第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、仮設機材等の提供を通じて質の高いサービスを広くお客様に提供し、事業を通じた社会貢献を果たすことを目指しております。また、常にお客様のニーズにお応えするために新商品の開発及びサービスの向上に努め、新しい価値を提供し続けることにより、当社グループのさらなる発展を図ってまいります。社会、株主、そして従業員に対して信頼と期待に応え、事業の永続的な企業価値向上を目指してまいります。

 

(従来のビジネスモデルから仮設業界のプラットフォーマーへトランスフォーム)

当社の永続的な発展は、あらゆるステークホルダーに対して有益となります。当社事業の成り立ちは、建設用仮設機材、いわゆる足場を建設会社や足場施工会社(鳶業者)に対してレンタルすることでした。仮設機材レンタル事業の拡大は、保有賃貸資産の増加により、成すことができます。一方で、賃貸資産の取得には資金が必要となり、収益を求めひたすらにバランスシートを拡大することは、財務の健全性を失い、企業成長を妨げる要因となるだけでなく、事業の存続を危めることにもつながります。

そのような中で当社グループは、収益増加に伴いバランスシート拡大させるビジネスモデルから、バランスシートの拡大に頼らず収益増加を実現させる新たなストックビジネスへトランスフォームすることを決意しました。

 

(トランスフォームに至った背景)

当社の主要取引先である建設業界は、国内建設投資の増減に左右され、建設投資は国内景気によって大きく影響を受けます。そのような事業環境においては、積極的な受注活動による案件の獲得が至上とされる風潮があり、当社グループもその状況下にありました。一方で、海外紛争やサプライチェーンの断裂、原油エネルギー価格の高騰、日本国内においては数十年ぶりの円安水準となり、急激な物価高騰、業界においては、建設資材コストの上昇、さらには生産年齢人口の減少、インフレ対応の政府政策として賃上げが促され、人件費の高騰による人材確保もままならず、事業会社において従来以上に経営リソースを割かれる機会が増えてまいりました。このような環境下において、当社グループは、景気動向・建設投資額の増減に左右されやすい、言わばフロー型となった従来のビジネスモデルから脱却し、着実・安定的に収益を確保できるストックビジネスへのトランスフォームに取り組んでまいりました。当社グループが掲げるストックビジネスは、当業界では画期的なプラットフォームビジネスです。

 

(仮設業界におけるプラットフォームビジネス)

主要な取引先である建設業界において、経営リソースの消耗が課題となっていることを発見し、当社グループは、自らの事業基盤であるレンタル事業のインフラを取引先に開放、共有することで、相互に経営リソースの損耗を防ぐ革新的なビジネスモデルを提唱しました。

 

プラットフォームビジネスの一例として、当社が提供する「OPE-MANE(オペマネ)」があります。

顧客が所有する仮設機材を当社のプラットフォームに預け入れることにより、仮設機材の整備や入出庫業務、品質保全など、当社グループが50年以上の実績を持つ仮設機材インフラで管理することが可能となります。OPE-MANEユーザーは、仮設機材所有者としてこれらに経営リソースを割くことなく、所有を継続することができます。同サービスでは、当社グループの強みとなる全国29箇所(2024年3月時点)から、必要な時に自由に取り出し、利用できることも魅力の一つです。

 

このように顧客にとって「儲かる」、「助かる」プラットフォームを提供し、一方で当社グループは、インフラを共有することで単位当たりの収益性が向上、設備等の生産性も向上することで、保有する資産を効率的に運用することが可能となります。利用する取引先、提供する当社グループ双方に大きなメリットを生む、仮設業界において画期的なビジネスモデルこそ、当社が提唱するプラットフォームビジネスです。

サステナブルな成長に欠くことのできない安定的なキャッシュ・フローを確保するため、また、景気循環に左右される業界環境において、様々な変化に柔軟に対応できるビジネスモデル、プラットフォームビジネスの構築を積極的に推進してまいります。

 

 

(2)経営環境

日経平均株価が史上最高値を記録するなど、日本経済は緩やかな持ち直しの傾向が見えてまいりました。その一方で、ウクライナ情勢の長期化やイスラエル情勢等の不安定な世界情勢の影響による原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、円安に起因する輸入価格高騰による物価上昇や、日銀によるゼロ金利解除など金融市場の変動等の下振れリスクが懸念されるなか、経済環境は、先行き不透明な状況であります。

 

(市場環境)

当社グループの主要な取引先である建設業界では、2024年問題をはじめとした労働時間に関わる労働制限や資源価格原油高やエネルギー価格の高騰、日銀金融政策の見直しによる金利上昇など経済面における影響が強く、建設コストの上昇に強く表れる可能性があります。

