第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、以下のミッション・ビジョンを経営の基本方針の柱として事業活動を行っております。

◇ ミッション 「新しい知識社会の創造」

 当社は、単なるデータの処理・管理といったビジネスの領域を超え、当社サービスを知識社会における最も優れたサービスとして進化させます。また、多くのお客様にご利用いただくことにより、新しい知識社会創造の担い手になることが当社の使命と考えます。

 

◇ ビジョン 「知識の集約により顧客の業務に革命を 顧客の資産に価値向上を」

 当社の提供価値は、お客様の業務を限りなく深化させ、飛躍的に効率化することにより、お客様の業務に革命をもたらすことです。そして、そのことを通じてお客様が運用・管理している資産の価値向上に貢献することです。そのために当社は、卓越した知識の集約・マネジメント方法をお客様に提供します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 ミッション・ビジョンに基づいた以下の3項目を中長期的な経営方針としております。

経営方針

Ⅰ.不動産からあらゆる資産に~ターゲット市場の拡大と提供機能の深化を目指す

 創業以来、当社は投資用不動産マーケットを主なビジネスドメインと捉え、管理業務支援などの価値提供に努めてきました。今後は企業や公共の不動産分野、事業用施設・固定資産分野、都市基盤・インフラ分野へビジネスドメインを拡大していきます。この活動を通じて、「新たな顧客を創造」していきます。

 

Ⅱ.挑戦し、自らを変革する中長期志向の経営

 めざましい進歩を遂げる情報技術の潮流の中で長期的に存続し、成長するためには自らの技術や事業を研鑽し、変革していく必要があります。当社のクラウドサービス、それを支える社内体制を絶えず新たな次元へ進めるべく挑戦します。このような挑戦的な経営基盤を作るため、中長期志向の人材育成やパートナー企業との連携強化に取り組みます。

 

Ⅲ.斬新かつ卓越したクラウドサービスの創造

 当社は、国内でのパイオニア(先駆者)として画期的なクラウドサービスを提供してきました。顧客業務の深い理解から、これを飛躍的に効率化するさまざまな工夫を積み重ねてきました。最先端の情報技術を応用し、「究極の業務効率化」や「効果的な知識の集約」を実現する、斬新かつ卓越したクラウドサービスの創造に挑みます。

 

(3)経営環境

 当社グループは不動産・施設の運用管理を支援するクラウドサービス「@property」を不動産に関わる様々な業種や業態の企業に提供しており、経営環境については、当社グループが事業を展開するパブリッククラウドサービス市場と当社グループの顧客の事業に大きな影響がある不動産市況の動向を重視しております。

 当社グループが事業を展開している国内パブリッククラウドサービス市場は、新しい生活様式に基づく働き方(在宅勤務、テレワーク等)による仕事のデジタル化推進、またデジタルトランスフォーメーションを優先度の高い経営課題と認識する企業の増加等を背景に、その有用性が再認識されており、今後も拡大傾向にあると考えております。

 不動産市況については、日本の不動産資産規模は約2,606兆円と言われており、当社グループのビジネス領域である法人所有不動産と公的不動産の試算規模は約1,320兆円と膨大です。当社グループはその中でもターゲット市場をREIT・ファンド市場と一般事業会社等の2つに分類しております。この2分野のうち、REIT・ファンド分野においてはデファクトスタンダードの地位を確立しているものの、一般事業会社等においては、REIT・ファンド分野よりも市場規模が大きく、シェア拡大の余地が大きいと考えております。

 不動産業界は、IT化が遅れていると言われており、生産性の向上や業務効率化が経営課題となっております。不動産は各地に点在しており、従来のパッケージ製品等による管理では情報の一元管理が難しく、不動産統括部門や経営者等に対しスピード感を持った経営指標の提示を困難なものとしています。インターネットを介してサービスを提供しているクラウドサービスは、全国各地における不動産情報の一元管理を容易にするため、不動産とクラウドサービスの親和性は非常に高く、今後も当社グループの事業規模は拡大するものと考えております。

 

(4)経営戦略

 2024年3月期は中期経営計画の2年目にあたり、中期経営計画最終年度の目標にむけて積極的に投資を行ってまいりました。これにより、当社では新サービスの立ち上げを行ってまいりました。

 現在、当社グループは、第二創業期を迎えていると考えております。すなわち、「@property」からの収入が当社の収益の大半を占める状況から、連結子会社及び新サービスの拡大により、収入源が多様化する状況に変化しつつあります。更に、顧客基盤も、従来の不動産のアセット・オーナーから、他業種(製造業・小売業等)の不動産を立地としてビジネスを展開している企業に拡大をしてきております。

 当社事業の範囲が拡大する一方、当社は「パブリック・クラウド」が事業の根幹であることへの再認識、その一方、時流に沿うべく変更を加えるべき点もあるとして、2025年3月期の経営コンセプトとして「原点継承×仕組革新」を据えた事を、2024年3月19日に公表させて頂いております。当社としては、創業来、「パブリック・クラウド」、「ワンソース・マルチユース」で事業を展開してきており、更に、現在では時流となった「月額課金モデル」を採用しております。当社としては、この原点を継承しつつ、一方、変革すべき点は積極的に取組んでいくことを上記の経営コンセプトは意図しております。

 また、「PDB-Platform」という新しいコンセプトを発表しております。これは、当社が「@property」を運営してきている中で長年培ってきたデータセンターの運用ノウハウなどのインフラ関連技術、お客様のニーズに対応しながら開発してきた多種多様な機能群を「PDB-Connect」、その「PDB-Connect」をベースとして開発したサービスを「PDB-SaaS」とし、両者を統合した一気通貫のサービス群を「PDB-Platform」と呼称しております。2024年3月期に新規にローンチした「@commerce」や、大幅にリニューアルした「@knowledge」はこの「PDB-Connect」に依拠したサービスとなっております。

