当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「創造と開発」を基本とし、常に世界最高の技術に挑戦し、製品を通じて科学の進歩と社会の発展に貢献することを経営理念としております。創業以来培ってきた独自の技術と人脈を基に事業拡大を加速し更なる高収益化を実現し、「世界の科学技術を支えるニッチトップ企業」となることを目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画「Evolving Growth Plan」を策定しております。
今般の中期経営計画「Evolving Growth Plan」では、前中期経営計画「Triangle Plan 2022」の基本的なビジョンである「70年目の転進」をさらに進めていくことで事業規模の拡大と高収益化を実現してまいります。
具体的には「YOKOGUSHI」戦略をさらに発展させるとともに、研究開発力、ものづくり力、サービス力のUPにより顧客満足度の向上を図ることを通じ、事業規模の拡大と高収益化につなげます。また、より長期的かつ持続的な成長を実現するために必要な「次の打ち手」についても、新中期経営計画の次を見据え継続して改善・強化に取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。
(4)経営環境
当連結会計年度における我が国の経済状況は、物価高によるマイナス影響が一部見られるものの、底堅い設備投資需要やインバウンド需要回復などが下支えとなり、緩やかな回復傾向にあります。一方で、イスラエル・パレスチナ情勢およびウクライナ情勢などの地政学的リスクや円安に起因する原材料・エネルギー価格の高止まり、中国経済減速など、景気の先行きが不透明な状況が続いております。
当社におきましては、当連結会計年度末受注残および足元の売上状況より、現時点では大きな影響はないものと判断しておりますが、今後の事業環境の推移を注視し、経営方針および経営戦略について見直しが必要と判断した場合には適時開示してまいります。
(5)事業上および財務上の対処すべき課題
中期経営計画「Evolving Growth Plan」では、前中期経営計画「Triangle Plan 2022」の基本的なビジョンである「70年目の転進」をさらに進めていくことで事業規模の拡大と高収益化を実現してまいります。具体的には「YOKOGUSHI」戦略をさらに発展させるとともに、研究開発力、ものづくり力、サービス力のUPにより顧客満足度の向上を図ることを通じ、事業規模の拡大と高収益化につなげます。また、より長期的かつ持続的な成長を実現するために必要な「次の打ち手」についても、新中期経営計画の次を見据え継続して改善・強化に取り組んでまいります。
基本的な考え方
(1) 成長ビジョン「70年目の転進」の考え方は不変
創業以来培ってきた独自の技術と人脈を基に事業拡大を加速し更なる高収益化を実現してまいります。
(2) YOKOGUSHI戦略の強化・発展
YOKOGUSHI戦略を従来の製品展開のみならず事業展開、データ活用へ発展させ、顧客により高い付加価値を提供してまいります。
(3) 高収益化に向けた取り組み
参入障壁の構築、収益力向上に加え事業支援の強化に全社で取り組んでまいります。
(4) 顧客への価値/社員・人材/売上・利益の3つのGrowthの実現
事業規模の拡大に向け、バランスの良い成長を実現してまいります。
(5) SDGsへの取り組み
事業活動とESG活動の二つの点からマテリアリティ(重要な社会課題)に取り組んでまいります。
当社グループは、引き続き、事業構造の変革と安定した収益構造の構築に努めるとともに、グループ一体となって環境保全に取り組み、また、コンプライアンスの強化を図り、企業倫理を徹底し、良き企業風土を醸成して、持続的成長のための経営基盤の強化に努めてまいります。
(1)サステナビリティ全般
当社グループは、“日本電子は、「創造と開発」を基本とし、常に世界最高の技術に挑戦し、製品を通じて科学の進歩と社会の発展に貢献します”という経営理念のもと、科学技術の振興に寄与する活動を続けております。
科学技術の振興に寄与し、科学の進歩と社会の発展に貢献するために、当社グループは環境と社会の持続可能性への貢献と健全な事業活動による社会課題の解決を通じて企業価値の向上を追求してまいります。また、その事業活動が株主・取引先・顧客・従業員などのステークホルダーや環境に与える影響に十分配慮して行動するとともに、ステークホルダーとの対話を通じて信頼を築くよう努めてまいります。
①ガバナンスおよびリスク管理体制について
当社では、サステナビリティ全般に関する重要課題の審議・検討やリスク管理について下図の体制を構築しております。各部門(事業部・本部・グループ会社)では、自らのサステナビリティに関する課題やリスクの抽出、評価、コントロールを実施しており、内部統制・リスクマネジメント推進を担う各委員会が全社的なリスクコントロールを実行しております。これらの委員会がサステナブル課題を含むリスク情報を集約して、審議すべき全社重要リスクを取りまとめ、代表取締役社長兼CEOを委員長とし、社外弁護士も参加するCSR委員会へ報告します。CSR委員会ではこの報告内容について審議・検討を行い、各部門に諮問・提言するとともに結果を取締役会および監査役会に報告します。これら一連の流れにより経営層がサステナビリティに関する全社重要リスクの審議と決定に関与する仕組みとなっております。
