第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、お客様に「安全・確実・迅速なサービス」を提供することを通して事業の発展をはかることを経営基本方針とし、「事業活動のあらゆる局面において、コンプライアンスを徹底する」ことを行動原則に、企業の社会的責任を果たしてまいりました。

本年度については「第22次中期経営計画(2021年4月1日~2024年3月31日):コーポレート・スローガン『TONAMI NEW PLAN 2023』」の最終年度を迎え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)による業務効率化を更に推進し、生産性を上げるとともに物流サービスと輸送事業の連携強化により中長期的な成長を継続し、企業価値の更なる強化に取り組んでまいりました。

 

(2)経営環境、経営戦略及び対処すべき課題

国内経済は新型コロナウイルスの感染症法上の分類が第5類に移行されたことに伴う経済活動の持ち直しが期待されましたが、原材料、燃料、電気料金、衣料、食品など多くのモノやサービスの価格が高止まりして個人消費の伸びが下押しされ、厳しい状況で推移しました。

物流業界におきましては、2023年度の国内貨物輸送量が生産関連貨物・建設関連貨物を中心に減少して前年比マイナス(△1.0%)の見通しとなっており、2024年度も引き続き前年比マイナスとなる予測もある上、燃料価格や電気料金が高止まりし、人件費の増大もあって、物流業界をとりまく経営環境は本年度も引き続き厳しい状況が続くことが予想されます。

こうした経営環境の中、2024年4月より新中期経営3ヵ年計画として、コーポレート・スローガンを「GO! NEXT! PLAN 2026」とする「第23次中期経営計画」を策定いたしました。「和の経営」理念により社会的存在価値を高め、すべてのステークホルダーの満足度向上を実現することを目指し、収益成長事業への経営資源の積極投入、特別積合わせ事業・ロジスティクス事業に次ぐ新たな事業創出への投資により、将来に向けた継続的な発展を実現してまいります。

第23次中期経営計画の最終年度連結業績目標は以下のとおりです。 

(2027年3月期 連結業績目標)   

 営業収益               180,000百万円

 営業利益                9,500百万円

 経常利益                9,900百万円

 親会社株主に帰属する当期純利益     6,700百万円

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「和」の経営理念を実践し、経営基本方針に基づいて、サステナビリティに向けた取り組み推進を図ります。

「安全・確実・迅速なサービス」の提供を通じた事業の発展を図り、株主の皆様へ「適正で安定した配当」を継続することを経営の基本方針とし、この基本方針に基づき、収益性を確保し、常に企業価値の向上に努め、その成果を株主の皆様、お客様、取引先、社員、社会と適正に分かち合うことが、トナミホールディングスの使命であり、社会全体のサステナビリティへ繋がるものと考えます。

 


 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

(ガバナンス)

当社には、経営方針及び経営戦略に関わる重要事項を担当する機関として、社外取締役3名を含む8名で構成する取締役会を設置しております。取締役会は、取締役会規則に基づき月1回これを開催することを原則とし、その他必要に応じて随時開催して、取締役会の意思疎通を図るとともに相互に業務執行を監督し、必要に応じて外部の専門家を起用し、法令定款違反行為を未然に防止することといたしております。

また、内部統制構築の一環として、監査等委員会設置会社制度を採用しており、常勤監査等委員1名と社外取締役監査等委員3名を含む4名体制で構成し、監査等委員会は取締役会及びその他重要会議への出席や意見の具申等で取締役の職務執行の適法性を監査しております。なお、取締役の職務執行については、監査等委員会の定める監査の方針及び分担に従い、社外取締役監査等委員を含め各監査等委員の監査対象となっております。

なお、当社では気候変動対応など全社的なサステナビリティに関わる具体的施策を策定し実施することを目的にサステナビリティ推進委員会を2023年2月に設置し、気候変動等の当社事業に与えるリスクと機会について、サステナビリティ推進委員会が適宜取締役会で報告を行うとともに、取締役会はサステナビリティに関する取り組みの監督・指導を行う体制を構築しております。

(リスク管理)

リスク管理体制として、自然災害や事故等の人為的災害及び経営上の様々なリスクに的確に対処し、経営目標の達成を阻害するすべての要因を可能な限り防止し、排除することにより、社会的責任を果たすことを「経営リスクマネジメント方針」として定め、社長を最高責任者とする経営リスク管理委員会を設置し、気候関連リスクをはじめとする事業運営に影響を及ぼす様々なリスクに対応するために「トナミホールディングスグループ経営リスクマネジメント管理規程」を制定しています。

