文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの事業目的は、全ての年齢層に対して時代が求める教育を提供し、世界に通用する人材を育成することです。国内外を問わず21世紀の地球社会において求められる人材像やリーダー像に基づき、世界標準のカリキュラムに立脚した1歳から18歳までの一貫教育(幼・小・中・高等学校)を英語・日本語を含む多言語で提供いたします。同時に、当社の創業以来の強みであるeラーニングシステム(AirCampus®)と10,000時間を超える教育コンテンツを積極的に活用し、幼児園から大学・大学院、ビジネスパーソン、最高経営責任者、起業家までをカバーする「生涯教育プラットフォーム」を構築し、全世界の人々に対して世界水準の教育サービスを提供いたします。
これらの企業活動を通じて、絶えず教育を革新し、未来に対してポジティブな変革をもたらし、新たな価値を創造する人材を輩出し続けることを基本方針としております。当社グループは、このような基本方針に基づいて事業を展開し業績の向上を図るとともに、株主利益や社会環境にも十分に配慮し、企業価値の向上に努めていく所存であります。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が各国の実態経済や金融市場を下振れさせるリスクを注視する必要があり、不透明・不確実な状況が続くものと見込まれます。しかしながら、当グループを取り巻く市場環境は、IoT、人工知能(AI)、5G、ブロックチェーン等の技術の急速な進歩が産業構造や企業活動のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速する事に伴い、法人/個人の両面において教育・人材育成ニーズの拡大と質的変容が期待されます。
加えて、今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大により、あらゆる年齢層においてWith/Postコロナ時代における学びや人材育成の在り方などに大きな転換が起きると考えられます。
当社グループは、教育事業を通じて優れたコンテンツと遠隔教育システムを提供し、世界に通用する人材育成を目指すプロフェッショナル・(サービス)ファームであります。世界水準・標準の教育を日本に普及することは、国の将来にポジティブなインパクトをもたらすと考えております。そのようななか、中期的に当社グループが注力する領域は、グローバル教育の世界標準の1つである「国際バカロレア(IB)」の普及に貢献するプラットフォームサービス事業であります。
当社グループは、21世紀の国際社会を牽引し、変革することができる人材を養成するために、語学等のコミュニケーション能力、多国籍チームを率いるリーダーシップ、論理的思考力、問題解決策を導き出し実行する力、多様性に対する共感力等について、1歳から世界標準の教育を通じて自然に身につける「生涯教育プラットフォーム」を展開しています。
また、上述したプラットフォームサービス事業の強化と共に、コア事業であるリカレント教育事業の拡大と法人営業の強化のために、当社グループの強みである良質なコンテンツと遠隔教育システム、ノウハウを存分に活かし、教育にイノベーションを起す革新的なサービスの提供、開発に取り組んでまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大は、働き方や学び方のみならず、世界社会において求められる人材像、その育成のあり方に大きな転換を与えました。更に、今後のデジタル・ディスラプションの進行により、企業の組織・人材開発にも急速な変革が求められます。
このような環境のなか、当社グループでは、“アフターコロナ”社会における変化やニーズを的確に捉え、中期的な成長を実現し企業価値を最大化するために、組織の強化、人材の育成に加え、国際バカロレア(IB)の普及・拡大、法人営業の強化、遠隔教育システムの進化が不可欠だと認識しています。そこに、当社グループの成長に対する非常に大きな事業機会が存在すると考えています。かかる事業機会を獲得するために、以下の項目に取り組んでまいります。
① 国際バカロレア(IB)の普及・拡大
当社グループが、今後プラットフォームサービス事業の業容拡大を目指すためには、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」が既に認証取得しているCIS、NEASCに留まらず、国際的に認められている大学入学資格の一つである国際バカロレア(IB)の普及による先駆的な教育プログラムの提供が重要なものとなります。これまで同様に、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」のサテライトキャンパスの拠点拡大とIBカリキュラム導入を推進いたします。
② 法人営業の強化
当社グループの収益拡大のためには、限られた経営資源を集中する必要があります。このため当社グループでは、企業全体のマネジメント教育を「新人から社長まで」一括して引き受けられるよう大型提案に経営資源を集中する等、法人営業を強化していく方針であります。具体的には、顧客企業の人事教育制度そのものに当社グループが提供するマネジメント教育のプログラムが採用されるよう各種各様のニーズに対して、コンテンツと遠隔教育システムのバリエーションの拡充と品質の更なる向上・維持によって応えてまいります。また、トップマネジメント層を対象とする研修の実施や顧客企業による研修利用が可能な集合研修施設の活用による、当社グループの遠隔型マネジメント教育事業の一層の普及を図り、収益拡大に努めてまいります。
③ 遠隔教育システムの開発
当社グループが、今後遠隔型マネジメント教育事業の業態拡大を目指すためには、遠隔教育システムとコンテンツの親和性が非常に重要なものとなります。今後は独自で設計開発してきた遠隔教育システムのプラットフォームである“AirCampus®(遠隔型学習環境統合システム)”を機能の強化及び学習支援の運用も含め、より充実させてまいります。
④ 人材の確保と育成
当社グループの事業の拡大には、優秀な人材の確保と育成が欠かせません。当社グループでは、目的達成のために主体的かつ積極的に行動できる起業家的な人材の確保、当社グループの企業カルチャーと企業ミッションを共有化できる人材の育成が課題と考えております。
⑤ 感染症等の流行による事業の運営リスクへの対応
今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような治療法が確立されていない感染症やその他の感染力の強い病気が社会的に流行した場合、当社グループの事業が円滑に運営できない事態が想定されます。当社グループとしては、遠隔教育サービスの拡充など更なるデジタル化を推進するとともに、感染症等が流行する緊急時においても、サービスの継続、運営が円滑に進む対応策を検討し実施してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、主として「売上高」及び「営業利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、今後数年間において大きな飛躍を遂げるため、With/Postコロナ時代において出現・拡大する事業機会の獲得に必要となる先行投資、支出を行ってまいります。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、第23期有価証券報告書提出日現在において、入手可能な情報に基づいて判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)事業環境について