なお、当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方および企業統治の体制の概要については、「
(2)気候変動
当社グループは、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しており、2021年に新たに特定した「地球環境の保全と持続可能性に貢献」を重要なマテリアリティと位置づけ、TCFDの提言に準じた気候変動シナリオの分析やガバナンス/リスク管理体制の開示、温室効果ガス(GHG)の継続的な算定を進めています。
①ガバナンスについて
2006年には、サステナビリティの取り組みを効率的に進めるための専門組織であるCSR委員会を立ち上げました。取締役会は委員会で検討した気候変動に関する課題について審議、必要に応じて委員会へ諮問を行い、これらの課題の決定と取り組み(KPIとしてのGHG排出量の削減など)をCSR委員会委員長の責任のもと、モニタリングします。
②戦略について
当社グループは、2種のシナリオ(1.5℃および4℃)に基づき事業に与えるリスク・機会に関して、以下の項目を抽出し、対応策を立案しております。
■リスク
1.5℃シナリオにおいては規制の強化によるエネルギー転換にかかる費用の増加、低炭素商品のニーズへの対応不足による売上減少、4℃シナリオでは自然災害の激甚化による費用の増加リスクが予想されます。
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リスク |
分類 |
ドライバー |
リスク内容 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
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移 行 リ ス ク |
法規制・政策 |
炭素価格の導入・炭素価格の高騰 |
自社排出量(Scope1-2)に対する費用の発生 |
中期 |
中 |
[Scope1] 省エネ設備の導入・設備の電化 [Scope2] 再生可能エネルギーの導入 |
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法規制・政策 |
再生可能エネルギー価格の高騰 |
電源構成において再生可能エネルギーの割合が高まった場合の電力費用の増加 |
中期 |
小 |
・PPAによる再生可能エネルギーの導入 ・自家発電設備導入による再生可能エネルギーの導入 |
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|
法規制・政策 |
炭素価格の導入・炭素価格の高騰 |
サプライヤーの製造コストが増加し原料への価格転嫁が発生した際の調達コストの増加 |
中期 |
小 |
・GHG排出量が少ない(課税額)が少ないサプライヤーへの切替 ・サプライヤー企業へGHG算定、削減依頼 |
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技術 |
低炭素製品の開発 |
低炭素商品のニーズの増加に対応できず、低炭素商品を開発できなかった際の売上の減少 |
中期 |
大 |
・CO2排出削減効果の高い技術の開発・実証を進め、同業他社との差別化を行う |
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評判 |
情報開示対応 |
半導体・スマホメーカーからの情報開示要請の増加や規格の厳格化の中で対応ができなかった際の売上の減少 |
短期~中期 |
大 |
・継続的なステークホルダーへの情報開示 ・気候変動に関する外部格付けへの対応 |
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物 理 リ ス ク |
急性 |
自然災害の激甚化 |
台風等の自然災害における車両損傷対応(自動車保険料)の負担の増加 |
短期~中期 |
小 |
・自動車の浸水対策の計画 |
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急性 |
自然災害の激甚化 |
災害対策のためのBCP対策によるコストの増加 |
中期 |
小 |
・BCP対策拠点の抽出 ・対応策の検討および実施スケジュールの明確化 |
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|
急性 |
自然災害の激甚化 |
自然災害によるサプライチェーンの分断による製造停止に伴う売上の減少 |
中期 |
中 |
・サプライチェーンの多角化 |
■機会
環境配慮型事業の拡大や気温上昇による新薬開発需要の拡大に伴う売上増加が予想されます。
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機会 |
分類 |
ドライバー |
機会内容 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
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機 会 |
