当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) イチケングループの企業理念
① 経営理念
当社は、品質の向上と安全の徹底に努め、いかなるときもクリエイティビティを発揮し、商業空間事業を通じ、快適で豊かな社会の実現をめざします。
② 経営ビジョン
より豊かで快適な『くらし空間』を創造する事で広く社会へ貢献する企業
(2) 経営環境及び対処すべき課題
今後の事業環境につきましては、雇用・所得環境が改善する下で、引き続き緩やかな回復が続くものと見込まれます。その一方で、世界的な金融引締めに伴う影響など、海外景気の下振れによる景気を下押しするリスクや、物価上昇、金融資本市場の変動等による影響など、依然として不透明な状況が続くものと思われます。また、建設業界におきましては、労働力不足や資材価格の高騰が依然として続いており、2024年問題(時間外労働の上限規制)への対応など、構造的な課題への取り組みが急務となっております。
このような事業環境のもと、当社は、創業100周年を迎える2030年を目標とする企業像『ビジョン2030』(長期経営計画)を策定し、ビジョン2030の初年度からの3ヶ年を『中期経営計画(2023-2025)』として経営目標を設定し、目標達成に向けた施策を実行してまいります。
『ビジョン2030』(長期経営計画)
① 企業像
安定した成長を続けていくとともに社会の持続的発展に貢献する企業
② 基本方針
・基幹の建築事業を安定・充実させ、不動産・海外事業を戦略事業として拡充を行い、新規事業を含めた業容の拡大を目指す
・商業空間の建設事業を中核に確実な成長を遂げる
・技術者集団として品質・安全・環境・原価・生産性を追求する
・財務基盤の充実と安定を図る
・働きやすい職場を追求し、従業員一人ひとりの能力と働きがいを向上させる
・社会のニーズに常に対応し、環境の変化に負けない会社となる
③ 経営目標(2030年度〈2031年3月期〉)
・売上高1,000億円、営業利益率5%程度
・ROE8%以上
・配当性向30%程度
・自己資本比率50%以上
・D/Eレシオ0.3倍程度
・総資産900億円前後
・期末人員数800名前後
④ 投資計画
2030年度までに総額300億円を投資
[成長投資]……M&A等の活用 100億円
[不動産事業]…建設事業の収益補完 100億円
[海外事業]……ベトナム事業展開促進 30億円
[人材開発]……人的資本の拡充 40億円
[デジタル化]…デジタル化社会への対応 30億円
『中期経営計画(2023-2025)』
① 基本方針
建設事業の安定と事業領域の拡大・充実を図る
・事業の中核となる建設事業の安定
・持続的な成長に向けた事業領域の拡大
・ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の実践
② 経営目標
[財務目標]計画期間内での到達目標
・売上高930億円、営業利益率5%程度
・ROE8%以上
・配当性向30%程度(純資産額300億円超過時に検討)
[非財務目標]
・ESGマテリアリティの実行
③ 投資計画
・『ビジョン2030』の投資計画(総額300億円)から100億円程度を充当
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ(持続可能性)の実現に向け、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する当社の重点課題・目標を「ESGマテリアリティ」として設定し、その取り組みを通じて各課題の解決に寄与することが当社の企業価値向上につながるものと考えております。
その観点から、当事業年度におきましても代表取締役社長を委員長、各取締役(常勤でない監査等委員を除く)を委員とする「リスク管理委員会」を開催し、「ESGマテリアリティ」の進捗確認及び付随する諸問題への対応策について経営陣において情報共有を図るとともに、各委員間で議論を深めてまいりました。
(2)リスク管理
リスク管理委員会の諮問機関として、各本部横断の専門部会(環境部会・社会課題部会・ガバナンス部会)を設置し、サステナビリティを含む諸問題について検討を行い、リスク管理委員会への答申を行うことで、適切なリスク管理を行っております。
(3)指標・目標
当社は、「ESGマテリアリティ」に定めるESG(環境・社会・ガバナンス)に関する各取り組みを通じた目標の達成による社会課題の解決に向け、邁進しております。なお、その内容につきましては
(4)戦略
当社は、上記の専門部会において人的資本や気候変動等の諸問題について「リスク及び機会の選定」「影響度や要因の分析」並びに「対応策の立案」を実施し、リスク管理委員会への答申を経て、適宜、経営戦略に反映しております。なお、人的資本及び気候変動に係る対応状況は次のとおりであります。
① 人的資本
建設業においては、生産年齢人口の減少に伴う人手不足が深刻化し、技能労働者の高齢化も進行する等、慢性的な課題を抱える状況となっております。
当該状況下において、当社は長期経営計画である「ビジョン2030」における基本方針及び経営目標の達成に向け、「人的資本への投資(デジタル化・人材教育)」を拡充してまいります。人的資本への取り組みにつきましては、リスク管理委員会の諮問機関である社会課題部会において「従業員の育成」「採用の強化」「離職の防止」「働きがい向上」の4項目に主眼を置き、人事施策と連携させた新たな人材戦略の構築に向け、本部会内に設けた女性従業員にて構成された作業部会での検討と併せて議論を進めております。
