,616

当連結会計年度

32,530

7,190

△2

39,718

 

(注)1 「国内」「海外」の区分に替えて、「国内業務部門」「国際業務部門」で区分しております。

国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去及び国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借利息を計上しております。

3 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しております。

 

 

(2) 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況

資金運用勘定の平均残高は、国内業務部門で17兆4,062億円、国際業務部門で1兆453億円となり、合計で16兆9,750億円となりました。また、利回りは、国内業務部門が0.79%、国際業務部門で4.40%となり、全体で1.08%となりました。

一方、資金調達勘定の平均残高は、国内業務部門が19兆8,964億円、国際業務部門が9,953億円となり、合計で20兆1,460億円となりました。また、利回りは、国内業務部門が0.00%、国際業務部門が4.18%となり、全体で0.21%となりました。

 

① 国内業務部門
 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

18,179,467

140,647

0.77

当連結会計年度

17,406,227

138,037

0.79

うち貸出金

前連結会計年度

11,943,990

104,350

0.87

当連結会計年度

12,454,772

107,581

0.86

うち有価証券

前連結会計年度

4,072,158

31,143

0.76

当連結会計年度

3,623,464

26,413

0.72

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

1,004

1

0.16

当連結会計年度

59,243

14

0.02

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

1,686,975

4,763

0.28

当連結会計年度

724,749

3,644

0.50

資金調達勘定

前連結会計年度

21,198,659

1,805

0.00

当連結会計年度

19,896,442

1,522

0.00

うち預金

前連結会計年度

16,641,467

394

0.00

当連結会計年度

17,022,719

322

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

407,276

14

0.00

当連結会計年度

443,472

14

0.00

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

933,494

△249

△0.02

当連結会計年度

364,044

△86

△0.02

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

287,142

28

0.00

当連結会計年度

2,310

0

0.02

うち借用金

前連結会計年度

2,920,302

798

0.02

当連結会計年度

2,061,154

628

0.03

 

(注)1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度4,207,823百万円、当連結会計年度3,705,710百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,702百万円、当連結会計年度2,998百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております

 

 

② 国際業務部門
 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

1,121,230

31,302

2.79

当連結会計年度

1,045,347

46,053

4.40

うち貸出金

前連結会計年度

213,257

6,458

3.02

当連結会計年度

210,127

10,548

5.02

うち有価証券

前連結会計年度

840,876

24,348

2.89

当連結会計年度

777,935

34,846

4.47

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

14,475

395

2.73

当連結会計年度

7,780

391

5.03

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

6,573

54

0.83

当連結会計年度

5,615

217

3.87

資金調達勘定

前連結会計年度

1,084,255

21,230

1.95

当連結会計年度

995,308

41,687

4.18

うち預金

前連結会計年度

145,479

2,129

1.46

当連結会計年度

108,866

3,747

3.44

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

85,038

2,133

2.50

当連結会計年度

54,243

3,053

5.62

うち売現先勘定

前連結会計年度

131,451

3,591

2.73

当連結会計年度

156,108

8,677

5.55

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

195,007

3,333

1.70

当連結会計年度

95,342

5,280

5.53

うち借用金

前連結会計年度

63,277

1,592

2.51

当連結会計年度

48,095

2,745

5.70

 

(注)1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 国際業務部門は、当社及び連結子会社の外貨建取引であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度2,889百万円、当連結会計年度1,494百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度1百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております
 

 
③ 合計

 

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り
(%)

