文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当企業集団は、企業理念の第1項として『わたしたちは、環境・安全・安心をテーマにお客様と協働し、生活者の「幸せ」に寄与することを基本使命とします』を掲げております。これは、お客様と同じ視点で、お客様と一緒になって生活者の食生活品質(おいしさと安心、健康、利便性、楽しさ、衛生、鮮度、環境、本物志向など)の向上を考え実現することが最も重要と考えているからです。今後も企業理念に掲げる「幸せ」四則 ①生活者の「幸せ」に寄与 ②お客様の「幸せ」に貢献 ③社員の物心両面の「幸せ」を追求 ④株主各位やお取引先に「幸せ」を提供 その実現に邁進してまいります。
当企業集団は、利益重視の観点から連結売上高営業利益率10.0%を目標に掲げ、売上拡大を図りつつ付加価値の高い製品の開発・販売及びコスト力の強化を図ってまいります。当期の連結売上高営業利益率は13.2%となりました。
当企業集団を取り巻く環境は、ウクライナ情勢の長期化や円安の急激な進行等によるエネルギーコストや原材料価格の高騰などにより、先行き不透明な状況が続くと予想されます。当企業集団は、社員の人間性、製品・サービス技術力の向上でお客様との信頼関係を構築し、「食といのちの未来を拓く挑戦者」として、広く社会に貢献できる「幸せ創造企業」の実現を目指します。
具体的には下記の課題に取り組んでまいります。
①冷凍冷蔵庫販売では、高齢化に伴って増える高齢者施設・病院や、インバウンド需要により回復基調にあるホテル・レジャー施設、セントラルキッチン等への営業の強化に加え、お客様の海外展開の支援などコロナ後のお客様の変化に対応してまいります。また、人手不足でお困りのお客様に省力化・省人化の製品やサービスの提案型営業でお応えし、お客様とともに社会課題及び脱炭素化などの環境問題に取り組んでまいります。
②医療・理化学製品販売では、環境に配慮した製品の開発や、精度の高い温度管理を実現するシステム提案を強化することで医療機関向け、薬卸、再生医療関連市場へ引き続き貢献してまいります。特に再生医療については、2024年6月29日に開業を予定しております大阪府と21社の民間企業等で設立した一般財団法人未来医療推進機構が運営する「未来医療国際拠点Nakanoshima Qross」に入居を予定しており、再生医療の産業化に貢献してまいります。
③冷凍冷蔵ショーケース販売では、スーパーマーケットやドラッグストアにおける全国カバー率の向上、コンビニエンスストア向け製品の開発強化、全国の施工・メンテナンス体制を強化し、販売拡大とシェアアップを図ります。また、省エネ製品の開発や次世代空調システムとして店舗の省エネ・快適性を実現するガリレイエアテックシステムの提案を進め、店舗の電気使用量を抑えるとともに、生活者が買い物しやすい環境づくりに貢献してまいります。
④大型食品加工機械販売では、引き続き冷凍食品やチルド弁当をはじめとした食品メーカー向けのトンネルフリーザー等の製品開発・提案を強化してまいります。また、新規市場開拓や海外案件に積極的に取り組んでまいります。
⑤エンジニアリング事業※では、大型冷蔵倉庫の設計・施工力を強化し、食品工場や薬品等の物流倉庫、スーパーマーケットのプロセスセンター、食品卸、ネット販売など、人手不足や物流の2024年問題で集約化・合理化を進めるお客様にお役立ちしてまいります。併せて保守契約の提案を進め、お客様と継続的なリレーションシップ構築を目指します。
※当社では主に、大型プレハブ冷蔵庫・冷蔵倉庫・食品工場の設計、設備、調達、施工を行う事業を指しています。
⑥サービス・工事事業では、人員増強をさらに推し進め、全国のメンテナンス・施工体制の充実を図り、引き続きメーカーメンテナンス・施工技術を提供してまいります。さらにサービス事業では、「直すサービス」から、「予防・保全・維持管理するサービス」へビジネスモデルの転換(ゼロコールカンパニー)を行い、加えて、プレメンテナンス拡充を実施し、2025年からの「冷媒漏れ10年保証」※への取り組みを進め、営業・サービス・工事一体でお客様へ新しい付加価値を提供してまいります。
※ グリーン冷媒R1234yf採用の冷凍冷蔵庫と製氷機においては、当初想定していた2025年から1年前倒しし、2024年4月1日より「冷媒ガス漏れ10年保証」を開始しております。
⑦海外事業では、販売力・工事施工力・メンテナンス力を引き続き強化し、飲食店やスーパーマーケット以外にも、コールドチェーンの中継地となる食品工場や低温物流倉庫などにも取り組みを広げ、食の安全・安心に貢献してまいります。また、海外事業の2030年までの中期経営計画「GGV(ガリレイグローバルビジョン)2030」を策定し、今後もグローバル企業としての進化を目指します。
⑧多様な人材が固有の能力を発揮できるよう、職場環境の整備と健康経営の実践で、「働き方改革」を推進します。また、事業の拡大を図るため、優秀な人材の確保及び育成が重要課題と考え、サービス・工事事業の専門人材育成を目的とした「ガリレイアカデミー」等への取り組みを行っております。今後は、サービス・工事の協力会社の技術者不足などの課題に対応するため、協力会社向けにも取り組みの幅を広げてまいります。
⑨取引先との連携・共存共栄を進めるため、国内工場の主要取引先向け「GALILEI Supplier Hub」、サービス・工事の協力会社向け「GALILEI Contractor Hub」にて、技術交流の推進並びに業務支援を継続的に取り組んでいます。また、「サステナブル調達ガイドライン」を策定し、取引先へ当社グループの方針を周知するとともに理解と実践を求めています。引き続き取引先との関係強化を図ることで、メーカーとしての供給義務を果たし、持続可能なサプライチェーンの実現に取り組んでまいります。