国内建設投資は、原油高や建設資材の高騰、技能労働者の不足による工事の遅れや延期が見られ、先行きが不安定な状況が続いておりますが、国土強靭化計画等を背景とした全国的な社会インフラの改修工事など底堅さが見られます。需要が堅調な倉庫・物流施設に加え、整備新幹線、半導体工場の新設やAIの普及によるデータセンターの建設が計画されていることなど民間設備投資の堅調な動きが期待できます。

 

(リスクと機会)

リスク

機会

・建設コストの上昇、2024年問題の労働者不足による工事遅延や延期

・運送業2024年問題で輸送トラック供給が逼迫

・経済環境の悪化による民間設備投資の減退

・脱炭素政策で従来型電力プラントが廃止され、定期メンテナンス需要が喪失

・コンクリート橋のプレキャスト化推進による大型支保工需要の減少

・労働者不足による機材整備人員確保が困窮

・過度な円安進行による原材料、部材仕入価格の上昇

・日銀の金融政策変更による金利上昇で利払いが増加

・プラットフォームへの投資で有利子負債が増加、利払い負担の増加

 

・労務者不足等で経営リソースが不足するため、顧客からの当社プラットフォームへの期待度が高まる

・労働安全衛生規則の改正による次世代足場の需要が増加

・大規模災害に関連するインフラの再整備

・リニア中央新幹線開業時期の取り戻し

・AIの急速な普及による半導体需要とエネルギー需要の高まりに関連する投資の増加

・北海道新幹線関連工事の発注

・改正区分所有法の施行によるマンション建替えの促進

・資本コストと株価を意識した経営への取り組み促進で、当社グループのプラットフォームが注目される

・技術進歩により当社事業領域においてAI、DXの活用範囲が広がる

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と中長期的な会社の経営戦略

[中期経営計画 2024-2026ビジョン]

タカミヤプラットフォームとDXで新たな価値を創造し、業界初の足場プラットフォーム企業へ

 

当社グループが提供するタカミヤプラットフォームは、「儲かる」「助かる」そして「喜ばれる」魅力的なサービスへと磨き上げられ、多くの方から選ばれ、相互に収益を拡大、発展成長をもたらします。タカミヤプラットフォームは、当社グループの働き方が根本的に変わる、DXを取り込んだ新しい業務スタイルによって従業員や関係取引先、さらには株主・投資家からも選ばれ、共に発展していける業界に欠かすことができない「エコシステム」となることを目指しております。

 

[中期経営計画基本方針]

(プラットフォームビジネスの確立・定着による収益基盤の確立)

プラットフォームビジネスは、利用者の囲い込みとリカーリングによって収益が成り立ちます。利用者のインサイトを分析し、魅力的なサービスへと磨き上げることで累積顧客を増加定着させ、リカーリングによる安定収益の確保を目指します。

 

(DXと人的資本投資による成長基盤の確立)

積極的なDX投資によって、プラットフォームの顧客利便性と当社グループの生産性の双方を向上させます。当社グループの成長基盤を支える人財に対する人的資本投資に力を注ぐことで、プラットフォームの付加価値向上と盤石な成長基盤の構築を目指します。

 

(海外事業における収益向上)

海外事業子会社は、経営基盤が整備され、収益回収と事業拡大フェーズに移行します。海外子会社があるフィリピン、ベトナム、韓国の他、グローバルな需要に対応できる体制を整え収益の向上を目指します。

 

(資本コストと株価を意識した経営の浸透)

事業の成長投資が先行するため、有利子負債の増加が見込まれます。有利子負債に限らず資本の効率運用を当社グループに浸透させることで、投下資本利益率の水準を高め、企業価値向上、株主・投資家にとって魅力的な企業を目指します。

 

[課題・重点施策]

このような環境下において当社グループがビジョン実現のために掲げた基本方針をもって事業を推進してまいります。当社グループが認識した課題に対して、以下の重点施策をもって中期経営計画の実現、事業成長を目指します。

 

(OPE-MANE利用者の拡大)

プラットフォームの主力サービスである「OPE-MANE」は、プラットフォームの基礎となる顧客基盤を確保する重要な役割を担っています。この利用者を中心に、その他のサービス利用が促進されるため、土台となるOPE-MANE利用者の獲得は重要な課題として認識し、利用者拡大を推進いたします。

 

(顧客サービスの基幹となる管理物流機能の整備・拡充)

OPE-MANE利用者の利便性を担保するうえで、預り資産の管理運用はサービスの中核を担っています。時間経過と共に増加する預り資産、不足機材を補う賃貸資産の保有増に対応するため、資産を効率よく稼働させる整備体制、利便性を高める好立地へのBase(機材管理物流拠点)の開設は、プラットフォームの魅力を高めるうえで重要であると認識しております。

