第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

経営理念

「世界の日精 プラスチックをとおして人間社会を豊かにする」

経営ミッション

「お客様の価値を創造し、お客様が満足することを通じて社会貢献を図る」

品質方針

「お客様と会社がともに成長できるモノづくりを推進する」

 当社は創業以来、射出成形機の専業メーカーとして、常にお客様の立場に立った商品開発を手がけるとともにお客様と永年培ってきた成形技術の集積を総合的に提供することに努めてまいりました。

 常にお客様のニーズを先取りし、高付加価値、高品質の商品並びに充実したサービスを提供することにより、豊かな社会の実現に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

 目標とする経営指標は、連結売上高営業利益率であります。

 当社グループでは、株主への安定的な配当を維持しつつ、継続的な研究開発及び生産設備投資を行っていくためには、連結ベースの売上高営業利益率を恒常的に8%以上確保することが必要であると認識しております。

 2024年3月期におきましては、射出成形機の需要が低調であったこと等から2023年3月期の5.1%から3.7%となりました。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、2022年4月より「グローバル環境経営を更に進化させ、『フューチャーデザイン2026』の達成に向けた総仕上げを行う」をスローガンに掲げ、3ヵ年の第四次中期経営計画を策定し、以下の方針により2025年3月期に連結売上高640億円、連結営業利益42億円の達成を目指してまいりましたが、世界において、エネルギー資源価格および原材料価格の高騰等を背景に射出成形機需要が低調であることから2025年3月期の業績予想は、連結売上高455億円、連結営業利益は10億5千万円と修正いたしました。

 

①真のグローバル経営の強化

 世界規模で進展する市場変化のなかで、グローバル環境経営を強化し、高収益企業としてグローバルな展開を図り、グループ力を発揮いたします。

②グローバル市場への積極的展開による営業強化

 営業力の強化と、新たなビジネスモデルの創出により売上増大を図ってまいります。またお客様の課題解決型企業として、お客様にご満足いただける提案型営業を行うとともに、ボーダレス化、IoT化に呼応して、グローバル市場への積極的な展開を図ってまいります。

③グローバル生産体制の強化

 5極生産体制により生産能力を増強するとともに、生産技術力と品質保証体制を強化いたします。またグローバル調達体制の強化と内製化率向上により更なるコストダウンを図ってまいります。

④グローバルリスク管理体制の強化

 リーガルリスクに対応した製・販・財戦略とコーポレートガバナンス、BCP等に対応したグローバルマネジメント体制を強化いたします。また、グローバルに対応できる人材の育成を図ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 2025年3月期(2024年4月から2025年3月まで)は、第四次中期経営計画の最終年度にあたり売上高640億円を計画として掲げておりました。しかしながら昨年から続く世界経済の低迷により各業界の設備投資マインドに更なる慎重さが加わり、当社においては引合いから受注に至るまでの期間が長期化している現状を鑑みて当初計画を見直し455億円と修正いたしました。今期の経営目標は「フューチャーデザイン2026の達成に向けた総仕上げを行う」をローリングさせ、拠点整備を行ってまいります。

 その具体的な施策は、次の通りであります。

①環境経営の実践強化

 プライム市場企業としての基準維持・強化、セールス、商品、リスク等全ての企業活動を環境視点で考え、環境対応技術のビジネス化により売り上げ増に繋げてまいります。

②セールス戦略

 円安基調を背景とする為替を利用した海外現地法人との共同販促キャンペーンによる国内外在庫機の最適化と、グローバルサウスへの積極的な事業展開で収益増強を図ってまいります。

③商品戦略

 中・長期ロードマップに基づき、競合他社とは異なる成形アプローチによりお客様が儲かる新商品の提案をし、それぞれの重点業種に適した成形機および成形システムの投入を進めてまいります。

④プロダクト戦略

 グループ全体の品質目標「Made by NISSEI お客様にご満足いただける製品・サービスの提供を推進する」を達成するため、グローバルな品質保証体制を強化し、世界同一品質の実現に努めてまいります。

⑤コスト戦略

 各国の生産拠点における内製化比率向上と欧州、米国、中国、アセアンでの最適地生産に向けたサプライチェーンの再構築により、リーン生産方式を実現し無駄を省くとともに価格競争力の向上を目指します。

⑥サービス戦略

 IoT技術に基づく定期契約型の事業展開として成形機の可塑化診断ソフト・リモートメンテナンス機能・寿命予測機能を具備した射出成形AIサポートシステムの提案を進めてまいります。

