文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
アルフレッサグループは、「理念体系」および「サステナビリティ基本方針」等として次のように位置づけております。
アルフレッサグループのなりたい姿(長期目標)
「アルフレッサグループ中長期ビジョン」全体像
「事業戦略」社会価値創造ストーリー
(2) 中期経営計画
アルフレッサグループは、2025年3月期を最終年度とする「22-24 中期経営計画 未来への躍進 ~進化するヘルスケアコンソーシアム®~」を策定しております。
① 「22-24中期経営計画」グループ経営方針
医療用医薬品等卸売事業ではスペシャリティ領域とメディカル品、セルフメディケーション卸売事業では専売商品、医薬品等製造事業では受託製造ならびに中枢神経・診断薬領域、および医療関連事業では在宅医療などの成長領域に注力していくことがグループの強固な基盤を築くものと考えております。
「新たな価値の創造」につきましては、各セグメントが持つ強みを活かし、当社グループのサプライチェーンをトータルに活用することにより、セグメントを超えた新たな価値を生み出してまいります。
デジタルヘルスやヘルステックなど、様々なデジタルツールの活用で新たな価値を創造し、顧客の課題解決を図ってまいります。また、DX推進等により、ヘルスケアに携わる方々をつなぐ私たちの活動を新たなステージへ進め、お客様満足の向上を実現し、健康・医療に関する新たな事業領域へ挑戦いたします。
グループが一体となった取り組みによる地域の健康・医療への貢献のため、各事業セグメントの事業会社が連携することで、事業モデルを強化し、新たな価値を創造することにより、グループ一丸となって、地域医療のニーズに応え、地域医療構想の実現を下支えすべく、貢献してまいります。
環境保全への取り組み等を通じたサステナブル社会への貢献のため、「カーボンニュートラルに向けた取り組み」、「資源循環の取り組み」および「環境汚染防止、生物との共生」の推進を通じて、社会への貢献を行ってまいります。
2050年度、CO2排出量実質ゼロに向けて、2020年度比で2024年度に10%削減、2030年度に30%の削減に取り組んでまいります。なお、2030年度の削減目標は、政府発表の目標と同じ、2013年度の推定値比の46%削減に概ね相当しております。
ダイバーシティを中心とした人財戦略の推進のため、アルフレッサグループの人財要件である強い使命感、高い倫理観、適応力および挑戦心の4つに加えて、新たにグループの持続的な成長のための必要な機能において、豊富な知識・経験を有し、個性や才能を存分に発揮できる高い専門性を持つ人財育成に取り組んでまいります。グループで共に働く人々が多様性を受け入れ、仲間と共にゴールに向かって、個性や才能を存分に発揮して協働する強い「個」の集団を実現いたします。
コンプライアンスを最優先とする企業風土の醸成のため、過去の過ちに真摯に向き合い、グループ一体となった具体的な取り組み・工夫を継続してまいります。現在、アルフレッサグループではコンプライアンス・リスクマネジメント会議に独占禁止法遵守に特化した医療用医薬品等卸売事業分科会を設置し、定期開催しております。また、各社にコンプライアンス専門部署、専用相談窓口に加えて、独占禁止法専門弁護士による専用相談窓口も設置し、営業現場との対話を強化いたしました。チェック機能として、内部監査部門等によるモニタリングを行っております。
② セグメント別の重点施策
(A) 医療用医薬品等卸売事業
(B) セルフメディケーション卸売事業
(C) 医薬品等製造事業
(D) 医療関連事業
(3) 目標とする経営指標
22-24中期経営計画の最終年度である2025年3月期の経営目標を次のとおり設定しております。
(注)DOE:連結純資産配当率
〈投資計画(累計)〉
2023年3月期から2025年3月期までの3か年累計で1,200億円規模の投資を予定しております。
(4) 経営環境
今後の医薬品市場においては、薬価制度改革や様々な環境変化を踏まえると医療用医薬品市場は中期的にほぼ横ばいのまま推移すると予想されております。
アルフレッサグループは、日本全国の医療機関や薬局等のお客様に対して、医療用医薬品をはじめ健康に関する様々な商品・サービスを、高い生産性でお届けしております。
グループの理念体系にある「私たちのめざす姿」に掲げる「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®の実現」に向けて、着実に事業ポートフォリオの拡充を図っております。
(5) 優先的に対処すべき事業上の課題
① 企業価値の向上に向けた取り組み
株式会社東京証券取引所から2023年3月31日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についての要請がなされましたが、当社においては資本収益性や成長性といった観点での改善やサステナビリティに関する対応による企業価値向上が課題であると認識しております。
2023年5月15日に「アルフレッサグループ中長期ビジョン」を策定し、薬価の中間年改定実施や物流費をはじめとしたコスト上昇等の環境下においても、中長期的な企業価値向上を目指します。
同ビジョンでは、2032年度までに目指す目標として「売上高4兆円、営業利益700億円以上、ROE8%以上」を掲げており、「事業戦略」と「財務・資本戦略」を中心に取り組んでまいります。
(A) 事業戦略
当社グループの強みを活かし、「新規事業の開発」「成長事業の育成」「基盤事業の強化」を柱に、DXを取り入れた事業戦略のもと、社会価値創造および企業価値向上に取り組んでまいります。
(B) 財務・資本戦略
財務基盤の安定性・最適資本構成を目指すとともに、資本収益性の向上および株主還元の充実を図ってまいります。
(C) 非財務(ESG)戦略
・環境
「アルフレッサグループ環境方針」に基づき、CO2排出量の削減、資源の有効活用、再生可能エネルギーの積極的な利用など、事業活動を通じた環境負荷軽減に取り組んでまいります。
・社会
ヘルスケアコンソーシアム®の実現にあたり、最も重要な資産は人財であると考えております。多様性を受け入れ、個性や才能を存分に発揮できるよう「グループ人財戦略」および「アルフレッサグループダイバーシティ方針」に基づき、共に働く人々のエンゲージメントの向上に取り組んでまいります。
・ガバナンス
「コンプライアンス」を最重要とする企業風土の醸成を図るため、「アルフレッサグループ コンプライアンスガイドライン」に基づき、グループ全体のコンプライアンス意識の向上に取り組んでまいります。
② 独占禁止法遵守のための取り組み
