回次 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
第26期 |
第27期 |
|
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
|
売上高 |
(千円) |
|
|
|
|
|
経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
|
|
|
△ |
|
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
(千円) |
|
△ |
△ |
△ |
△ |
包括利益 |
(千円) |
|
△ |
△ |
△ |
△ |
純資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
総資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
|
|
|
|
|
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
|
△ |
△ |
△ |
△ |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
|
|
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
|
|
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
|
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
|
△ |
|
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
|
|
|
|
|
従業員数 |
(名) |
|
|
|
|
|
(注)1. 第24期、第25期、第26期及び第27期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2. 第24期、第25期、第26期及び第27期は当期純損失を計上しているため、自己資本利益率については記載しておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しており、当連結会計年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4.第24期、第25期、第26期及び第27期の株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため、記載しておりません。
5.当社株式は、2019年3月11日付で東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第一部へ市場変更し、2022年4月4日より市場区分見直しにあたり同取引所プライム市場へ移行、2023年10月20日より、プライム市場からスタンダード市場へ移行しております。
6. 第26期売上高における数値は、2024年6月26日付で有価証券報告書の訂正報告書を提出しており、過年度遡及修正における訂正後の数値を記載しております。
回次 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
第26期 |
第27期 |
|
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
|
売上高 |
(千円) |
|
|
|
|
|
経常利益 |
(千円) |
|
|
|
|
|
当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
|
△ |
|
|
△ |
資本金 |
(千円) |
|
|
|
|
|
発行済株式総数 |
(株) |
|
|
|
|
|
純資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
総資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
|
|
|
|
|
1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
|
△ |
|
|
△ |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
|
|
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
|
|
|
配当性向 |
(%) |
|
|
|
|
|
従業員数 |
(名) |
|
|
|
|
|
株主総利回り |
(%) |
|
|
|
|
|
(比較指標:TOPIX(東証株価指数)) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
