文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「自社こそが最強の開発集団である」を基本スタンスとする「もの作り」の集団であり、ICT(情報通信)技術を背景とした独創的な構想力に基づく「もの」を世に問い、社会の進展に貢献することを目指しております。また、斬新な企画・新しい技術にチャレンジする集団であるべく、「『個』を大切にする」「最新の技術に敏感である」「持てるエネルギーのすべてを商品にぶつける」の3つを基本理念としております。
当社グループが世に問う「もの」とは、ライフスタイルを大きく変える「サービス(=ソフトウエア、ハードウエア)」であり、思考に大きな影響を与える「情報(=コンテンツ)」であります。これらにより、より便利な未来、誰もがよりクリエイティブになり、個性を発揮する社会の実現を目指してまいります。
当社グループは、構成員の「『個』を大切にする」、すなわち個性を活かせるワークスタイルを尊重し、かつ、学習・コミュニケーションの場を提供します。そのような設定の下、構成員は「最新の技術・商品に敏感である」ことを旨とし、「持てるエネルギーのすべてを商品にぶつける」ことにより、各個人の自己実現にトライしながら、当社グループの発展を目指すものといたしております。
ICT技術の進歩やエネルギー問題等を背景として、人々のライフスタイルや価値観、社会が大きく変わろうとする中で、当社グループはそれらの「サービス」「情報」を社会に提供していくことで、その変化を率先して担ってまいります。そのことにより、当社グループの業績及び企業価値の向上を図るとともに、社会全体に広く貢献できる企業グループとなることを基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
長期的には資本の効率性の観点から、自己資本利益率を目標とする経営指標として考えております。また、中期的には、長期の目標の前提となる収益性の確保のため、売上高、営業利益及び経常利益の絶対額を経営指標として重視しております。
(3) 経営環境
ICT産業においては、現在、大きな変化の時期が訪れていると認識しております。特に、IoT(モノのインターネット)や生成AIを始めとするAI(人工知能)技術の高度化・実用化の進展等により、「いつでもどこでも」ネットにつながる環境が実現し、独創的なサービスが次々に登場してくるものと考えております。
また、大手インターネット企業等が主体となって提供するサービスの増加・拡大、サービスの無料化等による競争環境の激化や、ネット環境の普遍化に伴う今いる場所からの案内のニーズの高まり等により、これまで以上に乗換案内と地図サービスの融合が進むこと等が予想されます。加えて、「MaaS(Mobility as a Service)」(サービスとしてのモビリティ:各種の移動手段を組み合わせる等により、移動をサービスとして利用できる形で提供するもの)の流れが進展することも考えられます。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響を契機とした移動や外出についての質的・量的変化は、MaaSの展開を含め、当社グループを取り巻く状況に多大な影響を与えております。
これらの経営環境を踏まえ、当社グループは、既存事業の更なる強化に加え、事業領域の拡大・ビジネスモデルの多様化の必要に迫られていると考えております。
(4) 中長期的な経営戦略
ライフスタイルを大きく変える「サービス」と思考に大きな影響を与える「情報」の提供を基本に、ビジネスの拡大を目指してまいります。「ライフスタイルを大きく変えるサービス」の提供としては、「乗換案内」の機能強化等による事業推進とともに、その周辺領域である位置や移動に関する各種事業(コンテンツ提供のみならずハードウエアや、MaaSのような実際の移動手段の提供を含む)への展開を進め、時間短縮や効率化・省資源化といった価値を提供していく方針です。その上で、「移動に関するNo.1 ICTカンパニー」としての地位を確立してまいります。「思考に大きな影響を与える情報」の提供としては、各種コンテンツの提供を行い、時間短縮や効率化だけでなく時間の質的向上をも提供する会社への展開を図ってまいります。
また、それらの目的を果たすため、IoTや生成AIを始めとするAI技術の高度化・実用化の進展等の環境変化に対応したビジネスモデルを確立し、収益源の確保を図るとともに、今後の成長軸として新たな付加価値の提供を目指してまいります。
i. インターネット
a. モバイル
スマートフォン等のモバイル端末については、非常に広く普及していることに加え、容易に持ち運べるという端末特性から、情報・通信端末として中心的役割を果たしていくものと考えております。しかし同時に、新たなモバイル端末の登場等は、市場に大きな質的変化をもたらしております。
その中で、現在、スマートフォン向けアプリケーションとして「乗換案内」、モバイルサイトとして「乗換案内NEXT」の提供を行っておりますが、今後も引き続き機能強化と収益獲得を目指してまいります。また、新たなモバイル端末への迅速な対応を行ってまいります。
無料サービスについては、利用者数・利用回数の回復・増加を図るべく、機能の充実等の施策を講じつつ、収益獲得の見込める機能・サービスを積極的に導入することで、広告・付随サービス売上の増加を目指す方針です。
有料サービスについては、地図等を含めたナビゲーション機能の充実や、スポット情報等を含む「ポイントtoポイント」の検索等の強化を中心に、継続的な機能拡張、使いやすさの改善等を実施するとともに、人気キャラクターとのコラボレーション企画等も継続して行ってまいります。これらの施策により、新規会員の開拓を行うとともに、既存会員の維持を目指してまいります。
b. PC向けインターネット
PC向けインターネットについては、通信環境等については普及が進み利用者数は飽和に近付いているものと考えられますが、その上で提供されるサービスに関しては、情報の量的・質的拡大や市場規模の拡大が予想されます。
PC向けインターネットの「乗換案内」もモバイルと同様、利用者数・利用回数の増加を目的とした機能強化等を行い、広告・付随サービス等の売上増加につなげてまいります。
c. 広告
インターネット広告については、通信速度の高速化、検索・コンテンツ連動型広告や行動ターゲティング広告の増加等に加え、AI技術の高度化・実用化の進展等により、環境が大きく変化すると同時に市場が拡大していくものと考えられます。
その中で、当社グループとしましては、媒体である無料サービスの利用者数・利用回数増加による広告の表示回数の増加を図ってまいります。それに加え質的な対策として、「乗換案内」の特性やビッグデータ、広告ツール等を活用した広告表示の最適化、リッチメディア広告への対応等を進めてまいります。
ii. 個人(PC)向け
PCソフト「乗換案内」は、既存の利用者に対するバージョンアップの提供が売上の中心となっております。従って、これを継続的に行って収益の確保を図ってまいります。
iii. 法人向け
情報システムのクラウド化・分散化の需要は今後も増加していくものと考えております。また、企業における旅費・通勤費や事務コストの削減は、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした勤務形態の変化等も踏まえ、引き続き課題となるものと思われます。
その中で当社グループとしては、「乗換案内Biz」等のクラウド型サービスの強化を行い、クラウド化・分散化ニーズへの対応を図るとともに、他社の法人向けサービスとの連携を進め、販路の拡大を図ってまいります。また、「JorudanStyle」の拡販等を含めた公共部門への取り組み強化や、情報の充実等による公共交通機関・観光関連企業・インターネット関連企業等へのサービス提供拡大を進めてまいります。加えて、ハードウエアを含めたバスロケーションシステムや予約・乗車等のシステムの提供拡大や、「スマートシティ」関連サービスの提供等を図ってまいります。
iv. 旅行
旅行に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響等による需要減少が顕著に現れており、回復傾向は見えつつあるものの、特に海外旅行に関しては当面はこの状況が続くものと想定しております。
現在、当社グループとしては、PC向けインターネットやモバイル向けに「イーツアー」や「ジョルダントラベル」として展開し、各種旅行商品の予約・販売等のサービスを行っております。また、国内のLCCや高速バスの予約サービスも行っております。
今後は、当面は費用の削減と事業の継続に注力しつつ、将来の本格的な需要回復に備えた基盤整備等を進めていく方針です。
v. グルメ
飲食店情報等については、当社グループの提供する位置や移動に関するサービスとの親和性が高い情報の1つであると考えております。現在、スマートフォン・PC向けに「美味案内」のサービスを提供しております。また、電子メニュークラウドサービス「スマートオーダー」の提供も行っております。
