第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社企業グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。

 

(1)会社経営の基本方針

 当社企業グループの事業基盤である新潟は、国際港湾や国際空港、高速道路網といった多様な交通インフラを備えた対岸諸国の玄関口として優れた拠点性を有しているだけでなく、高品質の食材や食品を生み出す農業県として海外からも認知されており、当社企業グループは、こうした新潟の優位性を活かしながら地域社会に貢献し、グローバルな企業を目指しております。

 さらに当社企業グループは、全体の総合的価値を高めながら安定的な発展を遂げるため「統一された意思を持った強い企業集団」となるべく、以下の「リンコーグループ経営理念」を定めております。

 

「リンコーグループ経営理念」

① 顧客・株主・社員とその家族・地域社会に信頼され、その全ての人々に貢献する企業集団を目指します。

② 新潟を基盤とした事業展開を図りつつも、常に視野を世界に拡げグローバル化を意識し、進取の精神でビジネスに挑戦します。

③ 総合物流事業、ホテル事業、不動産事業、各種販売代理店業及び環境事業を通じて、安全かつホスピタリティーの精神に基づき様々なサービスを社会に提供するとともに各事業分野に於いて地域NO.1企業を目指します。

④ 効率的な経営とコスト競争力のある企業体質を保持しつつ、常に良質なサービスを提供し続けることによって安定した成長を目指します。

 

(2)会社の経営戦略

 当社は、2025年5月に創立120周年を迎えるにあたり、新たにリンコーグループのパーパス(会社の存在意義)として「みなと から今を支え、明日を拓く。」を掲げました。これには、当社の原点であり長い年月を共に歩んできた「みなと」から人々の暮らしを支え、明るい未来を切り拓くために、果敢にチャレンジしていく、という思いを込めております。

 このパーパスのもと、この度、中期経営計画(2024年度~2026年度)を策定いたしました。同計画では、「運輸部門の収益基盤の安定と向上」、「自社資産・人材の強みを活かし収益性・効率性を向上」、「事業継続可能な人的資本戦略の実施」に重点的に取組みます。詳細は、次の(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題をご参照願います。

 

(3)経営環境

 当連結会計年度は、概ねコロナ禍からの社会経済活動の正常化に伴うサービス需要やインバウンド需要の回復を背景に緩やかな回復基調となりました。一方、今年に入り、賃上げの動きが見られるものの、物価高の影響から個人消費は一部に弱い動きが見られることに加え、円安も進行するなど、先行き不透明な状況が続いていると認識しております。

 そのような状況の中、運輸部門では、一般貨物、コンテナ貨物ともに取扱量が減少し、さらに、フォワーディング事業も海上コンテナ運賃の市況が落ち着き、収受料金が低下したこと等から、同部門は厳しい経営環境が続いております。

 

 一方で、ホテル事業部門では、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行した後、社会経済活動の正常化が一段と進んだことに伴い、ホテル利用の需要も回復基調で推移しました。宿泊については、新潟市内の各種イベントの増加等により客室稼働が高水準で推移し、また、宴会利用も法人客を中心に増加傾向で推移し、同部門の業績は回復基調で推移しております。今後も様々な企画、サービスの提供に努め、受注増に継続して取組んで参ります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、(2)会社の経営戦略で記載しましたように、企業価値の向上のため、この度、中期経営計画(2024年度~2026年度)を策定いたしました。同計画の中で優先的に対処すべき課題は次のとおりでおります。

 

① 収益基盤の安定・向上の取組み

 当社企業グループの中核である運輸部門におきましては、「稼ぐ力」の基盤強化の一環として、2023年4月に新設した「再生可能エネルギー推進部」を中心に、再生可能エネルギー関連の貨物を獲得し、新たな柱となる取扱貨物を増やす取組みをより一層強化して参ります。また2024年問題対策の一助として、低炭素輸送の推進とともに、モーダルシフト輸送へ貢献するため、2023年12月に開始された「日本海・九州航路(内航コンテナ航路)」の集荷代理店として環境負荷低減に結びつく物流サービスを展開し、さらなる収益力の安定と向上に取組んで参ります。

 ホテル事業部門におきましては、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後、社会経済活動の正常化が一段と進み、収益が改善いたしました。今後、さらに回復を加速すべく、新潟市内随一の規模を誇る大宴会場の活用や、バラエティに富んだレストラン・バーでの独自の“おもてなし”、五感を刺激する地元食材を生かした高品質なサービスの提供、来年予定している客室改装を行うことにより、新潟市内ホテルとの差別化を図り、あらゆるサービスの受注増に継続して取組んで参ります。

 