 

(2)気候変動に係るリスクと機会への対応

当社グループは、第23次中期経営計画の取り組みを推し進めることにより、新しい経営ステージを目指しております。事業活動を継続するにあたり、環境に関する事項、とりわけ温室効果ガス排出削減への取り組みは重要課題であると認識しており、EVトラックの導入や物流施設での太陽光発電の展開などによる環境保全につながる活動を通じ、持続的な発展に努めております。

その中で、長期的視野に立った気候変動への更なる取り組みを推進し、サステナブルな社会の実現に貢献するため、2022年7月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、2023年2月に同提言に基づく情報開示を行っております。

 

①戦略

気候変動による影響が大きくなるとされる上昇温度設定が異なる2つの気候シナリオを用い、当社グループにおける気候変動に関するリスク・機会項目を抽出し、抽出したリスク・機会項目について、起こりうる事業インパクトを定性的に表現し、事業へのインパクトの大きさを評価しております。

その評価結果を踏まえ、リスクの軽減ないし機会の獲得に向けた対応策を検討しております。

リスク・機会の分類

リスク・機会の概要

想定される主な事業活動への影響

移行リスク

リスク

・温室効果ガス排出規制や削減義務強化等への対応

・気候変動,脱炭素の取り組みへの遅れ

・炭素税の導入による利益圧迫

・車両の脱炭素化やフロン類規制強化に伴うコスト増加

・ブランド価値低下に伴う売上減少

・人材獲得への影響

物理的リスク

リスク

・異常気象の深刻化,増加

・災害による通信障害等によるデータ通信の混乱、輸配送網の寸断による売上減少

・災害復旧コストの増加

・熱中症等の健康リスクの増大や作業の制限

移行リスク

機会

・気候変動,脱炭素の取り組みの推進

・ブランド価値向上に伴う売上増加

・他社に先行した脱炭素技術の導入やインフラ整備による市場優位

物理的リスク

機会

・異常気象の深刻化・増加

・災害時の被災地域への物資輸送への貢献

・EV用充電器の地域開放等の地域と連携した防災の取り組みの推進

 

当社グループでは、温室効果ガスの削減の取り組みの一環として、遊休地や物流施設の屋根に太陽光パネルを設置し太陽光発電を開始しております。また、廃食油や動物油などを原料として製造された次世代燃料であるリニューアブルディーゼルの活用や水素トラックの実用化に向けた研究開発に参画しております。

 

②指標と目標

2021年10月に地球温暖化対策計画が閣議決定され、日本は、温室効果ガスを2030年度において46%削減(2013年度比)、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを表明しました。交通・物流部門(運輸部門)については、2030年度において、温室効果ガス35%削減(2013年度比)を目標としています。

当社グループでは、このような情勢を踏まえて、2030年に35%削減達成(2013年度比)、2050年のカーボンニュートラル達成という目標を設定しました。

 


 

なお、TCFD提言に基づく情報開示に関する詳細な情報については、弊社ウェブサイトに公表されております資料「TCFD提言に基づく気候変動取り組みの開示内容」を御参照ください。

(ウェブサイトURL:https://www.tonamiholdings.co.jp/investor/tcfd/)

 

(3)人材戦略について

当社グループは、人材こそが競争力の源泉であり、企業価値の持続的な向上にとって極めて重要であると認識しており、第23次中期経営計画においても「多様な人材を採用確保、事業形態や地域特性に応じた人事制度の構築」を重点戦略に掲げております。

①人材採用・育成

多様性の確保の視点からも、性別や国籍といった条件の制約は設けず、能力や適性等を総合的に判断して採用する方針としております。連結子会社であるトナミ運輸株式会社では「外国人技能実習制度」を採り入れ、開発途上地域の経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成協力の一端を担うと同時に、社員の多様性に対する意識向上を図っております。

社員育成にあたっては、担当職務や役職に合わせた教育研修プログラムを設けております。

交通事故防止への取り組みは、事業の中で活かされるだけではなく、安全な社会づくりにも貢献できると考えており、交通安全の取り組みをPDCAサイクル(Plan 計画・Do 実行・Check 評価 ・Action 改善)として回すことで、改善に向けた取り組みを継続し、優秀なドライバーの育成に努めております。

