第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)会社の経営の基本方針

当社グループは、企業理念として「感性技術で未来を拓く」をスローガンとし、優れた感性と技術で新しい「価値」を創造し、人々の暮らしに新鮮な喜びや豊かさをもたらすことを企業の使命とし、事業領域と輸出の拡大を図り、安定的、持続的な成長の実現を目指します。また、ファッション衣料業界のキーインダストリーと言われる染色加工事業を通して、産地のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立し、産業の発展と企業価値向上に寄与していくことを基本方針としております。

 

  (2)目標とする経営指標

 当社グループは、染色加工事業並びにテキスタイル事業において、急速に変化する市場環境に柔軟に対応する体制を確立し、安定的・持続的な利益基盤の確立と成長を目指し、ROE(連結自己資本利益率)5%、DOE(連結純資産配当率)2.5%を当面の目標といたします。

 

  (3)中長期的な会社の経営戦略

  基本方針

   ・既存事業における安定的な収益基盤の確立

   ・SDGsへの取り組みによる企業価値向上

  ・DX・IT化推進による業務改革

   ・水平・垂直展開における新たな事業領域拡大

 

 <構造改革>

  染色加工事業における安定的収益基盤を構築します。

  ①常に全体最適な生産体制を考えた工場運営にあたります。

  ②染色改革と環境負荷低減活動を推進し、さらなるコストダウンを図ります。

  ③柔軟な人員体制により、生産性の向上を図ります。

  ④社員教育を充実させ、従業員の意識改革を図ります。

 <成長戦略>

  染色加工事業とテキスタイル事業の連携を強化し、素材・加工開発を進め新たな市場を開拓します。

  ①化合繊のオリジナルな加工開発を進め、事業領域の拡大を図ります。

  ②市場ニーズを的確に捉えた商品開発・提案により、付加価値の拡大を図ります。

  ③独自の素材・加工によりソトーブランドを確立し、輸出の拡大を図ります。

  ④M&Aを視野に入れ水平・垂直展開により利益の拡大を図ります。

 

  (4)経営環境及び対処すべき課題

繊維産業とりわけ当社の主要取扱商品でありますファッション衣料分野は、かねてから大量生産に伴う大量廃棄が、SDGsの観点から社会問題となっており、アパレルや商社のスタンスが変化し、見込み生産や在庫の縮小の動きが進んでいることから、新型コロナウイルス感染症発生以前のような受注及び生産状況に戻ることはないものと推測しております。特に暖冬の影響によりコート地を中心とする冬物素材の在庫が増加したことから、ウール素材の加工を中心とする当社を取り巻く受注環境は、厳しさが増すものと想定しております。また、円安やウクライナ情勢に加えて中東情勢が不安な状況にあり、エネルギー価格や原材料価格のさらなる値上がりが懸念されております。

このような事業環境が予測される中で、当社グループといたしましては、引き続き染色加工事業とテキスタイル事業の連携を強化し、市場ニーズに沿った差別化加工の開発・提案を積極的に推し進め、付加価値の拡大を図ってまいります。また、新たな事業領域の拡大を目指して、化合繊素材の受注拡大と欧州や中国等への輸出拡大を営業戦略として、加工技術の確立及び開発に取り組み、新たな市場の開拓を進めてまいります。また、工場におきましては、引き続き環境負荷低減や省人化及び営業戦略に資する設備投資を積極的に進めてまいります。

当社グループが長きに渡って培ったウール素材を中心とした染色加工技術は、品質面において国内で高く評価されており、高級志向のファッション業界で高い競争力を有しております。この当社グループの技術を最大限に活かすため、染色加工事業とテキスタイル事業の連携を強化して事業領域の拡大を図るとともに業界内でのステークホルダーとの協業・連携により、優れた日本のテキスタイルの輸出拡大、日本の技術力・管理力を活かした海外展開を模索し、当社グループとして企業価値の向上を図ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

当社グループは、優れた感性と技術で新しい「価値」を創造し、人々の暮らしに新鮮な喜びや豊かさをもたらすことを企業の使命とし、安定的、持続的な成長の実現を目指し、「地球温暖化防止」と「地球環境の保全」を私たちの活動の最重要課題として位置づけ、豊かな人間社会を持続するために、環境負荷を最小限にする取り組みに邁進いたします。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、持続可能性の観点から企業価値を向上させ、サステナビリティ推進体制を強化するための委員会として「サステナビリティ推進室」を取締役会及び社長の配下に設置し、取締役会がサステナビリティを巡る課題に主体的に取り組む体制としております。

