第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の項目と認識しております。文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、「Eyes to the all machines」(全ての機械に眼を与える)をコーポレートビジョンとして掲げる、AP(人工知覚)に関する研究開発と先端技術企業への研究成果の提供を生業とする技術集団であり、継続的な研究開発を通じて産業界に新たなイノベーションを起こすことを目標としております。

この目標のために、当社グループは、「独樹一幟、標新立異」(樹独り幟一つ、新しきを標し異なりを立てる)を経営理念に掲げております。

当社グループにとっての「独樹一幟、標新立異」は、他社と同じことをしないこと、一般に正しいと信じられていることを敢えて否定することであります。研究開発や事業展開において、常に当社グループを他社と比較できない存在ならしめるような方針を定め、市場において唯一の存在となり、以って、事業と研究開発の発展と、株主利益の拡大を目指します。

 

(2) 経営環境

近年、あらゆる産業におけるオペレーション自動化のニーズの高まりと、アルゴリズムを補完するセンサー・半導体等のハードウェア技術の進化が、AP(人工知覚)アルゴリズムの実用化と普及を大きく後押ししてきました。これに加えて、新型コロナウイルス感染の拡大の影響により、人と人の交流や共同作業を要しないオペレーションの省人化やリモート化の需要が全ての産業で急増しており、特に、物流・製造・建設・小売等の領域では、すでにロボティクス・自動運転・ドローン等の自動化技術のニーズは増大してきております。この不可逆的な傾向は、中長期に渡って益々加速していくことが予測されており、従来予想されていたよりも、相当に早いスピードでAP(人工知覚)技術の社会実装が進んでいくことが見込まれています。

 

(3) 経営戦略

当社グループは各産業におけるソリューション・プロダクト・応用技術のさらに下の最も深い技術レイヤーに位置する基盤技術に相当するDeep Tech(深層技術)のSLAM等のAP(人工知覚)アルゴリズムの研究開発及び提供に注力し、特定の会社に事業開発・財務面で依拠することなく独立した立場を維持しながらも、グローバルでソリューション・プロダクト・応用技術の全階層のあらゆるプレーヤーと提携を進め、彼らを顧客とすることにより、AP(人工知覚)市場における専業独立企業としてのシェアの維持・更なる拡大を目指すことを経営戦略として進めてまいりました。

このような経営戦略の下、当連結会計年度は欧州・米国を含むグローバルで技術商社・ソリューション企業、センサ・半導体企業等各階層における多くのプレーヤーとの共同研究開発の開始及び製品・販路の拡大を達成しました。

当社グループの提供するKudanSLAMは、SLAMにおける最も著名なオープンソースに比べて10倍以上の速度での処理をより少ない処理能力で可能とし、5cm等cm単位の精度が一般的である他のソリューションに比べて最大mm単位の精度を実現可能であり、また、センサ間の時間同期によるシステム統合(タイトカップリング)によるカメラ、lidar、GNSS、IMU等複数センサーの併用により高速かつ屋内・屋外問わない高い精度を実現しております。

当社グループのビジネスモデルは、KudanSLAMのアルゴリズムライセンス提供と共に、共同研究開発によるアルゴリズムのカスタマイズ・新機能追加、技術コンサル等により収益を上げるモデルとなっております。

アルゴリズムライセンスは評価ライセンス・開発ライセンス・製品ライセンスに区分され、顧客の開発案件の製品化に向けた進捗と共に評価ライセンスから製品ライセンスへとライセンス区分が進捗し、これに合わせて製品ライセンスでは「製品単価×製品数」等の算定になる等ライセンス金額が拡大し、当社グループの収益は拡大してまいります。

