第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 経営の基本方針

当社は、「ユアテックはお客さまの心ゆたかな価値の創造に協力し、社会の発展に貢献します。」の企業理念のもと、「企業価値の向上」を基本方針とし、受注・コスト両面での競争力の強化をはかり、収益性を向上させていくとともに、企業信頼度を向上させることで、お客さまや株主のみなさまから選択される価値ある企業を目指している。

 

(2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

わが国経済の先行きは、物価高による消費下押しと人手不足による設備投資の遅延等の影響が懸念されるが、これらの要因が賃上げ定着などにより緩和されることで、持ち直していくことが期待される。

建設業界においては、公共投資は政府による補正予算の効果もあり底堅く推移していくことが見込まれ、民間設備投資は堅調な企業収益等を背景に持ち直し傾向が続くことが期待される。

このような状況のもと、当社グループを取り巻く外部環境の変化に適応するとともに、社会的課題の解決に貢献し、社会の持続的発展と長期的な企業価値向上を実現するため、新たに長期目標・長期ビジョンである「2030ビジョン」を策定した。

同時に、現状とのギャップを埋めるために、いま何をすべきか「2030ビジョン」からバックキャストし、数値目標と5つの基本戦略・主要施策を設定した「中期経営計画(2024-2028)」を策定した。

5つの基本戦略・主要施策のもと、グループ一丸となった施策展開により、数値目標の達成を目指していく。

 

 

[2030ビジョン]

・2030年代前半数値目標:「連結売上高3,000億円・連結営業利益200億円・ROE8.0%」

 

[中期経営計画(2024-2028)]

・2028年度数値目標:「連結売上高2,700億円・連結営業利益135億円・ROE6.0%以上」

 

[基本戦略]

①グループ大での「安全・品質・信頼」の追求

②東北・新潟のお客さまとの信頼関係維持・強化をベースとした事業環境変化への対応

③成長分野への展開加速によるさらなる事業規模の拡大

④魅力ある職場環境の構築と人財育成の強化

⑤サステナビリティ経営の実践による経営基盤の強化

 

なお、2021年度中期経営方針における定量目標「2025年度(連結)売上高2,400億円・営業利益120億円、(個別)売上高2,200億円・営業利益100億円」については、「2030ビジョン」及び「中期経営計画(2024-2028)」の数値目標達成に向けての通過点とし、引き続き目標達成を目指していく。

 

 

 

 

新たな中期経営計画における数値目標達成に向けて、創業以来の事業エリアである東北・新潟での競争力をさらに高め、事業基盤の強化に努めていく。

具体的には、一般・官公庁向け営業の強化やリニューアル営業の深掘りによる受注拡大をはかっていく。また、電力インフラ設備工事における高経年化設備対策工事及び基幹送電網整備等の工事については、工事計画の早期情報収集による施工体制の構築を行い、電力の安定供給やレジリエンス強化の実現に向け貢献するとともに、収益拡大に取り組んでいく。

また、新たな中期経営計画では、4つの重点事業(①東北・新潟以外、②海外事業、③再エネ関連工事、④リニューアル工事)を設定し、さらなる受注拡大・収益拡大・事業拡大を目指していく。

さらに、本業とのシナジーが見込まれる新規事業への取り組み強化により、新たな収益源の確保に努め、より一層の事業拡大を目指していく。

今後の投資の方向性としては、「既存事業の深化」や「成長分野への取り組み加速」に向けた経営資源の積極配分と、人的資本経営の推進やDXの推進などへの投資により、経営基盤の強化をはかっていく。

加えて、「ユアテックの財産は人財である。」との考えに基づき、人財戦略プロジェクトを中心に、要員確保に向けた採用、人事諸制度改革や人財育成の強化など、社員エンゲージメント向上に資する各種施策の立案と具現化に取り組み、魅力ある職場環境の実現を目指していく。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティ全般、また当社が重要項目として捉える環境に関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

世界が様々な課題に直面するなか、当社グループを取り巻く外部環境も刻々と変化している。当社グループでは、このような外部環境の変化に適応するとともに社会的課題の解決に貢献し、社会の持続的発展と長期的な企業価値向上を実現するため、2030年代前半をターゲットとして「ありたい姿・目指すべき会社像」を描き、長期目標・長期ビジョンである「2030ビジョン」を策定している。(「2030ビジョン」は当社ウェブサイト(URL https://www.yurtec.co.jp/ir/other.html)にて開示。)

その中でミッションとして掲げた「未来をひらく Your technology」のもと、Yurtecグループのtechnology(技術)で社会のため、お客さまのために社会的課題の解決に貢献し、社会の持続的発展に向け未来を切りひらくこととしている。

また、当社グループは、中長期的な企業価値向上と社会全体の持続的発展に貢献するため、東北電力グループの一員として「東北電力グループサステナビリティ方針」に基づき東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」の実現や「カーボンニュートラルチャレンジ2050」への挑戦を通じて、積極的にサステナビリティへの取り組みを推進している。

 

東北電力グループサステナビリティ方針

 私たち東北電力グループは、東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」の実現や「カーボンニュートラルチャレンジ2050」への挑戦を通じて、積極的にサステナビリティを推進してまいります。

