第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「利用者に最も近いソフトウェアを提供し、より豊かな社会を実現する。」を企業理念として掲げております。

その中で今年度当社グループは、主要事業であるライブ配信事業「ふわっち」について、ユーザー数の増大と収益の拡大を目指してまいります。

 

(2)経営環境

当社グループが事業を展開するライブ配信市場は、新型コロナウイルス感染拡大以前より継続して、急速な市場拡大を続けており、今後も高い市場成長が見込まれております。

株式会社野村総合研究所のレポート(ITナビゲーター2021年版 2020年12月17日発刊)によりますと、日本国内における動画投稿・ライブ配信市場(注)の市場規模は、2026年度には10,855億円に拡大すると予測されており、今後も利用者数は拡大していくと考えられます。

(注)「Youtube」や「ニコニコ動画」などの、消費者や企業が動画を投稿できる動画投稿サービス、および「SHOWROOM」「17LIVE」など、消費者や企業がライブ配信できるライブ配信サービスに関連する分野を「動画投稿・ライブ配信市場」と定義しております。当該市場には、動画投稿サービスおよびライブ配信サービスにおける「プレミアム会員費」「ファンクラブ会員費」「ギフティング」「アバター購入費」、動画投稿者・ライブ配信者の「関連イベントへの参加費」「関連グッズの購入費」、動画投稿者・ライブ配信者が宣伝する「商品の購入費」を含めるほか、動画投稿サービスおよびライブ配信サービス上で掲載される「インターネット広告料(広告制作費は除く)」を含みます。

 

ライブ配信市場の成長要因について、当社グループでは次の4つが寄与していると考えており、今後も成長が継続するものと当社グループでは考えております。

・テクノロジーの進展による余暇時間の拡大

モバイル技術を含むテクノロジーの進展により、生活における余暇時間が年々拡大するなか、その余暇時間の過ごし方の1つとして「ライブ配信」が人々の生活に定着

・「ライブ配信」の認知度拡大による裾野の広がり

「ライブ配信」というコミュニケーションプラットフォームの存在が、プレイヤーの増加や各社成長を通じた市場の拡大により、大衆へ広く浸透しつつあり、ライブ配信に慣れているコアなユーザー層を基盤としつつも、初めてライブ配信を行う、または視聴する新しいユーザー層へ裾野が更に広がっていく

・コロナ禍を通じて多様化したコミュニケーション手段の新文化として定着

コロナ禍において、在宅時間が増加し、おうち時間の過ごし方の1つとして「ライブ配信」は新しい文化として定着。アフターコロナにおいても、ライブ配信は新しいコミュニケーション手段として定着し、利用者の増加が見込まれることから、持続的成長の見込めるステージへ移行するものと見込まれる

・推し活、推し文化との高い親和性

お気に入りのアイドルやYouTuber等を応援する推し活が広がる中で、「推し」対象と気軽にダイレクトコミュニケーションが取れ、アイテムを送ることも可能なライブ配信が使用されるケースが多くなるものと見込まれる

 

また、総務省「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によりますと、当社グループサービスの属する「ライブ配信型の動画共有サービス」は、全年代で利用率が9.2%であり、隣接するオンデマンド型の動画共有サービスやオンデマンド型の動画配信サービスの全年代利用率88.5%と比較して、余白が大きいことから伸び代、市場拡大の余地は大きいと考えております。特に30代以降の利用率は30代11.4%、40代3.4%と現状は依然低い状況であり、10代の15.7%、20代の22.6%と比較して大きな成長ポテンシャルがあるものと考えております。また、当社グループのライブ配信サービス「ふわっち」の主力世代は30~40代であることから、利用率の向上余地が大きいだけでなく、人口構造においては、生産年齢の中心である世代がメインユーザー層を形成しており、売上拡大余地についても非常に大きいと考えております。

 

 

(3)経営戦略

 当社グループは、企業理念である「利用者に最も近いソフトウェアを提供し、より豊かな社会を実現する。」に基づき、一般消費者向けのサービスの更なる改善と収益拡大を図るとともに、エンジニア採用力を強化することとなります。

 特にライブ配信サービスにおいては、売上高の拡大と収益性の向上に向けて以下の取組みを進めております。

 

①売上高の拡大

これまで継続してサービスの機能やアイテム、仕組み等の製品面の改良を続けてきましたが、当社グループは、今後も既存路線の更なる強化を図る方針です。一つ目は、ユーザー継続率の維持・向上のためのアイテム、機能、仕組みの更なる拡張を図る方針であり、以下の施策を検討しております。