その中で「従業員の育成」に関しましては、「当社のパーパス『品質・価格ともに顧客満足度の高い建物を提供できる対応力とサステナブルな社会のために、地球環境に配慮した建設事業者であること。』を体現できる創造性豊かで多様な人材の育成」を基本的な方針に置き、当社が求める人物像や知識・経験等を踏まえた教育計画の体系化に向けて、評価制度や研修制度の見直し等とともに議論を進めております。
「離職の防止」に関しましては、建設業における従業員の離職要因の一つが長時間労働であるとの認識のもと、労務管理の徹底や生産性の向上とは別に、現場作業所における業務量を平準化する取り組みが必要であることから、お取引先様のご理解も賜りながら建設工事における適正工期を確保する取り組みを進めております。
「働きがい向上」に関しましては、「生産性向上を通じたライフ・ワーク・バランスの充実」を基本的な方針とし、上記取り組みとは別にDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による時間外労働時間の低減に引き続き取り組むとともに、第三者サーベイを用いた従業員のモチベーションや心身の健康状況について把握・分析を行い、従業員との相互理解を進め、「採用の強化」にも資する働きやすい職場環境の構築を目指して議論を進めております。
② 気候変動
気候変動は、建設業の市場環境に影響を及ぼし得る重大な問題であり、当社としても「ESGマテリアリティ」における重点課題として「気候変動リスクへの取り組み」を掲げ、リスク管理委員会の諮問機関である環境部会において議論を進めております。具体的には新築工事の作業所における再生可能エネルギー由来の電気の使用や、建設機械等の燃料に付加することで燃費効率の改善に寄与する燃料促進剤の導入促進等、主としてScope1(自らの燃料消費等に伴う直接排出)及びScope2(他社から供給された電気等のエネルギー創出に伴う間接排出)のCO₂排出量の低減に取り組んでおります。また、Scope3(自社の事業活動に関連する他社による間接排出)につきましても、消費される一次エネルギーの削減を目的とした建築物であるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の推進等とともに、適宜対応を検討しております。
また、当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した上で、脱炭素社会へ移行する「移行シナリオ」、当該対策が実施されないことにより温暖化が進み、自然災害の発生リスクが増大する「物理的シナリオ」の2つのシナリオを設定し、2030年及び2050年時点における影響度を把握しております。なお、その内容につきましては当社ホームページに開示しておりますが、今後も環境部会による活動を通じて、適宜、その影響度や対応策の再検討を実施してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであるため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 受注環境と建設資材価格等の動向による影響について
「商業施設に強みを持ったオンリーワン企業」としての地位の確立を目指して、商業施設を中心に一般民間工事の新規顧客の獲得と原価管理の強化による利益の向上に努めてまいる所存でありますが、不透明さを払拭できない経済環境にあって、他社との受注競争の激化による工事採算性の悪化及び急激な建設資材価格や労務費の高騰による工事採算性の悪化が生じた場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 取引先の信用リスクについて
取引先に関する信用力や支払条件等の厳格な審査の実施に努めるとともに信用不安情報の早期収集等、可能な限り信用リスクの最小化を図っておりますが、景気の減速や建設市場の縮小等により、発注者、協力業者等の取引先が信用不安に陥った場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 工事代金の回収による影響について
今後の事業計画におきまして、商業施設に経営資源を集中し住宅関連工事の選別受注の強化を図ってまいる所存でありますが、請負代金の全額回収までに通常よりも期間を要する大型工事等を受注した場合には、キャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 施工上の契約不適合等による影響について
施工体制の強化を経営上の重点項目として捉え、品質管理に万全を期しておりますが、訴訟等により契約不適合責任を追及され損害賠償が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 保有資産の時価等の変動による影響について
有価証券・不動産・会員権等の資産を保有しており、これらの資産は将来において、時価の変動や使用状況等により財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 訴訟等のリスクについて
事業活動を行う過程において法令遵守に努めておりますが、訴訟等のリスクに晒される可能性があり、その結果によっては、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 災害発生に伴うリスクについて