⑦人事戦略

 人的資本強化を意識した各種研修を通してプロフェッショナル人材を育成し、グローバル化とイノベーションに見合う人員を配置し、各人の能力が十分に発揮できる労働環境の整備に努めてまいります。

⑧リスク管理体制

 開示情報の拡充および資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みを行うとともに全社リスクの見直しを実施し、全拠点におけるBCP・BCMの策定支援を実施いたします。

 

(5)気候変動及びTCFDに関する課題

 当社グループは、地球規模での環境保全への対応について経営の重要課題の一つとして捉えております。グローバル視点による経営の基本を環境面から捉え、海洋プラスチック問題や脱炭素社会の実現、資源循環システムの構築といった問題に対し、各施策を推し進めてまいります。

①ガバナンス体制

 気候変動対応及び目標値の設定承認は代表取締役社長が行います。全社において定期的に開催する環境経営プロジェクトにおいて目標値の設定、各部門における進捗状況を把握し、目標達成に向けた施策の実行状況を監督しております。内容及び進捗状況は同プロジェクト内において代表取締役社長に報告される体制を敷いております。

②戦略

 当社グループでは、気候変動がもたらす事業活動に係る重要なリスクと機会の明確化に向けて、信頼性のある外部機関によるシナリオ群を活用しつつ、「脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)」、「温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)」の2つのシナリオ分析を進め、重要なリスク(移行リスク、物理リスク)と機会に対する主なインパクトを想定し、費用対効果を考慮のうえ対応策を定め、財務への影響を測定しております。

 

③リスク管理体制

 社内で実施する環境経営プロジェクトをとおしてリスクを特定し、各部門において部門目標として設定いたします。設定したリスクは各部門に所属する課単位で目標展開項目としてPDCAサイクルを実施し、目標達成に向けた施策を推し進めることといたします。各課単位での取り組み状況を確認する体制としてISO9001、ISO14001による品質環境内部審査委員会の内部審査及び内部監査部門が実施する業務監査において定期的に審査、評価を行い、取締役会で報告し、実効性を確保してまいります。

④指標及び目標

 現在、当社本社にて設置、稼働しております太陽光発電量は、2022年度が673,931kWh(28百万円相当)、2023年度が631,897kWh(26百万円相当)であり、平均して年間で約300トンのCO₂削減量を実現しております。この発電量は本社、工場の稼働に必要な電力量の15%程度であります。今後におきましては、本社及び海外拠点において再生可能エネルギーも用いた工場等の稼働方法を検討してまいりいます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社グループでは、サステナビリティを巡る諸問題に取り組むことが新たな収益に繋がり、また事業リスクを低減させることに繋がると認識しております。このため、CSV経営に取り組み、社会課題の解決と企業収益力の向上を目指して、サステナビリティ課題に取り組んでまいります。

 

(2)ガバナンス

 当社グループでは、「世界の日精 プラスチックをとおして人間社会を豊かにする」の経営理念は、社会課題を解決して地球環境および人間社会に創造価値を提供することと考え、代表取締役社長を最高責任者とする環境経営プロジェクトを立ち上げ、全社で取り組みを実施しております。環境経営プロジェクトは、原則として年4回開催し業務執行取締役、執行役員及び部長級従業員がメンバーとなり、それぞれの管掌部門における収益の機会とリスクを洗い出したうえで経営計画に基づいて重要度を3ランクに分類しております。これらの取り組み課題は重要度が高い課題を中心に取り組むこととし、課題に対する進捗管理は、社内で展開している46のプロジェクトにおいてそれぞれの課題達成に向けて取り組みを進め、環境経営プロジェクトにて報告を受け、進捗状況等の監視と議論を実施しております。

 詳細は、「 https://www.nisseijushi.co.jp/corporate/news0001.php?g=3&id=545 」をご覧ください。

 

(3)戦略

サステナビリティに関する戦略

 ①マテリアリティ(重点課題)の特定

 マテリアリティの特定は、環境経営プロジェクトにて実施しております。マテリアリティの特定については、当社グループの主な事業であるプラスチック射出成形機から生産されるプラスチック製品が地球環境をはじめ社会全体に及ぼす影響が重大であると認識し、気候変動への対策を軸に、SDGs、コーポレートガバナンス・コード、当社長期成長戦略「フューチャーデザイン2026」および中期経営計画から「収益機会のマテリアリティ」と「リスクのマテリアリティ」を選定しております。

