第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

提出会社の経営指標等

回次

第36期

第37期

第38期

第39期

第40期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

6,347,583

6,029,084

7,440,588

8,628,009

9,154,577

経常利益

(千円)

644,632

677,334

1,102,992

2,199,115

2,094,830

当期純利益

(千円)

518,480

399,676

643,463

1,542,843

1,493,023

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

1,969,394

1,982,631

1,995,106

1,995,106

1,995,106

発行済株式総数

(株)

7,744,900

7,760,300

7,779,900

7,779,900

7,779,900

純資産額

(千円)

9,827,109

10,120,773

10,575,003

11,745,062

13,086,849

総資産額

(千円)

12,770,680

12,780,951

13,951,586

15,404,512

18,621,632

1株当たり純資産額

(円)

1,268.86

1,304.18

1,359.28

1,523.41

1,695.35

1株当たり配当額

(円)

25

25

25

28

30

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(10)

(15)

1株当たり当期純利益

(円)

67.02

51.54

82.78

200.06

193.50

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

77.0

79.2

75.8

76.2

70.3

自己資本利益率

(%)

5.4

4.0

6.2

13.8

12.0

株価収益率

(倍)

14.95

28.91

13.08

7.88

7.60

配当性向

(%)

37.3

48.5

30.2

14.0

15.5

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

42,206

1,326,755

585,109

1,993,942

3,204,538

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,863,104

660,047

613,514

1,146,863

2,369,133

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

254,998

180,142

39,017

523,391

178,866

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,476,410

1,962,975

1,973,588

2,297,276

3,311,547

従業員数

(人)

274

282

288

291

303

株主総利回り

(%)

24.4

36.3

27.4

39.5

37.8

(比較指標:東証グロース市場(配当込み))

(%)

(62.5)

(119.7)

(91.4)

(93.8)

(109.9)

最高株価

(円)

1,649

1,895

1,533

1,942

2,167

最低株価

(円)

954

1,003

1,052

969

1,305

 (注)1.持分法を適用した場合の投資利益は、持分法を適用する重要な関連会社がないため記載しておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.株主総利回りの比較指標は、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、第40期より「東証マザーズ指数(配当込み)」から「東証グロース市場(配当込み)」へ変更しております。

4.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(グロース市場)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所(マザーズ市場)におけるものであります。

5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第38期の期首から適用しており、第38期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

1985年1月

神戸天然物化学株式会社を設立(神戸市西区)

1988年2月

岩岡工場開設(神戸市西区)

1992年5月

東京営業所開設(東京都千代田区)

1993年10月

市川研究所開設(兵庫県神崎郡市川町)

1997年8月

本社移転(兵庫県明石市)

2001年4月

出雲工場(第一工場)開設(島根県出雲市)

2002年11月

本社移転、神戸研究所開設(神戸市西区、西神工業団地)

2003年6月

大地化成株式会社を買収(2010年10月売却)

2003年10月

米国にKNC Laboratories Inc.,を設立(2007年7月閉鎖)

中国に合弁会社 大神医薬化工(太倉)有限公司を設立

2003年12月

神戸工場開設(本社・神戸研究所と同所在地)

2005年6月

KNCバイオリサーチセンター開設(神戸市西区、ハイテクパーク)

2007年4月

KNC-筑波ラボラトリー(筑波大学内)開設(2012年3月閉鎖)

2007年10月

大神医薬化工(太倉)有限公司を完全子会社化(2016年12月売却)

2009年4月

機能材料事業部、医薬事業部及びバイオ事業部の3事業部体制が確立

2009年10月

出雲工場(第二工場)開設(島根県出雲市)

2013年3月

出雲工場(第一工場)内に医薬品原薬精製・粉砕設備棟を建設

2013年11月

出雲工場(第二工場)内にCNT分散体工場を建設

2014年10月

KNCバイオリサーチセンター内に培養棟を建設

2015年9月

出雲工場(第一工場)内にペプチド・核酸原薬工場棟を建設

2017年4月

出雲工場(第一工場)内に品質管理棟を建設

2018年3月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年3月

出雲工場(第二工場)内にキロラボ工場棟及び研究棟を建設

2019年12月

本社・神戸研究所移転(神戸市中央区、ポートアイランド)

2020年5月

出雲工場(第一工場)内に医薬品原薬精製棟を建設

2022年4月

東京証券取引所市場再編により、グロース市場に移行

2022年11月

出雲工場(第二工場)内に品質管理棟を建設

2023年4月

出雲工場(第一工場)内に立体自動倉庫(W-11)を建設

 

3【事業の内容】

(1) 当社の事業の内容について

 

当社は、有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業を主たる業務としております。より具体的には、顧客の製品開発及び製品販売のために行う研究、開発及び生産活動における必要なサンプル及び製品を供給するとともに、顧客の製品開発段階に応じた諸課題を解決するサービスを提供しております。

これらのサービスは顧客と密に協力を行いながら実施し、より迅速な製品開発等を支援することを通じて、社会へ新たな医薬品・工業製品等を提供できるものと認識しています。

対象としている有機化学品は、主に医薬分野、情報電子分野等で用いる有用な機能を持った化学品及びその中間体であり、より汎用的な化学品を原料として製造いたします。

 