最高株価 |
(円) |
1,178 |
1,185 |
869 |
618 |
476 |
最低株価 |
(円) |
517 |
516 |
562 |
447 |
250 |
(注)1.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は持分法の適用会社が存在しないため記載しておりません。
2. 第24期、第27期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4. 第24期、第27期は当期純損失を計上しているため、自己資本利益率については記載しておりません。
5.第24期、第27期の株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため、記載しておりません。
6.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。
7.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。また、臨時従業員数については、従業員総数の10%未満のため、記載を省略しております。
8.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部における株価を記載しております。2022年4月4日から2023年10月19日の間は東京証券取引所プライム市場におけるものであり、2023年10月20日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
当社グループの実質上の事業活動は、1998年11月に設立されたバリュークリックジャパン株式会社(事業上の存続会社)によるアドネットワーク事業に始まります。バリュークリックジャパン株式会社は、1999年8月に米ValueClick, Inc.の子会社となり、2000年5月に東京証券取引所マザーズに上場、その後2004年3月に株式会社ライブドアの子会社となり、2005年6月に株式会社ライブドアマーケティングに社名変更致しましたが、ライブドア事件後の2006年9月に株式会社メディアイノベーションに社名を変更し、2008年1月にネットワークメディア事業を会社分割により株式会社メディアイノベーションの完全子会社であった当社(形式上の存続会社)に事業承継しております。
上記の会社分割は、ソネットエンタテインメント株式会社がインターネット広告事業の事業拡大を目的として、当社事業を買収する際に、ライブドア事件に係る訴訟対応会社を分け、ネットワークメディア事業を行う事業会社のみを子会社化するために行ったものです。当社は2008年7月にソネットエンタテインメント株式会社の子会社となり、ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)を中心とした企業グループ(以下「ソニーグループ」という。)の傘下に入っており、ソネットエンタテインメント株式会社による子会社化後、株式会社MIからソネット・メディア・ネットワークス株式会社に社名変更を行い、2012年4月にインターネット広告買付プラットフォームであるDSP「Logicad(ロジカド)」の提供開始を契機として、現在の主力事業であるマーケティングテクノロジー事業に本格的に参入致しました。2019年10月には商号をSMN株式会社へと変更しております。なお、ソネットエンタテインメント株式会社は、2013年7月にソネット株式会社、2016年7月にソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に社名を変更しております。
当社グループの沿革(形式上の存続会社)
年月 |
概要 |
2000年3月 |
株式会社ニッシンの完全子会社として、東京都渋谷区代々木にウェッブキャッシング・ドットコム株式会社を設立 |
2002年11月 |
株式交換により、株式会社アイ・シー・エフの子会社となる |
2003年1月 |
東京都港区西新橋に本社移転 |
2004年3月 |
東京都港区六本木に本社移転 株式交換により、株式会社ライブドアの子会社となる |
2005年2月 |
株式会社ライブドアフィナンシャルホールディングスの子会社となる |
2005年6月 |
株式会社ライブドアファイナンスの子会社となる |
2005年7月 |
東京都港区赤坂に本社移転 |
2005年9月 |
株式会社ライブドアマーケティングの子会社となる |
2006年6月 |
東京都港区赤坂内にて本社移転 |
2006年9月 |
株式会社メディアイノベーションの完全子会社となる 東京都渋谷区渋谷に本社移転 |
2007年1月 2008年1月 |
株式会社ライブドアビジネスソリューションズ及び株式会社トラインを吸収合併 株式会社メディアイノベーションのネットワークメディア事業を事業承継 株式会社MIに商号変更 |
2008年6月 |
株式会社アクイジションを完全子会社化 |