2021年3月期には、当業界における当社グループの優位性を強化するため、同研究分野を世界的にリードしている独ミュンヘン工科大学発のArtisense Corporation(本社:米国カリフォルニア州、以下アーティセンス社)をグループ会社化しました。これにより、アーティセンス社の独自技術である次世代アルゴリズム(直接法SLAM)や、人工知覚と人工知能の融合技術(GN-net)等を販売ラインナップに加え、より幅広い顧客ニーズへの対応を強化しました。前期2023年3月期には、技術戦略における複数のマイルストーンを達成いたしました。一つ目は、アーティセンス社の直接法SLAMと当社が従来から保有する間接法SLAMとのハイブリッド化に成功し、基本性能の向上を実現しました。二つ目は、当社技術を組み込んだ顧客の商用製品の販売開始(顧客製品化)を複数達成し、中でもIntel社のロボット開発プラットフォームへの本格採用は、当技術領域の専門企業による世界初の大手半導体メーカーのプラットフォームへの商用SLAM採用として、業界における大きなマイルストーンとなりました。三つ目は、今後の更なる顧客製品化の促進のため、顧客製品の開発・試験運用の期間を短縮し、直接製品として実用化も可能な、マッピング用製品向けパッケージを当社グループ自ら開発、販売開始しております。当期2024年3月期には、今後の成長の二本柱となる「顧客製品化」と、当社人工知覚技術を活用して最終顧客に対して運用や付加価値サービスの提供までをパートナーと共に行う「ソリューション化」を推進してまいりました。顧客製品化においては、ドローンや自動運転などより幅広い領域における案件拡大を達成し、また、ロボット用の製品向けパッケージの販売を開始し、ロボティクス案件拡大の加速に向けて取り組んでおります。ソリューション化においては、欧州の新エネルギー設備管理向けのデジタルツイン用途のソリューション提供が立ち上がり、案件の大型化に向けて進めております。これらにより、当社グループの技術優位性を大きく強化することができましたが、今後は公共案件を含むロボティクス・自動運転領域におけるソリューション化や半導体や生成AIを含む人工知能との技術融合なども推し進め、より革新性の高い人工知覚技術の開発を推進してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 開発体制の強化

当社グループにとっては、基盤技術及びソフトウェアの開発が不可欠であり、卓越した能力と専門分野を超えた応用力をもつ人材の確保、育成が必要と考えております。当社グループは、開発パートナーとの共同研究開発、新規採用を含む施策によりこのような人材の育成及び確保に努めてまいります。

 

② 全世界へのKudanSLAMの認知度向上

当社グループが従来より築いてきたAP(人工知覚)における専業独立企業としてのシェアとポジションを維持・強化するとともに、今後も高い成長率を持続していくためには、全世界において「KudanSLAM」の認知度を向上させ、新規顧客を獲得することが必要不可欠であると考えております。当社グループの技術がインフラストラクチャーになるべく、先端技術企業が集積する北米におけるlidar等のセンサーメーカー・半導体メーカー・各種先端技術企業等とのパートナーシップの拡大、中国・日本における通信企業・自動車メーカー・ロボットメーカー等とのパートナーシップの拡大等、引き続きグローバルでの事業開発体制の構築を推進してまいります。

 

③ 内部管理体制の強化

当社は、2014年11月設立の成長段階にある会社であり、また日本法人において海外子会社の管理を遠隔で行っているため、更なる内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。また、企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識し、業務の適正性、財務報告の信頼性確保、及び法令遵守の徹底を進め、その整備を実施いたしました。更なる業容の拡大を図るためには、内部管理体制の拡充を進める必要があり、事業の急速な拡大等に、充分な内部管理体制の構築が追い付かないという事象が生じることのなきよう、拡充と機能向上に努めてまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。

 

(2) 戦略 

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

人材育成方針

当社グループの競争力の源泉は「人材」であり、経営上の最優先課題の一つとして、人材の確保及び育成を行っております。具体的には、グローバル規模で採用活動を行い、イギリス、ドイツ、アメリカ、日本各拠点において多様なバックグラウンドを持つ従業員の採用に取り組んでおります。また、顧客・パートナーとの共同での事業開発・研究開発を含む複数案件の経験を通し、各従業員の能力・専門知識の継続的な向上を図っております。