 

戦略

主な事業

内容

事業戦略

クラウドサービス事業

・クラウドサービスはERP提案による案件大型化を目指す

・一般事業会社への提案を拡大

ソリューション事業

・ソリューションサービスでのBPR案件による案件大型化を継続

その他

■プロパティデータテクノス社

・不動産関連文書のデジタル化サービスを拡大

・文書管理ソリューションの提案拡大

・BPO事業に進出

■プロパティデータサイエンス

・「Speed ANSWER(スピードアンサー)」を店舗の出店段階から、出店後の運営管理まで担う総合店舗運営 管理サービスに転換し、拡販に注力する

■新規サービス

新サービスを複数開発中

・Speed ANSWER for Web(仮称)の開発

・DXプラットフォームの開発

・@knowledgeを今夏に全面リニューアル

・BIMは事業化を推進

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループを取り巻く事業環境は、今後も成長拡大が予想されておりますが、以下を事業拡大のための対処すべき重要な課題と認識しております。

①案件営業力及び執行力の増強

a.営業力の強化

 案件獲得には、顧客業務の現状及び問題点を理解し、その解決方法を的確に示す提案型営業を推進する必要があります。

 提案型営業を可能とする営業担当の力量の例として、REIT・ファンド市場における最新の不動産投資業務への精通、一般事業会社等における多様化する企業不動産(CRE)戦略への理解、労働集約的な作業実態に起因した業務の非効率性に関する洞察等を挙げることができます。多くの営業担当が有すべき、これら力量の向上は、安定的な案件獲得と当社の事業拡大にとって不可欠であると考えております。そのため、上記の業界及び業務に精通した営業担当を育成するため社内勉強会や外部セミナーを利用し、営業力の強化を図ってまいります。

b.案件執行力の強化

 受注したソリューション案件を確実に消化し、売上計上するための執行力が必要と考えております。現在、ソリューション案件に係る人材は、最大のパフォーマンスを発揮し、案件執行において問題は発生しておりませんが、案件は増加傾向にあり、将来的には、開発部門の人員の更なる能力向上やアウトソーシングの利用等に拠るソリューション案件の執行力強化を図ってまいります。

 

②「@property」の競争力の維持・向上

 当社グループは、REIT・ファンド市場及び一般事業会社等における業界標準システムとしての地位を確立するため、費用対効果を見極めながらプロモーション活動の実施、またAI等の先端技術の導入も含めたサービスラインナップの充実に努め、「@property」の競争力の維持・向上を図ってまいります。

 

③ガバナンス体制の維持・向上

 当社グループは、現在の人員構成に応じた内部管理体制や業務執行体制を構成しておりますが、業容拡大に備え、今後一層の企業成長を果たすために、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの充実に取り組む必要があると考えております。そのために、更なる内部統制の強化、情報セキュリティマネジメント及び事業継続マネジメントを内部統制委員会、ISMS・QMS委員会、事業継続委員会活動により継続的に取り組み、事業活動により生じるリスクをコントロールし、業務体制の強化を図ってまいります。

 

④人材の充実

 組織力、商品力、営業力を高める上で、組織を構成する一人ひとりのレベルアップが不可欠であります。このため当社グループでは、継続的な採用活動及びプロジェクトマネージャー等の専門性を有するスペシャリストとしての力量獲得に向けた社内教育を推進し、事業を更に拡大できる組織体制の強化に取り組みます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、現在の人員構成に応じた内部管理体制や業務執行体制を構成している一方で、早くから内部統制のフレームワークであるCOSOフレームワーク※を採用し、コンプライアンス委員会、内部統制委員会、安全衛生委員会、ISMS・QMS委員会、事業継続委員会の5つの委員会を設け、それぞれの委員会で、統制環境、リスク評価、統制活動、情報と伝達、モニタリングの5つの構成要素に基づき、年間を通してリスクや機会を監視し、および管理するためのサイクルを回してきました。

 今後は、一層の社会貢献や企業成長を果たすために、これらのフレームワークに基づき、サステナビリティ関連の取り組みを、強化・充実していく必要があると考えております。

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※トレッドウェイ委員会組織委員会(Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission、略称COSO)の発行したレポートで提示された内部統制のフレームワーク

 

 当社グループのサステナビリティに関するガバナンス、リスク管理、重要な戦略、並びに指標および目標、人的資本に関する重要な戦略、並びに指標および目標は、次のとおりであります。

 

(1)ガバナンスおよびリスク管理

① ガバナンス

 サステナビリティに関連するリスク・機会については、経営計画に織り込まれるとともに、その性質によっては個別に問題提起し、対策を立てて対処しております。

 こうした取り組みについて、代表取締役社長を含む経営幹部を中心に、内部統制委員会、ISMS・QMS委員会、事業継続委員会、コンプライアンス委員会、安全衛生委員会の5つの委員会を中心とする、各機能組織を通じてこれらの推進を図っております。これらの委員会では、COSOフレームワークを採用し、年間を通してリスクや機会を監視し、および管理するためのサイクルを回しております。

 また、取締役会においては、経営計画の進捗状況と、重要性の高いものについては個別のサステナビリティ関連対応についても、適切な監督・助言を行っております。

 

② リスク管理

 サステナビリティに関連するリスク・機会については、機能組織ごとに事業への影響の有無によって識別し、影響度合いの大きさによって評価しております。

 その中で直接的な影響の大きなものについては、前述の5つの委員会を中心とする、機能組織ごとに個別に問題提起するとともに対策を立案し対処しております。また、外部環境要因に起因するような影響については、主に事業活動を行うための外部環境要因としてとらえ、事業方針・経営計画に織り込まれることで対処されます。

 これらの識別・評価・管理の活動は各機能組織が責任と権限を有して行われますが、特に重要性が高いと評価されるものについては、経営幹部による検討の上、経営者または取締役会において決定されます。