 収益機会のマテリアリティは、「社会課題解決による企業収益の向上」といたしました。プラスチック製品は、原油資源を材料にしていることから環境負荷、海洋プラスチック問題等の環境対策の必要性が高まる一方で、発展途上国等での人々の生活向上、あらゆる産業の技術力向上や製品性能の向上に欠かせないものであり、これらの問題を射出成形機および射出成形技術から解決することで、当社グループが社会へ創造価値を提供することに繋がると認識しております。

 リスクのマテリアリティは、「気候変動、環境保全に配慮したビジネス展開」「人的資本および組織力の強化」「リスク管理体制強化に向けたガバナンス体制の構築」といたしました。

 「気候変動、環境保全に配慮したビジネス展開」は、プラスチック産業は環境配慮に向けたビジネスクリエイティブマインドを高めることが必須であることから環境に対するマテリアリティといたしました。

 「人的資本および組織力の強化」は、時代とともに変化するモノづくりの思想に対応し、自らが積極的に変革することで、社会への価値提供をする企業となるために社会に対するマテリアリティといたしました。

 「リスク管理強化に向けたガバナンス体制の構築」は、コーポレートガバナンスの強化、サプライチェーンマネジメントを含めたリスク管理強化を進めることでグローバル経営体制の強化を図るためガバナンスに対するマテリアリティといたしました。

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 ②マテリアリティへの取り組み

 特定したマテリアリティについて、各部門において機会の側面とリスクの種類の洗い出し、重要度ランク付(重要度順にA、B、C)を行います。そのうえで機会の拡大、リスク低減のための目標値または具体的な計画を決定いたします。これらの目標値または計画達成のために四半期を1クールとするPDCAサイクルを各部門で進めております。また各部門の進捗管理は環境経営プロジェクトにおいて実施しております。

 

人的資本に関する戦略

 ①人財の育成及び社内環境整備に関する方針

人財育成方針

 当社は、「世界の日精 プラスチックをとおして人間社会を豊かにする」を経営理念として掲げており、社会課題を解決しながらお客様や社会が求める新しい価値を生み出すことが当社の使命であり、存在意義であります。

 社会に必要とされる企業であり続けるためには、新たに必要とされる能力開発を自立して継続できる人財が求められ、持続的成長を実現するためには、リーダーシップを発揮するグローバル人財、多様な経験や個性ある人財、様々な専門性を持つ人財が必要であり、人財の確保と育成に取り組んでまいります。

 ②人財の育成戦略

ア.グローバル人財の育成

 当社グループが持続的に成長するためには、グローバル経営を進化させていくことが必要であります。そのため海外赴任前研修および海外一時帰国研修等を実施してグローバル人財の育成を進めております。このほか、通常業務の中においてはイタリアにある当社の連結子会社の技術部門の従業員と当社の技術部門の従業員が週1回、WEBで技術交流会を実施し、技術に関する情報交換や開発テーマに対して協力して取り組みを進める等、グローバルに活躍できる人財の育成を進めております。

イ.多様な人財の育成、活用

 当社グループでは、事業活動のグローバル化、DX化を推し進めていく中で、多様な経験や個性ある人財、様々な専門性を持つ人財の育成を重要課題として捉え、能力開発に取り組んでおります。上司は部下のキャリアプランの実現に向け、強みと課題について面接で丁寧に話し合い、半期毎に、部下の成長に繋がるチャレンジングな役割や業績目標、能力開発目標を立て、サポートをしております。

 具体的には、現場の課長級の上司と社員一人ひとりが毎年「目標チャレンジシート」を作成し、個々のチャレンジ目標を設定、年間を通じて上司が目標達成に向けた後押しをすることで成長を実感しやすい環境を整備しております。さらに、全ての社員がキャリアシートを作成し、1年後から3年後、5年後の長期視点での自己キャリアを創造し、人事担当取締役との面談を通じて自己のキャリアステージおよびライフステージを見据えた働き方ができるように推進しております。

 

ウ.ダイバーシティの推進

 社会的に人財の多様性が求められるなか、企業が新たな成長を実現するためには、経営陣や中核人財が多様な視点や価値観を備えることが求められます。当社では、女性・外国人・中途採用者の区別なく能力に応じて管理職へ登用する制度を運用しております。また、多様性は性別、国籍に限らず、年齢、人種、宗教、信条、価値観、さらにキャリアや経験、働き方なども含みます。当社は、個々の従業員の多様性を尊重しつつ多様な人財を確保し、すべての従業員が意欲的に仕事に取り組めるよう職場環境づくりや働き方の多様性を推進することで、適材適所でその能力が十分発揮できるようにすることを目標としております。

