第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は経営理念として、『私たちは、時代と市場の変化に迅速に対応し、「流通のプロ」として顧客の多様なニーズに応え、広く社会に貢献します。』を掲げております。

この理念の下、顧客第一主義を掲げ、付加価値を高めた商品の流通や顧客ニーズに即応した提案型サービスを提供するユーザー系商社として、「存在感ある商社流通」を追求し、すべてのステークホルダーからの評価・支持を得られる企業価値の向上に努めます。またコンプライアンスを重視し、事業を通じて国際社会や地域社会に貢献することで、「企業の社会的責任」を果たしていきます。

 

(2) 業績目標ならびに中長期的な経営戦略

当社グループは、持続的な企業の成長、高収益な事業体質及び安定的な財務基盤の確立を図るため、事業セグメントごとの取扱数量、経常損益ならびにグループ全体でのネット負債倍率(Net DER)などを経営上の重要な管理指標としております。

2025年3月期の通期業績目標は、売上高は2兆8,000億円、営業利益は610億円、経常利益は600億円、親会社株主に帰属する当期純利益は430億円としております。

 

また、当社グループでは、2023年度から2025年度までの3か年にわたる「中期経営計画 2025」を推進しております。

中期経営計画の概要は以下のとおりです。

 

《テーマ》

 『Run up to HANWA 2030 ~いまを超える未知への飛翔~』

《定量目標》

  最終年度(2026年3月期)

経常利益

ROE(株主資本利益率)

DOE(株主資本配当率)

700億円

12.0%以上

2.5%下限

Net DER(純負債資本倍率)

累計投融資枠

連結鉄鋼取扱重量

1.0倍以下

800億円

1,700万t

 

 


 

本中期経営計画では、「サステナビリティ経営」を基礎に、「経営基盤の強化」(1階)、「事業戦略の発展」(2階)、「投資の収益化」(3階)という3階建ての構造のもと、 さらなる成長を支えるための基盤強化と既存の枠組みにとらわれない事業戦略の推進により、2030年度も見据えた持続的な成長への取り組みを進めております(計画の進捗は、本報告書の「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容⑤ 中期経営計画の進捗分析」、ならびに2024年5月10日発表の「2023年度(2024年3月期)決算説明資料」をご参照ください。)。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

今後の経済環境は、高インフレの鎮静化を踏まえた各国の金融緩和政策への転換が予測されるものの、ウクライナや中東を中心とする地政学リスクやインフレ圧力の再燃懸念もあり、不透明な状況が続くものと想定されます。

 

当社グループとしましては、このような事業環境の中においても、各事業分野における需要動向を的確に把握し、取引先のニーズを反映した適切な販売・在庫政策を進めるとともに、国内外で新規取引先を積極的に開拓することにより、業績の維持・向上に注力していく所存です。

当社グループの対処すべき課題としては、以下を認識しております。

営業面においては、国内では加工機能などを活かした高付加価値営業を一段と進めるほか、「そこか(即納、小口、加工)」戦略の全国的な展開やグループ会社における資産や物流網の有効活用などを推進し、縮小が見込まれる国内市場においてもシェアの拡大と収益性の向上に努めてまいります。また、海外では東南アジアを中心に地産地消型ビジネスの拡大を図るほか、戦略的パートナーとのアライアンスの強化や戦略的投資からの利益の確実な獲得により、グローバルでの収益力の強化を図っていきます。

経営管理面では、キャッシュ・フローの重視や資本効率の向上など財務規律に基づく長期的な成長のための基盤強化を図るほか、取締役会の運営方針の見直しなども含むコーポレート・ガバナンス体制の高度化を進めていきます。また、リスクマネジメント部を中心としたグループ統合的なリスク管理体制の構築、基幹システムの更新やHKQC(Hanwa Knowledge Quality Control)活動の推進などを通じ、収益の取りこぼし防止や業務品質の向上に引き続き努めるほか、幅広い知見を有する人材の育成や多種多様なステークホルダーとの積極的な対話などにも取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 基本的な考え方

当社は、当社グループが地球・社会と共存し、持続的に発展していくための指針となる「サステナビリティ基本方針」を定めております。

 