2008年7月 |
ソネットエンタテインメント株式会社が、株式会社メディアイノベーションが保有する当社株式の66.6%を取得したことにより、ソネットエンタテインメント株式会社の子会社となる |
2008年9月 |
ソネット・メディア・ネットワークス株式会社に社名変更 |
2008年11月 |
ソネットエンタテインメント株式会社が、株式会社メディアイノベーションが保有する当社株式の33.4%を追加取得し、ソネットエンタテインメント株式会社の完全子会社となる |
2009年2月 |
東京都品川区大崎に本社移転 |
2009年8月 |
クローズド型アフィリエイトサービス「SCAN(スキャン)」をリリース |
2010年4月 |
当社を存続会社として、完全子会社である株式会社アクイジションを吸収合併 |
2010年7月 |
ソネットエンタテインメント株式会社の広告メディア事業を当社へ機能移管 |
2012年4月 |
自社開発DSP「Logicad(ロジカド)」のリリースと同時にマーケティングテクノロジー事業を本格的に開始 |
2014年4月 |
福岡県福岡市中央区に九州営業所設立 |
2014年5月 2015年3月 |
大阪府大阪市北区に関西営業所設立 東京都品川区大崎内にて本社移転 |
2015年12月 2016年4月
2016年6月 2016年9月
2017年9月 |
東京証券取引所マザーズに株式を上場 アフィリエイトサービスの新設分割により、完全子会社であるSMT株式会社を設立(連結子会社) 監査等委員会設置会社へ移行 台湾にSMN Taiwan Corporationを設立(連結子会社) コーポレートベンチャーキャピタルのSMNベンチャーズ株式会社を完全子会社にて設立(連結子会社) |
2018年8月 2019年3月 2019年8月 2019年10月 2020年10月
2021年3月 2022年4月 2023年9月
2023年10月 |
株式会社ゼータ・ブリッジを連結子会社化 東京証券取引所市場第一部へ市場変更 株式会社ASAを連結子会社化 SMN株式会社に商号変更 デジタルメディア事業開発事業及びメディア事業の新設分割により、完全子会社であるSMNメディアデザイン株式会社を設立(連結子会社) ルビー・グループ株式会社を連結子会社化 東京証券取引所プライム市場へ市場変更 ネクスジェンデジタル株式会社、SMNメディアデザイン株式会社及び株式会社ゼータ・ブリッジを吸収合併 東京証券取引所スタンダード市場へ市場変更 |
株式会社メディアイノベーションの沿革(事業上の存続会社)
年月 |
概要 |
1998年11月 |
米国ValueClick, LLC.とのライセンス契約に基づく、ウェブ上のクリック保証型インターネット広告の販売を目的として、東京都文京区本郷四丁目1番6号にバリュークリックジャパン株式会社を設立 |
1999年8月 |
ValueClick, Inc.の子会社となる |
2000年5月 |
東京証券取引所マザーズに株式を上場 |
2004年3月 |
TOBにより株式会社ライブドアの子会社となる |
2004年11月 |
当社が存続会社として株式会社イーエックスマーケティングと合併し、同社の子会社であった株式会社イーエックスコミュニケーションズ及び株式会社トラインを完全子会社化する |
2005年6月 |
バリュークリックジャパン株式会社から株式会社ライブドアマーケティングへ社名を変更する |
2005年8月 |
株式会社カスタム・クリックを株式取得により完全子会社化する |
2005年9月 |
ウェッブキャッシング・ドットコム株式会社を株式取得により子会社化する |
株式会社ライブドアビジネスソリューションズを株式取得により完全子会社化する |
|
2006年4月 |
東京証券取引所マザーズでの上場廃止となる |
2006年9月 |
株式会社メディアイノベーションに社名変更する |
|
ウェッブキャッシング・ドットコム株式会社を完全子会社化する |
2007年1月 |
子会社であるウェッブキャッシング・ドットコム株式会社が当社の子会社である株式会社トライン、株式会社ライブドアビジネスソリューションズを吸収合併する |
2007年2月 |
子会社である株式会社アクイジションより、カスタム・クリック事業及びポイント事業に係る権利義務を会社分割により承継する |
2008年1月 |
ビジネスアーキテクト統括本部、メディア事業統括本部及びセールスチャネル統括本部において行っているネットワークメディア事業を子会社である株式会社MIに会社分割により承継 |
2008年6月 |
株式会社アクイジションの株式を株式会社MIに譲渡 |
2008年7月 |
子会社である株式会社MIの株式のうち66.6%をソネットエンタテインメント株式会社に譲渡 |
2008年11月 |
関係会社であるソネット・メディア・ネットワークス株式会社の株式のうち、残りの33.4%を追加でソネットエンタテインメント株式会社に譲渡 |
