第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、良質で魅力ある専門コンテンツをベースに、デジタル技術を活用した次世代パブリッシングモデルを実現し、それらの活動を通して、知恵と感動のある豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えております。

IT、音楽、デザイン、山岳・自然、航空・鉄道、モバイルサービス等の専門分野ごとの個性的なメディアブランドによる雑誌・書籍等の出版を中心に、電子出版、Webメディア、SNS、イベント・セミナー等、「紙・デジタル・リアル」の多面的な展開により、読者やユーザーに対し「実体験に基づいた、臨場感ある魅力的なコンテンツ」を届け、共通体験の場を増やしていくことを目指します。

また、これまで培ってきたパブリッシングモデルやメディア技術、マーケティング手法をコンテンツパートナーに提供するプラットフォーム事業を展開することで、ユーザーとの「知恵と感動の共有の輪」を広げていきます。

これらのビジョン実現のため、専門分野ごとの比較的小規模の事業会社と、財務・経営管理及びインキュベーション機能を集約した持株会社によるグループ経営によって、個々の事業会社の魅力とともに、相互連携によるグループ全体の企業価値を高めてまいります。

 

(2) 経営戦略及び経営環境等

当社グループは、持株会社である当社を中心にグループ各社が事業の独自性を活かし、顧客ニーズにあった製商品を機動的に提供していくことで、各社及びグループ全体の企業価値の増大を図る分社経営方針をとっており、IT、音楽、デザイン、山岳・自然、航空・鉄道及びモバイルサービス等の専門分野で構成されたそれぞれの分野でコンテンツ事業、プラットフォーム事業を行っております。

 出版業界を取り巻く事業環境は、紙の出版物の販売額が19年連続で減少していることに加えて、用紙の調達コストや印刷等の原材料費の高騰、残業規制強化による物流価格の上昇、物価高騰を考慮した従業員の報酬水準の引き上げ等のコスト上昇も見込まれ、依然として厳しい状況が続いております。当社グループでは、このような事業環境の中、「企業価値の向上」に向けて収益及び事業のポートフォリオを抜本的に見直し、出版事業の構造改革と中長期の成長基盤の開発促進に継続的に取り組んでまいります。

 当社の事業ポートフォリオにおいて、重要な収益基盤である出版事業の収益力の回復を最重点課題とし、出版・電子出版事業については、不採算な製品ラインナップの整理、IPの競争力の強化、商品価格の引上げ、返品率の改善、生産性の向上等の課題に取り組んでまいります。ネットメディア・サービス事業については、優良なオーディエンスを抱える専門メディアの強みに加えて、収益モデルの多角化、DtoCの事業モデルの開発等の施策により、事業規模と収益力の維持に努めます。また、当事業年度が調整局面となったターゲットメディア事業については、事業規模の回復に向けた取り組みを強化、投資フェーズのDtoC事業モデル、新規プラットフォーム事業の開発による、新規売り上げの創出成果の獲得を進めます。

 なお、中期経営計画に掲げている事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築する取り組みを着実に進めており、事業区分別売上構成比率及び紙の出版物の売上比率が下図のように変化し、一定の成果が表れております。同様に紙の出版物の売上比率も減少傾向にあります。

 


(注)事業区分別売上構成比は、連結消去前の数値で算出しております。

 

 

 


 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、良質で魅力ある専門コンテンツの強みを追求し、コンテンツ事業において堅実かつ着実な利益成長により安定した収益基盤を確保するとともに、中期的な視野で、新しい事業モデル、メディアビジネスのプラットフォームの創出に取り組み、コンテンツ事業とのシナジーを追求することで、新たな価値創造に取り組むことを基本戦略としております。また、同取り組みにより、事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築することを中期経営課題として掲げております。

このような中、2023年度の状況といたしましては、前年度に巣ごもり需要の反動で落ち込んだネットメディアは2021年度の事業規模を超える水準まで回復したものの、出版事業環境の変化や前期のヒットタイトルの不足等により、収益基盤である出版・電子出版の事業規模は縮小かつ収益性が大きく低下いたしました。また、市場成長に陰りが見え始めたことで増収基調を維持していたターゲットメディアが調整局面となり、連結売上高は9期ぶりの減収に転じ、営業利益は損失を計上、不採算事業の整理や人員合理化施策や収益性の悪化に伴う固定資産の減損で、大きな特別損失を計上する厳しい状況となりました。