 

社内環境整備に関する方針

中長期的な企業価値向上のためには、性別や年齢、国籍などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を推進しております。具体的には、フルリモートワーク・フレックス制度を採用し、従業員がワークライフ・バランスを整えながら働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境、時間や場所にとらわれない働き方ができる環境の整備に努めております。

 

(3) リスク管理

当社グループにおいて、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、各取締役により詳細な検討を行い、取締役会・その他社内会議にて協議され、経営戦略、計画に反映されます。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ行われます。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の実績として、従業員の国籍十数か国、複数業務ラインにおける女性部門長の活躍等が挙げられますが、今後も人材育成方針・社内環境整備に関する方針の促進に向けて取組んでまいります。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

(1) 市場動向について

当社グループは、主にAP(人工知覚)市場を主要な事業活動の領域としております。AP(人工知覚)市場は、次世代ソリューション(第1 企業の概況 3 事業の内容 参照)への社会的な期待と現実的な発展可能性により、将来的な拡大が想定される市場でありますが、AP技術の発展が当社の想定どおりに進まなかった場合には、当該市場の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、技術商社・ソリューション企業、センサ・半導体企業等各技術階層における多くのプレーヤーを顧客に持ち、インダストリーとしては物流・製造・建設・小売等の幅広い領域において、ロボティクス・自動運転・ドローン・AR/VR等の自動化技術の支援を行い、地域としても日本・中国を含むアジア、欧州・北米等グローバルでの事業開発活動を行い、これにより今後のあらゆる地域・産業におけるオペレーション自動化の事業機会を捉え、中長期的な成長を目指してまいります。

 

(2) 当社グループの技術について

当社グループは、顧客や市場ニーズに対応した技術の提供を目的として、中長期的な研究開発方針を定め、当社グループの成長を牽引する研究開発課題に取組み、適切な時期に市場投入することに全力を挙げております。しかし、当社グループが属する情報通信業は、技術革新の速度及びその変化が著しい業界であり、代替技術の急激な進歩、競合する技術提供者の出現、依存する技術標準・基盤の変化などにより、当社グループの技術優位性が継続的に維持できない可能性や、最適な市場投入ができない可能性があります。

当社グループにおいては、当該技術革新への対応を常に講じておりますが、万が一、当社グループが新しい技術に対応できなかった場合、あるいは当社グループが想定していない新技術や競合先が出現した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、AP(人工知覚)市場における技術動向を今後も継続的に注視し、必要に応じてM&A・事業出資・事業提携を含む経営戦略を推進し、AP(人工知覚)市場における専業独立企業としてのシェアの維持・更なる拡大を進めると共に、AP(人工知覚)以外のDeep Tech(深層技術)の研究開発・M&Aを含む出資等も推進し、有望なDeep Tech(深層技術)における確実なポジション固めを進めてまいります。

 

(3) 知的財産権の侵害

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業展開していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があり、その第三者から損害賠償請求及び差止め請求等の訴訟を起こされることにより賠償金の支払い等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、顧問弁護士・監査等委員会等とも連携し、当該リスクの低減に適切に努めてまいります。

 

(4) 小規模組織であることについて

当社グループは小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強並びに内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針であります。

 

(5) 人材の獲得、育成及び確保について

当社グループが継続的に成長を成し遂げていくためには、柔軟かつグローバルに対応できる組織作りが重要であり、それを支える優秀な人材の獲得及び育成は重要な要素のひとつとして挙げられます。これら要員を十分に採用できない場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合には、当社グループの成長を阻害する要因となる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、優秀な人材の採用を進めており、人材育成・新規採用も含めて一層の人材の強化に努めてまいります。

 