当社グループは、2019年11月以前に実施された一部取引先での入札における独占禁止法違反に真摯に向き合い、役職員一同、再発防止策の徹底に引き続き取り組んでまいります。当社グループが実践している再発防止のPDCAは以下のとおりであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに対する考え方
私たちの経営の原点は、当社グループが掲げている理念体系にあります。私たちの「思い」「めざす姿」「約束」の3つで構成されおり、これらが私たちの経営におけるすべての上位概念であります。私たちの「思い」として、「すべての人に、いきいきとした生活を創造しお届けします」を掲げ、私たちの「めざす姿」を「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®をめざします」と定め、そして私たちの「約束」として、「安心」「安全」「誠実」を使命とし、生命関連商品である医薬品等の流通を行う社会インフラ企業たる事業活動を日々行っております。この理念体系に基づく事業活動が基本となって、社会・環境課題の解決に取り組み、人々の健康な暮らしに貢献し、社会の発展を目指すという当社グループのサステナビリティ基本方針は、まさに基本理念の「私たちの思い」そのものであるという結論に至りました。サステナビリティ基本方針「すべての人に、いきいきとした生活を創造しお届けします」を実現するために、アルフレッサグループの中長期の価値向上において大きな影響を及ぼす重要な課題として、「サステナビリティ重要課題」を設定しております。
当社グループの持続的成長を実現するにあたっての長期目標として、「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®」の実現を目指しております。その実現にあたり最も重要な資産は「人財」であり、「人財」こそが当社グループ成長の原動力と考えております。また、人々の健康に携わる事業活動を展開するアルフレッサグループにとって、環境保全は重要な課題であると認識しております。これらのことから「環境保全」および「人財の活躍推進」について、「戦略」、「指標・目標」を記載しております。
(2) ガバナンス
① 取締役会
社長が議長を務め、当社の取締役11名(うち社外取締役4名、男性9名・女性2名)で構成されており、監査役も出席しております。原則毎月1回の定時開催に加え、必要に応じて臨時開催しております。取締役会では、法令で定められた事項や経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役の職務執行の状況を監督しております。
② コーポレートガバナンス委員会
社外取締役、社外監査役、常勤監査役、代表取締役および取締役会の決議によって選定される取締役で構成し、委員長は独立役員の中から互選により選出しております。
すべてのステークホルダーの立場を踏まえ、経営の透明性・公正性を高め、コーポレートガバナンスの継続的な充実を図ることを目的とし、コーポレートガバナンスや企業経営全般に関するビジョン・戦略および中期経営計画の進捗等について、長期的かつ多様な視点に基づく意見交換を行い、取締役会に対して助言・提言を行うこととしております。
③ CSR推進委員会
当社は、グループ全体のCSR活動を推進するCSR推進委員会を設置しております。
本委員会は、代表取締役の諮問機関として、取締役会で定めたアルフレッサグループ サステナビリティ基本方針等に則り、グループ全体のCSR活動を推進するため、グループ全体のCSR活動に関する方針等の検討およびグループ各社のCSR活動の報告・評価などを行い、その概要を代表取締役および取締役会に定期的(年2回)に報告しております。
④ コンプライアンス・リスクマネジメント会議
コンプライアンス・リスクマネジメント推進計画を策定し、グループ全社のコンプライアンス・リスクマネジメントに関する重要な方針等の検討ならびに当社およびグループ各社のコンプライアンス・リスクマネジメント活動を報告・評価する機会を設けており、代表取締役および取締役会に報告する体制を整備しております。全体的な会議のほか、専門性の高い特定事業の固有リスクへより適切かつ組織的に対応するために、事業セグメント等、業種・業態を限定した分科会を設置しております。
(3) 環境保全
アルフレッサグループは、健康関連領域で事業を展開する企業グループとして、人々の健康や暮らしに影響を与える地球環境問題を、経営上の重要課題の一つとして認識しています。2021年4月に制定したアルフレッサグループ環境方針に沿って、「カーボンニュートラルに向けた取り組み」、「資源循環の取り組み」、「環境汚染防止、生物との共生」等を推進しております。今後も、事業活動における環境負荷の低減に積極的に努め、環境課題解決へ貢献していくことにより、サステナブル社会構築へ貢献してまいります。すべての人々が健康に暮らせる社会の実現に向け、環境関連法令等の遵守はもとより、全国各地で地域に密着した事業活動を行い、地域社会と共生を図り、共に発展することを目指しております。
<TCFDに基づく情報開示>
アルフレッサグループにとって、気候変動はサステナビリティ経営に影響を及ぼす重要課題の一つであり、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にある枠組みで取り組みを推進しております。
① ガバナンス
当社グループは気候変動に関連する戦略の立案・推進・モニタリングの実施および情報開示の充実のため、2022年5月、CSR推進委員会の下部組織としてTCFD分科会を設置いたしました。TCFD分科会は、グループのリスクマネジメントを統轄するコンプライアンス・リスクマネジメント会議と連携し、気候関連のリスクと機会の特定・重要性評価・対策の推進・モニタリングを実施いたします。その内容や進捗は、定期的(年2回)に取締役会に報告しております。
② 戦略
事業セグメント別にヒアリングを実施し、1.5℃シナリオと4℃シナリオ※を踏まえ、事業におけるリスク・機会を抽出いたしました。それらの財務影響の大きさを5段階で定性的に評価し、重要度の高い項目について対応策を検討いたしました。気候変動への対応は、中長期の経営課題の一つとして検討し、事業戦略に反映してまいります。
※ 産業革命前と比較し、2050年に平均気温が1.5℃上昇するシナリオと4℃上昇するシナリオ
③ リスクマネジメント
2021年度、当社グループにおいて、気候関連のリスクを評価・特定し、マネジメントするプロセスの設定を行い、このプロセスをアルフレッサグループとしての総合的なリスクマネジメントにどのように統合するべきか、検討を行いました。今後は情報収集、リスク・機会の評価・特定、リスク管理の取り組み推進・進捗管理および取締役会への報告のプロセスを繰り返して、気候変動に関する事業活動への影響に対応いたします。