 

(顧客の信頼獲得のための安全・安心の可視化)

プラットフォームで預かる資産(仮設機材)は、利用者の所有物であり、それらの減価減耗は、顧客の損失になると同時に当社グループへの信頼の失墜につながります。ゆえに預り資産の管理を透明化し、所有者が常に状態を把握できるよう可視化に努めることは、プラットフォームでの顧客資産の保全並びに信頼獲得に寄与いたします。また、ここでの取り組みが当社グループの生産性向上につながります。

 

 

(適正価格による付加価値サービスの提供)

従来仮設機材業界において、安全性や品質について多くを求めず、兎角、サービスの無償提供や価格競争に陥りがちでした。当社グループは、足場の階高を高めることで安全、効率的に作業できる作業用足場を提供し、また、仮設工業会認定以上の品質基準をもって機材の提供を行っています。また、一部義務化されている3D図面の自動生成など高付加価値サービスを提供することで、顧客が納得のいくサービスを提供し、その対価を適正価格にて供給することが業界の質的発展に寄与するものと認識しております。適正価格での提供は、顧客満足度をさらに高めるサービス開発に寄与するものとして、顧客の理解を得ながら継続して取り組んでまいります。

 

(海外拠点(フィリピン、韓国、ベトナム)の収益向上と、その他需要国への対応)

国内建設市場は、労働者不足などの影響で建設会社が選別受注し、工事量が平準化されつつあります。当社グループは、この状況下でプラットフォームにより安定収益を得るとの方針のもと事業を進めております。一方、海外において収益拡大を計ることも進めております。諸外国では、不安定な社会情勢や大規模災害、新興国での開発など当社グループとしては手つかずの市場があり、それら需要を収益化するための体制の整備が必要と認識しております。

 

(アグリ事業の抜本的な変革による収益基盤の構築)

仮設以外の事業部門の育成として、農業分野へ進出いたしました。新型コロナウイルス拡大の影響等で就労者不足となった農業は、厳しい環境に置かれています。一方で、食糧自給率を高めようとの政府の政策やアグリビジネスベンチャーの台頭により、生産性の高い高付加価値農業が広がっています。当社グループは、これらベンチャー企業等との連携によって、事業拡大を目指し、埼玉県羽生市にTAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(以下、「TAP」という。)を開設いたしました。多くの企業を招き、TAPにて先端農業の取り組みを発信することで、当社ブランド製品や参画企業の製品の周知拡販を目指します。

 

(付加価値向上のための人的資本、DXへの積極投資)

当社グループでは、DXによりプラットフォームの高付加価値化に努めています。この高付加価値を生み出すDX・IT人材に対しての投資を積極的に行います。初任給の改定、フレックスタイム制の導入やみなし残業時間の段階的な見直し、教育研修への積極的な投資を実施することで、従業員とのエンゲージメントを高めます。加えて、DX投資により業務改革や顧客サービスの付加価値向上を目指してまいります。

 

(WACCを上回るROICを実現するためのKPI導入)

当社グループの過年度におけるROICは、WACCを下回っております。資本効率の改善、株主・投資家からの期待に応えるため、ROIC改善は重要課題であると認識しております。ROIC改善のため、当社グループ各社、各部門において、営業利益率と投下資本回転率を向上させる施策を検討し、各施策にKPIを設定してROIC経営の浸透と数値改善を目指します。

 

 

(4)目標とする経営指標

当社は、毎期の業績目標を着実に達成することが企業価値の増大に繋がると考えております。そのため、2025年3月期の連結業績目標の達成に注力してまいります。

中長期的な事業成長を目指す当社といたしましては、安定的な株主還元と成長投資をバランスよく安定的させるため、事業成長と併せて、生産性向上、資本コストと株価を意識した経営を浸透させてまいります。そのため、売上高営業利益率及び投下資本回転率について、それぞれの数値目標を分解し、業務ごとにKPIを設定、実施することで投下資本利益率(ROIC)の向上、グループ内への浸透を目指してまいります。

 

(中期経営計画数値目標)

 

 

2024年3月期

中期経営計画

2024-2026

業績指標

連結営業利益

3,404百万円

6,100百万円

財務指標

売上高営業利益率

7.7%

10.0%以上

 

ROE

9.1%

10.0%以上

 

ROIC

4.3%

4.3%以上

プラットフォーム指標

OPE-MANE利用者数

61社

累計500社以上

 

(投資計画)

 

 

中期経営計画

3ヵ年累計

(百万円)

投資計画

賃貸資産投資

17,200

 

Lab・Base投資

14,650

 

DX・人的資本投資

3,900

 