<サステナビリティ基本方針の概要>

1.事業を通じたサステナビリティの実現

2.健全で透明度が高い組織づくり

3.多様な個性が響きあい、高めあう職場づくり

4.豊かな地球環境の次代への承継

5.だれもが快適に暮らせる社会の実現

 

また、サステナビリティ基本方針にもとづき、社内の意見や社外有識者の方々の意見も参考にして、当社が重点的に取り組むべきサステナビリティ課題(マテリアリティ)を以下のとおり特定しております。

 

<マテリアリティ>

 


 

今後、マテリアリティを軸として取組みを進めてまいります。サステナビリティに関する取組みの詳細は当社ウェブページ(https://www.hanwa.co.jp/)をご参照ください。

 

 

(2) ガバナンス

当社では、管理部門統轄役員を委員長とし、管理部門及び営業部門の中から選定された委員で構成されるサステナビリティ推進委員会を設置しております。取締役会の指揮・監督の下、当委員会でサステナビリティに関する事項を検討のうえ対応策を企画立案し、取締役会にて議論のうえ対応を決定しています。また、当委員会の活動状況は、適宜、委員長を通じて取締役会へと報告しております。

 


 

経営陣の役割

経営陣は、サステナビリティ推進委員会などから取締役会や経営会議に上程される、サステナビリティ課題に関するリスク及び機会の評価結果や管理状況について検証を行い、必要に応じて改善又は事業計画の見直しを指示しています。

 

(3) リスク管理

サステナビリティに関するリスクについては、取締役会の指揮・監督の下、サステナビリティ推進委員会が中心となって情報収集・識別・評価を行い、取締役会に報告のうえ管理する体制となっています。また、経営陣は識別・評価されたリスクを勘案のうえ経営計画の策定や投資判断を行うとともに、日々の事業活動においてリスクの軽減策などを適宜織り込むことで、サステナビリティに関するリスクの管理を行っています。

 

(4) 課題別の戦略と指標及び目標

前述の5つのマテリアリティのうち、多様な人材確保と育成(人的資本)とカーボンニュートラルの実現(気候変動)の2つの課題に対する取組みについての戦略並びに指標及び目標は、それぞれ以下に記載のとおりであります。

 

①多様な人材確保と育成(人的資本)

当社の創業者である北二郎は「商社は人なり」を信条とし、事業を発展させてきました。創業以来77年が経過しますが、この理念は当社の人材に対する考え方の基礎として変わりません。

当社の人材育成においては、Professional&Global (P&G) という人材像を掲げており、社員一人ひとりが、専門性を磨き、自ら考え行動してビジネスを創造し、国内外問わず活躍できる人材づくりを進めています。P&G人材の育成のため、様々な制度や研修を整え、社員自らが挑戦・成長できる機会を設けております。具体的には、国内外MBA、海外語学研修、海外現地法人での研修等の制度があり、ビジネスに関する知識や語学の習得を目指します。研修修了後は、配属された部署や出向先において習得したスキルを実践知へと昇華させ、グローバルな視野をもった人材に育成します。また、2022年6月に Hanwa Business School (HKBS) を開校し、これまで実施してきた研修を時代に合わせて体系化しました。HKBSを通じ、P&G人材に必要な知識やスキル、当社が培ってきた経験や精神を段階的に学ぶことで、阪和興業のDNAを次代に継承するとともに、時代の変化に適応できる人材を育成します。2024年度には新人事制度を開始し、社員の成長と、社員に求められる役割・責任に応じた等級制度及び報酬制度を整備しました。HKBSとも連動させることで、社員が自律的に挑戦し成長する組織づくりを推進してまいります。

当社として、企業が新たな価値を生み出し、イノベーションを持続的に創出していくために、多様な人、価値観を尊重し、誰もが自分らしく活躍できる企業文化を醸成していきます。これまで、外国籍社員や女性総合職を積極的に採用し、キャリア採用を拡大してきたことにとどまらず、海外グループ会社のナショナルスタッフが当社や他のグループ会社で活躍できる機会を増やしてきました。2018年度に「阪和興業健康経営宣言」を制定し、社員及び家族の健康維持・向上のため、健康保険組合と連携しながら戦略的に健康経営を推進しております。2024年度より、育児短時間勤務制度の利用対象とする社員の子どもの年齢上限について、小学校3年生(満9歳)の年度末から、小学校6年生(満12歳)の年度末まで拡大しました。今後も人材のダイバーシティ&インクルージョンを一層深化させ、社内環境を整備してまいります。

