文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの事業目的は、全ての年齢層に対して時代が求める教育を提供し、世界に通用する人材を育成することです。国内外を問わず21世紀の地球社会において求められる人材像やリーダー像に基づき、世界標準のカリキュラムに立脚した1歳から18歳までの一貫教育(幼・小・中・高等学校)を英語・日本語を含む多言語で提供いたします。同時に、当社の創業以来の強みであるeラーニングシステム(AirCampus®)と10,000時間を超える教育コンテンツを積極的に活用し、幼児園から大学・大学院、ビジネスパーソン、最高経営責任者、起業家までをカバーする「生涯教育プラットフォーム」を構築し、全世界の人々に対して世界水準の教育サービスを提供いたします。
これらの企業活動を通じて、絶えず教育を革新し、未来に対してポジティブな変革をもたらし、新たな価値を創造する人材を輩出し続けることを基本方針としております。当社グループは、このような基本方針に基づいて事業を展開し業績の向上を図るとともに、株主利益や社会環境にも十分に配慮し、企業価値の向上に努めていく所存であります。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
(経営環境)
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等の影響が各国の実体経済や金融市場を下振れさせるリスクを注視する必要があり、不透明・不確実な状況が続くものと見込まれます。しかしながら、当社グループを取り巻く市場環境は、IoT、人工知能(AI)、5G、ブロックチェーン等の技術の急速な進歩が産業構造や企業活動のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速する事に伴い、法人/個人の両面において教育・人材育成ニーズの拡大と質的変容が期待されます。
新型コロナウイルス感染症の影響は、地球温暖化への地球規模での対応要請、AIやデジタル技術による社会経済活動におけるDXの加速等が相互関連し、2019年以前に当たり前と捉えられていた社会経済生活の大部分、特に、企業における雇用や働き方、人材育成のあり方や、大学・大学院等を始めとする学校運営の方法において、大規模な変革をもたらし続けています。
当社グループは、教育事業を通じて優れたコンテンツと遠隔教育システムを提供し、世界に通用する人材育成を目指すプロフェッショナル・(サービス)ファームであります。世界水準・標準の教育を日本に普及することは、国の将来にポジティブなインパクトをもたらすと考えております。そのようななか、中期的に当社グループが注力する領域は、グローバル教育の世界標準の1つである「国際バカロレア(IB)」の普及に貢献するプラットフォームサービス事業であります。
当社グループは、21世紀の国際社会を牽引し、変革することができる人材を養成するために、語学等のコミュニケーション能力、多国籍チームを率いるリーダーシップ、論理的思考力、問題解決策を導き出し実行する力、多様性に対する共感力等について、1歳から世界標準の教育を通じて自然に身につける「生涯教育プラットフォーム」を展開しています。
また、上述したプラットフォームサービス事業の強化と共に、コア事業であるリカレント教育事業の拡大と法人営業の強化のために、当社グループの強みである良質なコンテンツと遠隔教育システム、ノウハウを存分に活かし、教育にイノベーションを起す革新的なサービスの提供、開発に取り組んでまいります。
(中長期的な会社の経営戦略)
当社グループは、2023年3月期から2025年の3か年を対象とする『中期経営計画2022-24』を策定いたしました。5つの重点強化事業である、「University事業系」、「法人向け人材育成事業系」、「英語教育事業系」、「ITマネジメント事業系」、「インターナショナルスクール事業系」を中心に、それぞれの事業規模の拡大を図り、「中期経営計画2022-24」の目標数値である最終年度2025年3月期において売上高100億円、営業利益10.5億円、当期純利益7億円の達成を目指し、更なる企業価値の向上を図ってまいります。
また、当社の独自開発の遠隔教育プラットフォームである「AirCampus®」、「AirSearch」においては、AI による受講状況の判定機能により受講サポートを強化するDX化や、映像講義画面での自動翻訳・字幕機能を実装し、聴覚障害者にも健常者と同様の教育機会を提供するSDGs施策等にも取り組んでおり、一層推進してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症の影響は、働き方や学び方のみならず、世界社会において求められる人材像、その育成のあり方に大きな転換を与えました。更に、今後のデジタル・ディスラプションの進行により、企業の組織・人材開発にも急速な変革が求められます。
このような環境のなか、当社グループでは、“アフターコロナ”社会における変化やニーズを的確に捉え、中期的な成長を実現し企業価値を最大化するために、組織の強化、人材の育成に加え、国際バカロレア(IB)の普及・拡大、法人営業の強化、遠隔教育システムの進化が不可欠だと認識しています。そこに、当社グループの成長に対する非常に大きな事業機会が存在すると考えています。かかる事業機会を獲得するために、以下の項目に取り組んでまいります。
① 国際バカロレア(IB)の普及・拡大
当社グループが、今後プラットフォームサービス事業の業容拡大を目指すためには、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」が既に認証取得しているCIS、NEASCに留まらず、国際的に認められている大学入学資格の一つである国際バカロレア(IB)の普及による先駆的な教育プログラムの提供が重要なものとなります。これまでと同様に、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」のサテライトキャンパスの拠点拡大とIBカリキュラム導入を推進いたします。
② 法人営業の強化
当社グループの収益拡大のためには、限られた経営資源を集中する必要があります。このため当社グループでは、企業全体のマネジメント教育を「新人から社長まで」一括して引き受けられるよう大型提案に経営資源を集中する等、法人営業を強化していく方針であります。具体的には、顧客企業の人事教育制度そのものに当社グループが提供するマネジメント教育のプログラムが採用されるよう各種各様のニーズに対して、コンテンツと遠隔教育システムのバリエーションの拡充と品質の更なる向上・維持によって応え、当社グループの遠隔型マネジメント教育事業の一層の普及を図り、収益拡大に努めてまいります。