⑩環境先進企業として、GWP(地球温暖化係数)の低いグリーン冷媒への転換や冷媒漏れ防止に取り組み、製品ライフサイクルにおいて環境性能の高い製品を開発・提供し、最新の省エネ技術の積極導入や再生可能エネルギーの活用などを通じて、バリューチェーン全体でCO2排出削減に貢献してまいります。
ガリレイグループは、企業理念の実現のため、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を目指すことを掲げた「サステナビリティ基本方針」を、2023年9月に制定しました。また、「食といのちの未来を拓く」というパーパスの実現に向けて、8つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。これらの課題解決を通じて社会や生活者の皆さまへ様々な新しい価値を提供し続け、持続可能な社会の実現と、中長期的な企業価値の向上を目指します。
①ガバナンス
ガリレイグループ全体でサステナビリティの推進を行うため、2021年6月にグループ横断のSDGs推進委員会を設置しました。委員長は代表取締役 社長執行役員 福島豪、メンバーは経営会議の出席者です。委員会は四半期に一度経営会議とあわせて開催され、サステナビリティ全般に関する事項を議論する体制を整えております。また、今年度よりSDGs推進委員会の中にマテリアリティ分科会を設置し、分科会では各マテリアリティの具体的なアクションを検討する役割を担っております。
②戦略
ガリレイグループは、事業を通じて解決していくべき社会課題を抽出、検討し、8つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。各マテリアリティに対しては中長期的に取り組んでいく具体的な取り組み及び指標・目標を設定し、パーパスの実現を目指し、グループ全体で取り組んでおります。
③リスク管理
リスク管理委員会を設置し、定期的なリスクアセスメントを実施しております。特定したリスクについては発生頻度と影響度により重要性を評価し、リスクが高いと判断したものから優先的に対応策を検討、推進することで、リスク管理を行っております。なお、リスク管理の状況については、定期的に経営会議・取締役会に報告されます。
また、各マテリアリティの具体的な取り組みについては、ISO14001のPDCAサイクルに沿って全社的に管理しております。指標・目標の進捗状況の管理、達成に向けたアクションについては、SDGs推進委員会に報告され、マテリアリティごとの指標及び目標の進捗状況の管理、達成に向けた施策を検討しております。
④指標及び目標
マテリアリティごとに中長期的に取り組んでいく指標と目標を設定しており、その詳細は以下の表をご参照ください。
8つのマテリアリティと指標及び目標
ガリレイグループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFDに沿ってリスク・機会のシナリオ分析をするなど、取り組みを進めております。
ガリレイグループ全体でサステナビリティ推進を行うため、SDGs推進委員会を設置しております。気候変動についてもSDGs推進委員会の中の「脱炭素社会の実現」に関する分科会において、分科会の責任者の下、推進活動を行っております。
ガリレイグループは、気候変動対策に取り組み、持続可能な地球環境を次世代に引き渡すことを目的に、サステナブルビジョン「Dramatic Future2050」を策定しております。2050年までの「カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」に向け、「環境ビジョン2050」を掲げ、それを実現するためのアクションとして「環境アクション2030」を策定し、環境先進企業としてステークホルダーからの期待、社会に対して責任を果たしていきます。当社グループでは気候上昇のシナリオとして1.5℃、4℃の温度帯を想定し、シナリオ分析を実施しております。シナリオ分析の詳細は、以下の表をご参照ください。
気候変動に関するリスク管理については、SDGs推進委員会の中の「脱炭素社会の実現」に関する分科会において行っております。
「環境アクション2030」のアクションごとに指標と目標を設定しています。取り組みテーマと中長期目標については、以下の表をご参照ください。
<中長期CO2排出量削減目標>
2030年目標 Scope1・2 50%削減
2050年目標 Scope1・2 ネット・ゼロ
なお、
https://www.galilei.co.jp/company/sustainability/esg/
ガリレイグループでは、「食といのちの未来を拓く」人材を育てるための教育制度の整備、教育体制の整備、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでおります。
冷凍冷蔵技術は、食のインフラを支えていくうえでなくてはならない技術です。技術力向上と技術サービスの安定供給を目指して、2022年に「ガリレイアカデミー」を設立し、2023年度は59名の卒業生を輩出しました。あわせて、近年成長しているエンジニアリング事業分野における技術力の強化のため、建設業関連資格の保有者の増員を目指し、資格取得手当の充実や社内講師によるWEB研修「ガリレイ塾」などでフォローアップをしております。着実に効果も表れており、2022年3月末時点と比較し、一級管工事施工管理技士の保有者数は59.4%増となりました。2023年度からは営業職の新入社員を対象に、営業として必要な基本技術や現場知識を実際の体験を通じて習得していく「営業アカデミー」を開校し、配属後の不安解消やより早期に活躍できるよう取り組んでおります。