④ 指標・目標
当社グループでは、気候変動に関連する重要指標の一つであるCO2排出量について、国内連結子会社を対象として、2050年度にCO2排出量ネットゼロを目標として設定いたしました。2020年度のScope1+2におけるCO2排出量を基準として、短期目標として2024年度末までに10%、中期目標として2030年度末までに30%の削減目標を設定し、再生可能エネルギーの使用や環境配慮型自動車への切替といった対応策に取り組んでまいります。なお、2022年度のScope1+2におけるCO2排出量は、ビッグデータ・AIを活用した配送業務量予測および適正配車のシステムの活用やエコドライブおよび太陽光発電の設置等による再生可能エネルギーの導入等により69,082t-CO2となっております。
(4) 人財の活躍推進
① 経営戦略と人財戦略の連動
当社グループは、健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供するヘルスケアコンソーシアム®の実現を目指しております。22-24中期経営計画のグループ経営方針における事業に関する方針として、「事業モデルの強化」と「新たな価値の創造」、「グループ一体となった取り組み」による地域の健康・医療への貢献を実現していくことを掲げ、医療用医療品等卸売事業、セルフメディケーション卸売事業、医薬品等製造事業、医療関連事業の経営基盤強化およびグループ一体での取り組みを推進しております。
これらの取り組みを進めていくためには、「高い専門性」を備えたプロフェッショナル人財の登用・配置が要となります。当社グループは、グループ経営方針の実現を目指した「グループ人財戦略」として職種別の目指す人財像(10区分)に基づく各種人財関連施策を策定すると同時にグループ人事部門会議の定期開催を通じて人財戦略の実現に向けたグループ一体となった取り組みを推進しております。
少子高齢化による人口減少は、働き手不足を招き、人財の活躍推進が重要と認識しております。特に「D&I」、「エンゲージメント施策」について推進することで共に働く人たちが「働きがい」を高め、離職率の低下、生産性の向上に寄与する事を目指しています。多様化する商品・サービスの流通を高品質で実現させていく取り組みは、当社グループだからこそ解決出来る課題と捉え、トータルサプライチェーンマネジメントの向上で今後の健康・医療を先進的に支え、再生医療、スペシャリティ医薬品など高度な流通を実現することを目指しております。
② 人財育成方針
当社グループはアルフレッサグループの求める人財要件として、未知なる領域への「挑戦心」、環境変化に対する「適応力」、信頼を得るための「高い倫理観」、生命を支える仕事への「強い使命感」、持続的成長を叶える「高い専門性」を定め、グループに向かって協働する強い「個」の集団を目指しております。
当社グループは、この求める人財要件の醸成を土台としたグループ研修を開催し、「専門性・スキルの育成(22-24中期経営計画を実現するための「高い専門性」を備えた人財の育成)」、「役員・管理職のマネジメント力の育成(グループ経営戦略を実践していく上で取締役・執行役員、将来経営を担う次世代リーダーの意識強化)」、「持続的成長に向けたグループ全体の取り組み意識向上」を強化しております。
同時に、グループの将来を担う人財を獲得していくために、グループ各社個別での採用活動とともにグループ合同採用活動を開催し、グループ一体での人財獲得活動を推進しております。
さらに、高い専門性を実現するためのキャリアパスの設定やグループ会社を横断した人財配置等を推進することにより、「動的人財ポートフォリオ」と「知・経験のD&I」を目指してまいります。
(A) 「動的人財ポートフォリオ」の取り組み
DX人財育成として育成レベルごとにコースを設け、基礎コースにあたる「DXリテラシー向上研修」を2023年度から2025年度までの間に、グループ全体の約半数にあたる6,000名を受講目標に設定しております。2023年度は、自律的に学ぶ姿勢を重視した公募により約2,000名が受講いたしました。社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要な意識や知識をグループ全体で向上させる取り組みをしております。
(B) 「知・経験のD&I」の取り組み
ダイバーシティを中心とした人財育成を中期経営計画方針に掲げており、D&Iをイノベーション創出と人財の総活躍と捉え、グループ全体の女性管理職比率向上を目指し、女性リーダー候補者を対象にした「女性リーダー候補育成研修」を実施しております。2030年度末までにグループ全体で約100名超の女性管理職を創出し、女性管理職比率10.0%以上を目標としております。
また、グループの営業職において女性が少ない(約7%)現状を課題と捉え、出産や育児を経たあとも営業職として働き続けることができる環境作りを目的とし、2021年度から2023年度において全女性営業職(266名)を対象に「女性営業職研修」を実施いたしました。さらに、2023年度にはグループ全社員を対象に「ダイバーシティ動画研修」を実施し、育児休業を取得した男性社員や育児中の営業職女性社員の職場事例を取り上げ、職場風土の醸成に取り組んでおります。
<アルフレッサグループの求める人財要件>
③ 職場環境整備方針
当社グループでは、労働力人口減少等の環境変化を見据え、「アルフレッサグループ ダイバーシティ方針」のもと、働く全員の総力を結集し、各自の個性や才能を存分に発揮できる職場環境づくりの実現に向けた各種取り組みをグループ挙げて進めております。
また、グループ全体でのエンゲージメント向上を重要な経営課題として設定し、当社の取締役会によるモニタリングのもと、グループを挙げた従業員意識調査の実施及び調査結果にもとづく各種施策を進めてまいります。
さらに、グループ共通のタレントマネジメントシステムを導入し、持続的成長を支える人財の供給、適材適所の人財配置、人事業務の効率化を進めてまいります。
(A) 従業員エンゲージメント
2021年度より毎年グループ全社員(約15,000名)を対象に「eNPS※」を指標とした従業員意識調査を実施しております。本調査を共に働く人たちとの対話の機会と捉え、忌憚のない意見を自律的に発信する場としております。多くの方に調査へ参加していただく目標として回答率を90%以上に設定(2023年度回答率:85%)し、回答データの分析結果を基にグループ各社での改善施策を実行し、共に働く人たちがより良い就業体験を得られる魅力的なグループとなることを目指しております。
※eNPS(employee Net Promotor Score):従業員ロイヤリティ指標
(B) 働きやすい職場環境と健康増進
