第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) グループの基本理念「TOKAI-WAY」

当社は、2011年4月、「企業理念」、「ミッション」、「ビジョン」、「バリュー」の4層から成る「TOKAI-WAY」を理念体系として策定し、当社グループ全体で共有することで、新たなスタートを踏み出しました。

社会環境や顧客ニーズが急速に変化する中で、当社グループが一体となって運営し、「顧客力」、「総合力」、「機動力」を十分に活かし、グループ全体で持続的成長を図ってまいります。

 

① 企業理念(当社グループの信条)

「お客様の暮らしのために。地域とともに、地球とともに、成長・発展し続けます。」

私たちは暮らしを総合的に支える企業体として、創業以来培ってきた自らの力と可能性を原動力に、地域そして地球とのつながりを深めながら、お客様の幸せへの貢献を続けていきます。

 

② ミッション(当社グループが社会・顧客・株主に対して果たすべき使命)

「変革し、挑戦し、実現する。」

私たちは、お客様のお役に立つ強い信念のもと、自己変革に絶えず挑戦して暮らしのニーズを先取りし、「安心・安全」「便利・快適」「喜び・生きがい」のご提供を実現します。

 

③ ビジョン(当社グループが目指すべき長期事業目標)

「全国展開から世界への持続的な歩みを通してお客様の求める商品サービスをワンストップで提供する。」

グローバル化する社会環境の中でグループの総合力をさらに強化し、生活密着・地域密着の多彩なサービスを次々とお届けします。

 

④ バリュー(当社グループの社員が行動する上で大切にするべき共通価値観)

「ずっと、あなたとともに笑顔と感動を。」

・みんなをつなぐコミュニケーションで。

身近なパートナーとして、大切にするのはコミュニケーション。チームの力を活かして、皆様に新たな感動を生みだします。

・安心・安全・充実をあなたのそばに。

安心・安全を第一に、常に感謝の心と、最善のサービスをお届けします。

・心にいつもプロの熱意と誇りを持って。

いつまでも選ばれ続けるプロフェッショナルであるために、日々自己を磨き、自由な発想で仕事を面白くしていきます。

・地域と共に未来につなぐ成長を。

子供からお年寄りまで安心して暮らせる地域環境、自然環境づくりや地域活性化に貢献します。

 

(2) コーポレートメッセージ・コーポレートスローガン

① コーポレートメッセージ

私たちは、自由な発想とチャレンジで、暮らしに、社会に、笑顔を広げていきます。

② コーポレートスローガン

暮らしに社会にもっと笑顔を。

(英文:More smiles for a better life)

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「中期経営計画2025」を2023年5月に公表しております。この中計では①事業収益力の成長、②持続的成長基盤の強化、③人財・組織の活力最大化について、当社グループの持続的成長に向けて取り組むべきテーマとしております。そして、事業成長と収益基盤の拡充により、売上高・各利益項目は増収増益、顧客件数も安定的な増加を見込んでおります。また、営業キャッシュ・フローの配分については、事業の成長投資に積極的に振り向けるとともに、株主還元は配当性向40~50%の範囲で安定的に行い、自己株式取得についても機動的に実施していく方針です。資本効率(ROE:自己資本利益率、ROIC:投下資本利益率)についても市場の期待に応えるよう取り組んでまいります。

 

中期経営計画2025の経営指標は以下のとおりとなります。

2023年5月公表中期経営計画

 

2023年3月期

実績

2024年3月期

予想

前期比

2025年3月期

計画

前期比

2026年3月期

計画

前期比

売上高

2,302億円

2,400億円

+98億円

2,500億円

+100億円

2,600億円

+100億円

営業利益

149億円

150億円

+1億円

160億円

+10億円

175億円

+15億円

経常利益

133億円

150億円

+17億円

160億円

+10億円

175億円

+15億円

親会社株主に帰属する当期純利益

65億円

85億円

+20億円

90億円

+5億円

100億円

+10億円

営業CF

212億円

217億円

+5億円

230億円

+13億円

244億円

+14億円

顧客件数

330万件

338万件

+8万件

348万件

+10万件

357万件

+9万件

配当性向

64.8%

49.2%

△15.6%

40~50%

ROE

8.2%

10.3%

+2.1%

10.4%

+0.1%

10.8%

+0.4%

ROIC

8.3%

8.0%

△0.3%

8.2%

+0.2%

8.7%

+0.5%

 

②2024年3月期実績、2025年3月期予想について

 

2023年3月期

実績

2024年3月期

実績

前期比

2025年3月期

予想

前期比

売上高

2,302億円

2,315億円

+13億円

2,440億円

+125億円

営業利益

149億円

155億円

+6億円

160億円

+5億円

経常利益

133億円

155億円

+22億円

160億円

+5億円

親会社株主に帰属する当期純利益

65億円

85億円

+20億円

90億円

+5億円

営業CF

212億円

301億円

+89億円

顧客件数

330万件

336万件

+6万件

345万件

+9万件

配当性向

64.8%

50.8%

△14.0%

49.3%

△1.5%

ROE

8.2%

10.0%

+1.8%

ROIC

8.3%

8.2%

△0.1%

 

2024年3月期の連結業績は、エネルギー及びCATVの顧客件数増加、情報通信法人向け事業でキャリアサービス及びクラウドサービスの順調な推移等による増収により、売上高が2,315億円となり、前連結会計年度比13億円(0.6%)増と7期連続の増収となり、過去最高を更新しました。各利益項目についても、顧客件数増等により営業利益が155億円となり同6億円(4.0%)増、持分法投資損失の負担減少等により、親会社株主に帰属する当期純利益が85億円で同20億円(31.2%)増となりました。

    2025年3月期の連結業績は、売上高については主要事業を中心に顧客件数の増加やエリア拡大を図り2,440億円(前連結会計年度比125億円(5.4%)増)を計画しております。各利益項目についても、営業利益160億円(同5億円(3.2%)増)、親会社株主に帰属する当期純利益90億円(同5億円(6.1%)増)を計画しております。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題

当社グループにおいて認識している対処すべき課題及びそれらの課題に対する取組については、以下に記載するとおりであります。

 

(全社共通)

当社は、TOKAIグループ「サステナビリティ宣言」に基づき、以下6つのマテリアリティ(重要課題)、それに紐づく19の取組課題と2030年までに達成すべき目標を定めた上で、事業活動を通じて社会課題の解決に努めております。また、取締役会の諮問機関として「サステナビリティ推進委員会」を設置し、目標達成に向けた取組状況を評価・検証しております。

 

~TOKAIグループ マテリアリティ~

(ⅰ) 脱炭素とクリーンエネルギー

(ⅱ) スマート社会の実現

(ⅲ) 暮らしの基盤づくり

(ⅳ) 地域共存と社会貢献

(ⅴ) 働きがい、やりがいの高い職場環境

(ⅵ) ガバナンス

 

上記に掲げた6つのマテリアリティについては、(ⅰ)に係る環境(Environment)についてはGX推進室、(ⅱ)~(ⅴ)に係る社会(Social)についてはサステナビリティ経営推進部、(ⅵ)に係る企業統治(Governance)についてはガバナンス推進室といった3つの専門部署により、目標の達成実現に向けて取組を進めております。

 

また全社共通の対処すべき主要な課題は以下のとおりであります。

 

① 事業ポートフォリオ経営への取組

 当社では企業価値向上に向けた取組の一環として、資本収益性と市場成長性・当社の期待の二軸による事業ポートフォリオ経営に着手しました。事業ごとの状況を数値で的確に把握し、各事業が抱える課題解決と併せて進めていくことで、経営資源の効率的な活用につなげるとともに、当社グループの企業価値の向上に寄与するよう取り組んでまいります。