今後は、掲載情報の充実化・利便性の向上や、移動後あるいは今いる場所からの目的検索・案内との相乗効果等により、利用者の増加・収益拡大に努めてまいります。
vi. 地域情報等
移動後あるいは今いる場所からの目的検索や案内等を含めた情報の充実が、必要性を増しているものと考えております。
その中で当社グループとしては、店舗・施設等の割引・特典情報等を提供する「ジョルダンクーポン」を展開しております。今後も、サービスの充実化や地図等を含めたナビゲーション機能との連携等により、コンテンツ利用料以外の収益拡大に努めてまいります。
vii. 訪日旅行者向け
訪日外国人旅行者向けのサービス(外国語の日本版等)については、既に「乗換案内」が13言語に対応しております。今後は、中長期的な視点で、訪日旅行者の増加や大規模な国際イベントの開催等に対応し、対応プラットフォームの増加を進めるとともに、店舗・施設等の情報提供や提供するサービス領域の拡大等を図り、収益拡大を目指してまいります。
viii. MaaS
これまでの事業で培ったノウハウや利用者数等の基盤を活用してMaaS事業を本格展開し、実際の移動手段の提供を更に進め、利便性の向上と新たな収益源の獲得を目指してまいります。当面は、実際の移動手段を保有する各交通機関等との提携拡大を進め、観光等を目的としたデジタルチケット「ジョルダンモバイルチケット」の提供を軸に事業拡大を図ってまいります。また、MaaS事業者のためのプラットフォーム整備や、交通機関向けのシステムの開発・提供等についても進めてまいります。
i. 出版
株式会社悟空出版において事業を展開しております。当社グループの主要な事業領域である位置や移動に関する内容やICT分野に関する内容を取り上げる等により相乗効果の発揮を図りつつ、引き続き書籍の刊行を行ってまいります。
ii. ニュース
モバイル・PC向けにニュースサービス「ジョルダンニュース」の提供を行っております。コンテンツの充実や、当社グループの他のサービスとの連携等による相乗効果の拡大に努めてまいります。
各種のソフトウエアの企画・設計・開発・保守業務の受託を行っております。特に、「乗換案内」に併せた法人内のシステム全体の受託や、公共交通・地域情報等に関連する案件の受託に取り組んでまいります。また、「乗換案内」のサービス提供で培った技術を活かし、モバイル・クラウド関連の案件の受託にも努めてまいります。
また、基本戦略としての「ライフスタイルを大きく変えるサービス」の提供の一環として、スマートフォン向けを中心に新しいサービスの提供を今後も引き続き進めていく方針です。
④ ハードウエア事業
ハードウエアの販売・保守業務の事業を展開しております。また、ドローンスクールの運営やフランチャイズ展開等のドローン関連の事業を行っております。
ソフトウエア事業における案件と連携する等により、拡販に努めてまいります。加えて、ドローン関連のソリューション提供等、市場の拡大に対応した事業領域の拡大を目指してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの事業は、主としてICT(情報通信)産業に属しており、中でも位置や移動に関わるアプリケーション・コンテンツといった分野を中核事業としております。これらの領域においては、新たな技術やそれを利用したサービスや事業の登場といった大きな環境の変化が常に起こっております。最近でも、生成AIを始めとするAI技術の高度化・実用化が急速に進展し、多方面に大きな影響を及ぼしております。また、位置や移動に関わる分野においても、人々の移動需要の回復・増加傾向が続く中で、MaaSやスマートシティの取り組みが各所で行われるとともに更なる進展が期待されており、当社グループにおいてもこれらの事業展開を更に加速することが必要な状況となっております。加えて、当社グループは、従来のソフトウエアの分野のみならず、ハードウエアの分野への事業領域の拡大を進めております。
このような状況下においては、変化に対応する事業戦略を有していること、そこで求められる新技術やノウハウを常に先行して蓄積し続けること、及びそれらを可能にする体制が構築されていること等が重要であると考えております。
上記を踏まえ、以下の施策等を実施してまいります。
① 収益源の多様化
当社グループの事業の拡大のため、収益源の多様化が必要になると考えております。特に、スマートフォンやタブレット端末の普及並びにIoTやAI技術の高度化・実用化の進展等による事業環境の変化に際しては、収益獲得手段の確保が至上命題となっております。その例といたしましては、既に一部実施しておりますが、店舗・施設への利用者の誘導による手数料収入、提供するコンテンツに関連する商品の販売、IoT関連のハードウエアの開発・販売等が挙げられます。また、MaaS事業における移動手段の提供や、交通機関向けのシステム提供による収益等もこれに含まれます。必要に応じて多角的な業務提携の推進や各種の投融資等を行い、収益源の多様化に努めてまいります。
② 他企業との連携
当社グループは、当社グループの成長のため、既存事業の強化や利用者数拡大、新分野への展開等を目指すに当たり、そのスピードアップを図るため、今後とも引き続き状況によっては他企業との提携やM&A等が必要になるものと考えております。そのため、今後の事業展開においても、他企業との連携の必要性を常に考慮に入れた上で進めてまいります。
③ 新分野への展開
当社グループは、継続的な成長のため、新市場への進出や新規事業の立ち上げ等を含めた新分野への展開・挑戦等を行っていくことが常に必要であると考えております。当社グループは、今後の更なる成長に向け、新たな収益の柱となり得る新分野への展開を目指し、社内における新しい組織の設置や関係会社の新規設立等を含む各種施策を実施してまいります。
④ 優秀な人材の発掘及び育成
当社グループは、新しい技術への対応が常に要求される事業を営んでおります。最先端の技術を習得し、高度な技術力に裏付けられた、消費者に使いやすいサービスの提供を目指しております。また今後は、各種ネットワーク端末やクラウド関連及びAI等の技術力並びに革新的で高品質なサービスの企画・開発力が競争力の源泉となります。その確保のためには、優秀なスタッフと、優秀なスタッフによって構成された開発体制が必要であると認識しております。今後の当社グループの成長のため、現在当社グループに在籍しているスタッフと同等もしくはそれ以上の人材の発掘・育成を行ってまいります。
⑤ 各種ソフトウエア・ハードウエア技術の蓄積
当社グループでは、今後の事業展開において、スマートフォンやIoT、AI等に関連する事業が、これまでにも増して重要になるものと認識しております。従って、現状において優先的に蓄積すべき技術は、これらに関連する各種ソフトウエア・ハードウエアに関する技術であると考えております。社会における情報通信環境が、日々進化を続ける中、当社グループにおいても、新技術の獲得・技術の更新を継続して行ってまいります。
⑥ 製品・サービスの信頼性・利便性向上
当社グループの提供する製品・サービスの利用者数増加、更には今後の事業展開に向けて、当社グループの提供する製品・サービスの信頼性や利便性がこれまでにも増して重要になってくるものと考えております。そのため、開発技術や製品・サービスに関する知識についての複数のメンバーでの情報共有や作業の標準化、突発的な事故や災害等への対策の強化を図り、メンテナンス・バージョンアップ体制の強化に努めることで、製品・サービスの信頼性向上に努めてまいります。また、機能強化や提供する情報の充実化等を継続的に行っていくことで、競合サービスとの差別化を図り、利便性向上に努めてまいります。
⑦ 情報セキュリティの強化
当社グループの提供する製品・サービスの利用者数が増加し、システムやデータの規模が拡大するに伴い、外部からの不正な手段による侵入等によって、個人情報等を含む重要なデータが消去される、あるいは、外部に流出する恐れも増加することになります。これらの情報の保護等の体制強化のため、当社は情報セキュリティマネジメントシステムの国際標準規格であるISO27001(ISO/IEC27001:2013)及びその国内規格であるJIS Q 27001(JIS Q 27001:2014)の認証を取得いたしておりますが、今後とも、役職員の情報取扱に関する教育・訓練等を含め、情報セキュリティ管理体制の継続的な強化に努めてまいります。
⑧ コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社グループは、企業価値の最大化を図るに当たり必要となる経営の効率化や各種のステークホルダーに対する会社の透明性・公正性の確保のため、コーポレート・ガバナンスが重要であると考えております。当社は、執行役員制度を導入するとともに複数の社外取締役を招聘し、取締役会の意思決定機能及び監督機能の強化や、執行責任の明確化及び業務執行の迅速化等を図っておりますが、事業及び組織の拡大や東京証券取引所の「スタンダード市場」への移行、コーポレートガバナンス・コードへの対応等に伴い、具体的な組織・制度の変更等の対応を含め、体制の見直し・強化を常に行っていく必要があるものと考えております。
⑨ 内部体制の充実