② 人的資本の取組み

 当社企業グループは、社会インフラの一つである“物流”を主力事業として位置付け、企業価値の創造と社会への貢献を目指しております。当社が提供するサービスは、その多くが自社・お客様の施設等の「現場」で行われ、その内容は多岐に亘り日々変化を伴います。お客様のニーズに応え、「現場」での変化にも柔軟に応えることが出来る“現場力”を重視した人的資本の割当て及び人材育成を行って参ります。2024年4月には港湾の現場で初の女性職員を採用する等、年齢や性別、国籍に関係なく多様な人材の活躍を推進しております。今後も、社員への定期的な意識調査を通じ、働き甲斐を高める人事制度を実施し、働き方の多様化、育児・介護関係制度の拡充等、社内の環境整備に取組んで参ります。

 また、労働災害の撲滅と健康に配慮した職場環境の実現は経営の要と認識しており、安全衛生教育の徹底により、安全で健康な職場環境の構築と維持に継続して取組んで参ります。

 

③ 事業資産の有効活用と収益性、効率性向上の取組み

 当社企業グループの資産につきましては、現状の用途にとらわれず、事業の効率化や新たな事業につながる利用方法を継続して検討して参ります。

 また、各セグメント部門の資産の特性を生かし、各セグメント利益・資産効率性を高めるとともに、政策保有株式の縮減をさらに進め総資産をスリム化し、収益性向上に向けて取組んで参ります。

 臨港埠頭地区全体の有効活用につきましては、新潟港の目指すべき将来像とその実現のため、臨港地区がどのような役割を担うことが可能か、関係機関と連携を図りながら臨港地区の将来構想を策定して参ります。

 

④ 環境保全への取組み

 当社企業グループでは、2022年12月に国土交通省による「みなとSDGsパートナー登録制度」に登録し同制度の中で、CO₂排出量の削減目標を掲げ取組んでおり、新潟県が表明しているカーボンニュートラルに関する各種協議会等にも参加し、脱炭素社会の実現に向け協力して参ります。

 事業活動においては、木材リサイクル事業を通じた廃材資源の利活用、自社施設を利用した太陽光発電・売電事業により環境保全に配慮した事業活動を推進して参ります。また、ホテル事業部門では、「循環型農業で収穫された野菜の使用」、「プラスチック容器の削減」、「食べ残しゼロ」、「大宴会場のLED照明化」等に取組み、環境保護・エネルギー消費の削減に取組んでおります。

 

 

⑤ コンプライアンス・内部統制強化の取組み

 当社企業グループでは、コンプライアンス意識を高く持ち、社員が業務に当たることが重要であると認識しております。

 社員に対するコンプライアンス研修を定期的に実施するとともに、法令違反や企業倫理違反、ハラスメントを早期に発見するため、啓蒙活動の他、内部通報制度に関する社内体制の強化も行っております。また、適切な業務遂行のため、内部監査の指摘事項に対応した内部統制の強化策を実施し、その内部統制の運用が各部署で適正に行われているか確認して、グループ全体でリスク管理を遂行しております。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期経営計画(2024年度~2026年度)において、「運輸部門」を中心に収益力を早期に回復させ、グループ全体の収益性・効率性を向上させるため、収益と投資収益性の指標と目標を掲げております。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な連結指標は、売上高、営業利益、営業利益率、ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産経常利益率)、各セグメント利益であります。

 この度策定した中期経営計画の最終年度(2026年度)の目標値は、売上高150億円、営業利益6億円、連結営業利益率4%、ROE4%、ROA2%、各セグメント利益1億円以上維持であります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。

 

 当社は、サステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題と認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、海洋環境の保全及び近隣住民に配慮した港湾荷役作業の実施、木材リサイクル事業を通じた廃材資源の利活用、ホテル事業におけるプラスチックストローの使用廃止、食べ残しゼロ、宴会場のLED照明化等に取り組み、環境保護・エネルギー消費量の削減に取り組んでおります。

 また、次世代を担う人材の確保・育成は、今後の事業継続の上で重要課題であり、人事諸制度の見直し、社員教育を計画的に実施し、人材育成に継続的に取り組んでおります。

 

(1)ガバナンス

 取締役会において、経営の基本課題の一つとして、人材面においては、「人事制度の見直しと人材戦略の構築」、環境面においては「ESG、SDGsを踏まえた経営の継続的な取組み」を決議しております。

 特に環境面では、SDGsの達成に向けた取組の更なる推進を図り、港湾及び港湾関係産業の魅力向上と将来にわたる持続的な発展に貢献して参ります。

 

(2)戦略

(人的資本に関する方針)

1)基本的な考え方

 当社企業グループは、社会インフラの一つである“物流”を主力事業として位置付け、企業価値の創造と社会への貢献を目指しております。物流事業者に求められる安全と正確なサービスを提供するためには誠実な心でお客様と接することが欠かせません。その心を持つことは当社企業理念である「お客様の心を大切にし、未来を見つめ、新しい社会・豊かな人間環境を創造する企業を目指します。」の実践にも繋がります。企業理念の実践を推進し、社員が自らの仕事に誇りを持ち、生き生きと働くことのできる“強い組織”となることを目指しており、特に以下の観点を重視し、ダイバーシティ経営を推進して参ります。