製品およびサービス |
気温上昇による感染症の蔓延 |
気温上昇による感染症が蔓延した際の新薬開発需要に伴う売上の増加 |
中期 |
大 |
・タンパク質分析に最適化された製品開発 ・開発投資額の増加 |
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製品およびサービス |
電池開発分野の参画 |
EVや蓄電池等、電池使用製品需要に合わせた研究設備投資に伴う売上の増加 |
短期~中期 |
大 |
・ソリューション情報の提供による販売拡大 ・開発投資額の増加 |
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製品およびサービス |
環境配慮型事業の拡大 |
低炭素素材需要に合わせた研究設備投資に伴う売上の増加 |
中期 |
大 |
・低炭素排出製品の開発 ・開発投資額の増加 |
・使用シナリオ:[移行リスク]IEA WEO2023 NZE2050 [物理リスク]・IPCC RCP8.5 ・IPCC AR6 SSP5-8.5
・時間軸 短期:1年以内、中期:~2030年、長期:~2050年
・影響度 小:売上額1億円未満、中:売上額1億円以上10億円未満、大:売上額10億円以上
③リスク管理について
当社グループでは、「リスクマネジメントに係る委員会」を中心に、事業運営上において発生しうるあらゆるリスクの予防、発見、是正、および再発防止に係る管理体制の整備と発生したリスクへの対応を行っております。気候変動に伴うリスクについては、事業本部・本部・グループ会社が識別・評価を行い「CSR委員会」に連携します。CSR委員会は、CSR委員会事務局と連携し各事業部門から抽出および議論したうえで取締役会および監査役会へ報告します。
特定した気候関連リスクについてはCSR委員会においてその対応策を審議および議論しており、特に当社の事業活動に影響を及ぼす可能性が大きいと判断したリスクに関しての対応策は取締役会へ報告して、マネジメントレビューを受けます。
気候変動にかかわるリスク管理体制はCSR委員会にて取りまとめ、リスクマネジメントに係る委員会で検討した内容も併せて取締役会に報告することにより全社的なリスクとして統合しております。統合したリスク管理の状況と対応について報告を受けた取締役会は各委員会を経由して指示・監督を行うことにより常に対応状況をモニタリングおよび全社的なリスク管理体制を構築しています。
④指標および目標について
当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき2022年度の温室効果ガス排出量(Scope1-2)の算定を実施いたしました。温室効果ガス排出量の削減目標は、2030年度までに2021年度比38%削減を目指して活動します。今後はScope3の算定、削減目標の見直しを行いSBTiの取得を目指し、グループ全体で削減活動を推進します。
(単位:tCO2)
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2021年度 |
2022年度 |
2030年度 |
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Scope1 |
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Scope1+2 38%削減 (2021年度比) |
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Scope2 |
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Scope1,2合計 |
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(3)人的資本
①戦略について
経営理念の持続的な実現のため、性別・国籍を問わず多様な感性や視点を持った優秀な人材を確保し、能力を発揮できるよう人材育成に努めております。また、従業員が健康で安全に働くことができ、かつ様々な働き方に対応できる環境を整備することにより、事業活動の維持・向上を図っております。
当社が2022年度に策定した中期経営計画「Evolving Growth Plan」(2022年度~2024年度)では、事業規模の拡大と高収益化の実現に向けて3つのGrowthを掲げており、その一つを「社員・人材のGrowth」として積極的に投資をしております。
②指標および目標について
■ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社はこれまで両立支援の取り組みを通じて社員が働きやすい環境づくりを進め、2022年に「くるみん」、2023年に「えるぼし(3段階目)」の認定を受けており、引き続き上位の認定取得を目指しております。
特に当社では女性活躍推進の一環として昨年より女性役員を交えた女性社員によるラウンドテーブルミーティングを新たにスタートさせており、女性社員キャリア支援に力を入れてまいります。
多様な視点での考えや発想は事業成長のためには不可欠な要素であり、更なるイノベーションの創出のためにダイバーシティの推進をより一層進めてまいります。
a.