ワーク・ライフ・バランスの推進によりメリハリのある働き方を促し、労働生産性を高めて共に働く人々がいきいきと働き続けることを目指し、残業時間削減や有給休暇取得促進等に取り組んでおります。また、育児・介護休業制度を利用しやすい環境づくりに取り組むとともに、グループ各社において、ジョブリターン制度の導入や育児のための短時間勤務適用期間の延長、育児手当支給等、制度の充実を図っております。2024年3月においては、「健康経営優良法人2024」の認定を、大規模 法人部門で8社、中小規模法人部門で5社の合計13社が取得しております。
④ 指標・目標
管理職に占める女性労働者の割合の目標については、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 医療制度改革について
当社グループが主に事業を展開する医療用医薬品業界は、健康保険制度および医療行政の影響を強く受けます。そのため、制度の大幅な変更が行われた場合は経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
現在、高齢化の進展、生活習慣病の拡大により社会保障費は増加傾向にあります。しかし、医療保険財源の支払能力は低下しているため、診療報酬の包括払いの導入、自己負担の見直し、後発医薬品の普及促進策や薬価基準制度の見直しなどの医療費抑制を目的とした様々な医療制度改革が実施されております。当社グループは、2018年4月からスタートしました「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」の遵守に重点的に取り組んでおります。また、仕入から売上債権回収までの一連の営業活動について適切な対応を進めるとともに、医療制度に影響を受けない商材やサービスの取り扱い拡大に取り組んでおります。
(2) 薬価の改定について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品の価格は、厚生労働大臣の告示によって公定されています。この公定価格が「薬価」(使用薬剤の公定価格)であります。実質的に販売価格の上限として機能している薬価については、市場における実勢価格や需要動向に応じて、定期的に引き下げ改定が行われており、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的規制および法令違反等について
当社グループは、医療用医薬品の卸・製造販売を主な事業としております。したがって、事業活動を行うにあたり、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」および関連法規等の規制により、免許・許可の登録および指定や、開発、製造、輸入に関し様々な承認許可が必要となります。監督官庁の許認可の状況により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが遵守すべき法令(独占禁止法、下請法、不正競争防止法、金融商品取引法等)に十分留意した企業活動を行っておりますが、万一これらの違反を起こした場合、企業活動の制限や法令上の規制に対応するためのコストの増加、社会的信用の毀損等が発生する可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ理念のもと、「コンプライアンスガイドライン」を制定し、グループコンプライアンス・リスクマネジメント会議や研修等を通じて、法令等の遵守の徹底を図っております。
(4) 医療機関・製薬企業との取引慣行について
当社グループが主に事業展開する医療用医薬品卸売業界においては、医薬品が生命関連商品であり納入停滞が許されないという性質上、薬価改定後の一定期間、価格未決定のまま医療機関に納品し、その後卸売業者と医療機関との間で価格交渉を行うという特有の慣行が旧来より続いております。交渉が難航した場合、当社グループでは合理的な見積りにより決定予想価格を算出して売上計上しております。価格交渉の長期化や当初予想と異なる価格での決定となった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」の遵守に重点的に取り組み、得意先である医療機関との価格交渉の早期妥結をはじめとした流通改革に継続して取り組んでおります。
(5) 製造事業に係るリスクについて
当社グループの医薬品等製造事業においては、医薬品原薬の開発、製造および販売ならびに医薬品等の開発、製造および販売を行っております。製品開発については全ての品目が発売できるとは限らず、途中で開発を断念しなければならない場合や他社からの導入等も行えない場合があります。また、製品および原材料の一部には特定の取引先にその供給、販売を依存している品目があります。何らかの理由により調達・製造・販売活動に遅延または停止するような事態が発生する可能性があります。
さらに、製品の開発から製造の段階において安全性、信頼性には万全を期しておりますが、予期しない副作用や異物混入などによる製品回収や販売中止等が発生し、訴訟を提起されるリスクがあります。このような場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、医薬品等製造事業において「安心・安全・誠実なモノづくり」を重点施策として掲げ、共通の品質管理システムを国内の連結子会社2社に導入し、製品等の安全性および信頼性の向上に連携して取り組んでおります。
(6) 医療関連事業(調剤薬局事業)に係るリスクについて
当社グループの医療関連事業における調剤業務は薬剤師(人)に負うところが大きく、調剤過誤が発生する可能性があります。医療用医薬品の場合、用法・用量に厳格な制限があり、他の薬剤との相互作用や中毒症状の発症など、医療トラブルが発生する可能性があります。発生した場合、損害賠償に加え、既存顧客の信用および社会的信用を失うこととなり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、薬剤師法第19条において薬剤師以外の調剤を禁じていることや、医薬品医療機器等法および厚生労働省令等によって、薬局への薬剤師の配置および配置人数を厳しく規制しております。したがって、営業時間を通じて薬剤師の必要人員数が確保されない場合には、当社グループの薬局の維持、新規開設に支障をきたし、経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、処方箋の受入枚数等を適宜把握し、薬剤師・事務員の適正配置や必要に応じた増員再配置に取り組んでおります。また、調剤過誤につきましては、人員の適正配置、調剤業務のマニュアルの整備や調剤監査システムの導入・活用によりその防止に取り組んでおります。