小計

相殺消去額

合計

小計

相殺消去額

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

19,300,698

△1,428,265

17,872,432

171,950

△826

171,124

0.95

当連結会計年度

18,451,574

△1,476,559

16,975,015

184,091

△655

183,435

1.08

うち貸出金

前連結会計年度

12,157,247

△163,696

11,993,551

110,808

△789

110,018

0.91

当連結会計年度

12,664,899

△161,807

12,503,092

118,130

△611

117,518

0.93

うち有価証券

前連結会計年度

4,913,034

△730,094

4,182,939

55,491

△0

55,491

1.32

当連結会計年度

4,401,400

△729,645

3,671,754

61,260

61,260

1.66

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

15,479

15,479

397

397

2.56

当連結会計年度

67,024

67,024

406

406

0.60

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

1,693,549

△77,816

1,615,733

4,818

△1

4,817

0.29

当連結会計年度

730,364

△60,393

669,970

3,861

△1

3,860

0.57

資金調達勘定

前連結会計年度

22,282,915

△697,247

21,585,667

23,036

△826

22,210

0.10

当連結会計年度

20,891,751

△745,734

20,146,016

43,210

△655

42,554

0.21

うち預金

前連結会計年度

16,786,947

△33,449

16,753,497

2,524

△0

2,524

0.01

当連結会計年度

17,131,586

△30,060

17,101,526

4,069

△0

4,069

0.02

うち譲渡性預金

前連結会計年度

407,276

△44,366

362,909

14

△0

13

0.00

当連結会計年度

443,472

△30,333

413,139

14

△0

13

0.00

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

1,018,532

1,018,532

1,883

1,883

0.18

当連結会計年度

418,287

418,287

2,966

2,966

0.70

うち売現先勘定

前連結会計年度

131,451

131,451

3,591

3,591

2.73

当連結会計年度

156,108

156,108

8,677

8,677

5.55

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

482,149

482,149

3,361

3,361

0.69

当連結会計年度

97,652

97,652

5,281

5,281

5.40

うち借用金

前連結会計年度

2,983,580

△162,772

2,820,807

2,390

△789

1,601

0.05

当連結会計年度

2,109,249

△160,627

1,948,622

3,374

△611

2,763

0.14

 

(注)1 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去並びに国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息を計上しております。

2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度4,210,713百万円、当連結会計年度3,707,205百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,704百万円、当連結会計年度2,999百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
 

 

 

(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況

役務取引等収益は、国内業務部門が654億28百万円、国際業務部門が4億42百万円となり、合計で612億75百万円となりました。
 一方、役務取引等費用は国内業務部門が173億6百万円、国際業務部門が4億7百万円となり、合計で158億90百万円となりました

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

61,324

445

△4,827

56,943

当連結会計年度

65,428

442

△4,595

61,275

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

16,381

△252

16,129

当連結会計年度

18,338

△206

18,131

うち為替業務

前連結会計年度

8,592

309

△79

8,823

当連結会計年度

9,105

312

△85

9,332

うち信託関連業務

前連結会計年度

当連結会計年度

うち証券関連業務

前連結会計年度

9,203

12

△625

8,590

当連結会計年度

11,858

15

△665

11,207

うち代理業務

前連結会計年度

6,879

△0

6,879

当連結会計年度

5,475

△0

5,475

うち保護預り・
貸金庫業務

前連結会計年度

338

△0

338

当連結会計年度

334

△0

334

うち保証業務

前連結会計年度

5,562

24

△1,327

4,259

当連結会計年度

5,457

14

△1,114

4,356

役務取引等費用

前連結会計年度

15,699

375

△1,808

14,266

当連結会計年度

17,306

407

△1,823

15,890

うち為替業務

前連結会計年度

1,195

32

△38

1,189

当連結会計年度

1,202

28

△39

1,191

 

(注)1 国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。

 

(4) 国内・国際業務部門別特定取引の状況

① 特定取引収益・費用の内訳

特定取引収益は、国内業務部門で商品有価証券収益91百万円、特定金融派生商品収益に2億72百万円、その他の特定取引収益に
△0百万円、国際業務部門で商品有価証券収益に2億12百万円計上いたしました。特定取引費用は、ありません

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

357

1,533

1,890

当連結会計年度

363

212

576

うち商品有価証券
収益

前連結会計年度

47

1,533

1,581

当連結会計年度

91

212

303

うち特定取引
有価証券収益

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融
派生商品収益

前連結会計年度

309

309

当連結会計年度

272

272

うちその他の
特定取引収益

前連結会計年度

当連結会計年度

△0

△0

特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券
費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引
有価証券費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融
派生商品費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の
特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注)1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。

 

 

② 特定取引資産・負債の内訳(末残)

特定取引資産は、国内業務部門で商品有価証券に12億85百万円、特定金融派生商品に30億32百万円、その他の特定取引資産に9億99百万円計上いたしました。

特定取引負債は、国内業務部門で特定金融派生商品に15億53百万円計上いたしました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

3,962

3,962

当連結会計年度

5,316

5,316

うち商品有価証券

前連結会計年度

1,279

1,279

当連結会計年度

1,285

1,285

うち商品有価証券
派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引
有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引
有価証券派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融
派生商品