(6) KudanSLAMの提供を開始してから間もないことについて

当社グループは、第3期(2017年3月期)まではKudan AR SDKが収益の主たる源泉であったところ、第4期(2018年3月期)よりKudanSLAMの提供を開始し、第5期(2019年3月期)からは、グループの経営資源のほとんど全てをKudanSLAM及び関連する研究開発に投入しております。

当社グループが提供するKudanSLAMは、顧客が評価目的で利用する評価ライセンス、研究開発目的で利用する開発ライセンス、研究開発後、製品を市場投入する際に利用する製品ライセンスから構成されていて、顧客の研究開発計画が継続すれば、開発ライセンス、製品ライセンス(ロイヤリティ収入等)の双方に係る収益の発生が期待されます。ただし、顧客の研究開発計画の変更等に伴いライセンスの利用が継続されない場合には、当該顧客からの収益が継続しない可能性があります。本書提出日現在においては、KudanSLAMの提供開始から間もないことから、開発ライセンスが販売実績件数のうち多くを占めております。

一度当社のAP (人工知覚)技術が顧客製品に組込まれると、技術アップデート、カスタマイズ、製品化後のロイヤリティなど長期に亘り収益が発生することが期待されますが、顧客の研究開発計画、販売計画の進展如何により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「(1) 市場動向について」に記載の通り、今後のあらゆる地域・産業における事業の拡大を推進し、中長期的な成長を目指してまいります。

 

(7) 収益の変動について

中長期の事業成長を見据えた長期案件に注力する経営体制への転換等の影響により、ライセンスフィーの他マイルストーン毎に収受する取引が増加し、受注から納品までの期間が長期に亘り収益計上まで時間を要する大型契約が増加しております。その結果、各案件の進捗の遅れにより収益認識のタイミングが当初計画したタイミングから変動する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、事業開発人員及び顧客開発案件を支援するエンジニアの増加により、適切に各案件の進捗を管理し、進めてまいります。

 

(8) 海外における事業展開、及び法規制等に伴うリスク

当社グループは、海外における事業展開を積極的に進めております。これらの事業展開においては、為替リスクだけではなく、現地における法規制を含む諸制度、取引慣行、経済事情、企業文化、消費者動向等が日本国内におけるものと異なることにより、日本国内における事業展開では発生することのない費用の増加や損失計上を伴うリスクがあります。海外における事業展開にあたっては、これに伴うリスクを十分に調査や検証した上で対策を実行しておりますが、事業開始時点では想定されなかった事象が起こる可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、海外事業経験豊富な管理人員の増員を進めるとともに、各国の弁護士・税理士等の専門家と顧問契約を締結する等当該リスクの低減に努めてまいります。

 

(9) 為替リスク管理について

当社グループでは、海外市場での事業拡大を積極的に進めており、為替に関する潜在的リスクが存在し、為替の大幅な変動の際は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを最小限にするために、為替の変動状況を注視し、状況に応じ為替予約等によるリスクヘッジの検討を進めてまいります。

 

(10) 情報管理について

当社グループは、事業を通じて取得した顧客が保有している機密情報(経営戦略上重要な情報等)及び個人情報を保有しております。当社グループの人的オペレーションのミス、その他不測の事態等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報の取り扱いについては、情報セキュリティ管理規程を整備し、適切な運用に努めております。

 

(11) 自然災害等のリスクについて

当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震、台風、洪水等の自然災害または感染症の流行等が発生した場合、被災状況によっては正常な事業活動が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、勤務場所をオフィスに限定せず、各従業員の判断でリモートワークを可能とする社内管理体制及びそれを可能とする業務システムの運用を行い、それにより当該状況でも従来通りの事業継続が可能となる事業運営を行っております。

 

(12) 社歴が浅いことについて

当社は、2014年11月に設立されており、設立後の経過期間は9年程度と社歴の浅い会社であります。当社グループの過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分である可能性があります。当社は今後も適時開示・その他任意の説明資料の開示、IR活動などを通じて経営状態を積極的に開示してまいります。

 