当社グループは、「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションのもと、ビッグデータ(注1)処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを源泉とした、アドテクノロジーのDSP(注2)「Logicad(ロジカド)」を中心とする「マーケティングテクノロジー事業」の単一セグメントを提供しております。主要なサービスは、1.アドテクノロジー、2.マーケティングソリューション、3.デジタルソリューション、4.その他の4つに大別され、2024年3月31日現在、当社ならびに連結子会社6社で構成されております。
1.アドテクノロジー
DSPは、Demand Side Platformの略で、RTB(注3)を活用した広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォームであります。RTBは、広告枠をリアルタイムに売買する広告配信の入札手法で、欧米にて2009年頃から、日本では2011年頃から急激に普及した比較的新しい広告配信テクノロジーです。これまでのインターネット広告は、一定期間単位で広告枠を売買する「純広告」が主流でしたが、RTBの出現により、広告主と媒体社は「インプレッション」(注4)ごとに「オークション形式」で取引を行うことができるようになりました。具体的には、広告主はDSPを通じて「広告を配信するユーザー」、「広告を配信する媒体」、「広告を配信するタイミング」、「広告の配信量」、「広告枠の購入単価」をインプレッション単位で適切にコントロールすることで広告枠買付の投資効果を改善できるほか、広告効果の仮説検証を短期間に繰り返し行うことが可能となりました。
[RTBによる広告配信の流れ]
① ユーザーによる媒体の閲覧
まず、ユーザーがPCやスマートフォンで、広告枠のある媒体(WEBサイトやスマートフォンアプリ等)を閲覧します。
② 媒体からSSP等への広告リクエスト
ユーザーがWEBサイト等を訪問すると、対象の広告枠を管理するSSP(注5)・アドネットワーク(注6)・アドエクスチェンジ(注7)等の事業者に対して広告を表示するようにリクエストが発生します。
③ SSP等からDSPへの入札リクエスト送信
広告枠を管理するSSP等から、SSP等が接続している複数のDSP事業者に対して、対象の広告枠や来訪ユーザー等の情報と入札リクエストが送信されます。
④ DSPによる広告キャンペーン(注8)の選択
各DSPはSSP等から送られた情報をもとに、自社のデータベースを解析し、最適な広告キャンペーンの選定を行います。
⑤ DSPによるオークションへの入札の実施
広告キャンペーンの予算、広告に対するユーザーの予測される反応、他DSPの予想入札価格等を総合的に判断した上で、最適な入札価格を決定し、オークション取引への入札を実行します。
⑥ 広告の配信
各DSPによるオークションの結果、競り勝ったDSPは広告の配信を行うことができます。当社では、オークションが成立した瞬間にSSP等から広告枠を仕入れ、広告枠の入札価格に一定のマージンを加算して販売価格を決定し、広告の配信を行います。
当社は、内製開発したDSP「Logicad」を広告主及び広告代理店に提供しております。当社では、広告主のさらなる顧客満足度の向上の為、「広告効果の改善」や「広告効果の見える化」に積極的に取り組んでおり、以下の特徴と競争力を有しております。
[リアルタイムでのビッグデータ処理技術]
DSPは、SSPを経由して届く大量の入札リクエストと広告主及び広告代理店から受注した多数の広告キャンペーンによる膨大な組み合わせの取引情報をリアルタイムに処理する必要があります。RTBの広告配信は、ユーザーの媒体閲覧から広告配信までの一連の処理を100~150ミリセカンド(注9)以内に行う必要があります。そのため、DSPの処理速度が遅いとオークション取引に間に合わず、広告出稿機会を逃すタイムアウト(注10)という現象が起きてしまいます。当社のDSP「Logicad」の場合、2024年3月末現在、月間約10,300億件を超える入札リクエストに対して、2,900件を超える広告キャンペーンを運用していますが、各広告キャンペーンにおいて最適と予測した価格を瞬時に判断して応札しております。秒間最大10万件を超える膨大なオークション情報を平均数ミリセカンドでリアルタイムに処理するビッグデータ処理技術により、タイムアウトの発生を抑制している点が強みであります。
[人工知能と金融工学による入札の最適化]
DSPは、SSPからの入札リクエストに対し、広告キャンペーンごとに適切なユーザーへの適切な入札額を算出する必要があり、この「入札額算出のためのロジック」がDSPの特徴であり競争力の源泉と言えます。RTBのオークション取引における価格決定は一般的に、1,000回表示あたりの広告コストで行われます。そのため、予測精度が悪いと広告効果の低い広告を割高で購入するリスクや、広告効果の期待値を実際の効果よりも低く予測すると広告の表示機会を失ってしまうリスクが生じます。当社のDSP「Logicad」の強みのひとつは、内製開発した人工知能「VALIS-Engine(ヴァリス・エンジン)」であり、金融工学により導き出された入札戦略と「VALIS-Engine」の高精度な行動予測により、広告キャンペーン毎に、各ユーザーに応じた最適な入札価格を決定することで広告キャンペーンの投資効果向上に貢献しております。
