文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、独自の建設施工技術を通して「社会のニーズを満たし」、環境に調和する社会資本整備の充実と安全を担保する土木構造物の補修・補強や長寿命化に貢献すること、「企業価値の向上」に邁進し、社員・顧客・株主の満足度を一層高めることを企業使命としております。また、経営の姿勢としまして、「WE DELIVER THE BEST」:社会及び事業環境が大きく変遷する時代に、創業以来培ってきた「安全第一の精神」と「揺るぎない信頼」及び「独自の施工技術」を核に、常に新しい価値提案をし続けることとしており、基本姿勢としては以下のとおりです。
・お客様が求める安心に対し、常に「現場の安全」を最優先に考え行動する。
・お客様にとり、満足度が高い「品質」と「経済性」を提供する。
・施工技術の深化(進化)と新たな技術開発に取組み、企業価値向上をはかる。
・社会の環境変化に対応するための柔軟な社内体制構築と技術革新をはかる。
当社は経営基盤の強化をはかるためにはフリーキャッシュフローの堅実な向上が重要と考え、本業の営業利益を重視しております。また、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードなどを踏まえ、自己資本当期純利益率13%の実現を中長期的な経営指標の目標にしております。当事業年度におきましては、引き続き赤字決算となりましたが、今後も中長期的に自己資本当期純利益率13%の実現を目指してまいります。
建設業界におきましては、リニア中央新幹線、北海道新幹線、高速道路リニューアルプロジェクト、大阪IRリゾート計画、首都圏再開発等の大型プロジェクトが控えており、また防災・減災、国土強靭化の国の対策などがあり、国内建設投資は堅調に推移すると考えられております。また長期的には建設投資の中心が、民間を含め維持・補修の時代になると推測されております。新型コロナウイルス感染症の取扱い変更により経済活動の活性化が期待されますが、ウクライナや中東情勢問題の長期化や円安の進行による資源・原材料価格の動向などから、国内景気の先行きには不安定な状況が見受けられ、建設業界におきましては、引き続き建設資材価格の上昇や労務単価の高止まりなどによるコスト上昇懸念、加えて受注競争の激化が予測されます。また建設労働者の高齢化、人離れ、管理技術者・技能労働者の後継者不足と慢性的な人材不足に陥っており、人材の確保、生産性の向上が建設業界におきましては課題となっております。
当社は、主に下請での受注の専門工事業者であります。主力の気泡コンクリート工事は土木分野におけるニッチ市場ですが、要求される条件に対しての配合や施工技術(長距離圧送)、施工体制で競合他社に優位性があり、気泡コンクリート工事市場での当社のシェアは高く、受注先も大手・準大手・中堅ゼネコンや地方ゼネコンなど数が多く、大きな偏りはありません。一方、地盤改良工事は市場は大きいですが、競合工法との価格競争が激しく、当社保有工法の技術性能の優位性が活かしきれておらず、保有施工機械数や施工体制にも課題があり、また当社の地盤改良工事の認知度も低く、受注先も少なく偏りがあります。
これらの状況を踏まえ、当社としましては、会社の成長と企業価値の向上を目指した2022年度(第62期事業年度)~2024年度(第64期事業年度)の三か年中期経営計画を策定いたしました。
しかしながら、計画初年度の2022年度(第62期事業年度)の実績が数値計画に対し大幅な未達成となったことから事業環境を精査し、2023年度(第63期事業年度)及び2024年度(第64期事業年度)の数値計画を見直しましたが、2023年度(第63期事業年度)も遺憾ながら下方修正しております。
当社の主力工事である気泡コンクリート工事につきましては、パイオニアとして品質を高めるための気泡コンクリートの物性についての基礎研究や、用途拡大をはかるための各団体とのプロジェクトへの参画、生産性を高めるためのICT等の活用も含めた施工機械の改善等、研究開発に注力してまいります。また気泡コンクリート工事は、公共工事の比率が高く公共工事の増減に影響を受けやすいため、提案営業を強化し民間需要の掘り起こしを一層推進するとともに、案件情報の収集力強化のため、コンサルへの当社工法・材料のスペック活動を中心とした上流営業を推進してまいります。地盤改良工事につきましては、当社が成長するためには重要な事業と考えており、受注の増加をはかるとともに施工能力の強化、利益率の改善が必要であります。そのため気泡コンクリート工事と地盤改良工事の営業と工事それぞれの一体化に取組んでおり、今後も一層の融合を推進し営業展開力と施工能力を高めてまいります。また施工機械への設備投資も積極的に行うとともに、受注形態として一次下請を目指してまいります。