(7) システムトラブルおよびサイバーリスクについて
当社グループの事業活動においては、コンピュータネットワークシステムに大きく依拠しており、災害や事故等によりシステムが機能停止した場合、リカバリーシステムによる復旧までに時間を要し、販売物流を中心とした営業活動の一部に支障をきたす可能性があります。また、近年のデジタル技術の著しい発展の一方で、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も進んでおり、サイバー攻撃等外部からの不正アクセス、コンピュータウイルス等により、システムダウン、誤作動および不正利用を含む障害ならびに社外への情報漏洩等が発生する可能性があります。これらの要因により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、災害等が発生した場合に備え、複数拠点にデータセンターを設置しております。また、システムの運用・保守等を行う連結子会社が、災害等のほか、様々な障害や事故等の防止および発生に備え、コンピュータネットワークシステムを監視しております。さらに、サイバーセキュリティにも常に留意し、適宜必要なシステムの導入を進めてまいります。
(8) 海外との取引について
当社グループは、中華人民共和国に医薬品等製造事業の生産拠点の一部や事業拠点を設けております。また、ベトナム社会主義共和国にも事業拠点を置いております。こうした海外における事業活動や日本と海外との間の製品・商品の輸出入取引において、政治的摩擦や為替の急激な変動等が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 情報流出について
当社グループは、重要な機密情報、顧客情報および各種の個人情報等を保有しておりますが、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜や損害賠償や取引停止処分、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、情報セキュリティ対策推進のため、法令等に基づいた社内規程の整備・運用の徹底を実施し、グループ全体で「情報セキュリティ体制」を構築することにより、グループ統一基準に基づいた教育・運用チェック等を行っております。保有する情報の外部への流出等を防止するため情報管理等の研修会を適宜開催し、情報漏洩等を防ぐための対策を講じております。
(10) 自然災害、パンデミック等について
当社グループは医薬品等卸売事業において、物流機能が大きな役割を果たしております。震災等の自然災害により物流機能が毀損した場合、販売物流活動に支障をきたす可能性があります。また、自然災害やパンデミック等の発生により事業活動を縮小せざるを得ない事態となった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは,事業継続計画(以下「BCP」という。)および災害時の各種マニュアルを策定し、大規模災害時において、医薬品等を迅速かつ安定的に供給するため、備蓄が必要とされる医薬品等のリスト化や配送拠点が被災した場合の近隣拠点によるバックアップ体制等を整備し、重要な社会インフラである医薬品等の流通機能が停止しないように最大限の対策を構築しております。
また、当社およびグループ会社での新型コロナウイルス感染拡大防止のための対策の検討等を実施し、必要に応じて当社およびグループ会社間で連携し対応するための体制を整えております。
(11) 事業投資に係るリスクについて
当社グループは、医薬品の流通を担う事業の運営上、物流センターや営業拠点等への設備投資(インフラ投資)が不可欠であります。これらのインフラ投資は多額かつその回収に長期間を要する傾向にあることから減損リスクを有しております。また、事業開発や事業拡大を視野に、医療関連領域のベンチャー企業への出資やM&A投資を実施することがありますが、これらも同様に減損リスクを有しており、これらの投資の成否によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、一定規模以上の投資案件について事業投資委員会に諮り検証のうえ決定機関に答申することにより、減損リスクを低減する体制を構築しております。
(12) 気候変動リスクについて
当社グループにとって、気候変動はサステナビリティ経営に影響を及ぼす重要課題の一つと認識しており、当社グループ全体の気候変動に関する影響の評価等のためシナリオ分析を実施しております。事業におけるリスク・機会のうち、経営成績等に影響を及ぼす可能性の観点から重要度の高い項目については以下のとおりであります。
・移行リスク(1.5℃シナリオ) … 2050年カーボンニュートラルに向けて、政策・規制導入や市場変化が急速に進行することで、地球の平均気温上昇が産業革命前の水準に比べ1.5℃に抑えられる想定。 → 脱炭素化に向け、移行による影響が最大
・物理的リスク(4℃シナリオ) … CO2排出削減に向けた政策・規制や社会の取り組みが進まず、地球の平均気温上昇が産業革命前の水準に比べ4℃となる想定。災害などの気候変動による影響が甚大化する。 → 脱炭素化に向けた移行は想定しないが、気候変動の影響が最大
当社グループでは、CSR推進委員会の下部組織としてTCFD分科会を設置し、リスクマネジメントを統轄するコンプライアンス・リスクマネジメント会議と連携して気候変動リスクと機会の特定・重要性評価・対策の推進・モニタリングを行い、取締役会へ報告する体制としております。これらのリスクマネジメントを通じてリスクの低減を図るとともに、積極的な環境負荷低減および環境課題解決に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については次のとおりであります。なお、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容については、各項目に含めて記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行された後、緩やかな回復が続いているものの世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっております。
当社グループでは、2022年5月に公表した「22-24 中期経営計画 未来への躍進 ~進化するヘルスケアコンソーシアム®~(以下「22-24中計」という。)」に掲げた以下のグループ経営方針に取り組んでおります。
・『事業モデルの強化』と『新たな価値の創造』
・『グループ一体となった取り組み』による地域の健康・医療への貢献
・『環境保全への取り組み等』を通じたサステナブル社会への貢献