当社グループは、現在のところ小規模ながら、徐々に規模を拡大しつつあります。内部組織も現在の規模に応じた体制を整えておりますが、規模の拡大に伴い、各種の対策を講じていく必要があると認識しております。一方で、組織の柔軟性、機動性の確保も重要であると考えております。そのため、今後の事業拡大に伴い、内部体制の一層の充実に努め、組織的業務効率や業務の正確性の向上及びコンプライアンス体制の強化を図るとともに、環境の変化に素早く対応できる体制の維持を今後とも行ってまいります。
⑩ 海外向け事業拡大
スマートフォン・タブレット端末の普及等の市場環境の変化に伴い、アプリケーション・コンテンツといった分野においてもグローバル化が進んでおり、当社グループとしてもこれらの変化に対応していく必要性が強まっております。そのため、今後とも引き続き状況を踏まえつつ、外国語対応の強化や外国人向けサービスの充実、海外企業との取引拡大、現地法人の設立・資本参加及び現地事業の強化等を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 基本的な考え方
サステナビリティについての取り組みに関する基本方針として、以下を定めております。
当社グループは、中長期的な企業価値の向上を図るとともに、社会全体に広く貢献できる企業グループとなることを目指し、以下の基本方針に従ってサステナビリティについての取り組みを進めていくこととする。
① 社会の進展への貢献
独創的な構想力に基づく「もの」を世に問い、より便利な未来、誰もがよりクリエイティブになり、個性を発揮する社会の実現に貢献することを目指す。
② 労働環境の整備と人材開発
当社グループの構成員が各個人の自己実現にトライできるよう、個性を活かせるワークスタイルを尊重し、かつ、学習・コミュニケーションの場を提供する。
③ 環境負荷低減への貢献
移動に関するサービスや情報の提供等を事業として行うことで、人々の移動の効率化に寄与し、最終的に社会全体の環境負荷の低減に貢献することを目指す。
他の重要事項と同様、社長及び執行役員が日常的な管理・統制を担いつつ、取締役会がその監視及び意思決定を行っております。
ガバナンスの詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」をご参照ください。
他の重要なリスクと同様、部門又はプロジェクト毎の会議並びに執行役員会等を通じて、社長や担当執行役員へ状況報告を行うこととしております。さらに、重要なものについては取締役会に報告することとしております。これにより、リスク等の情報の集約を図り、迅速な対処につなげております。
リスク管理の詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項」をご参照ください。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
中核人材の多様性の確保が、多様な視点・価値観を取り入れることにつながり、ひいては今後の当社グループの成長に必要な要素となると考え、以下の方針に従って積極的に進めていくこととする。
① 人材育成方針
採用活動において、女性・外国人・地方拠点等を重視して行う。
その後の人材育成及び管理職への登用においては、性別や国籍等に関係なく、個々の能力や実績等を重視して育成・登用を行う。
② 社内環境整備方針
子育て中の従業員が働きやすい環境・制度を整える、外国人従業員等が入居できる住宅を確保する、地方拠点の強化を図る、等により、多様な人材が継続して勤務できる環境を整備する。
(5) 指標及び目標
当社グループでは、上記「(4) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
以下において、本書に記載した「第2 事業の状況」、「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において入手している情報に基づき、その時点において判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業リスクを全て網羅するものではないことをご留意ください。
(1) セグメント別の状況について
① 乗換案内事業
連結売上高に占める当該セグメントの売上高の割合が非常に大きく、当連結会計年度においては、80.7%になっております。従って、当社グループの業績についても当該セグメントへの依存度が高く、当該セグメントの業績動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② マルチメディア事業
当該セグメントにおいては、平成13年9月期以来損失の発生が続いております。その対策として、他のセグメントとの事業上の連携強化等を進め黒字化を図る方針であり、当連結会計年度においても各種施策を実施し、改善を進めてまいりました。しかしながら、現在のところは損失の発生が継続しており、今後についても想定通りに業績が推移するとは限りません。
また、出版物やニュースコンテンツ等に関して、外部から著作物やコンテンツの提供等を受けて製品・サービスを提供しておりますが、取引条件を含め、権利者との関係に変化があった場合、当該セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ ソフトウエア事業
当該セグメントにおいては、顧客の要求事項に基づくソフトウエアの開発、製造並びに保守サービス等を行っております。それらの品質管理を徹底し、顧客に対して品質保証を行うとともに顧客満足度の向上に努めております。しかしながら、当該セグメントの提供するサービス等において品質上のトラブルが発生した場合には、トラブル対応の追加コストの発生や損害賠償により、当該セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ ハードウエア事業
当該セグメントにおいては、事業に必要なハードウエアはメーカー及び代理店から調達しますが、最低発注量が大きい製品もあり、在庫の陳腐化リスクを負うことになります。販売状況を見極めながら必要数量の予測を的確に行うよう努めていますが、在庫が陳腐化した場合、または発注時期の遅延により適時に顧客に供給できず事業機会を逸失した場合には、当該セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当該セグメントにおいては、ドローン関連の事業を行っております。ドローン関連の市場拡大が想定通りに進まない場合や大きな市場環境の変化が生じた場合等には、当該セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ その他
当該セグメントにおいては、特定の企業グループに対する売上高の割合が大きいため、何らかの理由によりそれが減少した場合、当該セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 業界動向について
① パソコン等のコンピュータのソフトウエア・サービス需要
「乗換案内」のパソコン向け及び法人向け製品等の提供においては、ソフトウエアの需要動向の影響を受けます。また、法人向けにインターネット経由での利用を想定したサービス提供等も行っており、こちらはインターネット経由によるサービスの需要動向の影響を受けることになります。従って、パソコン等のコンピュータの出荷台数の減少や、ソフトウエアのインターネットサービスの動向等により、ソフトウエア・サービスの需要に大きな変化が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
② モバイル・パソコン等からのインターネット利用
モバイル・パソコン等からのインターネットの日本における利用者数は、これまで増加基調で推移しています。また、通信速度の向上や通信量の増大も進んでおり、同時に利用者にとっての利便性も向上してきております。これらの利用者数の増加や利用状況の向上が、当社グループがインターネット関連事業を拡大するに当たっての前提となります。従って、インターネットの利用者数の増加率が当社グループの想定を下回った場合には、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
また、特にモバイル等からのインターネット利用について、通信キャリアや端末・OSメーカー各社の方針変更、通信速度の向上、スマートフォン・タブレット端末の普及等に伴う利用の多様化、新しいタイプの端末の登場、IoTの高度化・実用化の進展等により、インターネット利用やそれを通じた情報提供の環境に大きな変化が生じることが考えられます。当社グループとしましては、これら環境の変化に素早く対応できる体制を整えてまいりますが、状況によっては、当社グループの事業展開や経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 競合状況について
① 経路検索ソフトウエア・サービス