 

② 内部統制・コンプライアンスに関する取組

 当社は、不適切な経費の使用等に係る再発防止に取り組んでまいりましたが、2024年3月7日付「再発防止策の推進状況(最終版)」に記載のとおり順調に進捗し、現在は運用フェーズに移行しております。

 今後は、グループ監査室及びコンプライアンス・リスク管理統括室が、その運用状況及び推進体制が有効に機能しているかを監視・検証してまいります。

 

③ 健康経営について

 当社は、従業員の健康増進を経営の重要課題として捉えております。

『人財戦略(理想の個、理想の組織)を実施することで

 従業員のウェルビーイング向上により、働きがいのある元気な企業集団へ』

をテーマに掲げて人的資本への投資を進めており、その一環としてトップレベルを目指した健康経営を推進しています。

経営トップを最高健康責任者(CHO)として健康経営大綱を制定し、「安全衛生」「健康増進」「働き方改革」の3つの柱を中心に様々な健康経営施策を実施し、社員一人ひとりが働きやすく活き活きと輝いて働ける環境づくりに積極的に取り組んでおります。

 

 

(各事業)

 各事業の対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

① エネルギー事業

LPガス・都市ガス事業につきましては、「中期経営計画2025」で掲げたGX(グリーントランスフォーメーション)の推進策に基づき、低・脱炭素化への取組を推進しております。

当社グループは、これまでも都市ガス事業においてはJクレジットを活用したカーボンニュートラル都市ガスを自治体・公共施設向けに販売を行い、LPガス事業においても、カーボンニュートラルLPガスの販売を取り扱うなどに取り組んできました。2023年度は静岡県藤枝市における官民連携によるJクレジット創出スキームの確立や、法人向け中小規模オンサイト型PPAの販売開始などに取り組みました。今後もエネルギー事業者として培ったノウハウや技術力を活かしながら、再生可能エネルギー、高効率ガス機器の販売等と掛け合わせて、持続可能な低・脱炭素社会の実現に向け努力してまいります。

また、気候温暖化以外にも、人口の減少やエネルギー事業者間での競合など事業環境は厳しく、これらへの対応が課題と認識しております。そのため、液化石油ガス法の改正省令(2024年4月公布)への対応、業務の効率化(DXの活用)やコスト低減、顧客の利便性向上による差別化などに取り組んでまいります。

 

② 情報通信事業

コンシューマー向け事業につきましては、ブロードバンドやスマートフォンは日常生活に不可欠であり、市場は成熟期を迎えております。事業者間競争の激しさは常態化しておりますが、当社グループにおいては、お客様のニーズに合わせた最適プランの提案、獲得ルートの開拓や解約率の低減に努めるなど、顧客基盤の維持・拡大に取り組んでおります。

法人向け事業につきましては、技術革新の変化への対応とそれを実現する技術者の確保・育成が課題と認識しております。当社グループにおいては、従来からの自社光ファイバーネットワークとデータセンター、システム開発を三位一体で提供するソリューションサービスに加え、クラウドサービスを取り込むなど、ストックサービスの拡充に取り組んでまいりました。また、発展著しいAI・IoT・ビッグデータを活用したサービスの商品化についても進めております。このような新しい技術に対応するため、技術者の確保・育成については、教育・研修プログラムを充実させるなど、より一層力を入れて取り組んでまいります。

 

③ CATV事業

CATV事業につきましては、大手通信事業者との競合が年々激しさを増している状況にあります。

 このような状況に対し、当社グループは、コミュニティチャンネルについて、お客様の暮らしに寄り添う番組作りを念頭に、行政と連携した地域の日々の出来事から災害情報の発信、地元を巡る視聴者参加型番組、イベント・スポーツの生中継など、地域と一体となって取り組んでおります。今後も地域の皆様の暮らしを支える、地元の活性化につながる番組作りに取り組んでまいります。

また当社グループは、放送・通信セット加入による割引サービス、大手携帯キャリアとの連携によるスマホセット割引、大手動画配信事業との提携による番組コンテンツの充実などに取り組んでおりますが、今後もお客様のニーズに合わせたサービスを取り込み、CATV事業者としての価値を高め、顧客基盤の強化、拡充にも取り組んでまいります。

 

④ 建築設備不動産事業

建築設備不動産事業につきましては、災害時でも安心・快適・便利を提供する生活水と電気の完全自給自足をコンセプトに掲げた住宅「GQハウス」や介護リフォームを展開するなど、お客様の暮らしの基盤づくりに取り組んでおります。また建築土木の分野は、災害復興には不可欠であり、地域の皆様が安心できるよう今後も万全な体制を整備してまいります。

 

⑤ アクア事業

アクア事業につきましては、顧客先より引き上げたウォーターサーバー、ボトルの取扱いを取組課題の1つにあげて、環境に配慮した材質の使用、自社再生工場による循環再利用の促進に努めております。

また、宅配事業者からの配送単価の値上げ要請や製造原価の上昇等、コスト管理についても事業課題と捉え、顧客獲得の強化と並行して同業他社とのアライアンス等、コストの抑制に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方や取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ共通

 当社グループは、「お客様の暮らしのために。地域とともに、地球とともに、成長・発展し続けます。」を企業理念に掲げ、お客様に「安心・安全」「便利・快適」「喜び・生きがい」を提供することを心掛けております。

 当社グループは2021年12月に「サステナビリティ宣言」を策定し、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定、各課題への対応に取り組んでおります。2023年5月にはTOKAIグループ「人権尊重に関する基本方針」を定め、自らの事業活動において影響を受けるすべての人びとの人権の尊重について、国際的な行動規範に則って取り組むことを公表いたしました。これにより、当社グループは、人権尊重の責任を果たすため国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権デューデリジェンスの仕組みを構築・継続的な実施を進めております。2023年度及び2024年度については、当社グループ企業において、人権に加えて組織統治や労働慣行、環境、公正な事業慣行など社会的責任に関する国際規格であるISO26000に基づくアンケートを実施し分析を進めています。今後は、当社グループのお取引先様(サプライヤー)へのアンケートも実施し、サプライチェーンマネジメントの強化を図ってまいります。

 そして、2024年4月には、当社グループの目指す姿勢を明確に示すため、グループ共通の新しいコーポレートメッセージ「私たちは、自由な発想とチャレンジで、暮らしに、社会に、笑顔を広げていきます。」並びにコーポレートスローガン「暮らしに社会にもっと笑顔を。」を策定し、当社グループ内外への浸透を進めております。

 また、社会が直面している課題は気候変動や生物多様性への対応、安心・安全・快適な生活、多種多様な生活スタイルや価値観の受容、人権問題への取組など、日々変化しております。このような環境下、当社グループは外部環境の変化にともなう新たな社会課題へ対応するため、マテリアリティの再検討を進めており、2024年度中の公表を予定しております。

 

①ガバナンス

 当社グループは気候変動や人的資本経営をはじめとする社会課題に積極的に関わりながら、持続可能な社会の実現へ貢献することを目指しており、取締役会の諮問機関の一つであるサステナビリティ推進委員会を主体として、サステナビリティの視点を踏まえた経営を促進しています 。サステナビリティ推進委員会は代表取締役社長(CEO)が委員長を務め、経営・リスク管理をはじめとした部署の担当役員、グループ各社社長及び客観的な視点によるアドバイスを活かすため社外取締役などのメンバーで構成されています。

 当委員会は年2回開催しており、マテリアリティ及び取組課題の棚卸、目標達成に向けての取組状況の評価を実施しています。ここで議論された内容及び施策は取締役会に報告され、当社グループ経営層による最終的な決議・承認のもと実行、指示監督が行われています。

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2023年度におけるサステナビリティ推進委員会の開催状況及び議題は以下のとおりです。