・アイテムの拡充

・配信ユーザー同士の対決機能の提供

・魅力的な特典のあるイベントの継続実施

二つ目は、配信ユーザーの多様化による新たな視聴ユーザー層の拡大に注力し、売上高の更なる拡大を図ってまいります。特に、アマチュア配信ユーザー拡大のため、競合他社で実証済であるプロ/セミプロの配信ユーザー(注)の拡充を行い、クオリティの高い配信ユーザーの拡充により、アマチュア配信ユーザー更なる拡大の呼び水とし、また配信ラインナップの充実を図ることで、異なる嗜好性の視聴ユーザー層、課金ユーザー層を獲得してまいります。

(注)プロは大手芸能事務所に所属する配信ユーザー、セミプロは大手芸能事務所以外のライバー事務所等に所属する配信ユーザーを指しております。

 

②収益性の向上

広告宣伝費はコロナ禍において強弱をつけた積極的な投資を行ってきましたが、今後は効率性を踏まえた規律ある投資を行う方針です。具体的には、デジタル広告のROAS(Return on Advertising Spend:使用した広告費に対する売上高の割合)、ROI(Return on Investment:使用した広告費に対する限界利益の割合)を重視した適正規模の成長投資を継続するとともに、黒字を確保しながら継続的な成長を図ってまいります。

また、決済手数料は決済チャネルの多様化による分散を進めることでブラウザ決済比率を向上させ、決済プラットフォーマーへの手数料を圧縮することにより、収益性の向上を図ってまいります。具体的には、課金チャネルの新規導入やブラウザ決済時の割引施策等によりブラウザ決済に誘導する為の取り組みを実施いたします。

 

 当社グループのライブ配信サービスは、30~40代をメインユーザー層としており、かつアマチュアの配信ユーザー層がマジョリティを占めることで他社と差別化を図っており、具体的には以下3点がふわっちの強みであると当社グループでは考えております。

・アマチュアがメインの多様な配信ユーザー層を形成した結果、配信の敷居が低くなり、ライブ配信に慣れていない人も配信しやすい環境であり、配信ユーザー数の増加に寄与

・配信ユーザーとの距離が近いことから、応援が配信ユーザーに届きやすく、小さなコミュニティが生み出す継続的な熱量のもと、配信ユーザーへの応援やアイテム使用が身近な風土であり、課金ユーザー数の増加に寄与

・生産年齢の中心世代で10~20代に比べて賃金の多い(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」に基づく)メインユーザー層(30~40代)であり、ARPPU(注)の堅調な推移に寄与
(注)ARPPUは課金ユーザー1人当たりの平均課金額を意味しております。以下同じであります。

 

さらに、今後は収益の多角化を企図して、以下のライブ配信市場に隣接する領域への展開を視野に事業の多様化を推進していきます(現時点においては、計画段階であり、今後変更となる可能性があります)。

(ⅰ)バーチャル配信

バーチャル配信機能の提供により、任意のキャラクター等になりきった配信が可能となり、新しい配信スタイルの拡充となることから新たな配信ユーザー層の獲得、それに伴う課金ユーザーの獲得による収益拡大を図ります。

 

 

(ⅱ)デジタルコンテンツ販売

配信ユーザーのボイスやオリジナルグッズ等のデジタルコンテンツの販売の仕組みの提供を通じて、利益率の向上を図ります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでの主力サービスは、一般消費者向けのライブ配信事業「ふわっち」です。当該サービスは、配信ユーザー、課金ユーザーのそれぞれが多数かつバランスよく存在することで成立するサービスであることから、当社グループは、配信ユニークユーザー数(注)、課金ユニークユーザー数、及びARPPUを重要な経営指標と位置付けております。

(注)ユニークユーザー数は「重複込みなしの合計ユーザー数」を意味しております。以下同じであります。

 

「ふわっち」の収益構造は以下の算式のとおりです。

「ふわっち売上高」=「課金ユニークユーザー数」×「ARPPU」

 

さらに課金ユニークユーザー数は、MAU(月間アクティブユーザー)と課金比率(=課金ユニークユーザー数÷MAU)で構成されております。従って、課金ユニークユーザー数の増加の為、MAUの増加施策、課金比率の向上施策が重要であると考えております。

今後も配信ユニークユーザー数、課金ユニークユーザー数の継続的な増大、ARPPUの持続可能な水準での成長に注力し、企業価値の向上を図っていく方針です。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  当社グループの優先的に対処すべき主な課題は以下のとおりであります。なお、優先的に対処すべき財務上の課題はございません。

① ユーザー獲得の強化

当社グループが持続的に成長するためには、当社グループ及び当社グループのサービスの知名度を向上させ新規ユーザーを継続的に獲得し、ユーザー数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのためには、効果的な広告宣伝活動等により当社グループ及び当社グループサービスの知名度を向上させるよう努めてまいります。