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2022年3月31日 |
2023年3月31日 |
2024年3月31日 |
目標 ( |
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管理職比率( |
2.8 |
4.1 |
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|
b.
|
|
2022年4月1日 |
2023年4月1日 |
2024年4月1日 |
目標 ( |
|
採用比率( |
14.5 |
21.3 |
|
|
c.
|
|
2022年3月31日 |
2023年3月31日 |
2024年3月31日 |
目標 ( |
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育児休業取得率( |
16.7 |
45.0 |
|
|
※ 目標は2025年3月31日までの50.0%を達成したため、新たに5年計画を設定したものです。
d.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)・次世代育成支援対策推進法(次世代法)への対応
|
・女性活躍推進法 2023年に2026年の目標としていた女性活躍推進法に基づく女性の活躍推進への取り組みが優良な企業として厚生労働大臣が認定する「えるぼし(3段階目)」を取得いたしました。 ⇒目標:2029年に女性管理職比率を6.0%以上(業界平均3.4%) ・次世代法 2022年に次世代法に基づく「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する「くるみん」を取得しております。 ⇒目標:2026年に「プラチナくるみん」認定 |
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|
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■人材の育成
中期経営計画「Evolving Growth Plan」で掲げる「社員・人材のGrowth」戦略に基づき当社は、従業員一人ひとりの育成強化を図るとともに、従業員エンゲージメントの向上に努めております。
a.離職率の減少
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2022年3月31日 |
2023年3月31日 |
2024年3月31日 |
目標 ( |
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1.2 |
1.6 |
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b.技術者の育成強化
経営理念にもありますように、当社は創業来世界最高の技術に挑戦し続ける姿勢を貫いております。このため優秀な技術者育成は当社には欠かせないものであり、様々な取り組みを行っております。
1)「高度技術専門職制度」により高度な技術者を評価・処遇する仕組みを設けております。毎年、高度な技術を持つ技術者を特別研究員に認定し、2年間の研究費を特別に支給することにより技術者のモチベーション向上を図っております。
2)博士号取得者表彰制度により博士号取得促進を図っております。2024年4月1日現在の当社での博士号取得社員数は124名となっております。また、2024年1月より更なる制度面でのサポート支援策として「博士号取得支援制度」を新設いたしました。本制度はこれまでの博士号取得表彰制度で支給していた報奨金よりも更に増額した博士号取得奨励金を支払うとともに博士課程期間中の通勤時間を勤務時間として取り扱うなどの処遇改定を行うものです。当社は研究開発の核となる人材として博士号取得者を今後増員していくため引き続き様々なサポート支援を進めてまいります。
3)産学官連携によるオープンイノベーションを積極的に推進し、国内外の研究機関・大学・民間企業との共同研究を通じて技術員の知見を深め、イノベーティブな人材育成に努めております。
4)特命高度専門職制度によりライン長以外で特別に高度な能力を有する者には特命高度専門職に任命し、技術者の更なる活性化・モチベーションアップを図っております。
c.教育・研修体制の充実
当社では、人事部門における全社共通の教育に加えて、技術部門や営業部門においては、技術力や営業力の更なる向上や適切な技術伝承を図るため、スキルや経験年数に準じた専門教育を実施しております。2022年には、LMS(学習管理システム)を導入し、これまでのOJTを中心とした社員教育に加え、オンライン教育を充実させることで、全社教育として社員の学びの機会を増やすことに力を入れております。2024年度には、全社員が自らの意志で受講可能なeラーニングのサブスクリプションサービスを導入し、社員のリスキリングを推進する教育体制を構築いたします。また、当社の海外売上比率は60%を超えており、グローバル人材の養成は重要な課題の一つです。これまで自己学習に依存してきた語学教育を、社員教育の一つと位置付け、2021年度より、海外赴任候補として部門にて選抜された社員に対して、半年間の語学教育を実施しております。
d.従業員エンゲージメント
当社はこれまで、従業員エンゲージメントを高めるために両立支援の取り組みを始めとした様々な施策を実施しております。2010年に新設した「社長賞」は自立・自発性を持って問題解決に取り組む社員個人やプロジェクトチームを表彰するもので、社長が評価し社員のモチベーション向上に繋げるものです。
また、中堅社員が定期的に経営層と直接対話をする場を設けております。会社が目指すビジョンやミッションについて対話を通じて共有することで目指すべきゴールを明確にして、社員のモチベーションアップに努めております。当社は、これら取り組みの充実を図るとともに、更なるエンゲージメントの向上に向けて、外部コンサルティング会社によるエンゲージメント調査を2023年10月より実施しております。従業員エンゲージメントの状態を継続的に分析することで課題を可視化し、人的資本の最大化に向けた社内体制整備を進め、当社が掲げる「社員・人材のGrowth」の実現を目指してまいります。