 

第3回サステナビリティ推進委員会式次第(2023年9月21日)

重点取組課題2022年度実績報告

GX推進に関する現状及び今後の取組

サステナビリティ推進に関する今後の取組について

 ①マテリアリティ・KPI見直し

 ②サステナビリティ教育の実施

 ③人権DD&CSR調達アンケートの実施

 ④サステナビリティワーキンググループ

 

第4回サステナビリティ推進委員会式次第(2024年3月7日)

2023年度の取組実績について

 (1)人権尊重に関する基本方針・CSR調達方針の策定及び公表

   ①人権に関するアンケートの実施

   ②サプライヤーホットラインの設置

 (2)サステナビリティ関連教育の実施

 (3)社会貢献活動

 (4)マテリアリティ及びKPIの進捗及び再設定の状況

GX推進に関する現状及び今後の取組

人的資本経営(人財戦略)

サステナビリティワーキンググループ発表

※サステナビリティワーキンググループはグループ若手社員によるワーキンググループ(2023年度21名)

 

以下参考

 

サステナビリティ基本方針

〜 暮らしを支える「安心・安全」「便利・快適」「喜び・生きがい」を未来へ 〜

私たちは暮らしを総合的に支える企業体として、地球環境をはじめとする社会課題の解決に主体的に関わりながら、すべての人々が「安心・安全」「便利・快適」「喜び・生きがい」を実感でき、次世代が夢を持って成長できる社会の実現に貢献しつつ、自らの企業価値の向上を目指します。

 

マテリアリティ

)脱炭素とクリーンエネルギー

)スマート社会の実現

)暮らしの基盤づくり

)地域共存と社会貢献

)働きがい、やりがいの高い職場環境

)ガバナンス

 

②リスク管理

当社グループのマテリアリティ(重要課題)の特定・評価は、サステナビリティ基本方針に基づき、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ推進委員会が実施しております。

特定にあたっては、各ESG調査機関が公表するセクター別マテリアリティ・マップ等を基本に、地域特性や業界動向等を踏まえて候補を選定しております。その後「中長期的な当社グループの企業価値に与える影響」と「当社グループが社会に与える影響」の2つの視点から評価を行い、最重要視すべきESG課題を選定しております。

サステナビリティ推進委員会は、これら特定したマテリアリティに対して、業界動向の変化や新たなESG課題を勘案して定期的な見直しを行いながら対応策や戦略を検討いたします。取組は最終的に取締役会の決議及び承認を経て実行へと移されます。

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(2)気候変動対応(TCFD提言に基づく情報開示2023)

●気候変動対応の取組

 当社グループは社会が直面する様々な課題の解決に向け積極的に取組を進めてまいりました。2021年12月にはTOKAIグループ「サステナビリティ宣言」を策定し、特定したマテリアリティには取組課題と2030年までに達成すべき目標を設定いたしました。その中でも2050年のカーボンニュートラルの達成や気候変動課題への対応は、世界規模で取組が求められる社会問題であり、当社グループの提供するエネルギーとも密接にかかわる重要なテーマであると認識しています。

 当社グループでは、TCFDフレームワークを活用した「気候変動リスク及び機会」の特定及び対応策の策定と経営戦略への統合が、当社グループの持続的成長と企業価値向上に資するものと考え、TCFDガイドラインに即した情報開示を2022年度に初めて行いました。

 今後もシナリオ分析を通じた当社グループの気候変動課題に対するレジリエンスの強化を図ると同時に、毎年度 内容の見直しを行い、情報開示の充実に努め、持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。

 

①ガバナンス

 当社グループの気候変動対応に係るガバナンスはサステナビリティ共通のガバナンスに組み込まれています。詳しくは「(1)サステナビリティ共通①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

Ⅰ)シナリオ分析の前提と対象事業

 当社グループは、気候変動課題が及ぼすリスクと機会、財務影響を把握するため、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つのシナリオ分析を実施し、その対応策の検討を行っています。

 分析対象事業は、当社グループの中でも特に重要性の高い5つの事業並びに事業会社とし、グループ売上高の98%を占めています(2022年度)。とりわけ当社グループの主力事業であるエネルギー事業は、脱炭素化への移行計画において大規模な事業環境変化が想定される事業領域であり、その影響規模を事前に評価しておくことの重要性を認識しています。

 時間軸としては、当社グループがカーボンニュートラルを目指す2050年を踏まえ、短期を2025年(「中期経営計画2025」の終了年)まで、中期を2030年(2050年の中間目標)まで、長期を2050年までと設定しました。なお、財務影響は2030年時点で評価しています。

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 上記2つのシナリオを想定し分析を行った結果、主要なリスクと機会、当社グループへの影響及び対応策は次のとおりです。

 

Ⅱ)シナリオ分析結果

外部シナリオと当社固有の事情を考慮しながら当社グループの事業への影響についてシナリオ分析を行いました。移行リスク、物理リスク、機会の重要度を「発生可能性※1」(1~3評価)と「影響度※2」(1~3評価)の両面で検証し、右図のマトリックス表に基づき、3段階(大・中・小)で評価しました。

※1 項目ごとに発生する可能性を予見し、可能性の大きさに応じて3段階で評価。

※2 定量的に把握できる項目は営業利益への影響額を試算し、影響額が±50億円超は3、

±10億円超は2、±10億円以下は1と3段階で評価。

 

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1.5℃シナリオ

炭素税の導入・強化により、自社排出GHG(Scope1・2)に対する課税や、LPガス事業・都市ガス事業における調達コストが大きくなることが予想されます。また、GHG排出規制やエネルギーミックスの変化等により、ガスの需要が低下する可能性があります。

また、省エネルギー機器の普及拡大により、ガス使用量が減少するリスクと、高効率機器等の販売機会が拡大する両面の影響が予想されます。一方で住宅の断熱性能向上への意識が高まり、断熱リフォームやZEH等の販売機会が拡大することも期待されます。

 

4℃シナリオ

異常気象に伴う高潮や台風などの自然災害の激甚化により、当社施設やエネルギー供給設備、サプライチェーン、顧客の被災による事業活動の停止が予想されます。

一方で、平均気温の上昇や猛暑等の影響によりアクア(宅配水)のニーズが高まることや、水害等による企業施設内のデータ破損を回避するため、危機管理体制の整ったクラウドなどのITサービスの需要が増加することが期待されます。

更には、頻発する自然災害に関する地域情報発信機能として、コミュニティチャンネルを持つCATVのニーズが高まることも予想されます。

 

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Ⅲ)当社グループのGX推進策

上記の分析結果を踏まえ、自社施設における太陽光発電の設置や、事業所等で使用する電気の省エネルギー化・再生可能エネルギー化などにより、自社排出GHG(Scope1・2)の削減に努めております。

また、お客様向けには、省エネルギー機器や再生可能エネルギーの普及促進に努め、エネルギー需要の維持・拡大を図っております。

さらには、自社施設・お客様向けの風水害対策の強化をはじめ、BCPの徹底、防災体制の構築により、レジリエンスの向上に努めております。

当社グループでは、気候変動問題への対応を図るべく、GX戦略として、リスクの抑制に努めるとともに、成長の機会と捉え、事業拡大に繋げながら、低・脱炭素化への取組を推進しております。

 

<中期計画経営2025におけるGX戦略>

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③リスク管理

 気候変動関連リスク及び機会の評価・管理を、原則として年次サイクルで実施しています。全社的な気候変動リスク管理の対応は、当社GX推進室が担っています。GX推進室は、グループ会社の社長並びに担当役員で構成される「GX推進委員会」を開催し、同委員会にて気候変動リスクの抽出・評価・検討を行います。更に、その結果をサステナビリティ推進委員会に報告し、協議します。