合計

35,750

 

(セグメント売上高)

 

2024年3月期

(百万円)

中期経営計画

2027年3月期

(百万円)

プラットフォーム事業

12,678

販売事業

12,597

12,368

レンタル事業

28,214

31,198

海外事業

7,897

10,388

注)プラットフォーム事業は、販売事業とレンタル事業の両事業から、プラットフォームサービスによる収益を抽出し、プラットフォーム事業として開示いたします。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

当社の事業は、廃棄されていた木製足場に代わり、繰り返し使用できる鉄製足場をレンタルすることからスタートいたしました。創業当時より、限りある資源の有効活用、持続可能な社会の実現への思いが、当社グループの根底に流れております。脱炭素社会を目指す世界の一員として、再生エネルギーの活用や工場におけるゴミ排出抑制など、環境に配慮した事業活動を通じ、持続的な社会実現に向けた取り組みを行っております。

 

① ガバナンス

当社のサステナビリティに対する取り組みとしては、積載運搬効率が高く温室効果ガス排出量の軽減効果のある「Iqシステム」、自然災害等による浸水被害を最小限に防ぐ「タイガーダム」、持続可能な未来を創る「ソーラーカーポート」、当社工場でのゴミ排出抑制・再生エネルギーの段階的な活用、当社工場や機材供給拠点での蓄電による電動フォークリフトの利用、DX推進によるペーパーレス化等、環境に配慮した事業活動を行っており、関係するそれぞれの部署が推進しております。

また、取締役会の諮問機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、サステナビリティ関連を含むリスク全般の認識と対応策の整備・運用を行うとともに、必要に応じて取締役会へ答申する体制を整えております。

 

② リスク管理

当社は、現在、気候変動に関して国際的な枠組みに基づく情報開示は実施しておりませんが、気候変動におけるリスクについては、気温上昇による影響の情報収集と分析を実施しております。収益機会に関しては、気温上昇による環境変化の影響を想定した上で、防災用商品や現場の作業効率向上につながる商品・サービスの提供を推進してまいります。

なお、当社では事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理・実践が可能となるようにすることを目的として「リスク管理規程」を定めております。また、リスク・コンプライアンス委員会が各部門長と連携し、定期的にリスクと機会の検証を行い、必要に応じて取締役会に報告する体制を整えております。

 

(2)人的資本

当社は、社是である「愛」のもと「人材が企業力の本質である」という人本主義を経営哲学として掲げ、人材は極めて重要な資産と認識し、持続的な企業価値向上を実現するための源泉と考えております。従業員一人ひとりが高いモチベーションを維持し、向上心を持って高い目標にチャレンジすることで、企業の持続的成長が実現可能となります。そのために企業は、従業員が高いパフォーマンスを発揮できるよう個々の能力やキャリア開発の場を提供し、自己実現をサポートする様々な支援を行うこと、そして公正で納得性の高い人事制度、処遇を整備していくことが基本であると考えております。

 

 

 

① 戦略

多様な人材を登用し、強みや個性・能力を最大限発揮できる機会・環境を整備することでダイバーシティを推進し、また、社員エンゲージメントを高め、社員自らが課題を発見し、主体的に行動していく企業風土を醸成していくことで、持続的な企業価値の向上を図って参ります。

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具体的施策は以下の通りです。

 

当社では、多様な人材が活躍するための社内環境の整備、働き方を自らが選択できる環境の実現に向けて、オフィスをワークスペースから“憩いの場・癒しの場”に変えるためのオフィス改革、リモートワークや直行直帰の推進、フレックスタイム制の導入、コース変更制度、自らの意思で部署異動を選択できる社内異動制度、地域・所属部署の垣根を越えて忙しい部署をサポートし、対価として社内コインを支給する「コイン制度」の運用などに取り組んでおります。

能力開発の分野においては、従来型の研修に加え、外部のプロ人材によるワークショップの開催、部門横断的なプロジェクトや分科会の立ち上げ、DXに特化した成果に対して報酬を支払うことで社員のDXスキル・マインドを醸成する「DXインセンティブ」の導入、全社の範となるミドルマネージャーや若手社員、生産性向上を実現したチームなど経営戦略に沿う成果をあげた組織・個人を表彰する社内表彰制度などを推進し、社員の能力・パフォーマンス向上を図っております。

また、当社ではイントラネットやデジタルサイネージ、社内報に加え、社員が会社の経営状態や方針など社内情報をリアルタイムで深めることが出来るよう「Web社内報」を開設し、社員が自律的に行動出来る環境作りに努めるとともに、毎月1回全社員に向けにWeb会議システムを使ったトップメッセージ発信など、経営と社員の高度の相互理解・関係構築を図り、エンゲージメント向上に努めています。