日本各地で頻発する地震や台風・豪雨による甚大な災害発生に対し、国による対策として「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が進められており、公共投資は底堅く民間建設投資も堅調に推移しています。
しかしながら、当社業績は案件の発注情報や工期情報の収集力不足などから、遺憾ながら3事業年度続けての赤字決算の計上となり、早急な業績の立て直しが課題となっております。
主力工事である気泡コンクリート工事は、当社のシェアは高いものの土木分野におけるニッチ市場であり、受注拡大のためには市場創造が必要となります。そのためには、社会の環境変化によって求められる建設投資ニーズに対応することが重要であり、当社といたしましては技術開発活動への取組みを一層強化してまいります。
また、営業力の強化が喫緊の課題となっており、コンサルへの提案・スペック活動に注力し需要創造をはかるとともに、案件情報収集力を強化してまいります。
地盤改良工事につきましては、受注が低迷しており、再度事業戦略を検討してまいります。
なお当社の成長には、営業力と施工力の強化が必要であり、人材の確保・育成にも一層注力し取組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、「安心をカタチに・生きがいをデザインする。」をビジョンに、地域の皆さまが安心して生活できるインフラを創造し、地域社会の持続的発展を支えていくことが当社の持続的成長につながると考えております。独自の建設施工技術を通じて社会のニーズを満たし、環境に調和する社会資本整備の充実と安全を担保する土木構造物の補修・補強や長寿命化、環境に配慮した新製品や新工法の開発に取り組むことでステークホルダーの満足度をいっそう高めていきたいと考えております。
当社では、サステナビリティ全般に関するリスクを含む経営上の課題については、経営会議において協議し、重要な事項は適宜取締役会にて議論することとし、十分な討議の上意思決定を行うこととしております。当社は、持続可能な社会に貢献することを念頭に置いて、経営の健全性、コーポレート・ガバナンスの充実を図りつつ、日々変わりゆく経営環境に柔軟に対応できる組織構築が最重要課題であると認識し、常に投資家の目線を踏まえた効率的な経営を目指したいと考えております。
当社の「独自の建設施工技術を通じて社会のニーズを満たす」「企業価値の向上に邁進する」という企業理念・使命、そして「WE DELIVER THE BEST」の経営姿勢のもと成長の原動力として従業員の“個”の最大化をはかり企業価値の更なる向上を目指すため、人的資本に関して以下の戦略を設定しております。
1.人材の確保
建設業界における慢性的な人材不足に対しては、新規卒業者採用はもとより即戦力となる中途採用の強化をはかり確実な人員の確保を行うことに取組んでいます。
2.多能工化および国家資格取得の推進
当社は気泡コンクリート事業と地盤改良事業の一体化に取組んでおり、社員の多能工化を進めております。また、能力向上に関しては支援制度をスタートさせ、国家資格の取得推進に取組んでいます。
3.社内環境整備に関する方針
安全衛生管理の強化・健康経営に関する施策
①計画と設備
施工検討会で計画の確認、乗り込み後の実施状況の確認、週間工程による現場の進捗状況の把握及び店社パトロールを実施しております。
②教育
新規入場者教育として現場ルール、朝礼、職長・安全責任者教育、各種特別教育を実施しております。
③点検と是正
多角的なパトロールの実施と定着(環境、品質パトロール等)改善事項についてその場での是正を実施しております。
④健康経営
定期健康診断の着実な実施と再検査受診の推奨、産業医による特定保健指導、ワークライフバランスの推奨、ストレスチェックの実施、産業医・安全環境品質部による高ストレス者への対応、定期的な健康管理に関する周知と指導を実施しております。
昨今の気候関連の様々な問題については、当社も重要な課題と認識しており、環境に配慮したインフラを創造するためにCO2の削減など環境負荷低減に向けた製品の研究開発に取り組んでおります。なお、研究開発の詳細につきましては「6 研究開発活動 」に記載しております。また、人的資本や知的財産への投資等の開示についても検討してまいります。
社内諸規程に基づき、常時それぞれの部門においてサステナビリティに関するリスク管理を行い、統制すべきリスクごとに責任部署を明確にして効率的な統制活動を行っております。重大な災害等が発生した場合には、社長を本部長とする危機管理本部を速やかに組織し、危機への対応や収拾に向けた活動を実施いたします。
人的資本に関して以下の指標及び目標を設定しております。
1 人材の確保
採用に関しては近年厳しい環境となっています。2023年度では新卒・中途採用を合わせて11名の計画をいたしておりましたが、結果は新卒1名、中途採用3名の計4名となっています。今後も引続き採用活動は継続してまいります。
2024年度の目標として新卒・中途併せて6名の採用を計画いたしております。
2 多能工化と国家資格取得の推進