・『ダイバーシティ』を中心とした人財戦略の推進
・『コンプライアンス』を最重要とする企業風土の醸成
また、2023年5月、当社はグループのさらなる企業価値向上を実現すべく、2032年度までの中長期的な事業戦略および財務・資本戦略「アルフレッサグループ中長期ビジョン」を公表するとともに、資本効率の改善と株主還元の充実を図るため350億円を上限とする自己株式取得を決議し、同年10月2日をもって、15,201千株を取得し終了いたしました。
当社の「新たな価値の創造」への取り組みとして、2023年5月、抗体医薬を主体とした研究開発を行う株式会社凜研究所(本社:東京都中央区)に対し第三者割当増資による出資をいたしました。同社が進める抗体医薬の開発を支援していくとともに、トータルサプライチェーンサービスの実現に向けて医薬品等製造事業における開発パイプラインと製造技術を強化してまいります。
また、組織再編により当社の完全子会社となったセルリソーシズ株式会社(本社:東京都千代田区)は、2023年7月、Miltenyi Biotec B.V. & Co. KG(本社:ドイツ連邦共和国)との間で、遺伝子細胞治療市場における自動細胞製造施設・工程の設計、建設、稼働のサポートを目的とするバイオインダストリー・サポート契約を締結いたしました。当社グループでは、本契約を契機として遺伝子細胞治療市場に対して高度に自動化された受託細胞製造サービスを提供する事業基盤の整備を進め、再生医療等製品の受託製造サービスを提供する体制の構築を進めております。
さらに、2023年11月、当社の子会社である株式会社ゲッカワークス(本社:東京都千代田区)は、かねてより実証実験を進めていた医師向け会員制Webサービス「ドクシル」の本格運用を開始いたしました。同社は、当社グループの医療用医薬品等卸売事業のMS※とともに、地域医療連携を支援し、医療提供体制の充実や医師の働き方改革へ貢献してまいります。
資金調達としては、2023年12月、当社は、社会価値の創造に資するため、茨城県つくば市における新たな物流センターおよび群馬県太田市における医薬品製造棟の建設・運営のため、総額200億円のソーシャルボンドを発行いたしました。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高2兆8,585億円(前期比6.0%増)、営業利益は384億60百万円(同27.6%増)、経常利益は399億97百万円(同21.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は295億58百万円(同14.6%増)となりました。
※ MS(Marketing Specialist):マーケティング・スペシャリスト。医薬品の卸業における専門知識を持った営業員
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
当連結会計年度においては、2023年5月から新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類感染症」に移行され経済社会活動が正常化するなか、当社グループでは、生命関連商品を取り扱う社会インフラとしての使命を果たすべく、医薬品等の安定供給はもとより、新型コロナウイルスワクチンおよび治療薬の配送業務ならびに欠品や需給調整が続くジェネリック医薬品等への対応に尽力してまいりました。
医療用医薬品等卸売事業におきましては、スペシャリティ領域ならびにメディカル品への取り組み強化とDXによる事業変革を通じて、「22-24中計」の重点施策として掲げた「既存事業の強化」「事業変革による収益化」「グループ全体での最適化・効率化・標準化」を推進しております。
当社グループでは、新たな医療サービスの開発に挑戦する様々なベンチャー企業との提携により、医療分野における課題解決への取り組みを進めております。
連結子会社のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「アルフレッサ」という。)は、株式会社MICIN(本社:東京都千代田区)との間で資本業務提携契約を締結し、オンライン診療サービス「curon(クロン)」や通院専用のキャッシュレス決済サービス「クロンスマートパス」等の普及拡大を推進するとともに、両社の経営資源を活用し、生活者の健康向上や医療アクセスの充実につなげるなど、医療・ヘルスケアサービスの開発および展開を図っております。
また、アルフレッサは、2023年5月、キッズウェル・バイオ株式会社(本社:東京都中央区)および三菱倉庫株式会社(本社:東京都中央区)との間で、キッズウェル・バイオ株式会社が再生医療等製品として開発中のヒト乳歯歯髄幹細胞の高品質かつ安定的な保管・輸送体制の構築に関する業務委託基本契約を3社間で締結し、再生医療分野においても医薬品の安定供給を担うべく、ヒト乳歯歯髄幹細胞を原料とする再生医療等製品の実用化に向けた協業を進めております。
「グループ全体での最適化・効率化・標準化」へ向けた「PIC/S GDPに対応した最適なロジスティクスネットワークの構築」の取り組みとして、2023年8月、アルフレッサは、茨城県つくば市において建設を進めておりました「つくば物流センター」を竣工し、2024年5月7日より稼働いたしました。本センターは、高度な物流機能を有し災害に強い当社グループ最大の物流拠点として、関東エリアにおける医薬品等を安定供給する体制をさらに充実させ地域医療に貢献してまいります。
また、2023年12月、連結子会社のティーエスアルフレッサ株式会社(本社:広島市西区)は、山口県宇部市において建設を進めておりました「山口宇部センター」を竣工し、2024年5月7日より稼働いたしました。本センターと広島県尾道市において稼働中の尾道物流センターを中国地方における物流の中核拠点として活用することで、今後も地域医療に貢献してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、2023年4月に実施された薬価の中間年改定によるマイナス影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症治療薬やインフルエンザ関連商品をはじめとする市場の伸長および一部製薬企業の流通体制変更ならびに売上総利益率の改善に取り組んだこと等により、売上高2兆5,399億32百万円(前期比6.0%増)、営業利益330億91百万円(同22.7%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高180億26百万円(同7.1%増)を含んでおります。