「サステナビリティ推進室」は、社会・環境問題に関する対応方針や諸施策の立案、各種施策の進捗・実績管理等について検討・協議した結果を代表取締役社長、取締役、常勤監査役及び代表取締役社長が指名する者で構成する経営会議に報告しております。

取締役会は、「サステナビリティ推進室」で協議し、経営会議に報告・提案された内容について審議・監督を行っております。

 


 

(2)戦略

「サステナビリティ推進室」において、環境・品質・開発については取締役染色加工事業部長、人権・労働衛生・社会貢献については取締役経営管理部長を、それぞれ部会長とする専門部会を置き、以下の項目を積極的に推進しております。

(環境品質部会)

① 使用エネルギーの削減

② 工場内の排熱、排水の回収、再利用の推進

③ 産業廃棄物の削減

④ 環境型新加工・新規事業の開発、提案

⑤ その他、環境に関わる推進事項

(人権労働部会)

① 人材育成・活性化

② 働き方改革・健康づくり

③ コンプライアンス・ガバナンスの強化

④ 社会貢献・情報開示

⑤ その他、人権に関わる推進事項

 

(3)リスク管理

当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、コンプライアンス・リスク管理委員会において行っておりますが、環境や人権についてのサステナビリティに関連したリスクへの対応は「サステナビリティ推進室」において行っております。「サステナビリティ推進室」は、リスクと機会を把握し、識別、評価、絞り込みを行い、重要と認識された内容については、経営会議での協議を経て、戦略、施策等の方針や提言を取締役会に上程することとしております。

 

(4)指標及び目標

① 温暖化対策

工場の集約及び環境負荷低減の設備投資によりCO2の排出を2030年度までに2018年度比で50%削減を目指します。

② 水

   水質汚濁の少ないプロセスや機器の採用を進めます。

    水使用量の削減・効率化を図ります。

③ 薬品

      化学物質使用量及び揮発性有機化合物の削減に努めます。

④ エコ加工

染色加工において天然由来の原料による涼感加工、フッ素フリーの撥水加工、有機ハロゲン化合物フリーのウォッシャブル加工等を商品化しており、今後も環境にやさしいエコ加工の研究・開発に積極的に取り組みます。

⑤ 健康宣言

      当社は、従業員一人ひとりが心身ともに健康で個性と能力を活かすことにより「人と時間」「人と環境」の分野で新しい価値を創造していく従業員の健康づくりのため、下記の事項に取り組むことを宣言します。

    1.適切な働き方を実現します。

    2.ストレスを感じない職場を作ります。

    3.運動機会の増進を行います。

    4.定期健診受診率 100%を目指します。

    5.感染症等への予防対策を進めます。

    6.コミュニケーションの促進を図ります。

    7.受動喫煙への対策に取り組みます。

⑥ 女性活躍宣言

    当社は、男女を問わず仕事と子育てを両立させることができる、働きやすい職場づくりを行っていきます。そして、女性の活躍促進を目指し、次の取組を行います。

    1.育児休職からの職場復帰が円滑に行われるよう支援します。

    2.女性の採用・職域を拡大します。

    3.女性の能力を活かし、十分に発揮することができる職場にします。

    4.事業所内託児所の充実を図ります。

    5.女性の活躍に向けた組織内の意識改革に取り組みます。

 

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要リスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)受託加工業について

 当社グループのコア事業である染色加工事業は、売上高が全体の61.7%を占めており、得意先の商品に対して加工を施す受託加工業であります。当社グループは、得意先との取り組みを強化し、情報収集に努めて安定的な受注の確保を図ってまいりますが、最終製品を扱うアパレルや百貨店等の市場での販売及び在庫状況に対する得意先の生産量の調整により、翌年の当社グループの生産量に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)トレンドの変化について

 当社グループの染色加工事業における顧客は、愛知県西部を中心としたいわゆる尾州地区に集中しております。尾州地区は、従来からウール素材を主体とする繊維産地であり、素材のファッショントレンドの変化により、受注数量が大きく左右される傾向にあります。当社グループは、素材の多様化に対応した差別化加工の開発、提案により、尾州地区のみならず他産地からの受注拡大を図っておりますが、変化の激しい最終消費者の嗜好動向によっては、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(3)原油・ガス価格の変動について
 当社グループの染色加工事業における原材料は、石油化学製品に依存しているものが多く、エネルギーはガスを主体としており、原油・ガス価格の値上りに対して、加工単価への転嫁、生産性の向上、省エネ対策等により対処するよう努めておりますが、想定以上の原油・ガス価格の値上りがある場合は、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(4)不動産賃貸先の状況について