① 遠隔型教育市場について
当社は、インターネットを活用した遠隔型マネジメント教育事業を営んでおりますが、当社としては、今後も遠隔教育市場が拡大するものと見込んでおります。しかしながら、遠隔教育市場の順調な成長が見られない場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
② 競合について
社会人を対象としたマネジメント教育に関しては、民間の研修会社、コンサルティングファーム、シンクタンク系企業に加え、独立行政法人化による大学の社会人教育への進出が急速に伸びてきており、競争が激しくなるものと認識しております。また、国内だけではなく国外からも競争相手が出現することにより、価格・サービス競争が激化することも予想されます。このため、当社のコンテンツ制作や遠隔教育システム等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、価格・サービス競争に適切に対応できない場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
③ 法的規制について
ⅰキャリア教育推進特区と構造改革時別区域法
当社は、東京都千代田区が、構造改革特別区域法に基づいて2003年10月24日に内閣総理大臣から認定を受けた構造改革特別区域計画「キャリア教育推進特区」を利用して、ビジネス・ブレークスルー大学を設置し、当大学の経営を行っております。このキャリア教育推進特区では、東京都千代田区が同区全域を範囲として、株式会社が大学や専門職大学院の設置主体となることを認め、従来の学校教育と実社会を結び付け、高い専門性を持った人材の輩出、地元企業との連携の充実、雇用や消費の拡大等、地域社会・経済の活性化を図ることを目的としており、学校設置会社による学校設置の特例措置が設けられております。今後、これらの法制度の変更等が行われた場合には、当社の事業展開が、何らかの法的規制や制約等を新たに受ける可能性があり、その結果、当社の業績に影響を与える可能性があります。
ⅱ大学設置基準について
当社は、学校教育法に定める大学として、大学設置基準に基づき文部科学省より大学の設置の認可を取得し、ビジネス・ブレークスルー大学を経営しております。設置基準は、大学設置基準の他に、大学院設置基準、専門職大学院設置基準及び大学通信教育設置基準が定められております。各設置基準は、設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その水準の向上を図ることに努めることとされております。今後、当社が何らかの理由により上記設置基準の水準を満たすことができなくなり大学の認可を取り消された場合、又は、当該法制度等の変更によっては、当社の事業展開に何らかの法的規制等を受けた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
ⅲ個人情報保護法
当社グループは、個人情報を含む多数の顧客情報を保有及び管理しております。当社グループはこれらの情報資産の適切な管理に最大限の注意を払っており、また、2005年4月に完全施行された個人情報の保護に関する法律やこれに関連する総務省及び経済産業省制定のガイドラインの要求事項遵守に努めております。しかしながら、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社グループがそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、当社の業績に重大な影響を与える可能性があります。
ⅳインターネットに関する規制等について
当社は、インターネットを利用した遠隔教育事業を展開しており、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用者や事業者を対象とする新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の制限、制約を受けた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(2)当社の事業について
① 技術、システム面のリスクについて
ⅰシステム障害について
当社のサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連しており、障害の兆候が見受けられる時や障害が発生した時には、携帯電話のメール等により当社の監視要員に通知する体制を整えております。しかしながら、当社のサービスは、通信事業者が運営する通信ネットワークに依存しており、電力供給不足、災害や事故等によって通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合、コンピューターウイルスによる被害にあった場合、あるいは自社開発のサーバー、ソフトウェアに不具合が生じた場合等によって、当社のサービスの提供が不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、ユーザー等から損害賠償の請求や当社の社会的信用を失う可能性等があり、当社の事業に重大な影響を与える可能性があります。
ⅱセキュリティについて
当社はハッカーやコンピューターウイルス等に備えるため、ネットワーク監視システム及びセキュリティシステムを構築しておりますが、外部からの不正な手段によるサーバー内の侵入などの犯罪や従業員の過誤等により顧客の個人情報等重要なデータが消去又は不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には損害賠償の請求を受ける可能性があり、また当社の社会的な信用を失うことになり、当社の事業及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
ⅲ技術の進展等について
当社のサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連しております。当社では、適宜新しいシステム技術やセキュリティ関連技術等を取り入れながらシステムの構築、運営を行い、サービス水準を維持、向上させております。
しかしながら、これらコンピューター及びインターネットの分野での技術革新のスピードは著しいものがあり、当社の想定していない新しい技術の普及等により技術環境が急激に変化した場合、当社の技術等が対応できず、当社の事業展開に影響を与える可能性があります。また、変化に対応するための費用が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
② 知的財産権について
当社が各種サービスを展開するにあたっては、講師その他第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害しないよう、楽曲・写真・映像等を利用する際には、事前に権利関係を調査するなど細心の注意を払っております。しかしながら、万が一、講師その他第三者の知的財産権、肖像権等を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