 

② 指標及び目標

多様性を表す指標である女性並びに外国人の管理職比率は現状1%程度となっており、業界も含めた大きな課題と認識しております。今後この比率を高めていくため、女性及び外国人の総合職を採用し、管理職候補となる母集団を拡大するとともに、まずは将来の管理職候補者たる「係長」の裾野を拡大し、長期的目標の早期達成に向け、女性及び外国人管理職の育成・登用を促進して参ります。

 

2022年3月

2023年3月

2024年3月

長期目標

女性・外国人管理職人数

2人

2人

2

 

(同比率)

(1.4%)

(1.3%)

1.3

10.0%)

女性・外国人係長人数

4人

7人

11

 

(同比率)

(5.3%)

(9.6%)

13.8

20.0%)

女性・外国人総合職採用人数

5人

7人

7

 

(同比率)

(23.8%)

(19.4%)

38.9

30.0%)

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)建設投資動向等の影響について

当社グループは、建設用仮設機材の開発・製造・販売及びレンタルを主たる事業としております。当社グループの主要取扱品目は、主に建設現場で使用される仮設機材であるため、当社グループの業績は建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。そのため、建設投資動向が著しく変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)貸倒れリスクについて

当社グループの取引先は3,000社以上に及んでおり、売上債権は特定の取引先に集中することなく、多数の取引先に対して分散されております。売上債権の貸倒れリスクは、これら多数の取引先の財務状況に影響を受けることになりますが、当社グループの取引先のほとんどは建設会社であり、建設業界を含む全般的な景気低迷の結果、売上債権の貸倒れが増加し、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。そのため当社グループでは、信用不安のある取引先とはその信用状況を勘案して慎重に取引を行うように努めております。

 

(3)借入金を中心とした有利子負債への依存について

当社グループは、仮設機材の購入代金の大部分を借入金、社債及び割賦払いにより調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率は下表のとおり高い水準で推移しております。今後、借入金利が上昇に転じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2023年3月期

(百万円)

2024年3月期

(百万円)

有利子負債残高

(対総資産額比率)

30,143

(48.0%)

34,164

(49.6%)

純資産額

(自己資本比率)

20,522

(31.7%)

22,157

(31.1%)

総資産額

62,749

68,945

支払利息

211

269

(注) 有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)、社債(1年内償還予定のものを含む)、リース債務(流動負債及び固定負債)、流動負債の「その他」のうちの未払金、固定負債の「その他」のうちの長期未払金の合計であります。

 

(4)長期借入金等の財務制限条項について

当社は、金融機関数社とシンジケートローン契約を締結しておりますが、これらの契約には、各年度の第2四半期会計期間末及び年度決算期末における連結貸借対照表において、純資産の部の金額が資産の部の合計額の10%を下回らないことや、各年度の決算期末における連結損益計算書の経常損益の額が2期連続して赤字とならないこととする財務維持要件が付加されております。これらの条件に抵触した場合には、シンジケート団の貸付金額の三分の二以上を占める多数貸出人の要請があれば、当社は期限の利益を喪失し直ちに返済義務を負うこととなり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)仕入価格の変動について

当社グループが取り扱う仮設機材は、主に鋼製品であり、鉄鋼原材料市況に大きく影響されます。そのため、当該市況により仕入価格が著しく変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)建設業法について

当社工事部が行う仮設工事事業及びアグリ事業部が行う農業用ハウス建設工事事業は、建設業法に定められた特定建設業「とび・土工工事業」の許可を受け施工しております。工事部の主な取引先は建設会社又はリフォーム業者等、アグリ事業部の主な取引先は農業協同組合等であり、取引を行う場合建設業の許可を取得していることは必須事項となっておりますので、建設業許可の取消や停止事由が発生した場合は当社の業績に影響を及ぼす可能性がございます。

 

(7)為替変動リスクについて

為替相場の変動は、連結決算における在外子会社財務諸表の円貨換算額に影響を与えるため、為替相場に著しい変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)製造物責任(PL)について

当社グループの製品及び商品には、製造物責任のリスクが内在しております。製品の欠陥や商品の経年劣化に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)自然災害・感染症の流行について

当社グループでは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行により操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、国内外での生産拠点及びレンタル機材物流拠点の分散や従業員の安全確保及び早期復旧対策等を実施しておりますが、予想を超える規模・範囲での従業員や建物の被災や新型インフルエンザ等世界規模での感染症流行が発生した場合、操業停止・各国の経済停滞やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営・業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、流行中の新型コロナウイルスについては、在宅勤務比率の引上げや交代勤務、営業人員の直行直帰徹底により従業員の感染リスクを抑えながら、顧客への製品・サービス供給を維持しております。今後も供給責任を果たすべく、働き方と生産性の検証を進めて参ります。

