第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

一、芝浦電子の社員一人ひとりは、夢に向かい情熱をもって果敢に挑戦し、価値観を共有し思いやり、主体的に行動する
  磨かれた個性と感性を発揮し、互いに切磋琢磨し、仕事を通じて成長できる人財を育成し、自由闊達な企業風土を醸成する

一、われわれの製品がお客様の価値向上に貢献できるように努力する
   お客様のニーズに応え、迅速で正確な対応を行い、適正な利益を確保することでこれを達成する

一、地球環境を守るため、エネルギー効率の向上に寄与し、安心で安全な社会の実現に貢献する

一、社会から信頼され、選ばれる会社になり続けることで企業価値を高め、もって株主に貢献する

 

当社グループは、サーミスタ及びそのセンサを中心に、サーミスタセンサ及びその関連製品について専門的で高い技術と高品質な製品の開発、製造を目指します。また、お客さまに密着した営業活動により、お客さまのニーズを先取りし、迅速かつ柔軟に対応する「技術力」「生産力」「販売力」を増強し、「環境」「省エネ」そして「安全」という時代の要請に応えるとともに、新規事業開拓や多角化等を意識しながらシェア拡大を目指してまいります。

SHIBAURAサーミスタを通じて全世界の暮らしに貢献するため、海外販売並びに海外生産拠点の強化に注力いたします。永年蓄積した基礎技術を中核にして、独自の技術をさらに深化発展させるとともに、生産性向上を図り、メーカーとしての存在価値を高め、お客さまを始めとしたステークホルダーの満足度向上と社会貢献ができるものと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(以下、「KPI」という)は、成長の持続性、収益力強化、資産効率を重視した経営を目指し、売上高、営業利益、売上高営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)とします。2024年度の目標値は売上高320億円、営業利益48億円、売上高営業利益率15.0%、ROE10.0%以上、2025年度の目標値は売上高350億円、営業利益60億円、売上高営業利益率17.1%以上、ROE11.5%以上、2026年度の目標値は売上高385億円、営業利益75億円、売上高営業利益率19.5%以上、ROE13.5%以上としています。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、新たな価値の創造という長期経営構想のもと、2024年5月20日開催の取締役会において、中期経営計画 2024-2026 を策定、決議しました。

2033年度までの10年間のうち本中期経営計画の期間である2024-2026は、新市場の開拓、新製品の開発、事業の多角化、先端技術の導入、業務提携・共同開発を実行してまいります。

また、中期経営計画では、中長期の経営方針を示すとともに、利益計画や設備投資計画を策定しています。当社は中期経営計画を策定するにあたり、自社の資本コストを算定し、資本コストを的確に把握した上で、売上高、営業利益額、売上高営業利益率、ROEの4つを財務重要指標として目標をたてているなど、資本コストを意識した経営を行っています。

 

■中期経営計画 2024-2026概要

①長期経営構想

新たな価値の創造を長期経営構想とし、2024年度から2033年度までの10年間を3つの期間に分け、企業価値の向上を目指します。

・Phase1 成長基盤の整備

・Phase2 成長基盤の確立

・Phase3 さらなる成長

②3つの経営基盤

・製品開発    顧客ニーズを超える製品の開発

・生産性向上   製造工程の効率化

・マーケティング 全世界の顧客との連携によるシナジー効果

 

③財務目標

 

2022年度実績

2023年度実績

2024年度計画

2025年度計画

2026年度計画

売上高

332億円

324億円

320億円

350億円

385億円

営業利益

55億円

51億円

48億円

60億円

75億円

売上高営業利益率

16.5%

15.8%

15.0%

17.1%

19.5%

ROE

12.7%

11.4%

10.0%

11.5%

13.5%

 

 

■サステナビリティ経営

 

当社グループは、経営にESGの視点を導入し、サステナビリティ経営を経営戦略の軸に据え、当社グループの主要製品であるサーミスタの提供により経済的価値を創出すること、及び様々なステークホルダーのニーズに積極的に対応するなど社会的価値を重視した経営を行うことで、持続可能な社会の実現へ貢献してまいります。

 

① 持続可能な社会の実現のため、及び当社グループが持続的に成長するために優先的に取り組むべきテーマを4項目選び、それぞれのテーマからマテリアリティ(重要課題)を特定しました。これらを当社グループのマテリアリティと定め、課題に取組むことで、持続可能な社会に貢献することを目指します。マテリアリティについては、当社下記ウェブサイトをご参照下さい。