また、階層別研修を実施し、全社研修制度の拡充を図っております。入社時の研修だけではなく、中堅社員の成長・キャリアアップ支援、組織力強化のための研修、管理職向けのマネジメントスキル習得のための研修などを実施しております。
ガリレイグループは、従業員の物心両面の「幸せ」の追求を基本使命の一つとして掲げており、従業員一人ひとりが安心して働ける職場づくりと働きがいが得られる環境づくりを推進しております。
2022年よりエンゲージメントサーベイを実施しており、従業員一人ひとりが安心して働ける職場であるかどうか、働きがいを得られているかどうかを評価・把握し、職場改善活動を推進しております。今後はサーベイ及び職場改善の取り組みを全社で共有し、制度改革や風土醸成に活かしていきます。
ガリレイグループは、従業員一人ひとりが国籍、人種、信条、性別、障がい等に関わりなくお互いの多様性を認め合い、個性や能力を活かし挑戦できる職場環境づくりに取り組むことで、新しい価値創造を実現します。
2015年より「キラリ推進室」という専門部署を設けてダイバーシティを推進しており、特に女性の活躍推進について「採用」、「定着」、「活躍」の観点から目標を掲げ、働きやすい職場づくりに向けた就業継続や、活躍を支援するための施策を展開しております。
2023年度は外国人採用、男性育休、シニアの賃金改定などの取り組みも行っており、多様な人材が活躍できる職場環境づくりに努めております。また、ノー残業デーの実施、在宅勤務の活用、インターバル制度の導入などにより長時間労働の抑制に努め、また計画的な有給休暇取得によるワークライフバランスを実践しております。
2021年には健康施策の企画・立案・実行・効果検証を行う健康経営委員会(通称:アオハル隊)を発足しました。アオハル隊では、従業員が心も体も健康であり続け、豊かな人生を送れるよう、管理職向けにラインケア研修、ハラスメント防止研修を実施するなど、従業員の健康維持・増進を支援する活動を行っております。
なお、健康経営の詳細は、当社ホームページをご参照ください。
「人材の育成」及び「多様な人材の活躍」のマテリアリティに関する指標・目標を定め、SDGs推進委員会の分科会の責任者の下、推進活動を行っております。
なお、人的資本に関する目標については、(1) サステナビリティに関する考え方の④指標及び目標「8つのマテリアリティと指標及び目標」を、実績については当社ホームページをご参照ください。
有価証券報告書に記載した当企業集団の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団が判断したものであります。
当企業集団の営業収入のうち、重要な部分を占める冷凍冷蔵庫・冷凍冷蔵ショーケース販売の需要は、当企業集団が販売している国または地域の流通業界、外食産業等の経営環境に影響を受けます。当企業集団を取り巻く市場の景気後退によるスーパーマーケット・百貨店等での売上高の鈍化、個人消費の低迷による外食産業の収益悪化、或いは産地偽装等の食品の安全性懸念による市況の悪化等のほか、新たな感染症の発生により大規模なパンデミックが生じた場合の感染拡大防止措置による需要の減少、また、顧客の財政状態の悪化により売掛債権を回収できない場合等には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
既存の冷凍冷蔵庫・冷凍冷蔵ショーケースの商品群においては、競合メーカーとの競争は大変厳しいものになっております。当企業集団は、コスト低減だけでなく、他社にはない技術、ソフト、サービス力などを武器に高付加価値商品を提供してまいりますが、これらの企業努力を超えて低価格競争が激化した場合には当企業集団の利益の維持及び確保が困難となり、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当企業集団は、研究開発活動上様々な知的所有権を使用しており、それらは当企業集団所有のものであるか或いは適法に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社の認識の範囲外で第三者の知的所有権を侵害しているとの申し立てがなされる可能性があります。また、知的所有権を巡っての係争が発生した場合には、多額の費用と経営資源が費やされ、当企業集団が重要な技術を利用できなくなることや多額の損害賠償責任を負うなどにより、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
製品及び工事施工の品質管理には万全を期すとともに、問題発生時の製品の無償修理費用に備える製品保証引当金の設定及びPL保険等に加入しておりますが、契約不適合責任及び製造物責任による損害賠償や対策費用が多額に発生した場合や、当該事象の発生により当企業集団のイメージが低下し、需要の減少を惹起した場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当企業集団では、日本及び諸外国・地域における関連法令等を遵守して事業運営を行っており、現時点で事業の運営に支障をきたすような法的規制はありませんが、より厳格な法的規制の導入や当局による解釈変更があった場合には、事業運営の一部に制限を受ける可能性があります。また、当企業集団の商品群にはフロン等の環境法的規制を受ける冷媒が含まれるため、フロン等に比べ地球温暖化係数の低い自然冷媒を用いた商品群の充実を図っておりますが、将来、環境に関する規制がより厳しくなるなど、今後の法的規制の改正内容によっては、事業展開等に影響を受ける可能性があります。
