独立監査人の監査報告書

 

 

 

2024年1月4日

株 式 会 社 デ ジ タ ル プ ラ ス

取 締 役 会 御 中

 

PwC Japan有限責任監査法人

東京事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

山  本       剛

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

若  山   聡   満

 

 

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社デジタルプラスの2022年10月1日から2023年9月30日までの第19期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社デジタルプラスの2023年9月30日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

継続企業の前提に関する重要な不確実性

「注記事項」継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社は2017年9月期以降継続的な営業損失を計上しており、2022年10月1日から2023年9月30日までの事業年度において324,463千円の重要な営業損失を計上しているほか、2023年8月31日に会社が発行した無担保転換社債型新株予約権付社債の財務制限条項に抵触した結果、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。なお、当該事象又は状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な不確実性の影響は財務諸表に反映されていない。

当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。

 

強調事項

「注記事項」(重要な後発事象)に記載されているとおり、会社は2023年12月6日に代表取締役社長の資産管理会社との間で金銭消費貸借契約を締結し、2023年12月22日に借入れを実行した。

当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

当監査法人は、前事業年度の財務諸表の監査において、監査上の主要な検討事項として、以下の事項を記載した。

・すーちゃんモバイル比較の事業譲渡に係る会計処理の妥当性

当事業年度の財務諸表の監査において、監査等委員とコミュニケーションを行った事項の中から、特別な検討を必要とするリスク又は重要な虚偽表示リスクが高いと評価した領域の変化、会社が重要な判断を行った財務諸表の領域に関連する当監査法人の重要な判断、当事業年度において発生した重要な事象又は取引が監査に与える影響等、また監査における相対的な重要性や会社に特有の事項を考慮して、監査上の主要な検討事項とする事項について検討した。

その結果、当事業年度の財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項は、前事業年度の監査上の主要な検討事項である「すーちゃんモバイル比較の事業譲渡に係る会計処理の妥当性」を除外し、以下の事項を追加した。

・デジタルマーケティング支援事業の取得原価の算定及び当該事業の取得に関連して識別された顧客関連資産の測定の適切性

 

デジタルマーケティング支援事業の取得原価の算定及び当該事業の取得に関連して識別された顧客関連資産の測定の適切性

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

注記事項(重要な会計上の見積り)記載のとおり、会社は、株式会社コミクスから同社が運営するデジタルマーケティング支援事業を2023年1月1日に取得し、支払対価として現金120,000千円を支払い、さらに事業譲渡契約書に基づき、企業結合日から1年間(2023年1月1日から12月31日まで)における譲受事業から発生した売上総利益が一定水準を超えた場合、アーンアウト(成功報酬)として最大80,000千円を支払うことに合意している。

 

会社は、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」に従い、当該条件付対価を企業結合日における取得原価に含めず、当該条件付対価の交付が確実となり時価を合理的に決定可能となった時点で取得原価として追加的に認識することとしている。会社は、条件付対価を含まない企業結合の取得原価を、取得した事業の事業計画に基づき測定し、貸借対照表においてのれん82,836千円(資産合計の9.6%)を計上している。また、会社は、取得した識別可能資産、負債の認識及び測定を行い、顧客関連資産22,545千円(資産合計の2.6%)を計上している。

 

取得原価の算定において使用された主要な仮定は、事業計画の売上予測及び売上総利益率、並びに割引率である。また、顧客関連資産の測定に使用された主要な仮定は、顧客関係や取引条件に基づく既存顧客の残存見込みである。なお、会社は、取得原価の算定と取得した識別可能資産、負債の認識及び測定に評価の専門家を利用している。

 

当該企業結合取引により認識したのれん及び顧客関連資産は貸借対照表に重要な影響を与える。顧客関連資産の認識及び測定には専門的な知識が必要であり、のれんの測定の基礎となる取得原価の算定と識別した顧客関連資産の測定に使用された主要な仮定には見積りの不確実性や経営者の主観的な判断を伴う。

 

以上から、当監査法人は、デジタルマーケティング支援事業の取得原価の算定及び当該事業の取得に関連して識別された顧客関連資産の測定の適切性が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

 

当監査法人は、デジタルマーケティング支援事業の取得原価の算定及び当該事業の取得に関連して識別された顧客関連資産の測定の適切性を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。

 

・取引の概要や目的の理解を行うため、経営者へ質問するとともに、取締役会議事録、事業譲渡契約書及び関連資料の閲覧を行った。

・取得原価の算定及び取得した識別可能資産、負債の認識及び測定プロセスに関連する会社の内部統制の理解を行った。

・会社が利用した評価の専門家の適性、能力及び客観性を評価し、評価の前提条件及び評価結果について会社が利用した評価の専門家に質問するとともに、取得原価の合理性を検討するため、取得原価が経営者の評価した事業価値の範囲内にあることを検討した。

・取得原価の算定に使用された主要な仮定である売上予測及び売上総利益率について過去実績を踏まえた事業価値を監査人が独自に算定し、経営者が評価した事業価値の算定結果との乖離があるかどうかを検討した。

・主要な仮定を含む事業成長予測について、外部調査機関が公表した市場成長率予測との比較を行った。

・事業価値算定に利用する割引率が一般的なアプローチを使用していることを検討し、監査人が独自に計算した結果の範囲内にあることを検討した。

・顧客関連資産の識別プロセス、見積手法及び使用された主要な仮定を評価するため、当監査法人の評価の専門家を関与させ、会社が利用した専門家による評価結果の合理性を検討した。なお、実施した主な手続は以下を含む。

‐会社が利用する専門家への質問や事業取得に関連する取締役会資料、事業譲渡契約書を閲覧し、重要な識別無形資産の検討に漏れがないことを検討するとともに、既存顧客との取引条件や市場の特性等を踏まえ主要な仮定である既存顧客の残存見込みを検討した。

‐顧客関連資産の測定において使用された評価方法が一般的に用いられる評価手法であることを検討した。

‐顧客関連資産の見積手法及び計算過程について分析し、再計算を実施した。

・顧客関連資産の測定に利用された基礎データの信頼性を検討するため、契約書や受注証憑を閲覧した。また、取得原価と識別された顧客関連資産の公正価値との差額がのれんとして計上されていることについて計算結果を検証した。

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

 ・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

 ・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

 ・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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