③ 遠隔教育システムの開発
当社グループが、今後遠隔型マネジメント教育事業の業態拡大を目指すためには、遠隔教育システムとコンテンツの親和性が非常に重要なものとなります。今後は独自で設計開発してきた遠隔教育システムのプラットフォームである“AirCampus®(遠隔型学習環境統合システム)”を機能の強化及び学習支援の運用も含め、より充実させてまいります。
④ 人材の確保と育成
当社グループの事業の拡大には、優秀な人材の確保と育成が欠かせません。当社グループでは、目的達成のために主体的かつ積極的に行動できる起業家的な人材の確保、当社グループの企業カルチャーと企業ミッションを共有化できる人材の育成が課題と考えております。
⑤ 感染症等の流行による事業の運営リスクへの対応
治療法が確立されていない感染症やその他の感染力の強い病気が社会的に流行した場合、当社グループの事業が円滑に運営できない事態が想定されます。当社グループとしては、遠隔教育サービスの拡充など更なるデジタル化を推進するとともに、感染症等が流行する緊急時においても、サービスの継続、運営が円滑に進む対応策を検討し実施してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、主として「売上高」及び「営業利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、今後数年間において大きな飛躍を遂げるため、With/Postコロナ時代において出現・拡大する事業機会の獲得に必要となる先行投資、支出を行ってまいります。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、第24期有価証券報告書提出日現在において、入手可能な情報に基づいて判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)事業環境について
① 遠隔型教育市場について
当社グループは、インターネットを活用した遠隔型マネジメント教育事業を営んでおりますが、当社グループとしては、今後も遠隔教育市場が拡大するものと見込んでおります。しかしながら、遠隔教育市場の順調な成長が見られない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。そのため、当社グループでは、独自で設計開発してきた遠隔教育システムのプラットフォームである「AirCampus®」の機能強化及び学習支援の運用も含め、充実に努めております。
② 競合について
社会人を対象としたマネジメント教育に関しては、民間の研修会社、コンサルティングファーム、シンクタンク系企業に加え、独立行政法人化による大学の社会人教育への進出が急速に伸びてきており、競争が激しくなるものと認識しております。また、国内だけではなく国外からも競争相手が出現することにより、価格・サービス競争が激化することも予想されます。当社グループのコンテンツ制作や遠隔教育システム等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、価格・サービス競争に適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、企業全体のマネジメント教育を「新人から社長まで」一括して引き受けられるよう大型提案に経営資源を集中する等、法人営業を強化していく方針であります。具体的には、顧客企業の人事教育制度そのものに当社グループが提供するマネジメント教育のプログラムが採用されるよう各種各様のニーズに対して、コンテンツと遠隔教育システムのバリエーションの拡充と品質の更なる向上・維持によって応え、当社グループの遠隔型マネジメント教育事業の一層の普及を図り、収益拡大に努めております。
③ 法的規制について
ⅰキャリア教育推進特区と構造改革特別区域法
当社は、東京都千代田区が、構造改革特別区域法に基づいて2003年10月24日に内閣総理大臣から認定を受けた構造改革特別区域計画「キャリア教育推進特区」を利用して、ビジネス・ブレークスルー大学を設置し、当大学の経営を行っております。このキャリア教育推進特区では、東京都千代田区が同区全域を範囲として、株式会社が大学や専門職大学院の設置主体となることを認め、従来の学校教育と実社会を結び付け、高い専門性を持った人材の輩出、地元企業との連携の充実、雇用や消費の拡大等、地域社会・経済の活性化を図ることを目的としており、学校設置会社による学校設置の特例措置が設けられております。今後、これらの法制度の変更等が行われた場合には、当社の事業展開が、何らかの法的規制や制約等を新たに受ける可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅱ大学設置基準について
当社は、学校教育法に定める大学として、大学設置基準に基づき文部科学省より大学の設置の認可を取得し、ビジネス・ブレークスルー大学を経営しております。設置基準は、大学設置基準の他に、大学院設置基準、専門職大学院設置基準及び大学通信教育設置基準が定められております。各設置基準は、設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その水準の向上を図ることに努めることとされております。今後、当社が何らかの理由により上記設置基準の水準を満たすことができなくなり大学の認可を取り消された場合、又は、当該法制度等の変更によっては、当社の事業展開に何らかの法的規制等を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅲ個人情報保護法
当社グループは、個人情報を含む多数の顧客情報を保有及び管理しております。外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社グループがそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。当社グループはこれらの情報資産の適切な管理に最大限の注意を払っており、また、2005年4月に完全施行された個人情報の保護に関する法律やこれに関連する総務省及び経済産業省制定のガイドラインの要求事項遵守に努めております。
ⅳインターネットに関する規制等について