2024年度におきましては、出版事業環境の変化や原材料費や物流経費の持続的な上昇等、当期に引き続き厳しい事業環境が想定されますが、短期的には、出版事業の収益力の回復を最重点課題としながら、成長基盤の開発を目的とした投資及び事業開発を継続して推進し、企業価値の向上に向け、以下の課題に取り組んでまいります。

 

①  目標とする中期経営指標

中期経営計画において、出版事業の事業規模及び収益力の維持を収益ポートフォリオの基盤としつつ、電子出版、ネット・ターゲットメディア及びサービス、プラットフォーム(以下、「PF」といいます。)事業の拡大による事業ポートフォリオの構造転換を進めることで、企業価値の向上に取り組む方針を掲げておりますが、2023年度の出版事業等の収益力の悪化により、前提に大きな乖離が生じております。まずは、2024年度に出版事業の収益力の回復に努め、着実な黒字転換を果たすことを最優先の課題とし、あわせて中期的な企業価値の向上に向けた基盤の整備に取り組んでまいります。

 

②  出版・電子出版事業の収益力の回復

当期に収益力が低下した出版事業につきましては、デザイン、航空・鉄道セグメントにおいて人員合理化等の事業構造改革の施策を実施いたしました。同施策による固定費の削減をベースに、全社的に不採算の商品群を整理、商品のポートフォリオを組み替えながら、より付加価値の高い商品開発に努めるとともに商品価格の引上げ等の取り組みを進めてまいります。また、あわせて出版業界共通のテーマでもある返品・物流効率の改善、生産性の向上等の課題に取り組むことで、収益性の回復に努めてまいります。

また、電子出版におきましては、航空・鉄道セグメント等で規模の拡大を図るほか、モバイルサービスセグメントで投資を継続しているマンガコンテンツの自社開発において、外部との協業も模索しながら、事業化の促進に取り組みます。

 

③  事業ポートフォリオの構造転換の促進

電子出版、ネット・ターゲットメディア及びサービス、PF事業等の出版事業以外の事業規模につきましては拡大基調を維持しておりましたが、2023年度においては調整の局面となりました。同テーマにつきましては、堅調な推移を続けているネットメディア事業の成長を持続しつつ、ターゲットメディア、PF事業等を再成長のフェーズに移行させるべく、事業開発に取り組んでまいります。

また、新たな収益モデルとして投資・事業開発を進めておりますダイレクトチャネル(DtoC)での、ユーザー課金型のモデルにつきましては、会員サービスやマーケティング基盤開発について、一定の整備も完了したことから、2024年度より、メディアミックスをテーマとした付加価値の高い会員サービスの創出、会員基盤をベースとした(ファン)コミュニティーの構築及びエンゲージメントを高めることで、収益化の取り組みを強化します。

 

④  外部との協業による事業規模の拡大・事業開発力の強化

事業ポートフォリオの構造転換を一層促進させるために、外部との協業(事業及び業務提携)について積極的な検討を進めます。出版事業においては、業界の共通課題でもある生産・販売・物流等のサプライチェーンに加え、メディアミックス展開の促進に寄与する協業関係を模索、またネットメディア、ターゲットメディア、PF事業領域を対象に成長促進・規模拡大のための協業関係の構築を模索いたします。内部成長だけでは限定されるリソースを外部との協業で補完することで、事業基盤を強化するとともに、事業展開の幅を広げ、企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業理念「面白いことを創造し、知恵と感動を共有する」に基づき、ステークホルダーの皆様と共に、専門コンテンツとそれを届けるしくみを掛け合わせたイノベーティブなファン・コミュニティの形成を通して、人間性豊かで自由な文化・社会の循環をつくっていきたいと考えております。

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

2021年より、サステナビリティへの取り組みを経営上の重要課題と認識し、取締役副社長をサステナビリティ担当役員として、コーポレートコミュニケーション室内に「インプレス・サステナブルラボ」を設置しております。慶應義塾大学xSDG・ラボ(コンソーシアム)の識者・企業の皆様による助言を受けながら、取締役会及びグループ各社に対する取り組みの提言・答申のほか、非財務情報の開示を推進してまいりました。2022年からは同・取締役副社長がグループ全体のリスクマネジメント責任者を兼任、2023年5月より「リスク&オポチュニティマネジメント事務局」の名称に改め定期的(3ヶ月毎)に取締役会へリスク及び機会を報告、監督する体制を整備しております。