 また、サステナビリティ推進委員会にて審議された気候変動課題について、GX推進室はグループ会社にその優先順位について検討・対応策を指示するとともに、対応状況の進捗をフォローし、サステナビリティ推進委員会にフィードバックします。

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④指標と目標

 当社グループは2023年5月に公表した「中期経営計画2025」において、低・脱炭素化への取組を持続的成長基盤の強化戦略として位置付けており、地域・お客様・サプライヤーと一体となってGHG削減に貢献し、2050年にカーボンニュートラルを実現することを掲げています。指標と目標は以下のとおりです。

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(3)人的資本経営

●人的資本経営の取組

『人財戦略(理想の個、理想の組織)を実施することで

従業員のウェルビーイング向上により、働きがいのある元気な企業集団へ』

※一人ひとりを、大切な財産であると考えており、人材の『材』を財産の『財』にて表現をしています。

 当社グループでは「理想の個の姿」と「理想の組織の姿」の実現を目指し、人的資本への投資を進めております。理想の姿の実現に向けて、「自律的なキャリアアップ支援」「働き方改革」「多様性を重視した組織風土の醸成」「健康経営施策」に取り組んでおります。

 そして、理想の姿を実現した従業員が、自由な発想とチャレンジで、暮らしに、社会に笑顔を広げられるよう、人的資本経営に取り組んでまいります。

<当社グループが目指す2つの理想の姿>

・『理想の個の姿』

 従業員自身が環境変化に適応し、自己変革に絶えず挑戦し、人生の「喜び・生きがい」の目標達成に向けて自律的にキャリアアップが出来る姿を目指します。

・『理想の組織の姿』

 目標達成のため、上下関係なく健全なコンフリクトがあり、互いに柔軟なアイデアを生み出し、協力し合って課題に取り組むことができ、エンゲージメント及びチーム生産性の高い組織風土を目指します。

 

☆当社グループが目指す人的資本経営のビジョン

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(※)DE&I:Diversity,Equity&Inclusionの略称。

社会の多様性、公平性、包摂性を高めるための対策や概念を指します。

 

①ガバナンス

 当社グループの人的資本経営に係るガバナンスはサステナビリティ共通のガバナンスに組み込まれています。詳しくは「(1)サステナビリティ共通①ガバナンス」をご参照ください。

 

②リスク管理

 当社グループの人的資本経営に係るリスク管理はサステナビリティ共通のリスク管理に組み込まれています。詳しくは「(1)サステナビリティ共通②リスク管理」をご参照ください。

 なお、人的資本経営に係る特有のリスク管理は下記のとおりであります。

 日本の社会情勢として生産年齢人口は年々減少しており、今後、人財の確保が難しくなることが予想されています。当社グループは、持続的な企業価値の向上を図ることや経営戦略に連動した人財戦略を実行するためには人財の確保が重要と考えております。

 そこで、当社グループは戦略に掲げております人財育成方針と社内環境整備方針を軸に、当社グループを支えている従業員を大切な財産とし、個の強みを活かす企業を目指してまいります。そして、人財の獲得・人財の定着・人財の活躍を図り、リスク対応に取り組んでまいります。

 

③戦略

Ⅰ)人財育成方針

 当社グループでは、『従業員自身が環境変化に適応し、自己変革に絶えず挑戦し、人生の「喜び・生きがい」の目標達成に向けて自律的にキャリアアップが出来る姿』を理想の個として掲げており、その理想の個の実現には従業員の自律性が重要だと考えております。そのため、従業員の個性や多様性を尊重し、自身でのキャリア構築、環境変化への対応したスキル支援など、自律性を重視した育成を進めてまいります。

 従業員が『理想の個』の姿になるための成長を促すことで、従業員のウェルビーイングの向上を目指します。

 

<主な研修及び人財育成のための施策>

 当社グループの企業理念実現のためには理想の個の姿を実現した従業員が必要不可欠です。

 従業員のキャリア形成の促進・支援を目的としたセルフキャリアドックの実施、階層別研修として若手・中堅・管理職への研修等を行っております。セルフキャリアドックについては、国家資格であるキャリアコンサルタントを有する者が従業員のキャリア形成を支援してまいります。また、管理職への研修として心理的安全性についての研修や、従業員一人ひとりの強みを活かすこと(ⅰ.ストレングス指標)を目的としたコーチングの研修を取り入れております。これらの研修を通じて、自律性向上を図り、理想の個を実現できる人財(ⅱ.セルフキャリア指標)を育成してまいります。

 2023年度では特別優秀抜擢人事制度を導入し、年齢や社歴に捉われることなく理想の個を実現できる人財を育成できるよう取り組んでおります。また、TOKAIグループ業績優秀制度を見直し多様な人財が成長できる機会を設け、理想の個の育成が円滑に行われるよう制度や施策、研修を整えております。そして、自律的にキャリアアップを目指すことができる人財を育成するためにリスキリングを導入し当社グループの特に重要なKPIの数値向上を目指し、2024年度も継続して人財育成に取り組んでまいります。

<主な研修>

セルフキャリアドック/コーチング研修/新入社員研修/人財育成研修(階層別グループ人財育成研修)/

重点テーマ研修/部門別スキル研修/リスキリング

<制度他>

評価制度と目標管理制度/資格取得報奨制度/英会話学習支援/EAP(Employee Assistance Program の略「従業員支援プログラム」)/特別優秀抜擢人事制度/TOKAIグループ業績優秀制度

 

Ⅱ)社内環境整備方針

 当社グループでは『目標達成のため、上下関係なく健全なコンフリクトがあり、互いに柔軟なアイデアを生み出し、協力し合って課題に取り組むことができ、エンゲージメント及びチーム生産性の高い組織』を理想の組織としており、その理想の組織の実現には人財の多様性が重要だと考えております。そのため当社グループではダイバーシティマネジメントを標榜し年齢・性別・国籍・LGBTQ+など、多様な人財が活躍できるよう環境整備・制度設計を進めることで、働きやすく・働きがいのある職場づくりを推進いたします。

 また、従業員一人ひとりが活躍するための基盤は、健康で活き活きと仕事ができることと認識しております。そのために、「健康で活き活きと輝いて仕事ができるよう健康増進を支援」「安心・安全で快適な職場づくりに向けて安全衛生管理の推進」「調和がとれたワークライフバランスの推進」を実践し、健康経営を促進すること(ⅴ.健康リテラシーの高い従業員割合)で、従業員のウェルビーイングの向上を目指します。

 

<主な研修及び社内環境整備のための制度>

 当社グループが目指す理想の組織の実現に向けてダイバーシティの推進が重要であります。そのため女性活躍推進を目的とした女性社員研修を行うほか、心理的安全性の高い職場づくり(ⅲ.セーフ指標)に向けて管理職に対して心理的安全性研修やコーチング研修を実施しております。また一人ひとりの多様な働き方を支えるためテレワーク勤務制度やフレックスタイム制度などを取り入れております。当社グループでは多様な人財が活躍できるよう、引き続き働きやすい環境整備(ⅳ.WLB(Work Life Balance:社内環境整備)指標)を進めてまいります。

 2023年度では、心理的安全性研修やコーチング研修等に加え、メンター研修やDE&I研修、LGBTQ+研修を取り入れ、理想の組織を実現できる社内環境を目指して様々な研修を引き続き行ってまいりました。また、新たに出産祝い金制度・一時預かり補助制度、顧問介護士制度を施策として実施しており、従業員にとって働きやすい環境を提供することで、理想の組織であると感じられる社内環境を今後も整えてまいります。

 