  (https://www.shibaura-e.co.jp/sustainability/materiality/)

<サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)>

・ものづくり :安全・安心で高品質な製品づくり

・環境 :気候変動に対応し、地球環境を守る

・人財育成・多様性 :人権尊重、多様な人財の育成

・ガバナンス :ガバナンスの強化

 

② サステナビリティを巡る課題に積極的に対応するために、取締役会の下部組織として、サステナビリティに 関する取組みを全社的に検討・推進するために「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティの取組みについては、当社下記ウェブサイトをご参照下さい。

  (https://www.shibaura-e.co.jp/sustainability/)

 

③ 国連グローバル・コンパクトの提唱する10原則への賛同や当社グループで働く全社員が実践すべき行動指針などを整備し、全社員に周知徹底します。

〈方針〉

・芝浦電子グループ 企業行動憲章

・芝浦電子グループ 品質方針

・芝浦電子グループ 環境方針

方針等については、当社下記ウェブサイトをご参照下さい。

・国連グローバルコンパクトへの賛同:https://www.shibaura-e.co.jp/sustainability/ungc/

・芝浦電子グループ 企業行動憲章:https://www.shibaura-e.co.jp/ir/governance/

・芝浦電子グループ 品質方針:https://www.shibaura-e.co.jp/products/quality/

・芝浦電子グループ 環境方針:https://www.shibaura-e.co.jp/company/quality/

 

④ 当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、2050年でのカーボンニュートラルを目指して、二酸化炭素排出量削減の長期目標を策定しました。2021年度の二酸化炭素排出量22,574トンCO2を基準に2030年度には25%削減、2040年度には50%削減と段階的な削減を目標としています。電力使用の節約、再生可能エネルギーをもとにした電力の調達等を行った結果、2023年の二酸化炭素排出量は12,856トンCO2となりました。2030年の目標であった25%削減を達成しましたが、今後も海外子会社で太陽光発電設備などの導入によって「創エネ」にも取組み、二酸化炭素排出量の削減をより進めてまいります。

また当社グループは、2022年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しており、気候変動に関する「リスク」と「機会」が当社グループの戦略に与える財務影響度を開示しています。脱炭素対応方針、TCFDへの対応については当社下記ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.shibaura-e.co.jp/sustainability/climate/)

 

(4)会社の対処すべき課題

今後の世界経済は、米国や一部新興国を中心に底堅い成長が見込まれるものの、中東やウクライナでの情勢不安の長期化等の地政学リスクの高まりにより、先行きは依然として不透明な状況です。

当社の属する電子部品業界は、半導体不足の緩和による自動車生産の回復など、業況の改善が見られる分野では好調ですが、家電製品など最終需要の低迷など回復が遅れている分野では伸び悩むなど予断を許さない状況です。

このような状況ではありますが、工業製品の温度を検知、管理、そして制御出来る温度センサの需要は年々増しております。電動化が進んでいる自動車分野にとどまらず、様々な分野で省エネ、環境エコ等の推進により、温度センサの需要は今後も堅調に推移していくものと考えております。

当社グループにおきましては、中期経営計画達成に向けて、研究、開発体制をさらに強化して製品開発に取り組む等、温度センサ分野でのシェア拡大に向けた積極的な事業展開を進めてまいります。具体的には、EV/HVへシェアを拡大するとともに、環境規制やエネルギー効率化に関わる様々な分野へ展開や海外市場での売上拡大を図ってまいります。加えてお客様の様々なニーズに対応するため、技術と販売が一体となった営業を展開してまいります。

また、安定した製品供給、利益を獲得するため製造工程の効率化推進等、全社をあげて生産性の向上に取り組み、収益力の強化を図ってまいります。さらには今後の受注増加に対応できるよう設備増設等、業績拡大に資する設備投資を積極的に実施してまいります。

その他、二酸化炭素排出削減、人財育成や多様性への対応、女性活躍推進等、ESGの課題にも積極的に取り組み、地球環境を守り、世界の人々の笑顔あふれる暮らしの向上と文化の発展に貢献してまいります。

2025年3月期の業績見通しにつきましては、売上高は320億円(前期比1.2%減)、営業利益は48億円(前期比6.0%減)、経常利益は48億円(前期比9.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は33億円(前期比12.1%減)を見込んでおります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、主要製品であるサーミスタの提供により経済的価値を創出すること、及び様々なステークホルダーのニーズに積極的に対応するなど社会的価値を重視した経営を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(1)ガバナンス