エ.働き方改革

 当社では、従業員が仕事と家庭を両立させて、その能力を十分に発揮できる職場環境を整備するため育児休業・介護休業制度の充実を図っております。また、多様な働き方に関する取り組みとして正社員登用制度や70歳までの雇用制度を導入しております。特に女性社員の活躍推進に向けて働きやすい就業制度や社内意識改革に取り組んでいます。また管理職ポジションにおける女性の活躍を増やしていけるよう、人財の拡充と育成を推進し、女性リーダー向けの選抜研修も実施しております。

オ.健康で豊かな生活の実現

 会社にとってかけがえのない財産である従業員が健康で最大限の能力を発揮できる健康経営に取り組み、従業員ならびにご家族の健康保持を支援しております。従業員の健康管理は経営の重要課題の一つであると捉え、代表取締役社長を委員長とした健康経営推進体制を敷いております。健康経営の実践を図ることで全ての従業員が活き活きと働くことができる職場環境および健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指してまいります。

カ.研修制度・資格取得制度

 当社は、持続的成長を図るため、従業員が主体的にキャリア形成に取り組めるよう支援しております。階層別研修や管理職研修、海外赴任者研修、海外勤務候補者研修、女性アドバンス研修、社内語学教室など、研修制度や自己啓発の支援の充実を図るとともに技能士国家資格である「プラスチック成形技能士」の資格取得を支援しており、職種を問わず多くの社員が挑戦し、社員の約8割が当該資格を保有しております。

 人的資本戦略の詳細につきましては「 https://www.nisseijushi.co.jp/corporate/news0001.php?g=3&id=545 」の掲載の統合報告書をご覧ください。

 

(4)リスク管理

 上記記載のマテリアリティ(重点課題)の特定については、当社グループ事業による社会課題の解決(CSV)といった収益の機会に繋がる課題と事業活動が社会に及ぼすネガティブな影響を把握し、ステークホルダーに与える影響を軽減するといったリスクの観点から評価・分析・検証を環境経営プロジェクトにて実施しております。

 

マテリアリティ特定のプロセス

・重点課題候補の抽出

 当社グループの企業理念、気候変動への対策を軸に、SDGs、コーポレートガバナンス・コード、長期成長戦略「フューチャーデザイン2026」および中期経営計画をベースに機会とリスクとして各部門でリストアップいたします。

 

・重点課題の特定と重要度ランク付け

 重点課題候補として抽出した課題は、当社グループにおいて取り組むべき課題として重要度ランク付けをいたします。ランク付けについては、企業価値向上、社会課題の解決、リスクの低減度合およびステークホルダーへの

影響度を勘案して重要度が高い順にA、B、Cの三段階に分類しております。本有価証券報告書提出日現在で88項目の課題に取り組んでおります。

 

 詳細は、「 https://www.nisseijushi.co.jp/corporate/news0001.php?g=3&id=545 」に掲載の統合報告書をご覧ください。

 

(5)指標及び目標

 当社グループが特定したサステナビリティに関するマテリアリティ(重点課題)は、当社グループ事業による社会課題の解決(CSV)といった機会に繋がる課題と、事業活動が社会および地球環境に及ぼすネガティブな影響を把握したリスクについてそれぞれに目標を設定しております。当社グループのマテリアリティの達成に向けた主な課題とその目標、進捗状況は次のとおりであります。

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人財の育成及び社内環境整備に関する指標及び目標

 ①女性活躍推進・多様な働き方

 2026年3月期に女性管理職比率8%を目指しておりますが、母集団形成のため女性従業員割合を20%に引き上げるよう取り組んでおります。2023年度は女性従業員の採用を積極的に行い、新卒・中途採用者に占める女性従業員の割合は33.3%となっております。女性従業員がライフイベントの経験をしながらキャリアを継続して活躍するために、仕事と育児の両立支援にも取り組んでいますが、男性従業員の理解が重要と考え、管理職研修の実施、全社員に育児介護制度を周知、男性従業員の育児休業取得を促進したことで、2024年3月期の男性従業員の取得率が69%となりました。

 また、女性のさらなる活躍を推進するため、女性社員を対象とした研修や、管理職、係長候補となる女性社員を選抜したアドバンス研修など、女性リーダーの育成と活躍のための取り組みを実施しております。