なお、人的資本に関する指標及び目標は以下のとおりです。

 

指標

実績

目標

2021年度

2022年度

2023年度

2025年度

離職率

4.3

4.8

5.0

3.2

産休・育休明けの復職率

96.1

89.1

93.2

100

語学留学・トレーニー人数

2

2

6

20

一人当たりの研修金額

千円

28.4

69.5

71.4

150.0

一人当たりの研修時間

時間

7.4

11.3

12.1

20.0

採用に占める女性総合職の割合

23.3

30.5

33.9

30

採用に占めるキャリア採用の割合

37.0

39.2

49.8

30

管理職に占める女性従業員の割合

2.3

1.9

2.1

3.7

男性従業員の育児休業取得率

42.9

69.0

52.3

80.0

 

※当社は人材多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備方針を定め、具体的な取組みを実行し指標を管理しております。しかし、連結グループ会社全体の指標管理はまだ行えておりません。このため、上記指標の目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。連結グループ会社全体の指標管理につきましては、今後検討してまいります。

 

②カーボンニュートラルの実現(気候変動)

当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しており、気候変動への対応は取り組むべき重要な課題であると認識し、「事業がもたらす気候変動への影響」と「気候変動が当社に与える影響」の双方を鑑みた対応が必要であると考えています。事業活動における温室効果ガス(GHG)排出量の削減や、事業を通じたカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを推進するとともに、気候変動によるリスクを最小限に抑えるべく積極的に取り組んでまいります。

カーボンニュートラルの実現に向けた戦略としましては、エネルギー事業、リサイクルメタル事業、食品事業、木材事業については「脱炭素社会に移行した場合」「脱炭素社会に移行しなかった場合」のそれぞれの世界観についてリスクと機会を分析しており、それらの対応策を策定しております。詳細は当社のウェブページをご参照ください。

当社の気候変動に関する取組みにつきましては、マテリアリティの一つとして掲げている「カーボンニュートラルの実現」に向け、GHG排出量の中長期的な削減目標を以下のとおり策定しております。
 ・2030年度 国内Scope1+2 34%削減(2021年度比)
 ・2050年度 カーボンニュートラルの実現

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況の変動に係るリスク

当社グループの全世界における営業収入は、当社グループが商品を取り扱っている国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、アジア、北米、欧州、アフリカ等を含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小などは、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 商品市況の変動に係るリスク

当社グループでは、鉄鋼製品、金属原料、非鉄金属、食品及びエネルギー製品・生活資材等について、市況商品を扱い、一部で流通在庫を有しております。これらの商品では、その需給状況や為替動向、時には地政学的な環境の変化が市況に与える影響が大きく、市況の変動への適切な対応ができなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、非鉄地金や石油製品などについては、商品先渡取引や商品スワップ取引を利用して相場変動等のリスクヘッジに努めておりますが、ヘッジポジションの状況や商品在庫の種類、相場の急激な変動などによっては、リスクの軽減効果が十分には得られないことや期末の時価会計処理による評価損の発生、追加の証拠金拠出による資金流出など当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替レートの変動に係るリスク

当社グループの事業には、全世界における商品の仕入と販売が含まれております。各地域における収益、費用、資産、負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算しております。換算時の為替レートにより、これらの項目の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドルに対する円高)は当社グループの輸出取引に対しては悪影響を及ぼしますが、輸入取引には好影響を及ぼし、円安は輸入取引に対しては悪影響を及ぼしますが、輸出取引には好影響を及ぼします。

なお、当社グループでは、先物為替取引、通貨スワップ取引及び為替スワップ取引を利用し為替変動のリスクヘッジに努めておりますが、期末における為替ポジションの状況や外貨建資産・負債の保有状況によってはリスクの軽減効果が十分には得られない場合があります。

 