 

② サービスの健全性の確保

当社グループが提供するサービスは、サービス内でユーザー同士がコミュニケーションをとることが可能であるため、ユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できるようにサービスの健全性を確保する必要があります。当社グループは、サービスの健全性を確保するため、ユーザーに対し、利用規約やガイドラインにおいて、誹謗中傷行為や、出会いを目的とする行為、他人の権利侵害に該当する行為、公序良俗に反する行為等の社会的問題へと発展する可能性のある不適切な行為や違法な行為等の禁止を明示しているほか、ユーザー間のコミュニケーションのモニタリングを随時行い、規約やガイドラインに違反したユーザーに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じ、サービス内における注意喚起を行うなどの対応を行っております。

 

その他、当社グループは、以下のような取組みを行うことで、健全なプラットフォームの構築に努めております。

(a)配信時のルールを定めたガイドライン及び視聴時のルールを定めたガイドラインを含む各種ガイドラインの設置と運用

(b)利用規約や各種ガイドラインの違反事例の例示を用いたユーザーへの啓蒙活動

(c)外部リソースも活用した人員配置による365日24時間リアルタイムでの監視体制の構築及び監視基準に基づいた配信停止措置の随時実施

(d)利用規約や各種ガイドラインへの違反が確認されたユーザーの確実な抽出と当該ユーザーへの改善要請及び違反内容や累積違反状況に応じた一時的な利用制限や強制退会措置の実施

(e)毎週実施の定例会議を通じて監視体制や監視基準に関する課題の抽出と改善を推進

 

 当社グループは、サービス等を利用する上でのマナーや注意事項等を明確に表示し、モニタリング・システムの強化やサービス内パトロール等のための人員体制の増強等、システム面、人員面双方において監視体制を、サービスの拡大に即して継続的に強化し、健全性の更なる確保に努めてまいります。

 

③ 組織の機動性の確保

当社グループの属するIT業界は、他の業界に比べて環境変化のスピードが速く、その変化への迅速な対応が不可欠であります。組織の規模拡大による機動性の低下等の弊害を排除するため、適切な人員配置、事業展開に応じた組織体制の整備により、意思決定の機動性の確保を図ってまいります。

 

④ 優秀な人材確保及び育成

当社グループは、今後、より一層の事業拡大のため、人材の確保及び育成を重要な課題と認識しております。当社グループの事業内容に共鳴する優秀な人材を確保し、持続的な成長を支える人材を育成すべく採用活動を強化してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

当社グループは今後も更なる業容拡大を図るため、当社グループの成長段階に沿った内部管理体制の強化が必要と認識しております。そこで当社グループは内部統制に基づき業務プロセスの整備を行い、業務を有効的かつ効率的に行ってまいります。また、内部管理体制を充実するために、コンプライアンス・リスク管理委員会で適時にリスク管理を行い、研修や社内勉強会等を開催し内部統制及びコンプライアンスの強化に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは「利用者に最も近いソフトウェアを提供し、より豊かな社会を実現する。」という経営理念の下、持続的な成長及び長期的な企業価値の向上を目指し、さまざまな事業に取り組んでいます。「時代の変化に合わせたスピーディーなサービス開発力」を活かして、リテラシーの高い人々だけではなく、すべての方々が恩恵を受けられるようにこれまでも、これからも当社グループは誰もが便利で、楽しく、軽やかに利用できるソフトウェアを世の中に創出していくことを目指していきます。

 これらの考え方のもとで、当社グループにとってのサステナビリティとは、事業を通して社会課題の解決に寄与することであり、当社グループの持続的な成長が、社会の持続的な発展に貢献できるような世界を目指すことです。その実現に向けて、長期的な視点で持続的に社会価値と経済価値を創出できるよう、様々なサステナビリティに関する取り組みを推進していきます。

 特に、当社グループにとっての重要なサステナビリティ課題は、人的資本経営及びライブ配信事業の「ふわっち」におけるサービス健全性の確保であると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、取締役会において、上記のサステナビリティの観点を含む経営の重要な意思決定及び業務執行の監督を行うとともに、監査役会設置会社として、取締役会から独立した監査役及び監査役会により、職務執行状況等の監査を実施しております。そして、会社の意思決定機関である取締役会の機能充実、監査役及び監査役会による取締役の職務執行に対する監視機能の充実、職務遂行上の不正を防止する内部統制機能の充実を図ることに注力しています。