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、連結子会社のアルフレッサ ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)が既存領域の高収益化と成長領域への挑戦を推進し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「高収益化への取り組み」「グループ連携強化」「事業変革による収益力強化」に取り組んでおります。なかでも、物価高騰による仕入原価上昇への対応、調剤薬局販路開拓をはじめとするニューチャネル創造に取り組んでまいりました。
2024年2月、同社は、東京都立産業貿易センター浜松町館(東京都港区)において、展示会「2024ライフサポートフェア」を開催いたしました。「New Gate~新しい時代の新しいドラッグストアを創造~」をテーマに、変化する社会環境を見据え、変わってはいけないものを大事にしつつ、変化を予測した売り場づくりの提案をいたしました。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の「5類」移行後の人流回復に加えて、訪日外国人増加によるインバウンド需要増に伴う市場回復の影響から増収となったこと等により、売上高2,628億43百万円(前期比6.6%増)、営業利益26億83百万円(同27.1%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高4億98百万円(同5.5%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、「次代の基盤創り」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくり」「トータルサプライチェーンサービスの実現に向けた取り組み」「デジタルを活用した新たな取り組み」を推進しております。
2023年4月、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区)は、連結子会社であったサンノーバ株式会社(本社:群馬県太田市)を合併いたしました。本合併により新たな価値の創造を通じて顧客満足を追求し、当社グループが掲げる「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®」の実現に貢献いたします。
また、同社は、2023年3月に株式会社ケイファーマ(本社:東京都港区)との間で締結した、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬としてのロピニロール塩酸塩の国内開発権・製造販売権許諾契約に基づく開発に引き続き取り組んでおります。
さらに、アルフレッサ ファーマ株式会社は、2024年1月、同社群馬工場における新たな医薬品製造棟の建設について詳細設計を完了いたしました。同製造棟の建設により、低分子医薬品の製造能力の増強や、新たに高薬理活性製剤の受託製造および無菌製剤の検査・包装・試験受託への本格参入を図るとともに、当社グループのトータルサプライチェーンサービスにおける開発から製造までの機能の強化と拡大へとつなげてまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、ALS治療薬開発に係る契約一時金支出等の経費増の一方で、受託製造および原薬製造の売上伸長および新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原迅速検査キット「アルソニック® COVID-19 Ag」をはじめとする診断薬の底堅い需要による増収の影響により、売上高527億40百万円(前期比7.5%増)、営業利益18億94百万円(同349.9%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高151億46百万円(同9.3%増)を含んでおります。
(D) 医療関連事業
医療関連事業におきましては、調剤薬局事業を運営する連結子会社のアポクリート株式会社(本社:東京都豊島区)が、予防からターミナルケアまでライフジャーニーにおけるすべてのステージに対応する「かかりつけ薬局」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「在宅医療への取り組みによる事業の成長」「DXによる事業変革」「未病予防への取り組み」を推進しております。
「在宅医療への取り組みによる事業の成長」への取り組みとして、2023年9月、同社は埼玉県内で調剤薬局「カイエー薬局グループ」などを運営する有限会社会営(本社:埼玉県ふじみの市)の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。地域における在宅ドミナント化の実現に向けて引き続き取り組みを進めてまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、薬価改定によるマイナス影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症治療薬等の影響による増収および販管費抑制等により、売上高366億54百万円(前期比1.2%増)、営業利益7億13百万円(同115.6%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
(注)1.金額は実際の仕入額によっております。
2.セグメント間の内部仕入高は332億17百万円(前期比107.7%)であり、上記金額に含めております。
(注)1.セグメント間の内部売上高は336億70百万円(前期比107.9%)であり、上記金額に含めております。
2.主要な相手先別の販売実績および当該総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比1,077億72百万円増加し、1兆4,476億25百万円となりました。