当社が各種サービスを展開するにあたっては、当社の持つ知的財産権等を侵害されないよう、映像コンテンツにはDRM(※)を実装し、不正コピー等が行われないよう対策を講じており、また、各種オークションサイトに当社製品が出展されていないか定期的に確認するなど、細心の注意を払っております。しかしながら、他者からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
※ DRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)
音声・映像ファイルにかけられる複製の制限技術や画像ファイルの電子透かし等のデジタルデータの著作権を保護する技術
③ 講師の確保について
当社のコンテンツ制作にあたっては、最新の経済・経営の諸問題等をテーマとして取り上げると共に、適確な見識をもって講義を行うことができる講師が必要となります。現時点において当社では、これらの講師を確保し、継続してコンテンツを企画・制作して提供できているものと認識しております。
当社は、引き続きこれらの講師の確保に努めていく方針でありますが、今後将来において、当社が求める適確な見識をもって講義を行うことができる講師を適切な契約条件によって確保できなくなった場合、当社のコンテンツ制作に重大な支障が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
④ ビジネス・ブレークスルー大学について
当社は、東京都千代田区が構造改革特別区域法に基づき、キャリア教育推進特区として内閣総理大臣から認定を受け、同区において株式会社による大学・専門職大学院の設置が可能になったことから、文部科学省にビジネス・ブレークスルー大学院大学(専門職大学院、現ビジネス・ブレークスルー大学大学院)の設置申請を行い、2004年11月30日に認可を取得し、2005年4月1日に開学いたしました。また、2010年4月1日には、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部を開学しております。(以下あわせて「当大学」という。)
当社は、当大学設置にあたって千代田区のキャリア教育推進特区を利用していることから、①在学生の修学を維持するため、優先的に経営資源を投入するなどの最大限の経営努力を行うこと、②大学の経営に現に著しい支障が生じ、又は生ずる恐れがあると認められるときは、以降の在学を希望しない学生に対して、残余の期間分の授業料を返還すること、③大学の経営が不安定となり、継続が危ぶまれるときに、受講生が他の大学で就学を保証する為、授業料等返還のため預金等の措置を講ずるべき義務があること等を定めた協定書を千代田区と締結しております。
この協定書を遵守するため当社では、当大学の経営のために優先的に経営資源を投入するなどの経営努力を行っていく方針でありますが、一方、当社はこの方針によって当社の営む他のサービスに悪影響を及ぼさないよう万全の留意を払い、経営努力を行っていく方針であります。しかしながら、これら当社の経営努力がうまくいかず、結果として当社の営む他のサービスに影響が及び、当社の業績に影響を与える可能性があります。また本協定書に違反したと判断された場合や、大学設置基準、大学院設置基準及び専門職大学院設置基準並びに大学通信教育設置基準に規定される設置基準を満たさなくなった場合、協定書の更新を拒絶された場合は、キャリア教育推進特区における規制の特例措置を受けることができなくなり、文部科学省より当大学の設置許可を取り消される可能性や学校の閉鎖命令・勧告を受ける可能性があり、その結果、当社の業績に影響を与える可能性があります。
なお、当大学では教授会を設置し、①教育研究の計画、立案に関する事項、②教育課程及び授業科目に関する事項等、当大学の教育研究に関することについては全て教授会で審議を経た上で学長あるいは大学経営陣が決定することになっております。但し、大学の校地、校舎及び設備等に関わる投資など当社の経営全般に関わる重要な事項については、当社の取締役会で意思決定することになっております。
⑤ 認証評価について
当社が運営するビジネス・ブレークスルー大学及び同大学大学院は、学校教育法により文部科学大臣の認証を受けた認証評価機関から定期的に評価を受けるよう定められております。国公私立の全ての大学が7年以内毎に1度(専門職大学院は5年以内毎)の認証評価を受けることになっており、その結果の内容は①適合、②期限付き適合、③不適合があります。いずれの評価結果においても、教育関連法令による大学の設置認可や学位授与機関としてライセンスの失効を意味するものではありません。しかしながら、当大学の評価結果内容により、何らかの風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。当該評価結果に対し、当社が適切に対応できなかった場合、対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該評価結果が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当大学のブランドイメージ等が損なわれ、当社の業績等に影響を与える可能性があります。
⑥ インターナショナルスクールの運営について
当社グループは、2013年10月、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」を運営する㈱アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズを子会社化し、インターナショナルスクールの運営を開始いたしました。当該事業においては、英語で経営ができる教学経営陣、世界標準を満たすカリキュラムと認証取得、教員組織、教育の質を保証する仕組み、多様な国籍で構成される父兄や関係者との良好なコミュニティの醸成などを整備する必要があります。当社グループがこれらの経営要素に関して一定の水準を維持できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 企業買収、事業提携について
当社グループは、事業拡大の手段の一として企業買収や戦略的提携を行う可能性があります。企業買収や提携の実施に際しては、適切なデューディリジェンス、リスク評価を実施したうえで実行可否を判断するなどリスク回避に努めております。しかしながら、当初期待した成果が実現されない場合、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 減損会計について
当社グループでは、連結貸借対照表に保有する土地、建物、のれん等を計上しております。各資産の時価が著しく下落した場合や各事業の収益性が著しく低下した場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 災害・感染症に関するリスクについて
当社グループでは、地震、台風等の自然災害及び今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような治療法が確立していない感染症やその他の感染力の強い病気が社会的に流行した場合、当社グループの事業が円滑に運営できない事態が想定されます。当社グループは、遠隔教育サービスの拡充など更なるデジタル化を推進するとともに、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止等を実施しております。しかしながら、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症などによるサービスの継続、運営の中断等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)組織体制について
