当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、以下のとおり企業理念を掲げ、主にホーロー製品による水まわり設備機器の製造販売等の事業活動を行っております。
<企業理念>
|
『大切な3つの“Standard(スタンダード)”』 ・Living Standard(住生活水準) タカラスタンダードは、「水まわり設備機器」と「ホーロー技術」の進化を通じて、より多くの人がより心地良い暮らしを楽しめるようにお手伝いします。
・Ethical Standard(倫理規範) タカラスタンダードは、「社会との調和」、「社員の幸せ」、「環境への配慮」を大前提に、持続的な利益成長の実現を目指します。
・Quality Standard(品質基準) タカラスタンダードは、お客様の「信頼」が最も重要な会社の資産であると考え、製品・サービスの品質向上をすべてに優先させます。 |
また、当社グループは2021年度より、将来のありたい姿として、以下の長期ビジョンを掲げ、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
<長期ビジョン>
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『ホーローと共に、光り輝く魅力ある企業へ』 ・「独自性」を追求し、特別な価値を提供する企業 ・「新たな事業領域」に挑戦し、顧客を創造する企業 ・「働きがい」「生きがい」のある企業 ・ 社会から「信頼・尊敬」される企業 |
(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは2023年度を最終年度とする「中期経営計画2023」を推進してまいりました。当中期経営計画は「持続的な成長に向けた土台作り」に取り組む3ヵ年と位置づけ、稼ぐ力の強化を図るとともに、環境変化に柔軟に対応できる経営基盤の構築を図ってまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による外部環境の大きな変化、不安定な国際情勢や資材・エネルギー価格高騰の長期化による製造・物流コスト負担の増加等により、売上高及び営業利益は目標を達成したものの、営業利益率は未達成となりました。
このような経営環境のもと、2024年度を初年度とする3ヵ年計画「中期経営計画2026」を策定いたしました。新中期経営計画では「変革への再挑戦」をテーマに掲げ、長期ビジョンの実現に向け、持続的な成長並びに企業価値向上のため以下の点に取り組んでまいります。
1.収益構造改革
国内住宅設備関連事業を中心にデジタル技術の活用による生産性の向上とマネジメントの強化、さらなる自動化・省人化を推進する。
また新規売上の拡大のため、海外事業や新規事業を加速させ、新たな成長基盤を構築する。
2.財務戦略
持続可能な成長基盤の構築に向けて、成長投資や経営基盤強化等に資本を積極的に配分するとともに、財務の健全性を維持しながら、株主還元の充実を図る。
3.サステナビリティ戦略
気候変動問題をはじめとする環境問題への取組みを強化するとともに、人財開発・組織開発など人的資本の強化を図る。
(3)目標とする経営指標
「中期経営計画2026」においては、財務指標に加え非財務指標を目標に掲げ、経済的価値・社会的価値両面から企業価値の向上を目指してまいります。
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KPI |
2024年3月期 (2023年度) 実績 |
2027年3月期 (2026年度) ※中期経営計画最終年度 |
2031年3月期 (2030年度)
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財務指標 |
売上高 |
2,347億円 |
2,500億円 |
2,700億円 |
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営業利益 |
124億円 |
200億円 |
270億円 |
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営業利益率 |
5.3% |
8% |
10% |
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ROE |
5.2% |
7% |
8% |
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非財務指標 |
CO2排出量 (Scope1+2) |
58,828tCO2 |
49,000tCO2 (対2020年度比▲15%) |
41,000tCO2 (対2020年度比▲30%) |
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従業員満足度 |
75.2% |
77% |
80% |
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女性管理職比率 |
5.2% |
10% |
15% |
当社グループは企業理念に「Ethical Standard(倫理規範)」を掲げ、「社会との調和」、「社員の幸せ」、「環境への配慮」を大前提として持続的な利益成長の実現を目指しております。サステナビリティへの対応は当社グループにとって重要な経営課題であると認識しており、事業活動を通じて持続可能な社会の実現へ貢献してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