2021年11月に「芝浦電子グループ サステナビリティ基本方針」を定めるとともに、サステナビリティを巡る課題に積極的に対応するために、取締役会の下部組織として、サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進する「サステナビリティ委員会」を設置しております。

なお、当委員会の構成員は代表取締役を委員長とし、以下取締役3名、社外取締役3名、執行役員3名で構成しております。

 

(2)取締役会実効性評価

当社は、取締役会の機能向上を図るため、取締役会の実効性に関する分析および評価を毎年、実施する方針としており、2023年度は2024年2月から3月にかけて実施しました。

2023年度におきましては、取締役会の構成や、運営方法、審議状況、社外役員の役割や連携の状況などの取締役会に関連する全般的な事項から、経営戦略、リスク管理、内部統制、ダイバーシティやDX推進等に関するテーマなどについて、全ての取締役および監査役を対象としたアンケート調査を行ったうえで、その分析結果について取締役会にて評価を行いました。なお、アンケートの作成、結果の回収・集計・分析は外部機関に委託をしております。

その結果、取締役会の実効性は概ね確保されていることが確認出来ました。昨年度課題として認識された中核人財の多様性確保への取組については、女性役員による座談会の開催、ダイバーシティ研修の実施などにより、一定の評価がなされました。

一方で経営理念の浸透や経営戦略等の重要事項の審議・議論、サプライチェーンに関する課題共有、DX推進、CEOの後継者育成計画の策定と運用等については継続的な検討課題として認識しました。当社は取締役会の実効性の更なる充実を図るため、取締役会のあり方を一部変更し、従来の決議、報告に加えて、討議を取締役会の実施事項とし、取締役会での議論の充実を図り、取締役会実効性評価でもあげられた重要課題に対応するなど、具体的な取組みを行ってまいります。

 

(3戦略

①法令遵守・誠実な事業活動

  ・法令遵守、腐敗行為の防止、反社会勢力との関係、軍事転用技術の厳重管理

  ・経営の透明性・公正性向上、取締役会の実効性向上、内部統制システムの強化・充実

    ・ステークホルダーとの対話の推進

 

②事業を通じて持続可能な社会への貢献

  ・社会及びお客様の当社製品への必要性に応えるべく、独自技術により新製品を開発、また高品質、

   高性能、安全性の高い製品を提供することで持続可能な社会の実現に貢献

 

③人権尊重・職場環境の整備

   ・人種、国籍、性別、年齢、宗教、信条、障害の有無、性的志向等による差別をせず、全ての人々の人

   権を尊重し、差別や嫌がらせのない職場の維持に努める

   ・強制労働、児童労働を容認せず、それを通じて生産された製品等は購入しない

   ・法令に基づき、社員の適正な労働条件を確保し、また結社の自由及び団体交渉権を含む労働に関する

     基本的な権利を尊重する

   ・社員が安全かつ衛生的で快適な職場環境の整備に努め、社員の健康管理の推進を通じ、社員のモチベ

     ーションアップ及びモラルの向上を図る

 

 

④持続可能な地球環境の実現

 ・事業活動を通じた環境保全活動、法令を遵守した有害物質等の管理体制及び削減目標設定

 ・「グリーン調達」推進、定期的な情報開示

 

(4)人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 

①当社グループの求める人財像

当社は、独自の技術力と製品で、世界のお客様の価値向上に貢献できることを目指しています。

その実現に向けて、開発力、技術力、営業力などの高い専門性をもって、世界中のお客様に貢献できる人財を育成します。そのため、当社では、夢に向かい情熱をもって果敢に挑戦する心構えで、主体的に行動できる人財を求めています。

 

②人財戦略

人財は、当社グループの企業価値を創出する源泉であるため、きわめて重要な資本です。

社員の人権、多様性、個性を尊重し、一人一人の能力を最大限に発揮させることが、当社グループの持続的な成長につながっていくと認識しています。これまでは年功序列的要素が強い制度で、組織の硬直化や人財の同質化が起こりやすく、社員が挑戦しづらく、イノベーションが起こりにくい環境になっていました。そこで、2021年4月に人事制度を刷新し、年功序列的なものを撤廃して、挑戦を評価する制度に移行しています。2022年4月には国内グループ会社においても新人事制度を適用し、グループ共通の人事制度として、外部環境の大きな変化に適応できる人財を育成します。

 