① 人材の確保と育成について
今後の業容の拡大及び業務内容の多様化に対応して、優秀な人材を適切な時期に確保する必要があります。しかしながら、人材の確保が思うように進まない場合や、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、当社の事業活動に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。
② 小規模組織における管理体制について
当社は、2021年3月31日現在、取締役9名(内6名は非常勤)、従業員138名と小規模組織にて運営しておりますので、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社では今後、業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充を図る予定であります。しかしながら、業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社の業務に支障が生じ、業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(4)その他
① 潜在株式について
当社は、取締役、監査役、従業員に対して、新株予約権(以下「ストック・オプション」という。)を付与しており、2021年3月末現在、ストック・オプションによる潜在株式数は577,000株であり、発行済株式数の4.0%に相当しております。これら潜在株式数の状況については、当社が営む遠隔型マネジメント教育事業を推進するにあたっては、当社役員及び従業員はもとより、社外の協力者から協力を得ることが必要不可欠であった結果であります。また、今後も継続的にストック・オプションを発行、付与する可能性があります。
現在付与しているストック・オプション及び今後付与されるストック・オプションが行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、当社株式の株価の状況によっては、需給バランスの変動が発生し、当社株式の株価形成に影響を与える可能性があります。
② 当社役員の個人的活動について
当社代表取締役会長である大前研一は、当社を設立する以前から執筆活動あるいは講演活動等を行っており、今後も当社の業務に支障が無い範囲で執筆活動あるいは講演活動等の個人的な活動を行う場合があります。また当社が社外から招聘した役員についても、同じように執筆活動あるいは講演活動等の個人的な活動を行う場合があります。同氏や当社が社外から招聘した役員の個人的活動によって得た収入は、各々の個人に帰属することになっております。これら同氏や当社が社外から招聘した役員の個人的な活動による評判やイメージが当社のブランドイメージや風評に影響する可能性があります。
③ 当社代表取締役の役員兼任について
当社の代表取締役会長である大前研一は、当社の業務に支障が無い範囲で他の会社の非常勤取締役等を兼任しております。これまで同氏の他の会社の非常勤取締役等の兼任が、当社の業務において支障となったことはありませんが、今後、将来において当該他の会社で事故、事件、不祥事、経営資産の状態等の著しい悪化等が発生した場合には、同氏の兼任する非常勤取締役等の責任の範囲に限り対応が必要となり、当社の事業、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
④ コンテンツ出演者の不祥事・風評等について
当社は、講師やキャスター等といった当社コンテンツの出演者が、事故、事件、不祥事等を起こした場合、又は巻き込まれた場合、風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。その結果、これまで蓄積してきたコンテンツにおいて、該当する出演者が出演するコンテンツは使用できなくなったり、今後、新たなコンテンツの制作に支障が生じたりした場合には、当社の業績等に影響を与える可能性があります。また、これらの発生事象に対し、当社が適切に対応できなかった場合、当社対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該発生事象が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当社のブランドイメージ等が損なわれ、当社の業績等に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、2020年4月に日本政府から一度目の緊急事態宣言が発令され、休業要請、学校閉鎖、Social Distancing、リモートワーク等により、全国規模で社会・経済活動が大きく停滞いたしました。5月末に緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は収束せず、2021年1月に再び発令されるに至りました。2度目の緊急事態宣言は2021年3月迄に解除されましたが、感染者数は下げ止まっておらず、収束の目途が立たないまま現在に至っております。また、世界全体で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中において、2020年開催予定だった東京オリンピックは延期となり、アメリカでは2021年1月にバイデン新大統領が誕生し、同月のヨーロッパではイギリスがEUを離脱する等、我が国及び世界における今後の社会生活・経済活動の回復は、依然として不透明・不確実な状態が続いており、ワクチン接種の普及による新型コロナ禍の収束が待たれます。
一方、WithコロナからPostコロナ社会への移行が進む今後の数年間には、従来のデジタル・トランスフォーメーションの流れを、今般の新型コロナ禍が加速する形で、企業における働き方、人材育成のあり方や、大学・大学院等を始めとする学校運営において、以下に例示するような大規模な変革が起こりつつあります。
✓学校教育におけるオンライン化、デジタル化
✓企業の人材育成における集合研修からオンライン研修への移行
✓画一的な人材育成から個人のキャリアパスにカスタマイズした人材育成への移行
✓リモートワーク、JOB型雇用の普及に伴う社員の専門性を磨く教育の普及
✓企業のDXを担うデジタル人材や、ITと経営の両方に精通する人材ニーズの増加
✓不透明・不確実な状況下でリーダーシップと問題解決力を発揮する人材ニーズの増加
✓働き方や雇用形態の多様化に伴う社会人の学び直し、リカレント教育ニーズの増加
✓コロナ禍で大きなダメージを受けた業種・職種から、コロナ禍で事業機会が拡大した業種・職種への転職に必要とされるスキル、知識、素養の習得ニーズの増加
これらの変化は、1998年の創業以来、一貫してオンライン教育とグローバル人材育成に軸足を置き、1歳から企業経営者に至る全ての年齢層を対象に教育プログラムを提供してきた当社にとって、非常に大きな成長機会であると考えます。
また、当社が過去20数年間蓄積してきたノウハウ(オンライン教育における学習プラットフォーム、10,000時間超のコンテンツ・ライブラリィ、オンライン講座・研修の設計・開発・運営ノウハウ、グローバル人材育成の為の各種カリキュラム・プログラム体系など)は、上述した大規模な変革の実現を支援し、大きな価値を提供すると考えております。