地震、津波等の自然災害などの原因による予期せぬ災害が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境に改善の動きがみられるなか、各種政策の効果もあり、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締めに伴う影響など、海外景気の下振れによる景気を下押しするリスクや、物価上昇、金融資本市場の変動等による影響など、依然として不透明な状況が続いております。
建設業界におきましては、政府建設投資は堅調に推移しており、民間設備投資については、オフィス需要の回復や運送業の時間外労働の上限規制適用等を背景とした倉庫スペースの拡張や物流施設の増強など、持ち直しの動きがみられるものの、労働力不足や資材価格の高騰など、引き続き厳しい状況が続いております。
このような状況のなか、当社は、従前から培ってきたコア事業である「商業施設」建築のノウハウや企画・提案力を生かし、店舗等の新築・内装・リニューアル工事の建設需要に対して積極的な受注活動を行ってまいりました。さらに、商業施設を運営する事業者からの要請による大型物流施設の受注によって実績比率が増加しており、施工力の幅が広がってまいりました。
また、2024年4月1日より適用を受ける時間外労働の上限規制への対応に向けては、作業所をはじめ営業やバックオフィスでの生産性を高めるため、デジタル技術を活用した業務変革や新しい働き方に向けた環境整備を継続してまいります。
この結果、当事業年度の経営成績につきましては、売上高は963億7千3百万円(前期比9.4%増)となりました。
損益につきましては、完成工事高の増加や利益率の改善などにより売上総利益が増加したことから、営業利益は41億円(前期比53.7%増)、経常利益は40億2千万円(前期比55.5%増)、当期純利益は29億3千8百万円(前期比72.0%増)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
(建設事業)
受注高は981億6千4百万円(前期比22.7%増)となりました。完成工事高は932億6千4百万円(前期比6.4%増)となり、次期への繰越工事高は814億2千5百万円(前期比6.4%増)となりました。そして、セグメント利益は52億6千6百万円(前期比26.4%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業売上高は31億9百万円(前年同期は4億1千2百万円)、セグメント利益は6億3千9百万円(前年同期は1億7千9百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べ13億7千万円の資金の増加(前年同期は4百万円の資金の減少)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、18億8千2百万円の資金の増加(前年同期は12億7千6百万円の資金の増加)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益40億5千6百万円、仕入債務の増加52億7千7百万円、未成工事受入金の増加2億3千3百万円、主な減少要因は、売上債権等の増加55億3千8百万円、仕掛販売用不動産の増加21億3千万円、未成工事支出金の増加7億7千1百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4億1千7百万円の資金の増加(前年同期は1億1千6百万円の資金の減少)となりました。主な増加要因は、有形固定資産の売却による収入5億7百万円、主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出5千3百万円、有形固定資産の取得による支出3千2百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、9億2千9百万円の資金の減少(前年同期は11億6千4百万円の資金の減少)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入10億3千3百万円、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出11億2千4百万円、短期借入金の純増減額4千8百万円、配当金の支払額7億5千9百万円などであります。
③ 受注高、売上高及び繰越工事高の実績
a.受注工事高、売上高及び繰越工事高
|
期別 |
セグメントの名称 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期売上高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
建設事業 |
|
|
|
|
|
|
建築工事 |
84,169 |
79,862 |
164,031 |
87,518 |
76,513 |
|
|
土木工事 |
- |
139 |
139 |
127 |
11 |
|
|
計 |
84,169 |
80,002 |
164,171 |
87,646 |
76,525 |
|
|
不動産事業 |
- |
- |
- |
412 |
- |
|
|
合計 |
84,169 |
80,002 |
164,171 |
88,059 |
76,525 |
|
|
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
建設事業 |
|
|
|
|
|
|
建築工事 |
76,513 |
98,125 |
174,639 |
93,258 |
81,381 |
|
|
土木工事 |
11 |
38 |
50 |
5 |
44 |
|
|
計 |
76,525 |