サステナビリティへの対応は、当社にとって重要な経営課題であるという認識のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現へ貢献してまいります。サステナビリティ課題については、取締役会における長期ビジョンや中期経営計画の議論を通じて、対応すべき課題や方針の検討を行っております。なお、環境問題については2022年7月より、経営企画室管掌役員を委員長とする環境委員会を設置し、気候変動を中心とした環境問題に関する課題や方針について検討を進めております。当委員会は、各本部長を構成員とし、組織横断的な検討体制を構築しております。
当委員会は年2回以上開催し、TCFD提言への対応及び戦略と指標の進捗、経営計画との整合を審議・承認し、その結果を年1回以上取締役会に答申します。取締役会は、当委員会からの答申・報告に基づいて、重要事項の意思決定及び監督を行います。
当委員会の事務局である経営企画室は、当委員会の運営のほか、各部門と連携しTCFD提言への対応推進・進捗管理を行います。また、シナリオ分析を通じた気候変動のリスクと機会の把握及び対応策の検討を行い、環境委員会へ提案・報告します。
<ガバナンス体制図>
<各組織の役割と構成員>
■環境委員会
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構成員 |
委員長 |
経営企画室管掌役員 |
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委員 |
管理本部長、生産物流本部長、営業本部長、研究開発本部長、経営企画室長 |
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事務局 |
経営企画室 |
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活動内容 |
定期開催 |
年2回(半年に1度) |
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議題 |
全社方針の決定、リスク管理、戦略の決定、目標の決定、行動計画の進捗管理など |
■執行体制(環境推進リーダー会議)
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構成員 |
各部 |
各部において環境推進リーダーを設置 |
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活動内容 |
定期開催 |
年4回(3ヵ月に1度) |
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経営企画室 |
委員会事務局、リスク・機会統括、戦略策定 |
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|
各部 |
戦略実行に向けた目標設定と実行計画の立案、進捗管理 |
(注)2024年7月1日付で代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置いたします。当委員会では、気候変動を中心とした環境問題に加え、働き方改革やダイバーシティの推進、人権問題などの社会課題に対する方針や戦略、計画を審議・承認し、サステナビリティの推進を強化してまいります。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、「気候変動」及び「人的資本」と認識しております。それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりであります。
①気候変動
a ガバナンス及びリスク管理
気候変動に対するガバナンス及びリスク管理は、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理に記載のとおりであります。
b 戦略
■移行リスク(1.5℃未満シナリオ)
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分類 |
シナリオ |
リスク |
影響度 |
機会 |
影響度 |
|
政策や法規制 |
炭素税課税の導入 |
資材やエネルギーの調達コストが増加し、製造コスト、販管費が増加 |
大 |
- |
- |
|
森林環境規制等の強化 |
木質資材の調達難度、調達コストが増加し、製造コストが増加 |
大 |
- |
- |
|
|
市場と技術 |
石油化学、鉄鋼業界における脱炭素に向けたダイベストメントや事業ポートフォリオの見直しが進展 |
鋼材や樹脂資材、木質資材の調達難度、調達コストが増加し、製造コストが増加 |
大 |
- |
- |
|
木材需要の多様化 |
- |
- |
|||
|
得意先・消費者の行動変化、節水・省エネ性・継続使用性の高い商品の選好 |
- |
- |
お手入れが容易で、長く使い続けられるホーロー製品等の存在感が高まる |
中 |
|
|
得意先の行動変化、製造工程におけるGHG排出量の低い資材の選好 |
製造工程におけるGHG排出量の多い製品の需要が減少するリスクがある |
中 |
木材製品の需要が増加 |
中 |
■物理リスク(4℃シナリオ)
|
分類 |
シナリオ |
リスク |
影響度 |
機会 |
影響度 |
|
慢性的 |
気温上昇で熱中症リスクが上昇 |
作業環境は、直射日光下ではないが、一定程度の影響は受ける |
中 |
- |
- |
|
急性的 |
異常気象の激甚化・頻度が増加 |
被災による操業停止 災害によるサプライチェーン寸断 |
小 |
災害リスクの高まりによって、強靭な供給体制のある存在感が高まる (2011年の震災時にも継続供給を実現) |
大 |
■環境問題に関して取組んでいる主な事項
|
目的 |
対応策 |
|
GHG排出量の削減 |
太陽光パネルの設置、モーダルシフトの推進(エコシップ、鉄道利用を促進) |
|
気象災害に対する レジリエンスの強化 |