① 「現場力」を重視した組織作り

 当社が提供するサービスは、その多くが自社・お取引先様の施設等の“現場”で行われ、その内容は多岐に渡り、且つ日々変化を伴います。お取引先様のニーズに応え、“現場”での変化にも柔軟に応えることができるよう、「現場力」を重視した人的資本の割り当て及び人材育成を行っております。

② 多様な人材の活躍支援

 年齢や性別に関係無く、多様な人材の活躍を推進しております。65歳まで働くことができる就労環境を整備しており、高齢者は技能伝承等の重要な役割を担っています。女性の活躍推進にも力を入れ、専門的分野での国家資格取得支援や管理職への積極的登用も実施しております。

 

 

-当社の女性の活躍推進に係る実績(ご参考)-

育児休業取得率

男性社員

出産

9人

育休取得

4人

取得率

44.4%

 

女性社員

出産

2人

育休取得

2人

取得率

100.0%

 

男女間賃金格差

 

男女の賃金の差異

正規労働者

87%

アルバイト

全ての労働者

86%

 

2)人的資本経営の実践に向けた取組み

 当社では、「経営戦略と人材戦略の連動」をテーマとする人材戦略チーム(以下、「チーム」と記載)を2023年度期初に立ち上げ、具体的な取組みを開始しております。チームは人事部を担当する常務執行役員が統括し、“採用”、“教育”、“事業拡大”を三本柱として経営戦略と人材戦略を連動させ利益を生み出し、人への投資を行うサイクルを構築することを使命としています。

 

3)社内の環境整備に関する取組み

① 働き方の多様化

 育児・介護と仕事の両立を図る社員を支援することを目的として、テレワーク制度の運用を2023年度期初より開始しております。本制度は、他にも自然災害や感染症発生時の事業継続並びに通勤時の交通災害等発生時の就労継続や通勤による心身の負担軽減等も利用目的としており、働き方の多様化への対応を進めております。

② 育児・介護関係制度の拡充

 仕事と家庭の両立支援の為、育児制度における短時間勤務及び時差勤務の上限年齢を法定の3歳未満を上回る6歳に引き上げています。介護制度においても、短時間勤務を導入しています。2024年度より、介護制度を更に拡充(例:介護休暇の有給化、介護休業期間の上積み支給等)して参ります。

③ 社員教育

 集合研修にWEB型研修を加えた二軸での社員教育を実施しています。この実施により教育機会が増加し、社員の“学び”へのニーズにも応えることが出来る環境が出来ています。会社が指定する研修以外にも、社員が自己啓発を目的にWEB型研修を受講できる環境も用意しており、“学び直し”を支援することのできる環境が整備されています。

 

参考:WEB集合により実施した研修の数・・・・・・46講座

自己啓発プログラムを受講した社員の割合・・・19%

④ エンゲージメント向上の取組み

 当連結会計年度より、“エンゲージメントサーベイ”を実施しています。この実施により社員のエンゲージメントレベルを定量的に評価できるようになり、従前よりも社員のニーズを人事諸制度の維持・更新に活かし易い環境が整備されております。2024年度は実施頻度を増加させ、活用の度合いを高めて参ります。

 

参考:2023年度エンゲージメントサーベイ結果・・・・49点(Cランク)

 

(環境に関する方針)

 港湾運送事業を主力事業とする当社は、環境に対する取組みを強固にするため、2022年12月に国土交通省による「みなとSDSsパートナーズ登録制度」に登録を致しました。この登録制度に基づき、2023年度からSDGs達成に向けた重点的な取組を推進しております。

 

 

(3)リスク管理

 当社では、リスク評価委員会を年2回開催し、当社企業グループの事業上のリスク評価とリスク管理について検討しており、代表取締役社長を委員長とする危機管理委員会に、その内容を報告しております。

 そのリスクの中には「人材不足、人材確保、人材育成に関わるリスク」、「環境に関するリスク」が含まれております。「人材不足、人材確保、人材育成に関わるリスク」では、社員の定着率向上のため、働きやすい職場作り、人材育成に繋がる人事異動、人事制度の見直しについて確認しております。社内に設置した人材戦略チームにより、中途採用等の人材の多様性の確保、教育関係の充実、事業計画に基づく人員確保等に積極的に取組んでおります。「環境に関するリスク」では、事業活動において発生する環境汚染のリスクについて評価と対策に不備がないか確認しております。

 また、当社総務部において、定期的に当社の電気使用量、ガソリン・重油・灯油の使用量、さらにそれらの使用量から換算したCO排出量を全社に公表し、国土交通省による「みなとSDGsパートナー登録制度」において掲げたCO排出量の削減目標の達成の進捗度を管理しております。