経路検索のソフトウエア・サービスの市場においては、現在は数社が競合先として挙げられます。パソコン向け及び法人向けの製品・サービスにおいては株式会社ヴァル研究所の「駅すぱあと」、モバイル向けサービスにおいては株式会社駅探の「駅探」や株式会社ナビタイムジャパンの「NAVITIME」が、有力な競合先であると考えております。これら競合先の動向や新規参入企業の出現等によっては、競争が激化することも考えられます。
また、近年は経路検索と地図サービスが連携する等、経路検索と地図の領域の融合が進んでおります。当社グループとしても、地図等を含めたナビゲーションサービスの提供を進めていく方針であり、今後更に競合領域が拡大していくものと考えられます。
加えて、大手インターネット企業等が提供する経路検索サービスが機能強化を行う動きも進んでおります。そのため、当社グループのような経路検索サービスの提供会社においても、一般利用者向けサービスという観点では大手インターネット企業等との競合関係が更に強まることも予想されます。
当社グループとしましては、継続的な機能強化や使いやすさの改善等を実施していくことで差別化を図っていく方針ですが、必ずしも想定どおりに進むとは限らず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② インターネット向けのコンテンツ提供
モバイルやパソコン向けインターネットのコンテンツ提供については、大きな参入障壁がないこと等により新規参入企業の増加や既存企業の事業拡大等が続いており、大手インターネット企業等が主体となって提供するコンテンツも増加しております。加えて、スマートフォン・タブレット端末の急速な普及や新たなモバイル端末の登場、モバイル向けコンテンツの無料化の進行といった大きな環境の変化も起きております。当社グループとしましては、環境の変化に素早く対応することでいち早く有利な地位を築くことを目指してまいりますが、必ずしも想定どおりに推移するとは限りません。その場合、当社グループが事業を推進するに当たり、厳しい競争環境にさらされることとなり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ インターネットでの旅行販売
インターネットでの旅行の販売については、専業の旅行予約サイトの他、ポータルサイト、通販サイト、旅行会社、鉄道会社、航空会社等、異業種を含む多くの企業が参入し、競争が激化しております。当社グループとしては、モバイルやパソコン向けインターネットの「乗換案内」サービスを基盤とし、それらとの連携により差別化を図りつつ旅行販売を展開していく方針ですが、当社グループの事業展開に応じて競合領域が拡大し、更に競争が激化することも予想され、その状況によっては、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 飲食店情報の提供
飲食店情報の提供サービスについては、強力な競合先が複数存在しております。当社グループとしては、機能面及び利用者の誘導の面で、「乗換案内」等との連携を軸に事業を展開していく方針ですが、厳しい競争環境にさらされることも予想され、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤ MaaS事業
MaaS事業については、今後の市場の立ち上がりに伴い、競争の激化が予想されます。当社グループとしては、競合先に先行して各交通機関等との提携を進め、取り扱うデジタルチケットの増加等を図っていく方針ですが、更に競争が激化することも予想され、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥ ドローン事業
ドローン事業については、今後の市場拡大に伴い、競争の激化が予想されます。当社グループとしては、先行して事業展開を進め、市場の確保等を図っていく方針ですが、厳しい競争環境にさらされることも予想され、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 業績の季節変動性について
「乗換案内」の法人向けの製品については、法人の決算期の影響を受け、季節によって売上高が変動する傾向にあります。また、旅行関連事業においては、需要が季節により大きく変動する傾向にあります。そのため、四半期の財政状態及び経営成績の変動に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 特定の製品・サービスへの依存について
「(1) セグメント別の状況について」にも記載のとおり、当社グループ全体の売上高及び利益に占める乗換案内事業の割合は大きく、当社グループ全体の業績は「乗換案内」製品・サービスの動向に大きく依存しております。
特に、モバイルやパソコン向けインターネットの「乗換案内」サービスについて、無料サービスのアクセス数を基盤として、有料サービスへの誘導や付随サービスの提供、広告スペースの販売等を行っており、旅行の販売や飲食店等の店舗・施設情報の提供、更にはMaaS事業の展開等も含め、今後もその延長線上に事業拡大を図る方針です。従って、モバイルやパソコン向けインターネットの「乗換案内」サービスへの依存度も今後とも高水準で推移していくものと予想されます。これらサービスに関しては、機能の充実や使いやすさの改善等の施策を継続的に講じることで、アクセス数や利用者数の維持・拡大を図ってまいりますが、その動向によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定の取引先への依存及び経営上の重要な契約について
① 時刻表データ等の利用
当社グループは乗換案内事業における時刻表データに関して、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、主に株式会社交通新聞社と時刻表データの利用に関する契約を締結しており、それら契約に基づいて時刻表データをダイヤ改正前にデジタルデータで収受しております。そのため、当社グループは「乗換案内」のアップデートを迅速に行う体制を整えることが可能となっております。従って、当該契約が何らかの理由により終了した場合又は契約内容の変更があった場合、あるいは上記契約相手先の方針変更等により時刻表データ等の状況に変更があった場合には、「乗換案内」のアップデートの遅れや情報の誤り等が発生し、その価値が低下する、あるいは、当社グループの費用負担が増加する可能性があります。現状においては、上記契約相手先との良好な関係を築くこと等によりそれらの可能性の低減を図っておりますが、何らかの原因によりそれが困難になった場合等には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
② モバイル向けの情報提供
当社グループは、モバイル向けの情報提供に関して、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり各社とそれぞれ情報提供及び情報料の回収に関する契約を締結しており、それら契約に基づいてモバイル向けに情報を提供しております。従って、当該契約が何らかの理由により終了した場合又は契約内容の変更があった場合、その他モバイル向けの情報提供の状況に変更があった場合等には、当社グループの提供するモバイル向けサービスやコンテンツのアクセス数や利用者数が減少、あるいは収益性が低下する可能性があります。その結果、当社グループの経営戦略及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
また、スマートフォン・タブレット端末向けのサービスに関しては、Apple Inc.及びGoogle Inc.の2社のOS及び配信プラットフォームにおいてアプリケーションの提供を行っております。当社グループの当該アプリケーションのアクセス数・利用者数は非常に多く、それらを基盤とする収益の割合についても増加しており、今後もその傾向が続いていくものと見込んでおります。従って、上記各社のスマートフォン・タブレット端末向けOS及び配信プラットフォームに関する方針変更等によりアプリケーション提供の状況に変更があった場合には、当社グループの提供する当該アプリケーションのアクセス数や利用者数の減少、あるいは収益性の低下もしくは費用負担の増加等の可能性があります。その結果、当社グループの経営戦略及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 法人向けの製品・サービス提供
当社グループは、法人向けの製品・サービス提供を行っており、その売上高は近年増加傾向にあります。その中では、少数の情報システム開発会社経由の売上高や地方自治体向けの売上高、並びに公共交通事業者や大手インターネット企業等特定の企業グループに対する売上高の割合が大きくなっております。今後は販売先を更に広げていくことで特定の相手先への依存度は低下することを想定しておりますが、現状においては、それら特定の相手先における方針変更等何らかの理由により当該相手先への売上高が減少した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(7) 感染症の発生・拡大等について