前連結会計年度

2,682

2,682

当連結会計年度

3,032

3,032

うちその他の
特定取引資産

前連結会計年度

当連結会計年度

999

999

特定取引負債

前連結会計年度

1,122

1,122

当連結会計年度

1,553

1,553

うち売付商品債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券
派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引
売付債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引
有価証券派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融
派生商品

前連結会計年度

1,122

1,122

当連結会計年度

1,553

1,553

うちその他の
特定取引負債

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注)1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。

 

(5) 国内・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

17,066,617

96,561

△25,893

17,137,285

当連結会計年度

17,602,789

102,478

△31,299

17,673,968

うち流動性預金

前連結会計年度

12,931,232

△24,977

12,906,254

当連結会計年度

13,681,759

△30,370

13,651,389

うち定期性預金

前連結会計年度

3,855,290

△360

3,854,930

当連結会計年度

3,712,389

△360

3,712,029

うちその他

前連結会計年度

280,094

96,561

△555

376,101

当連結会計年度

208,639

102,478

△569

310,549

譲渡性預金

前連結会計年度

412,289

△41,000

371,289

当連結会計年度

167,689

△41,000

126,689

総合計

前連結会計年度

17,478,906

96,561

△66,893

17,508,574

当連結会計年度

17,770,478

102,478

△72,299

17,800,657

 

(注)1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2 定期性預金=定期預金+定期積金

3 国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

4 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。

 

 

(6) 国内・海外別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

12,436,196

100.00

12,658,245

100.00

製造業

1,253,943

10.08

1,299,884

10.27

農業、林業

31,125

0.25

32,070

0.25

漁業

6,888

0.06

7,681

0.06

鉱業、採石業、砂利採取業

13,717

0.11

16,533

0.13

建設業

381,121

3.06

403,233

3.19

電気・ガス・熱供給・水道業

315,809

2.54

339,898

2.68

情報通信業

38,224

0.31

40,825

0.32

運輸業、郵便業

320,292

2.58

334,337

2.64

卸売業、小売業

1,061,107

8.53

1,089,854

8.61

金融業、保険業

386,424

3.10

503,202

3.98

不動産業、物品賃貸業

1,798,931

14.47

1,895,740

14.98

医療・福祉等サービス業

706,320

5.68

725,660

5.73

国・地方公共団体

1,753,505

14.10

1,492,013

11.79

その他

4,368,784

35.13

4,477,307

35.37

海外及び特別国際金融取引勘定分

政府等

金融機関

その他

合計

12,436,196

12,658,245

 

(注)「国内」とは、当社及び連結子会社であります。

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、「銀行等金融機関の資産の自己査定並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」(日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号2012年7月4日)に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしております。ただし、前連結会計年度及び当連結会計年度の外国政府等向け債権残高は該当ありません。

 

(7) 国内・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

396,943

396,943

当連結会計年度

660,704

660,704

地方債

前連結会計年度

1,024,386

0

1,024,386

当連結会計年度

791,507

△0

791,507

社債

前連結会計年度

784,580

△2

784,578

当連結会計年度

911,688

△1

911,686

株式

前連結会計年度

946,000

△730,305

215,695

当連結会計年度

1,012,395

△729,375

283,019

その他の証券

前連結会計年度

597,636

643,070

1,240,706

当連結会計年度

625,490

861,142

1,486,633

合計

前連結会計年度

3,749,547

643,070

△730,307

3,662,309

当連結会計年度

4,001,787

861,142

△729,378

4,133,551

 

(注)1 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

2 国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

3 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。

 

(8)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、株式会社常陽銀行及び株式会社足利銀行の2行であります。

①信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)

資産

科目

前連結会計年度
(2023年3月31日)

当連結会計年度
(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

有形固定資産

2,000

36.88

2,129

37.66

無形固定資産

155

2.87

155

2.75

その他債権

10

0.20

10

0.19

銀行勘定貸

2,983

55.00

3,070

54.29

現金預け金

274

5.05

288

5.11

合計

5,425

100.00

5,655

100.00

 

 

負債

科目

前連結会計年度
(2023年3月31日)

当連結会計年度
(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

3,010

55.50

3,095

54.74

包括信託

2,414

44.50

2,559

45.26

合計

5,425

100.00

5,655

100.00

 

(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。

 

②元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)