 

(4)指標及び目標

1)人的資本に関する指標及び目標

 当社は2021年度、連結子会社の株式会社ホテル新潟は2020年度に一般事業主行動計画(「女性活躍推進法」に基づく)をそれぞれ策定し、以下の目標達成に向け、各種施策に取組んでおります。当期末時点での実績を含む実施状況は以下のとおりであります。

(当社)

指標

目標

実績(当連結会計年度)

① 女性管理職の割合

2025年度までに女性管理職の割合を20まで引き上げる。

女性管理職比率 19.79

② 在宅勤務テレワーク制度利用率

2025年度までに同制度の利用率を20に到達させる。

5

(株式会社ホテル新潟)

指標

目標

実績(当連結会計年度)

① 女性管理職の割合

2025年度までに女性管理職の割合を15%~30まで引き上げる。

女性管理職比率 18.8

 なお、上記の「人的資本」に関する指標及び目標については、当社及び株式会社ホテル新潟のみ指標のデータの算出・管理を行い、具体的な取組みを行っております。他の連結子会社については各社の人員規模、管理体制等の違いにより、その取り組みを行っておらず、連結グループにおける記載は困難であります。

 

2)環境に関する指標及び目標

 「みなとSDGsパートナー登録制度」に基づき、2023年度から以下の目標達成に向け、当社のCO排出量の把握、環境負荷の少ない施設・設備への更新を重点的な取組みとして進めております。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

CO₂排出量

前年比1%削減

CO₂排出量

2023年度 2.058トン

 

3【事業等のリスク】

 当社企業グループにおける財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、現時点で予見出来ない不確実なリスク等により影響を受ける可能性があります。

 

① 重大な労働災害に関わるリスク

 当社企業グループは、重機、トラック、高所作業等の危険を伴う作業に従事しております。危険予知、事故対策会議により安全第一に努めておりますが、不測の重大な労働災害が発生した場合、顧客の信頼や社会的評価が低下するだけでなく、事故等に伴う補償等に対応しなければならないことから、当社企業グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保に関わるリスク

 当社企業グループの各事業は労働集約型のものが多く、運輸部門では港湾荷役作業やトラック輸送を担う人材、ホテル事業部門でも接客、調理を担う人材、さらに機械整備業においては整備作業を担う人材などにより支えられております。

 賃上げ、働き方改革、計画的な教育等により、専門技能を持つ人材の中途採用等により、人材の確保に努めておりますが、少子高齢化に伴う労働力不足により相応しい人材を継続的に採用することが困難になる場合、当社企業グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ コスト上昇に関わるリスク

 当社企業グループでは、労働集約型産業であることから一定の社員数を確保し、外注作業も多く発生しております。また、重機、トラック、定温倉庫、ホテル設備等のエネルギーを利用する設備を多く保有しております。そのため、労働生産性向上とともに、適正料金収受の取組を進めておりますが、それを上回る外注作業費、エネルギーコスト等の上昇があった場合、当社企業グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害に関わるリスク

 当社企業グループでは、地震・津波に備えて発生時の行動基準を策定し、人命最優先で避難する体制を構築しております。しかしながら、運輸部門の事業を行う新潟港において大規模な自然災害が発生し、港湾施設に甚大な被害が発生した場合には、当社企業グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。また自然災害による風評被害により、ホテル事業部門に悪影響が及ぶ可能性もあります。

 

⑤ 固定資産の減損に関わるリスク

 当社企業グループは、港湾施設、倉庫・上屋、ホテル施設など、多額の固定資産を保有しております。

 これらの固定資産については「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、当該固定資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるか検証しており、減損処理が必要な資産については適正に減損損失を計上しております。しかし、経営環境の変化等に伴い、将来キャッシュ・フローの見込額が減少した場合、減損損失の金額によっては、当社企業グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 資金調達に関わるリスク

 当社は、現在及び将来の事業活動のために必要な資金と債務の返済に備えるため、営業活動から稼得するキャッシュ・フローや政策保有株式の縮減、金融機関からの借入等により資金を調達しておりますが、金融市場や経済情勢の急激な変動や、当社の財政状態の悪化等により、金融機関の融資姿勢が変化した場合、当社が必要な資金を必要な時期に適切な条件で調達出来ず、資金調達の制限や調達コストが増加する可能性があります。

 

⑦ 金利の変動に関わるリスク

 当社企業グループは、事業資金の一部を金融機関からの借入等により調達しております。今後の営業活動から稼得するキャッシュ・フローや政策保有株式の縮減など自己資金を確保する中で、金融機関からの借入金残高を抑制する方針ですが、日銀の金融政策等の影響により、金利に著しい変動が生じた場合は、当社企業グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑧ 投資有価証券の評価損に関わるリスク