■安全・健康に働くことができる環境の整備
当社は、中期経営計画「Evolving Growth Plan」に掲げる「社員・人員のGrowth」戦略に基づき、全ての従業員が活躍できるよう安全・健康に働くことができる環境整備に努めてまいります。
a.健康経営の取り組み
当社は、従業員の心身の健康を重要な経営課題と捉え、「健康経営宣言」を社内外に発信し、健康経営に取り組んでおります。定期健康診断は、毎年ほぼ全ての従業員が受診しており、常駐の産業医も日々従業員の健康に気を配っております。また、ストレスチェックは毎年90%以上の従業員が受検しており、メンタルヘルス不調の未然防止に努めております。さらに精神科医との面談、外部委託先による電話やメール等のカウンセリングといった複数の窓口を設け支援をしております。
b.健康経営優良法人取得について
当社は、「健康経営優良法人認定制度」にて2022年、2023年、2024年と3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人の部)」の認定を取得しております。今後は活動内容をさらに充実させて、2026年には「ホワイト500」の認定取得を目指してまいります。
(注)指標および目標における取り組みは、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、提出会
社の数値のみ記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 海外での事業活動について
当社グループは、海外市場の開拓を積極的に進めております。その結果、主な販売先である米国、欧州、中国、東南アジアの経済変動の影響を受けやすくなっております。また、当社グループはグローバルな事業展開のなかで、海外法人は現地社会との協調・相互信頼に努めておりますが、海外での事業活動では次のようなリスクがあり、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
② 安全保障に起因する各国の輸出管理規制および経済摩擦
③ テロ、戦争等による社会的混乱
(2) 為替相場の変動について
当社グループの連結売上高の約7割は海外におけるものであり、当社グループは為替相場の変動に対処するために為替予約を中心とする為替変動リスクをヘッジする取引を必要に応じて行っていますが、中長期的な為替レートの変動は当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 金利変動のリスクについて
当社グループは、支払金利の変動リスクを回避し支払利息の固定化を図るために、個別契約ごとにデリバティブ取引(金利スワップ)をヘッジ手段として利用しておりますが、有利子負債の一部には、金利変動の影響を受けるものも含まれております。従って、金利上昇によって支払金利や調達コストが増加することにより、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 各セグメントのリスクについて
当社グループは、理科学・計測機器、産業機器および医用機器という3つの分野で事業を行っており、個々の事業には以下のような業績変動要因があります。
① 理科学・計測機器事業
理科学・計測機器事業では、各国における官公庁の研究開発予算や民間企業の設備投資の動向により需要が増減し、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
② 産業機器事業および医用機器事業
産業機器事業および医用機器事業では、市況の急激な変動による設備投資動向により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 研究開発活動および人材育成について
当社グループは電子顕微鏡など最先端機器を世界市場で販売しており、グローバル市場での製品の競争力強化のため、新製品を継続的に投入しております。当社グループの事業では新製品を継続的に市場に投入していく必要があるため、研究開発が経営の重要なテーマとなっており、そのため、将来の企業成長は主に新製品の開発の成果に依存するというリスクがあります。
また、製品開発における人材確保や育成、また、大型装置の開発などでは多額の支出を行っても、それに応える充分な需要が確保できないリスク等があり、当社グループの企業成長および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 当社グループの売上高における第4四半期の割合が高いことによる影響について
当社グループの四半期別の売上高は、第4四半期が他の四半期に比べ高くなる傾向にあります。これは、官公庁や多くの民間企業において、年度末である3月に当社グループの製品の検収作業が行われることが多いためです。当社グループでは、この季節変動を考慮した計画策定を行い、当該時期の売上の維持・拡大に努めておりますが、製品の検収作業の遅延等により売上計上のタイミングが翌期にずれ込む等、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 棚卸資産の廃棄、評価損について
当社グループは、製品や部品の品質・環境基準や在庫管理には充分留意しておりますが、市場動向、技術革新、製品のライフサイクル等の急激な変化に伴い、棚卸資産の廃棄および評価損の計上等を実施した場合には、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制等について
当社グループは、国内の法的規制のほかに国際ルール、現地での労働法、税法、環境法など各国の法的規制などを受けており、また、事業・投資の許可や製品の品質における規格取得義務などがあり、これらの法的規制等により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。
(9) のれんおよび無形固定資産について