また、当社グループのコンプライアンス及びリスク管理の状況を把握し、必要な情報の共有化を図るとともに、適切なリスク管理を実施しています。その一環として、全社的にコンプライアンス及びリスク管理を推進するため、当社グループは代表取締役社長を委員長としたコンプライアンス・リスク管理委員会を設置しております。当委員会は、コンプライアンス及びリスク管理の推進・遵守状況、コンプライアンス違反事項及びリスク発生事項を取締役会に報告し、取り組みを啓発・推進しております。特に当社グループのプラットフォームのサービス健全性の維持・改善にとって、当委員会の役割は重要であり、加えて、取締役会等においても、弁護士としての知見を有する社外役員を含めてかかる課題について議論を行っております。

当社グループは、継続して経営の透明性や公正性を高めるために、法定開示書類の提示を適切に行うとともに、当社グループホームページ等を利用したIR活動を積極的に実施する方針であります。

詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

■人的資本経営の取り組み

当社グループは、フィーチャーフォン向けアプリケーションのサービスをスタートに、様々なサービスを展開し、技術革新とともに数々のサービスを提供し続けてきました。2009年のiPhone3Gの発表と、その後の4Gの大容量・通信網の整備により、新たなサービスの展開と消費者の嗜好の高度化・多様化が進む中でも、変化する消費者の嗜好に、いち早く対応しながら、サービスを開発し続け、2015年にライブ配信の新サービスである「ふわっち」を開発し、事業を大きく拡大いたしました。そのような中、当社グループは、従業員は重要な資本であり、優秀な人材を育成し、組織を強化することが会社の持続的成長に繋がると考えております。今後も時代の変化に合わせたスピーディーなサービス開発が可能となるよう、多様なバックグラウンドを有し、事業視点・ユーザー視点・組織視点を持ちながら、様々な挑戦をし続け、自ら主体性を持って決断し、自走できる人材を採用・育成していきたいと考えております。

人材育成の観点においては、従業員一人ひとりが自走しながら最大限のパフォーマンスを発揮できる社内環境を提供し、キャリアにおける挑戦を後押しできるような制度を整備しております。社内環境面としては、エンジニアにとって最適な環境を整えた開発拠点「鯖江開発センター」を2022年8月に建設し、本店移転するなど、職場環境にも配慮し、スピードのあるPoC(Proof of Concept)の実現を図っております。また、東京本社においても既存事業の成長の加速、新規事業への取組強化、それに伴う採用強化に対応すべく、2024年秋頃を目途にJR渋谷駅直結の「渋谷サクラステージ SHIBUYAタワー」に移転することを予定しております。加えて、時代の潮流に合わせてイノベーションを生み出し続けるためには、社内を活性化させ、常に変化していく組織を築きあげることが重要であると考えていることから、エンジニア全従業員を対象に、グローバルで流行しているテーマ、ツールやシステム等を活用したビジネスアイディアを発案するためのイベントを開催する等、アイディアの創出だけでなく、社内コミュニケーションの活性化も図っております。従業員の心と体のリフレッシュを推奨し、かつ、社内コミュニケーションを活性化するため、グループを横断して親睦を深めることができるイベント等を定期的に開催しております。また、従業員個人を対象とする制度として、「発明考案取扱規程」を設け、発明考案の権利保護を前提に、役員及び従業員が自由にビジネスアイディアを発明考案できる環境としております。従業員の成長支援としても、全従業員に対して、個々の業務遂行レベル向上のための自己投資に関して当社グループが一定金額を補助するといった「成長支援制度」を導入することで、人的資本の価値最大化、それに伴う中長期的な当社グループの企業価値の向上を図っております。さらに、当社は、経営に携わる人材登用の機会の拡大による次世代経営層の育成、当社の競争力強化及び業績向上を目的の1つとして、2023年6月27日より執行役員制度を導入しております。

人材採用の観点においては、当社グループの成長角度が上がり、事業の幅や難易度も変わっている中で、いまの時代にあった採用手法を考え続けていかなければ優秀な人材の採用できないと考えております。過去の体験を振り返りながら課題を分析し、アップデートし続けていく方針です。人材が重要な競争力の源泉であるという考えのもと、2023年度新卒社員より初任給の引き上げ(月額300,000円(2022年4月新卒入社対比+50,000円))を実施しました。世の中においても人的資本拡充の流れが強まる中、当社グループの持続的成長を担っていく人材に対し、今後もより一層投資をしていく姿勢を示したいと考えております。また、取締役 創業者の福野泰介は高専プロコン、高専DCON、高専WiCON、起業家甲子園等にて各種メンターや審査員を務め、将来のデジタル人材の育成を推進し、全国の高等専門学校とのリレーションを築いております。これらの取り組みにより、ITリテラシーの高い高等専門学校生を毎年一定数採用するなど、安定的なエンジニアリソースの確保を実現しております。