 当社企業グループが保有している投資有価証券は、株式市況により時価の変動が大きい場合や非上場会社の財務状況が大きく毀損した場合、減損処理を行う必要があり、当社企業グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、上場会社の政策保有株式については、保有の有効性を検証し、その有効性が乏しいと判断される株式については売却を検討して参ります。

 

⑨ 繰延税金資産の取崩しに関わるリスク

 当社企業グループは、将来の課税所得の見積りや会計と税務の一時差異が解消される時期を基準に繰延税金資産の回収可能性を検討しておりますが、収益性の低下に伴い、将来において十分な課税所得が確保できないと判断された場合、繰延税金資産を取崩し、多額の税金費用(法人税等調整額)が発生することになり、当社企業グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概況

 当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日)におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化に伴うサービス需要やインバウンド需要の回復を背景に緩やかな回復基調となりました。一方、今年に入り、賃上げの動きが見られるものの、物価高の影響から個人消費は一部に弱い動きが見られることに加え、円安も進行するなど、先行き不透明な状況が続いていると認識しております。

 このような状況の下、当社企業グループの事業拠点である新潟港全体の貨物取扱量は、前連結会計年度比で減少し、当社企業グループの運輸部門の貨物取扱量も減少いたしました。ホテル事業部門では、業績は回復基調で推移し、前連結会計年度比で増収増益となりました。

 この結果、当連結会計年度の当社企業グループの売上高は131億1千万円(前連結会計年度比2.5%の減収)、営業利益は1億5千2百万円(前連結会計年度比26.8%の減益)、経常利益は2億7千4百万円(前連結会計年度比35.9%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億5千7百万円(前連結会計年度比47.6%の減益)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(運輸部門)

 当社企業グループの事業拠点である新潟港の貨物取扱量が前連結会計年度比で減少した中、同部門の貨物取扱数量も、一般貨物、コンテナ貨物共に減少し、525万2千トン(前連結会計年度比9.6%の減少)となりました。

 一般貨物については、主要貨物である素材原料の需要の減少、取引先工場の定期修繕の長期化の影響を受け、コンテナ貨物については、輸入を中心に取扱数量が減少しました。これらに加えて、フォワーディング事業も海上コンテナ運賃の市況が落ち着いた影響などにより、同事業の収受料金が低下したことなどにより、同部門の売上高は、前連結会計年度比で減収となりました。また、利益面では、物価の上昇に伴う下払費や人件費の増加などにより、前連結会計年度比で減益となりました。

 この結果、同部門の売上高は95億8千7百万円(前連結会計年度比7.5%の減収)、セグメント損失は1億3千8百万円(前連結会計年度は1億1千万円の利益)となりました。

 

(不動産部門)

 商品土地の販売が不動産賃貸の大口契約終了などによる賃貸収入の減収をカバーした結果、売上高は2億9千万円(前連結会計年度比10.4%の増収)、セグメント利益は1億3千万円(前連結会計年度比6.5%の増益)となりました。

 

 

(ホテル事業部門)

 新型コロナウイルス感染症が5類へ移行した後、人流の回復、インバウンドの需要拡大等により社会経済活動の正常化が一段と進んだことに伴い、ホテル需要も回復基調で推移いたしました。宿泊については、新潟市内の各種イベント等により客室稼働が高水準で推移し、また、宴会利用も法人客を中心に増加傾向で推移し、同部門の業績回復につながりました。この結果、売上高は21億5千5百万円(前連結会計年度比18.8%の増収)、セグメント利益は5千5百万円(前連結会計年度は1億2千3百万円の損失)となりました。

 

(関連事業部門)

 自動車・建設機械整備、木材リサイクルが堅調に推移したことなどにより、同部門の売上高は11億3千4百万円(前連結会計年度比7.6%の増収)、セグメント利益は1億2千3百万円(前連結会計年度比24.4%の増益)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローが14億2百万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローが5億9千万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローが11億8千9百万円の支出超過となったことにより、前連結会計年度末に比べて3億7千6百万円減少し、3億5千6百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益、減価償却費、売上債権の減少額等の資金の増加要因が、受取利息受取配当金、有形固定資産売却益、仕入債務の減少額等の資金の減少要因を大きく上回ったことにより、14億2百万円の収入超過(前連結会計年度比11.0%の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出5億5千9百万円等の資金の減少要因が、有形固定資産の売却による収入等の資金の増加要因を上回ったことから、5億9千万円の支出超過(前連結会計年度は1千8百万円の支出超過)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 短期及び長期の借入金及び社債の純減額7億1千8百万円、自己株式の取得による支出2億6千5百万円等により、11億8千9百万円の支出超過(前連結会計年度は9億5百万円の支出超過)となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