③人財育成方針

当社グループでは、「人財」こそが最大の財産と捉え、「挑戦する気持ち」「成し遂げる姿勢」「変化に対応する柔軟性」をもった自立型人財を育成します。

人財育成方針

  ・当社は、2021年4月に導入した新人事制度に基づき、多様性確保に資する人財育成を行う

 ・社員の採用活動では、新卒社員、中途入社社員をバランス良く行う

 ・人財育成において当社は、社員の主体性を尊重し、個人の成長を促すことを基本的な考えとし、

  求める人物像を定め、全社員共通の研修体系により総合的に人財を育成する

 ・年齢や性別、国籍等にとらわれずに積極的に登用する

 

④研修制度

当社は、主体的に行動できる社員の育成を目指し、以下の教育体制に基づき、人財育成に取組んでいます。

   1.全社研修
      ・通信教育・OJT

   2.職場研修

   ・資格別研修、新入社員研修、フォローアップ研修、次世代リーダー研修、ダイバーシティ研修

   3.専門研修
      ・語学研修

   4.役員研修

 

⑤人財の多様性確保についての考え方

当社は経営理念で世界のお客様の価値向上に貢献できることを掲げております。そのためには、挑戦心を持ち続け、主体的に行動できる社員を育成することが重要であると認識しています。

性別、キャリア、国籍などに関わらず、多様性のある人財を採用し、多様な社員が互いの強みを発揮することで、会社の持続的な成長と企業価値向上につながると考えております。

 

⑥多様性確保に向けた人財育成方針、社内環境整備の状況

 女性活躍推進

女性の活躍推進は、当社グループにとって重要な経営課題と認識しています。女性全社員を対象とした女性社外取締役による座談会などを通じて、女性が今後のキャリアを考えるきっかけ、及び参加者同士の横のつながりが生まれる機会を提供しています。

女性管理職の比率の向上や女性の長期的なキャリア形成を可能にするために、女性社員が能力を発揮しやすい環境の整備に取組むと共に、女性活躍推進に関するさまざまな施策を継続的に実施していきます。

 

 

国内グループ会社全体の女性管理職比率の現状と目標値

 

目標項目

現状(2024年3月末)

目標(2031年3月末)

女性管理職比率

0

10

 

 

国内グループ会社全体の女性管理職比率を長期的には2031年3月末までに10%に引き上げるという数値目標を掲げています。

多様性の推進

多様な人財の活用により新たな価値を創造し、一層の企業価値の向上を目指す観点から、全社員参加のダイバーシティ研修を実施するなど、多様性を推進しております。

 

 安心・安全な職場環境

当社グループは、社員一人一人の主体性と、挑戦心を大切にし、職場の安全と心身の健康を守るとともに、人権を尊重し、健全な職場環境の確保に取組んでいきます。

・人格、個性の尊重

・安全で健康的な職場環境

 

 ⑦人的資本投資

 譲渡制限付株式の割当

当社は2023年3月3日開催の取締役会において、当社グループの対象社員に対して、従業員持株会を通じて、新たに1人あたり70株の譲渡制限付株式を付与することを決議し、2023年6月に割当を実施しました。これにより社員のモチベーションの向上を図るとともに、対象社員が当社の株式を所有することで、経営参画意識を高め、当社の株主との一層の価値共有を進めることで、中長期的な企業価値の向上につなげていきます。

 

(5)リスク管理

当社は毎年リスク評価を行い、取締役会にて結果を報告、議論しています。2023年度のリスク評価は2024年3月開催の定時取締役会で報告があり、検証がなされました。

取締役会の中では、リスク管理項目の整理、リスク評価の程度について定義の見直しなど2024年度のリスク評価に向けて改善すべき点の議論がなされました。また個別のリスク項目については、経営会議や役員会議などの場で役員間の情報共有がなされており、有事の対応策について経営レベルの協議がなされています。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1. 当社グループのリスクマネジメント体制

当社グループは、リスク管理の一層の充実に取り組んでおります。全社視点でリスクを認識・評価して対応する観点から、取締役会においてリスク評価シートを作成し、リスクの把握、評価及び軽減措置等の検討を実施しております。

 

2. 主なリスク項目、内容及び軽減措置等

 

リスク項目

主な内容

主な軽減措置等

発生

可能性

影響度

(1)経済状況リスク

(経済動向・市場環境)

・インフレ、金利上昇による世界経済の景気後退及びそれに伴う需要の縮小

・各国の景気動向や事業環境が悪化

・顧客要求対応への遅延による販売機会の喪失

・販売先の業種を多様化し、景気後退によるリスク軽減を図っている

・新製品を開発し、新たな販売先業種を開拓しリスク軽減を図っている

・お取引先さまの状況を常に把握し、在庫リスクを回避する

・顧客要求事項に係る最新版を入手し、速やかに展開できる体制を構築している

(2)海外事業に潜在するリスク(地政学リスク)