当社グループは、インターネットを利用した遠隔教育事業を展開しており、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用者や事業者を対象とする新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の制限、制約を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)当社グループの事業について
① 技術、システム面のリスクについて
ⅰシステム障害について
当社グループのサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連し、通信事業者が運営する通信ネットワークに依存しており、電力供給不足、災害や事故等によって通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合、コンピューターウイルスによる被害にあった場合、あるいは自社開発のサーバー、ソフトウェアに不具合が生じた場合等によって、当社グループのサービスの提供が不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、ユーザー等から損害賠償の請求や当社の社会的信用を失う可能性等があり、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。そのため、障害の兆候が見受けられる時や障害が発生した時には、携帯電話のメール等により当社の監視要員に通知する体制を整えております。
ⅱセキュリティについて
当社グループはハッカーやコンピューターウイルス等に備えるため、ネットワーク監視システム及びセキュリティシステムを構築しておりますが、外部からの不正な手段によるサーバー内の侵入などの犯罪や従業員の過誤等により顧客の個人情報等重要なデータが消去又は不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には損害賠償の請求を受ける可能性があり、また当社グループの社会的な信用を失うことになり、当社グループの事業及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。当社では、情報セキュリティ対策として、ハード面での対策ではサーバーをISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に準拠したデータセンターにて運用管理しており、ネットワーク管理については365日24時間体制で有人監視し、不正な動きがあった場合は瞬時に外部アクセスを遮断できる体制を整えております。
ⅲ技術の進展等について
当社グループのサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連しております。コンピューター及びインターネットの分野での技術革新のスピードは著しいものがあり、当社グループの想定していない新しい技術の普及等により技術環境が急激に変化した場合、当社の技術等が対応できず、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。また、変化に対応するための費用が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、適宜新しいシステム技術やセキュリティ関連技術等を取り入れながらシステムの構築、運営を行い、サービス水準を維持、向上させております。
② 知的財産権について
当社が各種サービスを展開するにあたっては、講師その他第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害しないよう、楽曲・写真・映像等を利用する際には、事前に権利関係を調査するなど細心の注意を払っております。しかしながら、万が一、講師その他第三者の知的財産権、肖像権等を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。他者からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社が各種サービスを展開するにあたっては、当社の持つ知的財産権等を侵害されないよう、映像コンテンツにはDRM(※)を実装し、不正コピー等が行われないよう対策を講じており、また、各種オークションサイトに当社製品が出展されていないか定期的に確認するなど、細心の注意を払っております。
※ DRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)
音声・映像ファイルにかけられる複製の制限技術や画像ファイルの電子透かし等のデジタルデータの著作権を保護する技術
③ 講師の確保について
当社のコンテンツ制作にあたっては、最新の経済・経営の諸問題等をテーマとして取り上げると共に、適確な見識をもって講義を行うことができる講師が必要となります。現時点において当社では、これらの講師を確保し、継続してコンテンツを企画・制作して提供できているものと認識しております。
当社は、引き続きこれらの講師の確保に努めていく方針でありますが、今後将来において、当社が求める適確な見識をもって講義を行うことができる講師を適切な契約条件によって確保できなくなった場合、当社のコンテンツ制作に重大な支障が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
④ ビジネス・ブレークスルー大学について
当社は、東京都千代田区が構造改革特別区域法に基づき、キャリア教育推進特区として内閣総理大臣から認定を受け、同区において株式会社による大学・専門職大学院の設置が可能になったことから、文部科学省にビジネス・ブレークスルー大学院大学(専門職大学院、現ビジネス・ブレークスルー大学大学院)の設置申請を行い、2004年11月30日に認可を取得し、2005年4月1日に開学いたしました。また、2010年4月1日には、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部を開学しております。(以下あわせて「当大学」という。)
当社は、当大学設置にあたって千代田区のキャリア教育推進特区を利用していることから、①在学生の修学を維持するため、優先的に経営資源を投入するなどの最大限の経営努力を行うこと、②大学の経営に現に著しい支障が生じ、又は生ずる恐れがあると認められるときは、以降の在学を希望しない学生に対して、残余の期間分の授業料を返還すること、③大学の経営が不安定となり、継続が危ぶまれるときに、受講生が他の大学で就学することを保証するため、授業料等返還のため預金等の措置を講ずるべき義務があること等を定めた協定書を千代田区と締結しております。