 また、これら各組織機能を主体とした取り組みは、経営者によって統括され、状況によって全社の経営的な見地と中期経営計画との整合性の観点から、適切な資源配分と優先順位付けがなされます。

 

 

(2)重要な戦略並びに指標および目標

① 戦略

 クラウドサービスを提供する当社グループでは、短期、中期および長期にわたり連結会社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスクおよび機会として、データセキュリティ、従業員参画と人材多様性の2つを重要視しております。

 データセキュリティに関するリスクと機会を識別・評価・管理するための取り組みとして、情報管理(Information Security Management System。以下、ISMS)に関する国際規格であるISO27001とクラウドセキュリティに関する国際規格であるISO27017を取得・維持しております。

 情報セキュリティマネジメントシステムやクラウドセキュリティに関するISOの定める国際規格に則った認証を取得することは、データセキュリティに関連するリスクおよび機会を識別・評価・管理するとともに、個人情報を含む情報全般に関して適切な管理体制を構築し、かつ運用していること、さらにクラウドサービスに起こりうるリスクに対しても対策を講じていることを示すことになります。

 そして、それらが当社システムおよびサービスを利用する顧客・社会に安心感をもたらすことで、ビジネス機会の創出にもつながっております。

 また、データセキュリティに対する取り組みとして、当社は「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」の認定を取得しており、「@property」に関するサーバーを設置しているデータセンターは国内3拠点で同時稼働させることにより、顧客は止まらないシステムとして安定的に「@property」を利用することができます。

 従業員参画と人材多様性に関するリスクと機会を識別・評価・管理するための取り組みにつきましては、後述の(3)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標および目標に記載しております。

 

② 指標および目標

a.指標

・データセキュリティ

ISO27001認証およびISO27017認証に基づく、ISOの定める国際規格に則った高度な情報セキュリティマネジメントシステムやクラウドセキュリティ体制の構築および運用。

・従業員参画と人材多様性

後述の(3)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標および目標に記載しております。

b.目標

・データセキュリティ

ISO27001認証およびISO27017認証の維持

・従業員参画と人材多様性

後述の(3)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標および目標に記載しております。

 

 

(3)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標および目標

 会社が継続的に成長し、組織力、商品力、営業力を高めていくためには、中長期的な視点に立ち、組織を構成する一人ひとりがレベルアップしていくことが不可欠であります。

 このため当社グループでは、2022年度より、新人事制度を導入し、「職責」「専門性」「パフォーマンス」の3つの観点から、社員を処遇・支援すると共に、継続的な採用活動およびプロジェクトマネージャー等の専門性を有するスペシャリストとしての力量獲得に向けた社内教育を推進し、事業を更に拡大できる組織体制の強化に取り組んでおります。

 人材の多様性を含む、人的資本に関する当社グループの戦略並びに指標および目標は、以下の通りです。

 

① 戦略

 人的資本に関連するリスクおよび機会に対処するための取り組みとして、女性労働者や中途採用者など、人材の多様性を確保する方針をとっております。

 当社グループでは、女性役員の登用をはじめとする、女性の活躍を積極的に推進しており、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定制度(えるぼし)の認定基準の1つである、労働者に占める女性労働者の割合も33.8%と、情報通信業界の平均25%※を大きく上回る実績を残しております。

 また、中途採用を積極的に進める中で、特定の仕事ができる人をその職務にアサインするジョブ型雇用人事制度を浸透させていくと共に、人材の多様性に加え、採用形態も正社員のみならず、派遣社員や外注社員を積極的に登用しており、多様な契約形態に基づいた人材の確保に努めております。

 当社グループでは、貢献した人が公正に報われることにより、優秀な人材を吸引・確保・育成できる人事制度を確立、運用することを目指し、2022年度より、新人事制度を導入しました。「職責に応じた処遇」により、責任(職責)の明確化と職責の大きさに応じた処遇を行い、「専門性を伸ばすための成長支援」により、「職系」を導入し職務ごとの専門性レベルの具体化を図り、「パフォーマンスに応じたメリハリのある処遇」により、貢献した人がより高い処遇を受け取れる制度を実現しました。これら3つの観点を柱としており、中長期的な観点から「人」と「仕事」のレベルアップの実現を目指しております。

 人材開発につきましては、多様な分野出身の人材を経営者候補として選出し、事業の最前線に登用すると共に社内外の研修などを行い、長期的且つ計画的な育成を図っています。更に、従業員の教育研修につきましても、従業員の技能向上と業務上必要な力量を身に付けることを目的に、教育研修規程や資格取得報酬制度の制定を行い、社内外の教育研修および自己啓発支援など、職場における教育の推進を行っております。

 加えて、企業全体で健康づくりに取り組むために、関東ITソフトウェア健康保険組合と健康保険組合連合会東京連合会のサポートの下、2023年2月に健康企業宣言を行いました。健康経営を行うための職場の健康づくりに取り組む環境を整える「STEP1」として、「100%健診受診」を宣言するほか、①健診結果活用、②健康づくり環境の整備、③食、④運動、⑤禁煙、⑥心の健康の6項目に取り組むことを宣言し、「銀の認定」取得を目指しながら、従業員本人およびその家族の健康づくりや職場環境の整備を進めています。

 当社グループは、人材教育や職場環境に関するこれらの取り組みにより、従業員参画、エンゲージメントの向上に努めて参ります。

※雇均発0531第1号(令和5年5月31日)、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定制度に係る基準における「平均値」について」より引用

 

② 指標および目標

a.指標

労働者に占める女性労働者の割合

 2024年3月末時点での当該割合は、33.8%(連結ベース)。

・当社と情報通信業における通常の労働者に占める女性労働者の割合の推移

 