(2)リスク管理

当社グループでは代表取締役の任命するリスク&オポチュニティマネジメント責任者が、リスク&オポチュニティマネジメント規程に従い事務局を組織しております。直近の事業環境やリスク実例に照らし、年1回、全社的に見直されるリスクカタログに沿ってリスク及び機会を管理しています。

また、2023年4月に「サステナビリティ基本方針」「グループ環境方針」「グループ人権方針」「パートナー行動規範」「人材育成および環境整備方針」を取締役会のコミットメントのもと制定し、人権DD(アンケート)を進める中で、サプライチェーン全体のリスクについても把握ができるよう努めております。なお、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づいたシナリオ分析につきましては、リスクと機会が及ぼす財務インパクトの算出に着手しております。

 

リスクカタログは、TCFD提言に例示されている気候変動がもたらすリスクと機会を含む外部環境(気候変動、市場など)、業務活動(製品/サービス、調達、情報システムなど)、内部環境(ガバナンス、人的資本など)の3分類でポジティブリスク及びネガティブリスクから構成され、質的リスクと量的リスクの基準に基づき対策立案を行っています。取り組み状況はリスク&オポチュニティマネジメント規程にてモニタリングし、改善を繰り返しております。

 

 ※内部統制基本方針ほか、各種方針はWebサイトをご参照ください。

   https://www.impressholdings.com/sustainability/governance/internalcontrol/

 

(3)ESGへの取り組み

当社グループは、2022年6月に発表した中期経営計画において4つのサステナビリティ重点テーマ(マテリアリティ)を設定、事業の成長を通してひとつでも多くの社会課題を解決することに取り組んでおります。

重点テーマの特定にあたっては、(1)ガバナンスに記載の識者助言を受け、国連や経団連、日本のローカル指標等を組み合わせてBSC(Balanced Scorecard)を使用し、経営戦略との紐付けを行いました。定性的には、ステークホルダーの関心やインパクトの大きさに基づく優先順位づけとなっておりますが、財務的な定量分析及び目標値の設定については今後の課題であります。

当社で実施済みのリスク分析としましては、森林火災等による紙資源の減少による製造原価高騰、環境意識の高まりによる紙の出版物の需要減少、異常気象による流通網の麻痺やデータセンターの通信ダウン等による売上影響、を主なものと考えております。機会としては、SDGs関連テーマやAI等の新技術による製品/サービスの増大、オンデマンド&電子出版による環境負荷の低い流通方式・市場(エシカル消費)創出、業界横断での拠点・生産プロセス統合等による効率化などを想定しております。また、2023年度は、当社および子会社におけるGHG(温室効果ガス)排出量につきまして、Scope1、2に加えてScope3の実績値算定を実施、シナリオ分析に基づくリスクと機会が及ぼす財務インパクトの算出に着手しております。

なお、2022年9月に国連のSDGメディア・コンパクトに加盟、国際的にも先端的な取り組みであるメディア横断の「1.5℃の約束」キャンペーンに2024年も継続参加し、メディアとしての責任を果たしてまいります。

 

 ※指標(実績)につきましては、Webサイトの「ESGデータ」をご参照ください。

  https://www.impressholdings.com/ir/library/finance/

 


 

(4)人材育成および環境整備方針

 <考え方>

当社グループの企業理念である「面白いことを創造し、知恵と感動を共有する」を実現し続けるために、「社員に求めるもの」として「変化を楽しみ、革新性を追求する(Innovation)」「価値観の違いを尊重し、共に響き合う(Diversity & Inclusion)」「人を巻き込み、自律的なコミュニティの成長を促す(Communication)」「高度な専門知識に裏打ちされた信頼感を醸成する(Specialty)」「当事者意識を持ち、想いを込めて社会へ貢献する(Ownership)」の5項目を人事戦略の中心に掲げております。

当社グループでは以下の方針に基づき、より一層の人材育成と環境の整備に努め、社員の成長やチャレンジと社員個々の幸福を実現することで、企業としての成長を目指してまいります。