新型コロナウイルス感染症を含めた感染症の発生・拡大等の場合には、人々の外出・移動需要が減少し、また世界各国で渡航制限等が行われることが考えられます。当社グループは位置や移動に関する事業を主要な事業としているため、これにより事業展開や財政状態及び経営成績の面で多大な影響を受けます。具体的には、旅行関連(特に海外旅行)の事業における需要の減少、「乗換案内」の各種インターネットサービスの利用の減少、移動に関するサービスへの広告需要の減少、並びに移動に関する事業を営む投融資先の業績悪化等であります。
これらの状況への対策として、事業運営費用の削減を行うとともに、外出・移動需要の回復・増加に対応した事業展開並びにウィズコロナ社会に対応した新たなサービスの提供等を行ってまいります。しかしながら、それらの対策が順調に推移しない場合、あるいは感染症の拡大が規模・期間の面で想定を上回った場合等には、当社グループの事業展開や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 社内体制について
① 内部組織
当社グループは、令和5年9月30日現在、当社含めグループ会社18社、連結従業員数207名と小規模ながら、徐々に規模を拡大しつつあります。内部組織についても、現状では現在の規模に応じた体制を整えておりますが、規模の拡大に伴い組織体制の強化を図るべく、内部管理体制の充実等、各種の対策を講じることにより、体制の強化・見直しを行っております。しかしながら、当社グループが適切かつ十分な対応を行ったにもかかわらず、組織体制の強化が順調に進まない場合、組織的業務効率が低下する可能性や、関係者のミスや不正行為等により問題が発生する可能性があります。それらの結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術者への依存
当社グループは、少数精鋭で効率的な製品開発を実施しております。徐々に体制を強化し、複数のメンバーで開発技術が共有できるよう試みておりますが、現段階ではまだ十分とは言えません。そのため、主要な技術者の病気、死亡、退職等が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、新しい技術への対応が常に要求される事業を営んでおります。その中で、競争力を確保するためには、優秀な技術者とそれによって構成された開発体制が必要であると認識しております。今後の当社グループの成長のため、現在当社グループに在籍している技術者と同等もしくはそれ以上の人材の発掘及び育成を図ってまいりますが、的確な人材を適切な時期にかつ十分に確保できなかった場合、当社グループの将来における事業展開が制約を受ける可能性があります。
③ 特定人物への依存及びその影響力
当社の設立以来の代表取締役社長であり発行済株式総数の50.00%を所有(令和5年9月30日現在)する佐藤俊和は、当社グループの経営方針や戦略の決定及び業務執行に加え、株主総会での承認を必要とする各種事項を含む当社グループの最終決定に対し、多大な影響力を持っております。当社グループは、コーポレート・ガバナンス体制の強化や内部体制の充実等による各事業担当者への権限委譲等を進めてまいりますが、現状では佐藤への依存度は大きく、何らかの理由で佐藤が職務を遂行できなくなった場合、当社グループの経営方針及び業績に影響を与える可能性があります。
(9) システム障害について
外部からの不正な手段による当社グループのシステム内への侵入等の犯罪や、役職員の過誤等によって、当社グループのシステム内の重要なデータが消去される、あるいは、外部に流出する恐れがあります。また、アクセス増加等の一時的な過負荷、通信障害、システムの欠陥、あるいはコンピュータウイルスへの感染等によって、当社グループのシステムに障害が発生し、サービスの停止等につながる可能性があります。これらのリスクを低減するため、当社グループとしましては、ISMSの認証取得や、データセンターの多重化を含めたサーバー等のネットワーク関連設備の増強等、各種の対策を進めておりますが、万一そのような事態が発生した場合、直接的な損害が生じる他、当社グループのシステム自体への信頼性の低下を招きかねず、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 製品・サービスの品質について
① 誤作動・バグ(瑕疵)
当社グループが提供する製品・サービスについては、開発・運用体制の強化を図ること等によりその信頼性の向上に努めてまいりますが、対策を講じたにもかかわらず誤作動・バグ(瑕疵)等が生じた場合、損害賠償責任が発生する可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、そのような場合には、当社グループはユーザーからの信頼を喪失することも予想され、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 陳腐化
ICT(情報通信)産業においては、技術革新、業界標準及び顧客ニーズの変化、新技術及び新サービスの登場等が激しく、その中で事業を展開している当社グループにおいても、的確かつ効率的な研究開発を経常的に行い、技術革新に対応するよう努めております。しかしながら、当社グループにおける技術革新への対応等が順調に進まない場合、当社グループの提供する製品・サービスが陳腐化することで競争力が低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 知的財産権について
当社グループは、現時点において第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されることや、そのような通知は受けておりません。また、他社の保有する知的財産権等の状況について情報収集に努め、必要に応じて弁護士・弁理士に相談する体制を整えております。しかしながら、将来、当社グループの事業活動に関連して第三者が知的財産権の侵害を主張する可能性があります。また、当社グループの属する市場が大きくなり、事業活動が複雑・多様化するにつれ、知的財産権をめぐる紛争が発生する可能性は大きくなるものと考えられます。それらの結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(12) 法的規制について
現状において、当社グループの事業展開上の障害となるような法的規制はありませんが、当社グループの事業を取り巻く規制の状況によっては事業活動の領域が狭まることが考えられます。特に、インターネットの利用等に関しては、現行法令の適用範囲の拡大や新法令の制定、あるいは事業者間における自主規制等が行われることも予想されます。それらの影響により、当社グループの事業が制約される可能性があります。
また、当社グループは旅行関連の事業を営んでおり、旅行業法に基づき、当社及びイーツアー株式会社が第一種旅行業登録を、J MaaS株式会社が第二種旅行業登録を、それぞれ行っております。加えて、当社グループではドローン関連の事業を新たに事業の範囲に加えており、当該事業においては航空法の適用を受けております。今後、これらの法令や関係する法令の改定等によって、新たな規制が導入されて事業が制約される可能性、あるいは規制が緩和されて競合が激化する可能性があります。
それらの結果、当社グループの経営戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。
(13) 個人情報の取扱について
当社グループでは、「乗換案内」製品・サービスの顧客の登録情報や購入履歴、旅行事業の顧客情報等の各種個人情報を保有しております。これらの個人情報については、外部からの不正アクセスに対する技術的な対応、情報へのアクセス制限、個人情報取扱に関する社員教育等を進め、ISMSの認証取得も行い、流出の防止に努めております。しかしながら、個人情報が万一流出した場合、損害賠償請求や関係当局等による制裁、刑事罰等を受ける、あるいは社会的信用を失う等の可能性があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(14) 大規模災害の発生について
当社グループの設備については、大地震等の大規模災害が発生した場合、設備に被害を受け、直接的な損害が生じる可能性があります。また、データセンターの多重化等による対策を行っておりますが、コンピュータシステム等の設備が被害を受け、バージョンアップした製品や、モバイル・パソコン向けインターネットのサービスが提供できない場合、機会損失が発生する、あるいは顧客離れを引き起こす可能性があります。さらに、大規模災害によって複数の公共交通機関の路線等が長期間に渡って不通となった場合や、ダイヤが変則的になりデータの事前入手が困難になるあるいは頻繁なデータの修正が必要になるといった場合等も想定されます。これらについては、データ収集・修正等の体制整備やシステム構築等を図ることで対応してまいりますが、それでもなお、「乗換案内」の各種製品・サービスの必要性が低下する、実態との間に差が生じ実質的に製品・サービスの質が低下する、あるいは対応のためにコストが発生する等の可能性は残ります。それらの結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15) 国際情勢について