2021年度

2022年度

2023年度

当社グループ

39.5%

33.8

当社

38.9%

38.6%

34.0%

情報通信業

23.3%

24.0%

24.9%

 

b.目標

 人的資本の指標とする、当社における通常の労働者に占める女性労働者の割合を、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定制度に係る基準における情報通信業の平均値以上に維持すること。

 

 環境に関する取り組みにつきましては、当社グループはパブリッククラウドサービスの草分け的な存在として、創業来、パブリッククラウドサービス「@property」を顧客へ提供してきました。日本の企業や公共機関がオンプレミス(自社所有)のデータセンターからクラウドへワークロード(IT関連業務)を移行することで、エネルギー消費量とそれに付随する二酸化炭素(CO2)排出量を77%削減することが可能であるとするレポート(※1)もあり、当社グループは長きにわたり、顧客の消費電力の省力化に貢献してきました。「@property」から進化した「PDB-Platform」においても、顧客の消費電力の省力化に貢献してまいります。

 また、パブリッククラウドサービスを顧客に提供することで、顧客の業務のペーパーレス化にも貢献を続けております。

 パブリッククラウドサービスの提供に加え、次のような取り組みも行なっております。

1)「@property」サービスによる効率的なBuilding and Energy Management System(BEMS)連携やBuilding Information Modelling(BIM)管理の全業界への普及を推進することにより、エネルギーの一層の効率運用管理や建物価値の長寿命化の実現を目指しております。

2)2022年3月に本社ビルをグリーンビルディングへ移転しました。非常に優れた「環境・社会への配慮」がなされたビルとして、DBJ Green Building 認証(※2)の3Starを取得しております。

 

※1:Amazon Web Services社の委託により、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス社傘下の調査会社である451Research社が作成

※2:DBJ Green Building認証は、「環境・社会への配慮」がなされた不動産(Green Building)を支援するために、2011年に日本政策投資銀行(DBJ)が創設した認証制度で、以下の5つの評価軸による総合的な評価を行っています。

①建物の環境性能を表すEnergy & Resources

②テナント利用者の快適性を表すAmenity

③多様性・周辺環境への配慮を表すCommunity & Diversity

④ステークホルダーとの協働を表すPartnership

⑤危機に対する対応力を表すResilience

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)事業内容に関するリスク

① クラウド市場の動向について

 当社グループは「@property」を国内中心に事業展開する事業セグメントを主要な事業としております。当社グループが事業を展開している国内パブリッククラウドサービス市場は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を、優先度の高い経営課題と認識する企業の増加に伴い、拡大傾向にあるものと見込んでおり、国内パブリッククラウドサービス市場を基盤とした事業を引き続き展開する計画であります。

 しかしながら、今後、経済情勢や景気動向により国内パブリッククラウドサービス市場の成長が鈍化し、IT投資の動向が減退するような場合は、新規受注の減少によりソリューションサービスの売上高が減少し、その後クラウドサービス売上高の伸張が鈍化し、当社グループが掲げる2022年度~2026年度中期経営計画を達成できない可能性があります。

 現状、国内パブリッククラウドサービス市場の急激な成長鈍化は考えにくく、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においては低いと考えます。

 なお、当社グループは当該リスクに対応すべく、国内パブリッククラウドサービス市場を含め外部環境の状況等の情報収集を常時行っており、成長鈍化の兆候など変化が確認された場合は、取締役会等で対応策を検討する体制を取っております。

 

② 「@property」事業へ依存していることへのリスク

 当社グループの主要な事業である「@property」事業は、不動産・施設の運用管理を支援するクラウドサービス「@property」に依存した事業であり、当社グループの売上高91%、営業利益の97%を占めております。当社グループとしては、「@property」に依存した状況の改善を図るだけでなく、中期経営計画でお示しした成長率の拡大に向けて、新しいサービスの拡充を行っております。

 「@property」利用顧客の業種は多岐にわたり、特定の業界事業環境の変化による影響は分散され、リスクは軽減されております。また、当社グループは不動産運営に関わる全ての情報をデジタル化し顧客の業務を根幹から支える「不動産DX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム」を目指し、提供サービスの拡充を図っています。

 「@property」の収益のうち、クラウド収入は保有棟数で変化するため、何かしらの景気の変動、不動産事業の事業環境の変化があったとしても収益へのインパクトは僅少です。一方で、ソリューション収益は、外部要因による収益変化を受ける可能性が相応にあります。当社の経営の方向性としては、クラウド収益を確実に成長させることにより、収益の安定化めざしております。

 現状、「@property」の競合となるサービスの参入は見受けられませんが、資金力を有した企業の新規により、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

③ 「その他」事業の成長リスク

 当社グループの「その他」事業は、データサイエンス事業、文書デジタル化事業等があります。これらの事業は、2022年度~2026年度中期経営計画の1~2年目においては利益貢献をあまり見込んではおりませんが、2022年度~2026年度中期経営計画の3~5年目においては、一定程度の利益貢献を見込んでおります。

 当社グループは、当社業務執行取締役と子会社代表取締役で構成するグループ会議を定期的に開催し、各社のリスク等を共有し、課題解決を図っております。また、フロンティア事業推進チームにて、これらの事業の事業推進サポート及び「@property」事業とのシナジーを創出しております。

 しかしながら、データサイエンス事業、文書デジタル化事業等の成長が計画通りに進まなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。

 

④ 競合他社の動向

 当社グループよりも資金力、ブランド力を有する企業の参入や全く新しいコンセプト及び技術を活用したシステムを開発した企業が出現するなど競争環境や事業環境が大幅に変化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 資金力を有した企業の新規参入などにより、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 なお、当社グループは当該リスクに対応すべく、ユーザーの声を反映し、常に進化するパブリッククラウドサービスとしてサービスのクオリティを向上させ他社との差別化を図っております。更に当社グループは不動産運営に関わる全ての情報をデジタル化し顧客の業務を根幹から支える「不動産DX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム」を目指し、提供サービスの拡充を図り参入障壁を高めております。