多能工化に関しては2021年度より取組みはじめ、現在は3名(昨年度1名)が気泡コンクリート工事および地盤改良工事ともに対応可能となっています。
国家資格の取得は、土木施工管理技士・建設機械施工管理技士の資格取得を奨励しており、昨年度は新たに3名が資格を取得し、現在全社ベースで42名の社員がこれらの資格を保有いたしております。
3 人材育成に関して
昨年度は中堅社員へのトレーニングを実施し、2024年度より全社員を対象にハラスメント・コンプライアンス・情報セキュリティー等の研修をスタートさせています。
また、安全教育として保護具着用管理責任者教育をはじめ、14の特別教育を社内にて実施し、トータルで151名が教育を受けています。
当社の事業に係るリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項は、以下のようなものがあります。
(1)公共工事の大幅な減少、発注の遅れや工期のずれ込み
当社の主力工事である気泡コンクリート工事の施主としましては官公庁の比率が高く、当社は民間工事の受注にも注力しておりますが、公共工事が大幅に減少した場合、見込んでいた大型工事の発注の遅れや工期の大幅なずれ込みが生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)受注単価の低下
当社の工事受注形態は主に下請であり、当社は工事原価の低減に取組み価格競争力を高める努力をしておりますが、元請業者の低価格入札や競合業者の安値受注活動が増加し受注単価が低下した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)売掛債権の不良債権化
当社は、多くの取引先から工事を受注しており、リスク回避に向け与信管理を徹底しておりますが、取引先が経営破綻し売掛債権が不良債権化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)不採算工事の発生
当社は、工事ごとに厳正な原価管理を行っておりますが、施工途中での設計変更や工事の手直し、また天候不順等による工期の延長等で想定外の原価が発生し不採算工事となった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)施工不良工事の発生
当社は、施工リスク管理に注力しておりますが、施工途中で重大な施工不良が発生し再施工を行った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)重大な災害、事故の発生、疫病の流行
当社は、リスク管理に注力し安全管理にも万全を期しておりますが、重大な災害、事故が発生した場合や工事現場において感染者が発生し工事が長期に中断した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)工事用材料、資機材の調達
工事用材料、資機材の調達につきましては、常に価格交渉を行い価格低減に努めておりますが、調達価格の上昇、納期遅延等があった場合、特に当社主力の気泡コンクリート工事の主材料であるセメント価格が急激に上昇し、工事受注価格に転嫁出来ない場合や、疫病の流行によりサプライチェーンに影響が出て調達が出来なくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。現時点におきましては、サプライチェーンへの影響はありません。
(8)労務人員の確保
労務人員につきましては、各工事の工期管理を行い効率的な配置に努めておりますが、工期のずれ込みなどから工期が重複し労務人員が確保出来ない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)法的規制等
当社は、建設業を主たる事業としており、建設業法をはじめこれらの関連法の法的規制を受けているため、法改正や新たな規制等が施行された場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10)製品に対する重要な訴訟
当社は、完成工事に係る契約の内容に適合しないものの費用に備えるとともに、品質管理には万全を期しており、現時点では重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、契約不適合責任による多額の損害賠償請求等を受けた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)関連会社の経営悪化