 

(10)システム及び情報セキュリティに関するリスクについて

当社グループのシステムは、事業を行う上の重要なITインフラであり、システム障害の未然防止や障害発生時の早期復旧や冗長化を前提とした適切な設計を行い、セキュリティ面の安全性に配慮したシステムの導入及び構築に努めております。しかしながら、システム上に新たな脆弱性が出現した場合や新型のサイバー攻撃を受けたことに起因し、情報セキュリティ事故が発生した場合、これらにより業務遂行に支障をきたす可能性、また保有している個人情報や機密情報等に毀損又は漏洩が生じる可能性は排除できません。このような事態が発生した場合、損害賠償金や対策費用を支払うことにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が解消され、景気は回復基調で推移いたしました。一方で、長引くロシア・ウクライナ問題に加え中東情勢の激化など新たな地政学リスク等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような環境の中で、当社グループは2021年5月31日発表の中期経営計画において、「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」という経営ビジョンを掲げ、新たなビジネスモデルへの転換を進め、特に、2023年5月31日に発表しましたIqシステム購入顧客に対して高付加価値サービスを提供する「タカミヤプラットフォーム」を推進してまいりました。

「タカミヤプラットフォーム」で提供する全サービスをWEB上で利用できるインターフェース「OPERA」、建設用仮設機材の購入や売却を自由に行うことができるデジタルマーケット「Iq-Bid(アイキュービッド)」をはじめとした機能拡充を進め、主要サービスであるIqシステムの運用マネジメントサービス「OPE-MANE」のユーザーアカウント社数も増加してまいりました。

 

a.財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、68,945百万円となり、前連結会計年度末と比べ6,195百万円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の減少510百万円、受取手形の増加946百万円、商品及び製品の増加951百万円、賃貸資産(純額)の増加3,890百万円、土地の増加1,292百万円等によるものであります。

負債合計は、46,787百万円となり、前連結会計年度末と比べ4,560百万円増加いたしました。この主な要因は、社債(1年内償還予定の社債を含む)の増加1,312百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の増加2,531百万円等によるものであります。

純資産合計は、22,157百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,635百万円増加いたしました。この主な要因は、利益剰余金の増加1,374百万円等によるものであります。

 

b.経営成績の状況

当連結会計年度の経営成績は、売上高44,127百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益3,404百万円(前年同期比51.1%増)、経常利益3,580百万円(前年同期比49.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,887百万円(前年同期比29.3%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(販売事業)

仮設部門において、「タカミヤプラットフォーム」に対する関心は高く、新規調達、入替及び追加の購入案件の引き合いはあるものの、資材価格の高騰、人材不足等による工事延期や、日銀による金融緩和縮小などの先行き不透明な状況を懸念し、購入時期の延期がありました。結果、売上は低調に推移いたしました。一方で、「タカミヤプラットフォーム」の普及に伴い、「OPE-MANE」をはじめとした高付加価値サービスが評価された結果、「タカミヤプラットフォーム」における建設用仮設機材の取引価格が上昇し、利益率改善に寄与いたしました。

仮設部門以外においては、太陽光関連資材売上において、前期より継続していたメガソーラー大型案件が一巡し、売上は減少いたしました。

これらの結果、売上高12,597百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益1,701百万円(前年同期比43.0%増)となりました。

(レンタル事業)

建築分野において首都圏の維持修繕工事を中心にレンタル需要は依然として高く、土木分野においても足元で現場が増加したことによりレンタル需要が増し、建設用仮設機材の貸出量は前期を上回る高水準で推移いたしました。また、機材ラインナップを拡充し、「タカミヤプラットフォーム」ユーザーに対する安定供給体制の整備や、Takamiya Lab.Westをはじめとした機材Baseにおける建設用仮設機材運用の更なる効率化を進めてまいりました。

これらの結果、売上高28,214百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益3,691百万円(前年同期比41.4%増)となりました。

 

(海外事業)

製造分野では、原材料・部品の調達に大きな影響はなく、ホリーベトナム(ベトナム)、ホリーコリア(韓国)ともに建設用仮設機材の日本向け出荷が堅調に推移しております。

海外営業部門のあるホリーコリアでは、仮設部門においては、世界的な景気悪化を懸念し、日本国内同様にレンタル使用の動きが見られました。仮設部門以外においても、太陽光関連資材の販売が減少した結果、販売売上が減少いたしました。

DIMENSION-ALL INC.(フィリピン)では、経済活動は回復基調にはあるものの、計画していた大型プロジェクトの計画見直しなどによる工期の変更により、売上が伸びず、前期を下回る結果となりました。