製造、物流拠点の分散化や在庫の確保といったBCPへの継続的な取組みの推進 |
|
梱包資材の省資源化 |
梱包を必要最低限に切り替えることで、省資源、ごみの削減、輸送・開梱作業の効率化を推進 |
c 指標及び目標
当社のGHG排出量の算定結果(Scope1+2)と削減目標は次のとおりです。脱炭素社会の実現に貢献するため、具体的な削減策の検討を進めております。
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実績 |
目標 |
||||
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2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2026年度 |
2030年度 |
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|
Scope1+2 |
|
|
|
|
49,000tCO2 (対2020年度比▲15%) |
41,000tCO2 (対2020年度比▲30%) |
(注)1 GHG排出量は、環境省HP掲載の温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルに基づき算定
2 算定精度の向上を目的とした排出原単位の見直しにより、2020年度及び2021年度の算定結果について修正を行っております。なお、この修正による影響は軽微であります。
②人的資本
当社グループは、長期ビジョン『ホーローと共に、光り輝く魅力ある企業へ』を目指すにあたり、2024年度より新人事制度をスタートいたします。新人事制度では、従業員ひとりひとりのチャレンジと、その成果を公正に評価する仕組みを作る事で、会社と従業員が共に発展し、相互利益をもたらす関係を築いていきます。新人事制度により従業員エンゲージメントを向上させ、従業員が自分らしく主体的に行動し、組織に貢献することで、労働生産性の高い環境、イノベーションを生み出す組織を目指してまいります。
a 戦略
■人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針
・多様性の確保
今後、新たな事業領域への挑戦や海外進出を本格的に行っていくにあたり、多様性の確保は欠かせません。多様な人財が集まり活躍できる環境を作ることで、イノベーションに繋がると考えております。女性管理職やキャリア採用管理職の登用・育成、障がい者雇用の促進など、多様性確保のための各指標を設定し、継続的に推進しております。また、多様な人財をマネジメントする管理職に対して、ハラスメントやアンコンシャスバイアス等の研修を実施することで多様性を活かす組織・環境づくりを進めてまいります。
・人財育成の強化
新人事制度では、全社共通の求める人財像として「チャレンジ人財」「育成/成長人財」「自律自走人財」の3つを人財ポリシーとして掲げ、それを基に人財育成体系を再構築しております。具体的には組織づくりのキーマンとなる管理職育成の強化、手挙げ式の研修の拡充、社外交流型研修への派遣などの研修施策を行う一方で、社内公募の拡充など自律的なキャリア構築を推進してまいります。
■社内環境整備に関する方針
・働きやすい環境づくり
2024年度からの新人事制度では、専門職コースの新設、勤務地区分を選べるコース設定など、多様な価値観やライフスタイルに合わせた制度を構築しております。また、男女の働き方の差異を是正するため、男性の育児参加を促す施策として、子供が生まれる従業員だけでなく、組織の長である管理職に向けても育休研修を実施いたしました。育児をする社員への理解を深めることで、当連結会計年度においては79.1%の男性社員が育児休暇を取得いたしました。今後も、社員ひとりひとりが働きやすい環境を整備してまいります。
b 指標及び目標
当社グループでは上記において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりです。
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カテゴリ |
指標 |
目標 |
実績 (当連結会計年度) |
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エンゲージメント |
従業員エンゲージメント (総合満足度のポジティブ回答率) |
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多様性の確保 |
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人財育成の強化 |
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働きやすい環境づくり |
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※ 2024年4月1日時点の実績は5.8%であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであり、発生する可能性、経営に与える影響度等を考慮し、リスク対策に取り組んでおります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、本記載は将来発生しうる全てのリスクを必ずしも網羅したものではありません。
(1)業界動向等について
新設住宅着工戸数や持家着工数、リフォーム需要が著しく減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、新築向け・リフォーム向けそれぞれの商品展開を充実させることにより対応してまいります。