 ②ダイバーシティの推進

 社会的に人財の多様性が求められる中で、企業が新たに成長を実現するうえで、経営陣や中核人財に多様な視点や価値観を備えることが求められております。当社では、女性・外国人・中途採用者の区別なく能力に応じて管理職へ登用する人事制度を運用しております。多様性は、性別、国籍、年齢、人種、宗教、信条、価値観、キャリア、経験、働き方を含みます。当社は個々の従業員の多様性を尊重しつつ多様な人財を確保し、全ての従業員が意欲的に仕事に取り組めるよう職場環境づくり、働き方の多様性を推進し、適材適所でその能力が十分に発揮できることを目標としております。

 詳細は、「 https://www.nisseijushi.co.jp/corporate/news0001.php?g=3&id=545 」に掲載の統合報告書をご覧ください。

 

 

目標

2024年3月期現在

女性管理職比率

2026年3月期8以上

4.3

女性従業員比率

2026年3月期20以上

17.2

男性従業員の育児休暇取得割合

2026年3月期85以上

69

労働者全体の男女間賃金差異

2026年3月期75以上

68.8

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業内容及び事業状況に内在する固有のリスク要因

①特定製品への依存度が高いことについて

 当社グループの中核的な事業は、射出成形機および関連機器の製造・販売であり、連結売上高合計に占める射出成形機売上高の構成比が約7割と高い水準で推移しております。

 射出成形機市場においては一定の更新需要が見込まれることに加え、当社グループにおいても新製品の開発等により常に新規需要を喚起しておりますが、内外の景気動向、特に産業機械分野の設備投資マインドの低下等により射出成形機の需要が停滞した場合、グループ全体の収益低下に直結するおそれがあります。

②自然災害および感染症拡大に伴うリスク

 当社グループは、世界に販売・生産拠点を有しており、拠点ごとに事業継続リスクを検討し、BCPマニュアルの策定、運用及びBCP訓練の定期実施等の対策を講じておりますが、地震、水害、台風、竜巻等の自然災害による地域経済の停滞及び新型コロナウイルス感染症等の感染症が拡大することによる世界経済の停滞から当社グループの従業員の健康被害、事業所閉鎖による事業活動の停滞、各国の渡航制限および顧客の工場入場制限等による営業活動縮小、都市封鎖等による生産拠点の閉鎖、サプライチェーンの縮小等の収益低下に直結するおそれがあります。

③気候変動に伴うリスク

 当社グループが製造、販売するプラスチック射出成形機により生産されるプラスチック製品につきましては、人間社会を豊かにしてきた半面、マイクロプラスチック問題等の環境問題が生じております。当社では1990年代より環境に配慮した生分解性樹脂の利用技術・応用技術の研究開発に継続的に取り組んでおり自社ブランドの射出成形システム及び成形技術を上市し拡販を進めておりますが、気候変動に伴う自然災害の増加リスクの他、世界規模で従来プラスチック製品の製造規制または使用が禁止される等により射出成形機の需要が縮小し、グループ全体の収益低下に直結するおそれがあります。

④為替レートの変動について

 当社グループは、アジア、アメリカ、ヨーロッパ地域を含む世界各地で製品を販売しており、最近の海外売上高比率は概ね7割程度と高い水準で推移しております。

 製品の多くは円建てのほか、各国通貨建決済により海外販売子会社を通じて販売されておりますが、特に売上高の主要部分を占める米ドル建取引、元建取引およびユーロ建取引に係る売上債権について為替リスクを有しております。通常、円高はグループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらす傾向があります。

 また、当社の各海外販売子会社との円建取引につきましては、各子会社において支払債務を現地通貨から円換算する際、為替レートの変動に伴う差損益が発生し、結果としてグループの業績が影響を受ける場合があります。

 こうした状況に対し、為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限にするため、種々の為替ヘッジを行っておりますが、極端な為替レートの変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)その他、継続企業として潜在的に負っているリスク要因

①海外市場に潜在するリスクについて

 当社グループの海外市場における事業展開には、特に、次に掲げるようなリスク要因が内在しております。

ア.予期しない法律及び規制の変更等

イ.政治または経済環境の変動

ウ.テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

②製品の欠陥に対するリスクについて

 当社グループは、一定の基準に従い、品質及び安全管理に相当の注意を払いつつ製品を製造しております。しかし、製品について全く欠陥が発生しないという保証をしているわけではありません。製品の欠陥によるリコールや製造物賠償責任の発生等により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

③資金調達に関するリスクについて

 当社グループは、専ら営業収益及び金融機関からの借入により事業活動に必要な運転資金を確保しております。従って、市況の悪化等の要因により売上・利益水準の低下が継続した場合、グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

(1)経営成績及び財政状態の状況

 当連結会計年度における世界情勢は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化およびイスラエル・ハマス紛争の地政学リスクの高まりにより農作物や資源エネルギーの供給不足、価格高騰等、先行きは不透明な状況で推移いたしました。