 

・人材の獲得と育成

当社グループは、さまざまなキャリアや知識に裏打ちされた高い専門性を持った人材や、まだ経験値は少なくともポテンシャルの高い人材を獲得してまいります。そして、それぞれが高い主体性と協創性をもって価値あるものを生み出す、あるいはそれをサポートできるような、幅広い強みをもつ、バラエティ豊かな人材の育成に取り組んでおります。そういった人材育成のために、研修制度として、新入社員研修(グループおよび各社別)や管理職研修のような階層別研修だけでなく、女性活躍を推進する目的から「女性リーダー研修」や「男性管理職向けの女性リーダー活躍支援研修」なども導入し、多様性尊重の観点での外部研修を実施しております。

グループ内においても、高い専門性をもった社員が中心となって行う「グループ勉強会」や各社の社内勉強会で幅広い知識を積み上げていくとともに、グループ各社で新たな業務にチャレンジできる「グループ内公募制度」や新規の事業や企画に対するグループ支援制度を継続しており、人材が横断的にモチベーション高く業務を遂行できる環境の実現を目指しております。

加えて、グループ各社でその実施方法は異なるものの、パフォーマンス評価とフィードバック面談を定期的に実施し、社員個々の強みや課題だけでなく将来の成長に向けての目標を明確にすることで、人材育成の重要な役割を担っております。

 

・多様性の尊重

当社グループは、将来的に、社員・管理職層・役員のすべての男女比が 50:50 になることを目指すとともに、外国籍社員や障がいのある社員が活躍できる職場を実現します。また、人種・民族・宗教・国籍・出身・性別・性自認および性的指向・年齢・障がいの有無・疾病などによる差別やあらゆるハラスメントを排除します。

 

・新しい働き方の促進

当社グループは、優秀な人材の獲得や離職防止、生産性の向上、社員個々のワークライフバランスの実現等を目指し、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制の導入や在宅勤務の積極活用を実現しております。

また当社グループは、働く場所や時間を自由に選ぶ働き方をコンセプトに、すべてのオフィスをフリーアドレスとしている利点を活かし、多様な専門性を持った当社グループのスタッフが「バリアフリーなコミュニケーション」によって、多様なアイデアの実現を可能にする環境を実現しております。

同様に、遠隔地勤務制度を導入し、職種や仕事内容によってはオフィスへの出社を必要としないため、さまざまな理由で首都圏近郊等での居住が難しい人材の勤務の継続、または新たな採用が可能となっております。

上記のような環境を実現していることもあり、当社グループでは一度離職した社員が復職したいと希望するケースが少なくなく、これを制度化し今後も復職する社員が増えていく環境を目指します。

これらの実現は、時代の変化に応じて柔軟に変化しつつある当社グループの社員の働く環境を向上させていくことに直結していると考えており、今後も更なる環境整備を続けて参ります。

 

 

 <指標及び目標>

当社グループでは、多様性の尊重および環境の整備に関する指標として次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

項  目

2024年3月末時点の状況

目 標(2030年)

女性管理職比率

管理職全体の21.9

30

外国籍従業員数

6

10

出社率

28.9

4050%を維持

再入社従業員数

全従業員の5

全従業員の9

 

(注)目標及び実績は、当社グループ全体の従業員の状況であります。

 

3 【事業等のリスク】

当社及び当社グループの事業上のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております
 当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し適切なコントロールを行うため、全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を配置の上リスク&オポチュニティマネジメント事務局を設置、当社およびグループ会社に「リスク&オポチュニティマネジメント担当者」を任命し、主体的・自主的に対応できる体制を整備しております。

なお、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1) 業界慣行及び法規制について

① 再販売価格維持制度について

当社グループが制作、販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第23条の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が認められております。これは、出版物が我が国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法の適用除外規定により例外的に認められているものであります。したがって、出版物は書店においては定価販売が行われております。また、当社グループは取次との取引価格の決定は、定価に対する掛け率によっております。

この再販制度について、公正取引委員会は2001年3月23日に「著作物再販制度の取扱いについて」を発表しており、当面、再販制度は存置される見通しでありますが、一方で業界に対して同制度下における消費者利益のための弾力的な運用を要請していくことを公表しております。