・テロ、紛争等の安全保障リスク

・不利な政治または経済要因によるリスク

・予期しない規制の強化もしくは法律の変更によるリスク

・人財確保困難による事業継続のリスク

・天災地変その他の要因による社会的混乱によるリスク

・都市封鎖による企業活動の停止

・役員主導によりワーストシナリオのシミュレーションを作成し、経営会議等で議論を実施している

・現地動向を把握し、迅速に対応出来る体制を整えている

・複数拠点に事業を分散し、影響を受けにくい体制を整えている

・他拠点で代替生産できる体制の構築

(3)災害等のリスク

・地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害により当社グループの設備等が被災

・サプライチェーンの寸断

・設計図面等の重要な書類の紛失

・地震や火災等の防災対策をはじめ、水害等の災害が起きた場合に備えた社員へのハザードマップの周知徹底

・定期的な防災訓練

・海外工場間における事業の分散化

・損害保険の付保

・サプライチェーンの多様化

・図面の電子化、データセンターの活用

(4)原材料調達及び価格高騰リスク

・当社グループの製品に係る原材料には、銅をはじめとした金属が使用されており、これらの原材料は、海外からの輸入に依存している

・世界情勢・経済状況の変化、法律の改正、または世界的な需給逼迫等により調達できないリスク

・販売可能性が見込まれない原材料及び経年劣化した棚卸資産の評価損等の損失が発生するリスク

・エネルギー価格高騰

・調達先を分散し、リスクを分散

・お取引先さまとの信頼関係を構築し、有益な情報を入手、リスク回避

・使用材料の見直し、入手が困難な材料を置き換え、リスク回避

・調達先との品質保証協定書の締結による適合性の確保

・グローバル調達、代替品の検討

・在庫については定期的にチェックし、規則的に簿価を切り下げ、不良棚卸資産及び長期在庫化の発生リスク回避

・省エネ活動推進、省エネ設備導入

・太陽光発電導入

 

 

リスク項目

主な内容

主な軽減措置等

発生

可能性

影響度

(5)ブランドイメージ低下リスク

・類似品の氾濫による売上、利益の低下

・社員の不祥事の発生

・弁護士、弁理士等の専門家との連携による調査及び権利化の推進

・コンプライアンスマニュアルの配付、誓約書の徴求、研修の実施

(6)情報セキュリティのリスク

・サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、情報漏洩、データの破壊、紛失

・フィッシング詐欺の被害などのリスク

・社内管理体制の整備

・情報の取り扱い等に関する規程類の整備、充実

・従業員への教育を行い意識の向上を図っている

・情報セキュリティ対策強化

・クラウド環境推進

・疑似訓練実施

(7)知的財産権リスク

・当社所有の知的財産権を侵害されるリスク

・他社所有の知的財産権を侵害するリスク

・担当部門を設置し、当社の知的財産権 が侵害されているかを調査、法的対応

・当社の知的財産権をアピールし牽制

・担当部門による他社の知的財産権の状況調査

(8)人財確保及び育成リスク

・生産人口減少による労働力不足による事業継続リスク

・人事制度の改革

・教育訓練制度の充実

・教育訓練定期実施

・インターンシップや大学との連携強化

・AIやロボットを導入し、自働化

(9)競合環境のリスク

・競合他社の新技術・製品等の先行投入による製品競争力低下リスク

 

・継続的な研究開発投資を行い、新たな技術を得る

・大学等研究機関との産学協力による基礎開発を行い新たな技術を得る

・生産の効率化による収益性を強化し価格競争力強化しリスク回避

(10)法的規制のリスク

・各種法的規制による制約、コスト増加による利益圧迫リスク

・法規制の動向に関する情報収集及び影響を把握し、迅速に対応出来る体制を構築

・グループ内で情報共有化、全てのグループ会社で対応出来る体制を構築

・ISO9001、ISO14001の認証を国内外すべてのグループ会社(生産工場)で取得

(11)サステナビリティのリスク

・ESGについて、より高度な対応要求に対し、適切な対応が取られていない場合における社会的信頼の喪失のリスク

・各国の規制強化に伴うエネルギー価格の上昇や省エネ・再エネ対応追加設備導入等の投資リスク

・対応の遅れによる投資家・株主の離反リスク

・炭素税導入、地球温暖化、資源枯渇等の気候変動及び環境リスク

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の趣旨に賛同し、推奨されている体制の整備と気候関連の情報開示に適切に対応