 東北電力グループの考えるサステナビリティは、経営理念である「地域社会との共栄」とグループスローガン「より、そう、ちから。」に基づき、企業グループが一体となって、お客さまと地域によりそい、エネルギーを中心としたサービスの提供等を通じてスマート社会の実現に取り組むことで、地域や社会が直面する課題を解決し、中長期的な企業価値向上と社会全体の持続的な発展に貢献することです。

 これを実現するため、東北電力グループは、「東北電力グループ行動指針」のもと、事業活動のバリューチェーンを強力に支えるグループ各社の特長を活かしながら、一丸となった取り組みで総合力を発揮し、誠実で公正な事業活動を行うとともに、大切なステークホルダーの皆さまのご期待に応え、企業としての社会的責任を果たしてまいります。

 

 

 

 

 (1) サステナビリティ全般

①  ガバナンス

当社ではサステナビリティの推進を優先的に取り組むべき経営上の重要課題と位置付けており、社長執行役員が委員長を務めるサステナビリティ委員会において、社会の潮流やステークホルダーの目線も踏まえながら当社が優先的に取り組むべきサステナビリティへの課題について包括的に確認しつつ、今後の方向性を中期経営計画等に反映させている。

サステナビリティ委員会の役割は、サステナビリティに係る方針、マテリアリティ、PDCAに係る審議や取組結果の報告等であり、審議、報告内容については取締役会に報告することで監督を受けている。なお、2023年度は3回開催した。

 


 

 

②  戦略

当社グループでは、長期目標・長期ビジョン「2030ビジョン」に「サステナビリティ経営の推進」を基本方針の一つとして掲げ、東北電力グループのマテリアリティの解決に向けた取り組みを経営の骨格となる中期経営計画の中に織り込むとともに、ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じ、多様な活動の継続とステップアップにより企業としての社会的責任を果たしていく。

 


 

③  リスク管理

サステナビリティに関連する経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、各主管部門が定期的に抽出・評価を行い、その対策等を毎年度策定する事業計画に織り込み、管理サイクルの中でリスク管理を実践している。また、その結果についてはサステナビリティ委員会において確認し、取締役会等に報告している。

 

  (2) 気候変動(TCFD提言への取り組み)

①  ガバナンス

当社は、サステナビリティの推進を優先的に取り組むべき経営上の重要課題と位置付けており、TCFD提言に沿った情報開示に向けた議論を社長執行役員が委員長を務めるサステナビリティ委員会のもとで、総務部及び関係部(経営企画部、ソリューション営業部、再生可能エネルギー事業部等)が中心となり、組織横断的に行っている。各部との分析・協議を定期的(年1回以上)に実施しており、気候変動への対応を含む様々な環境課題について議論し、その内容を経営戦略会議に付議している。また、経営戦略会議における気候関連の付議事項は、取締役会に報告している。

 

気候変動に関する以下内容について、総務部を中心に関係部と分析・協議を行っている。

 

《気候関連のシナリオ分析》

・短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会の特定と重要度評価

・気候関連のリスク及び機会への具体的な対応策の検討

・気候関連のリスク及び機会に関して採用された対応策の進捗管理

これらの分析結果は、経営戦略会議に付議された後、重要事項として取締役会に報告している。

 


 

②  戦略

当社では、公的機関が研究・公表している1.5℃~4℃シナリオの複数の温度帯下でのエネルギー情勢や社会的側面に対する影響シナリオを参照し、「1.5℃,2℃シナリオ」(現状よりも厳しい対策が取られる世界観)と「4℃シナリオ」(現状を上回る温暖化対策が取られない世界観)を選定し、次のとおり気候関連のリスク及び機会を特定している。

特定にあたっては、取締役会の監督の下、総務部及び関係部(経営企画部、ソリューション営業部、再生可能エネルギー事業部等)が中心となり、当社の事業及びそのサプライチェーン全体を通じて、気候関連の問題及び問題への社会的な対応がどのような影響を及ぼしうるかについて分析・協議している。

 

 

<リスク>

シナリオ分析の結果、炭素税の導入や省エネ政策の強化などの気候変動対策を進める政策手段の導入や異常気象、平均気温の上昇といったリスクにより、当社の業績が大きな影響を受ける可能性があると特定した。

TCFDの定める

リスクの種類

当社が推定するリスクの概要

当社への影響度

リスク低減のための対応策

1.5℃,2℃

シナリオ

※1

4℃
シナリオ

※2

2030年

2050年

2030年

2050年

移行

(政策及び規制)

GHG排出の価格付け進行<炭素税の導入>

当社の事業で購入する建設資材に関して、資材製造時におけるCO2排出量に対して炭素税が課され、建設資材の価格が上昇し、調達コストが増加する。

・製造時のCO2排出量を抑制した建設資材(低炭素資材)の採用による調達コスト低減

移行

(政策及び規制)

GHG排出の価格付け進行<炭素税の導入>

設備工事・建設工事におけるCO2排出量(工事用車両や重機等の燃料)に対して炭素税が課され、工事費が増加し、事業コストが増加する。

・省エネ車両の導入や、省エネに資する工法の開発

・外注先やメーカーとの協業による低炭素化(建設機械等の低炭素化)の推進

移行

(政策及び規制)