(13) 配当政策について

当社グループは、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

しかしながら、現時点では配当を行っておらず、また今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 分析の前提

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、当社グループの連結財務諸表に基づいて実施されております。当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。しかしながら、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表に影響を与え、より重要な経営判断や見積りを必要とする会計方針は以下のとおりであります。

 

 a. 貸倒引当金

 債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権につ

いては個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

相手先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当金を計上する可能性があります。

 b. 固定資産の減損

 市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損

損失の認識の判定を行い、減損損失を認識すべきであると判定した場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、
 減損損失を計上しております。

 将来の市況悪化等により事業計画が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。

 c. 投資有価証券・関係会社株式

市場価格のない投資有価証券又は関係会社株式を所有しており、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上低下した場合には実質価額まで減額を行うこととしている。ただし、非上場の子会社株式の実質価額について、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合には、期末において減額は行わないこととしております。
 実質価額は、通常は、一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成した財務諸表を基礎に、原則として資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額に所有株式数を乗じた金額ですが、会社の超過収益力や経営権等を反映して、1株当たりの純資産額を基礎とした金額に比べて相当高い価額が実質価額として評価される場合があるものとしております。
 超過収益力については、四半期毎に、会社の業績等を把握するとともに将来の事業計画に基づく決算予測数値との比較分析を実施すること等により、当該超過収益力の毀損の有無を確認しております。
 なお、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。

 d. 繰延税金資産

 財務諸表と税務上の資産または負債の額に相違が発生する場合、将来減算一時差異に係る税効果について、繰

延税金資産を計上しております。繰延税金資産のうち、実現が不確実であると考えられる金額に対し評価性引当

額を計上して繰延税金資産を減額しております。

 繰延税金資産の実現の可能性により、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用しているその他の重要な会計方針は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、当社グループは、AP事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(2) 当社グループの事業に影響を与える経営環境に対する評価

当社グループは、機械(コンピュータやロボット)の「眼」に相当する人工知覚のアルゴリズムの研究開発とライセンス提供を行っております。人工知覚は機械の「脳」に相当する人工知能と並び相互補完するDeep Tech(深層技術)として、機械が自律的に機能できるように進化させる技術です。

当社グループの基幹技術は、独自のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術であり、機械が動きながらリアルタイムでの位置認識と地図作成を行うものです。2021年3月期には、当業界における当社グループの優位性を強化するため、同研究分野を世界的にリードしている独ミュンヘン工科大学発のArtisense Corporation(本社:米国カリフォルニア州、以下アーティセンス社)をグループ会社化しました。これにより、アーティセンス社の独自技術である次世代アルゴリズム(直接法SLAM)や、人工知覚と人工知能の融合技術(GN-net)等を販売ラインナップに加え、より幅広い顧客ニーズへの対応を強化しました。前期2023年3月期には、技術戦略における複数のマイルストーンを達成いたしました。一つ目は、アーティセンス社の直接法SLAMと当社が従来から保有する間接法SLAMとのハイブリッド化に成功し、基本性能の向上を実現しました。二つ目は、当社技術を組み込んだ顧客の商用製品の販売開始(顧客製品化)を複数達成し、中でもIntel社のロボット開発プラットフォームへの本格採用は、当技術領域の専門企業による世界初の大手半導体メーカーのプラットフォームへの商用SLAM採用として、業界における大きなマイルストーンとなりました。三つ目は、今後の更なる顧客製品化の促進のため、顧客製品の開発・試験運用の期間を短縮し、直接製品として実用化も可能な、マッピング用製品向けパッケージを当社グループ自ら開発、販売開始しております。当期2024年3月期には、今後の成長の二本柱となる「顧客製品化」と、当社人工知覚技術を活用して最終顧客に対して運用や付加価値サービスの提供までをパートナーと共に行う「ソリューション化」を推進してまいりました。顧客製品化においては、ドローンや自動運転などより幅広い領域における案件拡大を達成し、また、ロボット用の製品向けパッケージの販売を開始し、ロボティクス案件拡大の加速に向けて取り組んでおります。ソリューション化においては、欧州の新エネルギー設備管理向けのデジタルツイン用途のソリューション提供が立ち上がり、案件の大型化に向けて進めております。これらにより、当社グループの技術優位性を大きく強化することができましたが、今後は公共案件を含むロボティクス・自動運転領域におけるソリューション化や半導体や生成AIを含む人工知能との技術融合なども推し進め、より革新性の高い人工知覚技術の開発を推進してまいります。