当社グループは、今年度において、これらの成長機会を確実に獲得する為の投資を実施いたしました。また、今後数年間においても投資を継続し、中期的な観点からの事業拡大と企業価値の最大化を着実に進めてまいります。
(経営成績のポイント)
✓売上高は、コロナ禍による緊急事態宣言等の影響により、第1四半期において前年同期と比較して減少してスタートしましたが、企業研修のオンライン化ニーズを取り込み、インターナショナルスクールでは授業のオンライン化が円滑に対応できたことにより第2四半期から増加傾向が続き、通期として10期連続で過去最高を更新いたしました。
✓オンラインで運営するBBT大学経営学部、BBT大学大学院は、2020年の春期入学者、秋期入学者の合計が学部・大学院合わせて271名となり、前年の204名と比較して大幅に増加いたしました。2021年春期においては166名が入学いたしました。豪州のBOND大学と共同運営するBOND-BBT MBAプログラムにおいても、2020年9月期入学者が過去5年で最多の40名となり、2021年1月期の入学者数も38名と高水準を維持しております。
✓法人に対する研修・人材育成サービスは、集合研修からオンライン研修への需要シフト、個人別のオーダーメイドメニューやDX推進カリキュラムの新設等により新規案件が増加し、2021年3月期において新たに58社と取引を開始いたしました。
✓インターナショナルスクール(AJIS、SH)は、2020年3月以降、速やかにオンライン授業へ切り替え、6月末までは幼稚部以上の生徒を対象に通学を停止し、100%オンライン教育に切替えました。新型コロナウイルス感染防止対策を実施し、大きな支障なく運営することができました。先行投資としてAJIS光が丘キャンパスの改修工事を実施し、約23百万円の一時費用を計上したものの、前年と同水準の利益を確保しております。
✓1歳から6歳を対象とするバイリンガルプリスクール(AJB)は、政府・都の緊急事態宣言に応えて運営規模を縮小した影響で、2020年4月~5月の期間は減収、減益でしたが、6月1日以降は通常運営を再開し、通期で前年並みの売上、利益水準を確保いたしました。
✓2020年4月に9拠点目となる「AJB中野キャンパス」を開校、更に10拠点目となる「AJB下目黒キャンパス」の2021年4月開校のための設備投資を行い、2拠点で合計約128百万円の先行費用を投下しました。
✓AJIS、AJB、SHそれぞれの運営会社を合併する組織再編を行い、運営の効率化及び教育システムの共有化を進めました。
一方で、コロナ禍による変革期の到来をチャンスと捉え、リカレント教育事業における機能強化のためのシステム投資、プラットフォームサービス事業におけるキャンパスの改装や開校のための設備投資を積極的に実施した結果、先行費用が増加し、短期的に収益性が減少いたしました。
以上のことから、当連結累計年度における売上高は過去最高の5,888百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は200百万円(同25.1%増)、経常利益は200百万円(同7.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は100百万円(同128.5%増)となりました。
セグメント区分別の状況につきましては以下のとおりであります。
① リカレント教育
リカレント教育事業の売上高は連結累計年度として過去最高の3,036百万円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益は97百万円(同103.7%増)となりました。BBT大学経営学部の2020年度の入学者は春期、秋期合計135名(前年同期比18.4%増)が入学し、2021年度春期も90名(前年同期比5.9%増)が入学いたしました。これは、コロナ禍でオンライン教育が再認識されたことや在学生と連携した広報活動が功奏し、2021年春期の専業学生の出願数が過去3年間で最多の46名(前年同期比64.3%増)となったことなどが要因です。また在学生へのサポートを一層強化した結果、休退学率が過去平均値から半減いたしました。
BBT大学大学院は、2020年夏に厚生労働省の教育訓練給付金の支給対象プログラムに指定され、2020年度の入学者は春期、秋期合計136名(前年同期比56.3%増)と大幅に増加いたしました。2021年度春期は2020年度に及ばないものの76名(前年同期比13.6%減)と高水準の入学者数となりました。
With/Postコロナ時代に備え、DX、問題解決力、リーダーシップ、人材管理、IT等の領域においてカリキュラムの改訂、強化を進め、2021年5月にはBBT大学院において「DXマネジメント人材養成講座」を新規開講いたしました。
BOND-BBT MBAプログラムにおいては2020年9月期に過去5年間で最多の40名が入学し、2021年1月期は38名が入学、2021年5月期についても高水準の入学者数でした。
また、当社ではアスリートの価値を最大限に高め、その価値を社会へ還元するプラットフォーム「アスリートオープンイノベーション構想」の実現を目指す、一般社団法人APOLO PROJECTの人材育成プログラム「A-MAP」の教育コンテンツ開発及び運営を受託しております。第1期生にサッカー、ラグビー、バスケットボール、大相撲、テニス界で活躍してきたアスリート等が2021年1月より受講を開始いたしました。
オープンカレッジ系講座においても、With/Postコロナ時代に対応する新たなプログラムを開始するなどの強化を行っております。問題解決力トレーニングプログラムでは、2020年6月にスポーツジムに通う感覚で自宅のオンライン環境下でビジネススキルを鍛える「BBTナイトGym」を開始いたしました。また、日常の身近な経営トピックを題材に、毎日10分でビジネスに役立つ力をつける「BBTルーティン」を2019年7月から提供しておりますが、同プログラムは複数企業の社員研修メニューに採用され、2021年1月に1,500名超まで受講者数を伸ばしております。これらのサブスクリプション・サービスの受講生からBBT大学、大学院や他のオープンカレッジ系プログラムへの出願が増加傾向にあります。「BBTナイトGym」は、文部科学省の日本型教育海外展開事業「EDU-Portニッポン」において、「コロナ禍における学びの継続に関する独自の取組事例」に採用されております。
リーダーシップ・アクションプログラムでは、コロナ禍においてリモートワークで成果を出す完全オンラインのチームビルディング研修「Good Team Building Program」及び「リモート時代に役立つリーダーシップ映像講義シリーズ」の2プログラムを2020年8月に、2020年12月に「リモートワーク時代の心身マネジメント映像講座シリーズ」を開講いたしました。
法人向け教育サービスにおいては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で集合型の研修が実施出来ず、第1四半期において研修プログラムのリスケジュールや実施方法を見直す既存顧客も一部見受けられましたが、その大半が上半期中のスケジュール調整等に留まりました。一方で従来集合型の新入社員研修や階層別研修を行ってきた企業から、当社が創業以来磨き上げてきた遠隔教育のノウハウに対する需要が高まり、新規顧客からの引き合いが増加いたしました。その結果、当連結累計年度の法人研修の受注総額は前年比115%超となり、新たに58社と取引を開始いたしました。