当社グループは、海外旅行を含む旅行の販売等の事業を展開しております。海外旅行需要については、国際政治情勢や戦争・地域紛争、感染症等の発生・流行等の影響を受けます。特に、紛争地域や感染症等の発生・流行地域に対する渡航自粛勧告が発せられる場合や、不要不急の旅行を回避する動きが顕著になる場合には、当該地域への旅行の需要が減少する、あるいは旅行商品の手配が困難になる等が考えられます。現時点においてそれらのリスクは既に顕在化しており、当社グループの事業展開や経営成績に大きな影響が生じております。
(16) 会計基準の変更について
当社グループは、会計基準等の内容を適切に把握できる体制を整備するため、公益財団法人財務会計基準機構への加入等も含め、各種会計基準の変更に対して適宜対応しております。しかしながら、将来において会計基準の大きな変更があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(17) 投融資について
当社及び当社の連結子会社は、令和5年9月30日現在、主に事業上の提携を目的として合計11社に投資を行っております。また、投資事業有限責任組合への出資も行っております。加えて、非連結子会社・関連会社も計5社あり、それらの株式も保有しております。その他、関係会社等への融資も行っております。当該保有投資有価証券・関係会社株式や貸付金については、必要に応じて評価損を計上する、持分法の適用対象とする、引当金を計上する等の措置を取っておりますが、投融資先の今後の業績によっては、当社グループの将来の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは今後も引き続き、事業展開のスピードアップや既存事業の強化・利用者数拡大、収益源の多様化、新たな事業への展開等を目的として、第三者企業への資本参加、子会社設立、合弁事業への参加、企業買収、設備投資等を含む各種の投融資を行っていく方針です。その際、投融資先の状況及びそれに伴うリスク等を慎重に検討した上で投融資を実行していく方針ですが、これらの投融資の結果を確実に予測することは困難であり、投融資に見合う収益が得られない、あるいは損失が発生する等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(18) 訴訟について
当社グループは現時点において、当社グループの事業に関連した訴訟を提起されることや、そのような通知は受けておりませんが、事業の性格上、あるいは今後の事業展開により、訴訟を受ける可能性があります。特に、インターネットを通じた事業を行っているため、不特定多数のユーザー等から訴訟を提起される可能性があります。これらの可能性に対してはコンプライアンス体制の強化等を図ることで低減を図ってまいりますが、可能性をゼロにすることは困難であり、訴訟の内容、金額及び相手先の数等によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(19) 海外展開について
当社グループは、海外の関係会社の保有等、徐々に海外事業を展開しつつあり、スマートフォン・タブレット端末の普及等の市場環境の変化に伴って海外企業との取引についても増加傾向にあります。また、今後、サービスの提供範囲拡大や海外企業への出資等により海外展開を更に進めていくことも考えられます。実施の際は事前に十分な情報収集を行った上で進めてまいりますが、展開を行う国や地域によっては、各種コストの増加や、政治・社会情勢の変化や法令・規制等の制定・改正、為替相場の大きな変動、通商問題の動向等の影響が想定され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(20) 今後の事業展開について
当社グループは今後、ライフスタイルを大きく変える「サービス」と思考に大きな影響を与える「情報」の提供を基本に、ビジネスの拡大を目指していく方針です。事前に進め方の検討等を慎重に行った上で実行してまいりますが、既に記載したとおり、競合状況の激化やモバイル向けの情報提供に関する状況の変化、モバイル・パソコン向けインターネットの「乗換案内」サービスの競争力低下、法的規制に伴う制約、個人情報流出等の事態により、当社グループの想定通りに推移するとは限りません。あるいは、初期投資及び追加発生する費用が多額になることも考えられます。また、ハードウエアやMaaS等、事業領域の拡大に伴い多大なコスト負担が生じることも考えられます。その結果、当社グループの事業展開や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおいては、将来の成長のため、新分野への展開についても併せて進めてまいります。その実行に当たっては、十分な検討を行う方針ですが、市場環境や顧客ニーズの変化等不測の事態により当初計画を達成できず、投資及び費用負担に見合う収益が得られない可能性があります。また、計画通りに推移する場合でも、当初期間においては投資及び費用負担が多額になることも考えられます。それらの結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(経営成績等の状況の概要)
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(令和4年10月1日~令和5年9月30日)におきましては、ウィズコロナの下で、わが国の景気は緩やかに回復してまいりました。但し、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。
情報通信業界におきましては、企業のソフトウエア投資は緩やかに増加しており、情報サービス業及びインターネット附随サービス業の売上高についても前連結会計年度(令和3年10月1日~令和4年9月30日)と比べ増加となりました。また、1世帯当たりのインターネットを利用した支出についても増加となりました。このような中、生成AIを始めとするAI(人工知能)技術の高度化・実用化の進展等、情報通信に関する市場環境の変化は更に加速してまいりました。また、交通サービスの領域におきましても、「MaaS(Mobility as a Service)」(モビリティのサービス化:各種の移動手段を組み合わせる等により、移動をサービスとして利用できる形で提供するもの)の流れが進展してまいりました。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響を契機とした移動や外出についての質的・量的変化は、「MaaS」の展開にも大きな影響を与えております。
当社グループにおきましても、この市場環境の変化に対応した事業展開のための基盤整備に取り組んでおり、「乗換案内」の各種インターネットサービスは多くの方々に広くご利用いただくに至っております。これまで新型コロナウイルス感染症の影響等を受けておりましたが、現状では訪日旅行者の増加等を含め人々の移動需要の持ち直しは続いており、今後の更なる増加にも期待を持てる状況となっております。
このような環境の中で、当連結会計年度における当社グループの売上高は3,004,958千円(前連結会計年度比13.3%増)、営業利益は131千円(前連結会計年度は35,478千円の損失)、経常利益は67,426千円(前連結会計年度比65.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は195,857千円(前連結会計年度は65,435千円の利益)という経営成績となりました。
売上高につきましては、ソフトウエア事業セグメントの売上高がやや減少したものの、乗換案内事業セグメント及びハードウエア事業セグメントの売上高が大きく増加したこと等により、全体として前連結会計年度と比べ大きく増加いたしました。また、売上高が増加した影響等により、営業利益につきましても前連結会計年度には損失が発生していたものが当連結会計年度には黒字化に至りました。経常利益につきましては、為替差益の減少の影響が大きく前連結会計年度と比べ減少したものの、黒字を確保いたしました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、固定資産売却益の発生があったものの、減損損失の増加の影響が大きく、当連結会計年度においては損失が発生いたしました。