 

⑤ 知的財産権

 当社グループは商標権等の知的財産権及び当社グループに付与されたライセンスの保護を図っております。しかしながら、当社グループが使用する技術・コンテンツ等について、知的財産権等の侵害を主張された場合、当該主張に対する対応や紛争の解決のための費用などの損害が発生する可能性があります。前記のような理由で、将来当社グループの特定コンテンツやサービスの提供または特定の技術の利用に制限が課せられた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 意図せず他人の知的財産権を侵害することが起こり得、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑥ 情報管理と情報漏洩

 当社グループは顧客情報、業務上知り得た個人情報や役員及び従業員の個人情報等その重要性について全社を挙げて十分に認識し、情報セキュリティマネジメント活動を推進するとともに情報資産の保護とセキュリティレベルの維持向上を図っております。情報漏洩の約7〜8割は「管理ミス」「誤操作」「紛失・置き忘れ」など、ヒューマンエラーによるものと言われており、情報セキュリティマネジメント活動をPDCA(Plan-Do-Check-Act)モデルに基づき構築・運用し、役員及び従業員への教育、研修を通じて情報管理の基盤を強固にしております。

 また、サーバー等機器類の廃棄処分は、磁気記憶媒体の物理破壊・磁気消去を絶対条件として実施し情報漏洩の防止に努めております。

 技術的には、不正侵入防御システムの導入など、多層防御による対策を取り、リスクの低減に努めております。

 更に、万が一の予期せぬ事態による情報流出に対応するため、一定額までの保険を付保しております。

 しかしながら、情報の収集や管理の過程等において想定を超えるサイバー攻撃や不測の事態により顧客情報の漏洩等が発生した場合、当社グループの責に帰すべき事由の有無に関わらず、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、当社グループへの高額な損害賠償請求が発生する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。

 

⑦ システム障害

 当社グループは、信頼性を備えた機器の多重化や国内三つのデータセンターの三拠点化によりシステム障害への対策を実施したシステム基盤を整えております。しかしながら、想定外の事象によりシステム障害が発生した場合、一時的なサービスの提供の停止などの事態も想定され、この場合は、利用料の減額による売上高の減少が発生いたします。また復旧に時間を要し、顧客に損害を与えた場合は、損害賠償請求を求められ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑧ インターネットの通信インフラ環境

 当社グループの主要なサービスである「@property」はクラウドの特性上、インターネットを経由し提供されており、通信インフラ環境に依存しております。安定的なサービス提供のために社内体制整備、サーバー設備強化等を行っておりますが、通信インフラ環境にトラブルが発生し通信速度の低下や通信不能となり、これが長期間に及んだ場合、当社グループの事業に制約が生じることとなり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑨ 技術革新への対応について

 クラウドサービス分野は、新技術の開発が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。このため、技術革新への対応が遅れた場合、当社グループの競争力が低下し、結果として当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは当該リスクに対応すべく、代表取締役社長直属の次世代戦略プロジェクトチームを設置し、競争力のあるサービス提供に努めております。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑩ 事故や自然災害によるリスク

 当社グループでは、「@property」の顧客データを国内三つのデータセンターに置き、サービスとデータの相互バックアップを行うことにより事故や自然災害時にもサービスを継続する体制を構築しております。しかしながら、三つのデータセンターが同時に機能停止した場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。また、当社グループの事業所は東京都にあり、首都圏で地震や津波等の自然災害や事故、火災、テロが発生し、損害を被った場合、事業活動の継続に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 首都直下型地震などの大規模な地震の発生とそれに伴う大津波、また、異常気象による大規模な水害等、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑪ 新型コロナウイルス等、感染拡大によるリスク

 当社グループの事業は、サービスをクラウドで提供しており、感染症拡大といった危機発生時においても継続してサービスを提供することが可能となっております。

 しかしながら、当社グループの役員及び従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染が拡大した場合、進行中のプロジェクトの遅延、新規営業活動の停止などにより、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応すべく、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。

 新型コロナウイルスが感染法上の分類においてインフルエンザと同じ「5類」に移行したものの、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑫ 顧客ニーズに応じたサービスの提供

 当社グループの主要なサービスである「@property」はクラウドサービスの強みを生かし、顧客のニーズを常に捕捉し機能の改善・進化を図っております。具体的には、2023年3月に取得したISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)の活動に基づき、顧客フォロー等を通じた顧客ニーズの吸い上げによりクラウドサービスの改善に努めています。しかしながら、対応(開発)の大幅な遅れ等、顧客の期待どおりのサービスの改善・進化が行われなかった場合、解約により売上高が減少し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑬ システム開発プロジェクトの管理

 当社グループのシステム開発プロジェクトは想定される工数をもとに見積りを作成し管理をしておりますが、見積りの誤りや作業の遅れ等により超過コストが発生し、プロジェクトの採算悪化や検収遅延等により売上計上や代金回収の遅れが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 昨今、当社グループでは1年を超える大型プロジェクトが増加傾向にあります。大型プロジェクトは、中小型プロジェクトに比べ、プロジェクト管理の難易度は高く、見積りの誤りや作業の遅れ等によりプロジェクトの採算が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす潜在リスクが顕在化する可能性が高まっていると認識しています。

 当社グループは当該リスクに対応すべく、2023年3月に取得したISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)の活動に基づき、事業部門と管理部門が連携し月次で予算実績管理を行い、プロジェクトの採算悪化の防止に努めています。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑭ 売上計上時期の期ずれについて

 当社グループのソリューションサービスにおいては、受注したプロジェクトの規模や内容が予想と乖離し、納品時期が変更となり、その結果売上計上が翌四半期あるいは翌事業年度に期ずれする場合があります。期ずれした金額の大きさによっては各四半期あるいは事業年度における当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 昨今、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する方法を適用する案件が増加し、期ずれのリスクは減少しているものの、検収基準による案件も引き続き多く存在することから当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