 

■サービス健全性の確保

当社グループが提供するサービスは、サービス内でユーザー同士がコミュニケーションをとることが可能であるため、ユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できるようにサービスの健全性を確保していくことが重要であり、ひいては当社グループの持続的な成長に寄与すると考えております。当社グループは、ライブ配信プラットフォームの健全性を確保するために、様々な仕組みの構築に取り組んでいます。具体的には、ユーザーに対し、利用規約やガイドラインにおいて、誹謗中傷行為や出会いを目的とする行為、他人の権利侵害に該当する行為、公序良俗に反する行為等の社会的問題へと発展する可能性のある不適切な行為や違法な行為等の禁止を明示しているほか、ユーザー間のコミュニケーションのモニタリングを随時行い、規約やガイドラインに違反したユーザーに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じ、サービス内における注意喚起を行うなどの対応を行っております。

今後も適切なサービス利用を促進させるためにサービスを利用する上でのマナーや注意事項等をより一層明確に表示し、モニタリング・システム等の強化やサイト・パトロール等のための体制の増強など、システム面、人員面双方において監視体制を強化し、健全性維持の取り組みを継続していきたいと考えております。サービス健全性に関する当社グループの取り組みの詳細及びリスクにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ②サービス健全性の確保」及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (11)サービス健全性に関するリスク」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについて、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として、四半期ごとに開催するコンプライアンス・リスク管理委員会で検討・モニタリングを実施し、適切な管理に努めております。具体的には、代表取締役社長を委員長とし、社外取締役を含む一部の取締役及び内部監査担当とともにリスクの抽出やその対応方針・今後の課題等について、優先度を選別・評価し、迅速な意思決定を図っております。また特定したリスクについては、必要に応じて、取締役会にてリスクの緩和・移動・受容・コントロールについて検討しております。また、サステナビリティ課題に関する機会についても取締役会を中心に検討をしております。

 

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記(2)に記載のとおりサステナビリティ戦略において人的資本を重要テーマの一つとして掲げております。従業員が働きやすい環境整備に向けて、当社グループは非財務指標として、「離職率(定年退職を除く)」、「有給消化率」、「女性取締役・監査役数」を設定し、中長期的に維持・向上を図っていきます。2024年3月期においては、鯖江に勤務しているエンジニア社員における離職率(定年退職を除く)は5.9%と低水準で推移しており、会社と個人との「選び選ばれる関係」の基盤が構築され、また「有給消化率」についても77.1%と高い消化率を維持しており、従業員の働きやすい環境が整備されていると考えております。「女性取締役・監査役数」については、2024年3月期においては1名であり、2025年3月期においては女性取締役及び女性監査役をそれぞれ1名ずつの計2名を追加し、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進を図っていきます。

 

 

中長期目標

2024年3月期実績

離職率(定年退職者除く)(注1)

現状の水準の維持を目指す

5.9

有給消化率(注2)

現状の水準の維持を目指す

77.1

女性取締役・監査役数

1以上

1名(2025年3月期3名)

 

注1.鯖江に勤務しているエンジニア社員を対象

注2.有給消化率とは、期中の有給付与日数に対する有給消化日数を指す。全従業員を対象

 

 

3 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものが挙げられます。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生時の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)モバイル関連市場について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループは、スマートフォンの普及及びインターネットの高速化・低価格化に伴って、ユーザー数、売上等は順調に拡大を続けており、今後もこの傾向は継続するものと認識しております。しかしながら、通信に対する法規制の導入、通信費の増加、通信障害の発生、携帯電話やインターネットの通信事業者との関係の悪化、スマートフォンや各種オペレーティングシステムの仕様変更等による当社グループのサービス継続提供に対する支障発生等が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

今後、高い資本力や知名度を有する企業等の参入による競争の激化とユーザーの流出やユーザー獲得コストの増加等により、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。そのような場合には、当社グループが今後競争優位性を発揮し、企業価値の維持向上が図れるか否かにつきましては不確実であり、競合他社や競合サービスの状況により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)技術革新への対応について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループはインターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい業界となっております。また、ハード面においては、スマートフォンの普及が順調に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。
  このため、当社グループはエンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備、また、特にスマートフォンに関する技術・知見・ノウハウの取得に注力しております。
 しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また、技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの技術力低下、それに伴うサービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)ユーザーの嗜好の変化について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループの開発運営するスマートフォンアプリでは、ユーザーの嗜好の変化は非常に激しくなっております。当社グループでは、ユーザーの嗜好に合うサービスの開発及び運営を行うために、マーケティング調査等を行い、ユーザー利便性の高いサービスを提供するように努めております。
 しかしながら、ユーザーの嗜好の変化への対応が遅れた場合や新規参入企業や競合他社のサービスとの十分な差別化が図れない場合には、想定より収益が減少する可能性があります。その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)システムに関するリスク