経営体制については、グローバルにおける機動的な執行及び短期と中長期の二軸経営の強化を目的として複数代表取締役体制の採用をしております。これにより代表取締役CEOの項が当社グループ全般の事業経営を統括し、代表取締役大野は中長期の成長に向けた次世代Deep Techへの投資や新領域強化を目指します。

 事業戦略については、次世代産業の発展と人工知覚技術の市場拡大が急激に進むことを見据えて、代替や置き換えが困難なアルゴリズム層への集中を行なっています。最終製品の普及にともなう評価・開発フェーズ売上から製品化フェーズにおける製品関連売上中心への移行、売上拡大を目指しており、短中期では製品普及の早いロボティクス・マッピング領域中心に継続的な顧客製品化及び市場販売の拡大を目指しながら、中長期では更なる注力領域の拡大と製品関連売上の積み上げ、飛躍的な利益拡大を目指してまいります。加えて、販売戦略として、人工知覚と補完性が高いセンサ・半導体企業、システムインテグレータ、技術商社との提携拡大を通して、販売チャンネルとラインナップの拡大を進めています。

市場環境については、人と人の交流や共同作業を要しないオペレーションの省人化やリモート化需要が全ての産業で急増しており、特に、物流・製造・建設・インフラ等の領域におけるロボティクス・マッピング等の自動化技術のニーズ増大が顕著であります。加えて、足元での人工知能技術の進化に伴い、機械と現実空間を繋げる人工知覚のニーズの今後益々の拡大が見込まれています。この影響により、更なる顧客製品化に向けた案件は着実に進捗しており、足元で特に注力しているロボティクス・マッピングに加えて、自動運転やその他次世代産業など特定の技術領域や産業での利用に限定されない幅広い範囲でのSLAM産業の高成長及び当社グループ技術の社会実装に伴う収益機会の拡大を引き続き見込んでおります。

 

(3) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

①経営成績

顧客製品化案件の伸長・領域拡大による製品関連売上の増加やソリューション化の進展により売上拡大を継続しております。

継続的な事業拡大及び体制拡大に伴い、販売費及び一般管理費は966,177千円(前年同期比24.6%増)に増加し、主な内訳は人件費357,578千円、経費及び償却費287,844千円、研究開発費320,714千円であります。その他、急激な為替レートの変動による為替差益384,399千円(前年同期比163.0%増)、研究開発に対する補助金収入100,457千円、取得した固定資産の評価減に伴う減損損失18,249千円が発生しております。

この結果、当連結会計年度の売上高は490,952千円(前年同期比47.5%増)、営業損失は527,176千円(前年同期は営業損失598,699千円)、経常損失は50,494千円(前年同期は経常損失394,518千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は69,918千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失413,571千円)となりました。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、当社グループ全体の事業活動において重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

②受注実績

 当連結会計年度における受注生産に関する実績は、当社グループ全体の事業活動において重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

販売高

前年同期比(%)

AP事業

490,952

147.5%

合計

490,952

147.5%

 

CVC事業について量的な重要性が乏しくなったため、報告セグメントから「その他」に変更しております。この変更に伴い、当社グループの報告セグメントがAP事業のみとなっております。

 

(単位:千円)

顧客

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

割合

販売高

割合

Whale Dynamic Holding (Hong Kong) Limited

―%

240,000

48.9%

Nissan Mortor Manufacturing (UK) Limited

48,460

14.6%

―%

NTTグループ

88,592

26.6%

―%

 