98,164 |
174,689 |
93,264 |
81,425 |
|
|
不動産事業 |
- |
- |
- |
3,109 |
- |
|
|
合計 |
76,525 |
98,164 |
174,689 |
96,373 |
81,425 |
(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期売上高)であります。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されております。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
前事業年度 |
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
建築工事 |
16.1 |
83.9 |
100 |
|
土木工事 |
15.1 |
84.9 |
100 |
||
|
当事業年度 |
(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
建築工事 |
29.0 |
71.0 |
100 |
|
土木工事 |
100.0 |
- |
100 |
||
(注)百分比は請負金額比であります。
c.売上高
|
期別 |
セグメントの名称 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
65 |
87,452 |
87,518 |
|
|
土木工事 |
- |
127 |
127 |
|
|
計 |
65 |
87,580 |
87,646 |
|
|
不動産事業 |
- |
412 |
412 |
|
|
合計 |
65 |
87,993 |
88,059 |
|
|
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
1,014 |
92,243 |
93,258 |
|
|
土木工事 |
- |
5 |
5 |
|
|
計 |
1,014 |
92,249 |
93,264 |
|
|
不動産事業 |
- |
3,109 |
3,109 |
|
|
合計 |
1,014 |
95,358 |
96,373 |
(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額5億円以上の主なもの
|
㈱ニトリ |
ニトリ神戸DC新築工事 |
|
上新電機㈱ |
ジョーシン日本橋店/日本橋ビル建替工事 |
|
高橋㈱ |
ガーデンズ千早建替工事 |
|
JR西日本不動産開発㈱ |
VIERRA蒔田新築工事 |
|
銀座ホールディングス㈱/銀座ふれ愛パーク㈱ |
GINZA FOREST/g・bright新築工事 |
当事業年度 請負金額5億円以上の主なもの
|
芙蓉総合リース㈱ |
「JIYUGAOKA de aone」(自由が丘 デュ アオーネ)新築工事 |
|
イオンリテール㈱ |
イオンスタイル赤羽新築工事 |
|
第一交通産業㈱ |
グランドパレス大淀河畔新築工事 |
|
第一リアルター㈱ |
ロワジールホテル 京都東寺新築工事 |
|
イオンリテール㈱ |
イオンスタイル武蔵狭山新築工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
㈱ニトリ 12,393百万円 14.1%
当事業年度
該当事項はありません。
d.次期繰越工事高(2024年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
建築工事 |
297 |
81,083 |
81,381 |
|
土木工事 |
- |
44 |
44 |
|
計 |
297 |
81,128 |
81,425 |
(注)次期繰越工事のうち請負金額5億円以上の主なものは、次のとおりであります。
|
三菱地所レジデンス㈱ |
三郷市三郷1丁目計画新築工事 |
2024年7月完成予定 |
|
㈱ニトリ |
(仮称)ニトリ福岡DC新築工事 |
2025年1月完成予定 |
|
IS鳥栖開発1号特定目的会社 |
(仮称)九州センコーロジ株式会社鳥栖物流センター新築工事 |
2025年2月完成予定 |
|
大阪ロジスティクス特定目的会社 |
LOGIPORTAL大正新築工事 |
2025年3月完成予定 |
|
青梅駅前地区市街地再開発組合 |
青梅駅前地区第一種市街地再開発事業に係る建設工事 |
2026年3月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態の分析
当事業年度の資産合計は639億2千万円、負債合計は338億4千万円、純資産合計は300億8千万円となり、前事業年度と比べて総資産は82億6百万円増加しております。
a.流動資産
現金預金が13億7千万円、受取手形が24億6千1百万円、電子記録債権が14億6千5百万円、完成工事未収入金等が16億1千1百万円、販売用不動産が32億3千9百万円、仕掛販売用不動産が21億3千万円増加したことなどにより、流動資産は前事業年度と比べて136億5千万円増加しております。
b.固定資産
建物が11億3千8百万円、土地が45億6百万円減少したことなどにより、固定資産は前事業年度と比べて54億4千4百万円減少しております。
c.流動負債
工事未払金が44億6千7百万円、短期借入金が20億4千1百万円増加したことなどにより、流動負債は前事業年度と比べて78億9千万円増加しております。
d.固定負債