 当社グループが属する射出成形機業界では、米国の利上げおよび、急激な円安による資源高での原価高騰、中国の景気減速等を要因として受注状況が低調であったことから厳しい経営環境が継続いたしました。

 このような状況のもと、当社グループは、長期成長戦略として第70期(2026年3月期)を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成と第67期(2023年3月期)を初年度とする第四次中期経営計画を展開いたしました。

 事業拠点につきましては、部材高騰への対応として成形機の安全カバーおよびハーネスケーブルの内製化を目的に中国・江蘇省太倉市にある太倉滝田金属製品有限公司を子会社化いたしました。また、2022年1月に中国・浙江省海塩県に設立した生産子会社、日精塑料机械(海塩)有限公司の稼働を開始いたしました。同工場では、複数の工作機械と自動搬送装置を組み合わせた全自動フレキシブル生産ラインにより24時間部品加工を行うことで内製化によるコストダウンと生産能力拡大が見込め、今後、当社のQCDを確保するグローバル部材供給のハブとして展開が可能となります。

 商品につきましては、新しい機構の開発により大幅な省スペース化を達成したFWXシリーズの拡大を図りました。全長が従来機より約20%短縮された他、当社独自の低圧成形システム「N-SAPLI」と組み合わせることで更に大きな製品成形が可能となり、お客様の成形設備の大幅なダウンサイジングを実現いたしました。

 セールス展開につきましては、「Inclusive Growth」を世界共通テーマに掲げ、持続可能な社会を実現するための環境対応技術を推進する技術提案の場として国内外で内覧会の開催に注力いたしました。国内では、自動車関連産業をターゲットに、昨年8月に名古屋市、本年3月に北九州市においてEV化に対応した新技術、金属代替による樹脂化・軽量化技術、成形工場のIoT技術などを提案いたしました。海外におきましては、昨年9月に中国・太倉市の日精塑料机械(太倉)有限公司において内覧会を開催し国内同様の提案を行いました。

 外部の展示会への出展としましては、昨年11月に千葉県幕張メッセで開催された国際プラスチックフェア「IPF2023」に出展し、環境省が推進する「プラスチックスマート」構想に連動し、植物由来の生分解性樹脂の普及とリサイクルマテリアルの有効利用に向けた取り組みを「バイオプラスチック」と「アップサイクル」をキーワードに展示・実演をいたしました。

 また、当社グループ内で排出するCO2削減に向けて本社工場および海外生産工場において太陽光発電システムの導入を進めており、工場稼働に必要な電力の約6.7%を削減いたしました。その他、自社におけるCO2排出量の削減に取り組むため、Scope1(自社における燃料の燃焼、自家発電、工業プロセスからの排出)、Scope2(他社から供された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)、Scope3(サプライチェーン全体、お客様の生産活動における当社製品からのCO2排出)の計測を実施し、事業活動全体での効果的なCO2削減に取り組んでまいりました。今後も持続可能な社会の実現に向けて、CO2排出量削減と環境に貢献する製品の創出に取り組んでまいります。

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は期中を通して射出成形機需要が低調だったこと等から前期比9.8%減の470億6千8百万円となりました。このうち、国内売上高は131億9千3百万円、海外売上高は338億7千4百万円となり、海外売上比率は72.0%(前期実績は75.1%)となりました。

 利益面におきましては、営業利益は17億2千4百万円(前期比35.7%減)、また為替差損6億円を計上したことにより経常利益は13億4千万円(同44.8%減)となりました。

 このほか負ののれん発生益等の特別利益を計上した一方で、繰延税金資産の一部取り崩し等を法人税等調整額に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は3億7千6百万円(前期比79.5%減)となりました。

 セグメントごとの経営成績は次の通りであります。

①日本

 需要は低調だったものの専用機、特殊機の販売量が増加したこと等から売上高(外部顧客への売上高)164億9千5百万円(前年同期比1.3%増)となりましたが、人件費および原材料の高騰等からセグメント利益は10億5千2百万円(同66.2%減)となりました。

②欧米地域

 米国および欧州でのインフレおよび金利の上昇を背景に設備投資需要が低調であったこと等から売上高(外部顧客への売上高)196億3千2百万円(前年同期比20.0%減)、セグメント利益は2億8百万円(同78.2%減)となりました。

③アジア地域

 中国を中心に自動車関連向けでは需要があったものの全体としては需要が低調であったこと等から売上高(外部顧客への売上高)109億4千万円(前年同期比3.8%減)、セグメント利益は5億6千9百万円(同16.1%増)となりました。