しかしながら、これら当社の経営努力がうまくいかず、結果として当社グループの営む他のサービスに影響が及び、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また本協定書に違反したと判断された場合や、大学設置基準、大学院設置基準及び専門職大学院設置基準並びに大学通信教育設置基準に規定される設置基準を満たさなくなった場合、協定書の更新を拒絶された場合は、キャリア教育推進特区における規制の特例措置を受けることができなくなり、文部科学省より当大学の設置許可を取り消される可能性や学校の閉鎖命令・勧告を受ける可能性があり、その結果、当社の業績に影響を与える可能性があります。この協定書を遵守するため当社では、当大学の経営のために優先的に経営資源を投入するなどの経営努力を行っていく方針でありますが、一方、当社はこの方針によって当社の営む他のサービスに悪影響を及ぼさないよう万全の留意を払い、経営努力を行っていく方針であります。
なお、当大学では教授会を設置し、①教育研究の計画、立案に関する事項、②教育課程及び授業科目に関する事項等、当大学の教育研究に関することについては全て教授会で審議を経た上で学長あるいは大学経営陣が決定することになっております。但し、大学の校地、校舎及び設備等に関わる投資など当社の経営全般に関わる重要な事項については、当社の取締役会で意思決定することになっております。
⑤ 認証評価について
当社が運営するビジネス・ブレークスルー大学及び同大学大学院は、学校教育法により文部科学大臣の認証を受けた認証評価機関から定期的に評価を受けるよう定められております。国公私立の全ての大学が7年以内毎に1度(専門職大学院は5年以内毎)の認証評価を受けることになっており、その結果の内容は①適合、②期限付き適合、③不適合があります。いずれの評価結果においても、教育関連法令による大学の設置認可や学位授与機関としてライセンスの失効を意味するものではありません。しかしながら、当大学の評価結果内容により、何らかの風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。当該評価結果に対し、当社が適切に対応できなかった場合、対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該評価結果が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当大学のブランドイメージ等が損なわれ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
⑥ インターナショナルスクールの運営について
当社グループは、2013年10月、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」を運営する㈱アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズを子会社化し、インターナショナルスクールの運営を開始いたしました。当該事業においては、特有の経営要素に関して一定の水準を維持できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。具体的には、英語で経営ができる教学経営陣、世界標準を満たすカリキュラムと認証取得、教員組織、教育の質を保証する仕組み、多様な国籍で構成される保護者や関係者との良好なコミュニティの醸成などの整備が必要であり、これらの経営要素の維持、向上に努めております。
⑦ 企業買収、事業提携について
当社グループは、事業拡大の手段の一つとして企業買収や戦略的提携を行う可能性があります。企業買収や戦略的提携等において当初期待した成果が実現されない場合、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。企業買収や提携の実施に際しては、適切なデューデリジェンス、リスク評価を実施したうえで実行可否を判断するなどリスク回避に努めております。
⑧ 減損会計について
当社グループでは、連結貸借対照表に保有する土地、建物、のれん等を計上しております。各資産の時価が著しく下落した場合や各事業の収益性が著しく低下した場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 災害・感染症に関するリスクについて
当社グループでは、地震、台風等の自然災害及び治療法が確立していない感染症やその他の感染力の強い病気が社会的に流行した場合、当社グループの事業が円滑に運営できない事態が想定されます。予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症などによるサービスの継続、運営の中断等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、遠隔教育サービスの拡充など更なるデジタル化を推進するとともに、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止等を実施しております。
(3)組織体制について
① 人材の確保と育成について
今後の業容の拡大及び業務内容の多様化に対応して、人材の確保が思うように進まない場合や、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、育成を含め優秀な人材を適切な時期に確保できるよう人事部門の強化に取組んでおります。
② 小規模組織における管理体制について
当社は、2022年3月31日現在、取締役9名(内6名は非常勤)、従業員139名と小規模組織にて運営しておりますので、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。しかしながら、業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社グループの業務に支障が生じ、業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。当社では今後、業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充を図る予定であります。
(4)その他
① 当社役員の個人的活動について