[広告効果を改善するデータ群と人工知能「VALIS-Engine」]
DSPによる広告配信は、一般的に、広告主が保有するユーザー情報(属性情報、WEB閲覧履歴等)、SSPから得られる行動履歴データ、第三者のデータプロバイダー(注11)から得られる各種データを横断的に分析・活用することで、広告の投資対効果の改善が期待できます。当社のDSP「Logicad」の場合、2024年3月末現在、自社において約2.8億ユニークブラウザー(注12)を超えるユーザー情報(属性情報、WEB閲覧履歴等)を保有し、月間約10,300億を超える膨大なリクエスト情報を処理しておりますが、これらのビッグデータを基に、広告主やデータプロバイダー等の保有する様々なデータを組み合わせて、ユーザーの各種行動を人工知能「VALIS-Engine」により分析、広告主の広告効果改善を支援している点が特徴です。
[広告効果の見える化]
DSPは主に媒体を閲覧しているユーザーに着目して広告配信を行いますが、広告配信面である媒体に関しても、媒体毎の特性に応じた広告効果の差異や広告主のブランディングへの影響を把握して選別することが重要になります。
当社のDSP「Logicad」の場合、日々増加するRTBのオークション取引に係るビッグデータに対して拡張性の高いシステムを構築しており、媒体への広告配信状況をドメイン単位で細かく参照して調整できる点が特徴です。具体的には、ドメイン単位で広告効果の高い媒体を厳選した広告配信設定が可能であり、広告主に対してドメイン単位での配信状況を網羅した透明性の高いレポートを提供しております。また、専任の訓練された運用人員が広告キャンペーン毎に広告配信設定を調整しており、DSP以外での広告施策や外部環境の影響を考慮する等、システムだけでは対応が難しいきめ細かな運用ができる点も当社の特徴です。
[ダイレクト・レスポンス広告(注13)を中心とした積み上げ型のビジネスモデル]
広告事業は一般的に、季節変動による広告主の広告出稿需要の増減の影響を受けやすい面があります。当社のDSP「Logicad」の場合、通信販売等のダイレクト・レスポンス広告ニーズに対応したリターゲティング広告(注14)を中心に提供しておりますが、広告主の売上に直接的に結び付きやすいダイレクト・レスポンス広告はブランディング広告(注15)と比較して、広告効果が高い限りは一年を通して継続的に利用される傾向にあります。
なお、当社のDSPは、広告主及び広告代理店から受注した広告キャンペーン数と広告キャンペーン単価の積により売上が構成されておりますが、ダイレクト・レスポンス広告の特徴である広告キャンペーンの継続性、上述の「広告効果改善プロセス」及び「広告効果の見える化」により、広告キャンペーンを積み上げております。
2.マーケティングソリューション
連結子会社のSMT株式会社はクローズド型アフィリエイトサービス「SCAN(スキャン)」を提供しております。アフィリエイトサービスとは、インターネット上で商品やサービスを販売している広告主の広告を、WEBサイトやスマートフォンアプリ等の媒体に掲載し、広告掲載の成果(商品購入、会員登録の実績等)に応じて報酬を得るサービスです。当社のクローズド型アフィリエイトサービス「SCAN」の特徴は、当社の独自の審査により厳選した媒体に限定した広告出稿を行っており、広告主の投資効果の最大化を支援している点にあります。
3.デジタルソリューション
連結子会社の株式会社ASAはWebサイト、モバイル(Webアプリケーションなど)をはじめとするデジタルコンテンツの制作及び開発を行っています。
連結子会社のルビー・グループ株式会社では、ラグジュアリーブランド向けEコマースの構築・運営・コンサルティングを提供しております。
4.その他
テレビ番組表ポータル「テレビ王国」やインターネット利用支援ポータル「PreBell」の広告枠の企画及び販売を行っております。
4.用語
注1. |
ビッグデータ |
従来のデータベース管理システムなどでは処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物。 |
2. |
DSP (Demand Side Platform) |
広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォーム。媒体側の広告収益の最大化を支援するプラットフォームであるSSP(Supply Side Platform)と対になる仕組みであり、両者はRTB(Real Time Bidding)を通して、広告枠の売買をリアルタイムに行っている。「Logicad(ロジカド)」の場合、2024年3月末現在、複数のSSPと接続しており、月間約10,300億件を超えるリクエストを処理している。 |