また、企業間競争はますます激化しており、今後の動向次第では当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、独自素材である「高品位ホーロー」の訴求と業界最多を誇る全国約160ヵ所のショールーム展開によって、他社との差別化を図ってまいります。
(2)資材・原材料の調達について
不安定な国際情勢などを背景とした市況の高騰によって原材料価格の上昇や、サプライヤーからの供給が不足又は停止した場合、市場の動向次第では、当社グループの事業・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、製造コスト削減によるコスト競争力の強化に継続的に取り組むとともに、複数社購買の実施やサプライヤーの情報収集、与信管理の徹底により安定した調達を図ってまいります。
(3)製品・施工・アフターサービスについて
製品・施工・アフターサービスにおいて、万が一の重大な事故が発生した場合、当社グループの事業・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、日頃から施工・アフターサービスを含めた製品の安全性を重視し、製品開発段階から品質には万全を期した体制をとっておりますが、万が一、重大事故発生の場合には、迅速かつ適切な対応がとれる様、社内体制の充実を図ってまいります。
(4)地政学について
当社グループはグローバルで事業活動を展開するにあたり、為替・金利変動、政治体制、関税・輸入規制・租税の変更等が、当社グループの事業・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、事業担当部門と関連部門が連携し、リスク情報の共有及び未然の防止に向けた取組みを進めてまいります。
(5)環境・気候変動について
大気汚染・水質汚濁・廃棄物処理や、地球温暖化対策などの各法令による規制の強化に伴い、新たな設備投資や対応費用の増加等、当社グループの事業・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループは各業務担当部門が法務担当部門と連携し、法令を遵守するとともに、設備投資については、省エネルギーや二酸化炭素排出量の削減など、環境へ配慮した内容にて実施しております。
なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
(6)有能な人財の確保について
日本国内における少子高齢化による労働人口の減少や人財流出等により、有能な人財の計画的な確保・育成ができない場合、業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの事業・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは多様な働き方の推進を図るとともに、人財育成のための各種研修プログラムを充実させております。また、あわせて業務の効率化や省人化を推進し、労働環境の変化に対応できる体制の構築を図ってまいります。
なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
(7)情報セキュリティについて
当社グループは生産・販売等において、多数のお客様の個人情報を保有しておりますが、災害・サイバー攻撃・不正アクセス・コンピュータウイルスの感染・ソフトウエア又は機器の欠陥等が発生した場合、個人情報を含む内部情報の社外流出や改ざん・破損により、事業活動の停滞や社会的信用が低下し、当社グループの事業・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは適切なセキュリティ対策と厳正な情報管理を徹底してまいります。
(8)自然災害等について
地震や台風等の自然災害の発生や新型コロナウイルス等の感染症が蔓延した場合、当社グループの事業拠点に損害を与え、事業活動の一部又は全体に支障をきたし、復旧のための費用負担など当社グループの事業・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、生産拠点の分散化や事業継続計画(BCP)の策定などにより災害による被害の最小化、及び当社グループの業績への影響の低減に努めております。
なお、新型コロナウイルスをはじめとする各種感染症に関して、感染拡大の状況によっては、世界的な景気悪化や消費者の消費行動変化、工場の操業停止やサプライヤーからの供給遅延に伴う当社製品の納期遅延や受注停止など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ112億3百万円減少し、2,686億7千5百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比べ170億8千5百万円減少し、812億7千6百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比べ58億8千2百万円増加し、1,873億9千8百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末64.9%から当連結会計年度末69.7%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末2,579円88銭から当連結会計年度末2,742円27銭となりました。
(経営成績の状況)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ73億1千5百万円増加し、2,347億3千8百万円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。
営業利益は、前連結会計年度と比べ14億8千7百万円増加し、124億2千7百万円(同13.6%増)となりました。