当社代表取締役会長である大前研一は、当社を設立する以前から執筆活動あるいは講演活動等を行っており、今後も当社の業務に支障が無い範囲で執筆活動あるいは講演活動等の個人的な活動を行う場合があります。また当社が社外から招聘した役員についても、同じように執筆活動あるいは講演活動等の個人的な活動を行う場合があります。同氏や当社が社外から招聘した役員の個人的活動によって得た収入は、各々の個人に帰属することになっております。これら同氏や当社が社外から招聘した役員の個人的な活動による評判やイメージが当社のブランドイメージや風評に影響する可能性があります。
② 当社代表取締役の役員兼任について
当社の代表取締役会長である大前研一は、当社の業務に支障が無い範囲で他の会社の非常勤取締役等を兼任しております。これまで同氏の他の会社の非常勤取締役等の兼任が、当社の業務において支障となったことはありませんが、今後、将来において当該他の会社で事故、事件、不祥事、経営資産の状態等の著しい悪化等が発生した場合には、同氏の兼任する非常勤取締役等の責任の範囲に限り対応が必要となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
③ コンテンツ出演者の不祥事・風評等について
当社は、講師やキャスター等といった当社コンテンツの出演者が、事故、事件、不祥事等を起こした場合、又は巻き込まれた場合、風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。その結果、これまで蓄積してきたコンテンツにおいて、該当する出演者が出演するコンテンツは使用できなくなったり、今後、新たなコンテンツの制作に支障が生じたりした場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。また、これらの発生事象に対し、当社が適切に対応できなかった場合、当社対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該発生事象が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当社のブランドイメージ等が損なわれ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が継続するなか、ワクチン接種が一定程度進み、経済活動の正常化に向けた動きが一部に見られたものの、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され経済活動が繰返し制約を受け、ウクライナ情勢等の影響による原材料価格や金融市場の変動など依然として先行きは不透明な状況が続いております。
新型コロナウイルス感染症の影響は、地球温暖化への地球規模での対応要請、AIやデジタル技術による社会経済活動におけるDXの加速等が相互関連し、2019年以前に当たり前と捉えられていた社会経済生活の大部分、特に、企業における雇用や働き方、人材育成のあり方や、大学・大学院等を始めとする学校運営の方法において、以下に例示するような大規模な変革をもたらし続けています。
・学校教育のオンライン化、デジタル化
・企業研修のオンライン化、パーソナル化
・リモートワーク、JOB型雇用の普及に伴う社員のキャリア形成の重要性の高まり、専門性を磨く教育の普及
・公共・民間部門を問わず、DXを担うデジタル人材や、ITと経営の両方に精通する人材ニーズの増加
・不透明・不確実な状況下でリーダーシップと問題解決力を発揮する人材ニーズの増加
・働き方や雇用形態の多様化に伴う社会人の学び直し、リカレント教育ニーズの増加
・日本経済の回復手段として、政府予算による人材への投資、教育機関への投資の増加・促進、など
これらの変化は、1998年の創業以来、一貫してオンライン教育とグローバル人材育成に軸足を置き、1歳から企業経営者に至る全ての年齢層を対象に、新しい知識・スキルを学ぶプラットフォームを提供してきた当社にとって、非常に大きな成長機会となります。また、当社が過去20数年間蓄積してきたノウハウ(オンライン教育における学習プラットフォーム、10,000時間超のコンテンツ・ライブラリー、オンライン講座・研修の設計・開発・運営ノウハウ、グローバル人材育成の為の各種カリキュラム・プログラム体系など)が非常に大きな価値を生むと考えております。
当社は、今後の数年間において、これらの機会を確実に獲得し、事業拡大と企業価値の最大化を着実に進めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は過去最高の6,756百万円(前期比14.7%増)、営業利益、経常利益においても過去最高となり、営業利益は471百万円(同135.0%増)、経常利益は472百万円(同135.7%増)、将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、法人税等調整額に112百万円を計上したことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益は221百万円(同121.0%増)となりました。
(経営成績のポイント)
・売上高は前期に引続き11年連続で過去最高を更新いたしました。また営業利益、経常利益も2018年度以来となる過去最高を更新いたしました。
・BBT大学経営学部及びBBT大学大学院の2021年度入学者数(春期・秋期)合計は、前期を上回る274名にまで増加し、BOND-BBT MBAプログラムの2021年度の入学者数も前期から引続き高水準を継続しております。
・法人に対する研修・人材育成サービスでは、階層別研修、自己啓発導入パッケージサービスなど法人向けの新サービスをリリース、経営者・企業の人材育成担当者を対象としたオインラインセミナーを開催するなど、前年度1年間の新規取引先社数を70%上回る約100社との新たな取引を開始いたしました。
・当連結会計年度に当社グループに加わった㈱ブレンディングジャパン(2021年5月)、日本クイント㈱(2021年11月)の業績が連結業績に寄与しております。
・インターナショナルスクール事業は縮小運営等を余儀なくされた2020年度に比べ当連結会計年度においては、オンライン教育も適宜組み入れるなど新型コロナウイルス感染予防へのノウハウ・対策が蓄積されたことにより、ほぼ通常どおり運営いたしました。加えて在校生総数はコロナ禍前の2019年12月末の水準と比べて2割以上増加いたしました。
・2021年4月に「アオバジャパン・バイリンガルプリスクール下目黒キャンパス」を開校し、各拠点の充足率が向上するなどインターナショナルスクール事業の総生徒数は、今年度末には1,300名を超え、前年同時期と比べ14%増加いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ⅰ リカレント教育