当社は、関連会社に役員を派遣して経営状況の把握はしておりますが、今後、関連会社の業績が悪化し続けた場合には、関連会社出資金を減損しなければならず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記の項目は、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、また当社の事業リスクの全てを網羅するものではないことをご留意下さい。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行により社会・経済活動は正常化に向かい、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加もあり緩やかな景気回復の動きが見られましたが、ウクライナや中東情勢による資源・エネルギー価格の上昇や、各国との金融政策の相違による円安の進行の影響もあり物価上昇が進むなど、景気は先行き不透明な状況が続きました。
建設業界におきましては、公共投資は底堅く推移し、また都市部での再開発事業を中心に民間企業の需要は好調でしたが、依然として受注競争は激しく、人材不足による公共工事の発注の遅れや労務単価の上昇傾向、資材価格の高止まりもあり、厳しい経営環境が続きました。
このような状況の下、当社は、前事業年度に引き続き3か年中期経営計画の目標達成に向け営業と施工の効率化に取組み、受注高の獲得と収益性の改善をはかってまいりました。
しかしながら、主力工事である気泡コンクリート工事の受注高が、想定していた工事の受注時期の遅れなどから当初の計画どおりに推移せず、また地盤改良工事においても受注競争の激化により失注が多くなり、工事全体の受注高は3,393百万円(前事業年度比8.4%減)と減少し、また当事業年度内に施工を見込んでいた複数の大型工事での前工程の遅れから工期が翌事業年度にずれ込むなどしたこともあり、売上高は3,139百万円(前事業年度比12.1%減)となりました。
各段階の損益につきましては、全役職員一丸となり工事原価や販管費の低減に取組んでまいりましたが、売上高の絶対額不足により、営業損失△182百万円(前事業年度は営業損失△24百万円)、経常損失△174百万円(前事業年度は経常損失△17百万円)となりました。
また以上の業績動向を受け、連続赤字の大阪支店の固定資産について、将来の回収可能性を検討した結果、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失119百万円を特別損失として計上し、併せて事業環境と今後の業績動向等を総合的に勘案し、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額84百万円を計上したことから、当期純損失△386百万円(前事業年度は当期純損失△17百万円)となりました。
主要な工事の状況は次のとおりであります。
(気泡コンクリート工事)
受注高は、軽量盛土工事の受注高が1,571百万円(前事業年度比17.6%増)と増加しましたが、管路中詰工事において見込んでいた大型工事の発注遅れなどにより、受注高が446百万円(前事業年度比41.8%減)、空洞充填工事も見込んでいた一部工事の発注時期の遅れから、受注高が662百万円(前事業年度比0.5%減)と減少したことから、気泡コンクリート工事全体の受注高は2,680百万円(前事業年度比3.2%減)となりました。
完成工事高につきましては、空洞充填工事の完成工事高が、前事業年度からの繰越工事が多かったことにより578百万円(前事業年度比13.6%増)と増加しましたが、軽量盛土工事の完成工事高が前工程の遅れにより事業年度内に施工を見込んでいた一部大型工事の工期のずれ込みなどから1,179百万円(前事業年度比11.1%減)に、また管路中詰工事の完成工事高も受注高の減少から519百万円(前事業年度比30.1%減)と減少し、気泡コンクリート工事全体の完成工事高は2,277百万円(前事業年度比11.7%減)となりました。
(地盤改良工事)
価格競争が激しく見込んでいた複数の大型工事の失注により、受注高は712百万円(前事業年度比24.0%減)となりました。
完成工事高につきましても、受注高の減少により839百万円(前事業年度比13.7%減)となりました。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ122百万円減少し、2,980百万円となりました。その主な要因としましては、完成工事未収入金及び契約資産が141百万円、電子記録債権が39百万円、原材料及び貯蔵品が18百万円増加しましたが、現金預金が85百万円、有形固定資産が153百万円、繰延税金資産が88百万円減少したことなどによるものであります。
負債合計は、前事業年度末に比べ286百万円増加し、1,993百万円となりました。その主な要因としましては、未払金が36百万円、支払手形が21百万円、未払消費税等が15百万円減少しましたが、長期借入金が289百万円、電子記録債務が40百万円、退職給付引当金が17百万円増加したことなどによるものであります。