2050年を目標年度としたカーボンニュートラル目標を設定し開示

・国連グローバル・コンパクトに賛同
「人権・労働・環境・腐敗防止」についての4分野、10原則を遵守

・サステナビリティ委員会での議論

・グループ全体でのCO2排出量の削減目標を設定し、定期的に実績を把握

・リサイクルの推進

・製造設備の省エネルギー化

・太陽光発電の導入

 

 

リスク項目

主な内容

主な軽減措置等

発生

可能性

影響度

(12)為替レートの変動リスク

・当社グループの事業には、中国及びタイにおける製品の生産、またアジア、欧州、米国などでの販売が含まれている

為替レートの変動により、円換算後の価値が影響を受ける可能性がある

・販売価格の都度見直し、適正化

・生産や販売の比重を分散

(13)リコールを含む製品回収リスク

・損害賠償金の支払が生じる可能性がある

・芝浦電子の企業イメージが低下して売上高が減少する可能性がある

・不具合事例の速やかな展開による予防処理の強化

・社内規程の定期的な見直しと監査の実施、調達先への周知徹底

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、世界的な金融引き締めが続く中、地政学リスクの高まりもあり、先行きが不透明な状況が続きました。米国では、連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め政策の動向が注視されますが、個人消費の回復や底堅い雇用情勢、また、政府支出の増加を背景に堅調に推移しました。欧州では、金融引き締めによる内需の落ち込みや、輸出の減少等を背景に低調に推移しました。中国では、長引く不動産不況や軟調な個人消費を背景に、低調に推移しました。国内経済においては、世界経済の停滞や円安による輸入価格の上昇などの影響は懸念されますが、企業の業績回復を背景に景気は回復基調にあります。当社の属する電子部品業界は、半導体不足の緩和による自動車生産の回復など、業況の改善が見られる分野では好調ですが、家電製品など最終需要の低迷など回復が遅れている分野では伸び悩むなど予断を許さない状況です。

このような状況の中、当社グループは2023年に創立70周年を迎え、中期経営計画(Sense the Dynamics 2023-2025)の達成に向けて取組んでおります。製造面においては、AIやロボットを導入した製造設備の研究・開発や継続的な改善活動など品質・生産性向上への取組みを進めております。原材料調達については、グローバル調達を推進し、リードタイムの短縮や材料調達コスト削減など、コストを抑え安定的に供給出来る体制づくりを進めております。また、産学連携による素材形成や物性研究などの研究案件、お客様やサプライヤーと協力した製品開発案件などの研究開発活動にも積極的に取組んでおります。

販売面においては、EV/HVへの販売拡大を中心とし、加えて環境規制やエネルギー効率化に関わる分野へ積極的に営業活動を展開しております。事業分野毎には、ホームアプライアンスではエアコン向けセンサの落ち込みが続いた他、ガス給湯器等の住宅設備向けセンサの販売が減少しました。オートモーティブでは引き続き、電動化推進などにより、EV/HV用モーター向けセンサの販売が増加しました。インダストリアルでは産業ロボット向けセンサ、及びプリンタや複合機等の事務機向けセンサの販売が減少しました。

当連結会計年度においては、2022年3月期第2四半期において香港芝浦電子で発生した送金詐欺による被害額276百万円のうち一部の170百万円を回収し、特別利益として計上しました。

また、人的資本に関する投資では、当社グループの正社員、契約社員を対象に譲渡制限付株式インセンティブとして自己株式を処分し、割り当ていたしました。社員の資産形成及びモチベーションの向上並びに経営参画意識向上に繋げてまいります。その他引き続き、働き方の多様化への対応や人財育成、ダイバーシティ推進、社員の健康増進支援、ガバナンス強化、二酸化炭素排出量削減などのESG課題にも積極的に取組んでおります。

その結果、当連結会計年度の業績は以下の通りとなりました。

 

                                      (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

33,193

32,401

△791

△2.4%

営業利益

5,460

5,104

△356

△6.5%

経常利益

5,617

5,303

△314

△5.6%

親会社株主に帰属する当期純利益

3,830

3,822

△8

△0.2%

 

 

事業分野の売上高は、以下の通りであります。

 

 

 

 

      (単位:百万円)