当社グループは、JEOL KOREA LTD.を連結子会社としたことに伴い、のれんおよび無形固定資産を計上しております。当社グループは、当該のれんおよび無形固定資産につきましては、それぞれの事業価値および将来シナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、景気の悪化や業績が想定どおり進捗しない等の理由により収益性が低下した場合には、のれんの減損損失計上により、当社グループの経営成績および財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 保有資産における価格変動リスクについて
当社グループは、金融機関や販売または仕入等に係る取引会社の投資有価証券(非上場を含む)を保有しているため、市場価格のあるものは相場価格の変動により、市場価格のない非上場株式等については当該会社の純資産、将来の事業計画等を総合的に勘案し、減損損失を計上する価格変動リスクを負っております。株式の価格変動リスクについては特別のヘッジ手段を用いておりません。なお、時価に関する情報は「第5 経理の状況」の金融商品関係および有価証券関係の注記に記載しております。
(11) 重要な訴訟等について
当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他法律的手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては、本社および関係会社に対する法令遵守の徹底を図るとともに、経営の効率化を進めるために内部監査室を設置し、本社監理および関係会社監理を行うこととしております。また、社長を委員長とし、社外弁護士も参加する「CSR(企業の社会的責任)委員会」を設置しております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害等の影響について
当社グループでは、災害・事故などの発生に備えたリスク管理として、生産拠点の分散化および事業継続計画(BCP)の策定等を実施しております。しかし、大地震などの大規模自然災害や火災などの突発的な事故が発生した場合は、生産設備などに多大な損害を被る可能性があり、操業の中断により出荷に遅れが生じ、また破損した建物や設備の復旧に多額の費用がかかる恐れがあります。このような場合、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 部材調達およびサプライチェーンの影響について
当社グループは、信頼のおける仕入先を選定し、原材料、部品等の安定的な調達を行っております。自然災害や戦争・テロ等、社会の混乱によるサプライチェーンへの大きな影響、需要増加による部材の供給不足および価格の高騰等が生じた場合、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報セキュリティ等のリスクについて
当社グループでは、事業活動における技術情報や顧客情報等の秘密情報を保有しており、資産の盗難、紛失による情報漏洩やサイバー攻撃による情報の流出やシステム停止等の被害を防ぐため、情報セキュリティ委員会を設置し、下部の組織として各部門から選出された情報セキュリティ責任者、担当者を設置しております。さらに、社規として情報セキュリティポリシーを規定し、定期的な教育およびサイバー攻撃訓練メールの実施により、従業員のセキュリティ意識の向上に努めています。しかし、災害やサイバー攻撃、人的要因による障害が発生した場合、業務の停止や秘密情報の紛失、漏洩等のインシデントを起こし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は、次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済状況は、物価高によるマイナス影響が一部見られるものの、底堅い設備投資需要やインバウンド需要回復などが下支えとなり、緩やかな回復傾向にあります。一方で、イスラエル・パレスチナ情勢およびウクライナ情勢などの地政学的リスクや円安に起因する原材料・エネルギー価格の高止まり、中国経済減速など、景気の先行きが不透明な状況が続いております。
このような状況下、当社グループは、中期経営計画「Evolving Growth Plan」(2022年度~2024年度)に掲げる重点戦略を強力に推進し、企業価値の向上および経営基盤の強化を図るとともに受注・売上の確保に努めました。
この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ30,933百万円増加し、230,213百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ7,315百万円増加し、104,699百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23,618百万円増加し、125,513百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は174,336百万円(前期162,689百万円に比し7.2%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は27,531百万円(前期24,155百万円に比し14.0%増)、経常利益は30,023百万円(前期23,501百万円に比し27.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21,704百万円(前期17,830百万円に比し21.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
1) 理科学・計測機器事業
各国政府の活発な科学技術投資および半導体や次世代電池の研究開発関連の活況な需要により、
受注・売上は引き続き好調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は120,013百万円(前期比26.6%増)となりました。
2) 産業機器事業
マルチビームマスク描画装置は半導体市況の調整局面の影響により受注は軟調な状況が継続し、売上は低い水準で推移しましたが、シングルビームマスク描画装置はパワー半導体需要により堅調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は39,010百万円(前期比21.1%減)となりました。