(2) 当社の事業の特徴について

 

化学品の研究開発は、目的の機能を持つ化合物の化学構造を推測し、それを実際に合成し、機能を評価することで前進します。この時、目的とする機能が得られなければ再度化学構造を考えるというサイクルを繰り返します。機能評価は、医薬、農薬、染料等の個々の製品により、独自の評価技術が必要ですが、化合物の合成は、製品の機能に関わらず有機合成化学の技術により達成できます。従って、製品開発を行う会社は機能を持つ化学品の構造式を提示し、当社は提示された化合物を合成するという分業が可能となります。

化合物の合成自体にも研究要素があり、提示された化合物の合成方法を考え、合成して、その化合物の純度(注1)や収率(注2)あるいは経済性等を評価し、これらが目標以下であれば再度合成方法を考えます。

 

注1  合成できた物質の中で機能を持つ目的の物質が占める割合を意味します。

注2  理論的に得ることが可能な目的物質の最大量に対して、実際に得られた量の比率を意味します。

 

製品開発会社が、機能性評価や合成等の全ての工程を行っていた中から、合成の部分を当社が請け負うことにより、製品開発会社は機能評価研究等に経営資源を集中できます。当社で担当した化合物合成については、化合物合成研究の結果を併せて報告することにより、単純な合成受託では得られない付加価値を生み出しています。製品開発会社と当社の協力により、研究開発期間が短縮され、製品開発の効率の向上につながります。

当社では、研究・開発から量産ステージまで、化合物合成に関する顧客の提案や改良要求を具体化して研究開発用の製品として供給すると共に、上市後の量産へ向け製造方法の課題・対策を提案するというソリューションを提供いたします。

当社は、顧客の製品開発ステージが研究・開発から量産へと上がるのに伴い、ステージに応じたソリューションを提供し、製品開発の進捗とともに成長するモデル(ステージアップ・グロース)を目指しております。

 

なお、当社では顧客の製品開発における各開発段階を下表に記載するとおりに認識しており、これらに最適なソリューションを提供することで、製品開発・製造販売の支援が可能であると考えております。下記の表にステージ別の顧客目的及びニーズを示します。

ステージ

目的

ニーズ

研究

化合物選択

多くの候補化合物の中から目標の機能を示す化合物を選択すること

評価用のサンプル(通常は少量)を早期に入手すること

開発

製品開発

選択した化合物に必要な材料等を混合したり、成型したりして市場で流通する形態の製品とすること

開発用に多量のサンプルを入手すること(その品質は評価用と同等以上、時期は顧客の開発スケジュールに合わせたタイミング)

量産検討

量産する場合の製品品質や製造コストを検討すること

量産方法を検討し、開発用サンプルと同等以上の品質の製品が得られることを確認すること

量産

商業販売

商品を生産して販売すること

製品が安定供給されること

 

顧客の製品開発段階が、研究ステージあるいは製品開発の初期ステージの場合、当社は未知の新規化合物の合成、既知であるものの合成困難な化合物の合成、複雑な合成方法の改良、研究開発のための参考化合物の合成及び検討報告書を提供いたします。

顧客の開発候補化合物が決まり、評価用に多量のサンプルを用いる場合や量産に向けた製造方法を検討するステージの場合、当社は開発用のサンプルやその合成中間体の供給、工場で製造するための操業条件の検討、工場で製造した製品の品質確認等を行います。

顧客の製品開発段階が、量産ステージの場合、当社は販売用の製品やその合成中間体を製造いたします。

当社は、研究ステージから量産ステージまで対応できる設備を保有しており、製品開発におけるすべてのステージへソリューションの提供が可能です。

 

このように、研究ステージから量産ステージまで一貫して化学品生産ソリューションサービスの提供を行うことが当社事業の特徴です。

 

(3) 当社の事業セグメントについて

 

 当社の事業セグメントは、有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業のみの単一セグメントであります。以下では事業部門別に主な取扱い製品を記載しております。取扱い製品は研究・開発ステージのものから量産ステージのものまで含んでおります。

 

機能材料事業部門の取扱い製品

 表示材料、半導体製造用化学品、カーボンナノチューブ分散体等

 「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」の規制対象外の医薬用原料、治験薬用

 原料等

 除草剤、殺菌剤、殺虫剤、昆虫フェロモン及びそれらの中間体

 

医薬事業部門の取扱い製品

 医薬原薬及び中間体

 治験原薬及び中間体

 医薬の研究開発用の化合物

 

バイオ事業部門の取扱い製品

 医薬原薬及び中間体

 治験原薬及び中間体

 医薬の研究開発用の化合物

 抗体医薬製造用の助剤

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

0101010_001.png

 

4【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

303

41.5

12.2

6,676

 (注)1.従業員数は就業人員であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

正規雇用労働者

パート・有期労働者

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

10.4

80.0

74.4

76.3

55.4

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の算出方法をベースとしております。

2.男性労働者の育児休業取得対象者に、パート・有期労働者の者はおりません。

3.当社では正規、非正規従業員のいずれにおいても、男女では賃金規程等の制度上、昇進、昇給等の運用上および採用基準上の差を設けておりません。

4.人的資本に関する事項については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。