 

⑮ 売上高の時期偏重に伴う経営成績の変動について

 当社グループのソリューションサービスにおいては、受注先の新年度(4月)からのシステム運用開始の傾向から、他の四半期に比べ売上高が第4四半期会計期間に偏重する傾向があります。そのため、何らかの理由で検収の遅延が発生した場合、売上高が翌期の計上となる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 「⑭売上計上時期の期ずれについて」にて記載のとおり期ずれのリスクは減少しているものの、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 なお、第23期事業年度及び第24期事業年度における四半期別の売上高及び営業利益の構成は、次のとおりであります。

 

 

第23期事業年度(単体)

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

 

第1四半期

会計期間

(4-6月)

第2四半期

会計期間

(7-9月)

第3四半期

会計期間

(10-12月)

第4四半期

会計期間

(1-3月)

通期

売上高(千円)

511,911

620,943

678,664

1,021,365

2,832,885

営業利益(千円)

67,050

148,402

163,295

444,134

822,883

 

 

第24期連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

 

第1四半期

会計期間

(4-6月)

第2四半期

会計期間

(7-9月)

第3四半期

会計期間

(10-12月)

第4四半期

会計期間

(1-3月)

通期

売上高(千円)

580,500

659,935

536,022

740,003

2,516,461

営業利益(千円)

52,672

145,609

3,075

232,913

434,271

 

 

⑯ 一定の期間にわたり履行義務が充足されるカスタマイズ案件等の原価総額見積りの変更に伴う経営成績の変動について

 プロジェクト原価は、通常、請負契約ごとの作業工数及び外注費の仮定に基づく見積りを行いますが、特に一定の期間にわたり履行義務が充足されるカスタマイズ案件等のプロジェクト原価については、事業部門だけでなく管理部門も参画してレビューを実施することにより、一定の期間にわたり履行義務が充足されるカスタマイズ案件等による売上高の過少計上・過大計上が生じないようにするための予防的措置をとっております。

 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動や顧客からの仕様追加や変更等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において、一定の期間にわたり履行義務が充足されるカスタマイズ案件等による売上高の金額に重要な影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

⑰ 法的規制について

 当社グループの主要事業が属するクラウドサービス分野では、総務省より「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」が公表され、「ASP・SaaS安全・信頼性に関する情報開示認定制度」が創設されております。当社グループは、情報セキュリティ対策ガイドラインによる情報セキュリティの確保に努めたことにより2008年に同制度の認定を取得しました。また、「データセンターの安全性・信頼性に係る情報開示指針」に準拠した情報開示に基づきデータセンターを選定しております。しかし、クラウドサービス分野やインターネットを規制対象とする法令等の改正があった場合、事業が規制され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループは当該リスクに対応すべく、IT、不動産関連等の各種団体に加入し当該団体を通じ事業に影響のある法令改正等の情報収集を行っております。影響がありそうな改正は経営層で情報共有され必要に応じ取締役会等で議論し対応策を講じております。

 

 

(2)事業体制について

① 特定人物への依存

 当社代表取締役会長である板谷敏正は、当社の創業者であります。

 当社グループは、板谷敏正に過度に依存しない経営体制を整備するため、サクセッションプランを作成し2022年4月1日付で武野貞久が当社代表取締役社長に就任しております。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においては低いと考えます。

 

② 特定の外注先に依存していることについて

 当社グループは、主要なサービスである「@property」の機能強化や顧客カスタマイズ等のシステム開発を外部に委託しています。このうち委託先である株式会社パラダイム・システムズについては、2024年3月期において、当社グループの外部委託(製造原価及びソフトウェア開発における外注加工費)全体の約4割を占め、同社に依存しております。当社グループとしては、同社との資本関係の強化により、社内スタッフによる開発ノウハウの蓄積・継承及び標準性を確保した開発の推進を実現すべく検討を行っています。併せて徐々に新たなベンダーへの委託割合を高め、委託先の複数化も図っております。

 しかしながら、現在は同社への依存率はまだ高く、何らかの事情による取引停止等によりシステム開発が不可能となり、それが長期化した場合、提供サービスの競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

③ 小規模組織であることについて

 当社グループは、小規模組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構成しております。当社グループは、今後の業容拡大及び事業内容の多様化に対応するため、人員の増強、内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進まなかった場合には、事業体制のバランスが崩れ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

④ 人材の確保について

 当社グループは、2022年度~2026年度中期経営計画の達成や不動産管理クラウド「@property」の競争力の維持・向上のため、「次世代戦略プロジェクト」、「フロンティア事業推進」、「サービスデザイン戦略」の3領域を重点分野として推進しており、その中核となる優秀な人材の確保を経営の重要課題と認識しております。それらの人材を確保するため積極的な採用活動、経営職階・リーダー層・若手層の各層向けの教育・研修活動、ジョブ型人事評価制度への移行等を進めております。

 しかしながら、これらの活動が計画通りに進まなかった場合に当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

(3)その他経営に関する事項

① 配当に関する政策

 当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。経営基盤の強化及び積極的な事業展開のための内部留保を確保しつつ、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、株主の皆様に対する利益還元を検討することを配当の基本方針とし、第24期の期末配当金につきましては、1株当たり20円00銭を実施いたしました。

 今後におきましても、株主の皆様への利益還元に努める所存ですが、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況によっては、継続的な配当を実施できない可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

 

(4)主要株主である清水建設株式会社との関係について

① 清水建設グループ内の位置付け

 清水建設株式会社は、2024年3月31日現在、当社発行済株式(自己株式を除く。)の24%を保有しており、当社のその他の関係会社に該当いたします。

 当社は清水建設株式会社の持分法適用関連会社であり、清水建設株式会社を構成するグループ(以下、「清水建設グループ」という。)においてサービス関連事業と位置付けられております。なお、清水建設株式会社は、当社と同様の事業は行っておりません。