リカレント教育事業の売上高は3,292百万円(前期比8.4%増)、セグメント利益は113百万円(同16.2%増)となりました。
(University事業系)
BBT大学経営学部は、2021年度春・秋期の入学者数は138名と前年を上回り、BBT大学大学院は、秋期においても前期比25%増の入学者となったことから2021年春・秋期の入学者数は136名となりました。
BOND-BBT MBAプログラムにおいては今期の入学期(5月、9月、1月)の入学者数は各期30名超を維持するなど堅調に推移しております。
また、BBT大学大学院では、マネジメントに必要なデジタル・トランスフォーメーション(DX)の経営戦略やマーケティング、人事戦略などの知識を深める科目選択制のパッケージ講座など加速するデジタル化に対応するための必要な学びを提供するデジタル系科目群の拡充に取り組みました。
(法人向け人材育成事業系)
法人向け人材育成サービスにおいては、2020年のコロナ禍以降、オンラインを活用した人材研修需要が安定的に拡大しており、2021年度も順調に推移しました。
法人に対する研修・人材育成サービス拡充においては、階層別研修ニーズに対応したサービスとして2021年6月に「BBTオンラインスクール(公開参加型研修)管理職の為の実践マネジメント講座」を開講し、2021年9月には、ニーズの高まっているDX人材を育成する「DX推進 基礎講座 ~業務の視点から考える~」を法人企業向けに提供開始しました。
また、2021年11月以降、経営者・企業の人材育成担当者を対象に、人材育成の専門家らが登壇する「BBTリカレントサミット」をオンライン開催し、ポストコロナ社会を見据えた人材育成の最新の論点をご紹介しています。同サミットでは、経営者・人材育成担当役員の関心が特に高い”キャリア自律”、”イノベーティブ人材・組織の育成”、”DX推進”等の最新理論や事例を多数取上げています。これらの啓蒙活動を通じて、企業戦略の実践、それを推進する人材育成とリカレント教育を共通の切り口として、各業種業界や企業経営全般における課題・提言等を行いました。
これら法人に対する研修・人材育成サービス拡充やデジタルマーケティングの強化による認知度向上と顧客企業との接点強化を図り、新規取引先社数は前期から70%上回り、約100社との取引を開始いたしました。
3,000名超の経営人材を輩出している「経営塾」では、With/Postコロナ時代に求められる構想力、リーダーシップ、高く広範な経営の視座、深い思考力等の習得・強化のニーズの高まりをうけ、年2回(4月、10月)合わせて前期に引き続き過去最高水準となる約300名の受講生が参加し、好調を維持しました。2022年4月においても150名超の受講生が参加しております。
2021年6月に一新した月額定額サービス「ビジネスアウトプットGYM」は、ライブ講義と、100本程度のインプット講義から構成され、インプットとアウトプットの反復練習によりさらにビジネススキルを鍛えることが可能です。法人派遣受講生も増加し、600名超となりました。同プログラムを入口として、BBT大学大学院や他のプログラムに出願する受講生が増加することにも期待しております。
(英語教育事業系)
延べ14,000名以上に受講されたビジネス特化型オンライン英会話「BBTオンライン英会話」は、ビジネス現場に即した200以上のシチュエーションから学べるロールプレイ方式で、4つのコースがあります。2021年10月には、5つ目のコースとなる「聴衆を巻き込むプレゼンテーション革命コース」を開講いたしました。本コースでは、受講生が自ら作成した資料でのプレゼンテーション実践練習を通して、より効果的かつ説得力のあるプレゼンテーションができるスキルとマインドを体得していきます。
2021年5月に当社グループに加わった㈱ブレンディングジャパン(以下「BJ」という。)は、幼小中高生を対象とするオンライン英会話スクール「ハッチリンクジュニア」を提供し国内市場でもトップクラスのシェアを有しております。「ハッチリンクジュニア」は個人会員が約2,800名おり、今期は、学校・教育機関向けの法人営業を強化するなか、2023年3月期より兵庫県加古川市の全12校、約7,000名の中学生を対象としたオンライン英会話委託事業を3年契約で受注し、2022年度以降の収益貢献が更に期待されます。
(ITマネジメント事業系)
ITマネジメント領域の教育に特化した㈱ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック(以下「ITPJ」という。)は当社のオンライン教育のノウハウを活用し、従来、売上高の約95%を占めていた集合研修をオンラインへ切替え新年度をスタートいたしました。販売パートナーとの連携強化により、注力するアジャイルやDevOpsといったDX人材育成の要となるオンライン公開講座への集客が堅調に推移した結果、前年同期と比較して大幅な増収となりました。また、BBT大学総合研究所と共同開発したプログラム「DX推進 基礎講座 ~業務の視点から考える~」も2021年9月に開講し、既存講座においても提供方法をBBT独自開発のオンライン学習プラットフォーム「AirCampus®」を活用してのサービス提供に切替えを進めるなど、グループ内での連携を促進いたしました。
また、ITPJは、2021年11月に日本クイント㈱(以下「QJ」という。)を完全子会社化いたしました。両社の資本・業務提携により、ITサービスマネジメントの世界的なベストプラクティスである「ITIL®」の認定研修事業において、ITPJとQJを合わせたシェアは日本最大級となりました。両社はITPJを存続会社として、2022年4月に経営統合しました。今後は、両社が保有する教育コンテンツを組合せ、両社の顧客企業ニーズにより合致した組織・人材を変革(DX)する為のソリューションを提供し、相乗効果を実現してまいります。また、国内ITマネジメント研修市場のリーディングカンパニーとしての位置づけを確固たるものとしてまいります。
ⅱ プラットフォームサービス
プラットフォームサービス事業の売上高は3,236百万円(前期比21.6%増)、セグメント利益は239百万円(同511.3%増)となりました。
(インターナショナルスクール事業系)