その他、自己啓発プログラムとして通信教育制度を設け、受講料の一部を会社が負担する支援制度も実施しております。

②人材の活躍・働きやすい職場環境の構築

社員一人ひとりがワークライフバランスを保ちながら、安心して長く会社で活躍できることが大切だと考えております。

少子高齢化による労働力不足が懸念される中、定年以降でも活躍できるよう「継続雇用制度」の拡充や、過去より物流業界、他の産業と比較しても男性社員が多い傾向にある中、女性が一層活躍でき、働きやすい職場環境を構築できるよう、各種制度の見直しや施設設備の改修等に取り組んでおります。これらの取り組みは、性別や年齢等は問わず全社員の「働きやすさ」につながると考えております。

③指標及び数値

当社グループでは、上記①「人材採用・育成」、②「人材の活躍・働きやすい職場環境の構築」において記載した事項に係る指標や目標については、グループ各社において事業形態や地域特性を考慮した取り組みやデータ管理を行っていることから、連結グループにおける関連指標や目標のデータを記載することが困難であります。

「管理職に占める女性労働者の割合」、「男性労働者の育児休業取得率」、「労働者の男女の賃金の差異」の実績については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しておりますので、そちらをご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 環境の変化に関するリスク

当社グループの主たる事業は特積み事業を中核とする物流事業であり、国内外の景気変動や顧客企業の物流合理化・事業再編、業績悪化や取引停止による影響、原油の高騰や想定を超える金利上昇などにより、コスト負担増加を吸収することが困難となる恐れがあります。

(2) 事業の展開に関するリスク

当社グループが事業展開する地域で地震などの大規模災害が発生した場合は、施設の被災により会社経営に甚大な影響が生ずる事態も予想されます。

また、事業拡大に不可欠な人材の確保・育成・拡充、また、企業買収・資本提携を含む戦略的提携が計画とおりに進まない場合や、海外事業展開に伴う社会的リスクなどが顕在化した場合に、当社グループの事業展開及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報ネットワークのセキュリティに関するリスク

当社グループは、多くのお客様の情報を取扱っており、当該情報を適切に管理するよう努めておりますが、保管状態の不具合などにより情報の漏洩が発生した場合には、社会的信頼の喪失や損害賠償請求の発生などにつながる恐れがあります。また、自然災害やコンピューターウイルスによる感染等により、ITシステムに故障が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 環境保全に係るリスク

環境規制が一層強化されることによるコスト負担増や、安全対策の規制強化などを遵守するための一層の費用負担の可能性があり、資金やコスト負担の増加により、当社グループの経営成績や財務状態に影響を及ぼす恐れがあります。

(5) 重大な事故の発生によるリスク

車輌事故など重大な事故が発生した場合には、顧客の信頼及び社会的な信用が損なわれる恐れもあり、ひいては当社グループの事業展開及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(6) 事業用資産及び繰延税金資産に関わるリスク

事業用固定資産に対する減損会計によって、減損処理が必要となった場合や、将来の課税所得の見積り等に大きな変化が生じ、繰延税金資産の取崩が発生した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響が出る可能性があります。

(7) 投資に関するリスク

当社グループは、更なる成長領域拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資又は企業買収を行うことがありますが、これらの出資等が所期する効果を得られない可能性、当社が適切と考える方法による合弁会社の運営ができない可能性、当社が経済的負担を負う可能性及び当社以外の出資会社等の経営悪化や同事業からの離脱の可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の概況

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績

当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日、以下「当期」という) における日本経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が第5類に移行されたことに伴う経済活動の持ち直しが期待されましたが、原材料、燃料、電気料金、衣料、食品など多くのモノやサービスの価格が高止まりして個人消費の伸びが下押しされ、厳しい状況で推移しました。

 

物流業界におきましては、2023年度の国内貨物輸送量が生産関連貨物・建設関連貨物を中心に減少して前年比マイナス(△1.0%)の見通しとなっており、2024年度も引き続き前年比マイナスとなる予測もある上、燃料価格や電気料金が高止まりし、人件費の増大もあって、物流業界をとりまく経営環境は本年度も引き続き厳しい状況が続くことが予想されます。

 

このような環境の中、当社グループは、「第22次中期経営計画(2021年4月1日~2024年3月31日):コーポレート・スローガン『TONAMI NEW PLAN 2023』」の最終年度となった当期においても、社会の持続的な発展に寄与するべく、計画達成に向けて邁進いたしました。

 

物流関連事業においては、中長期的な成長を継続するための経営基盤の強化にむけ、DX推進による業務の可視化・効率化による生産性向上と安全性の向上など、お客様のニーズに応える物流サービスの強化に取り組んでまいりました。