<主な研修>

女性社員研修/心理的安全性研修/コーチング研修/介護研修/パワーハラスメント研修/安全衛生関連の研修/

メンタルヘルス研修(ラインケア)/メンタルヘルス研修(セルフケア)/メンター研修/LGBTQ+研修/DE&I研修

<制度他>

育児休業制度/介護休業制度/育児時差時短・介護時差勤務/テレワーク勤務制度/フレックスタイム制度/保存休暇制度/エンゲージメントサーベイ/治療と介護の両立支援制度/健康に関する取組へのアンケート/出産祝金制度・一時預かり補助制度/顧問介護士制度

 

④指標と目標

 当社グループにとって従業員は財産であり、従業員が活き活きと輝いて働ける環境を目指しております。また、従業員の自律性を育み、働きやすい職場環境を構築することにより、従業員のウェルビーイング向上を図り『働きがいのある元気な企業集団の実現』に向けて人的資本の拡充を実施してまいります。そして、当社グループの目標である「中期経営計画2025」を達成してまいります。

 

<特に重要な指標について>

 当社グループでは理想の個・理想の組織の実現に向けて下記5つの指標を掲げております。指標を用いて理想の姿に向けた進度を測定するとともに、人的資本経営に係るPDCAを円滑に回すことにより目標達成につなげてまいります。

 

ⅰ.ストレングス指標

 一人ひとりの個性や強みを活かすことは、従業員の働きがい及び組織としてのパフォーマンスを高めると捉え、従業員が自分の強みをどれだけ仕事に生かすことができているかを測定します。

 

ⅱ.セルフキャリア指標

 不確実な時代を乗り越えるためには、従業員自身が環境変化に適応することや、目標達成に向けて自律的にキャリア形成していくことが必要です。従業員のキャリア形成を促進・支援していくため、キャリア形成を意識し行動に移せているかを測定します。

 

ⅲ.セーフ(心理的安全性)指標

 企業の成長のためには、多様な意見を認め合い、健全なコンフリクトが生じていることが重要です。その土台となる心理的安全性が組織内でどれだけ確保されているかを測定します。

 

ⅳ.WLB(Work Life Balance)指標

 従業員が活躍するためには、働きやすく・働きがいのある職場づくりが必要です。一人ひとりの多様な働き方を支えるための制度を整えるとともに、従業員目線で見たときに働きやすい職場になっているかを測定します。

 

ⅴ.健康リテラシーの高い従業員割合

 健康経営への取組には、従業員が健康への知識や能力を活用していくかが重要です。

 健康への知識や能力を活用できている従業員が多いかを測定します。

 

 

 

<人的資本に係る実績値と目標>

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3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  自然災害等リスク

① 大規模災害の発生について

当社グループの事業展開エリアは、静岡県及び関東地区が大きな割合を占めておりますが、静岡県は東海地震・南海トラフ地震、関東は首都直下型地震など大規模地震の発生が想定されています。BCP (事業継続計画)を策定し災害時の事業継続に備えておりますが、想定を超えた地震・風水害等の大規模災害の発生により、当社グループの人員・施設等に大きな被害が発生するだけでなく、事業継続に不可欠な電力の供給不能や、通信回線等の障害が長期化する場合や、道路等の交通インフラの遮断が長期化する場合には、事業の維持・継続に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 感染症の発生について

近年、国内外において新型コロナウイルス感染症が、経済活動やお客様の生活に大きな影響を与えてきました。このような感染症に対し、当社グループはLPガス・都市ガス・アクア・インターネット・放送・介護など多くのライフラインを担っていることから、お客様と従業員の健康と安全を最大限考慮し、事業ごとに対応ルールを設けて感染防止を徹底しております。また感染者が発生した場合の緊急時体制についても、事業ごとに事業継続に向けた仕組みを整備しております。しかし、今後、新たな感染症が拡大することによって、お客様への対応に遅延を生ずるなど、安定的なサービスの提供に支障を来し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)  事業リスク

① 他社との競合について

エネルギー事業や情報通信事業等における競合事業者には、当社グループより大きな資本力、技術力、販売力等を有している企業が数多く存在しております。近年では都市ガスや電力の小売市場の自由化、NTT東日本・西日本による光回線卸サービスの提供等もあって、益々競合関係が激化する傾向にあります。

また、LPガス、都市ガス、電力等、エネルギー間競争が激化して当社の収益基盤の拡大が計画とおり進捗しなくなるリスクがあります。

対応策として、LPガス事業につきましては、業務の自動化、配送業務・検針等の客先業務の効率化等のコストの低減や、新規エリア拡大及びM&Aによる新規顧客獲得に取り組んでおります。都市ガス事業につきましては、M&Aによる拡大施策や、複数サービスの利用や保安体制の充実により顧客との接点強化、事業基盤の拡充等に取り組んでおります。情報通信事業やCATV事業につきましては、獲得コストの効率的配分、放送・通信セット加入による割引サービス、大手携帯キャリアとの連携によるスマホセット割引など価格競争力を高めることで、新規獲得及び解約防止に取り組んでおります。

しかしながら、これらの同業者、異業種業者との競争が当社グループの想定を上回って激化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報通信事業、CATV事業等における技術陳腐化について

当社グループが行っている情報通信事業、CATV事業では、技術革新が目覚ましいスピードで進んでおります。このような新しい技術に対応するため、技術者の確保・育成については、教育・研修プログラムを充実させるなど、より一層力を入れて取り組んでおりますが、技術革新により当社製品及びサービスの陳腐化や市場の喪失が発生した場合、技術革新に対応できない場合及び新たなサービス提供のための設備投資が十分でない場合には、競争力の低下につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 仕入先、業務委託先、下請先との関係について

当社グループは、エネルギー事業、情報通信事業、CATV事業、建築設備不動産事業、アクア事業等、多くの事業において商品の仕入を行い、また、業務の一部を他社に委託するもしくは下請に出す等を行っております。これらの仕入・業務委託・下請先において、何らかのトラブル等が発生し、お客様へ安定的な商品・サービスの提供が困難になる事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定の取引先・受注先への依存について

当社グループのソフトウェア開発事業は、特定のシステムインテグレータに対する依存度が比較的高い水準にありますが、高度な要請に的確に応えることにより、システム構築・運用ノウハウ等を培い、より強固な関係を築いてまいりました。しかしながら、取引先システムインテグレータの経営状況や事業戦略の変更等があった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループのブロードバンドサービスは、キャリア事業者から回線の提供を受けたうえで、主に直販もしくは家電量販店等を通じて個人向けに販売しておりますが、キャリア事業者、家電量販店等の事業戦略等に変更があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、モバイル事業として、当社グループはソフトバンク株式会社の代理店事業及び株式会社NTTドコモより回線を借り受けたMVNO事業を行っております。当該各社の事業戦略、代理店施策及び回線の借り受け価格等に重要な変更があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 受注業務における不採算取引の発生について

当社グループの建築設備不動産事業等における、大手メーカー・ゼネコン等からの受注・下請業務においては、適正な施工管理を行っておりますが、何らかのトラブル等が発生し、納期が遅れる、受注先の検収条件を満たせない等の事態により、採算が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループのソフトウェア開発事業等においては、引き合い・見積もり・受注段階から、プロジェクト管理の徹底を図り、効率的なシステム構築・開発を目指しております。しかしながら、納入後の不具合の発生、お客様からの開発方式の変更要求、仕様追加の発生等、工数の追加、開発途上の不測事故等により採算が悪化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 事業提携やM&Aについて