また、顧客企業の社員一人一人の専門性を磨くために、個人別に最適化したカリキュラムをオーダーメイドで提供する「BBTパーソナライズ」を2020年5月に開始しました。本プログラムは2021年1月の開講時における受講者数が100名を超えて好調に滑り出しました。導入した企業からの評価も高く、今後はAI技術を活用し、個人別カリキュラムを効率的に作成できる仕組みを作り、さらなる拡販を目指します。2021年4月からの新年度に向けては、企業の新入社員や若手社員、管理職といった階層へのオンライン集合研修ニーズに応える新サービスの開発を進めております。
約3,000名の経営人材を輩出している「大前経営塾」では、With/Postコロナ時代に求められる構想力、リーダーシップ、高く広範な経営の視座、深い思考力等の習得・強化のニーズが急速に高まった結果、年2回(4月、10月)いずれの開講期も過去最高水準となる100名超の受講生が参加し、2021年4月開講期においても170名の参加が決定いたしました。
2019年7月に当社グループに加わったITマネジメント領域の教育に特化した㈱ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック(以下「ITPJ」という。)は、従来、売上高の約95%が集合研修の実施によるものですが、第1四半期は、コロナ禍により多くの顧客企業が集合研修の実施を見送ったため、月次売上が前年同月比で半減いたしました。しかしながら、当社のオンライン教育のノウハウを活用し、上半期中に全ての研修プログラムをオンラインへ切り替えた結果、第2四半期以降の月次売上は順調に回復基調をたどり、第3四半期以降は前年同月並みに推移しました。現在、コロナ禍で一層注目度が高まっているアジャイル型経営、Chief Digital Officerに求められる素養の習得等の領域において、新プログラムを準備しており、今後の当社グループ業績への貢献が期待されます。
なお、当事業セグメントにおいては、Postコロナ時代に向けた多様な働き方に対応するため、2021年3月より全従業員を対象に原則リモートワークとする制度を採用、その一環として、麹町オフィスの2フロアのうち、1階部分に大規模な改装を実施、同年5月に2階部分を全て解約いたしました。
② プラットフォームサービス
プラットフォームサービス事業の売上高は2,660百万円(前年同期比5.3%増)、セグメント利益は39百万円(同62.5%減)となり、第1四半期のビハインドを取り返し、黒字回復いたしました。
日本国内で5校目の国際バカロレア(IB)の全教育プログラムの認定校である「アオバジャパン・インターナショナルスクール」(以下「AJIS」という。)では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、2020年2月末から6月末までの間、初等部以上の生徒を対象に通学を停止し、100%オンライン教育に切替えました。
3年前より教室(集合型)と遠隔(オンライン型)をブレンドした教育に取り組んできたノウハウを活用し、業績面・教育面の双方においてコロナ禍の影響を全く受ける事なく運営し、2020年6月度のスクールイヤーを終了いたしました。
AJIS高等部門においては、コロナ禍により例年どおりの卒業式が挙行できないなか、卒業生と教員がVRソフト「Minecraft」で“手作り”した「バーチャルキャンパス」において「バーチャル卒業式」が行われ、例年夏期休暇期間中に実施するサマースクールについても「バーチャルキャンパス」を活用し実施されました。
また、AJIS光が丘キャンパスでは、夏季休暇期間において、総額約180百万円の設備投資を実施し、校舎1階と体育館を全面改装いたしました。その結果、一時費用として23百万円を計上いたしました。2021年夏に第2段の校舎改装(2階以上部分)を実施し、学習環境の向上と1割超の定員増を実現する計画です。
新スクールイヤー(2020年8月開始~2021年7月終了)は、前年比47名増の生徒数565名で開始いたしました。
バイリンガル幼児教育を展開する「アオバジャパン・バイリンガルプリスクール(以下「AJB」という。)」では、2020年4月に当社グループとして9拠点目となる「AJB中野キャンパス」を開校、更に10拠点目となる「AJB下目黒キャンパス」の2021年4月に開校したため、校舎設置の為の設備投資を行い、2拠点合わせ約128百万円の先行費用を投下いたしました。
一方、1~6歳を対象に通学を伴うAJBの既存キャンパスは、政府の緊急事態宣言に伴う縮小運営の要請に2020年4月初旬~5月末迄の期間応じたため、同期間において3割程度の減収となりましたが、2020年6月1日以降は通常運営を再開し、月次売上も前年並みに推移いたしました。
また、2021年1月13日にAJB三鷹キャンパスが当社グループで7校目となる国際バカロレア(IB)初等教育プログラム(PYP)認定校となりました。当社グループは、今後も引き続き文部科学省が推進する国内のIB認定校を200校に増加する目標に貢献して参る方針です。
さらに、ケンブリッジ大学国際教育機構認定校である「ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ※」(以下「MIST」という。)は、2020年5月、同機構から初等プログラム「Cambridge Primary」の認定校として承認されました。これにより、MISTは、国内で4校目となる同機構が認定する初等・中等・高等学校課程の全プログラムの認定校となりました。新スクールイヤー(2020年8月開始、2021年7月終了)においては、生徒数123名でスタートいたしました。当社グループが資本参加した2019年5月と比較して生徒数は約1.6倍に増加し、当連結累計年度において営業損益の黒字化の目途が確認されました。
なお、当事業セグメントにおきまして、インターナショナルスクール運営の効率化と、国際バカロレア(IB)全プログラム認定校による一貫したグローバル人材育成システムの構築を目的に、当社の完全子会社である㈱アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズが、2021 年3月1日を効力発生日として、同社の 100%子会社である現代幼児基礎教育開発㈱及び Summerhill International㈱ を吸収合併しております。
※ Little Angels学園㈱は2021年1月1日付で㈱Musashi International Educationに商号を変更し、「リトルエンジェルス・インターナショナルスクール(LAIS)」は「ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ(MIST)」に名称を変更いたしました。
②財政状態に関する分析