これらの結果、売上高7,897百万円(前年同期比12.1%減)、営業利益320百万円(前年同期比20.7%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ308百万円減少し、7,460百万円(前年同期比4.0%減)となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、180百万円の支出(前連結会計年度は14百万円の支出)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益3,186百万円、減価償却費5,430百万円、賃貸資産の取得による支出1,634百万円、棚卸資産の増加額6,398百万円等があったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、3,187百万円の支出(前連結会計年度は1,205百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,416百万円等があったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,798百万円の収入(前連結会計年度は398百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入8,500百万円、長期借入金の返済による支出5,971百万円等があったことによります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

販売事業(百万円)

7,431

99.1

レンタル事業(百万円)

海外事業(百万円)

5,426

81.5

合計(百万円)

12,858

90.8

(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

当社グループは、製造する製品のほとんどが見込生産であり、レンタルや販売する製品についても、顧客企業と締結している契約に規定されているのは、料金算定の基礎となる単価及び概算の見積金額であり、受注金額の算定に必要なレンタル期間や滅失機材の数量等については、工事の進捗状況や使用状態により変動いたします。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

販売事業(百万円)

12,487

96.6

レンタル事業(百万円)

28,152

114.1

海外事業(百万円)

3,488

81.2

合計(百万円)

44,127

105.3

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(販売事業)

販売事業については、売上高12,597百万円、営業利益1,701百万円となりました。前連結会計年度と比較し、減収増益となりました。この要因は、民間企業を中心とした設備投資も回復し、需要は高い状況にありましたが、原油や原材料の価格高騰を受け、販売価格を段階的に見直した影響で買い控えが発生したことによります。この影響もあり、商品及び製品が前年同期比で951百万円増加しておりますが、当連結会計年度に本格的にサービスを開始した「OPE-MANE(オペマネ)」の需要増に備えて生産調整を行わなかったことにもよります。一方、プラットフォームの仮設機材オンラインマーケットであるIq-BidやOPE-MANEなどの高付加価値サービスが利用者から評価された結果、プラットフォームでの取引が増加し、また取引価格が上昇したことが寄与し、利益率が向上いたしました。

建設資材や労働力の価格上昇、インフレ傾向による価格上昇が一過性でないこと、建設投資の水準が安定していることから、顧客が仮設機材の不足による受注機会の損失を防ぐために、仮設機材の購入を選択する顧客の増加が予想されます。また、一部の購入を見送っている顧客に対しては、仮設機材を購入した顧客が当社に預け入れることにより、保管場所や管理、整備ノウハウなどの課題を解決する「OPE-MANE(オペマネ)」が周知されるようになったことで、これまで鳶業者中心であったOPE-MANE利用が建設会社に拡大してきております。さらに、当社の管理、整備ノウハウにより、安全性や耐久性が維持されることで仮設機材の価値低下を抑えることが可能であることから、将来的な売却による資金化も視野に入れ、レンタル利用を購入に切り替える顧客の増加を見込んでおります。これらの需要を受け入れるために、顧客の資産管理の負担軽減と保有資産の価値向上に繋がるサービスを提供してまいりました。

翌連結会計年度以降につきましても、OPE-MANEの提供により、購入を検討する顧客が増加し、さらなる需要増があると見込んでおります。そのため、生産設備増強による安定供給、利便性の高い保管場所の確保、管理、整備ノウハウの向上を図るため、物流拠点の整備を進めました。当連結会計年度におきましては、群馬県藤岡市篠塚の「藤岡インターチェンジ西産業団地内」B区画(55,766.87㎡)の土地を1,282百万円で取得し、関西地域で展開中のTakamiya Lab. Westに続き、当該土地において「Takamiya Lab. East」を開設する予定です。Takamiya Lab. Eastは、当社として初となる「Base機能」、「物流倉庫機能」、「製造機能」、「安全教習機能」と複数の機能を有した複合型施設として開設し、検収作業にAIや自動化機器を導入するなど、効率化を進めると共にプラットフォームを魅力あるものへと早期に実現することを進め、付加価値の向上とプラットフォーム利用者の獲得に努めてまいります。

以上の取り組みにより、販売事業は、プラットフォーム利用者獲得のための各施策を実行し、収益の拡大と将来の成長に向けた体制強化を図ってまいります。

 

(レンタル事業)