当企業集団は、「企業行動憲章」において、国内外の関係法令や国際ルールを遵守し、透明で公正な企業活動を行うことを定め、当企業集団の従業員に対し、年間を通じてコンプライアンスの徹底に取り組み、倫理・法令遵守意識の強化に努めております。このような取り組みに関わらず、当企業集団においてコンプライアンス違反行為が発生したり、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分及び損害賠償請求の対象となり、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当企業集団の従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。割引率の低下や運用利回りの悪化は当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当企業集団は2024年3月末時点で、取引先を中心に119億1百万円の市場性のある有価証券を保有しており、これらの市場価格変動のリスクを負っております。同時点での市場価格により評価しますと92億6千8百万円の含み益となっておりますが、今後の株価等の動向次第でこの数値は変動します。
急激な金利の変動に伴う金融資産や負債の価値への影響により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当企業集団の製品の生産活動に当たっては、鋼材や部品等の資材を適宜に調達しております。当企業集団は、信頼のおける供給元を選定するとともに分散化を図るだけでなく、一定数の在庫を確保するなどしております。しかし、大規模な自然災害や社会不安(戦争、テロ、感染症、地政学的リスク等)による供給元への損害発生・倒産等により、供給が不足または中断した場合や需要が急増した場合には、供給元の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。
また、供給元とは常に市況価格に留意しながら、随時価格交渉を行っておりますが、昨今の原材料や燃料費等の市況価格の大幅な高騰が調達価格(労務費や運搬コスト等を含む)に波及し、生産性向上などの内部努力や製品価格への転嫁などにより吸収できない場合があります。このような場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当企業集団は、事業活動の過程で、取引先に関する種々の情報を入手しております。また、当企業集団自身の営業秘密も取扱っております。これらの情報保護について社内管理体制を整備しておりますが、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む外部からの意図的な行為や過失等により、外部に流出する可能性があります。また、当企業集団の製品またはサービスでのインターネットの利用も増加しているため、セキュリティ対策に取り組んでおりますが、ネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる情報の外部流出やサービスの停止、工程への影響が発生する可能性があります。このような場合には、当企業集団の信用低下や損害賠償責任の発生等により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当企業集団は、海外市場においても事業活動を実施しているため、為替リスクに加え、各地域における政情不安(戦争、内乱、紛争、暴動、テロ行為、その他の著しい治安の悪化を含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違等、現地における労使関係等のリスクや、また、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地事業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格税制等の国際課税リスク、海外での商慣習の差異といった様々な政治的、法的その他のリスクに直面する可能性があります。そのような場合には、需要の減少やコストの増幅、その他の事業活動への問題発生により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13)優秀な人材の確保
当企業集団の今後の事業活動には、各分野において優秀な人材の確保が不可欠であり、魅力的な企業文化の維持と新たな創出を継続してまいりますが、労働人口が減少傾向にある現況において、採用競争力が低下した場合や人材流出が深刻化した場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14)労務管理に関するリスク
従業員の長時間労働は、精神疾患を含めた健康障害の発生や長期休業につながるリスクがあります。また、当企業集団は、従業員が当企業集団の事業所、製造及び施工現場において労働災害を被ることなく、安心して働ける環境の整備を進めておりますが、万が一、重篤な事故や重大な労働災害が発生した場合には、当企業集団の社会的な信用低下や損害賠償責任の発生等により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15)災害・事故等に関するリスク
当企業集団の活動拠点において、地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものを含む)や火災、事故、戦争、テロ行為、感染症の流行等が発生した場合、当企業集団の従業員、設備、情報システム等に多大な損害が生じ、営業及び生産活動が遅延または停止し、損害復旧のための費用が発生するなどにより、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16)人権に関するリスク