当社グループにおきましては、事業ポートフォリオの構造転換を進めており、従来の紙の出版事業から、電子出版、ネットメディア・サービス及びターゲットメディアのコンテンツ事業とプラットフォーム事業へと転換を図っております。しかしながら、従来の紙の出版事業については当社グループの売上高の45.8%を占めており、当該制度が廃止された場合には、出版競争の激化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 委託販売制度について

当社グループは、出版業界の慣行に従い、原則として当社が取次経由で書店に配本した出版物(書籍、雑誌)については、配本後、約定期間(委託期間)内に限り、返品を受け入れることを販売条件とする委託販売制度を採用しております。

当社グループの書籍は、次の委託方法となっております。

新刊委託…主として新刊時の書籍が対象とされ、委託期間は通常5ヶ月であります。

また、雑誌の委託期間は以下の通りであります。

月刊誌…発売日より3ヶ月

当社グループは、返品による損失に備えるため、出荷時に将来返品が見込まれる部分については、会計上、収益を認識せず返品資産および返金負債を計上しております。また、返品抑制のため、販売予測の精査による製造・出荷部数の適正化、マーケティングデータに基づいた書店への配本調整等を行っておりますが、返品率の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場環境について

① 出版業界の市場環境について

(公社)全国出版協会・出版科学研究所の「2023年出版物発行・販売概況」によれば、2023年の紙の出版市場の販売額は、前年比6.0%減少と19年連続で減少しており、特に雑誌を中心に大変厳しい事業環境となっております。また、2023年の電子出版市場は、前年比6.7%増加しましたが、前々年まで2割前後の伸び幅であったものが一気に縮小しました。

当社グループにおきましては、事業ポートフォリオの構造転換を進めており、従来の紙の出版事業から、電子出版、ネットメディア・サービス及びターゲットメディアのコンテンツ事業とプラットフォーム事業へと転換を図っております。しかしながら、従来の紙の出版事業については当社グループの売上高の45.8%を占めております。市場が縮小傾向にある中、書店の休業や廃業が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります 。また、好調な電子コミックプラットフォーム事業におきましては、競合他社との競争激化や漫画違法サイトによる需要低下によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 広告市場の市場環境について

広告市場は、景気変動の影響を大きく受けると考えられております。
 当社グループの2024年3月期の売上高に占める広告収入の比率は18.1%を占め、コンテンツ事業の利益の大きな変動要素であり、景気の悪化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
 上記「出版業界の市場環境について」で記載のとおり、紙の出版市場が19年連続で減少しており、当社グループにおきましても、雑誌広告を中心とした出版広告は年々減少しております。一方で、ネットメディアにおけるデジタル広告や、ターゲットメディアと連携したターゲット広告へシフトを進め、順調に推移しており、eSports関連等の動画コンテンツを活用したデジタル広告については、今後のメディアミックス戦略において重要なテーマと認識しております。

 

③ 原材料市況の変化について

当社グループは、出版物製造において用紙等を主要な原材料としております。当社グループといたしましては、複数の取引先からの調達を行うことで、安定的な供給量の確保とコストコントロールを行っておりますが、原油等の商品市況等の変化により、原材料価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 知的財産権について

当社グループは提供する製品・サービスについて商標権を取得しております。また、他者の知的財産権の侵害を防止するため、社内での教育、研修の実施に加え、編集部門におけるチェック体制を整備しておりますが、特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権が、当社グループの事業にどのように適用されるか想定するのは困難であり、第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特定取引先への依存度について

当社グループは、大手取次等の取引先4社によって連結売上高の51.0%が占められております。当社グループにおきましては、中期的な視野で新しい収益及び事業モデルの創出に取り組むとともに、多面的な展開を図ることで、当該リスクへの対応を図っております。しかしながら、取引先4社の経営方針に大きな変更等があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 通信ネットワーク、インターネットサービス等のシステムトラブルについて

当社グループは、コンテンツの編集及びサービスの提供、取引・顧客データを管理するバックオフィス等のあらゆる業務において、情報システム及び通信ネットワーク等のインフラに依存しております。そのため、これらインフラに障害が発生した場合には、顧客からの信頼性低下等の事態を招き、当社の事業に重大な支障が生じる可能性があります。当社グループといたしましては、下記の事項を始めとする様々な要因に対処するための技術的な対応措置、モニタリング体制、社内運用マニュアルの整備等を行っておりますが、トラブルの発生を事前に完全に防止することは不可能であり、トラブル発生の場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・ハードウェア及びソフトウェアの不備