科目

前連結会計年度

2023年3月31日

当連結会計年度

2024年3月31日

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

銀行勘定貸

2,970

2,970

3,049

3,049

資産計

2,970

2,970

3,049

3,049

元本

2,970

2,970

3,049

3,049

その他

0

0

0

0

負債計

2,970

2,970

3,049

3,049

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

また、当社グループは、銀行業務を中心とした総合金融サービスを提供しております。当社グループが営む銀行業務以外の事業については重要性が乏しいことから、経営成績等の状況に関する分析・検討内容の記載を省略しております。

 

①財政状況

(ⅰ)主要勘定の状況

当連結会計年度末の預金等(譲渡性預金を含む)及び貸出金の残高は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む中で、当社の第3次グループ中期経営計画の基本戦略である「地域を支えるビジネスモデルの追求」に注力した結果、いずれも増加いたしました。

うち、預金等の残高は、個人、法人、公共預金がともに増加したことにより、前連結会計年度末に比べ、2,920億円増加(増加率1.6%)となる17兆8,006億円(うち預金は17兆6,739億円)となりました。また、貸出金の残高は、公共向け貸出が減少したものの、個人向け、法人向け貸出の増加等により、前連結会計年度末に比べ2,220億円増加(増加率1.7%)となる、12兆6,582億円となりました。

有価証券の残高は、相場動向に応じた適切なポートフォリオ運営に取り組んだ結果、前連結会計年度末に比べ4,712億円増加となる4兆1,335億円となりました。

(単位:百万円)

主要勘定の残高

前連結会計年度末(A)

当連結会計年度末(B)

増減(B-A)

預金等

17,508,574

17,800,657

292,083

 うち預金

17,137,285

17,673,968

536,682

貸出金

12,436,196

12,658,245

222,048

有価証券

3,662,309

4,133,551

471,241

 

 

なお、当連結会計年度末における連結ベースのリスク管理債権残高は、1,952億円で、前連結会計年度末に比べて18億円減少となりました。

(単位:百万円)

リスク管理債権残高

前連結会計年度末(A)

当連結会計年度末(B)

増減(B-A)

リスク管理債権残高合計

197,114

195,255

△1,859

破産更生債権及びこれらに準ずる債権額

12,577

14,676

2,098

危険債権額

153,013

151,478

△1,535

三月以上延滞債権額

211

105

△105

貸出条件緩和債権額

31,311

28,994

△2,317

(部分直接償却実施額)

(22,345)

(26,643)

(4,297)

 

 

(ⅱ)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、当社の第3次グループ中期経営計画の基本戦略である「地域を支えるビジネスモデルの追求」への取り組み等により、譲渡性預金の減少や貸出金の増加等により、235億円の支出(前連結会計年度は3兆3,680億円の支出)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、相場動向に応じた適切な有価証券ポートフォリオ運営に取り組み、ポートフォリオのリバランスを実施した結果、有価証券の取得が売却を上回ったことを主因に3,253億円の支出(前連結会計年度は9,224億円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得(総額200億円)及び配当金の支払いによる支出等により319億円の支出(前連結会計年度は166億円の支出)となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ3,808億円減少し、4兆4,214億円となりました。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。

当面の設備投資、成長分野への投資ならびに株主還元等は自己資金で対応する予定であります。

また、当社グループは正確な資金繰りの把握及び資金繰りの安定に努めるとともに、適切なリスク管理体制を構築しております。貸出金や有価証券の運用については、大部分をお客さまからの預金にて調達するとともに、必要に応じて日銀借入金やコールマネー等により資金調達を行っております。なお、資金の流動性の状況等については定期的にALM・リスク管理委員会ならびに取締役会に報告しております。

次連結会計年度において計画している重要な設備の新設等及び資金調達方法は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 新設、改修」に記載のとおりです。今後の配当を含む株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

 

②経営成績

(ⅰ)経営戦略

当社グループでは、「長期ビジョン2030」に掲げた「地域とともにあゆむ価値創造グループ」の実現に向け、「第3次グループ中期経営計画」(計画期間:2022年度から2024年度までの3年間)を展開しております。当期におきましても、「地域を支えるビジネスモデルの追求」、「持続可能な経営基盤の構築」、「人材の育成・活躍促進」の3つの基本戦略のもと諸施策を展開いたしました。