当社グループは、既存サービス等との相乗効果が期待できる場合や、新サービスを導入することにより将来的な事業展開につながる可能性があると判断した場合には、事業提携やM&A等について積極的に検討を進めていく方針です。そして、個別の投資案件に係る収支状況については担当事業部等が常に把握し、必要に応じて事業計画の見直しを行うなど、投資資金の回収可能性について厳格に管理を行っておりますが、提携先の事業や譲受事業等が計画どおりに進展せず、期待した成果が上がらない場合は、取得株式等の減損損失を計上することも想定され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 投資資金の回収について

当社グループの事業の中核を形成するエネルギー事業、情報通信事業、CATV事業は、事業拡大のために多額の設備投資を行っております。また、新たな技術の開発・導入やこれに伴う新しいサービスを提供し、事業を拡大していくためには、既存の投資計画の変更・見直しを余儀なくされることがあります。投資効果を検証し、投資計画の見直しを適宜行っておりますが、景気動向・市場動向等、情勢に大きな変化が生じた等の理由により、当初想定していた投資収益が期待できなくなる可能性があります。その場合には、投下した投資資金の回収が遅れる可能性があります。個別の投資案件に係る収支状況については担当事業部等が常に把握し、必要に応じて事業計画の見直しを行うなど、投資資金の回収可能性について厳格に管理を行っておりますが、経済情勢の急激な変化、突然の需要減退等の環境変化に対応できず、所期の投資成果が期待できない可能性が高くなった場合には、固定資産の減損処理が必要になるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 海外事業展開に係るリスクについて

当社グループは、エネルギー事業、情報通信事業等において、海外への事業展開及び海外企業との取引を行っております。自社並びに外部委託先を利用して市場環境、政策動向等の情報収集を行っておりますが、現地の商習慣や法律・規制等の制約、人件費の高騰、為替レートの変動、テロやクーデター等による社会的混乱等により、事業展開及び取引に重大な支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)  債権管理・与信リスク

  与信管理について

当社グループは、債権管理規程等の社内ルールを策定し、取引先の与信管理・債権管理に係る体制整備・強化に努めておりますが、取引先の経営状況が悪化し、売掛金・貸付金等の回収が遅延したり、貸し倒れ等が発生すること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)  マーケットリスク

① ガス仕入価格及び為替の変動について

エネルギー事業における主力商品であるLPガスの仕入価格は、その大半を輸入に依存している関係上、地政学的要因や需給バランス等に起因する市況や為替変動の影響を受けます。この市況や為替変動による影響を最小限に食い止めるべく、一部固定化のためのヘッジ取引を実施する場合があります。これは、原料価格の急激な上昇による販売価格への影響を抑えるために行うものですが、実際の仕入時点における商品価格が、予想に反して大幅に下落した場合には、価格の固定化により損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 不動産市況悪化のリスクについて

当社グループは不動産事業を行っておりますが、不動産価格が大幅に下落した場合には、販売用不動産の評価額の引下げ、自社不動産の減損処理が必要になるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 資金調達構造ならびに金利動向の影響について

当社グループは、エネルギー事業、情報通信事業、CATV事業、建築設備不動産事業、アクア事業等において経営基盤の強化・拡充を図っております。一方で、中期経営計画に基づくキャッシュ・フロー経営によって有利子負債の削減、自己資本比率の向上に努めてまいりましたが、今後、M&A等による投資拡大を進める中で、有利子負債が増加し金利上昇のリスクを受けやすくなる恐れがあります。資金調達にあたっては、長短のバランスの適正化及び長期借入の固定金利調達により金利上昇リスクを抑えてまいりますが、急激な金利上昇があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)  システムリスク

① 個人情報の管理について

当社グループは、個人情報取扱事業者として、「プライバシーポリシー」を定め、ウェブサイト等で開示しております。当社グループでは、個人情報保護法等の法令及び社内規程に基づき顧客情報の取扱いに細心の注意を払っておりますが、万一、不正ログイン、サイバー攻撃等により、大規模な顧客情報の流出等が生じた場合には、風評による社会的信用の失墜や損害賠償金の支払等によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報システムの障害発生について

当社グループでは、情報通信事業を中心に、自社の情報処理システムやデータセンター・自社回線等によるサービスを提供しております。システム障害の防止には細心の注意を払っておりますが、機器不良及び人為的なミス、大規模な自然災害等により情報システムの停止、誤作動等の障害が発生する可能性があり、これらの事故によって、当社グループにおけるサービス提供の継続が困難となった場合には、風評による社会的信用の失墜や損害賠償金の支払等によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自社業務系システム構築に係るリスクについて

当社及びグループ会社が、自社の業務系システムの開発を効率的に進めることを目的に、グループ内企業に発注することがあります。一方で、開発要員が不足した場合等に、当該案件の納期が遅れることで業務に支障をきたす可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

    ④ サイバー攻撃について

近年、サイバー攻撃が高度化・巧妙化しております。これに対し、当社グループでは、部門横断的な情報セキュリティ体制を整備し、各種セキュリティ対策やインシデント対応訓練を継続しております。また、事故発生時には、CSIRT(被害拡大を防ぐための組織)により、サイバー攻撃の影響を最小限にとどめる対策を実施しております。

しかしながら、これらの対策を超えたサイバー攻撃が行われ、基幹となる情報システムに重大な支障が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)  コンプライアンスリスク

① 法的規制について

当社グループの事業は多岐にわたっており、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、ガス事業法、宅地建物取引業法、建設業法、放送法、電気通信事業法、青少年ネット規制法等、関係する法令や監督官庁も様々です。また、訪問販売等の事業に適用される特定商取引法や景品表示法、下請会社を使う事業に共通な下請法の規制を受けております。さらに一般消費者に直結した事業が多いため、昨今の消費者保護行政の強化を受け、適用される法令や行政指導も増加する傾向にあります。また、将来において、現在予測し得ない法的規制等が設けられる可能性があり、これらに適切に対応できなかった場合には、行政当局等からの指導・摘発等を受けることとなり、風評による社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② トラブル・クレームの発生並びに訴訟について

当社グループが事業活動を行う過程において、相手方が法人・個人を問わず、トラブル・クレームが発生する可能性があります。係るトラブル・クレームの発生を未然に防止すべく、従業員教育を徹底し、当社顧客(潜在的顧客も含む)に対しましては丁寧な対応かつ正確な説明を心掛けております。加えて、必要に応じガバナンス推進室やコンプライアンス・リスク管理統括室等の専門管轄部署が中心となり、契約書面の事前チェックや契約先の与信管理等、法務面、信用面からの検討を行っております。また、トラブル・クレーム発生の際は、早期解決に努めるとともに、発生原因を追求し類似事案の再発防止に努めており、これらの活動状況につきましては、経営への重要度に応じ取締役会や監査役会に報告等を行っております。しかし、トラブル・クレーム等が長期化、社会問題化した場合や訴訟が提起された場合は、風評による社会的信用の失墜や損害賠償金等解決に係るコストの負担等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

以下に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、雇用や所得環境の改善が進む中、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、緊迫化する中東情勢や円安を背景としたエネルギー価格の更なる高騰が懸念されるなど、先行きは依然として不透明な状況にあります。

このような状況のなか、当社グループは「中期経営計画2025」を2023年5月に公表いたしました。この中期経営計画では、当社グループの持続的成長に向け①事業収益力の成長、②持続的成長基盤の強化、③人財・組織の活力最大化の3つをキーメッセージとして掲げております。

当連結会計年度における業績につきましては、グループの継続取引顧客件数は59千件増加(前連結会計年度は106千件増加)し、3,358千件となりました。TLC会員数は56千件増加(前連結会計年度は71千件増加)し、1,214千件となりました。グループ顧客件数の増加等により、売上高は231,513百万円(前連結会計年度比0.6%増)となり7期連続の増収で過去最高を更新し、営業利益は15,511百万円(同4.0%増)となりました。また、持分法投資損失の負担減少等により経常利益は15,531百万円(同16.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,481百万円(同31.2%増)となりました。