当企業集団は、すべての人が生まれながらにして持つ基本的権利である人権について、尊重する責任を果たすべく、「人権方針」を定め、供給元への人権デュー・デリジェンスの実施や、従業員への人権に関する勉強会を実施し、人権尊重の意識付けに努めておりますが、当企業集団を取り巻く国内外のステークホルダーの人権問題が発生した場合、当企業集団の社会的信用や評価が低下し、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団が判断したものであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における我が国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が5類感染症に移行されたことや雇用・所得環境の改善などにより個人消費やインバウンド需要の持ち直しの動きがみられ、景気は緩やかに回復しております。一方で、エネルギーコスト及び原材料価格の高騰による消費者物価の上昇や、世界的な政情不安や各国政府による金融引き締めなどにより、引き続き先行き不透明な状況にあります。
当企業集団を取り巻く環境は、外食産業では、エネルギーコストや原材料価格の高騰、人手不足の影響を受けつつも、コロナが5類感染症に移行されたことにより、人流が増加したことで外食需要やインバウンド需要は回復傾向が続いています。流通産業では、家庭の電気・ガス代高騰等による節約志向が継続したことで内食需要が継続し、商品価格上昇により収益面は回復基調にありますが、店舗のエネルギーコストや原材料価格の高騰により、設備投資について依然慎重な傾向が継続しております。また、食品製造業界では、人手不足で自動化や省人化等の需要はあるものの、エネルギーコスト、建築資材価格の高騰等が影響し、食品メーカーを中心に設備投資に慎重な傾向がみられております。なお、低温物流業界では、物流の2024年問題と総称される自動車運転業務における労働時間の上限規制への対応や主要都市を中心とした冷蔵倉庫の満床・老朽化により物流センター・冷蔵倉庫の建設需要が継続しております。
冷凍冷蔵庫販売では、店舗での食品加工やテイクアウトの需要が落ち着きを見せ、ブラストチラーや冷凍冷蔵ロッカー等高単価商品の売上が減少したことなどにより、売上高は254億2千7百万円(前年比0.4%減)となりました。
医療・理化学製品販売では、薬用保冷庫の調剤薬局・ドラッグストア向け販売が増加傾向にある一方で、病院・クリニック向けの販売が減少したことなどにより、売上高は13億9百万円(前年比1.2%減)となりました。
冷凍冷蔵ショーケース販売では、流通産業において主に省エネ改装需要が堅調に推移し、スーパーマーケットやドラッグストア向けの販売が増加しました。また、コンビニエンスストア向けの自然冷媒を採用したショーケースの販売も引き続き堅調に推移したため、売上高は467億6百万円(前年比22.2%増)となりました。
大型食品加工機械販売ではエネルギーコストや原材料価格の高騰の影響を受け、食品メーカーを中心に設備投資について慎重な傾向が継続したため、売上高は72億7百万円(前年比9.8%減)となりました。
大型パネル冷蔵設備販売では、物流の2024年問題を背景に低温物流拠点の需要や主要都市を中心とした冷蔵倉庫の満床・老朽化等により物流センター・冷蔵倉庫の建設需要が継続し、半導体やリチウムイオン電池工場向け等のクリーンルームの需要が増加したため、売上高は159億7千1百万円(前年比11.1%増)となりました。
小型パネル冷蔵設備販売では、スーパーマーケットやコンビニエンスストア向けの売上が堅調に推移したことなどにより、売上高は70億9千2百万円(前年比6.9%増)となりました。
サービス販売では、スーパーマーケットやコンビニエンスストア向けの冷凍冷蔵ショーケースのメンテナンス、保守契約の売上が増加しました。また、外食産業の需要回復に伴い冷凍冷蔵庫等のメンテナンスの売上も増加したため、売上高は121億円(前年比10.7%増)となりました。
製造部門においては、原材料価格の高騰や海外輸入部品購入における為替の影響は依然として続いておりますが、影響額を軽減するため、さらなる生産性の向上や代替部材使用等に取り組んでおります。また、2023年3月にショウケンガリレイの新本社工場を建設し、受注拡大に向け生産体制を整備しました。6月にはフクシマガリレイの岡山工場に新棟を建設し高単価商品の生産性向上に取り組んでおります。また、2024年3月には滋賀県に冷凍冷蔵ショーケースの新工場建設を発表しており、次世代の高付加価値製品の開発や生産性向上を図り、冷凍冷蔵ショーケースのさらなるシェア伸長に対応できる生産体制を構築してまいります。
ガリレイグループでは、サステナブルビジョン「Dramatic Future 2050」を策定し、2050年までに食品の生産からテーブルに並ぶまで温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることに取り組んでおります。また、「グリーン冷媒への転換」「環境性能の高い製品を開発・提供」「冷媒ガス漏洩防止」のアクションを戦略的に推進し、バリューチェーン全体のCO2排出量削減に取り組むことで、環境先進企業として価値を提供してまいります。当連結会計年度の主な取り組み内容は、タテ型・ヨコ型業務用冷凍冷蔵庫及び小型タイプのキューブアイス製氷機をノンフロン冷媒R1234yf(GWP:1)仕様へとモデルチェンジを実施しております。自然冷媒採用大型コンデンシングユニット「NOBRAC」や、ノンフロン冷媒仕様機種をバリエーションに追加したメディカルフリーザーなど、その他製品についても計画的に地球温暖化係数の低い冷媒に切り替えております。加えて、冷媒ガス漏洩による地球温暖化ゼロを目指し、当初想定していた2025年から1年前倒しし、2024年4月1日よりグリーン冷媒R1234yf採用の冷凍冷蔵庫と製氷機において、冷媒ガス漏洩による故障を10年間保証する取り組みを開始しております。