日本国内で5校目の国際バカロレア(IB)幼・小・中・高一貫教育プログラムの認定校である「アオバジャパン・インターナショナルスクール」(以下「AJIS」という。)は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、過年度においては2020年2月~6月までの間、各キャンパスで通学を抑制して縮小運営するなどの影響が発生しました。当連結会計年度においては、感染状況や児童生徒の年齢等に応じてオンライン教育と通学教育をベストミックスし、従来以上に機動的な感染症対策を行いました。その結果、コロナ禍の影響を殆ど受けること無く年間を通じて安定的に学校運営を行うことができました。「AJIS光が丘キャンパス」の改装を2020年夏季に実施した結果、定員増により固定収入である授業料等が増収となりました。「AJIS光が丘キャンパス」においては2021年夏季に第2段の改装を実施し、2021年8月の新学期を前年比4.8%増の生徒数592名でスタートいたしました。
また、2022年1月、AJISの高等部門の教育・学習環境の向上に向けて、文京区駒込に「文京キャンパス」をオープンいたしました。これにより定員数が更に増加する見込みです。
2021年度末のAJIS高等課程卒業生の大学受験実績においては、日本国内の最上位層の大学合格に加えて、世界の大学ランキングのトップ10、トップ50大学への合格者を輩出いたしました。本学は、今後も引き続き、大学進学への学生支援を強化してまいります。
また、2018年度から継続する文部科学省受託事業「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」は、最終年度となる2022年度の受託が決定いたしました。引き続き、日本国内のIB教育普及に尽力してまいります。
1~5歳を対象にバイリンガル幼児教育を展開する「アオバジャパン・バイリンガルプリスクール(以下「AJB」という。)」は、2020年4月初旬~5月末迄の期間、政府の緊急事態宣言に伴う規模縮小運営に応じました。当連結会計年度においては、感染症対策を行ったうえで、概ね通期で通常運営を行うことができました。2021年4月、10拠点目となる「AJB下目黒キャンパス」を生徒数65名で開校いたしました。2020年4月に開校した「AJB中野キャンパス」と共に、在校生数を増加して2022年4月の新学期を迎え、早期での安定稼働・収益化が期待されます。
ケンブリッジ大学国際教育機構の全プログラム(初等・中等・高等学校課程)の認定校である「ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ」(以下「MIST」という。)は、2021年9月の新学期を前年比49.8%増の183名でスタートし、生徒数の増加にともない増収となり、通期黒字化を達成しました。
※ ITIL® は AXELOS Limited の登録商標であり、AXELOS Limited の許可のもとに使用されています。すべての権利は留保されています。
② 財政状態に関する分析
(資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ129百万円減少し、2,267百万円となりました。主な要因は、売掛金が60百万円増加したものの、現金及び預金が248百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ581百万円増加し、6,587百万円となりました。主な要因は、建物及び構築物の増加等により有形固定資産が324百万円、のれんの増加等により無形固定資産が246百万円増加したことによるものであります。
これらの結果、総資産は前連結会計年度末に比べ451百万円増加し、8,854百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ526百万円増加し、4,425百万円となりました。主な要因は、借入金が266百万円、プラットフォームサービス事業において新スクールイヤー(8月~7月)のための授業料等により契約負債(前受金)が298百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ75百万円減少し、4,429百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上があるものの、収益認識に関する会計基準等の適用及び剰余金の配当等により利益剰余金が174百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ248百万円減少し、当連結会計年度末には1,644百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、582百万円(前期比33.0%減)となりました。主な要因は、法人税等の支払額175百万円により資金が減少した一方、税金等調整前当期純利益419百万円、減価償却費285百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,045百万円(同206.5%増)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出594百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出374百万円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、213百万円(同858.1%増)となりました。主な要因は、短期借入金の返済による支出100百万円、配当金の支払額151百万円により資金が減少した一方、長期借入れによる収入456百万円により資金が増加したことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
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自己資本比率(%) |
53.4 |
49.8 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
73.7 |
66.8 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.9 |
3.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
65.7 |
43.3 |
各指標の算出は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
④ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ 生産実績及び受注実績