「地域を支えるビジネスモデルの追求」では、法人分野において、子銀行である常陽銀行、足利銀行(以下、常陽銀行と足利銀行をあわせて「両子銀行」といいます。)による安定した資金供給に加え、取引先事業者の持続的成長と地域の社会課題の解決の両立(サステナビリティ)に向けた対話のもと、各種コンサルティングサービスの提供に取り組みました。また、取引先事業者の生産性向上や人手不足への対応に向け、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するWEBサービス機能の強化や福利厚生サービスの充実などに取り組みました。

個人分野では、WEB口座開設機能の拡充や「バンキングアプリ」の各種取引機能を追加するなど、お客さまの利便性向上や非対面取引ニーズへの対応を引き続き強化しました。資産運用の面では、専用フリーダイヤル設置によるライフプランコンサルティングの相談受付体制の拡充や新NISA開始を契機とした金融教育の推進を図り、資産形成や多様な資産運用ニーズにお応えしました。さらに、相続相談の受付体制拡充、独身・単身高齢者の財産管理などをサポートするサービスの取扱い開始など、金融ジェロントロジーの知見も活用し、高齢化社会において地域の皆さまが安心して暮らし続けられる取組みにも力を入れました。

将来に向けた事業領域の拡大では、地域のカーボンニュートラルに資する事業の本格展開、スタートアップ企業との協業による事業創出や投資専門子会社による地元法人の株式取得を通じた事業承継支援に取り組むなど、着実にその歩を進めました。

「持続可能な経営基盤の構築」では、2022年11月に策定した「DX戦略ロードマップ」に基づき、デジタルチャネルの利便性向上、ペーパーレス化の推進とデータ利活用の高度化など、お客さまの利便性向上とあわせ、業務効率化や新たな価値の創出にも積極的に取り組みました。

また、気候変動リスク対応をはじめとした持続可能な社会の実現に向け、再生可能エネルギー電力の導入店舗の拡大や、再生可能エネルギーの地産地消に向けたメガソーラー開発を子銀行において決定するなど、当社グループの持続的成長と企業価値向上の好循環に向けた取組みを着実に進展させました。

「人材の育成・活躍促進」では、女性をはじめとする多様な人材がより一層活躍できる環境の整備に加え、「カムバック採用」や「リファラル採用」の実施、初任給の引き上げなど、多様な人材の確保に向けた施策展開を図りました。さらに、コンサルティングやIT分野等の高度スキル習得を目的とした研修メニューの充実や外部トレーニーの派遣など、人材育成の強化と合わせ、成長機会の提供を通じた働きがいの充実や従業員エンゲージメントの向上にも積極的に取り組みました。

 

(ⅱ)損益の状況

当社グループにおける当連結会計年度の損益の状況は以下のとおりです。

(ア)損益概要

当社グループの連結粗利益は、コンサルティング機能強化による役務取引等利益や預貸金利息差の増加等により、前連結会計年度比370億77百万円増加1,554億25百万円となりました。経常利益は、株式等関係損益が減少したこと等により、前連結会計年度比164億10百万円増加となる630億42百万円となりました。

以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比111億89百万円増加し、433億66百万円となりました。

 

(イ)資金利益

貸出金は、公共向け貸出が減少したものの、個人向け、法人向け貸出の増加等により、前連結会計年度末に比べ貸出金残高が2,220億円増加(増加率1.7%)したこと等により、貸出金利息は前連結会計年度比75億円増加となる1,175億18百万円となりました。有価証券利息配当金は、運用利回りの改善を主因として前連結会計年度比57億68百万円増加となる612億60百万円となった一方、預け金利息は、日本銀行への預け金の減少を主因として前連結会計年度比9億56百万円減少となる38億60百万円となりました。資金調達費用は、海外金利上昇に伴う外貨調達費用の増加等により前連結会計年度比203億44百万円増加となる425億54百万円となりました。

これらの結果、資金利益は前連結会計年度比80億33百万円減少となる1,408億80百万円となりました。

 

(ウ)役務取引等利益

「地域を支えるビジネスモデルの追求」に取り組むなか、コンサルティング提案を通じた事業支援によるシンジケートローン組成手数料、事業計画策定支援手数料の増加等により、役務取引等利益は前連結会計年度比27億13百万円増加454億16百万円となりました。

 

(エ)その他業務利益

相場動向に応じた適切なポートフォリオ運営に取り組み国内外の債券等の入れ替えを行った結果、国債等債券売却益の減少等により、その他業務収益は前連結会計年度比81億86百万円減少となる82億70百万円となりました。一方、その他業務費用も、国債等債券売却損の減少を主因として、前連結会計年度比518億97百万円減少となる397億18百万円となりました。この結果、その他業務利益は前連結会計年度比437億11百万円増加314億48百万円の損失となりました。