(4) 金利の変動に係るリスク

当社グループは、営業取引及び投融資活動において、金融機関からの借入及び社債等資本市場からの資金調達を行っております。このうち変動金利による調達につきましては、一部に金利スワップ等を利用して金利変動のリスクヘッジに努めておりますが、今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 株価等の変動に係るリスク

当社グループは、取引先を中心に国内外で市場性のある株式等を保有しており、株価等の変動リスクを負っております。このため、保有する上場有価証券の株価等の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、個々の保有株式等については、毎年定期的に取締役会及び経営会議において、取引や配当による投資リターン、資本効率、保有目的等に照らして保有の適否を総合的に検証しております。保有する意義が乏しいと判断された株式等については、適宜売却を進めております。

 

 

(6) 取引先の信用に係るリスク

当社グループの事業における売上債権等の大部分は、取引先ごとに一定の信用を供与し、掛取引を行ったものであります。当社グループにおいては厳格かつ機敏な与信管理を行っておりますが、必ずしも全額の回収が行われる保証はありません。従いまして、経済的状況や事業環境、国際的・地政学的な環境の急激な変化により、取引先の不測の倒産・民事再生手続等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 事業投資に係るリスク

当社グループは、既存事業の強化や事業領域の拡大等を図るための事業投資を行っております。これらの投資に際しては、投資等審査委員会において検討を行うなど投資内容や投資金額に応じた所定の手続きを経て実行の是非を決定しておりますが、投資先の企業価値の低下や所期の投資採算が確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、開発型案件や資源分野などについては、需給バランス、市況、生産コストなどの変動が大きく、当該投資から得られる収益のボラティリティは他の投資に比べると高い傾向があります。

 

(8) 資金の流動性に係るリスク

当社グループは、営業取引及び投融資活動において、金融機関からの借入及び社債等資本市場からの資金調達を行っております。資金調達に当たっては、資金需要見通しに基づき、手元流動性の確保に努めておりますが、国内外の金融市場の混乱や金融規制の変更、当社グループへの信用格付の引き下げまたは金融機関の融資方針の変更など調達環境に大きな変化が生じた場合や資金需要の急激な増加が発生した場合などには、資金調達の制約や調達コストの増加などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 国際的活動及び海外での事業展開に潜在するリスク

当社グループは、アジア市場や米・欧州等の市場において積極的な事業展開を行っております。これら海外市場での事業展開には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しております。

① 予期しない法律または関税などの貿易取引規制の変更

② 不利な政治的・経済的変動や国際通貨の変動

③ 人材の採用と確保の難しさ

④ 未整備のインフラが当社グループの活動に悪影響を及ぼす、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性

⑤ 企業活動にとって不利な税制度への変更

⑥ テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

従いまして、これらの事象は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法的規制等に係るリスク

当社グループは、事業を展開する各国において、事業・投資の許認可、国家安全保障またはその他の理由による輸出入及び販売制限、関税をはじめとするその他の貿易取引規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、租税、為替管理、食品の安全規制、環境・リサイクル関連等の法規制の適用も受けております。これらの規制により、当社グループの活動が制限される可能性があるだけでなく、規制への対応がコストの増加につながる可能性もあります。従いまして、これらの規制は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 取扱商品の品質に係るリスク

当社グループが提供する製品やサービスについては、仕入先や委託加工先と共同で適切な検査体制の下に提供しているほか、品質安全環境管理部による定期的なモニタリングが行われておりますが、製品やサービスに欠陥があり、製造物責任賠償やリコール等が発生した場合には、多額の費用負担が発生することや、当社グループの社会的信用や企業イメージの低下を招くなど、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 自然災害等に係るリスク

当社グループは、地震等の自然災害やインフルエンザ等の感染症の発生に備えて、危機管理マニュアルや事業継続計画の整備、安否確認システムの導入、耐震対策や防災訓練などの対策を実施しております。しかしながら当社グループの事業所や社員の活動は広範囲に及んでおり、自然災害等が発生した際にはその損害を完全に回避できるものではありません。想定を超える損害が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 退職給付債務に係るリスク

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率や長期期待運用収益率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。従いまして、割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 税務に係るリスク