事業分野

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

ホームアプライアンス

15,392

14,358

△1,034

△6.7%

オートモーティブ

10,797

12,424

1,627

15.1%

インダストリアル

4,766

3,927

△839

△17.6%

その他

2,237

1,692

△545

△24.4%

33,193

32,401

△791

△2.4%

 

 

 

 


 

 

 

 


 

 

(注)当連結会計年度より、「インダストリアル」及び「その他」を構成していた売上高の区分見直しを行っており、前連結会計年度の売上高及び売上高構成比は、当連結会計年度の区分に基づき表示しております。なお、影響額はその他が317百万円減少、ホームアプライアンスが259百万円増加、オートモーティブが25百万円増加、インダストリアルが32百万円増加しております。

前連結会計年度の売上高構成比はその他が1.0%減少、ホームアプライアンスが0.9%増加、オートモーティブが0.1%増加、インダストリアルが0.1%増加しております。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

22,091

0.7

アジア

10,179

△0.8

合計

32,270

0.2

 

 

 ② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

19,384

0.7

3,193

△4.8

アジア

10,336

△21.6

2,320

△19.3

ヨーロッパ

1,157

△3.5

116

△16.8

アメリカ

912

16.7

416

44.4

合計

31,791

△7.6

6,047

△9.2

 

 

 ③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

19,546

2.4

アジア

10,890

△10.9

ヨーロッパ

1,181

0.8

アメリカ

784

8.5

合計

32,401

△2.4

 

 

 

 (2) 財政状態

当社グループは、適切な流動性の維持、事業活動に必要な資金の確保及び健全なバランスシートの維持を財務方針としております。

 

当連結会計年度の連結財政状態は以下の通りとなりました。

                                     (単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

資産合計

 

40,930

43,574

2,643

 

流動資産

30,286

32,045

1,759

 

固定資産

10,644

11,529

884

負債合計

 

9,147

8,411

△735

純資産合計

 

31,783

35,162

3,379

 

 

 

 


 

(資産)

 当連結会計年度の流動資産は、前連結会計年度比1,759百万円増加しました。売上高の減少等により受取手形及び売掛金が394百万円減少した一方、現金預金が1,765百万円増加しました。

 固定資産は前連結会計年度比で884百万円増加しました。国内外各社への生産性向上のための設備投資などにより有形固定資産が449百万円、創立70周年を記念して当社グループ社員向けに譲渡制限付株式を付与したことにより、投資その他の資産のその他の中の長期前払費用が148百万円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度の負債は、前連結会計年度比735百万円減少しました。買掛金が489百万円増加した一方、短期借入金が499百万円、長期借入金が600百万円、その他流動負債の中の未払法人税等が201百万円減少しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度比3,379百万円増加しました。利益剰余金が2,287百万円、為替換算調整勘定が709百万円増加した一方、グループ社員向けの譲渡制限付株式を自己株式から割り当てたことで、自己株式が195百万円減少しました。

 この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の77.5%から80.6%となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の4,182円72銭から4,601円59銭となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は次の通りであります。

 

①日本

売上高はホームアプライアンスの給湯器及びエアコン向けセンサ等の販売が減少した一方、オートモーティブのEV/HV向けセンサ及び自動車向け素子等の販売が増加したことにより、当セグメント全体では増加となり、25,251百万円前期比0.5%増)となりました。営業利益は販売が増加したことにより、5,074百万円前期比4.9%増)となりました。

 

②アジア

売上高はオートモーティブのEV/HV用モーター向けセンサ及び自動車向け素子等の販売が増加した一方、ホームアプライアンスの調理機器向けセンサ及び素子並びにインダストリアルのOA機器向けセンサ等の販売が減少したことにより17,691百万円前期比7.9%減)となりました。営業利益は販売が減少したことにより、933百万円前期比36.6%減)となりました。

 

③ヨーロッパ

売上高はオートモーティブのEV/HV用モーター向けセンサ等の販売が増加したことにより1,318百万円前期比1.3%増)となりました。営業利益は販売は増加したものの販管費が増加したことにより、95百万円前期比9.7%減)となりました。

 

④アメリカ

売上高はオートモーティブのEV/HV用モーター向けセンサ等の販売が増加したことにより789百万円前期比7.9%増)となりました。営業利益は販売は増加したものの販売費が増加したことにより、1百万円前期比84.8%減)となりました。

 

                                      (単位:百万円)

 

 

日本

アジア

 

 

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

売上高

25,126

25,251

125

0.5%

19,216

17,691

△1,525

△7.9%

 営業費用

20,290

20,177

△112

△0.6%

17,743

16,757

△985

△5.6%

営業利益

4,836

5,074

237

4.9%

1,472

933

△539

△36.6%

 