(資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ522百万円増加し、2,397百万円となりました。主な要因は、仕掛品が32百万円減少したものの、現金及び預金が548百万円、売掛金が17百万円増加したことによるものであります。固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ14百万円増加し、6,005百万円となりました。主な要因は、無形固定資産が150百万円減少したものの、投資その他の資産が85百万円及び有形固定資産が79百万円増加したことによるものであります。これらの結果、総資産は前連結会計年度末に比べ536百万円増加し、8,403百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ605百万円増加し、3,898百万円となりました。主な要因は、短期借入金が78百万円及び繰延税金負債が36百万円減少したものの、長期借入金が217百万円、前受金が181百万円、未払金が114百万円、未払法人税等が65百万円、資産除去債務が53百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ69百万円減少し、4,504百万円となりました。主な要因は、剰余金の配当152百万円が親会社株主に帰属する当期純利益の計上100百万円を上回ったことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ548百万円増加し、当連結会計年度末には1,893百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は869百万円(前年同期比165.1%増)となりました。主な要因は、減価償却費276百万円、前受金の増減額181百万円、のれん償却額103百万円及び税金等調整前当期純利益74百万円が法人税等の支払額71百万円を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は341百万円(同64.9%減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出288百万円及び無形固定資産の取得による支出58百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は22百万円(同93.3%減)となりました。主な要因は、短期借入金の純減少額78百万円があったものの、長期借入金の純増加額(収入と支出の差額)252百万円が配当金の支払152百万円を上回ったことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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2020年3月期 |
2021年3月期 |
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自己資本比率(%) |
57.7 |
53.4 |
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時価ベースの自己資本比率(%) |
60.3 |
73.7 |
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キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
4.5 |
1.9 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
26.2 |
65.7 |
各指標の算出は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
④生産、受注及び販売の実績
ⅰ 生産実績及び受注実績
当社グループは、遠隔型マネジメント教育及びインターナショナルスクールの運営等を主たる事業としており、提供するサービスの性格上、生産及び受注という形態をとっていないため、記載しておりません。
ⅱ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
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リカレント教育 |
(千円) |
3,036,093 |
4.5 |
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プラットフォームサービス |
(千円) |
2,660,759 |
5.3 |
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その他 |
(千円) |
192,141 |
13.7 |
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合計 |
(千円) |
5,888,994 |
5.1 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 相手先別の販売実績は、総販売実績に対し10%以上のものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等
(売上高)
売上高は、過去最高の5,888百万円(前年同月比5.1%増)となりました。主な要因は、企業研修のオンライン化ニーズの取り込みや、インターナショナルスクール(AJIS、SH)の授業のオンライン化を円滑に対応することが出来たためであります。オンラインで運営するBBT大学経営学部、BBT大学大学院は2020年の春期、秋期入学者の合計が学部・大学院を合わせて271名となり、前年の204名と比較して大幅に増加いたしました。また、豪州のBOND大学と共同運営するBOND-BBT MBAプログラムにおいても2020年9月期入学者が過去5年間で最多の40名となりました。バイリンガルプリスクール(AJB)は政府・都の緊急事態宣言に応えて運営規模を縮小した影響で、2020年4月~5月の期間は減収、減益でしたが6月1日以降は通常運営を再開し、通期で前年並みの売上、利益水準を確保いたしました。
(営業費用及び営業利益)
売上原価及び販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度に比べ4.6%増の5,688百万円となりました。プラットフォームサービス事業において、AJIS光が丘キャンパスでは、校舎1階と体育館を全面改装し一時費用として23百万円を計上いたしました。また、2020年4月AJB中野キャンパス、2021年4月AJB下目黒キャンパスを開校した為、費用が新たに発生することになりました。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ25.1%増の200百万円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益の合計額は、前連結会計年度に比べ54.2%減の20百万円となりました。主な要因は、前期「AJB芝浦キャンパス」の移転に伴う固定資産受贈益23百万円を計上していたためであります。
営業外費用の合計額は、前連結会計年度に比べ6.3%増の21百万円となりました。主な要因は、固定資産処分損及び、貸倒引当金繰入額は減少したものの、支払利息の増加に加え、事務所移転費用を計上したためであります。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ7.7%増の200百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
特別損失の合計額は、126百万円となりました。主な要因は、事業用資産と遊休資産の帳簿価額を回収可能額まで減額し減損損失を計上したためであります。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ60.2%減の74百万円となりました。