39.3

37.5

41.5

43.4

46.3

時価ベースの自己資本比率(%)

16.6

17.4

13.0

11.4

11.3

債務償還年数(年)

14.1

18.4

12.1

8.5

7.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ

10.6

8.2

12.0

17.5

19.5

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式を除く期末発行済株式数により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

③ 財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は385億8千9百万円となり、前連結会計年度比4.4%、16億2千6百万円増加しました。資産の増加の主な要因は、流動資産が9億1千7百万円減少した一方、固定資産が25億4千1百万円増加したことなどによるものであります。

 負債純資産の増加の主な要因は、負債が1億8千万円減少した一方、純資産が18億7百万円増加したことによるものであります。

 

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は35億5千6百万円となり、前連結会計年度比20.5%、9億1千7百万円減少しました。この減少の主な要因は、現金及び預金が3億7千6百万円、受取手形、営業未収入金及び契約資産が5億1千5百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は350億2千2百万円となり、前連結会計年度比7.8%、25億4千1百万円増加しました。この増加の主な要因は、投資有価証券が時価の上昇等により25億4千3百万円増加したことなどであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は69億9百万円となり、前連結会計年度比4.2%、3億5百万円減少しました。この減少の主な要因は、一年内償還社債が1億円増加した一方、営業未払金が1億2千1百万円、短期借入金が2億5千万円、未払法人税等が6千4百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は138億2千7百万円となり、前連結会計年度比0.9%、1億2千4百万円増加しました。この増加の主な要因は、長期借入金が7億2千万円、退職給付に係る負債が9千2百万円、それぞれ減少した一方、社債が1億7千万円、繰延税金負債が7億5千1百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は178億5千2百万円となり、前連結会計年度比11.3%、18億7百万円増加しました。この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益3億5千7百万円、株式給付信託(従業員持株会処分型)の導入に伴う自己株式2億6千5百万円の計上、その他有価証券評価差額金の増加16億8千9百万円などによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社企業グループは受注生産形態をとらない業種のため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。なお、販売実績については「① 経営成績の状況」におけるセグメントの業績に含めて記載しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の状況)

 当社企業グループの当連結会計年度の経営成績等の概要は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度における売上高は、131億1千万円(前連結会計年度比2.5%の減収)となりました。セグメント別では、運輸部門の外部顧客への売上高が、貨物取扱量の減少などにより95億8千5百万円(前連結会計年度比7.5%の減収)となりました。また、ホテル事業部門の外部顧客への売上高が、ホテル需要の回復に伴う利用客数の増加などにより21億4千7百万円(前連結会計年度比18.8%の増収)となりました。

 販売費及び一般管理費は、13億1千7百万円(前連結会計年度比3.8%の増加)となりました。人件費の増加が主な要因であります。

 営業利益は1億5千2百万円(前連結会計年度比26.8%の減益)となりました。セグメント別では、ホテル事業部門のセグメント利益は5千5百万円(前連結会計年度は1億2千3百万円の損失)となり、前連結会計年度と比べ改善した一方、運輸部門のセグメント損益は1億3千8百万円の損失(前連結会計年度は1億1千万円の利益)となったことが主な減益要因となりました。

 経常利益は2億7千4百万円(前連結会計年度比35.9%の減益)となり、営業外収益の助成金収入の減少が主な減益要因となりました。

 

 親会社株主に帰属する当期純利益は3億5千7百万円(前連結会計年度比47.6%の減益)となりました。特別利益の固定資産売却益が増加した一方、関係会社株式売却益の減少などにより前連結会計年度比で53.0%減少したことが主な減益要因となりました。

 各セグメントの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[運輸部門]

 同部門の中心拠点である新潟港の荷動きは、中国や東南アジアを中心とした諸外国の経済状況、新潟県内に工場を持つ企業の生産活動、小売業者の事業活動や消費者動向、さらに同港に寄港する船会社の再編、スケジュール等に影響されます。また、物流業界では2024年問題への対応が課題となっており、同部門にとっても今後の荷役・輸送体制の維持における課題と認識しております。

 このような事業環境のもと、同部門の外部顧客への売上高は95億8千5百万円(前連結会計年度比7億7千4百万円、7.5%の減収)、セグメント損益は1億3千8百万円の損失(前連結会計年度は1億1千万円の利益)となりました。

 当連結会計年度は中国経済の停滞や円安の進行などの影響から、特に輸入コンテナ貨物を中心に取扱数量は減少しました。加えて一般貨物も、主要貨物である素材原料が県内取引先の在庫状況や工場の稼働状況の影響から需要が伸びず、取扱数量は減少いたしました。また、前連結会計年度に高騰したコンテナ海上運賃は、当連結会計年度では、その市況の停滞により下落し、収受料金の低下に繋がりました。