その結果、当連結会計年度の売上高は1,158億1千5百万円(前年比10.3%増)、営業利益は152億9千8百万円(前年比33.2%増)、経常利益は161億5千9百万円(前年比31.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は123億6百万円(前年比42.2%増)となりました。
当連結会計年度末における流動資産の残高は928億5百万円(前連結会計年度は805億6千1百万円)となり、122億4千3百万円増加しました。これは主として現金及び預金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における固定資産の残高は377億2千7百万円(前連結会計年度は324億3千5百万円)となり、52億9千1百万円増加しました。これは主として投資有価証券が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における流動負債の残高は353億4千7百万円(前連結会計年度は314億7千1百万円)となり、38億7千6百万円増加しました。これは主として支払手形及び買掛金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における固定負債の残高は23億5千7百万円(前連結会計年度は16億1千8百万円)となり、7億3千9百万円増加しました。これは主として繰延税金負債が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は928億2千6百万円(前連結会計年度は799億7百万円)となり、129億1千9百万円増加しました。これは主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものです。
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益は162億4千4百万円計上し、投資活動や財務活動に51億7千3百万円使用した結果、前連結会計年度末に比べ78億4千3百万円増加し、540億2千6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、125億8千4百万円(前年同期比70億7千2百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、28億7千7百万円(前年同期比6億1千9百万円増)となりました。これは主に有形固定資産の取得を行ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、22億9千5百万円(前年同期比10億5千3百万円増)となりました。これは主に配当金の支払いを行ったことによるものです。
② 資金需要
当社グループは、事業運営上、必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、配当金の支払い等であります。また、その資金の原資といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フローによるものを基本としております。
なお、最近3連結会計年度におけるキャッシュ・フロー指標のトレンドを示すと以下のとおりとなります。
(注) 1 上表中の各指標は以下のとおり算出しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
4 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
5 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
6 利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(5)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
製品生産実績
当連結会計年度における生産実績を品目区分別に示すと、以下のとおりであります。
(注) 1 当企業集団の製品は単位に大きな差があるため、販売価格によっております。
2 当連結会計年度において、医療・理化学製品の生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載しております。
② 受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を品目区分別に示すと、以下のとおりであります。
(注) 当連結会計年度において、冷凍冷蔵ショーケース、大型パネル冷蔵設備、サービスの販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載しております。
(1)株式譲渡契約
当社は、2024年2月26日開催の取締役会において、株式会社エコメックの株式の80%を2024年4月1日付で取得し子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
(2)吸収分割契約