(税金費用、非支配株主に帰属する当期純損失および親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を合計した税金費用は、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べ減益となったため前連結会計年度に比べ105.4%減の△8百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純損失は、2019年7月に新設分割した連結子会社である㈱ABSの非支配株主に帰属する損失△17百万円であります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ128.5%増の100百万円となりました。
財政状態については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態に関する分析」に記載しています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要については、リカレント教育事業に関わる講師料、ロイヤリティ、コンテンツ制作費とプラットフォームサービス事業に関わる各インターナショナルスクールの教員人件費、教材費、生徒の送迎費用、給食費、衛生管理費、各事業に関わる広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金需要については、リカレント教育事業に関わる「AirCampus®」の機能強化、その他全社に関わる研修施設の維持・修繕とプラットフォームサービス事業に関わる新規拠点開発等があります。
また、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入、新株式の発行等により資金調達を行っております。運転資金につきましては、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入しており、有利子負債の調達に頼らない経営を行っております。投資資金につきましては、投資案件に応じて、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済状況等を考慮のうえで、金融機関からの借入や新株式の発行等から、調達手段・規模を適宜判断して実施しております。
加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の環境下においても安定的な経常運転資金枠を確保するため、取引金融機関2行と6億円(うち1億円使用)の当座貸越契約を締結し、必要に応じて資金調達を行っております。
自己株式につきましては、事業計画の進捗状況、当社グループの業績見通し、株価動向、財政状態及び金融市場等を総合的に勘案し取得をしていくこととしております。
③ 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、当社グループではセグメントごとに一定の仮定に基づいて繰延税金資産の回収可能性やのれんの減損損失等の会計上の見積りを行っております。
リカレント教育事業においては、業種・業態に応じて、集合型企業研修、及び、オンラインと集合を組合わせたブレンド型企業研修の一部中止や延期等が当第1四半期連結会計期間に特に多く発生いたしました。
それ以降は、従来の集合型研修からオンライン研修への切り替えが進み、概ね安定的にオンライン中心の研修受注・提供が進みました。
また、BBT大学経営学部、同経営学研究科、BOND-BBT MBA等の学位を授与するプログラム、及び、問題解決力、リーダーシップ、株式資産形成等を学ぶオープン・カレッジ系講座については、従来から100%オンラインによる運営である為、当連結会計年度においては連結財務諸表に重要な影響はありませんでした。翌連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重要な影響はないものと仮定しております。
プラットフォームサービス事業においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により、1~5歳を対象に通学を伴う認可外保育園であるAJBにおいて、政府の緊急事態宣言に伴う全国学校閉鎖及びSocial Distancing等の要請に応じて、2020年2月末以降、2020年5月末まで規模を大幅に縮小した運営を行いました。2020年6月以降は通常運営を再開し、月次売上も前年並みの水準で推移いたしました。翌連結会計年度においても、通期において同様の状況が続くと想定しております。
事業全般において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の与える影響は不確実かつ不透明な要素が多く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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会社名 |
契約先 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
ボンド大学 |
Service Agreement |
ボンド大学とのMBAプログラムの提携に関する契約 |
自 2001年4月1日 至 2003年10月31日 以後、2年間単位の自動更新 |
(子会社の吸収合併)
当社は、2020年5月15日開催の取締役会において、当社完全子会社である、㈱BBTオンラインを吸収合併することを決議し、同日付けで吸収合併に係る合併契約を締結いたしました。なお、当該吸収合併契約は、2020年6月23日開催の第22回定時株主総会において承認可決され、2020年7月1日付で合併いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(連結子会社間の吸収合併)
当社の連結子会社である㈱アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズ(以下「AJIS」という。)、及び当社の連結子会社である現代幼児基礎教育開発㈱(以下「AJB」という。)、並びに当社の連結子会社であるSummerhill International㈱(以下「SH」という。)は、2021年1月21日開催のAJISの取締役会において、AJIBを存続会社とし、AJB及びSHを消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付けで吸収合契約を締結いたしました。なお、当該吸収合併契約は、2021年1月22日開催のAJISの臨時株主総会において承認可決され、2021年3月1日付で合併いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(株式取得による完全子会社化)
当社は、2021年5月14日開催の取締役会において、株式会社ブレンディングジャパンの株式を取得し、子会社化することを決議し、同日付で同社の100%株主である酒井 拓氏と株式譲渡契約書を締結いたしました。当該相手方が保有する株式会社ブレンディングジャパンの発行済株式数の全て(700株)を譲り受け、株式譲渡実行日である2021年5月31日に株式会社ブレンディングジャパンを当社の完全子会社といたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。