純資産合計は、前事業年度末に比べ408百万円減少し、986百万円となりました。その主な要因としましては、当期純損失の計上と配当金の支払いを行ったことにより利益剰余金が減少したことなどによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は246百万円(前事業年度は232百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費94百万円、減損損失119百万円の計上と仕入債務が34百万円増加したものの、税引前当期純損失を299百万円計上したことと売上債権及び契約資産が183百万円増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は82百万円(前事業年度は119百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に取得した資金は243百万円(前事業年度は44百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入、長期借入金の返済及び配当金の支払いなどによるものであります。
これにより「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度末に比べ85百万円減少し、712百万円(前事業年度比10.8%減)となりました。
商品販売については、販売と仕入及び受注との差異が僅少なため、「① 財政状態及び経営成績の状況」における経営成績の記載を参照願います。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高の施工高は支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致いたします。
工事の受注方法は、次のとおり特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものも含めて記載しております。
2 完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額5,000万円以上の主なもの
当事業年度 請負金額5,000万円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
d. 手持工事高(2024年3月31日現在)
(注) 1 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものも記載しております。
2 手持工事のうち請負金額2,000万円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度末における流動資産の残高は1,561百万円で、前事業年度末に比べ115百万円増加しております。その主な要因としましては、現金預金が85百万円減少しましたが、完成工事未収入金及び契約資産が141百万円、電子記録債権が39百万円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定資産の残高は1,418百万円で、前事業年度末に比べ237百万円減少しております。その主な要因としましては、連続赤字になり投資額の回収が見込めなくなった大阪支店の固定資産について、減損損失を119百万円計上したことや、併せて事業環境や今後の業績動向等を総合的に勘案し、繰延税金資産を84百万円取り崩したことなどによるものであります。
当事業年度末における流動負債の残高は970百万円で、前事業年度末に比べ24百万円増加しております。その主な要因としましては、未払金が36百万円、支払手形が21百万円、未払消費税等が15百万円減少しましたが、電子記録債務が40百万円、一年以内返済予定の長期借入金が39百万円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定負債の残高は1,023百万円で、前事業年度末に比べ261百万円増加となりました。その主な要因としましては、前事業年度末に比べ長期借入金が250百万円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は986百万円で、前事業年度末に比べ408百万円減少しております。その主な要因としましては、当期純損失△386百万円の計上と配当金の支払い34百万円を行ったことにより、利益剰余金が減少したことなどによるものであります。
② 経営成績の分析
当事業年度における受注高は、3,393百万円(前事業年度比8.4%減)となりました。
当社主力の気泡コンクリート工事のうち、軽量盛土工事の受注高は見込んでいた大型工事の受注もあり1,571百万円(前事業年度比17.6%増)と増加しましたが、管路中詰工事と空洞充填工事の受注高が見込んでいた大型工事の発注時期の期ずれにより、それぞれ446百万円(前事業年度比41.8%減)、662百万円(前事業年度比0.5%減)と減少したことから、気泡コンクリート工事全体の受注高は2,680百万円(前事業年度比3.2%減)となりました。