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社グループの事業は、携帯電話やPC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は深刻な影響を受けます。また、当社グループの運営する各サイトへのアクセスの急激な増加、データセンターへの電力供給やクラウドサービスの停止等の予測不可能な要因によってコンピュータ・システムがダウンした場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

なお、当社グループのコンピュータ・システムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)自然災害、事故等について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社グループでは、自然災害や事故等に備え、定期的なバックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの未然防止又は回避に努めておりますが、当社グループ所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループ設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)ライブ配信サービスへの依存について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社グループの営業収益は、ライブ配信サービスにおける視聴ユーザーが使用するアイテムの販売が収益全体の約99%を占めております。今後も広告宣伝等のマーケティング施策によるユーザーの増加、機能提供の拡充、事業規模拡大を通じた認知度向上等により、収益規模は拡大していくものと考えておりますが、新たな法的規制の導入や改正、その他予期せぬ要因によって、当社グループの想定通りにライブ配信サービスが伸長しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8)特定のプラットフォーム事業者の動向について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

現状において、当社グループの売上に関しスマートフォンアプリサービスの比率が高いことから、Apple Inc.及びGoogle Inc.の2プラットフォーマーへの収益依存が大きくなっております。

しかしながら、これらプラットフォーマーの事業戦略の転換や動向によっては、手数料率の変動等何らかの要因により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループはプラットフォーム事業者のガイドラインを適切に遵守することを定めた「アプリ審査及びリリースにかかる基本方針」に従ってサービスを運用しておりますが、プラットフォーム事業者の方針変更などにより、当社グループの提供するライブ配信アプリや当社グループのアカウントがプラットフォーム事業者により削除された場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)不特定多数の者を対象とする事業について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループのライブ配信サービスにおいて、有料課金サービスの利用により発生するユーザーに対する売上債権は、その多数を小口債権が占めております。決済代行業者の回収代行サービスを利用していること等により、未回収債権が発生する割合は限定的であると認識しておりますが、サービス利用者の拡大に伴い、未回収となる小口債権が急増した場合には、その債権回収コスト及び未回収債権が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(10)風評リスクについて

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社グループ及び当社グループが提供するサービス並びに当社グループが提供するサービスを利用するユーザー等に対する否定的な書き込みがインターネット上等で発生し、その書き込みを要因としたSNS等での拡散やマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散された場合には、それが事実に基づくものであるかどうかに関わらず、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、定期的にインターネット上の風評を調査し、これらの風評の早期発見及び影響の極小化に努めておりますが、外的要因・予測不可能な要因により発生するものも多く、本リスクの顕在化する可能性、程度及び時期を具体的に予測することは困難であります。

 

(11)サービスの健全性に関するリスク

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループは、モニタリングが必要なすべてのサービスにおいて、ユーザー等のモニタリングを常時行っており、規約に違反したユーザーに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じるよう努めております。さらに、適切なサービス利用を促進させるためにサービスを利用する上でのマナーや注意事項等をより一層明確に表示し、モニタリング・システム等の強化やサイト・パトロール等のための体制の増強など、システム面、人員面双方において監視体制を強化し、健全性維持の取り組みを継続しております。

また、当社グループが提供する一部のサービスは、不特定多数のユーザーが、各ユーザー間において独自にコミュニケーションを取ることを前提としております。当社グループは、健全なコミュニティを育成するため、利用規約において社会的問題へと発展する可能性のある不適切な利用の禁止を明示しております。

しかしながら、急速にユーザー数が拡大しているサービスにおいては、ユーザーによるコンテンツ内の行為を完全に把握することは困難となり、ユーザーの不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合に、利用規約の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、レピュテーション・リスクを伴って当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

なお、事業規模の拡大に伴い、サービスの健全性の維持、向上のために必要な対策を継続して講じていく方針でありますが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延等が生じた場合や、対応のための費用が想定以上に増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)為替変動について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社グループは、ライブ配信事業において一部Amazon Web Servicesのサーバーを利用しております。当該取引の料金体系は米ドルベースで定められていることから、事業計画作成時点の為替相場からレートが、大きく変動する場合にはサーバー費用が計画対比で増減し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)小規模組織について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社グループは小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社グループは今後の急速な事業拡大に応じて、従業員の育成、人材の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(14)内部管理体制について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらには健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。また、当社グループでは内部管理体制の充実に努めておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(15)知的財産権に関するリスク