当社は、2024年5月8日開催の取締役会において、当社を吸収分割会社とする会社分割により、当社が営む業務用冷凍冷蔵庫及び冷凍冷蔵ショーケースの製造、販売及び施工並びに付随する一切の事業を、当社の100%子会社である株式会社フクシマガリレイ分割準備会社に対し承継させ、持株会社体制に移行することを決議し、同日付で当該会社分割にかかる吸収分割契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
当企業集団において、研究開発活動は、連結財務諸表を提出する当社が主体となり行っております。
当連結会計年度は、当企業集団の独自のシステムにより、環境・安全・安心に配慮した製品の開発を積極的に行い、食生活品質向上のため、環境にやさしい「食品安心技術」で製品の性能を更に高める観点からの研究開発活動を行いました。
当連結会計年度における当企業集団が支出した研究開発費の総額は
当社の研究開発活動を品目区分別に見ると、大きく4つに分けられます。
ノンフロン冷媒(R1234yf)を採用した業務用冷凍冷蔵庫を開発しました。地球温暖化係数(GWP)は旧機種と比較して99.9%低減し、地球環境に優しい製品として縦型冷蔵庫・冷凍庫・冷凍冷蔵庫で124機種、横型冷蔵庫・冷凍庫・冷凍冷蔵庫で115機種をラインナップしました。可燃性は燃えやすく、店舗での修理が困難な冷媒ですが、ノンフロン冷媒(R1234yf)は微燃性で燃えにくく、店舗での修理が可能な冷媒です。JRA4084:2022で定められた安全機能要求事項に基づいて開発を実施し、取扱いも簡単で安全性にも優れた製品を実現しました。
ノンフロン冷媒(R1234yf)を採用したキューブアイス小型製氷機を開発するとともに、外観デザインを刷新しました。地球温暖化係数(GWP)は旧機種と比較して99.9%低減し、地球環境に優しい製品として9機種をラインナップしました。外観デザインの刷新では、飲食市場の多様化を見据え、あらゆる設置環境でそれぞれの店舗の雰囲気を損なわない、見られることを意識したシンプルかつ象徴的なデザインとし、デザイン性も評価され、2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。
ノンフロン冷媒(R1234yf)を採用したスライド扉小型冷蔵ショーケースとして、横型LGシリーズ、キュービック型CRシリーズを開発しました。DCファンモーターや庫内照明LEDを採用し、地球温暖化係数(GWP)は旧機種と比較して99.9%低減しております。横型LGシリーズ全6機種では2020年省エネ基準達成率141%から156%を、キュービック型CRシリーズ全6機種では2020年省エネ基準達成率111%から129%を達成し、地球環境に優しい製品としました。さらに横型LGシリーズは海外(ASEAN地域)向けも開発しました。
大型ブラストチラー20型・24型・40型のモデルチェンジを行いました。ホテルパン1/1を収容したカートをそのままドッキングし冷却できる大型ブラストチラーは、大量調理施設において需要が高まっています。従来の冷媒より地球温暖化係数(GWP)が約1/3となるR448A(GWP1386)を採用し、環境負荷低減を実現しております。さらに、冷凍サイクル熱交換効率向上と庫内風廻り最適化により冷却効率を高め、従来比約35%(40型で負荷100kgを70℃から-20℃に凍結した場合)の省エネを実現し、電気代・CO2排出量削減にも貢献します。
小型2室独立ドゥコンディショナーのモデルチェンジを行いました。パン生地に合わせ設定保存できるメモリ機能や、繁忙期に合わせて簡易操作で完了時刻が変更できる早出遅出機能の追加を行い、利便性を向上させるとともに外観意匠はシンプルかつスタイリッシュなデザインとしました。扉ハンドルは埋め込みフラットにすることで、狭小店舗での使い勝手を向上させました。DCファンモーター最適運転制御により、冷凍パン生地をオーバーナイトで発酵まで自動的に行うことができ、従来比33.5%の省エネを実現し、従来よりも精度の高い冷却・加温加湿・除湿運転が可能で、パン生地の理想な仕上がりが実現できます。
⑥ 受取用コールドロッカー 半屋外使用の開発、省エネ大賞受賞
受取用コールドロッカーの半屋外仕様を開発しました。受取用コールドロッカーは、テイクアウト商品などの受け渡しに利用されておりますが、物流2024年問題を受け宅配ボックスとしての引き合いが増えており、軒下であれば屋外でも設置可能なタイプを新たに開発しました。
また、受取用コールドロッカー「HSN/HPNシリーズ」について、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する2023年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)において、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。従来製品比約61%の省エネや、単相100Vで設置しやすい点が評価されました。お客様の電気代・CO2排出量削減だけではなく、時間の有効活用にも貢献します。
海外(ASEAN地域)向け製品として、低GWP冷媒小型ブラストQXF-Aシリーズを開発しました。日本向けで築き上げた「-40℃」までの急速冷却技術を継承し、製品電源は50/60Hz単相220V-240Vに対応。海外(ASEAN地域)の冷凍食品市場に貢献します。従来の国内向け機種に使用している冷媒より地球温暖化係数(GWP)が約1/3となるR449A(GWP1400)を採用し、環境負荷低減を実現しております。6型2機種、12型1機種の計3機種をラインナップしました。
①冷凍機内蔵型コンパクトインショーケースMEGシリーズのグッドデザイン賞受賞