 今後も、日本経済は緩やかな回復基調で推移する見通しでありますが、物価の高止まり、円安の進行などが当社企業グループの取扱数量に影響を及ぼすことが懸念されます。また、引き続き、ロシア・ウクライナ情勢にも留意する必要があります。

 そのような中、同部門の収益基盤の安定・強化のため、優先して取り組む課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題」に記載したように、2023年4月に新設した「再生可能エネルギー推進部」を中心に営業活動を強化し、臨港埠頭・自社倉庫や豊富な荷役経験・物流知識を持つ人材を活かし、今後、新潟港や新潟県胎内沖で計画されているバイオマス・風力発電など再生可能エネルギー事業の関連貨物獲得を目指します。また、2024年問題対策として、低炭素輸送の推進、モーダルシフト輸送への貢献を目指し、2023年12月より開始された「日本海・九州航路」の集荷代理店として環境負荷低減に繋がる物流サービスを展開して参ります。

 

 

[不動産部門]

 同部門では、当社が保有する不動産の賃貸収入や当社保有の不動産の販売が主な収入源となります。

 同部門の外部顧客への売上高は2億8千3百万円(前連結会計年度比3千2百万円、12.8%の増収)、セグメント利益は1億3千万円(前連結会計年度比7百万円、6.5%の増益)となりました。

 当連結会計年度は、大口の賃貸契約の終了などにより賃貸収入は減収となりましたが、商品土地の販売収入が増収となったことなどにより、増収増益となりました。

 同部門では、当社が保有する不動産の有効活用を継続し、売却を含めて収益確保を図って参ります。特に保有する賃貸物件については適切な修繕、維持管理を進める一方で、低収益不動産の売却と高収益賃貸物件の入替を進め、安定収益確保に努めて参ります。さらに、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題」に記載したように、当社企業グループの既存の固定資産について、現状の用途にとらわれず、自社施設を利用した再生可能エネルギー(太陽光等)の発電・売電、人口減少の中でも強いニーズのある不動産開発など、潜在的な収益力を掘り起こす利用方法の見直しの検討をすすめ、連結全体の資産の有効活用に取り組んで参ります。

 

[ホテル事業部門]

 同部門の外部顧客への売上高は21億4千7百万円(前連結会計年度比3億3千9百万円、18.8%の増収)、セグメント利益は5千5百万円(前連結会計年度は1億2千3百万円の損失)となりました。

 当連結会計年度は、コロナウイルス感染症が5類へ移行した後、人流の回復などを背景に利用客数は増加いたしました。とりわけ法人客を中心に宴会需要が大きく回復し、収支改善の大きな要因となりました。また、宿泊、レストランも収支は回復基調で推移し、特に宿泊は新潟市内の各種イベント等による集客効果もあり客室稼働率は高水準で推移いたしました。

 今後につきましては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題」に記載しましたように、客室改装や大宴会場のLED照明化などによりホテルの保有設備のアップデートを実施し、客室グレード・単価の差別化、新潟市内一番の大宴会場、バラエティ溢れるレストラン・バーで独自の“おもてなし”を提供し、付加価値の高いサービスの創出と需要拡大に取り組み、新潟市内シティホテルのNO.1のステイタスの維持を図って参ります。

 

[関連事業部門]

 同部門には、機械整備販売業、保険代理店業、木材リサイクルを中心とした産業廃棄物の処理業、商品販売業が含まれ、ゼネコン業者や土木建設業者の事業活動、住宅着工件数や解体件数の動向などが、同部門の収益に影響を及ぼします。

 同部門の外部顧客への売上高は10億9千3百万円(前連結会計年度比7千万円、6.9%の増収)、セグメント利益は1億2千3百万円(前連結会計年度比2千4百万円、24.4%の増益)となりました。

 当連結会計年度は、木材リサイクルは年間を通じて堅調に推移し、また自動車・建設機械整備も徐々に取扱いを伸ばし増収増益に寄与いたしました。今後につきましては、機械整備販売業については他社が持たない建機整備のノウハウを一層アピールすることによる整備件数の増加、木材リサイクルは立地の優位性を活かした廃材受入量と木材チップの販売増加、保険代理店業、商品販売業については他のセグメント部門と連携した販路拡大に取り組むことにより、収益確保に努めて参ります。

 

(財政状態の状況)

 当社企業グループの当連結会計年度末の財政状態の概要は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ 財政状態の状況」に記載の通りであります。

 当連結会計年度の総資産は385億8千9百万円(前連結会計年度末比16億2千6百万円、4.3%の増加)、負債は207億3千6百万円(前連結会計年度末比1億8千万円、0.9%の減少)、純資産は178億5千2百万円(前連結会計年度末比18億7百万円、11.2%の増加)となりました。