 当社は、独自の企業文化、経営の自主性を維持しており、独立した経営を行っております。今後においても同社は当社の自主的な経営を尊重しつつ、連携していくものと考えます。しかしながら同社の方針の変更により当社の位置づけが変更された場合、同社は24%の議決権を有しており、株主総会での議案採決に高い影響力があることから、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は低いと認識しております。

 

② 清水建設株式会社との取引関係

 2024年3月期における清水建設株式会社に対する売上高の割合は0.4%であります。同社の子会社等を含めた清水建設グループに対する売上高の割合は1.8%であります。このほかに、清水建設グループの会社から事務用品の購入等の取引がありますが、売上原価・販売費及び一般管理費に対する割合は僅少であります。

 これらの取引条件については、一般ユーザーと同様の条件となっております。

 当社グループは、今後においても同社及び同社の子会社等と取引を継続する予定であり、何らかの理由でその割合が急増した場合、同社は当社発行済株式(自己株式を除く。)の24%を保有しているため、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は低いと認識しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは不動産・施設の運用管理を支援するクラウドサービス「@property(アットプロパティ)」を、不動産に関わる様々な業種や業態の企業に提供しており、不動産投資運用会社(REIT、ファンド)、多数の不動産を所有する一般事業会社等、厚い顧客基盤を背景に当社クラウドサービスは着実にその事業規模を拡大させております。

 当連結会計年度においては、多店舗展開企業向けに出店検討から出店後の分析・管理までワンストップで提供する店舗開発支援クラウド「@commerce(アットコマース)」を2024年1月にサービスローンチいたしました。また、施設や設備のメンテナンス業務を総合的に支援する設備管理クラウド「@cmms(アットシーエムエムエス)」、建物やワークプレイスの運営管理業務を総合的に支援するワークプレイス管理クラウド「@iwms(アットアイダブリューエムエス)」などのサービスも同時期にサービスローンチし、従来までの「不動産オーナー」を中心とした顧客基盤を拡大しております。

 当連結会計年度は、2023年3月期~2027年3月期中期経営計画の2年目にあたり、次年度以降の利益成長飛躍に向けた重要な1年と位置付け、これら次世代プロジェクト等を推進いたしました。

 <2022年度~2026年度中期経営計画 ハイライト>

・PDBグループの形成を通じた提供機能の更なる拡充に加え、新たな領域に進出し不動産WHOLE LIFE(※1)をフルカバー

・2027年3月期 売上高75億円、営業利益17億円を目指す

・顧客の業務を根幹から支える「不動産DXプラットフォーム」へ

※1 不動産WHOLE LIFE:不動産資産の一生涯をあらわす。Whole Life Costという、LCC(Life Cycle Cost)に替わる新しい考え方で、企業等が保有する不動産資産の一生涯にかかる支出と収入の管理・評価を行い、資産の価値向上取組も併せて評価する国際的概念を参考にしたもの。

 

 当連結会計年度においては、引き続き中核事業である「@property」の拡販に加え、新サービスのローンチを行ったものの、ソリューション案件の遅延もあり、期初業績を下方修正いたしました。その反省を踏まえ、また、当社としては「原点継承」の必要性から、クラウド収益重視を再確認しております。

 連結子会社であるプロパティデータテクノスが展開する主力サービスの不動産文書管理サービスにおいては、引き続きお客様からの順調な受注を頂戴しており、前年比ベースでの成長を続けております。

 プロパティデータサイエンスは期初予想を大幅に減額いたしましたが、今期の着地としても、作業の遅れが要因により修正値に満たない結果となりました。一方、「@commerce」は、順次案件化を進めております。

 Web構築やアプリ開発に強みを持つリーボ株式会社を3月29日付で連結子会社化し、今後の当社グループの収益拡大の為の基盤強化を行っております。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は3,895,642千円(前連結会計年度末比 73,763千円減)となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は598,061千円(前連結会計年度末比 311,714千円減)となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は3,297,580千円(前連結会計年度末比 237,950千円増)となりました。

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は2,516,461千円(前期比316,423千円減、11.2%減)、営業利益は434,271千円(前期比388,612千円減、47.2%減)、経常利益は437,299千円(前期比385,956千円減、46.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は298,278千円(前期比328,211千円減、52.4%減)となりました。

 なお、当社グループは「@property」を国内中心に事業展開する事業セグメントを主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 

区分別の売上高は以下のとおりです。

売 上 高 区 分

2023年3月期

2024年3月期

前期比

金額(千円)

金額(千円)

増減額(千円)

増減率(%)

プロパティデータバンク

2,665,081

2,286,404

△378,676

△14.2

 

クラウドサービス

1,514,176

1,650,871

136,695

9.0

 

ソリューションサービス

1,150,904

635,532

△515,371

△44.8

プロパティデータテクノス

154,819

215,687

60,867

39.3

プロパティデータサイエンス

14,467

17,750

3,282

22.7

連結調整額

△1,482

△3,380

△1,897

127.9

合    計

2,832,885

2,516,461

△316,423

△11.2

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動により665,319千円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)が増加しました。また、投資活動により561,824千円の資金が減少し、財務活動により143,975千円の資金が減少しました。

 この結果、当連結会計年度末における資金の残高は、1,870,459千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少494,367千円、税金等調整前当期純利益437,299千円などにより665,319千円増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出455,930千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出171,080千円などにより561,824千円減少しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額115,853千円などにより143,975千円減少しました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループで行う事業は、サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループで行う事業は、サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

 1)財政状態

(資産の部)