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループは、運営するサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払っております。

しかしながら、今後当社グループが属する事業分野において第三者の権利が成立した場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性、並びに、権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があり、また当社グループの知的財産権が侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)当社グループのサービスに関連する法的規制について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社グループが運営しているサービスにおいては各種法的規制を受けており、具体的には、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「資金決済法」等といった法的規制の対象となっております。当社グループでは、上記を含む各種法的規制に関して、法令遵守体制の整備・強化、社員教育を行っております。

しかしながら、今後当社グループのサービスに関連する法的規制の制定又は改正がなされることで、当社グループの業務の一部が制約を受ける場合、又は新たな対応を余儀なくされる場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(17)訴訟等について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

ユーザーによる違法行為やトラブル、第三者の権利侵害等があった場合には、当社グループに対してユーザーその他の第三者からの訴訟その他の請求を提起される可能性があります。一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、または損害を被った場合には、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性があります。

このような場合には、その訴訟等の内容または請求額によっては、当社グループの経営成績、財政状態及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)個人情報の管理について

発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社グループは、ユーザーの氏名、住所、メールアドレス等の個人を特定しうる重要な情報を保持しております。そのため、個人情報保護規程等に基づき情報管理体制の強化に取り組んでおります。

しかしながら、何らかの事情で重要な情報が漏洩した場合には、当事者に対する損害賠償や信用失墜により、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 a.経営成績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、社会・経済活動の正常化が徐々に進んだことから、企業収益の改善や個人消費の持ち直しの動きもみられ、緩やかに景気回復の基調で推移しました。一方で、依然として世界的な物価上昇、長期化する不安定な国際情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があり、先行き不透明な状況が続いております。

そのような状況の中、当社グループが主に事業展開を行うスマートフォン関連市場においては、2024年4月の内閣府『令和6年3月実施調査結果:消費動向調査』の報告によりますと、2024年3月末の国内スマートフォン世帯普及率は前年度比1.2ポイント増の93.8%と増加を継続しております。

また、日本におけるライブ配信市場は、市場規模の成長が継続する中、新たに参入する企業や、競合各社における積極的な広告宣伝販促活動、配信ユーザーの囲い込み等が継続し、競争は引き続き激化しております。

このような事業環境のもと、当社グループにおきましては、ライブ配信事業の「ふわっち」は前事業年度に引き続き新たなアイテムや機能の提供を通じてユーザーへの利便性や満足度を高めつつ、新たなイベントの開催を通じてユーザーを飽きさせない施策を定期的に実施し、加えて効率的な広告宣伝活動を行うことによって、配信ユニークユーザー数及び視聴ユニークユーザー数を引き続き伸ばしてまいりました。

当連結会計年度の経営成績は、売上高12,247百万円(前年同期比16.6%増加)、営業利益1,804百万円(前年同期比82.3%増加)、経常利益1,823百万円(前年同期比84.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益1,214百万円(前年同期比24.2%増加)となりました。

 

b.財政状況

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は5,715百万円となり、前連結会計年度末より1,462百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,632百万円、売掛金の増加56百万円、未収還付消費税等の減少21百万円、有形固定資産の減少2百万円、無形固定資産の増加3百万円、繰延税金資産の減少257百万円によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は2,460百万円となり、前連結会計年度末より343百万円の増加となりました。これは主に、未払金の増加111百万円、未払法人税等の増加117百万円、未払消費税等の増加85百万円、ポイント引当金の増加21百万円、長期借入金の減少67百万円、預り保証金の増加60百万円によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は3,254百万円となり、前連結会計年度末より1,118百万円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上1,214百万円、配当金の支払による96百万円の支出によるものであります。この結果、自己資本比率は56.93%となり、前連結会計年度末の50.20%に比べ、6.73ポイント上昇いたしました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ1,632百万円増加し、3,420百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、1,875百万円(前年同期は843百万円の収入)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益の計上1,823百万円、ポイント引当金の増加21百万円、未収還付消費税等の減少21百万円、未払金の増加103百万円、未払消費税等の増加85百万円及び預り保証金の増加60百万円によるものであります。主な減少要因は、売上債権の増加56百万円及び法人税等の支払額234百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、79百万円(前年同期は228百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出3百万円、無形固定資産の取得による支出5百万円及び差入保証金の差入による支出70百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、163百万円(前年同期は241百万円の収入)となりました。これは長期借入金の返済による支出67百万円及び配当金の支払による支出96百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日 

 至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

一般消費者向け関連 計(千円)

12,219,364

+16.4

自治体向け・企業向け関連 計(千円)

27,684

+259.2

合計

12,247,048

+16.6

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。下表の主な取引先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

    至 2023年3月31日

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

Apple Inc.