気泡コンクリート工事の施主は官公庁の比率が高く、また当社が請負う工事はほぼ下請工事となるため、当社の受注は施主の発注時期や元請業者の各工程の進捗状況により左右されることがあり、中でも軽量盛土工事は、民間工事にカウントしているNEXCO各社の発注動向に左右される傾向があります。
地盤改良工事におきましては、価格競争が激しく見込んでいた複数の大型工事の失注などにより受注高は712百万円(前事業年度比24.0%減)となりました。
地盤改良工事の営業強化のため取組んでいる気泡コンクリート工事との営業一体化につきましては、情報の共有化や営業の効率化の面で徐々に浸透してきておりますが、結果が出るまでは時間が必要だと考えております。
当事業年度における売上高は、3,139百万円(前事業年度比12.1%減)となりました。
気泡コンクリート工事の完成工事高は、空洞充填工事の完成工事高が、前事業年度からの繰越工事が多かったことにより578百万円(前事業年度比13.6%増)と増加しましたが、軽量盛土工事の完成工事高が想定していた工事の前工程の遅れによる工期のずれ込みなどから1,179百万円(前事業年度比11.1%減)に、また管路中詰工事の完成工事高も受注高の減少から519百万円(前事業年度比30.1%減)と減少したことにより、気泡コンクリート工事全体の完成工事高は2,277百万円(前事業年度比11.7%減)となりました。
地盤改良工事の完成工事高も、受注高の減少により839百万円(前事業年度比13.7%減)となりました。
当事業年度における売上総利益は、514百万円(前事業年度比23.1%減)となりました。
売上高不足による間接工事原価の負担増から売上総利益率も低下し、計画に対して大幅な未達成となりました。
当事業年度における販売費及び一般管理費は、697百万円(前事業年度比0.4%増)となりました。
前事業年度に引き続き、施工力を強化するための工事部社員等の人材採用による人件費の増加を計画しましたが、見込んでいた人員増が予定どおり出来なかったことや、期中での業績見通しに対応して人件費等のコスト低減をはかったことなどから、販売費及び一般管理費は計画に対し大幅に減少いたしました。
当事業年度における営業損失は、△182百万円(前事業年度は営業損失△24百万円)となりました。
コスト低減に努めましたが、大幅な売上高不足により販売費及び一般管理費を吸収出来ず、営業損失の計上となりました。
当事業年度における経常損失は、△174百万円(前事業年度は経常損失△17百万円)となりました。
配当金収入や受取技術料があったことから営業外収益は15百万円、支払利息等の営業外費用は7百万円を計上しております。
当事業年度における当期純損失は、△386百万円(前事業年度は当期純損失△17百万円)となりました。
連続赤字の大阪支店の固定資産について、将来の回収可能性を検討した結果、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失119百万円を特別損失として計上し、併せて事業環境と今後の業績動向等を総合的に勘案し、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額84百万円を計上しております。
当社の主な工事は、主に建設業者から下請けとして受注したもので、施主としましては官公庁の比率が以下のとおり高くなっております。
当社の気泡コンクリート工事におきましては、公共工事の発注から当社の事業領域である工事を受注するまでタイムラグがあり、必ずしも公共投資の動向に連動しない場合もありますが、全体として当社の経営成績は公共投資の動向に影響を受ける傾向があります。
(最近2期間における受注高のうち官公庁が占める比率)
(注) 民間受注高の( )は、施主がNEXCO各社のもので内数であります。
当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度の期末残高798百万円から85百万円減少(前事業年度は68百万円の増加)して712百万円(前事業年度比10.8%減)となりました。
営業活動により使用した資金は246百万円(前事業年度は232百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費94百万円、減損損失△119百万円の計上と仕入債務が34百万円増加したものの、税引前当期純損失を△299百万円計上したことと売上債権及び契約資産が183百万円増加したことなどによるものであります。
投資活動に使用した資金は82百万円(前事業年度は119百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産による支出であります。