当社グループは、遠隔型マネジメント教育及びインターナショナルスクールの運営等を主たる事業としており、提供するサービスの性格上、生産及び受注という形態をとっていないため、記載しておりません。
ⅱ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
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リカレント教育 |
(千円) |
3,292,059 |
108.4 |
|
プラットフォームサービス |
(千円) |
3,236,145 |
121.6 |
|
その他 |
(千円) |
228,703 |
119.0 |
|
合計 |
(千円) |
6,756,907 |
114.7 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績は、総販売実績に対し10%以上のものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等
(売上高)
売上高は、過去最高の6,756百万円(前期比14.7%増)となりました。主な要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業費用及び営業利益)
売上原価及び販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度に比べ10.5%増の6,285百万円となりました。リカレント教育事業において2021年5月にBJ、2021年11月にQJを取得したことによるのれんの償却費24百万円を計上したこと、及びプラットフォームサービス事業において、2021年夏季にAJIS光が丘キャンパスの第2段の改装を実施したこと、また、2021年4月AJB下目黒キャンパス、2022年1月、AJISの高等部門の教育・学習環境の向上に向けて、文京区駒込に「文京キャンパス」をオープンしたため、費用が新たに発生することになりました。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ135.0%増の471百万円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益の合計額は、前連結会計年度に比べ6.2%増の22百万円となりました。主な要因は、AJISにおいて寄附金収入13百万円を計上したことによります。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ135.7%増の472百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
特別損失の合計額は、52百万円となりました。主な要因は、事業用資産と遊休資産の帳簿価額を回収可能額まで減額し減損損失を計上したためであります。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ467.0%増の419百万円となりました。
(税金費用、非支配株主に帰属する当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を合計した税金費用は、将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、法人税等調整額に112百万円を計上したことなどにより197百万円(前連結会計年度は△8百万円)となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、㈱ABSの非支配株主に帰属する利益0百万円であります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ121.0%増の221百万円となりました。
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態に関する分析」に記載しています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要については、リカレント教育事業に関わる講師料、ロイヤリティ、コンテンツ制作費とプラットフォームサービス事業に関わる各インターナショナルスクールの教員人件費、教材費、生徒の送迎費用、給食費、衛生管理費、各事業に関わる広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金需要については、リカレント教育事業に関わる「AirCampus®」の機能強化、その他全社に関わる研修施設の維持・修繕とプラットフォームサービス事業に関わる新規拠点開発等があります。
また、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入、新株式の発行等により資金調達を行っております。運転資金につきましては、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入しており、有利子負債の調達に頼らない経営を行っております。投資資金につきましては、投資案件に応じて、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済状況等を考慮のうえで、金融機関からの借入や新株式の発行等から、調達手段・規模を適宜判断して実施しております。
自己株式につきましては、事業計画の進捗状況、当社グループの業績見通し、株価動向、財政状態及び金融市場等を総合的に勘案し取得をしていくこととしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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会社名 |
契約先 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
ボンド大学 |
Service Agreement |
ボンド大学とのMBAプログラムの提携に関する契約 |
自 2001年4月1日 至 2003年10月31日 以後、2年間単位の自動更新 |
当社は2022年4月22日開催の取締役会において各報告セグメントに配分していない固定資産を譲渡することを決議し、5月10日付で不動産売買契約書を締結しました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。