長期借入金が21億8千1百万円減少したことなどにより、固定負債は前事業年度と比べて22億3千3百万円減少しております。
e.純資産
利益剰余金が前事業年度に係る剰余金の配当及び中間配当により7億6千2百万円減少しましたが、当事業年度において当期純利益を29億3千8百万円獲得したことなどにより、21億7千6百万円増加しました。
その結果、純資産は前事業年度と比べて25億4千9百万円増加しております。
② 経営成績の分析
経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりで、キャッシュ・フロー指標は次のとおりであります。
|
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
46.5 |
49.4 |
47.0 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
23.4 |
23.2 |
28.6 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債 比率(年) |
7.8 |
4.5 |
3.0 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
9.7 |
16.9 |
20.9 |
|
(注)自己資本比率 |
:自己資本/総資産 |
|
時価ベースの自己資本比率 |
:株式時価総額/総資産 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
:有利子負債/キャッシュ・フロー |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
:キャッシュ・フロー/利払い |
1.いずれの指標も財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
3.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。当社では、取締役会等において決議された翌事業年度の事業計画に基づき回収可能性を検討しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、前提とした条件や仮定に変更が生じ、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
b.減損会計による将来キャッシュ・フロー
「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる資産又は資産グループについて、主に当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。当社では、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、市場環境の悪化等により収益性が低下した場合には、割引前将来キャッシュ・フローの総額が減少することで減損損失が計上される可能性があります。
c.販売用不動産及び仕掛販売用不動産の評価
当社が保有している販売用不動産及び仕掛販売用不動産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しており、期末に帳簿価額と正味売却価額を比較し、正味売却価額が帳簿価額を下回っている場合には、販売用不動産及び仕掛販売用不動産に係る評価損として計上しております。当社では、経済情勢や不動産市況の悪化等により、収益性が低下した場合には、正味売却価額が下落することで、販売用不動産及び仕掛販売用不動産に係る評価損が計上される可能性があります。
d.工事原価総額の見積り
工事原価総額の見積りについては、当初は工事契約に関する実行予算によって算出しております。当社では、実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づき、施工条件や建設資材価格等について仮定を設定し、作業効率等を勘案して工種ごとに詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積り、工事着工後完成に至るまでは、作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の検討・見直しを行っております。このように気象条件、施工条件、建設資材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる可能性があります。
e.工事損失引当金の計上
工事契約について、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額のうち、当該工事契約に関して既に計上された損益の額を控除した残額を、超過が見込まれた期の損失として処理し、工事損失引当金を計上しております。当社では、工事原価総額を合理的な方法により算定しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、将来において認識される経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(取得による企業結合)
当社は、2024年5月27日開催の取締役会において、片岡工業株式会社の全株式を取得し、子会社化することを決議しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
建設事業及び不動産事業において、重要な研究開発活動は行われておりません。