また、当社グループの中核事業会社であるトナミ運輸では新たに尼崎支店やあきる野支店を開設したほか、株式会社ウインローダー、丸嶋運送株式会社、山一運輸倉庫株式会社、山昭運輸株式会社の4社を子会社化し、物流事業基盤の更なる強化を行いました。

 

その結果、当社グループの当期経営成績は、貨物輸送量の減少はありましたが、営業収益において142,072百万円と前連結会計年度に比べ152百万円(0.1%)の増収となりました。

利益面に関しましては、業務効率化や外注業務の内製化等に努めコストコントロールを図りましたが、外注費や燃料価格の高騰、人件費の増加もあって、営業利益は5,774百万円と、前連結会計年度に比べ1,606百万円(21.8%)の減益となりました。

経常利益は6,795百万円となり、前連結会計年度と比べ1,394百万円(17.0%)の減益となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は4,061百万円を計上し、前連結会計年度と比べ1,330百万円(24.7%)の減益となりました。

 

セグメントの業績を説明いたしますと、次のとおりです。

なお、以下におけるセグメント利益は営業利益ベースの数値であります。

(物流関連事業)

当期における物流関連事業は、貨物輸送量の減少などもありましたが、営業収益は133,762百万円と前連結会計年度に比べ217百万円(0.2%)の増収となりました。

セグメント利益は5,128百万円を計上し、前連結会計年度と比べ1,355百万円(20.9%)の減益となりました。

 

(情報処理事業)

情報処理事業の営業収益は3,318百万円と、前連結会計年度に比べ120百万円(3.8%)の増収となりました。

セグメント利益は536百万円を計上し、前連結会計年度に比べ18百万円(3.6%)の増益となりました。

(販売事業)

物品販売並びに委託売買業、損害保険代理業等の販売事業における営業収益は3,050百万円と、前連結会計年度に比べ95百万円(3.0%)の減収となりました。

セグメント利益は247百万円を計上し、前連結会計年度と比べ39百万円(13.7%)の減益となりました

(その他)

その他では、自動車修理業やその他事業で営業収益1,941百万円を計上し、前連結会計年度に比べ89百万円(4.4%)の減収となりました。

セグメント利益は284百万円で、前連結会計年度に比べ9百万円(3.2%)の減益となりました。

 

②財政状態
(資産)

総資産は169,244百万円となり、前連結会計年度に比べ6,733百万円(4.1%)増加しました。

流動資産は61,732百万円となり、前連結会計年度と比べて411百万円(0.7%)減少しました。主な要因は、営業未収入金及び契約資産が380百万円増加した一方で、現金及び預金が237百万円、受取手形が447百万円、未収還付法人税等が265百万円それぞれ減少したことなどによります。

固定資産は107,511百万円となり、前連結会計年度と比べて7,145百万円(7.1%)増加しました。主な要因は、有形固定資産で土地が1,742百万円、無形固定資産でのれんが1,941百万円、投資その他の資産で投資有価証券が2,692百万円それぞれ増加したことなどによります。

(負債)

負債は76,343百万円となり、前連結会計年度に比べ1,693百万円増加しました。

流動負債は37,228百万円となり、前連結会計年度と比べて1,880百万円(5.3%)増加しました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が2,335百万円増加した一方、営業未払金が639百万円、未払消費税等が538百万円、それぞれ減少したことなどによります。

固定負債は39,114百万円となり、前連結会計年度と比べて187百万円(0.5%)減少しました。主な要因は、繰延税金負債が981百万円、リース債務が514百万円それぞれ増加した一方で、長期借入金が1,124百万円、退職給付に係る負債が1,142百万円それぞれ減少したことなどによります。

(純資産)

純資産は92,901百万円となり、前連結会計年度と比べて5,040百万円(5.7%)増加しました。これは主として親会社株主に帰属する当期純利益4,061百万円計上するなどして利益剰余金が2,751百万円、その他有価証券評価差額金が1,441百万円それぞれ増加したことなどによります。

以上により、自己資本比率は前連結会計年度の53.7%から54.5%となりました。

 

③キャッシュ・フロー

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ235百万円減少し、34,090百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは10,722百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が6,548百万円、減価償却費が5,201百万円、法人税等の支払額が2,388百万円あったことなどによるものであり、前連結会計年度に比べて855百万円、収入が減少しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは5,475百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が2,946百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が2,660百万円あったことなどによるものであり、前連結会計年度に比べて2,935百万円、支出が増加しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは5,482百万円の支出となりました。これは主に配当金の支払いによる支出が1,359百万円、リース債務の返済による支出が2,906百万円あったことなどによるものであり、前連結会計年度に比べて791百万円、支出が増加しました。