当社グループは、アジア市場や米・欧州等の市場において積極的な事業展開を行っており、日本及び諸外国において納税義務を負っております。そのため、将来的に、各国税務当局による課税が強化され、企業活動にとって不利な税制度への変更が行われた場合には、当社グループが納付すべき税額が増加する可能性があります。

また、当社グループは、必要に応じて外部専門家を活用し、各国の税法に従い適切な税務申告を行っておりますが、各国当局との見解の相違により、予想外の課税を受ける可能性があります。仮に課税問題が発生した場合には、外部専門家を起用し問題解決を図る等の対策を講じますが、追加的な課税が生じる可能性を完全に排除できるものではないため、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、ウクライナや中東を中心とする地政学リスクや、為替・金利動向などで不透明感が強い状況が継続しましたが、新型コロナウイルス感染症の収束による消費者心理の改善や、底堅い雇用情勢などにより景気が下支えされました。また、欧米を中心に金融政策による金利の高止まり状態が続きましたが、下期以降はインフレ率の低下など景気の過熱感の緩和が見られました。中国においては消費喚起策や財政投融資、金融緩和などの景気浮揚策が発表されましたが、輸出不振や不動産市場低迷の影響を受け、景気回復が思うように進まない状況が継続しています。その他の新興諸国においては一部地域で景気回復が遅れているものの、東南アジア地域を中心に経済活動の正常化が進みました。

国内経済については、政府の感染症対策方針の転換を背景とするインバウンド需要の回復や賃上げへの期待などから、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られました。

このような環境において、当連結会計年度では、先行きの不透明感などから鋼材需要やスクラップ需要などが減少したことに加え、鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が前連結会計年度比では低い水準で推移したことにより、売上高は前連結会計年度比8.9%減の2兆4,319億80百万円に、営業利益は前連結会計年度比22.4%減の497億22百万円となりました。また、戦略的投資先などからの配当収入が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度比24.9%減の482億76百万円に、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比25.4%減の384億17百万円となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

鉄鋼事業

前第3四半期連結会計期間に連結子会社化した田中鉄鋼販売㈱や、国内建設分野などでのソリューション機能の強化による業績寄与はあったものの、新設住宅着工戸数の減少などを背景に、鋼材の取扱量が減少しました。また、一部の工事案件における採算の悪化が利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比1.7%減の1兆2,400億56百万円、セグメント利益は前連結会計年度比10.0%減の256億17百万円となりました。

プライマリーメタル事業

ステンレス鋼板などのステンレス製品の取扱量が減少したことに加え、各種商材価格が調整局面を迎えたこともあり、減収となりました。また、戦略的投資先などからの配当収入の減少が利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比18.6%減の2,230億52百万円、セグメント利益は前連結会計年度比37.8%減の86億70百万円となりました。

リサイクルメタル事業

ベースメタルの国際価格が前連結会計年度に比べ安値で推移したことに加え、ステンレススクラップを中心に需要減退の影響を受け取扱量も減少しました。また、ヘッジ目的の商品先渡取引の評価益の計上額が前連結会計年度比で縮小しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比20.7%減の1,167億2百万円、セグメント利益は前連結会計年度比81.5%減の11億34百万円となりました。

食品事業

カニ相場が前連結会計年度に比べ安値で推移したことが収益を押し下げましたが、直近では緩やかな回復基調となっています。また鮭や海老、鶏肉を中心に仕入コスト上昇分の価格転嫁も進みました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比4.4%減の1,229億41百万円、セグメント損益は13億31百万円の利益(前連結会計年度は、9億60百万円の損失)となりました。

 

エネルギー・生活資材事業

PKS(パーム椰子殻)やウッドペレットを中心に取扱量は拡大したものの、石油製品価格が前連結会計年度に比べ安値で推移した影響が大きく、収益・利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比4.0%減の3,465億2百万円、セグメント利益は前連結会計年度比43.3%減の65億63百万円となりました。

海外販売子会社

海外における鉄鋼需要の低迷に伴い、インドネシアや米国の販売子会社を中心に取扱量が減少したことに加え、鉄鋼製品や非鉄金属製品の市況下落の影響から減収となりましたが、戦略的投資先から発生した金融収益の増加などが利益を押し上げました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比24.6%減の3,389億17百万円、セグメント利益は前連結会計年度比7.4%増の78億20百万円となりました。