当連結会計年度末における財政状態は、資産は5,704,699千円(前連結会計年度末と比べ117,342千円減)となりました。その内訳は、流動資産が4,134,357千円(前連結会計年度末と比べ322,029千円減)、固定資産が1,570,342千円(前連結会計年度末と比べ204,686千円増)であります。負債は1,044,381千円(前連結会計年度末と比べ191,760千円増)となりました。その内訳は、流動負債が992,865千円(前連結会計年度末と比べ162,691千円増)、固定負債が51,516千円(前連結会計年度末と比べ29,069千円増)であります。純資産は4,660,318千円(前連結会計年度末と比べ309,102千円減)となりました。その内訳は、株主資本が4,569,439千円(前連結会計年度末と比べ284,367千円減)、その他の包括利益累計額が62,325千円(前連結会計年度末と比べ16,647千円減)、非支配株主持分が28,552千円(前連結会計年度末と比べ8,088千円減)であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ330,684千円減少し、3,271,817千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローはそれぞれ、営業活動によるキャッシュ・フローは158,489千円の収入(前連結会計年度比38.1%減)、投資活動によるキャッシュ・フローは430,405千円の支出(前連結会計年度比24.9%増)、財務活動によるキャッシュ・フローは110,433千円の支出(前連結会計年度比56.3%増)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 受託開発以外の製品については見込生産を行っております。
3 当連結会計年度において、受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは、乗換案内事業において法人向け案件の受注が順調に推移したこと等によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 各損益項目の状況
i. 売上高
売上高は3,004,958千円(前連結会計年度と比べ353,196千円、13.3%増)となりました。
これは、セグメント別の売上高(セグメント間の内部売上高控除後)について、乗換案内事業セグメントが2,429,245千円(前連結会計年度と比べ195,621千円増)、ハードウエア事業セグメントが264,185千円(前連結会計年度と比べ198,732千円増)と増加した影響が、ソフトウエア事業セグメントが398,007千円(前連結会計年度と比べ32,940千円減)と減少した影響を上回ったこと等によるものです。乗換案内事業セグメントにおける売上高増加の主要因は、法人向けの事業の売上高が大きく増加し、広告等の売上高も増加したことです。ハードウエア事業セグメントにおける売上高増加の主要因は、株式会社エアーズを新たに連結の範囲に含めたことです。ソフトウエア事業セグメントにおける売上高減少の主要因は、前連結会計年度において新規案件の受注・納品が順調に推移したことの反動です。
ii. 売上原価
売上原価は1,683,006千円(前連結会計年度と比べ290,172千円、20.8%増)となりました。
前連結会計年度と比べた増加の主要因は、クラウドサーバー等の通信費の増加やハードウエアの仕入高等の増加に加え、エアーズを新たに連結の範囲に含めたことです。なお、売上原価の売上高に占める割合については56.0%となり、前連結会計年度と比べ3.5ポイント増加いたしました。
以上の結果、売上総利益は1,321,951千円(前連結会計年度と比べ63,024千円、5.0%増)となりました。
iii. 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は1,321,820千円(前連結会計年度と比べ27,415千円、2.1%増)となりました。
前連結会計年度と比べた増加の主要因は、研究開発費や人件費の減少の一方で、エアーズを新たに連結の範囲に含めたことです。なお、販売費及び一般管理費の売上高に占める割合については44.0%となり、前連結会計年度と比べ4.8ポイント減少いたしました。
以上の結果、営業利益は131千円(前連結会計年度と比べ35,609千円増)となりました。
iv. 営業外損益
営業外収益については、為替差益や助成金収入等の計上により78,507千円(前連結会計年度と比べ162,411千円減)となりました。前連結会計年度と比べた減少の主要因は、為替差益や助成金収入が減少したことです。
営業外費用については、支払利息や賃貸収入原価等の計上により11,211千円(前連結会計年度と比べ1,945千円増)となりました。
以上の結果、経常利益は67,426千円(前連結会計年度と比べ128,748千円、65.6%減)となりました。
v. 特別損益
特別利益については、固定資産売却益等の計上により70,687千円(前連結会計年度と比べ70,687千円増)となりました。前連結会計年度と比べた増加の主要因は、建物及び構築物並びに土地に係る固定資産売却益69,095千円が新たに計上されたことです。
特別損失については、減損損失等の計上により276,565千円(前連結会計年度と比べ221,527千円増)となりました。前連結会計年度と比べた増加の主要因は、エアーズの株式取得に係るのれん及びエアーズが保有する固定資産について減損損失268,457千円が計上されたことです。
以上の結果、税金等調整前当期純損失は138,450千円(前連結会計年度と比べ利益が279,588千円減)となりました。
vi. 法人税等合計
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた法人税等合計は59,394千円(前連結会計年度と比べ30,066千円減)となりました。前連結会計年度と比べた減少の主要因は、税金等調整前当期純利益が減少し、損失の計上に至ったことです。
以上の結果、当期純損失は197,845千円(前連結会計年度と比べ利益が249,521千円減)となりました。
vii. 非支配株主に帰属する当期純損益
非支配株主に帰属する当期純損益については、非支配株主に帰属する当期純損失が1,988千円(前連結会計年度と比べ11,771千円減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は195,857千円(前連結会計年度と比べ利益が261,292千円減)となりました。
② セグメント別の状況
乗換案内事業
乗換案内事業では、モバイル向け有料サービス等の売上高が前連結会計年度と比べ減少したものの、法人向けの事業の売上高が大きく増加し、広告等の売上高も増加したこと等により、セグメント全体の売上高も大きく増加いたしました。また、これに伴い、セグメント全体の利益も大きく増加いたしました。
それらの結果、売上高2,429,245千円(前連結会計年度比8.8%増)、セグメント利益305,265千円(前連結会計年度比43.2%増)となりました。
マルチメディア事業
マルチメディア事業では、売上高は前連結会計年度と比べやや減少いたしました。一方で、費用削減に努めており、損益面では前連結会計年度並みとなりました。
それらの結果、売上高9,919千円(前連結会計年度比34.8%減)、セグメント損失12,845千円(前連結会計年度は13,613千円の損失)となりました。
ソフトウエア事業
ソフトウエア事業では、前連結会計年度において新規案件の受注・納品が順調に推移したことの反動等もあり、セグメント全体の売上高は減少いたしました。また、これに伴い、セグメント全体の利益も減少いたしました。
それらの結果、売上高398,007千円(前連結会計年度比7.6%減)、セグメント利益41,421千円(前連結会計年度比45.7%減)となりました。
ハードウエア事業
ハードウエア事業では、第1四半期連結会計期間末から株式会社エアーズを連結の範囲に含めた影響等により、セグメント全体の売上高は前連結会計年度と比べ大きく増加いたしました。一方で、費用も大きく増加したため、損失が拡大いたしました。
それらの結果、売上高264,185千円(前連結会計年度比303.6%増)、セグメント損失63,613千円(前連結会計年度は24,713千円の損失)となりました。
その他
その他セグメントにおきましては、売上高は前連結会計年度と比べやや減少いたしました。これに伴い、損益面でも若干の損失が発生いたしました。
それらの結果、売上高10,042千円(前連結会計年度比35.4%減)、セグメント損失3,509千円(前連結会計年度は336千円の利益)となりました。
なお、上記のセグメント別の売上高は、セグメント間の内部売上高を相殺しておりません。また、セグメント利益又は損失は、連結損益計算書における営業利益をベースとしておりますが、各報告セグメントに配分していない全社費用及びセグメント間の内部取引費用の控除前の数値であり、合計は連結営業利益と一致しておりません。
① 資産、負債及び純資産の状況
i. 資産
資産は、流動資産につきましては、322,029千円減の4,134,357千円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が81,647千円増の654,879千円となった一方で、現金及び預金が364,339千円減の3,281,817千円、貸倒引当金が38,491千円増の56,240千円となったこと等によるものです。受取手形、売掛金及び契約資産並びに貸倒引当金の増加は、株式会社エアーズの株式を取得し新たに連結子会社としたため、同社の受取手形、売掛金及び契約資産並びに貸倒引当金が新たに計上されたこと等によるものです。現金及び預金の減少は、有形固定資産の取得及び子会社株式の取得等によるものです。