 

 

 

ヨーロッパ

アメリカ

 

 

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

売上高

1,301

1,318

16

1.3%

731

789

57

7.9%

 営業費用

1,196

1,223

26

2.2%

722

788

65

9.1%

営業利益

105

95

△10

△9.7%

8

1

△7

△84.8%

 

(注)上記にはセグメント間の連結会社相互間取引が含まれております。

 

セグメントごとの財政状態は、次の通りであります。

                                      (単位:百万円)

 

 

日本

アジア

 

 

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

資産合計

23,528

23,568

39

0.2%

12,657

13,015

357

2.8%

 

流動資産

15,312

15,107

△204

△1.3%

8,564

8,319

△244

△2.9%

 

固定資産

8,216

8,460

243

3.0%

4,093

4,696

602

14.7%

負債合計

8,372

7,666

△705

△8.4%

2,777

2,718

△58

△2.1%

 

流動負債

7,238

7,184

△53

△0.7%

2,616

2,572

△44

△1.7%

 

固定負債

1,133

481

△651

△57.5%

161

146

△14

△9.1%

純資産

24,269

27,253

2,984

12.3%

9,879

10,296

416

4.2%

 

 

 

 

ヨーロッパ

アメリカ

 

 

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前期比

資産合計

477

377

△100

△21.0%

242

361

118

49.0%

 

流動資産

476

375

△100

△21.2%

224

347

123

54.9%

 

固定資産

1

1

0

14.2%

18

13

△4

△23.7%

負債合計

286

173

△113

△39.5%

162

275

112

69.3%

 

流動負債

286

173

△113

△39.5%

150

268

117

77.9%

 

固定負債

11

6

△4

-41.7%

純資産

191

203

12

6.6%

79

86

6

7.8%

 

(注)上記にはセグメント間の連結会社相互間取引が含まれております。

 

 (3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

当社グループの運転資金は、主に製品製造に使用する原材料の調達に費やされており、製造費用や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は工場建設・生産設備取得等生産体制の構築及び情報システムの整備構築などに支出されております。これらの必要資金は、利益及び減価償却費等により計上される内部資金により賄うことを基本としておりますが、機動的な投資に備えるため、必要に応じ金融機関から借入を行い手元流動資金の確保を行っております。

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は13,039百万円となり、全連結会計年度末に比べ、1,741百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

現金及び現金同等物の期首残高

12,311

11,298

△1,012

営業活動によるキャッシュ・フロー

3,409

6,088

2,679

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,618

△1,856

△237

財務活動によるキャッシュ・フロー

△3,052

△2,642

409

換算差額

248

151

△96

現金及び現金同等物の期末残高

11,298

13,039

1,741

 

 

 


 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、6,088百万円前期3,409百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,439百万円及び減価償却費1,610百万円などの資金の増加が、法人税等の支払額2,013百万円及び仕入債務の減少額310百万円等の資金の減少を上回ったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、1,856百万円前期1,618百万円)となりました。これは主に、国内外各社の生産性向上のための設備投資等により、有形固定資産の取得による支出1,768百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、2,642百万円前期3,052百万円)となりました。これは主に、配当金の支払1,532百万円及び長期借入金の返済による支出1,099百万円等の資金の減少によるものです。

 

上記に加え円安要因による為替換算の影響により、151百万円の資金が増加しました。

 

 

 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、負の温度特性を持つ感温半導体であるNTCサーミスタを中心に、サーミスタ素子の研究からこの素子を応用した各種センサの研究・開発、さらにはサーミスタ素子及びセンサの製造に関する生産技術の開発に至るまで幅広い研究開発活動を行っております。

加えて基礎研究開発の領域においては大学と連携し産学共同研究を推進しております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は369百万円であります。

当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次の通りであります。

 

[日本]

自動車用排気ガス浄化装置及び家庭用燃料電池の温度制御を目的としたワイドレンジ特性を有する高温用素子並びにセンサ、自動車関連高応答素子並びにハイブリッド車及び電気自動車のセンサをサーミスタ素子の材料から研究・開発しております。

その他、赤外線温度センサ、バッテリー用温度センサ、調理器用表面温度センサ、湿度センサ、給湯器用センサ、空調機器用センサ、家電用センサ、医療器用センサ等の開発を目的とした各種要素技術の開発を行っております。

当セグメントに係る研究開発費は369百万円であります。