その他の事業

木材事業では、ウッドショックの影響が一段落したことから、商品価格が低調に推移しましたが、利益率の高い商材の取扱いが増加した結果、減収・増益となりました。一方、機械事業では、ライフ・アミューズメント分野で複数の大型完工物件があったことなどから増収・増益となりました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比18.3%減の1,192億87百万円、セグメント利益は前連結会計年度比17.1%増の36億9百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度の総資産は、電子記録債権や投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末比0.8%増の1兆1,669億86百万円となりました。

負債は、コマーシャル・ペーパーの償還を行ったことや、前年度業績を反映した法人税等の納付に伴う未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末比4.6%減の8,102億20百万円となりました。そのうち有利子負債は、前連結会計年度末比4.1%減の3,654億49百万円となり、当連結会計年度末のネット負債倍率は、0.8倍(0.7倍※)となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益からの利益剰余金の積み上がりや為替換算調整勘定などの変動により、前連結会計年度末比15.5%増の3,567億65百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の26.2%(28.3%※)から30.1%(32.2%※)に上昇しました。

 
※ネット負債倍率及び自己資本比率の( )内の値は、2024年3月に実施した劣後特約付きタームローン(ハイブリッドローン)500億円について、格付上の資本性(50%)を考慮して算出しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて76億58百万円(9.1%)減少し、764億62百万円となりました。これは主にコマーシャル・ペーパーの償還などにより有利子負債の削減を進めたことによるものです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による収入は、前連結会計年度比93.6%減の181億87百万円となりました。これは主に仕入債務が増加したことや未収入金が減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による収入は、10億14百万円となりました(前連結会計年度は65億39百万円の支出)。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入や、長期貸付金の回収などによるものです。

 

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、192億2百万円の収入となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による支出は、前連結会計年度比92.5%減の263億19百万円となりました。これは主に長期借入金の返済やコマーシャル・ペーパーの償還などによるものです。

 

④ 受注及び販売の実績

 a. 受注実績

   受注実績と販売実績との差異は僅少なため、受注実績の記載は省略しております。

 

 b. 販売実績

「①経営成績の状況」及び「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [注記事項](セグメント情報等)[セグメント情報]」に記載のとおりであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」をご参照ください。なお、有価証券や固定資産の評価、貸倒引当金や賞与引当金等における見積り及び判断・評価については、過去の実績や足元の状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況

売上高は、先行きの不透明感などから鋼材需要やスクラップ需要などが減少したことに加え、鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が前連結会計年度比では低い水準で推移したことにより前連結会計年度比8.9%減の2兆4,319億80百万円となりました。このうち、国内売上高は前連結会計年度比5.3%減の1兆6,515億57百万円、海外売上高は前連結会計年度比15.6%減の7,804億23百万円となりました。

売上原価は、鋼材取扱量減少の影響のほか、商品価格下落の影響もあり、前連結会計年度比9.0%減の2兆3,121億35百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、新基幹システム稼働に伴う減価償却費などの増加や、自粛していた営業活動の再開に伴う旅費交通費や交際費等の増加などにより、前連結会計年度比8.8%増の701億22百万円となりました。

営業外収益は、受取配当金や持分法による投資利益が減少したことなどにより、前連結会計年度比22.2%減の135億11百万円となりました。一方、営業外費用は、支払利息や為替差損が減少したことなどにより、前連結会計年度比13.1%減の149億57百万円となりました。

特別利益は、政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益があったものの、前連結会計年度に新阪和ビル売却に伴い発生していた固定資産売却益の反動減などにより、前連結会計年度比58.3%減の66億97百万円となりました。また、特別損失は、投資有価証券の減損の影響はあったものの、前連結会計年度に連結子会社HANWA THAILAND CO., LTD.において発生していた過年度の付加価値税の影響が大きく、前連結会計年度比75.2%減の10億85百万円となりました。

法人税等は、課税所得の減少に伴い、前連結会計年度比37.4%減の145億24百万円となりました。

これらの結果、当期純利益は前連結会計年度比25.4%減の393億64百万円となり、その内、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比25.4%減の384億17百万円となりました。また、1株当たり当期純利益の金額は前連結会計年度の1,267.44円に対し、944.90円となりました。