財務活動に取得した資金は243百万円(前事業年度は44百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入、長期借入金及びリース債務の返済などによるものであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、当社の工事施工のための材料費、労務費、外注費、経費のほか販売費及び一般管理費によるものです。
販売費及び一般管理費の主なものは、人件費及び営業活動のための通信交通費等であります。
当社は現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または金融機関からの借入れによる資金調達のほか、借入条件等を勘案し社債による調達も行うこととしております。
短期運転資金につきましては、内部資金または金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金及び施工機械等への設備投資資金につきましては、金融機関から固定金利を原則とした長期借入金にて調達しております。2024年3月31日現在、長期借入金の残高は925百万円であります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
建設業界におきましては、インフラ整備を通じて安心、安全を守る地域(国土)づくり、慢性的な技術者、技能者の不足に対し、建設業界を支える担い手の確保と育成、社会保険未加入対策、「働き方改革」で唱えられる雇用環境労働条件の改善、i-Constructionに推奨される建設業の生産性向上等が求められており、引き続き当社にとっても対応していかなければならない課題であると認識しております。
昨今では、ウクライナや中東情勢の長期化による原油価格、原材料価格の動向、円安による資材価格などの物価動向、働き方改革の推進による人件費の上昇など様々な課題があり、また長期的な人口の減少傾向から将来的な建設市場の縮小が懸念されており、このような環境の中で当社としまして、会社の成長、企業価値の向上をはかるためには、社会、経済の要求に対し、安心・安全の確保や地域社会への貢献を念頭に「いいもの」を提供し続けることが大変重要であると考えており、そのためには新たな市場創造や受注確保を推進する営業体制の強化、それを支援する事業推進部門の強化、技術の深化(進化)・技術の革新に取組む技術開発部門の体制強化、人材確保や育成を推進する人事総務部門の強化などに取組んでおります。
営業活動の支援としては、当社工法等の認知度向上をはかるため設計コンサルタント会社への技術・工法セミナーの開催や展示会への出展を行っております。
技術の深化(進化)としましては、社会環境の要求に応えられる施工能力と技術、施工体制の強化をはかり、当社の技術と施工の強みを最大限発揮することで「いいものづくり」の実現に取組んでおります。
また、技術革新の実現としましては、AIの導入も含め建設業界に求められているi-Constructionの推進への取組みが不可欠と考えており、このような技術の深化(進化)や技術革新の実現のためには、社内体制づくりが大変重要であり、技術開発部門を強化するための人材採用や、産官学との共同研究に注力しております。
今後も引き続き技術開発部門の人材採用に取組み研究開発活動に注力するとともに、当社保有の工法や開発した材料の普及に取組むことで、新しい市場創造が可能であると考えております。
特記事項はありません。
当社の研究開発活動は、環境に配慮したインフラを創造するために、新技術と新工法の開発をすることで新しい価値を創造し、顧客に最善を尽くすことを基本方針としております。その主な活動は、原材料である起泡剤の改善・改良、工事施工用機械装置の改良・開発・導入、新グラウト材の開発、需要創出等であり、必要に応じ社外の組織と共同で研究開発を行っております。
当事業年度の調査研究費は、
(1)気泡コンクリート(エアモルタル)の品質を高めるため、物性についての基礎研究に引き続き取組んでおります。
(2)気泡コンクリート工事のFCB工法の施工効率向上やエアモルタルの用途拡大のため、付帯工を含めた新たな材料及び施工手法の開発に引き続き取組んでおります。
(3)社会インフラの維持補修が課題となる中、道路橋の補修において、橋脚や橋桁を残したまま気泡混合軽量土(FCB工法)により橋梁下部を埋め戻し土工化する方法の標準化と、積極的な提案に取組んでおります。
(4)気泡コンクリート工事の生産性向上のため、施工管理情報の一元化や各種帳票作成の自動化など、可能なICT管理システムの開発を進めている現場テスト段階であり、早期の市場投入に向けて取組んでおります。
(5)国土交通省が推進するICT地盤改良工に備えるため、引き続き深層混合処理工法、中層混合処理工法での機械の位置誘導、施工記録の見える化、施工機械の自動化などのICT管理装置の適用を引き続き進めております。
(6)環境配慮技術として、温室効果ガスの排出を低減するエアモルタルの開発、及び再生リサイクル材料を骨材に利用するエアモルタルの開発に取組んでおります。