(注)1 前連結会計年度又は当連結会計年度の総販売実績に対する割合が10%未満の場合、該当する連結会計年度の実

     績値の記載を省略しております。

 2 売上高には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する売上高を含めております。

 

②財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は1,953,600千円(前連結会計年度末比962,133千円増)となりました。これは主に、現金及び預金の増加(同867,656千円増)、売掛金及び契約資産の増加(同61,517千円増)によるものであります。
 また、固定資産は424,815千円(前連結会計年度末比408,206千円増加)となりました。これは主に、投資有価証券が増加(同400,000千円増)したことによるものであります。

以上の結果、資産合計は2,378,416千円(前連結会計年度末比1,370,339千円増)となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は280,887千円(前連結会計年度末比39,308千円増)となりました。これは主に、契約負債の増加(同10,090千円増)及び未払法人税等の増加(同10,726千円増)によるものであります。

また、固定負債は6,716千円(前連結会計年度末同額)となりました。

以上の結果、負債合計は287,603千円(前連結会計年度末比39,308千円増)となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は2,090,813千円(前連結会計年度末比1,331,031千円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失(69,918千円)、株式発行に伴う資本金及び資本剰余金の増加(前連結会計年度末比計1,767,553千円増)及び為替換算調整勘定の減少(同363,410千円減)によるものであります。

 

③キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、490,837千円の支出(前年同期は619,044千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失68,743千円、減損損失18,249千円、為替差益390,608千円、棚卸資産の増加額12,266千円、売上債権及び契約資産の増加額41,901千円及び法人税等の還付額17,502千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、432,784千円の支出(前年同期は20,338千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出18,249千円、投資有価証券の取得による支出400,000千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,759,564千円の収入(前年同期は870,087千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,755,991千円によるものです。

 

以上の他、現金及び現金同等物に係る換算差額の影響もあり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比べ867,656千円増加し、1,719,733千円となりました。

 

④資本の財源及び資金の流動性に関する分析

当社グループは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金政策の基本方針とし、事業展開および研究開発に係る資金需要に対して機動的に対応できるだけの十分な現金及び現金同等物の保有を図っております。

当社グループは、アルゴリズムの研究開発による事業を行っていることから運転資金の大部分は研究開発費を含む人件費関連コストであり、かつ少数の従業員での事業展開を行ってきております。したがって、必要となる運転資金の水準は相対的に低く、資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源といたします。しかしながら、ロボティクス・自動運転・ドローン等多くの産業で自動化技術のニーズが高まりAP(人工知覚)関連産業の規模拡大が見込まれる中で、AP(人工知覚)市場における専業独立企業としてのシェアの維持・更なる拡大を推進するための中長期的な経営体制を構築するため、必要に応じて金融機関からの借入・新規株式発行を含む資金調達を実行し、顧客製品化案件の拡大を含む当社グループの中長期における飛躍的な成長を目指してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 当社は、2024年1月31日開催の取締役会において、Whale Dynamic Co.Ltd.( 以下、同社のグループ会社を含み「Whale Dynamic」)との間で、製品ライセンス販売契約及び株式取得のための出資契約の締結について決議し、同日付でWhale Dynamicと本契約を締結いたしました。

 