3) 医用機器事業
国内市場における生化学自動分析装置の引合いは堅調に推移しました。一方で海外市場においては中国の内製化政策などの影響もあり、受注・売上ともに低い水準にとどまりました。
この結果、当事業の売上高は15,312百万円(前期比16.9%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は29,807百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,197百万円減少しました。
当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は15,301百万円(前期は3,351百万円の資金の増加)となりました。これは主に、棚卸資産の増加、法人税等の支払、売上債権の増加および仕入債務の減少等による支出があったものの、税金等調整前当期純利益、契約負債等が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は18,028百万円(前期は5,734百万円の資金の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出により減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は798百万円(前期は8,732百万円の資金の減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済および配当金の支払などによるものであります。
なお、不測の事態に備え、従来より銀行融資枠(コミットメントライン)を設定しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
理科学・計測機器事業 |
124,440 |
115.6 |
|
産業機器事業 |
52,532 |
87.4 |
|
医用機器事業 |
15,875 |
88.0 |
|
合計 |
192,847 |
103.8 |
(注)金額は、販売価格で表示しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
理科学・計測機器事業 |
121,571 |
118.1 |
53,198 |
103.0 |
|
産業機器事業 |
55,365 |
125.2 |
57,897 |
139.4 |
|
医用機器事業 |
15,271 |
87.0 |
2,363 |
98.3 |
|
合計 |
192,209 |
116.7 |
113,460 |
118.7 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
理科学・計測機器事業 |
120,013 |
126.6 |
|
産業機器事業 |
39,010 |
78.9 |
|
医用機器事業 |
15,312 |
83.1 |
|
合計 |
174,336 |
107.2 |
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
IMS Nanofabrication GmbH |
26,820 |
16.5 |
- |
- |
※当連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りと見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表および当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から30,933百万円増加し230,213百万円となりました。主な要因としては、投資有価証券が19,907百万円増加、棚卸資産が8,057百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が5,658百万円増加しましたが、現金及び預金が2,749百万円減少したこと等によります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から7,315百万円増加し104,699百万円となりました。主な要因としては、契約負債が5,386百万円増加、1年内返済予定の長期借入金が2,203百万円増加、未払法人税等が1,159百万円増加、長期借入金が1,056百万円増加しましたが、電子記録債務が1,525百万円減少、退職給付に係る負債が1,165百万円減少、支払手形及び買掛金が1,095百万円減少したこと等によります。
当連結会計年度末の純資産合計は利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ23,618百万円増加し、125,513百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から3.4ポイント増加し54.5%となりました。
2) 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比の7.2%増の174,336百万円となりました。この要因としては、理科学・計測機器事業を中心とした売上の増加および円安による為替などの影響を受けたことが挙げられます。
損益面においては、営業利益27,531百万円(前期24,155百万円に比し14.0%増)、経常利益30,023百万円(前期23,501百万円に比し27.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益21,704百万円(前期17,830百万円に比し21.7%増)となりました。この要因としては、売上高が増加したことが挙げられます。この結果、営業利益は前期に比し3,375百万円増加し、前期に比し補助金収入の増加かつ為替差益が増加したこともあり、経常利益は6,521百万円増加しました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に伴い、前期に比し3,873百万円増加しました。