④生産、受注及び販売の状況について

当社グループでは総合物流事業の展開を図っております。総合物流事業の展開は、貨物輸送並びにそれに附帯する業務を中心に行う物流関連事業と、コンピューターによる情報処理並びにソフトウェアの開発及び販売を中心に行う情報処理事業と、物品販売等を中心に行う販売事業に区分されております。物流関連事業につきましては、輸送する物品は単一ではなく、輸送する距離もまちまちであること、また、情報処理事業及び販売事業に関しましても、生産、受注の形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは困難であります。

このため、生産、受注及び販売の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の評価、投資有価証券の評価、繰延税金資産、のれん、貸倒引当金、退職給付に係る負債、債務保証損失引当金及び法人税等であり、継続して合理的に評価しております。

なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2 連結財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(概要)

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、営業収益が142,072百万円(前連結会計年度比0.1%増)、営業利益は5,774百万円(同21.8%減)、経常利益は6,795百万円(同17.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益では4,061百万円(同24.7%減)となりました。

(営業収益)

貨物輸送量の減少はありましたが、多様化するお客様の物流ニーズに沿う総合的なロジスティクスサービスの積極的な営業活動や、新たにグループ会社の加入もあって、営業収益は142,072百万円となり前連結会計年度比0.1%152百万円の増収となりました。

(営業利益)

業務効率化や外注業務の内製化等に努めコストコントロールを図りましたが、外注費や燃料価格の高騰、人件費の増加などもあって、営業利益は5,774百万円となり、前連結会計年度比21.8%1,606百万円の減益となりました。

(経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)

経常利益は6,795百万円となり、前連結会計年度比17.0%1,394百万円の減益となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,061百万円となり、前連結会計年度比24.7%1,330百万円の減益となりました。

 

(資本の財源及び資金の流動性についての分析)

当社グループの主要な資金需要は、高品質の物流サービス維持に係る人的コスト、燃料費、販売費及び一般管理費等の営業費用、多様化する物流ニーズに対応するための施設・設備の新設や改修等に係る投資であります。

また、中期経営計画の基本方針の一つとして「DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用した物流システムの展開やM&A、設備投資の積極的な展開」を掲げており、更なる企業価値向上と、新たな収益の源泉確保に向け、投資の検討を行ってまいります。

これらの資金需要については、自己資金、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達等にて対応していくこととしております。

当社グループでは、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中・一元管理することで、資金効率の向上を図っております。また、コミットメントライン契約を締結しており、運転資金の効率的な調達を行えるようになっております。以上から、当社が想定する事業リスクはもとより、新型コロナウイルス感染症のような突発的な事態が発生した場合でも、事業を継続するために必要な資金を確保することが可能です。

なお、キャッシュ・フローの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ④連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(物流関連事業)

当期における物流関連事業は、貨物輸送量の減少などもありましたが、営業収益は133,762百万円と、前連結会計年度に比べ217百万円(0.2%)の増収となりました。

セグメント利益は、5,128百万円を計上し、前連結会計年度に比べ1,355百万円(20.9%)の減益となりました。

セグメント資産は、新たに事業所を開設したことによる固定資産計上などにより、124,548百万円となり、前連結会計年度に比べ5百万円(0.0%)の増加となりました。

(情報処理事業)

情報処理事業における営業収益は3,318百万円を計上し、前連結会計年度に比べ120百万円(3.8%)の増収となりました。

セグメント利益は、536百万円を計上し、前連結会計年度に比べ18百万円(3.6%)の増益となりました。

セグメント資産は、3,197百万円となり、前連結会計年度に比べ421百万円(15.2%)の増加となりました。

(販売事業)

物品販売並びに委託売買業、損害保険代理業などの販売事業における営業収益は3,050百万円と、前連結会計年度に比べ95百万円(3.0%)の減収となりました。

セグメント利益は、247百万円を計上し、前連結会計年度に比べ39百万円(13.7%)の減益となりました。

セグメント資産は、10,193百万円となり、前連結会計年度に比べ166百万円(1.7%)の増加となりました。

(その他)