3. |
RTB (Real Time Bidding) |
媒体を閲覧したユーザーの1インプレッション毎にインターネット広告枠の売買がリアルタイムにオークション形式で行われる仕組み。 |
4. |
インプレッション |
媒体に掲載される広告の効果を計る指標の一つで、広告の掲載回数のこと。媒体にユーザーが訪れ、広告が1回表示されることを1インプレッションという。 |
5. |
SSP (Supply Side Platform) |
媒体社側から見た広告収益の最大化を支援するプラットフォーム。RTBの技術を活用して、DSPに対してユーザーの1インプレッション毎に広告枠のオークションを行うことで媒体の広告収益最大化を支援する。 |
6. |
アドネットワーク |
複数の媒体の広告枠を束ねて広告配信ネットワークを形成し、これらの媒体に広告をまとめて配信することにより、広告配信を効率化させる仕組み。 |
7. |
アドエクスチェンジ |
複数のアドネットワークをさらにまとめてネットワーク化したもの。広告枠のオープンなマーケットプレイスとして機能しており、RTBにも対応している場合、広告主はこのマーケットプレイスを通して、DSPを利用した広告配信を行うことができる。 |
8. |
広告キャンペーン |
広告主から受託した広告を管理するための単位で、商品やサービス毎に広告キャンペーンを作成しており、広告キャンペーン毎に予算やターゲットユーザー、地域などを設定。「Logicad」の場合、同一商材であっても、PC向けとスマートフォン向けの広告で別の広告キャンペーンとしてカウントしている。 |
9. |
ミリセカンド |
時間の単位のひとつで、1,000分の1秒のこと。 |
10. |
タイムアウト |
SSPが受け付ける各DSPによるオークションの入札期限のこと。「Logicad」の場合、2024年3月末現在、平均数ミリセカンドでの入札を実現することで、タイムアウトによる広告出稿機会のロスを防いでいる。 |
11. |
データプロバイダー |
インターネットユーザーの属性情報、コンテンツ閲覧履歴、検索履歴、アクセス元履歴などのオンライン行動履歴及び会員データ等をセグメント化して、DSP事業者等に当該データを提供する事業者のこと。 |
12. |
ユニークブラウザー |
WEBサイトのアクセス数を計測する指標のひとつ。1ユニークブラウザー(UB)とは、ある一定期間内にWEBサイトにアクセスした、重複のないブラウザー数のこと。 |
13. |
ダイレクト・レスポンス広告 |
広告閲覧ユーザーからの直接的な反応を得ることを目的としており、主に顕在顧客を獲得する手段としての広告。「Logicad」の場合、通信販売や金融、デジタルコンテンツ、旅行、不動産等の商材を扱う広告主に対して、リターゲティング広告等の提供により、広告主の広告効果改善に貢献している。 |
14. |
リターゲティング広告 |
広告主の媒体を訪れたことのあるユーザーに限定して、再訪を促すような広告を配信すること。広告主の媒体に一度でも訪れたことのあるユーザーは商品やサービスに対して比較的関心が高く、未訪問のユーザーと比較して広告効果の向上が期待される傾向にある。 |
15. |
ブランディング広告 |
企業や商品・サービスのブランド向上を目的とした広告で、レスポンス広告と対になる用語。従来はテレビCM、新聞、雑誌などのマスメディアが中心に使われており、ブランドに関する情報をユーザーに伝え、認知や好意的なイメージを獲得することを目的としている。 |
5.事業系統図
以上の内容を事業系統図に示すと、次のとおりであります。
(注)親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社とは、当社グループサービスのアドテクノロジーにおいて取引を行っており、「Logicad」の広告枠の販売を行っております。
名称 |
住所 |
資本金 |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
(親会社) ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 (注)1 |
東京都港区 |
7,969 百万円 |
インターネット接続サービス |
被所有 54.08 |
広告枠の販売及び仕入、出向者の受入等 |
(親会社) ソニー株式会社 (注)1 |
東京都港区 |
3,000 百万円 |
携帯端末及びアクセサリの開発、製造、販売 |
被所有 54.08 (54.08) |
該当事項はありません |
(親会社) ソニーグループ株式会社 (注)1、2
|
東京都港区 |
881,357 百万円 |
電気・電子機械器具の製造、販売 |
被所有 54.08 (54.08) |