1.本契約の目的

 Whale Dynamicは、当社3D-Lidar SLAM 技術を統合したロボット(自律走行型配送車)及び関連するHDマップ作成

用ツールセット製品の提供を2022年7月に開始し、先進自動運転技術の実証を官民体制で急進する中国市場を中心

に市場販売を進めてまいりました。

 そのような中、中国市場での実績の拡大と共に、欧州や中東など、グローバル地域におけるWhale Dynamicの提供

するソリューションに対する需要が高まり、併せて、乗用車向け自動運転などより幅広いWhale Dynamicの製品にお

ける当社技術提供の機会の見通しも高まってまいりました。これらの事業進捗により、当社技術を統合したWhale

Dynamicの製品販売の拡大を見込んでおり、これに相応する当社製品ライセンスの販売契約を締結いたしました。

 併せて、当社は、Whale Dynamicのグローバルへの地域展開と、自動運転への製品展開を加速するため、Whale

Dynamicに対して成長資金4億円の出資を行い、協業体制の強化並びにWhale Dynamicの製品販売及び当社技術の普

及を共同で推し進めることにつき、本契約を締結いたしました。

 

2.本契約の相手会社の名称、事業の内容、規模

(1)相手会社の名称 :Whale Dynamic Co.Ltd.

(2)事業の内容 :自動運転及びインテリジェント交通に関する開発及び販売

(3)資本金の額 :1,479,042 CNY

 

3.製品ライセンス販売額

2.4億円

 

4.株式取得価額及び取得後の所有株式の状況

(1)取得価額 :4億円

(2)取得後の持分比率 :Whale Dynamicグループ会社発行済み株式数の8.0%

 

5.日程

取締役会決議日:2024年1月31日

本契約締結日 :2024年1月31日

出資実行日 :2024年3月21日

ライセンス販売日:2024年3月27日

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、当社独自のAP(人工知覚)技術の研究と開発を行っております。

当社グループの研究開発体制としては、英国子会社Kudan Limitedを主要な研究開発拠点としており、研究開発エンジニアが多く在籍しております。最先端技術を活用し、スピード感を持って研究開発を進めるべく、博士研究員やPhDを中心に、優秀な人材を国籍を問わず採用しています。

2021年3月期には、当業界における当社グループの優位性を強化するため、同研究分野を世界的にリードしている独ミュンヘン工科大学発のArtisense Corporation(本社:米国カリフォルニア州、以下アーティセンス社)をグループ会社化しました。これにより、アーティセンス社の独自技術である次世代アルゴリズム(直接法SLAM)や、人工知覚と人工知能の融合技術(GN-net)等を販売ラインナップに加え、より幅広い顧客ニーズへの対応を強化しました。前期2023年3月期には、技術戦略における複数のマイルストーンを達成いたしました。一つ目は、アーティセンス社の直接法SLAMと当社が従来から保有する間接法SLAMとのハイブリッド化に成功し、基本性能の向上を実現しました。二つ目は、当社技術を組み込んだ顧客の商用製品の販売開始(顧客製品化)を複数達成し、中でもIntel社のロボット開発プラットフォームへの本格採用は、当技術領域の専門企業による世界初の大手半導体メーカーのプラットフォームへの商用SLAM採用として、業界における大きなマイルストーンとなりました。三つ目は、今後の更なる顧客製品化の促進のため、顧客製品の開発・試験運用の期間を短縮し、直接製品として実用化も可能な、マッピング用製品向けパッケージを当社グループ自ら開発、販売開始しております。当期2024年3月期には、今後の成長の二本柱となる「顧客製品化」と、当社人工知覚技術を活用して最終顧客に対して運用や付加価値サービスの提供までをパートナーと共に行う「ソリューション化」を推進してまいりました。顧客製品化においては、ドローンや自動運転などより幅広い領域における案件拡大を達成し、また、ロボット用の製品向けパッケージの販売を開始し、ロボティクス案件拡大の加速に向けて取り組んでおります。ソリューション化においては、欧州の新エネルギー設備管理向けのデジタルツイン用途のソリューション提供が立ち上がり、案件の大型化に向けて進めております。これらにより、当社グループの技術優位性を大きく強化することができましたが、今後は公共案件を含むロボティクス・自動運転領域におけるソリューション化や半導体や生成AIを含む人工知能との技術融合なども推し進め、より革新性の高い人工知覚技術の開発を推進してまいります。なお、当期2024年3月期における研究開発費は、320,714千円であります。