当社グループでは、理科学・計測機器事業で培った技術を軸として産業機器事業および医用機器事業をグローバルに展開しております。
理科学・計測機器事業においては、各国政府の活発な科学技術投資および半導体や次世代電池の研究開発関連の活況な需要により、受注・売上は好調に推移いたしました。
産業機器事業においては、マルチビームマスク描画装置は半導体市況の調整局面の影響により軟調な状況が継続しましたが、シングルビームマスク描画装置はパワー半導体需要により堅調に推移いたしました。
医用機器事業においては、国内市場における生化学自動分析装置の引合いは堅調に推移いたしましたが、海外市場においては中国の内製化政策の影響などもあり、受注・売上は低い水準にとどまりました。
2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画「Evolving Growth Plan」では、前中期経営計画「Triangle Plan 2022」の基本的なビジョンである「70年目の転進」を基本としながら、「YOKOGUSHI」戦略をさらに発展させるとともに、研究開発力、ものづくり力、サービス力のUPにより顧客満足度の向上を図ることを通じ、事業規模の拡大と高収益化につなげます。また、より長期的かつ持続的な成長を実現するために必要な「次の打ち手」についても、新中期経営計画の次を見据え継続して改善・強化に取り組んでまいります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③資本の財源および資金の流動性についての分析
1) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2) 資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費および人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化および新製品開発を目的とした研究開発費が主な内容であります。投資活動については、製造用冶具設備および研究開発用設備への設備投資等が主な内容であります。
今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資等を継続していく予定です。
3) 財務政策
当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については有利子負債の調達を実施しております。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断し公募増資も視野にいれつつ実施していくこととしております。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクおよび為替変動リスクに晒されないよう、適切なヘッジ手段を検討・実施しております。
④経営上の目標の達成・進捗状況
当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を確保するため、適正な利益を継続的に確保することを重点に置いております。このため、経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。
当連結会計年度における売上高営業利益率は15.8%(対前期比1.0ポイント増)、売上高経常利益率は17.2%(対前期比2.8ポイント増)、自己資本当期純利益率(ROE)は19.1%(対前期比0.1ポイント増)となりました。
今後も引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
該当事項はありません。
当社グループにおける研究開発活動は、中長期的な観点で選択された基盤的研究、各事業の核となる基幹製品の開発、および国立研究開発法人理化学研究所等の外部機関との共同研究を実施しております。
当社グループは、前中期経営計画「Triangle Plan 2022」の基本的なビジョンである「70年目の転進」をさらに進め、「YOKOGUSHI」戦略をさらに発展させるとともに、研究開発力、ものづくり力、サービス力のUPにより顧客満足度の向上を図ることを通じ、世界の科学技術を支えるニッチトップ企業への変革を大目標としております。製品の研究開発活動においても全ての製品で開発スピードアップ、ハイスループット機能を向上させた製品開発力の強化、競合他社との違いを意識した製品開発力の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度における事業の種類別セグメントの研究開発成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は
(1)理科学・計測機器事業
当セグメントに係る研究開発費は
理科学・計測機器事業においては、世界最高水準の性能を誇る電子顕微鏡をはじめとする製品群の更なる競争力向上への取り組みを進めております。
走査電子顕微鏡は、観察・分析の自動測定機能を進化させたJSM-IT710HRとJSM-IT210の販売を開始しました。
核磁気共鳴装置は、先端研究分野に貢献する世界最高速となる180kHzの回転速度による超高速マジック角回転が可能な検出器(固体NMRプローブ)を開発しました。また液体ヘリウムの蒸発を大幅に抑制したNMR用超電導マグネットの販売を開始しました。
(2)産業機器事業
当セグメントに係る研究開発費は
産業機器事業においては、市場での高い評価を得ているIMS社と協働で市場投入したマルチ電子ビーム描画装置について、生産性の向上を進め、競争力の向上を図っていきます。
(3)医用機器事業
当セグメントに係る研究開発費は
生化学自動分析装置は、最適なソリューション提供を目的として検査業務の迅速化と自動化を進めております。微量・ハイスループットを特徴とした現行装置の拡販を通じ課題解決を図りながら、海外展開に向けた最適化を視野に投資を継続しております。さらに、IoTを活用したサポート体制の強化、品質向上および生産性向上を進め、競争力の向上を図っていきます。