その他では、自動車修理業、その他事業で営業収益1,941百万円を計上し、前連結会計年度に比べ89百万円(4.4%)の減収となりました。

セグメント利益は284百万円を計上し、前連結会計年度に比べ9百万円(3.2%)の減益となりました。

セグメント資産は、13,149百万円となり、前連結会計年度に比べ564百万円(4.1%)の減少となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前述の「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

今後の経済情勢につきましては、物価高は落ち着く兆しを見せてはいるものの、海外の地政学的リスクや為替状況次第では再度物価が上昇する可能性もあり、依然として先行き不透明な状況は続くものと予想しております。

このような中、当社グループは、2024年4月より新たにコーポレート・スローガンを「GO!NEXT!PLAN 2026」とする「第23次中期経営計画」を策定し、7つの経営戦略に取り組み、中長期的な成長を継続するために邁進いたします。

① 経営効率の向上

② 事業・業容の拡大

③ 技術革新による生産性向上

④ 人材の登用と確保

⑤ 顧客への価値提供

⑥ 社会環境への貢献

⑦ 経営品質の向上

 

(5) 経営者の問題認識と今後の方針について

①働き方改革関連法(2024年問題)の対応について

トラック運輸産業は国内物流の9割を担い、我が国の産業・経済活動の基盤となる重要な役割を果たしているとともに、インターネット社会に対応した、きめ細やかな物流サービスはなくてはならない存在として成長・発展してきております。

このような環境の中、「働き方改革関連法」が2024年4月から施行され、トラックドライバーの長時間労働の改善・解消にむけた働き方の見直しや労働条件改善の取り組みがトラック運輸業界全体の課題となっているものと認識しております。しかしながら、依然として人口減少や少子高齢化などの構造的課題は解決しておらず、トラックドライバーの労働力不足や高齢化問題はさらに顕在化する見通しにあります。

当社グループにおきましては、働き方改革関連同法への対応は経営課題の最重要課題の一つになっており、働き方改革の推進と従業員の待遇改善はもとより、採用活動の強化や職場環境の改善を継続して進めてまいります。

②設備投資とM&Aの方針について

市場競争力の強化及び費用対効果の最大化を図るため、特積み事業所や倉庫施設の新規拠点展開、既存施設の狭隘化、老朽化の更新対応など、成長投資を促進してまいります。

M&Aについては、多様化する顧客ニーズに対応可能なパートナーの検討を進め、特積み事業及び3PL事業を始めとする物流事業の業容拡大やシナジー効果を発揮できるよう成約に取り組みます。

また、同業との協業や連携を視野に、輸配送業務の効率化や既存事業の拡大に取り組むとともに、環境負荷の低減に努めてまいります。

 

③ESG経営の方針について
(環境)

輸送を通じ社会に寄与し、地球環境の保全に努めることを基本理念として環境方針を定め、環境マネジメントに取り組んでいます。

環境対策の投資を積極的に行っており、全国21カ所で太陽光発電事業を行っています。また、脱炭素化の取り組みとして、TCFD提言に基づく情報開示を行い、2030年に温室効果ガス35%削減(2013年度比)、2050年にカーボンニュートラル達成という目標を設定し、「EVトラック」の導入及び「太陽光発電」の利用・拡大と事業所照明の「LED化」を進めています。

今後ともCO2排出量の削減に努め、サステナブルな社会の実現に取り組んでまいります。

(社会)

当社グループは、「安全な社会づくり」へ貢献するため、輸送の安全に関する基本的な方針を定め、国土交通省の「運輸安全マネジメント」に準拠した安全管理体制を構築し、交通事故防止の取り組みを推進し、交通安全に努めています。

一般財団法人トナミホールディングス松寿会を通じ、福祉車両贈呈、子供食堂への寄付、マスクの寄贈、災害地への義援金寄贈等を行っております。

(ガバナンス)

コーポレート・ガバナンス強化のため、本年度より監査等委員会設置会社へ移行しました。取締役会を構成する取締役は12名で、そのうち監査等委員は社外3名を含む4名が選任されております。また、取締役12名のうち、社外取締役は6名となっています。

内部統制構築の一環として監査室を設置しており、内部監査にも努めております。

経営リスクマネジメントに関する基本方針を定め、経営基盤の安定化と経営リスクの極小化によりグループ及び社会的損失の発生防止に努めています。

コンプライアンス委員会を設置し、「トナミグループ社員行動規範」に基づき、推進担当者を設置し、コンプライアンス教育を実施しております。また、相談窓口を設置し、法令違反などの早期発見・未然防止に努めています。

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。