省エネ政策の強化

事業における省エネに対する取り組み(節電等)を求められることになり、省エネ対策のための設備改修(低消費電力設備の導入・改修など)が必要となることで設備投資コストが増加する。

・省エネ型空調設備の設置

・設置可能な事業所については、太陽光発電設備等の再エネ設備の導入

物理

(急性)

サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

大型化した台風や豪雨の発生頻度が増加すると、事業所建屋の浸水被害や建屋損壊の被害を受け、事業継続に支障をきたすことによる売上の低下や、設備復旧のための費用が発生する。

・浸水被害回避のための事業所移転、建屋損壊を防ぐための改修、車両退避場所の確保、2階に執務室を置くなどのレイアウト変更等による事業継続計画の検討

物理

(急性)

サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

大型化した台風や豪雨の発生頻度が増加すると、出社及び現場対応が困難になり事業継続に支障をきたし、売上の低下につながる。

・豪雨等発生時における事業継続(他事業所からの後方支援等)のための綿密な行動計画の立案

・人的被害を食い止め、事業継続への影響の最小化

物理

(急性/慢性)

サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

気象パターンの極端な変動

顧客が立地する特定の地域で水害・雪害等の発生頻度が増加すると、自然災害を回避するために、顧客の工場・事務所等が災害危険エリアから移転することにより、顧客を失い、売上の損失につながる。

・自然災害に影響されない設備(受変電設備の高所設置、融雪設備等)を提案し、顧客の移転抑制

物理

(慢性)

平均気温の上昇

夏場における気温上昇によって、空調設備の能力不足が発生し、各事業所の空調設備の能力増強のための改修が必要となり、改修費の負担が生じる。

・計画的な設備投資により、空調設備の能力増強の段階的実施

物理

(慢性)

平均気温の上昇

夏場における気温上昇によって、ヒートストレスが増加することで労働生産性が低下し工事遅延などの発生により、投入人員数を増加させる必要が生じ、人件費等の事業コストが増加する。

・暑さ対策に向けた労働環境の整備(空調服の導入拡大等)

 

※1 現状よりも厳しい対策が取られる世界観(2℃以下)

※2 現状を上回る温暖化対策が取られない世界観

 

 

<機会>

シナリオ分析の結果、社会やお客さまの低炭素ニーズに合った製品の提供、気候変動への適応に向けたサービスの提供などが、当社の業績に大きな影響を与える可能性があると特定した。

TCFDの定める機会の種類

当社が推定する機会の概要

当社への影響度

機会獲得のための対応策

1.5℃,2℃

シナリオ

※1

4℃
シナリオ

※2

2030年

2050年

2030年

2050年

製品及びサービス

気候への適応と保険によるリスクへの対応

年間平均気温の上昇によって、空調設備更新や空調設備能力増強ニーズが増加し、受注機会の拡大に伴って売上が増加する。

・気温上昇に伴う空調設備更新ニーズの発掘及び設備更新の積極的な提案

製品及びサービス

低炭素商品/サービスの開発、拡大

・脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー関連工事の需要拡大に伴って、売上が増加する。

・再生可能エネルギー関連工事(風力発電設備、自家消費型発電設備、バイオマス発電設備)の需要拡大

・太陽光発電設備設置に伴う蓄電池の設置拡大(発電電力の蓄電)

・再エネ関連事業推進に向けた設計・施工技術開発の推進

製品及びサービス

低炭素商品/サービスの開発、拡大

CO2排出量削減に向けた環境配慮型設備(ZEB等)の提案機会が増加し、受注機会の拡大に伴って売上が増加する。

・ZEB化の事業性と快適性の実現に向けた技術開発及び提案力の強化

製品及びサービス

低炭素商品/サービスの開発、拡大

電気自動車の増加に伴う付帯設備(充電スタンド等)の設置拡大によって、受注機会が増加し、売上が増加する。

・顧客(新規・既存)からの情報収集によるニーズの発掘

製品及びサービス

気候への適応と保険によるリスクへの対応

気象災害(台風、雪害、水害等)の多発化によって、BCP対策に向けた設備増強需要の拡大に伴って、売上が増加する。

・BCP、防災、減災に関連する技術開発の推進

・BCP、防災、電源品質対策に関連する対応、それらの技術開発の推進

製品及びサービス

気候への適応と保険によるリスクへの対応

気象災害(台風、雪害、水害等)の多発化によって、自然災害を回避するために、顧客の工場・事務所等の移転に伴う工事が発生することにより、売上が増加する。

取引先(施主、ゼネコン、設計事務所、その他関係支援先等)からの情報収集により、移転情報の早期入手体制の構築

 

※1 現状よりも厳しい対策が取られる世界観(2℃以下)

※2 現状を上回る温暖化対策が取られない世界観

 

 

③  リスク管理

気候変動関連のリスクについては、総務部及び関係部(経営企画部、ソリューション営業部、再生可能エネルギー事業部等)が中心となり、組織横断的に議論し、リスクを識別・評価の上、リスクが顕在化した場合の影響を最小化するための対応策が妥当であるかについて分析・協議している。その内容はサステナビリティ委員会に付議し取締役会に報告するとともに、その他の事業リスクと同様に特定・評価され、管理している。