レンタル事業については、売上高28,214百万円、営業利益3,691百万円となりました。前連結会計年度と比較すると、売上高は3,499百万円の増加、営業利益は1,081百万円の増加となり増収増益となりました。この要因は、建築工事向けの仮設機材の貸出量が高水準で推移したことに加え、土木工事向けの仮設機材の貸出量が増加したことによるレンタル料収入の増加が主な要因となります。特に、当社の主力製品「Iqシステム」の貸出量は年間を通して高い水準を維持しており、デファクトスタンダード獲得が順調に進んでいるものと見ております。これに加えて土木関連機材の出荷が好調に推移したことによります。また、「Iqシステム」を購入後に保管委託した顧客(OPE-MANE利用者)からの保有量を超えて使用するレンタル需要も、利用者数の増加にともなって貸出量と価格も上昇しております。

このプラットフォーム利用者の割合が増加すると見込み、安定した仮設機材の供給が利用者に安心して利用いただくための重要な要素と考え、賃貸資産への投資を継続して行ってまいりました。この投資は、「Iqシステム」に限らず、全国各地の社会インフラの維持補修工事で使用される土木工事向けの仮設機材なども含まれ、OPE-MANE利用者が「Iqシステム」以外の仮設機材をプラットフォームから調達することができ、幅広い工事分野への需要に対応できるよう保有量の充実とともに、プラットフォームの魅力を高め利用者獲得に努めてまいりました。

その結果、賃貸資産の額は前連結会計年度から純額で3,890百万円増加し、18,240百万円となりました。翌連結会計年度以降も引き続きプラットフォーム利用者の獲得を目指すために、需要と減価償却費負担を考慮しながら、利用者の保有在庫の稼働を高水準に保つための投資を行ってまいります。

 

(海外事業)

海外事業については、売上高7,897百万円、営業利益320百万円となりました。前連結会計年度と比較すると、売上高は1,088百万円の減少、営業利益は83百万円の減少となりました。海外事業の売上高のうち、セグメント間の内部売上高又は振替高は4,409百万円と前年同期比で283百万円減少しております。この要因としては、ベトナム、韓国で生産する日本国内向け「Iqシステム」の販売は前連結会計年度と同水準で推移しましたが、一部の製品で生産が遅れたことが影響しております。他方、外部顧客への売上高は、フィリピンで着工が見込まれていた大型プロジェクトの遅れが引き続き影響したことと韓国において展開する太陽光発電所向けの太陽光パネル設置架台につきまして、韓国での金利上昇、景気悪化により受注を見込んでおりましたプロジェクトの見送りが発生いたしました。その結果、外部顧客への売上高は3,488百万円となり、前連結会計年度と比較して805百万円の減少となりました。厳しい事業環境下において、外部顧客への売上高を獲得するため、周辺国への事業エリア拡大の必要性を踏まえ、新たな顧客の開発、ネットワークの構築を進めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、掲げている「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」という経営ビジョン達成のための設備投資と、日々の生産及び営業活動に必要な運転資金です。これらの資金需要の当社グループの調達方針は、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」を基本方針としております。

安定的・継続的な資金調達を目的に、国内においては、参加金融機関10行とのシンジケートローンによる資金調達をメインとしております。海外の必要資金については、親子ローンを実行する一方で、参加金融機関3行とのグローバル・クレジット・ファシリティー契約に基づく、各海外子会社の自国通貨での調達を行なう事で、調達コスト及び為替変動リスクの低減に努めております。また、当社グループの有利子負債総額の半分程度を、金利スワップ等により固定化する事で金利上昇リスクの低減にも努めております。

金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの運営に必要な資金の安定的・継続的な調達は、今後も可能であると考えております。

今後も、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」という二つの方針の両立を目指すべく、間接金融または直接金融の多様な調達手段の中から、当社にとって有利な手段を適宜選択し、資金調達を行ってまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成におきましては、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされます。当該見積りに関しましては、当社グループにおける過去の実績率等を踏まえ合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)シンジケートローン契約について

当社は、2023年5月26日開催の取締役会決議に基づき、設備資金の安定的かつ効率的調達を目的として、㈱三菱UFJ銀行を主幹事とする金融機関10行からなるシンジケート団と以下のとおりシンジケートローン契約を締結いたしました。

契約日   2023年6月27日

契約金額  4,000百万円

借入利率  3ヶ月Tibor+0.7%

契約期限  2028年4月28日

担保    無担保

保証    無保証

 

(2)シンジケートローン契約について

当社は、2023年8月25日開催の取締役会決議に基づき、設備資金の安定的かつ効率的調達を目的として、㈱三菱UFJ銀行を主幹事とする金融機関10行からなるシンジケート団と以下のとおりシンジケートローン契約を締結いたしました。

契約日   2023年9月26日

契約金額  3,500百万円

借入利率  1.065%

契約期限  2031年9月30日

担保    無担保

保証    無保証

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は98百万円であります。

なお、当該研究開発費は、当社における建設用仮設機材等の開発によるものであります。