2022年10月に発売したコンパクトインショーケースMEGシリーズが2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。本製品はスーパーマーケットやドラッグストアのゴンドラ什器内へ設置が可能で、要冷食品の隣に常温食品を陳列することができるため、関連商品を同じ売り場で販売することができるクロスマーチャンダイジングを実現しています。シンプルで高品位なデザインだけではなく、店舗の売上にも貢献するデザインとなっており、また本体からの排熱を結露防止に利用できるレイアウト設計にしている点も環境や省エネを考慮しており、総合的に優れたデザインであると評価されました。
②対面クローズショーケースAPKシリーズの開発
地球温暖化係数の低いR448A(GWP1386)を採用し、地球環境に配慮した製品を開発しました。冷凍機インバータ化と照明LED化により、消費電力が従来比43%の省エネを実現しております。デザートやサラダ販売に適した環境配慮と省エネ性にこだわったショーケースです。
③ CO2冷媒冷凍機内蔵型リーチインショーケースの開発
自然冷媒であるCO2冷媒を採用した冷凍機内蔵型リーチインショーケースMGシリーズ3尺/5尺タイプを開発しました。自然冷媒R744(GWP1)を採用し、地球温暖化係数はフロン冷媒機種と比較して99.9%削減しました。また新冷凍サイクルと最適制御により、フロン冷媒機種と比較して約19%の省エネを実現しております。冷凍機上置き仕様で、陳列最上段でも別置ケースと同じ高さのため商品が取り出しやすく、またMGシリーズ同士の連結も可能にするなど、利便性を向上させました。
④ 冷凍機内蔵型ショーケースのグリーン冷媒への転換
環境負荷低減のため、従来の冷媒より地球温暖化係数の低いR448(GWP1386)へ転換を進め、当連結会計年度は以下2つのシリーズのモデルチェンジを実施しました。
a.デザートアイランドショーケース RMCシリーズ
b.ドーム型アイスクリームショーケース DMシリーズ
地球温暖化係数を65%削減し、地球環境に配慮した製品となっております。
⑤店舗の生産性向上に貢献する省エネ、省人化、省力化機器のご提案
2024年2月開催の展示会「スーパーマーケット・トレードショー2024」においては、クロスマーチャンダイジング用2温度帯ショーケース(冷凍/冷蔵)、冷蔵扉付きショーケースのガラス扉ラインナップ比較、ストックスペース付ショーケース各種、冷凍リーチインショーケースのガラス扉仕様別省エネ比較、各種スライド棚、スライドデッキ、リテールレディパッケージ対応フリップアップ棚、減速機構付きナイトカバーなど、様々な省エネ、省人化、省力化の提案を実施しました。
(3) 店舗システムの成果
① HACCP ExAround「冷媒ガス漏れ予兆検知サービス」の開発
日本冷凍空調工業会の「業務用冷凍空調機器の常時監視によるフロン類の漏洩検知システムガイドライン(JRA GL-17)」に対応した冷媒漏洩検知システムをリリースしました。温度管理システムHACCP ExAround温度管理プランに加入しているお客様向けのオプションサービスであり、ショーケースやプレハブ庫、冷凍機の運転データをAI(機械学習)を用いて毎日診断します。冷媒漏洩の傾向があるとお客様にご連絡して早急に点検を行うことで、冷媒漏洩量の大幅な低減を図ることができ、また食品ロスの発生を防ぎます。フロン排出抑制法では機器使用者に年4回の簡易点検が義務づけられておりますが、本システムを導入することで、簡易点検が不要になります。
② HACCP ExAround「厨房まるっとプラン」の開発
「インターネットオブキッチンプラットフォーム※1」に対応した日本初の複数社厨房機器向け温度管理クラウドサービスをリリースしました。本プランは、様々なメーカーの機器の温度・運転データをリアルタイムに収集し、お客様の効率的なHACCP管理運用や、設備の予防保全などにお役立ちするサービスです。さらに既存サービスの「温度管理プラン」や「衛生管理プラン」と組み合わせることで、HACCP管理に必要なデータをデジタル化し、人手不足の中でも確実に食品事故の抑制やフードロス削減に貢献します。
※1 日本エレクトロヒートセンターが運営する、当社をはじめ厨房機器メーカー複数社が参加するデータ共有プラットフォームです。厨房内には複数メーカーの熱機器・冷機器・加工機器が立ち並ぶことが一般的ですが、これら多様な機器のデータ管理を一元化することが可能です。
③ 店舗環境最適化システムGalilei Air-tec導入物件でZEB実証事業を開始
令和5年度建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業及び新築建築物のZEB化支援事業(新築建築物のZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業)において、スーパーマーケットで初となる「ZEB」分類での採択となる店舗を施工しました。店舗内の環境を最適化するGalilei Air-tecシステムを用いて、令和6年4月より実証事業を通して、さらなる省エネ・ZEB化に貢献していきます。
トンネルフリーザーや大型冷凍冷蔵倉庫向けのCO2冷凍システムNOBRAC(ノブラック)のラインナップ拡充
2022年に開発した空冷式CO2冷凍システムに加え、食品工場や大型冷凍冷蔵庫で採用頻度が高い“水冷式”CO2冷凍システムを開発し、ラインナップを拡充しました。2023年11月に市場導入を開始し、空冷式に対して10%以上の省エネを実現しました。地球温暖化による消費電力の増加(電気料金増加)への対策やCO2排出量の削減など、より一層の環境負荷低減システムを提案することが可能となりました。