当連結会計年度におけるトピックスにつきましては、カーボンニュートラル実現に向けた取組の一環として2023年7月に、フィリピン共和国において再生可能エネルギー発電事業を展開するPure Energy Holdings Corporationグループの子会社で水力発電事業を営むREPOWER ENERGY DEVELOPMENT CORPORATIONに出資いたしました。なお、同社に対しては2024年2月に追加出資を行い、持分法適用関連会社といたしました。2023年8月には、三重県伊勢市にLPガス販売の営業拠点を新設し、事業基盤の拡大について着実な成果をあげております。同年10月には、アマゾン ウェブ サービス(AWS)*のパートナー認定制度であるAWSパートナーネットワークにおいて、最上位レベルの「AWSプレミアティアサービス パートナー」に国内14社目として昇格いたしました。同年12月には、浮体式洋上風力発電の開発に取り組む株式会社アルバトロス・テクノロジー(東京都中央区)に出資し、当社グループのGX(グリーントランスフォーメーション)推進に活用してまいります。また、2024年1月にシステムの受託開発や医療機関向けのアプリケーション開発を営む株式会社ユー・アイ・エス(東京都千代田区)を連結子会社化いたしました。さらに、同年3月にはLPガス事業を営む株式会社フジプロ(神奈川県茅ケ崎市)の株式を取得する株式譲渡契約を締結し、同年4月より連結子会社といたします。

今後もシェア拡大やM&Aなどの事業投資に積極的に取り組み、持続的な成長を図ってまいります。

*アマゾン ウェブ サービス(AWS):Amazon Web Services, Inc.が提供するクラウドサービス。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度よりセグメントの記載順序を変更しております。

 

(エネルギー)

LPガス事業につきましては、引き続き顧客獲得を推進した結果、需要家件数は前連結会計年度末から33千件増加し778千件となりました。高気温等により家庭用ガスの単位消費量が減少したものの、需要家件数が増加したことで売上高は83,688百万円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。

都市ガス事業につきましては、需要家件数は前連結会計年度末並みの75千件となりました。また、仕入れコストに連動した原料費調整制度の影響により、売上高は17,285百万円(同11.8%減)となりました。

これらにより、当セグメントの売上高は100,974百万円(同1.5%減)となりましたが、LPガス需要家件数の増加等により営業利益は5,086百万円(同18.7%増)となりました。

 

(情報通信)

コンシューマー向け事業につきましては、ISP事業は大手携帯キャリアとの提携による顧客獲得強化、モバイル事業はLIBMOのサービスメニューの拡充や固定回線とのセットプラン等により顧客獲得を推進いたしました。これらの施策の結果、ブロードバンド顧客は前連結会計年度末から3千件増加し668千件、LIBMOは前連結会計年度末から9千件増加し80千件となりましたが、ARPUの減少等により売上高は24,226百万円(同0.7%減)となりました。

法人向け事業につきましては、キャリアサービス及びクラウドサービスが順調に進捗したことにより、売上高は32,442百万円(同9.8%増)となりました。

これらにより、当セグメントの売上高は56,669百万円(同5.0%増)、営業利益は4,223百万円(同10.0%増)となりました。

 

(CATV)

CATV事業につきましては、地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携する等、コンテンツの充実に努めてまいりました。また、新規エリアにおいても営業活動を積極的に実施したことで、放送サービスの顧客件数は前連結会計年度末から5千件増加し919千件、通信サービスの顧客件数は前連結会計年度末から21千件増加し394千件となりました。

これらにより、当セグメントの売上高は35,761百万円(同3.7%増)、顧客獲得に係る先行投資等により営業利益は5,509百万円(同0.2%減)となりました。

 

(建築設備不動産)

建築設備不動産事業につきましては、分譲地の販売が順調に推移いたしましたが、大型の土木工事や設備工事が減少したこと等により、当セグメントの売上高は25,038百万円(同6.6%減)、営業利益は1,172百万円(同10.7%減)となりました。

 

(アクア)

アクア事業につきましては、2023年4月に浄水サーバーの取扱いを開始し、更なる顧客基盤の拡充に取り組みました。また、大型商業施設等での催事営業やWEB獲得、テレマーケティング等により、顧客件数は前連結会計年度末から2千件増加し167千件となりました。

これらにより、当セグメントの売上高は7,743百万円(同2.8%増)、加えて獲得コストの低減等により営業利益は352百万円(同34.3%増)となりました。

 

(その他)

その他の事業のうち、介護事業につきましては、利用者数が増加したことにより、売上高は1,411百万円(同3.6%増)となりました。船舶修繕事業につきましては、修繕隻数が増加したことにより、売上高は1,800百万円(同5.3%増)となりました。婚礼催事事業につきましては、利用状況の回復により、売上高は1,273百万円(同25.8%増)となりました。

これらにより、当セグメントの売上高は5,325百万円(同9.2%増)となりましたが、営業費用の増加等により営業利益は34百万円(同79.3%減)となりました。

 

 

財政状態につきましては、当連結会計年度末における資産合計は205,301百万円となり、前連結会計年度末と比較して11,961百万円の増加となりました。これは主として、投資有価証券が4,966百万円、有形固定資産が3,913百万円、退職給付に係る資産が2,356百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

負債合計は114,000百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,965百万円の増加となりました。これは主として、長期借入金が1,249百万円、未払法人税が809百万円、未払金の増加等により流動負債「その他」が802百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

純資産合計は91,300百万円となり、前連結会計年度末と比較して8,996百万円の増加となりました。これは主として、剰余金の配当4,203百万円を実施した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益8,481百万円を計上したことに加え、その他有価証券評価差額金が1,905百万円、退職給付に係る調整累計額が1,281百万円、繰延ヘッジ損益が1,143百万円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末から1,576百万円増加し5,604百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、30,066百万円の資金の増加(前連結会計年度比+8,872百万円)となりました。これは法人税等の支払等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益、棚卸資産の減少及び非資金項目である減価償却費等の要因により資金が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、18,831百万円の資金の減少(同△4,678百万円)となりました。これは有形及び無形固定資産の取得に加え、関係会社株式の取得による支出等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、9,669百万円の資金の減少(同△2,210百万円)となりました。これは借入金による資金調達等の一方で、借入金及びリース債務の返済、配当金の支払等を行ったことによるものであります。

 

③ 仕入、受注及び販売の実績

当連結会計年度よりセグメントの記載順序を変更しております。

a.仕入実績

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

エネルギー

51,012

88.2

情報通信

3,133

117.5

CATV

4

36.1

建築設備不動産

8,744

94.6

アクア

769

94.6

その他

723

108.6

合計

64,388

90.4

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前連結会計
年度比(%)

受注残高

(百万円)

前連結会計
年度比(%)

エネルギー

14

79.2

103

105.3

情報通信

19,746

107.8

1,450

104.7

CATV

建築設備不動産

12,018

92.7

4,983

236.5

アクア

その他

1,164

90.1

154

112.0

合計

32,943

101.1

6,692

179.5

(注)1.当社グループは一部を除き受注生産を行っておりません。「エネルギー」はガス関連機器等の請負工事、「情報通信」はソフトウェア開発、「建築設備不動産」は住宅及び土木建築等の請負工事、「その他」は船舶修繕の受注高を記載しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

エネルギー

100,974

98.5

情報通信

56,669

105.0

CATV

35,761

103.7

建築設備不動産

25,038

93.4

アクア

7,743

102.8

その他

5,325

109.2

合計

231,513

100.6

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

ⅰ.財政状態

当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

ⅱ.経営成績

当社グループの当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであります。

 

(売上高)