 その結果、自己資本比率が46.4%となり、前期の43.4%よりも2.9ポイント増加しました。これは、株価の上昇により、その他有価証券評価差額金が前連結会計年度末に比べて16億8千9百万円増加したことが主な要因であります。

 企業継続のため財務基盤の安定向上は優先すべき課題として認識しており、全事業部門でコスト管理を徹底し、収益獲得の機会を的確に捉えて、利益の積み増しと剰余金の安定配当に努めて参ります。

 当社企業グループの当連結会計年度末の財政状態の概要は、「(1)経営成績等の状況の概況 ③ 財政状態の状況」に記載の通りであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度では、税金等調整前当期純利益4億1千1百万円のほか、減価償却費7億2百万円などにより、営業活動によるキャッシュ・フローは14億2百万円の収入超過となりました。また、コロナ禍により抑えていた設備投資を前連結会計年度より再開しておりますが、当連結会計年度は更に加速したことなどから、投資活動によるキャッシュ・フローは5億9千万円の支出超過となり、フリー・キャッシュ・フロー(注)は、8億1千1百万円の収入超過となりました。当社企業グループでは、財務基盤の安定に向けて、営業活動から稼得するキャッシュ・フローを勘案した設備投資を行い、借入金の抑制に取組む方針であります。

 

(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フローの金額と投資活動によるキャッシュ・フローの金額の合計

 

(資本の財源及び資金の流動性について)

 当社企業グループは、事業活動に必要な資金と資金の流動性を維持するとともに健全な財政状態を目指すため、安定的な営業キャッシュ・フローを稼得することが資本財源の基本と考えております。

 

(資金需要の主な内容)

 当社企業グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸部門の作業諸掛、ホテル事業部門の料理原材料等の仕入、関連事業部門の建設機械の仕入、建設資材の仕入などであり、共通するものとしては人件費等であります。また、投資を目的とした資金需要の主なものは、事業用の設備投資であります。

 

(資金調達)

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、既存の借入金の約定返済や設備投資のため、金融機関等による固定金利の長期借入や社債による資金調達も行います。また、当社が連結子会社を含めたグループ内の運転資金の一元管理を行い、グループ内の資金の過不足を調整しております。

 2024年3月31日現在の有利子負債の概要は以下のとおりであります。

 

 

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

1,450

1,450

長期借入金(注1,2)

6,930

2,516

3,433

981

社債(注1)

1,170

280

560

330

リース債務

399

122

168

85

23

合計

9,950

4,368

4,162

1,396

23

(注)1.「長期借入金」及び「社債」には「1年内返済予定の長期借入金」及び「1年内償還予定の社債」が、それぞれ含まれております。

2.長期借入金のうち266百万円は「株式給付信託(従業員持株会処分型)」に係るものであり、分割返済日ごとの金額の定めがないため、期末の借入金残高を最終返済日に一括して返済した場合を想定しております。

 

 当社企業グループの第三者に対する保証は、連結子会社であるリンコー運輸株式会社の全国通運への交互計算精算債務に対する債務保証であります。保証した債務の債務不履行が発生した場合、当社企業グループが代わりに弁済する義務があり、2024年3月31日現在の債務保証は172百万円であります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行う必要があります。よって、見積りや予測の持つ特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りや予測と異なる場合があります。

 なお、当社企業グループが、特に重要であると考える会計上の見積りは次のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 繰延税金資産の回収可能性の評価については、将来減算一時差異の回収可能性について慎重に検討し、繰延税金資産を計上しております。この繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りを前提とするため、この見積りは取締役会で承認された収支計画を基準としており、その前提条件や仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩す必要があり、税金費用が増加する可能性があります。

 

(固定資産の減損)

 当社企業グループでは、固定資産のうち、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り、さらに回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上いたします。

 減損の兆候判定、減損損失の認識及び測定については、将来キャッシュ・フローの見積りが重要になりますが、この見積りは取締役会で承認された収支計画を基準としており、経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、当初の見積りが著しく低下することが見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

(退職給付費用及び退職給付債務)

 退職給付費用及び退職給付債務の算定に使用される見積りには、年金資産の長期期待運用収益率、割引率、平均残存勤務年数等を計算基礎としており、当社企業グループは、この数理計算上の仮定は適切であると認識しておりますが、年金資産の運用実績の結果や一定の仮定の変動は将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼします。なお、退職給付費用及び退職給付債務に関する見積りや数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)」を参照願います。

 

(貸倒引当金)

 当社企業グループは、信用調査会社を通じてお客様の信用情報を入手し、支払履歴も考慮して与信管理を行っております。また、貸倒引当金については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 4 会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に基づき、計上しております。

 現在の貸倒引当金の金額は、過去の貸倒実績率に基づき算出しており、今後、取引先の債権の支払状況によって貸倒実績率が高くなる場合や、多額の破産更生債権等が発生した場合には貸倒引当金が増加し、当社企業グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。