 

④  指標及び目標

温室効果ガス(CO2)の排出がカーボンプライシングの影響により当社の財務における大きなリスク要因となり得る一方、脱炭素社会に受け入れられる製品を提供することでビジネスチャンスにもつながることから、当社ではCO2排出量の削減をサステナビリティにおける最重要課題の一つとして認識し、東北電力グループの一員として「東北電力グループカーボンニュートラルチャレンジ2050」への挑戦を通じて、中長期のCO2排出削減目標として以下の目標を設定しCO2排出量の削減を目指している。

なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難である。このため、次の指標等に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載している。

 

 

《当社のCO2排出量目標及び実績》

 

 

 


 

 

 

《目標達成に向けた当社の検討課題》

●事業所の建替時におけるZEB化及び設備更新による省エネ化

●車両更新時におけるEV化(EV化が不可能な特殊車両等を除く)等

 

 

 

※1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(車両燃料等)

※2 Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用による間接排出

 

 

《東北電力グループ中長期CO2排出削減目標》

●2030年度目標 2013年度比CO2排出量半減を目指す

●2050年度目標 カーボンニュートラルの実現を目指す

 

 


東北電力グループは、S+3E※の確保を大前提に、2050年カーボンニュートラルに挑戦します。

東北電力グループのCO2排出削減を加速するとともに、スマート社会の実現を通じて東北・新潟地域をはじめとしたお客さまのCO2排出削減にも取り組み、地域社会の脱炭素化に貢献してまいります。

 

 

※S+3E:安全性を前提に、環境性、経済性、安定供給の同時達成

 

 

 

 

  (3) 人的資本(人財の多様性を含む)について

①  戦略

経営環境が大きく変わる中でも会社の持続的な成長を実現するためには、人的資本経営は重要な課題であると認識している。

当社は、「ユアテックの財産は人財である。」との考えに基づき、魅力ある職場環境の構築と人財育成の強化を基本戦略に掲げ、従業員が夢と誇りを持って働くことができる職場環境の実現を目指している。

具体的には、2023年7月に発足した「人財戦略プロジェクト」を中心に、「人財確保」、「人財育成」、「労働環境」、「エンゲージメント」の4つのテーマを取り上げ、検討を進めている。また、多様な人財がイキイキと働く職場作りを目指し、ダイバーシティ、健康経営の推進、デジタル技術の活用・教育を通じたITリテラシーの向上等について取り組むことにしている。

 

a 女性活躍推進について

当社は、「多様な人財が個性や能力を発揮できる機会の創出と、誰もが働きやすいワーク・ライフ・バランスのとれた職場環境の実現を目指します。」との方針を掲げ、全ての従業員が働きやすい職場環境の実現を前提とした女性活躍推進への取り組みが重要であると考えている。

具体的に、ワーク・ライフ・バランスの推進をはかりながら、女性技術者の積極的な採用・育成・キャリアアップへ向け、就労環境の整備・改善に継続的に取り組むほか、女性管理職の増加へ向け、女性社員のキャリア形成をはかるために必要な人事配置を計画的に進め、高い能力を有する女性社員を積極的に管理職に登用している。

 

b ワーク・ライフ・バランス推進について

当社は、働き方・休み方への意識改革、メリハリをつけた働き方の推進、年次有給休暇取得促進をはかるため、「ワーク・ライフ・バランス推進委員会」を設置し、様々な取り組みを行っている。

具体的に、ワーク・ライフ・バランスに資する諸制度の利用促進へ向け、従業員が休暇を取得しやすい職場風土の醸成、育児・介護等の諸制度活用へ向けた理解浸透に取り組んでいる。

 

c 健康経営について

当社は、健康の保持・増進が企業の発展には不可欠であるという考えから、2021年4月に「健康経営宣言」を発信し、健康管理を経営的視点で戦略的に実施する「健康経営」に取り組んでおり、2023年度に引き続き「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されている。

 

②  指標及び目標

人財の多様性の確保を含む各戦略に係る指標について、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難である。このため、次の指標等に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載している。

 

《女性活躍推進》

一般事業主行動計画目標
(2021年4月1日~2024年3月31日)

2023年度実績

女性技術者20名以上採用

29

(2024年3月31日現在、2024年度定期採用者含む)

女性管理職(当社における特別管理職)15名以上
(2021年4月時点の1.5倍以上)

18

(2024年3月31日現在)

休暇取得日数(年次有給休暇と計画特別休暇の合計)15日以上
(男女の合計日数)

15.6

 

 

一般事業主行動計画目標(2024年4月1日~2029年3月31日)

女性技術者40名以上採用

女性リーダー(部長、所長、課長、グループリーダー等)10名以上
(2024年4月時点の3倍以上)

男性育児休業取得率50%以上(育児休職及び産後パパ育休)

 

 

《ワーク・ライフ・バランス推進》

目標

2023年度実績

各種休暇の取得促進

年次有給休暇一人平均取得日数12.6

計画特別休暇(3日付与) 3日取得率100

飛び石連休の休暇取得促進(休日が平日を挟んで並んだ際の平日の休暇取得)