 当社グループの不動産事業は主として流通業者への賃貸であり、同業界は競争激化の傾向にあります。従って、それに伴う賃貸料の値下げ圧力は強いものがあり、さらには競争激化等による不採算を理由に賃貸物件の店舗閉鎖が決定されることも想定され、これらにより当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(5)非常事態リスクについて

 当社グループのいずれのセグメントにおいても、新型コロナウイルス感染症拡大のような非常事態が発生し、事業運営が困難になった場合、非常事態への対応方針の発信、勤務体制の変更等、事業リスクの最小化に向けた施策を行ってまいりますが、当社グループの経営成績等に大きな影響を受ける可能性があります。

 

(6)季節偏重について

 当社グループの染色加工事業及びテキスタイル事業は、ウール素材を中心とした秋冬物が中心であります。複合素材等の強化及びスポーツ・ユニフォーム・インナー等事業領域の拡大により生産の平準化を図ってまいりますが、秋冬素材を生産する上期に販売が集中する傾向にあり、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(7)自然災害について

 当社グループの染色加工事業の顧客及び生産拠点は、愛知県西部を中心とした尾州地区に集中しております。このため、当該地区において地震、台風等の大規模災害が発生した場合には仕事量の減少、生産設備の破損、物流機能の麻痺等により操業停止等が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(8)海外情勢について

 染色加工事業及びテキスタイル事業の原材料が中国を中心とした海外生産が主であることやグローバル展開を目的としたテキスタイル事業は、現地の環境規制、政治情勢等の変化や予期せぬカントリーリスクにより、原材料調達の状況及び価格の高騰並びに現地生産等で当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(9)環境規制について

 当社グループの染色加工事業は、環境に影響を与える可能性のある薬品等を使用しており、種々の法的規制を受けております。当社グループは法令遵守と仕入管理の徹底を図っておりますが、国内外において環境規制等が強化され、使用が制限された場合、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(10)金融資産の保有について

 当社グループの金融資産は、その多くが株式及び社債であるため、個別銘柄の保有の適否に関して毎年精査を行っておりますが、株価、金利及び為替等の動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(11)為替相場の変動について

 当社グループの染色加工事業、テキスタイル事業は海外製品と激しく競争しております。また、原材料の仕入については海外からの輸入に依存する部分が多く、当社グループとしてはコスト競争力の強化と差別化加工の開発に努めておりますが、為替相場の変動によっては、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」に移行したことで、経済活動が正常化し景気が緩やかに回復してまいりましたが、急激な円安の進行やウクライナ情勢の長期化に加えて中東情勢が懸念され、エネルギー及び原材料価格に伴う物価上昇により、個人消費の冷え込みが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

繊維産業におきましては、百貨店等での衣料販売が回復に向かっておりましたが、消費者物価上昇の影響により衣料消費の落ち込みが懸念され、業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くものと思われます。

このような事業環境のもと、当社グループは優れた感性と技術で新しい「価値」を創造し、市場領域及び輸出の拡大を図り、安定的・持続的成長の実現を目指しております。また、「地球は着替えることができないから」とする当社の環境理念のもと、環境負荷低減活動に取り組むとともに、地域社会やステークホルダーとの共存共栄を図るなど、SDGs活動を積極的に進めてまいります。

当連結会計年度の経営成績は、売上高107億9百万円(前連結会計年度比9.0%増)、営業利益3億4千1百万円(前連結会計年度は営業損失5億4千7百万円)、経常利益4億6千4百万円(前連結会計年度は経常損失2億9千7百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、固定資産売却益21億7千万円、補助金収入1億4千8百万円、投資有価証券売却益8千3百万円を計上したこと等により、27億4百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失7億2千3百万円)となりました。

染色加工事業

在庫の増加に伴い婦人物やニットの加工数量が予想以上に落ち込みましたが、紳士物やフォーマル地の生産が回復したことや加工料金の是正が進んだことにより、織物が38億5千3百万円(前連結会計年度比17.8%増)、ニットが27億5千6百万円(前連結会計年度比0.5%減)となり、売上高66億1千万円(前連結会計年度比9.4%増)、営業利益につきましては、加工料金是正や工場集約の効果が表れてまいりましたが、暖冬の影響により付加価値の高いコート地の生産が減少した影響が大きく営業損失4千7百万円(前連結会計年度は営業損失8億2千9百万円)となりました。