3,584,388

34.12

3,274,438

26.74

Google Inc.

2,512,685

23.92

2,346,364

19.16

株式会社DGフィナンシャル

テクノロジー

2,118,663

20.17

3,025,349

24.70

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容等

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、12,247百万円(前年同期比116.6%)となりました。

 売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、550百万円(前年同期比106.9%)となりました。

 主な要因は、ライブ配信事業の「ふわっち」の配信ユニークユーザー数及び視聴ユニークユーザー数増大に伴うサーバー費用の増加及び人件費増加に伴う開発原価の増加によります。この結果、売上総利益は11,696百万円(前年同期比117.1%)となりました。

 

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、9,892百万円(前年同期比109.9%)となりました。

 主な要因は、ライブ配信事業の「ふわっち」の配信ユニークユーザー数及び視聴ユニークユーザー数増大のための販売促進費が増加したこと、及び売上高増加に伴い決済手数料及びポイント引当金繰入が増加したことによるものです。この結果、営業利益は1,804百万円(前年同期比182.3%)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度において、営業外収益は23百万円、営業外費用は3百万円発生しました。

 主な要因は、助成金収入を計上したことによるものです。この結果、経常利益は、1,823百万円(前年同期比184.9%)となりました。

 

(特別損益、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度において、前期に引き続き、特別損益の計上はありません。税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を608百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,214百万円(前年同期比124.2%)となりました。

 

 なお、当社グループの事業セグメントは、一般消費者向け関連事業と自治体向け・企業向け関連事業でありますが、一般消費者向け関連事業の全セグメントに占める割合が高く、自治体向け・企業向け関連事業は開示情報としての重要性が乏しいことから、セグメント情報の記載を省略しております。

 また、財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状況」に、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

②資本の財源及び資金の流動性に関する分析

 当社グループは、事業活動の維持・拡大に必要なユーザーへの報酬支払、マーケティング投資等に要する資金を安定的に確保するとともに、手元資金の流動性を確保するため、金融機関からの借入等の外部資金を有効に活用しております。

 一般消費者向け関連事業の売掛金回収までに必要な支払い等の短期資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか金融機関から短期借入を行い、流動性の確保に努めております。また、開発センターの建設等の設備投資や長期資金需要につきましては、金融機関からの長期借入やリースの活用を基本としておりますが、必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを勘案した上で優先順位を検討して実施する予定です。現時点で、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はありませんが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めて参ります。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は354百万円です。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等)」に記載のとおり、主な経営指標として配信ユニークユーザー数、課金ユニークユーザー数、課金総額を経営上重要な指標として位置付けております。課金総額の拡大には、課金ユニークユーザー数の拡大が必要であり、そのためにはマーケティング活動による外部からの獲得や既存の非課金ユーザーの課金ユーザーへの転化促進、また配信ユーザー数の拡大によるプラットフォームとしての魅力、多様性の向上が必要と考えております。今後も各指標の拡大に注力していく方針です。

 2024年3月期は前期に引き続き、各指標は順調に拡大しており、第4四半期における月次平均の配信ユニークユーザー数は26,599人(前年同期比3.4%増)、月間5万ポイント以上獲得する月次有力配信ユニークユーザー数は1,821人(前年同期比4.2%増)、課金ユニークユーザー数は40,597人(前年同期比11.5%増加)となりました。また、第4四半期における課金ユーザー1人当たりの月次平均課金額は25,960円となりました。

 上記のとおり、課金ユニークユーザー数は堅調に増加し、月次ARPPUも持続可能な適正水準で推移していることから、安定的に収益獲得が見込める状況と考えております。

 

⑤重要な会計方針及び見積り及び当該見積に用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び負債の残高、収益及び費用等に影響を与える過程や見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる合理的見積りを行っております。しかしながら、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれからの見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

a. 繰延税金資産の回収可能性

  当社グループは、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。

繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっては、将来の課税所得見積りを慎重に検討しておりますが、その見積りの前提となる条件や仮定に変更が生じ、繰延税金資産の一部又は全額の回収が困難と判断した場合には、繰延税金資産を取り崩し、同額を法人税等調整額として計上することで、当社グループの業績を悪化させる可能性がございます。

 

 ⑥経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況  1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) スマートフォン等端末向けアプリプラットフォーム事業者との契約

 

契約会社名

相手先の名称

相手先の
所在地

契約内容

契約期間

株式会社A Inc.

Apple Inc.

米国

iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

1年間

(1年毎の自動更新)

株式会社A Inc.

Google Inc.

米国

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

定めなし

 

 

6 【研究開発活動】

金額が僅少なため、記載を省略しております。