・2023年11月24日(金)  1,812(取得率46.5%)

 

 

《健康経営》

健康目標項目

2023年度実績

 

2026年度目標

肥満率

36.4

32

喫煙率

35.4

25

 

 

(注) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得割合及び労働者の男女の賃金の差異」に記載している。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 電力設備投資の抑制

売上の約4割を占めている東北電力㈱及び東北電力ネットワーク㈱による工事発注量の抑制、競争発注の拡大により工事受注量減少、受注競争激化がさらに進む恐れがあり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、東北・新潟以外のエリアへの進出、一般・官公庁工事の受注拡大等により、収益の拡大に努めていく。

 

(2) 民間設備投資の抑制

少子高齢化・人口減少の進展、景気の動向等により建設需要が低迷した場合には、工事受注量減少、受注競争激化の恐れがあり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、既存顧客との関係維持・強化や営業、施工体制の強化等により、収益の拡大に努めていく。また、屋内配線・空調管工事のさらなる受注拡大に加え、情報通信工事をあわせた一括受注や有利受注等の拡大、及び効率化等の徹底により収益の確保に努めていく。

 

(3) 自然災害等の発生

地震、台風等の大規模な自然災害や新たな感染症の拡大などにより、工事の中断や大幅な遅延、当社グループの事業所等が大規模な被害を受け、事業活動が停滞した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、自然災害については、国、自治体が指定するハザードマップ等を踏まえた事業所ごとの防災計画見直しや防災訓練の実施等により、BCP(事業継続計画)の強化に向けて取り組んでいく。

感染症については、新型コロナウイルスのリスクは低減したものの、新たな感染症の拡大による事業継続リスクは抱えることから、引き続き、感染予防・拡大防止に努める。

 

(4) 材料費及び労務費の高騰等

原材料価格の上昇、人手不足等の影響により、材料費、労務費の高騰及び工事進捗遅延等による大幅な追加コストを工事請負金額に反映することが困難、また自社内で吸収できない場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、工事請負契約への反映を協議するとともに、原価低減策として競争発注の拡大、集中購買によるボリュームディスカウント等に、引き続き取り組んでいく。また、さらなるコストマネジメントを推進していく。

 

(5) 工事契約に係る収益

工事契約に係る収益は工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度の見積りに大きく依存しており、見積りの前提となる工事の状況が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、適正かつ合理的に見積りを算定し、収益認識の信頼性を引き続き確保していく。

 

 

(6) 法令遵守

建設業法、独占禁止法、労働基準法、労働安全衛生法等による法的規制の改廃や新設、適用基準等の変更があった場合、又はコンプライアンスに反する事象が発生し、企業イメージや社会的信用が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、法令改正等を注視するとともに、「企業倫理委員会」の設置、企業倫理担当役員の配置、さらには業務遂行時における行動規範を示した「ユアテック企業行動指針」及び「企業倫理規程」の制定・示達により、役員・従業員一人ひとりの企業倫理・法令遵守に基づく行動を徹底している。加えて、当社グループ大のさらなる企業倫理意識向上を目的とした研修・教育の強化・見直しを推進していく。

また、労働時間管理について、「働き方改革推進委員会」を設置しており、労働時間管理の適正化及び業務改善や効率化の推進、意識改革などに引き続き取り組んでいく。

 

(7) M&A等に伴うリスク

投資先企業の経営悪化、施工ミス、不祥事等が発生した場合、当社グループのブランドを棄損するとともに、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、外部専門家による投資前の調査(デューデリジェンス)、及び投資後の経営管理、指導・支援等を確実に実施していく。

 

(8) のれんの減損リスク

投資先企業の事業環境の変化により事業計画に大幅な修正が生じ、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、のれんの減損損失が計上され、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。

これらのリスクに対して、投資先企業の事業計画を定期的にモニタリングし、指導・支援していく。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  (1) 経営成績等の状況の概要

①  財政状態及び経営成績の状況

a  経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による各種政策の効果もあり、個人消費は持ち直しに足踏みがみられたものの、雇用・所得環境が改善するもとで、緩やかな回復傾向となった。

建設業界においては、公共投資は底堅く推移し、民間設備投資は持ち直しの動きがみられた。

このような状況のもと、東北・新潟においては、設備投資が旺盛な状況にあり、当社は、大型工場や商業施設等の受注拡大をはかったほか、屋内配線・空調管工事とあわせた情報通信工事の積極的な営業展開など、一層の収益拡大に取り組んできた。

さらに、2023年度中期経営計画に基づき、「関東圏での収益拡大」「リニューアル営業の強化」「海外事業の強化」を基本戦略として事業拡大をはかってきた。

具体的に、関東圏においては、大規模再開発や研究施設等の受注拡大に加え、データセンターなど成長分野への営業強化による収益拡大に取り組んできた。

リニューアル営業においては、お客さまの設備更新ニーズを捉えた積極的な提案活動及びCO2の削減に向けた技術提案による受注拡大をはかってきた。

海外事業においては、連結子会社「SIGMA ENGINEERING JSC」を中心に、大型ホテルや複合ビルの屋内配線・空調管工事及び再生可能エネルギー関連工事の受注拡大をはかってきた。