 

③ 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績等に影響を与える要因は、「3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。

当社の主たる事業である商社事業において影響が大きいものは、商品価格の動向であります。価格のトレンドや国内外の需給動向を確認しながら、売りと仕入のタイミングを図っていきます。特に在庫取引を行う商品については、買う時期と数量を慎重に判断して行います。鉄鋼事業では流通業向け店売り市場が縮小しており、以前ほど大量の在庫を保有することはなくなったため、市況下落による評価損も昨今は限定的ではあるものの、商品価格の変動幅が過去に比べて大きく変動速度も速くなっており、実需以外の要因も影響を及ぼすため、市況動向の見極めが一層重要になっております。

次に、当社グループの取引は掛け売りやユーザンスを与えるものも多く、それらは各取引先に対する厳格な審査・与信管理の下に信用枠を設定しています。取引先の信用状態については、常に各営業担当が確認をしており、会社としても社員の与信管理能力の強化や信用保険・ファクタリング等による債権保全に努めておりますが、不測の倒産等が発生した場合には、売上債権の全額を回収できずに貸倒れとなることもあり、全体の損益が影響を受けることがあります。

海外との取引においては、決済通貨と表示通貨が異なる場合に、表示通貨への換算の際に為替変動の影響を受けます。個別の取引においては、原則として為替予約などにより為替変動による影響を最小限にするように対処しておりますが、決算期末での債権債務の期末レートへの換算替えにおいては、評価損益が発生することがあり、変動幅や速度によっては、全体の損益が影響を受けることがあります。

資本政策に関しては、当社グループは運転資金や投融資資金を金融機関からの借入や社債発行などにより調達しており、金利変動や金融市場の動向、格付などにより、事業の採算や借入コストが影響を受けます。取引仲介における口銭や手数料収入の利率を金利変動に応じて変動させたり、金利スワップ等でコストの増加を抑制するなどの対応をしてはおりますが、金融市場の大きな変動の中では全体の損益が影響を受けることがあります。

そのような事業環境のなか、当社グループは、事業領域の拡大や将来収益の源泉を確保するために、既存の商社事業を土台としながら、バリューチェーンのより広い範囲に積極的な事業投資を展開しております。投資に際しては、専門家によるデューディリジェンスの実施や、投資等審査委員会などによる収益性の検証及びリスクの洗い出し等を行っておりますが、当初予定していた事業計画が大きく下振れした場合や予測が困難であった重要な偶発的事象が発生した場合などには、全体の損益が影響を受けることがあります。特に大規模な開発型案件や資源分野などへの投資については、収益性のボラティリティが高い傾向にあるため、経営会議や取締役会などにおいて定期的なモニタリングを実施しております。

また、当社グループは様々な商品やサービスを取り扱っており、その品質については、仕入先や委託加工先と提携して万全を期していますが、時に品質基準を満たさないもの、不良なものが発生することがありえます。従来、品質に問題があった場合には仕入先や加工先に一義的な保証責任がありましたが、品質欠陥に対する社会的な影響が大きくなっている昨今、商社も品質管理に一層の注意を払うことが必要になっており、その対応によっては保証費用や信用低下などにより全体の損益が影響を受けることがあります。当社では、品質安全環境管理部による定期的なモニタリングを基に、協力業者も含めた品質管理体制の強化を進めています。

なお、当社グループでは、グループにおける全てのリスクを把握し、当該リスクをコントロールするために適切な対応策を講じるようリスクマネジメント基本方針を定めております。また、リスクマネジメント部は関係部署と連携し、個別リスクごとにリスクを管理し対応策のモニタリングを行うほか、定量的に把握可能なリスクについては定期的にグループ全体のリスク量を把握し、適宜経営会議、社長および取締役会に報告する体制を整えております。

 

④ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて2,660億39百万円少ない181億87百万円の収入となりました。これは主に仕入債務が増加したことや未収入金が減少したことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、10億14百万円の収入となりました(前連結会計年度は65億39百万円の支出)。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入や、長期貸付金の回収などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて3,255億15百万円少ない263億19百万円の支出となりました。これは主に長期借入金の返済やコマーシャル・ペーパーの償還などによるものです。