 

 なお、当期の単体業績につきましては、売上高合計323億6千3百万円(前年同期比12.7%減)となりました。このうち国内売上高は118億4千5百万円、輸出の売上高は193億3千6百万円となり、輸出比率は62.0%(前年同期実績は65.3%)となりました。

 利益面におきましては、営業利益が13億2百万円(前年同期比59.1%減)、経常利益が19億3千5百万円(同49.5%減)、当期純利益が17億2千9百万円(同40.7%減)となりました。

 

 財政状態におきましては次の通りであります。

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて89億9千3百万円増加し、866億3千9百万円となりました。

 このうち流動資産は前連結会計年度末に比べて42億5千万円増加し、621億9千2百万円となりました。主たる増加要因は、商品及び製品の増加57億9千4百万円および仕掛品の増加2億8千5百万円であり、主たる減少要因は、現金及び預金の減少28億4千6百万円および受取手形、売掛金及び契約資産の減少8億2百万円であります。

 また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ47億4千3百万円増加し、244億4千7百万円となりました。主たる増加要因は、有形固定資産の増加45億1千2百万円であり、主たる減少要因は、繰延税金資産の減少4億4千3百万円であります。

 当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べて83億7千9百万円増加し、463億6千万円となりました。

 このうち流動負債は前連結会計年度末に比べて46億3千3百万円増加し、308億6千2百万円となりました。主たる増加要因は、短期借入金の増加62億7千4百万円および1年内返済予定長期借入金の増加8億6千2百万円であり、主たる減少要因は、支払手形及び買掛金の減少32億7千7百万円であります。

 また、固定負債は前連結会計年度末に比べて37億4千6百万円増加し、154億9千8百万円となりました。主たる増加要因は、長期借入金の増加36億9千1百万円であります。

 当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べて6億1千4百万円増加し、402億7千8百万円となりました。

 なお、当連結会計年度における増減資はありません。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当社グループの運転資金需要の主なものは射出成形機の部材の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的にしたものは、主に生産設備等の設備投資費用及び射出成形機の研究開発費用等であります。当社グループの運転資金及び設備投資資金は主として自己資金を充当し必要に応じて金融機関からの借入による資金調達を実施しております

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、28億4千6百万円減少し、84億5千4百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は82億2千2百万円(前年同期実績は41億5千5百万円の資金支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益15億9千4百万円および売上債権の減少額29億円の資金収入があったこと、並びに棚卸資産の増加額58億8千5百万円および仕入債務の減少額59億6千7百万円の資金支出があったことによっております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、42億4千4百万円(前年同期実績は15億7千2百万円の資金支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出40億6千7百万円および無形固定資産の取得による支出3億3千7百万円の資金支出があったことによっております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、92億6千8百万円(前年同期実績は61億2千7百万円の資金収入)となりました。これは主に長期借入金の借入による収入78億円および短期借入金の純増額53億7千4百万円があったこと、長期借入金の返済による支出27億6百万円の資金支出があったことによっております。

 

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

15,148

85.5

欧米地域

5,228

78.8

アジア地域

8,995

101.0

合計

29,372

88.3

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 周辺機器及び部品につきましては、製品(又は部品)として仕入れる部分が多いため、上記に含めておりません。

 

(2)受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

日本

16,595

108.1

6,051

101.7

欧米地域

19,751

99.0

4,584

102.7

アジア地域

10,087

89.9

1,580

65.0

合計

46,435

99.8

12,216

95.1

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

16,495

101.3

欧米地域

19,632

80.0

アジア地域

10,940

96.2

合計

47,068

90.2

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

該当する主要な相手先がないため、記載を省略しております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において経営者が判断または予想したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 第68期(2024年3月期)におきましては、第70期(2026年3月期)を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて、第67期(2023年3月期)を初年度とする第四次中期経営計画を推し進めてまいりました。第68期におきましては、「フューチャーデザイン2026の達成に向けた総仕上げを行う」として拠点整備等の各種施策を進めてまいりました結果、連結売上高は当初計画460億円に対し10億円増の470億6千8百万円となりました。