また、電力インフラ設備工事においては、社会生活に欠かせない電力の安定供給に貢献していくとともに、送配電設備の計画的な更新工事や基幹送電網整備工事の受注拡大をはかってきた。

さらに、東北各地で計画されている風力発電所関連工事に機動力をもって対応するため、昨年7月に「再生可能エネルギー事業本部」を設置し体制強化をはかるなど、事業拡大に向けて取り組んできた。

加えて、昨年7月には若手社員や現場で働く社員のエンゲージメント向上、職場環境の整備などを目的とした「人財戦略プロジェクト」の設置、サステナビリティ経営に係る社内推進体制の構築や継続的なDXの推進など、経営基盤の強化に努めてきた。

当社グループの当連結会計年度の業績は、受注工事高は238,477百万円(個別ベース)となり、前連結会計年度に比べ16,877百万円(7.6%)の増加となった。また、売上高は243,171百万円となり、前連結会計年度に比べ15,805百万円(7.0%)の増収となった。

利益面については、営業利益は10,523百万円となり、前連結会計年度に比べ985百万円(10.3%)の増益、経常利益は11,885百万円となり、前連結会計年度に比べ1,383百万円(13.2%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,510百万円となり、前連結会計年度に比べ949百万円(14.5%)の増益となった。

 

セグメント別の業績は、次のとおりである。

 

(設備工事業)

当社グループの中核をなす設備工事業の業績は、外部顧客への売上高は239,963百万円となり、前連結会計年度に比べ15,888百万円(7.1%)の増収、セグメント利益は9,983百万円となり、前連結会計年度に比べ1,233百万円(14.1%)の増益となった。

 

(その他)

その他の事業の業績は、車両・事務用機器・工事用機械等のリース事業、警備業並びにミネラルウォーターの製造業等を中心に、外部顧客への売上高は3,208百万円となり、前連結会計年度に比べ83百万円(△2.5%)の減収、セグメント利益は641百万円となり、前連結会計年度に比べ233百万円(△26.7%)の減益となった。

 

 

当社グループの主な相手先別の売上実績及び総売上実績に対する割合は、次のとおりである。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

  至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

  至  2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東北電力ネットワーク㈱

87,479

38.5

95,591

39.3

 

 

b  財政状態

(資産の部)

資産合計は231,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,078百万円増加した。これは、預け金が10,290百万円減少した一方、受取手形・完成工事未収入金等が10,634百万円、有価証券が10,978百万円増加したことなどによるものである。

 

(負債の部)

負債合計は89,073百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,160百万円増加した。これは、支払手形・工事未払金等が1,582百万円、短期借入金が1,296百万円減少した一方、電子記録債務が4,543百万円増加したことなどによるものである。

 

(純資産の部)

純資産合計は142,406百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,917百万円増加した。これは、利益剰余金が5,546百万円、退職給付に係る調整累計額が1,570百万円増加したことなどによるものである。

なお、自己資本比率は、前連結会計年度末から0.8ポイント上昇し、61.5%となった。

 

 

②  キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が11,700百万円、法人税等の支払額が3,896百万円となったことなどにより、全体では7,798百万円の収入(前連結会計年度は9,692百万円の収入)となった。前連結会計年度に比べ1,894百万円の収入減少となったが、その主な要因は未成工事受入金が2,093百万円減少したことなどによるものである。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、TDGビジネスサポート㈱への預け金の払戻による収入(純額)が10,290百万円、土地及び建物等の有形固定資産の取得による支出が6,093百万円、無形固定資産の取得による支出が632百万円となったことなどにより、全体では4,318百万円の収入(前連結会計年度は5,303百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ9,622百万円の収入増加となったが、その主な要因はTDGビジネスサポート㈱において、グループファイナンス事業を取り扱わなくなったことにより、預け金の払戻による収入(純額)が9,080百万円増加したことなどによるものである。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の減少額(純額)が1,017百万円、配当金の支払額が2,003百万円となったことなどにより、全体では3,368百万円の支出(前連結会計年度は5,450百万円の支出)となった。前連結会計年度に比べ2,082百万円の支出減少となったが、その主な要因はSIGMA ENGINEERING JSCの借入金について、親子ローンへの切り替えを進めたことなどにより、短期借入金が1,678百万円減少したことなどによるものである。

以上の項目に換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ9,071百万円増加し、残高は45,406百万円となった。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

自己資本比率(%)

60.2

61.9

59.9

60.7

61.5

時価ベースの自己資本比率(%)

22.3

29.1

22.9

26.8

47.0

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(年)

0.6

2.8

1.4

0.9

0.9

インタレスト・カバレッジ・

レシオ(倍)

1,481.7

272.9

32.4

94.6

324.3

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

(注) 1  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。

2  株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算している。

3  有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている負債(リース債務を除く。)を対象としている。

4  営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用している。

 

 

 