経常利益は、前連結会計年度と比べ13億2百万円増加し、127億9千2百万円(同11.3%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ10億8千3百万円増加し、95億円(同12.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(住宅設備関連事業)
当セグメントの売上高は2,344億8千3百万円(前連結会計年度比3.2%増)、営業利益は121億9千9百万円(同13.9%増)となりました。
(その他の事業(不動産賃貸事業及び倉庫事業等))
売上高は4億9百万円(前連結会計年度比2.3%減)、営業利益は2億2千7百万円(同0.2%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ207億1千1百万円減少し、当連結会計年度末には596億6千5百万円(前連結会計年度比25.8%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、13億1千4百万円(前連結会計年度は66億4百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、116億6千6百万円(前連結会計年度は53億8千6百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の資金の支出は、77億3千万円(前連結会計年度は94億4千8百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
住宅設備関連 (百万円) |
175,551 |
+1.8 |
|
その他 (百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
175,551 |
+1.8 |
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 生産・仕入の別は、当連結会計年度の内容に準じております。
3 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
なお、当連結会計年度の生産実績を製品部門別に示すと、次のとおりであります。
|
製品部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
キッチン (百万円) |
106,519 |
+2.3 |
|
浴室 (百万円) |
39,701 |
+2.7 |
|
洗面化粧台 (百万円) |
23,042 |
+1.0 |
|
その他 (百万円) |
6,283 |
△8.4 |
|
合計(百万円) |
175,551 |
+1.8 |
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 生産・仕入の別は、当連結会計年度の内容に準じております。
b 受注実績
当社グループは見込み生産を主体としておりますので、受注実績の記載は省略しております。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
住宅設備関連 (百万円) |
234,483 |
+3.2 |
|
その他 (百万円) |
255 |
△3.5 |
|
合計(百万円) |
234,738 |
+3.2 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
なお、当連結会計年度の販売実績のうち、住宅設備関連事業を製品部門別に示すと、次のとおりであります。
|
製品部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
キッチン (百万円) |
141,703 |
+3.5 |
|
浴室 (百万円) |
55,064 |
+5.0 |
|
洗面化粧台 (百万円) |
27,393 |
+3.7 |
|
その他 (百万円) |
10,322 |
△9.8 |
|
合計(百万円) |
234,483 |
+3.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ112億3百万円減少し、2,686億7千5百万円となりました。これは主に、現金及び預金が207億1千1百万円減少、受取手形が7億8千6百万円減少、棚卸資産が4億2百万円減少した一方で、有形固定資産が63億4千万円増加、電子記録債権が31億8千4百万円増加、投資有価証券が18億7千万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比べ170億8千5百万円減少し、812億7千6百万円となりました。これは主に、電子記録債務が135億5千4百万円減少、支払手形及び買掛金が38億3千7百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比べ58億8千2百万円増加し、1,873億9千8百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により95億円増加、退職給付に係る調整累計額が19億8千4百万円増加、その他有価証券評価差額金が16億7千9百万円増加した一方で、剰余金の配当により36億9千2百万円減少、自己株式の取得により35億9千万円減少したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末64.9%から当連結会計年度末69.7%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度2,579円88銭から当連結会計年度末2,742円27銭となりました。
(経営成績の分析)