流動資産は、867億5百万円増加し、1兆1,212億33百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」が536億34百万円、売上債権が224億59百万円、「未収入金」が50億56百万円および「商品及び製品」が18億9百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、210億67百万円増加し、3,263億92百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が47億79百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が140億71百万円増加したことによるものであります。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比1,010億57百万円増加し、1兆2,400億91百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」等の流動資産が増加、物流センター等の設備投資に伴い有形固定資産が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものであります。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、42億49百万円増加し、939億67百万円となりました。これは主として、売上債権等の流動資産が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものであります。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、27億14百万円減少し、673億68百万円となりました。これは主として、「商品及び製品」等の流動資産が増加した一方で、製造販売権等の無形固定資産が減少したことによるものであります。
医療関連事業のセグメント資産は、4億70百万円増加し、168億3百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」等の流動資産が減少した一方で、株式の取得に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比1,162億49百万円増加し、9,677億66百万円となりました。
流動負債は、812億57百万円増加し、9,069億89百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が749億85百万円増加および「未払法人税等」が19億15百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、349億92百万円増加し、607億76百万円となりました。これは主として、「社債」が200億円増加および「長期借入金」が100億円増加したことによるものであります。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、84億76百万円減少し、4,798億59百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が178億57百万円増加および保有株式の株価上昇に伴い「その他有価証券評価差額金」が73億2百万円増加した一方で、「自己株式」が357億26百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物は、前期末比535億39百万円増加し、2,123億15百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、「税金等調整前当期純利益」が437億95百万円と前期と比べ52億3百万円の増益となったことに加えて、仕入高の増加および当連結会計年度の末日が休日であったこと等により「仕入債務の増加額」が増加したこと等により、863億79百万円の増加(前期は130億86百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、物流センターの建設等の設備投資に伴う支出が減少したことに加えて、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却による収入が減少したこと等により、142億17百万円の減少(前期は205億39百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株主還元の一環として自己株式を取得したことに伴い「自己株式の取得による支出」が増加したことに加えて、増配に伴い「配当金の支払額」が増加した一方で、「社債の発行による収入」および「長期借入れによる収入」があったこと等により、196億98百万円の減少(前期は129億18百万円の減少)となりました。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払い、自己株式の取得やその他の包括利益の増減により、4,795億99百万円(前期末比84億91百万円減少)となり、この結果、自己資本比率は33.1%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2023年8月格付)を2024年5月末時点で維持しております。
財務健全性のさらなる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入、社債の発行によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は2,137億56百万円であり、連結ベースの流動比率は123.6%、総資産に対する流動資産の比率は77.5%、流動負債の比率は62.7%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 販売提携契約
(2) 共同開発契約
(3) 開発権・製造販売権許諾契約
(4) 業務提携契約
当社グループにおきましては、製品の開発管理体制、評価体制を強化・整備して領域を絞り込んだ自社開発を行うとともに、他社からの導入開発および他社との共同開発に積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は
医療用医薬品分野では中枢神経系疾患を主要領域とする研究開発を行っており、アナフィラキシーに対する補助治療薬および指定難病である筋萎縮性側索硬化症の治療薬の開発を進めております。
診断薬分野においては、呼吸器感染症を主領域とした迅速診断キット(POCT)や大腸がん検診等に使用する便潜血機器試薬システム等消化器疾患領域での開発を進めており、2023年9月には潰瘍性大腸炎の病態把握の補助に使用する検査試薬において新たに炎症性腸疾患の診断およびクローン病の病態把握の補助に関する適応追加の製造販売承認事項一部変更承認を取得し、2024年1月より保険適用となりました。
医療機器分野においては、主として外科領域における製品の研究開発を進めており、2023年9月に放射線治療用吸収性組織スペーサ「ネスキープ®」の適応を粒子線から放射線へ拡大する保険適用がなされました。また、2023年5月に新規パーキンソン病治療薬専用の皮下投与インフュージョンポンプ「ヴィアフューザー®皮下投与システム」が保険適用になり、2023年7月より販売を開始いたしました。