③  生産、受注及び販売の実績

当社グループが営んでいる事業においては生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載していない。

また、事業の大部分を占める設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそ ぐわない。加えて、設備工事業以外においては受注生産形態をとっていないことから、「受注及び販売の実績」については「(1) 経営成績等の状況の概要  ①  財政状態及び経営成績の状況」において記載している。

    なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりである。

 

    設備工事業における受注工事高及び完成工事高の実績

   a  受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

 

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度

 (自2022年 

 4月1日

  至2023年

   3月31日)

屋内配線工事

56,618

71,029

127,647

72,624

55,022

空調管工事

15,474

28,879

44,353

23,319

21,033

情報通信工事

3,853

11,071

14,925

10,711

4,213

配電線工事

20,883

62,561

83,445

57,935

25,509

送電工事

6,250

18,236

24,487

15,095

9,392

発変電工事

10,484

13,686

24,170

12,062

12,108

土木建築工事

8,676

16,133

24,810

17,725

7,084

122,240

221,599

343,840

209,474

134,365

当事業年度

 (自2023年

   4月1日

  至2024年

   3月31日)

屋内配線工事

55,022

81,055

136,077

73,073

63,004

空調管工事

21,033

29,972

51,005

30,094

20,910

情報通信工事

4,213

10,691

14,905

10,875

4,030

配電線工事

25,509

59,371

84,881

60,420

24,460

送電工事

9,392

15,491

24,883

16,694

8,189

発変電工事

12,108

16,198

28,306

12,802

15,504

土木建築工事

7,084

25,696

32,781

18,138

14,643

134,365

238,477

372,842

222,098

150,743

 

  (注) 1  前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高に

       その増減額を含む。したがって、当期完成工事高にも係る増減額が含まれる。

  2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。

 3 前事業年度の工事区分の組替えを行っている。

 

   b  受注工事高

 

期別

区分

東北電力グループ
(百万円)

一般得意先
(百万円)


(百万円)

前事業年度

(自2022年4月1日

2023年3月31日)

屋内配線工事

1,031

69,997

71,029

空調管工事

1,015

27,863

28,879

情報通信工事

1,898

9,173

11,071

配電線工事

60,294

2,267

62,561

送電工事

16,628

1,608

18,236

発変電工事

8,424

5,262

13,686

土木建築工事

13,052

3,081

16,133

102,345

119,254

221,599

当事業年度

(自2023年4月1日

2024年3月31日)

屋内配線工事

1,001

80,053

81,055

空調管工事

1,321

28,650

29,972

情報通信工事

2,333

8,358

10,691

配電線工事

55,241

4,130

59,371

送電工事

13,406

2,084

15,491

発変電工事

8,487

7,710

16,198

土木建築工事

16,905

8,791

25,696

98,697

139,779

238,477

 

  (注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱

    2  前事業年度の工事区分の組替えを行っている。

 

   c  完成工事高

 

期別

区分

東北電力グループ
(百万円)

一般得意先
(百万円)


(百万円)

前事業年度

(自2022年4月1日

2023年3月31日)

屋内配線工事

568

72,055

72,624

空調管工事

857

22,461

23,319

情報通信工事

1,701

9,009

10,711

配電線工事

55,589

2,346

57,935

送電工事

11,641

3,453

15,095

発変電工事

7,756

4,306

12,062

土木建築工事

12,208

5,517

17,725

90,323

119,151

209,474

当事業年度

(自2023年4月1日

2024年3月31日)

屋内配線工事

1,207

71,866

73,073

空調管工事

1,419

28,675

30,094

情報通信工事

2,070

8,805

10,875

配電線工事

58,169

2,250

60,420

送電工事

13,708

2,985

16,694

発変電工事

8,260

4,541

12,802

土木建築工事

14,220

3,917

18,138

99,056

123,042

222,098

 

  (注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱

    2  完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

  前事業年度

山佐㈱

・宮城川崎太陽光発電所建設工事

大和ハウス工業㈱

・相馬市坪田太陽光発電所建設工事

㈱秋田ウインドパワー研究所

・秋田新屋ウインドファームリプレース(仮称)建設事業

大成建設㈱

・横浜町風力発電所建設工事

清水建設㈱

・市立秋田総合病院新病院建設工事(電気設備)

 

 

 当事業年度

キオクシア㈱

・キオクシア岩手㈱第二製造棟第1期特高受変電設備工事

鹿島建設㈱

・TDK北上工場増築工事(電気設備)

鹿島建設㈱

・(一財)厚生会仙台厚生病院移転事業新築移転整備工事

 (電気設備)

東和薬品㈱

・東和薬品㈱山形工場第三期建設工事(電気設備)

日本コムシス㈱

・(仮称)玉山メガニッコウ太陽光発電所建設工事(電気設備)

 

 3  完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりで
 ある。

  前事業年度

東北電力ネットワーク㈱

85,349百万円

40.7%

 

  当事業年度

東北電力ネットワーク㈱

93,635百万円

42.2%

 

     4 前事業年度の工事区分の組替えを行っている。

 

   d  次期繰越工事高(2024年3月31日現在)

 

区分

東北電力グループ
(百万円)

一般得意先
(百万円)


(百万円)