テキスタイル事業

既存得意先との取組み及び輸出を強化したことや、産地メーカーとの協業を進めたこと等により、売上高36億8千4百万円(前連結会計年度比7.2%増)、営業利益1億1千3百万円(前連結会計年度比31.9%増)となりました。

不動産事業

2022年10月より群馬県伊勢崎市の土地と店舗の賃貸を新たに開始したこと等により、売上高4億1千4百万円(前連結会計年度比18.9%増)、営業利益2億7千5百万円(前連結会計年度比40.6%増)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

染色加工事業

6,607,238

109.4

テキスタイル事業

3,875,073

109.2

不動産事業

合計

10,482,312

109.4

 

(注)   金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

染色加工事業

6,566,611

103.3

1,158,057

96.3

テキスタイル事業

3,670,497

102.9

625,274

97.8

不動産事業

合計

10,237,108

103.2

1,783,331

96.8

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

染色加工事業

6,610,540

109.4

テキスタイル事業

3,684,831

107.2

不動産事業

414,293

118.9

合計

10,709,664

109.0

 

(注) 1  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

西川毛織株式会社

1,270,863

11.9

 

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3  前連結会計年度の西川毛織株式会社については、当該割合が百分の十未満のため記載を省略しております。

 

(2)財政状態

(資産)

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ43億9千5百万円増加し、188億8百万円となりました。主な要因は、有価証券が1億9千9百万円減少しましたが、現金及び預金が25億3千3百万円増加、投資有価証券が18億1千4百万円増加したことであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ6億9千7百万円増加し、45億4千2百万円となりました。主な要因は、解体撤去関連費用引当金が3億6千2百万円減少しましたが、繰延税金負債が7億2千6百万円増加、短期借入金及び1年内返済予定のものを含む長期借入金が3億5千万円増加したことであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ36億9千8百万円増加し、142億6千6百万円となりました。主な要因は、配当金の支払い2億7千9百万円に対して、親会社株主に帰属する当期純利益27億4百万円を計上したこと、その他有価証券評価差額金が11億2千7百万円増加したことであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、5億6千4百万円の増加(前連結会計年度は7億9千3百万円の減少)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益28億3千3百万円、減価償却費5億8千7百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産処分益21億3千4百万円、解体撤去関連費用の支払額5億7千9百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、19億3百万円の増加(前連結会計年度は3億2千3百万円の減少)となりました。主な増加要因は、有形固定資産売却による収入24億1千3百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出7億2千1百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、6千4百万円の増加(前連結会計年度は2億7千1百万円の減少)となりました。主な増加要因は、長期借入金による収入4億3千万円であり、主な減少要因は、配当金の支払額2億8千万円であります。

この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ25億3千3百万円増加し、34億8千万円となりました。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動のために必要な運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、自己資金を充当することを基本方針とし、流動性の維持及び健全な財政状態を目指して安定的な営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
 当社グループは、今後も営業活動によるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(a)繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。

収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

(b)退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率等の様々な計算基礎があります。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、各資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローからなり、それぞれの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。その結果、当連結会計年度において減損損失は計上されておりません。当該見積り及び当該仮定について将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、社長をトップとして組織した開発戦略委員会と各工場の開発委員会、技術研究所が一体となって、新しいファッション・トレンドに即した感性を訴求する加工と時代のニーズに即した特殊機能を実現する加工の開発を目指しております。

セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1)染色加工事業

当連結会計年度の主な研究開発は、暖冬気候の継続により、従来、当社が主力としてきた獣毛混の冬物衣料の需要が減少している影響で、他産地の化合繊素材及び欧州や中国等への輸出品をターゲットに進めており、業界の最近のキーワードである「環境に優しい」「サスティナブル」なフォーマルブラック加工、非フッ素撥水加工及び「天然由来成分」をキーワードとした特殊加工に注力いたしました。

また、工場単位では扱う素材が異なり繁閑差が激しい為、年間を通して3工場を効率よく稼働出来る様、連携を深め、染料・薬品・加工方法等の統合・集約も進めております。

前連結会計年度に設置した「サステナビリティー推進室」において、3工場全体で省エネ及び生産性と品質の向上を目指し新しい設備導入に関する調査・研究、さらには関連他社との共同開発案件にも精力的に取組んでおります。また、地元地域や社会、ひいては環境循環に貢献できるよう努めてまいります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は、116百万円となりました。

(2)テキスタイル事業

研究開発活動は行っておりません。

(3)不動産事業

研究開発活動は行っておりません。