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇の影響はあるものの、経済活動の正常化に伴いインバウンド需要を中心に緩やかな回復基調にて推移いたしました。
住宅市場におきましては、新設住宅着工戸数は持家や分譲住宅の減少により前年を下回っているものの、リフォーム需要は底堅く推移いたしました。
このような事業環境の下、当社グループは、長期化する資材・エネルギー価格高騰への対策として、合理化投資による生産性の向上やデジタル技術の活用に取組むとともに、2023年4月のシステムキッチンや洗面化粧台の価格改定に続き8月にシステムバスについても改定を行い、収益力の改善に注力してまいりました。
商品面での取組みにつきましては、ホーローシステムキッチンのフラッグシップモデル「レミュー」のモデルチェンジやホーロー製レンジフード「キープクリーンフード」(2023年度グッドデザイン賞受賞)を発売するなど、高いデザイン性と機能性の両方を実現し、高級価格帯での売上拡大を図ってまいりました。
ショールーム展開といたしましては、埼玉県・川口ショールームの移転及び大阪ショールームや福岡ショールームの全面リニューアルなどショールームの強化を図り、リフォーム需要の掘り起こしに努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、次のとおりとなりました。
売上高 2,347億3千8百万円(前連結会計年度比 3.2%増)
売上総利益 795億8千8百万円(前連結会計年度比 4.7%増)
営業利益 124億2千7百万円(前連結会計年度比13.6%増)
経常利益 127億9千2百万円(前連結会計年度比11.3%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 95億円(前連結会計年度比12.9%増)
売上高については過去最高となり、利益面では前連結会計年度比で増益となっております。
営業利益の主な増加要因としましては、2022年度及び2023年度に実施した価格改定による110億4千3百万円であります。
一方で、営業利益の主な減少要因としましては、資材の値上げによる49億3千6百万円、経費の増加による27億5千7百万円であります。資材の値上げにつきましては、主要資材である鋼板・ステンレス・樹脂原料などの市況の高止まりによるものです。また、経費につきましては物流コストの上昇や、生産設備増強に伴う減価償却費を中心に増加しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
(住宅設備関連事業)
当セグメントの売上高は2,344億8千3百万円(前連結会計年度比3.2%増)、営業利益は121億9千9百万円(同13.9%増)となりました。
当セグメントの製品部門別の状況は、次のとおりであります。
a キッチン
新築市場、リフォーム市場ともに価格改定の効果もあり、売上が拡大しました。新築市場におきましては木製システムキッチンの拡販が進み、リフォーム市場におきましては2023年8月にモデルチェンジしましたホーローシステムキッチン「レミュー」の拡販が進んだことから、売上高は1,417億3百万円(前連結会計年度比3.5%増)となりました。
b 浴室
新築市場、リフォーム市場ともに価格改定の効果もあり、売上が拡大しました。2022年8月に発売しましたシステムバス「グランスパ」がリフォーム市場を中心に、新築市場でも拡販が進んだことに加え、新築マンション向けシステムバスも順調に拡販が進んだことから、売上高は550億6千4百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。
c 洗面化粧台
新築市場、リフォーム市場ともに価格改定の効果もあり、売上が拡大しました。新築市場におきましては木製洗面化粧台の拡販が進み、リフォーム市場におきましては2023年8月にモデルチェンジしましたホーロー洗面化粧台「エリーナ」の拡販が進んだことから、売上高は273億9千3百万円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。
(その他の事業(不動産賃貸事業及び倉庫事業等))
売上高は4億9百万円(前連結会計年度比2.3%減)、営業利益は2億2千7百万円(同0.2%減)となりました。
②キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、以下のとおりであります。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ207億1千1百万円減少し、当連結会計年度末には596億6千5百万円(前連結会計年度比25.8%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、13億1千4百万円(前連結会計年度は66億4百万円の増加)となりました。主な要因は、一部の購入先及び物流事業者への支払いを早期化したことによる仕入債務の減少と、税金等調整前当期純利益の計上による資金の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、116億6千6百万円(前連結会計年度は53億8千6百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出と、投資有価証券の売却による収入であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の資金の支出は、77億3千万円(前連結会計年度は94億4千8百万円の支出)となりました。主な要因は、配当金の支払い及び自己株式の取得による支出であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは事業活動に必要な資金の十分な確保及び健全なバランスシートの維持を財務方針とし、資金の財源につきましては自己資金による充当のほか、銀行借入による調達も行っております。当連結会計年度末の有利子負債の残高は76億5千万円、また現金及び現金同等物は596億6千5百万円であり、将来の資金需要に対して十分な手許流動性を確保しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、住宅設備機器の製造に必要な資材の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、業容拡大・合理化のための設備投資や、ホーロー技術の研究・新商品の開発等の成長投資であります。