屋内配線工事

333

62,671

63,004

空調管工事

83

20,826

20,910

情報通信工事

589

3,441

4,030

配電線工事

21,754

2,706

24,460

送電工事

7,119

1,070

8,189

発変電工事

7,103

8,400

15,504

土木建築工事

7,397

7,246

14,643

44,380

106,362

150,743

 

  (注) 1 東北電力グループ:東北電力㈱、東北電力ネットワーク㈱

  2  次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。

大成建設㈱

・SMC遠野サプライヤーパーク建設計画

 (電気・機械設備)

2025年8月完成予定

(同)グリーンパワー深浦

・グリーンパワー深浦風力発電所建設工事

 (BOP電気)

2024年6月完成予定

日立造船㈱

・むつ小川原風力発電所建設工事

2025年12月完成予定

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注工事高は、屋内配線工事が増加したことなどにより、238,477百万円(個別ベース)となり、前連結会計年度に比べ16,877百万円(7.6%)の増加となった。また、売上高は、空調管工事や配電線工事、送電工事が増加したことなどにより、243,171百万円となり、前連結会計年度に比べ15,805百万円(7.0%)の増収となった。

利益面については、経営基盤強化に資する人的投資に係る費用、DX推進に伴う費用などが増加したが、売上高の増加により、営業利益は10,523百万円となり、前連結会計年度に比べ985百万円(10.3%)の増益、経常利益は11,885百万円となり、前連結会計年度に比べ1,383百万円(13.2%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,510百万円となり、前連結会計年度に比べ949百万円(14.5%)の増益となった。

財政状態については、「第2  事業の状況  4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)  経営成績等の状況の概要  ①  財政状態及び経営成績の状況  b  財政状態」に記載しているとおりである。

 

b 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2  事業の状況  1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 サステナビリティに関する考え方及び取組、3  事業等のリスク、4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (2)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容  ③  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載しているとおりである。

 

②  キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりである。

当社グループの主要な資金需要は、設備工事に要する材料費・外注費等の工事費用、販売費及び一般管理費やリース事業におけるリース用資産の取得費用などの運転資金のほか、工事用の機械装置や事業用の土地、建物等への設備投資資金などであり、リース事業を営む連結子会社等で銀行借入を行っている以外は、自己資金によりまかなっている。

資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払ともに概ね4か月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保している。

株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、連結配当性向40%以上を安定的に利益還元することを基本方針としている。

今後の投資の方向性として、「中期経営計画(2024-2028)」においては、「既存事業の深化」や「成長分野への取り組み加速」に向けた経営資源の積極配分と、人的資本の価値向上やDXの推進などへの投資により経営基盤の強化をはかり、持続的な成長と企業価値の向上に活用していく。

 

③  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)  連結財務諸表  注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりである。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 特記事項なし。

 

6 【研究開発活動】

2050年カーボンニュートラルへの挑戦、加速するDXなど、当社を取り巻く社会環境は、目まぐるしく変化している。また、重大な労働災害の撲滅や人件費・材料費の高騰への対応など、解決すべき課題も多い。

このような社会環境の変化に対応し、ユアテックブランドに磨きをかけるため、技術開発で他社との差別化をはかり、安全確保と品質向上を実現するとともに、収益拡大や業務負担の軽減を推進するために、2023年度技術開発方針を次のように定め技術開発に取り組んだ。

 

[基本方針]
    1 安全確保と品質向上に関する技術開発
    2 収益力拡大に向けた技術開発
    3 働きやすい環境づくりの技術開発

 

当連結会計年度における研究開発費は、154百万円であった。また、当連結会計年度の主な研究開発件名の状況は次のとおりである。

なお、子会社において研究開発活動は特段行っていない。

 

(設備工事業)

(1)高所作業車における圧縮スイッチの無線化

高所作業車で行う電線の圧縮接続作業は、油圧圧縮工具(以下、圧縮工具)と手で握って操作するバルーンスイッチを使用して作業している。そのため、片手に圧縮工具を持ち、もう一方の手でバルーンスイッチと電線を支えるため作業者への負担が大きかった。また、気温の変化によりバルーン内圧が変動し誤作動することがあった。そこで、バルーンスイッチに代わる小型の無線式スイッチを開発し、圧縮作業の作業負担軽減と安全性を高めた。本開発品は2024年度に導入する予定である。

 

(2)500kV用導電性ラインマンスーツの開発

500kV架空送電設備に昇塔し作業する際には導電性作業服の着用が義務付けられている。そのため、これまでは作業服の上に導電性作業服を重ね着しており、夏場の使用や作業前の準備に問題があった。そこで、架空送電線用作業服「ラインマンスーツ」と導電性作業服を一体化した「500kV用導電性ラインマンスーツ」を開発した。順次導入を進め送電線工事従事者の作業負担軽減をはかる。

 

(3)TV共聴用光ドロップケーブル掴線器の開発

TV共聴用光ドロップケーブルを引き留める作業をする際には作業者が手でケーブルを持ち、落下させないように適切な弛度を調整するため、作業時に両手を自由に使えない状況にあった。そこで、光ドロップケーブルの引き留め作業専用の工具(掴線器)を開発し、作業の安全性と品質の向上をはかった。今後配備を目指して現場での検証を重ねていく。