売上高は、231,513百万円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。売上高の主な内訳をセグメント別でみると、下記のとおりであります。

エネルギー事業におきましては、顧客件数は順調に増加したものの、都市ガスの仕入れコストに連動した原料費調整制度の影響等により、100,974百万円(同1.5%減)となりました。

情報通信事業におきましては、法人向け事業でキャリアサービス及びクラウドサービスが順調に推移し、56,669百万円(同5.0%増)となりました。

CATV事業におきましては、顧客件数が順調に増加し35,761百万円(同3.7%増)となりました。

建築設備不動産事業におきましては分譲地の販売が順調に推移いたしましたが、大型の土木工事や設備工事が減少したこと等により、25,038百万円(同6.6%減)となりました。

アクア事業におきましては、顧客増加等により、7,743百万円(同2.8%増)となりました。

その他の事業におきましては、介護事業での利用者数の増加、造船事業での船舶修繕工事量の増加及び婚礼催事事業における利用状況の回復等により、5,325百万円(同9.2%増)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、エネルギー事業において都市ガスの仕入れコストの減少等により2,567百万円減少し、141,561百万円(同1.8%減)となりました。販売費及び一般管理費は、顧客増に伴う営業費用の増加等により3,299百万円増加し74,440百万円(同4.6%増)となりました。以上により、営業利益は591百万円増加し、15,511百万円(同4.0%増)となりました。

 

(営業外損益)

営業外損益は、持分法投資損失の負担減少等により、20百万円の利益(前連結会計年度は1,629百万円の損失)となりました。なお、支払利息は前連結会計年度から39百万円増加し、310百万円となりました。これらにより、経常利益は15,531百万円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。

 

(特別損益)

特別損益は、固定資産除却損、減損損失を計上したこと等により、1,699百万円の損失(前連結会計年度は1,407百万円の損失)となりました。

 

以上により、税金等調整前当期純利益は13,833百万円(前連結会計年度比16.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の負担(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引き、8,481百万円(同31.2%増)となりました。1株当たり当期純利益は64円94銭(前連結会計年度は49円41銭)となりました。

 

ⅲ.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

当社グループは2023年5月に、2023年度(2024年3月期)から2025年度(2026年3月期)までの3ヵ年を対象とする「中期経営計画2025」を策定いたしました。

「中期経営計画2025」で掲げた3年間の計画及び2024年3月期実績、2025年3月期予想については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの指標の推移は下記のとおりであります。

 

第9期

(2020年3月期)

第10期

(2021年3月期)

第11期

(2022年3月期)

第12期

(2023年3月期)

第13期

(2024年3月期)

フリー・キャッシュ・フロー

(百万円)

10,403

15,155

6,216

7,040

11,234

自己資本比率(%)

38.0

41.6

41.9

41.5

43.4

時価ベースの自己資本比率(%)

72.2

70.0

61.1

59.0

62.9

債務償還年数(年)

2.1

1.3

2.1

2.2

1.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

72.3

108.2

75.4

77.5

96.5

(注)フリー・キャッシュ・フロー      : 営業活動キャッシュ・フロー+投資活動キャッシュ・フロー

自己資本比率             : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率       : 株式時価総額/総資産

債務償還年数             : 有利子負債/営業活動キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業活動キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。なお、当社は、「株式給付信託(BBT)」を導入しており、株式時価総額の算定上使用する発行済株式数から控除する自己株式については、株式給付信託(BBT)によって株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有する当社株式を含めております。

※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、社債及び借入金を対象としております。

また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.財務政策

ⅰ.財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、2023年度から2025年度までの3ヵ年を対象とする「中期経営計画2025」において、経営資源配分方針については、既存事業で創出した営業キャッシュ・フローを更なる成長に向けた積極的な投資(収益基盤の拡大・強化に向けた投資や、新サ―ビス・再生可能エネルギー投資等)に優先的に振り向ける一方で、配当についても安定的に行う方針を定めております。

また、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり経営指標の目標数値を掲げ、市場の期待に応える資本効率(ROEやROIC)の水準の維持も意識しております。なお、手許資金につきましては足許の資金需要に耐えられる必要最小限に留めております。

 

ⅱ.資金需要の主な内容

当社グループにおける主な資金需要は仕入代金や人件費といった営業上の支出のほか、収益基盤拡大に向けた成長投資や新サービスの展開に向けた投資に係る資金や、顧客へのサービス提供のために継続的な設備投資を実施することに伴う支出であります。設備投資の例としては、エネルギー事業における供給権や供給設備等、情報通信事業におけるネットワーク設備等、CATV事業における放送設備や伝送設備等が挙げられます。

 

ⅲ.資金調達

当社グループにおける資金調達の方法は、内部資金に加え、設備投資資金や長期運転資金は銀行からの長期借入、短期的な運転資金は銀行からの短期借入や短期社債(CP)及び売掛債権流動化によって調達しております。

各連結子会社の必要資金を当社が一括して調達した上で各社に貸し付ける体制をとり、加えてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金の一元管理を行うことで、調達コストの削減と効率的な資金管理を行っております。また、取引銀行とは良好な関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。また、取引銀行3行と貸出コミットメント契約60億円を設定しており、緊急時の流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a.収益の認識

 当社グループの売上高は、主力のガスは計量販売についてはガスメーターの検針時に計上(ただし、最終検針時より期末までの分については推計計上)しており、器具等の商品は引渡時点、住宅等の建築工事は工事進行基準を適用しているものを除き検収引渡時点、役務サービスについては役務の提供が完了した時点で計上しております。なお、ガスについては商品の性格上季節的要因を受け易く、最終検針後の推計計上分については最終検針までの一定期間のガス使用量・平均気温の推移等を基に期末までの使用量を推定しておりますが、特に、推定気温より高めに推移した場合には実質消費量が推計消費量に比べ減少する可能性があります。

 

b.棚卸資産の評価

当社グループは、主として先入先出法により評価し、営業循環過程から外れた場合や正味売却価額が著しく下落した場合には、収益性の低下に伴う簿価切下げを行っております。将来の市況悪化または滞留在庫が増加した場合等には更なる評価損の計上が必要となる可能性があります。なお、主力のガスは実勢価格により評価し、最終検針時より期末までの使用量を推計し、期末時点の在庫を計上しております。

 

 

c.貸倒引当金

当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるために貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

d.投資有価証券の減損

当社グループは、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した場合及び市場価格のない株式については、銘柄別に回復可能性を考慮して、必要と認められた額について減損処理を行っておりますが、将来の市況悪化または投資先の業績不振により更なる減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

e.固定資産の減損

減損の兆候がある資産グループの内、回収可能価額が帳簿価額を著しく下回った場合に、その差額を減損損失に計上しますが、回収可能価額は、資産グループの正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、今後、業績の顕著な低下、不動産取引相場や賃料相場等が変動した場合等には減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

f.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を検討しております。回収可能性は、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高いタックスプランニングをもとに検討しますが、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、繰延税金資産を計上しない、または取り崩すことが必要となる可能性があります。

 

g.退職給付に係る資産及び負債

当社グループは、退職給付会計に基づいた退職給付費用及び退職給付に係る資産・退職給付に係る負債を計上しております。前提条件として年金資産に係る長期期待運用収益率、割引率等を計算に用いており、これらが著しく変動した場合は大きく影響を受けることが考えられます。当社グループは日本の優良債券の期末時点の固定利回りを参考に割引率を決定しております。長期期待運用収益率は年金資産が投資されているファンドの予想収益率と過去の実績収益率をもとに決定されます。

当社グループは毎期退職給付債務の計算の基礎となる前提条件を見直しており、割引率の低下等、将来市場環境が悪化した場合、退職給付に係る負債の追加計上が必要となる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。