 

(財務政策)

当社グループは持続可能な企業成長のために必要なレベルの流動性の確保と財務的な健全性・安定性維持を方針としており、資金調達にあたっては、多様化を図るべく、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達を随時行いつつも、主に長期借入金を中心に調達を行っております。また、流動性維持のために、金融機関との間で総額1,550億円のコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末現在において全額未使用となっております。

社債につきましては、市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、600億円であります。

長期借入金のうち、500億円は劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)であり、持続可能な企業成長のための資金確保と財務的な健全性の両立を目的として2024年3月に調達を行っております。本ハイブリッドローンは、資本と負債の中間的な性質を持ち、格付機関は残高の50%である250億円を資本と同等に扱っております。

有利子負債においては、資産側の通貨属性を考慮し、適宜外貨建て借入や、通貨金利スワップ、為替予約を締結することで、資産の内容に見合った調達を図っております。

また、連結ベースの資金管理体制については、国内子会社においては原則キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、海外子会社に対しても現地借入から親子ローンへの切替え促進を行っており、これらの取組によりグローバル財務マネジメントの強化を図っております。

 

 

⑤ 中期経営計画の進捗分析

「中期経営計画 2025」で掲げております定量目標について、2024年3月期の実績ならびに進捗状況は以下のとおりです。

定量目標

2024年3月期実績

2026年3月期目標

経常利益

482億円

700億円

 先行き不透明感などから、鋼材や非鉄金属などの需要が減少したほか、各種商品価格が前連結会計年度と比較して低い水準で推移しました。加えて、戦略的投資先などからの配当収入の減少や一部の工事案件における採算の悪化などにより、経常利益は前連結会計年度比で減少し、482億円となりました。

ROE(株主資本利益率)※1

13.4%

12.0%以上

 売上高、利益ともに過去最高を更新した前連結会計年度に比べ、売上高当期純利益率が低下した一方、政策保有株式の売却や運転資本の減少を背景に財務レバレッジ総資産回転率の改善が図られたことなどから、ROEは目標比1.4pt増の13.4%となりました。

DOE(株主資本配当率)※2

2.78%

2.5%下限

 事業活動を通じた利益剰余金の積み上げに加え政策保有株式の売却に伴う追加的な収入を考慮し、増配したことで、下限目標値から0.28pt増の2.78%となりました。

Net DER(純負債資本倍率)※3

0.82倍

1.0倍以下

 コマーシャル・ペーパーの償還を行ったことなどにより有利子負債残高が減少したほか、利益剰余金の積み上げにより、前連結会計年度比0.16pt減少の0.82倍となりました。

累計投融資枠

156億円

800億円

 東日本における「そこか(即納、小口、加工)」の推進拠点である阪和ダイサン㈱の設備増強をはじめ、国内子会社における物流システムの強化に向けた機能拡充を進めました。また、インドネシアのウッドペレット生産者であるPT. BIOMASA JAYA ABADIへの投融資や、HANWA METALS (THAILAND) CO., LTD.におけるアルミ缶リサイクルライン増設など、将来の需要拡大を見据えた仕入元の確保や供給体制の整備を進めました。加えて、新基幹システムの構築を通じた本社機能の充実化を図っております。

連結鉄鋼取扱重量※4

1,348万トン

1,700万トン

 国内における取扱重量は、鋼材需要の弱さを背景に、前連結会計年度と比較して4.7%減の867万トンとなりました。また、海外における取扱重量は、中国国内の鋼材需要減退などを背景に、安価な輸入材が東南アジア等の市場へ流入している影響などから、前連結会計年度比12.4%減の481万トンとなりました。その結果、全社合計では、前連結会計年度比7.6%減の1,348万トンとなりました。

 

※1 ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷期首・期末平均株主資本

※2 DOE=年間配当総額÷期首株主資本

※3 Net DER=(有利子負債-現金及び預金)÷期末自己資本

※4 連結鉄鋼取扱重量は、当社および連結子会社における鉄鋼取扱重量の単純合算です。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。