株主還元につきましては、長期にわたり安定かつ充実した配当を維持し、業績・財政状態などに応じて増配を実施することを基本方針としております。また、自己株式の取得につきましては、財務の健全性を維持しながら資本構成に応じて機動的に実施し、資本効率の向上と株主還元の充実を図ってまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社グループは住宅関連機器の総合メーカーとして、多様化する顧客のニーズを的確に捉えた商品を開発するため、当社グループ間での連携を強化しながら研究開発に取り組んでおります。また、一方では基礎的研究にも力を注ぎ、長期的な研究開発にも取り組んでおります。
当連結会計年度におきましては、各商品群で積極的な新商品開発を行うとともに、独自のホーロー技術を核とした高付加価値商品の開発を通じて商品力の強化を図ってまいりました。
(住宅設備関連事業)
キッチンにおきましては、ホーローシステムキッチンのフラッグシップモデル「レミュー」のモデルチェンジを実施いたしました。世界初となるホーロー3Dインクジェット印刷技術を活用することで、従来の技術では不可能であった扉の側面にも柄が施されるようになりました。扉全体で縦に繋がる大胆な柄や、天然木の特徴ある節の再現なども可能となり、まるで本物の無垢材のように美しく、より高級感のあるキッチンとなっております。カラーバリエーションも23色から32色へと拡大し、より多彩なデザインからお選びいただけるようになりました。
また、2016年の発売以降、大変ご好評をいただいている「家事らくシンク」が、今まで以上に調理がしやすく、お手入れが簡単な「新・家事らくシンク」へと生まれ変わりました。従来の洗う・切る・捨てるの一連の作業をシンク内で効率的に行える機能性に加え、業界初となる水はけのよい傾斜付きのまな板やごみポケットの容量拡大、シンクに汚れがたまりにくい形状への見直しなど、さらなる利便性の向上を図っております。
キッチンのパッケージプランでは「家事らくプラン」を新規設定いたしました。掃除道具などの衛生用品の収納に最適な引き出しや、調理前の食材や道具などを置いておく準備スペース「ホーローきれいエリア」に加え、シンク下にまで食器洗い乾燥機やゴミ箱スペースを備えたプランは業界唯一となります。
レンジフードにおきましては、高い清掃性と意匠性を両立した最高級ホーロー製レンジフード「キープクリーンフード」を発売いたしました。内部を汚れにくくする独自の「フィルタリング構造」により、ファンを含む内部のお手入れは10年間不要です。また、普段のお手入れは手の届きやすい位置にあるホーロー製部品のみとすることで、お掃除にかかる時間と使用する水量の削減を実現いたしました。フード部分につきましては、お掃除のしやすさと重厚で優艶な品格にこだわり、継ぎ目のないフラットな造形にホーローを施した、独自の「ホーローシームレスフード」を採用いたしました。また、新たに搭載した「環境センサー」により、排気風量を自動で調節し、運転中の無駄な出力を抑えることで消費電力量を削減するなど、人と環境にやさしいレンジフードとなっております。この「キープクリーンフード」は家事負担を軽減し、よりよい暮らしを提供する製品と評価され、2023年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。
洗面化粧台におきましては、最高級シリーズ「エリーナ」のモデルチェンジを実施いたしました。ホーローシステムキッチン「レミュー」と同様、世界初のホーロー3Dインクジェット印刷技術を盛り込んだ新扉デザインを採用いたしました。扉・引手のカラーバリエーションを拡大するとともに、マットブラックの水栓の設定など、トレンドデザインを大幅に強化しております。また、玄関横などのスペースにも設置できることで発売以来好評を博しております「コンパクト手洗い」においては、新形状のホワイトボウルタイプを追加いたしました。
当社グループ独自のホーロー技術開発につきましては、上記のように種々の商品で展開を行っておりますが、当社グループの最重要中核技術として引き続き基礎研究から応用技術開発まで注力し、その成果を順次新規商品に展開してまいります。
当連結会計年度において支出した研究開発費の総額は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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セグメントの名称 |
研究開発費 |
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住宅設備関連 |
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その他 (注) |
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合計 |
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(注) 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。