 

(オ)営業経費

営業経費は、退職給付費用が減少した一方、業務委託費や租税公課が増加したこと等により、前連結会計年度比5億83百万円増加となる1,076億円となりました。

 

(カ)与信関係費用

与信関係費用は、企業倒産の落ち着いた状況が継続していることを背景とした貸倒引当金繰入額の減少等により、前連結会計年度比52億97百万円減少55億56百万円となりました。

 

(キ)株式等関係損益

相場動向に応じた適切な有価証券ポートフォリオ運営に取り組みポートフォリオのリバランスを実施したこと等により、株式等関係損益は前連結会計年度比251億63百万円減少し、186億94百万円となりました。

 

 

 

区分

前連結会計年度(A)

当連結会計年度(B)

増減(B)―(A)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

連結粗利益(注)

118,348

155,425

37,077

  資金利益

148,913

140,880

△8,033

  役務取引等利益

42,703

45,416

2,713

  特定取引利益

1,890

576

△1,314

  その他業務利益

△75,160

△31,448

43,711

営業経費

107,016

107,600

583

与信関係費用

10,853

5,556

△5,297

  貸出金償却

4,296

4,698

402

  個別貸倒引当金繰入額

8,798

7,145

△1,653

  一般貸倒引当金繰入額

△753

△5,596

△4,842

  その他の与信関係費用

△1,487

△692

795

株式等関係損益

43,857

18,694

△25,163

その他

2,297

2,079

△217

経常利益

46,631

63,042

16,410

特別損益

△676

△1,181

△505

税金等調整前当期純利益

45,955

61,860

15,904

法人税、住民税及び事業税

12,421

22,459

10,038

法人税等調整額

1,357

△3,966

△5,324

当期純利益

32,176

43,366

11,190

非支配株主に帰属する当期純損失(△)

△0

0

1

親会社株主に帰属する当期純利益

32,176

43,366

11,189

 

 (注) 連結粗利益=(資金運用収益-(資金調達費用-金銭の信託運用見合費用))+(役務取引等収益+信託報酬-役務取引等費用)
          +(特定取引収益-特定取引費用)+(その他業務収益-その他業務費用)

 

(ⅲ)経営成績

これらの取り組みの結果、当連結会計年度における経営成績は、以下のとおりとなりました。

経営指標

当連結会計年度

親会社株主に帰属する当期純利益

433億66百万円

連結ROE

4.5%

コアOHR(子銀行合算)

59.1%

 

(注) 1. 連結ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷((期首自己資本※1+期末自己資本※1)÷2)

      ※1 自己資本=純資産の部合計-新株予約権-非支配株主持分

     2. コアOHR = 経費÷(業務粗利益※2-国債等債券損益)

      ※2 業務粗利益は、投信解約損益及び先物・オプション損益を除いて算出しております。

 

当社グループは、長期ビジョン2030で目指す姿として掲げた「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を実現すべく、伝統的銀行領域や総合金融サービス領域といったコアビジネスを強化しながら、その強みを活かした事業領域の拡大に取り組んでおります。従来の金融サービスの枠組みを超えて地域課題の解決に挑戦し、その取組みにより得られたノウハウをコアビジネスに還元していくことで、新しい価値を創造してまいります。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっては、資産、負債、収益及び費用の額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(自己資本比率等の状況)

(参考)

自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号。)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用し、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

                                                                (単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1.連結自己資本比率    (2/3)

12.71

2.連結における自己資本の額

8,328

3.リスク・アセットの額

65,485

4.連結総所要自己資本額

2,619

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社常陽銀行及び株式会社足利銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

株式会社常陽銀行

株式会社足利銀行

2023年3月31日

2024年3月31日

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

52

49

67

92

危険債権

849

827

681

688

要管理債権

121

97

194

194

正常債権

72,332

73,078

53,631

54,895

 

(注)上記は自己査定に基づき、与信関連債権の査定結果を記載しております。

なお、金額は単位未満を四捨五入しております。

 

(生産、受注及び販売の実績)

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、当社の直接出資子会社との間で、当社が行う経営管理について、「経営管理業務委託契約書」及び「経営管理業務委託契約書に関する覚書」を締結しております。

  

6 【研究開発活動】

 該当ありません。