固定資産につきましては、204,686千円増の1,570,342千円となりました。これは、有形固定資産が231,890千円増の762,520千円、無形固定資産が15,789千円減の116,836千円、投資その他の資産が11,413千円減の690,985千円となったことによるものです。有形固定資産は、事務所用の不動産を取得したこと等により、大きく増加いたしました。無形固定資産は、取得に伴う増加の一方で償却等による減少も進み、全体としては大きな金額の変動はありませんでした。投資その他の資産は、その他に含まれる長期前払費用の増加等の一方で、敷金及び保証金や繰延税金資産の減少等もあり、全体としては大きな金額の変動はありませんでした。
ii. 負債
負債は、流動負債につきましては、162,691千円増の992,865千円となりました。これは、支払手形及び買掛金が78,209千円増の242,762千円、契約負債が39,689千円増の463,567千円となったこと等によるものです。支払手形及び買掛金の増加は、売上原価の増加等によるものです。契約負債の増加は、株式会社エアーズの契約負債が新たに計上されたこと等によるものです。
固定負債につきましても、株式会社エアーズの固定負債が新たに計上されたこと等により、29,069千円増の51,516千円となりました。
iii. 純資産
純資産は、株主資本につきましては、284,367千円減の4,569,439千円となりました。これは、資本剰余金が57,905千円減の454,515千円、利益剰余金が226,461千円減の3,959,083千円となったことによるものです。資本剰余金の減少は、子会社株式の追加取得によるものです。利益剰余金の減少は、親会社株主に帰属する当期純損失の発生並びに剰余金の配当によるものです。
その他の包括利益累計額につきましては、16,647千円減の62,325千円となりました。
非支配株主持分につきましては、8,088千円減の28,552千円となりました。
② セグメント別の資産の状況
乗換案内事業
乗換案内事業につきましては、2,485,102千円(前連結会計年度末と比べ104,343千円減)となりました。
マルチメディア事業
マルチメディア事業につきましては、33,159千円(前連結会計年度末と比べ2,078千円減)となりました。
ソフトウエア事業
ソフトウエア事業につきましては、387,132千円(前連結会計年度末と比べ2,772千円減)となりました。
ハードウエア事業
ハードウエア事業につきましては、186,106千円(前連結会計年度末と比べ91,200千円増)となりました。
その他
その他セグメントにつきましては、71,971千円(前連結会計年度末と比べ4,363千円減)となりました。
なお、上記のセグメント別の資産は、各報告セグメントに配分していない全社資産が含まれておらず、また、セグメント間の内部取引の控除前の数値であり、合計は連結資産合計と一致しておりません。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは158,489千円の収入(前連結会計年度比38.1%減)となりました。
前連結会計年度と比べての変動の要因は、減損損失が241,301千円増の268,457千円となった一方で、税金等調整前当期純損失が138,450千円(前連結会計年度は利益が141,137千円でその差279,588千円)、契約負債の減少額が45,956千円(前連結会計年度は増加額が135,731千円でその差181,688千円)となったこと等です。
減損損失が増えた主要因は、株式会社エアーズに係るのれんや同社の保有する固定資産を減損処理したことです。税金等調整前当期純損失が増えた主要因は、為替差益の減少や減損損失の増加です。契約負債の減少額が増えた主要因は、前連結会計年度において法人向けの事業等における長期契約に係る契約負債が増加していたことです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは430,405千円の支出(前連結会計年度比24.9%増)となりました。
前連結会計年度と比べての変動の要因は、前連結会計年度には無かった有形固定資産の売却による収入が131,009千円となるとともに、前連結会計年度にあった投資有価証券の取得による支出226,400千円が無くなった一方で、有形固定資産の取得による支出が320,942千円増の366,535千円、前連結会計年度には無かった連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が182,616千円となったこと等です。
有形固定資産の売却による収入は、連結子会社であるJorudan Transit Directory, Inc.において不動産を売却したことにより発生いたしました。有形固定資産の取得による支出が増えた主要因は、事務所用の不動産を取得したことです。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出は、株式会社エアーズの株式を取得したことにより発生いたしました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは110,433千円の支出(前連結会計年度比56.3%増)となりました。
前連結会計年度と比べての変動の要因は、前連結会計年度には無かった連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が64,000千円となったこと等です。
現状における当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、納税資金、固定資産への投資資金及びM&Aを含む各種投融資資金です。運転資金の主な内容は、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。製造費の内訳は、人件費、時刻表データ等の情報使用料、外注費、通信費等です。販売費及び一般管理費の内訳は、人件費、広告宣伝費、支払手数料等です。固定資産への投資資金の主な内容は、事務所やデータセンター設備等の有形固定資産、ソフトウエア等の無形固定資産、並びに敷金及び保証金等の投資その他の資産への投資資金です。投融資資金の主な内容は、主に事業上の提携を目的とした投資有価証券または関係会社株式の取得のための資金です。
資金調達については、主に内部留保資金により調達しております。一部でそれ以外の資金調達も行っておりますが、資本業務提携を目的としたものや、子会社管理上の必要性によるものであり、当面必要な運転資金、固定資産への投資資金及び各種投融資資金等については、内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローにより十分調達可能であると考えております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(注) 許諾を受ける鉄道会社等の範囲を拡大するため、平成29年10月1日付で契約内容の変更に関する覚書を締結いたしました。
当社グループは、技術革新、業界標準及び顧客ニーズの変化、新技術及び新サービスの登場等が激しいICT業界において、主に事業を展開しております。その中で、新しい技術への対応を行い、競争力を確保するため、的確かつ効率的な研究開発活動を経常的に行うよう努めております。
当連結会計年度の研究開発活動は主に、営業本部、開発本部、マーケティング部、公共交通部並びに連結子会社のゼストプロ株式会社、株式会社ジェイフロンティア及びJ MaaS株式会社にて行ってまいりました。さらに、シナジー効果の活用を図るため、必要に応じプロジェクトチームを編成し、研究開発活動を行ってまいりました。その結果、研究開発費の総額は、
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
乗換案内事業
MaaSにおけるモバイルチケットの新機能、MaaS事業者のためのプラットフォーム、交通機関向けのMaaS関連システム等について研究開発を行いました。
また、相乗りタクシーサービス等についても研究開発を進め、実証実験を行いました。
その他、位置や移動に関する新しいサービス等の研究開発を行い、一部は提供開始に至っております。
上記の研究開発活動等の結果、乗換案内事業セグメントにおける研究開発費は
マルチメディア事業
マルチメディア事業セグメントにおける研究開発活動はありませんでした。
ソフトウエア事業
「ライフスタイルを大きく変えるサービス」の提供の一環として、新しいサービスの研究開発を進めてまいりました。
上記の研究開発活動等の結果、ソフトウエア事業セグメントにおける研究開発費は
ハードウエア事業
ハードウエア事業セグメントにおける研究開発活動はありませんでした。
その他
その他セグメントにおける研究開発活動はありませんでした。