 当連結会計年度末における流動資産は2,336,650千円(前連結会計年度末比 397,215千円減)となりました。これは主に売掛金が345,835千円、契約資産が125,413千円減少したことによるものです。

 当連結会計年度末における固定資産は1,558,991千円(前連結会計年度末比 323,451千円増)となりました。これは主にソフトウエア仮勘定が267,804千円、のれんが179,679千円増加したことによるものです。

 この結果、当連結会計年度末における資産合計は3,895,642千円(前連結会計年度末比 73,763千円減)となりました。

(負債の部)

 当連結会計年度末における流動負債は380,326千円(前連結会計年度末比 239,544千円減)となりました。これは主に未払法人税等が183,170千円、未払消費税等が40,798千円減少したことによるものです。

 当連結会計年度末における固定負債は217,735千円(前連結会計年度末比 72,170千円減)となりました。主な内訳は、退職給付に係る負債が67,772千円減少したことによるものです。

 この結果、当連結会計年度末における負債合計は598,061千円(前連結会計年度末比 311,714千円減)となりました。

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産合計は3,297,580千円(前連結会計年度末比 237,950千円増)となりました。これは主に利益剰余金が182,268千円増加したことによるものです。利益剰余金の増加は配当の実施に伴い116,010千円減少する一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により298,278千円増加したこと等によるものです。

 

 2)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、2,516,461千円(前期比316,423千円減)となりました。@property事業においては、ストック型売上であるクラウドサービスの売上高は、既存顧客のストック部分に加え、空港運営会社、電力会社などの新規顧客の獲得により、前期比136,695千円増の1,650,871千円となりました。フロー型売上であるソリューションサービスの売上高は、複数の大型案件で発生した期ズレの影響により、前期比515,371千円減の635,532千円となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、1,108,186千円(前期比26,875千円減)となりました。主な勘定科目は、人件費、外注加工費、減価償却費です。この結果、売上総利益は、1,408,275千円(前期比289,547千円減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、974,004千円(前期比99,064千円増)となりました。主な勘定科目は、人件費、支払手数料、地代家賃です。この結果、営業利益は、434,271千円(前期比388,612千円減)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益が7,262千円(前期比4,430千円増)、営業外費用が4,234千円(前期比1,773千円増)となりました。営業外収益の主な勘定科目は保険解約益と有価証券売却益、営業外費用の主な勘定科目は保険解約損です。この結果、経常利益は437,299千円(前期比385,956千円減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度において特別利益は計上しておりません。

 法人税等合計が135,290千円となり、この結果、当期純利益は297,734千円(前期比328,223千円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は298,278千円(前期比328,211千円減)となりました。

 

 

 3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、ストック型売上であるクラウドサービスとフロー型売上であるソリューションサービスを両輪に盤石な収益基盤を確立しております。

 クラウドサービスは、登録されたデータ量に応じた月額課金により、創業以来売上高を増加させております。当連結会計年度におけるクラウドサービスの売上高は、全社売上高の65.6%を占めております。

 ソリューションサービスは、顧客ニーズにきめ細かく対応するための初期コンサルティングやカスタマイズ開発により、売上が発生いたします。また、新規顧客を獲得する上で重要な役割を果たしており、クラウドサービスの売上高を増加させるために必要不可欠なものです。当連結会計年度におけるソリューションサービスの売上高は、全社売上高の25.3%を占めております。

 加えて、プロパティデータテクノス、プロパティデータサイエンスおよびリーボの3社を連結子会社とし、顧客の事業を根幹から支える「不動産DXプラットフォーム」の一層の推進に貢献する体制を構築しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、運転資金(人件費及び外注加工費等)及び「PDB-Platform」の開発のための資金です。

 資本の財源及び流動性については、事業活動に必要な現金を安定的に確保することを基本としております。

 資金調達につきましては、自己資金を基本としております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「@property」を国内中心に事業展開する事業セグメントを主要な事業としており、「@property」の利用料等によるストック型売上(クラウドサービス売上)と「@property」の利用にあたっての導入コンサル・カスタマイズ等によるフロー型売上(ソリューションサービス売上)の両輪で構成されています。

 顧客の利用状況に応じて料金を徴収する当社グループのクラウドサービスは、売上高の伸張速度は緩やかとなるものの、売上・収益基盤の安定的かつ永続的な拡大を可能とします。

 一方、システム開発及び販売を中心とする事業(フロー型売上)では、顧客毎の個別案件に依拠する比重が高く、収益化が早いものの収益基盤が比較的不安定になりがちです。

 当社グループの事業は、ストック型売上、フロー型売上のデメリットといわれる部分をクラウドサービス、ソリューションサービスの双方で補い合い、盤石な収益基盤を確立しております。

 このことから当社グループでは、安定した収益の確保はステークホルダーの利益にも合致すると考え「営業利益率」を重要な指標として位置付けております。

 当連結会計年度の営業利益率は17.3%となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、引続き、当社グループのミッションである「新しい知識社会の創造」に基づき、単なるデータの処理・管理といったビジネスの領域を超え、当社サービスを知識社会における最も優れたサービスとして進化させるべく取り組む方針です。

 

5【経営上の重要な契約等】

(株式取得による企業結合)

 2024年3月29日付で簡易株式交換によりリーボ株式会社の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、2022年10月より、代表取締役社長直下の次世代戦略プロジェクトを立ち上げ、2022年度~2026年度中期経営計画達成に向け、IT・サービス戦略、経営戦略、人事戦略、広報戦略等、新たな戦略を打ち立て、遂行するプロジェクトを進めております。

 当該プロジェクトでは、中期経営計画にて掲げている不動産DXプラットフォーム実現のため、新たな製品・サービスの開発を目的とした研究開発活動に励んでおります。

 当連結会計年度においては、@knowledgeのリニューアル、@commerceの開発を行ったほか、PDB-Platformの基盤のリニューアルに取り組みました。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、22,541千円です。