 当連結会計年度の経営成績等は次の通りであります。

 ①売上高及び売上総利益

 当連結会計年度の売上高合計は、期中を通して射出成形機需要が低調だったこと等から前期比9.8%減の470億6千8百万円となりました。

 製品別売上高については次の通りであります。

 射出成形機

 主力である射出成形機につきましては、売上高340億7百万円(前年同期比15.9%減)となりました。

 周辺機器

 売上高は24億1千4百万円(前年同期比4.0%増)となりました。

 部品

 売上高は85億7千万円(前年同期比11.6%増)となりました。

 金型等

 売上高は20億7千6百万円(前年同期比16.8%増)となりました。

 売上総利益につきましては、資源エネルギーの供給不足、円安による部材高騰、受注状況が低調であったこと等から150億3千4百万円(前年同期比7.2%減)となりました。また、売上高総利益率は31.9%(前年同期実績は31.0%)となりました。

 ②営業利益

 売上高が減少したこと等から販売費及び一般管理費は合計で133億1千万円(前年同期比1.5%減)となり、営業利益は17億2千4百万円(前年同期比35.7%減)、売上高営業利益率は3.7%(前年同期実績は5.1%)となりました。

 ③経常利益

 営業外費用として為替差損6億円を計上したこと等により経常利益は13億4千万円(前年同期比44.8%減)、売上高経常利益率は2.8%(前年同期実績は4.7%)となりました。

 ④税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、負ののれん発生益等の特別利益を計上したことから15億9千4百万円(前年同期比34.3%減)となり、また、繰延税金資産の一部取り崩し等を法人税等調整額に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は3億7千6百万円(前年同期比79.5%減)となりました。

 

 ⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社グループは、2025年3月期(第69期)は中期経営計画の最終年度にあたり売上高640億円を計画として掲げておりました。しかしながら昨年から続く世界経済の低迷により各業界の設備投資マインドに更なる慎重さが加わり、当社においては引合から受注に至るまでの期間が長期化している現状を鑑み当初計画を見直し、455億円と修正いたしました。

 第69期の経営方針は、現在集中すべき最も重要事項である「真のグローバル経営の強化」として営業キャッシュ・フローの改善と保有資産の有効活用を掲げ、そのために1、「グローバル市場への営業力強化」として国内外在庫機の最適化に向けた海外現地法人との共同販促キャンペーンの実施。2、「グローバル生産体制の強化」として各国の生産拠点における内製化比率向上と最適地生産に向けたサプライチェーンの再構築。3、「グローバルリスク管理体制の強化」として各国のカントリーリスクの回避と税務戦略、人事戦略の強化、これらの項目について重点的に取り組み、グループ力と収益力の強化を図ってまいります。

 その他の課題としましては、昨年よりBOP(※)各国へのマーケット参入を今後の事業拡大における重要課題として取り組んでおり、インド工場の増強と価格競争力のある機種の開発を進めてまいります。また、環境対応素材の製造販売のための量産設備の導入を行ってまいります。次に、米国テキサス工場の増築工事竣工により3,000tクラスまでの超大型機の組立てを開始するとともに、中国海塩工場では成形機鋳物部品加工を開始し、今まで東欧にて外注生産していたNEGRI BOSSI S.P.A.製のNova sT中大型成形機の内製組立も同工場で行い、更なるコストダウンを進めてまいります。更に定期契約型の事業展開として可塑化診断ソフト・リモートメンテナンス機能・寿命予測機能を具備した射出成形AIサポートシステムの提案も進めてまいります。

※BOPは低所得層のことで、世界の人口の過半数を占める40億人のことを示す。

 

指標

2025年3月期業績目標および中期経営計画目標値

連結売上高(百万円)

45,500

連結営業利益(百万円)

1,050

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資本需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、射出成形機の部材の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的にしたものは、主に生産設備等の設備投資費用及び射出成形機の研究開発費用等であります。

 

②資金の流動性について

 当社グループは、事業運営上の必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 運転資金につきましては、主に自己資金及び金融機関からの借入によって調達しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は264億4千5百万円であります。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)連結子会社の合併

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、プラスチック射出成形機を中心に、成形加工技術を幅広い角度から総合的にとらえて行うことを方針としております。

 研究開発活動についてはその全てを主として当社(日本セグメント)において行っており、基礎研究は技術本部内の技術研究開発室にて、また実用化・応用研究を同本部内にて担当すると共に、成形支援システム関連分野を本社テクニカルセンターが担当し、相互に連携をとりながら研究開発を行っております。

 当連結会計年度の研究開発費は496百万円であり、当連結会計年度末における産業財産権の総数は314件(国内取得分)となっております。

 なお、当連結会計年度における主な研究開発項目は、次の通りであります。

(1)ハイブリッド式・電気式射出成形機の開発

(2)可塑化性能向上に関する研究

(3)IoTによる技術開発

(4)PLA樹脂と木粉の複合材開発