出向者の受入等 |
(連結子会社) SMT株式会社 (注)3
|
東京都品川区 |
30 百万円 |
クローズド型アフィリエイト「SCAN」 |
所有 100.0 |
役員の兼任、出向者の受入等 |
(連結子会社) SMNベンチャーズ株式会社
|
東京都品川区 |
35 百万円 |
コーポレートベンチャーキャピタル |
所有 100.0 |
役員の兼任、出向者の受入等 |
(連結子会社) 株式会社ASA
|
宮城県仙台市 |
30 百万円 |
デジタルコンテンツの制作及び開発 |
100.0
|
役員の兼任、出向者の受入等 |
(連結子会社) ASA America Inc. (注)5 |
米国カリフォルニア州 |
30 百万円 |
広告制作及び品質保証サービス |
所有 100.0 (100.0) |
該当事項はありません |
(連結子会社) ルビー・グループ株式会社 (注)6、7 |
東京都渋谷区 |
174 百万円 |
ラグジュアリーブランドのEコマースの構築・運営、コンサルティング等 |
100.0
|
役員の兼任、出向者の受入等 |
(連結子会社) KIMEI GLOBAL COMPANY LIMITED (注)8
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ベトナム国 ホーチミン市 |
20 百万円 |
EC開発事業 |
所有 51.0 (51.0) |
該当事項はありません |
(注)1.当社の親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、ソニー株式会社の完全子会社であり、また、ソニー株式会社は、ソニーグループ株式会社の完全子会社であり、ソニー株式会社及びソニーグループ株式会社も当社の親会社に該当しております。
2.有価証券報告書の提出会社です。
3.SMT株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1)売上高 1,381,734千円
(2)経常損益 △6,709千円
(3)当期純損益 △40,704千円
(4)純資産額 591,644千円
(5)総資産額 1,002,033千円
4.議決権の所有割合又は被所有割合の()内は、間接所有割合で内数です。
5.ASA America Inc.は、株式会社ASAの子会社であります。
6.特定子会社に該当しております。
7.ルビー・グループ株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1)売上高 1,026,070千円
(2)経常利益 4,685千円
(3)当期純利益 1,001千円
(4)純資産額 439,611千円
(5)総資産額 763,674千円
8.KIMEI GLOBAL COMPANY LIMITEDは、ルビー・グループ株式会社の子会社であります。
9.ネクスジェンデジタル株式会社、SMNメディアデザイン株式会社、株式会社ゼータ・ブリッジは、2023年9月1日付で当社を存続会社とする吸収合併により消滅したため、連結の範囲から除外しております。
(1)連結会社の状況
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2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
マーケティングテクノロジー |
346 |
合計 |
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(注)従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。また、臨時従業員数については、従業員総数の10%未満のため、記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。ま
た、臨時従業員数については、従業員総数の10%未満のため、記載を省略しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社はマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントのため、セグメント情報との関連については記載しておりません。
(3)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
管理職に占める女性労働者の割合(%) |
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(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.提出会社及び連結子会における男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務に基づく公表項目として選択しておらず公表していないため、記載を省略しております。