・外部からの不正な侵入行為

・アクセスの急激な増大

・自然災害、停電

・人的ミス、怠業、破壊行為

・コンピュータウイルス

 

(6) 個人情報保護について

当社グループでは、オンライン直販等の顧客の会員登録情報/購入履歴をはじめ、読者サービスの向上のための会員組織にご登録頂いた会員情報等の各種個人情報をお預かりしております。当社グループといたしましては、外部からのハッキングに対する技術的な対応措置・モニタリング体制を整備、また社内からの情報漏洩防止のため社員への教育・訓練、管理方法の検討・実施、関連規程の整備等により、情報管理体制の強化を進めております。しかしながら、万一個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼性が低下、賠償責任を問われる可能性があり、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 投融資について

当社では、子会社及び関連会社に対する投融資の他に、当社グループの事業拡大のため、日本国内外のメディア関連企業等に投資を実施しております。

これら投融資は、投資の効果及びリスク等を慎重に検討した上で実施しておりますが、投資先企業が予想通りの業績や効果を生む保証はありません。よって、投資先企業の評価見直しに伴う損失、投資回収の遅延等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 資金調達について

当社は、持株会社としてグループ会社の事業資金の調達を担っており、複数の金融機関と取引を行っております。当社といたしましては、取引金融機関の確保、資金調達手段の多様化等により調達リスクを軽減するように努めておりますが、経済環境等の悪化による調達環境の変化、当社の信用力の著しい低下等があった場合には、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) その他の事項について

 主要株主の影響力について

当社のファウンダー/最高相談役である塚本慶一郎と同氏が代表取締役を務める資産管理会社である㈲T&Co.及び同氏との間で管理信託契約を締結した㈱SMBC信託銀行の所有する株式で実質的に同氏が保有する株式は、当社の発行済株式数(自己株式を除く)の49.5%(2024年3月31日現在)に相当しております。同氏及び同社の当社株式の保有方針に変化等があった場合、当社グループの経営に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の状況
 ①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
  a.事業全体の状況

当連結会計年度末の資産につきましては、期末日が休日で売掛金の回収が翌期にずれ込んだことによる受取手形、売掛金及び契約資産の増加があったものの、減損損失の計上による固定資産の減少や回収可能性の見直しによる繰延税金資産の減少のほか、配当金の支払いに加えて親会社株主に帰属する当期純損失となったこと等で現金及び預金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ1,398百万円減少14,545百万円となりました。

負債につきましては、刊行点数の減少等による仕入債務及び返金負債の減少に加えて、借入金の弁済等により、146百万円減少6,144百万円となりました。

純資産につきましては、配当金の支払いによる減少に加えて、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により、1,252百万円減少8,401百万円となりました。

自己資本は8,288百万円となり、自己資本比率は57.0%と前連結会計年度末(59.6%)と比べ2.6ポイントの減少となりました。

 

  b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況

(a)IT

当連結会計年度につきましては、下半期の回復による売掛金の増加等があったものの、グループ通算制度による未収法人税及び余剰資金の当社に対する短期貸付金の減少等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて193百万円減少し、4,591百万円となりました。

 

(b)音楽

当連結会計年度につきましては、楽器マーケットプレイス「デジマート」における決済代行の拡大による未収入金の増加があったものの、固定資産の減損等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて136百万円減少し、1,474百万円となりました。

 

(c)デザイン

当連結会計年度につきましては、減収による売掛金の減少等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて126百万円減少し、504百万円となりました。

 

(d)山岳・自然

当連結会計年度につきましては、減収による売掛金の減少に加えて、固定資産の減損等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ129百万円減少し、1,060百万円となりました。

 

(e)航空・鉄道

当連結会計年度につきましては、グループ通算制度による未収法人税の減少に加えて、余剰資金の当社に対する短期貸付金が減少したことで、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べ131百万円減少し、1,036百万円となりました

 

(f)モバイルサービス

当連結会計年度につきましては、期末日が休日だったことにより売掛金が増加したものの、余剰資金の当社に対する短期貸付金が減少したこと等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて33百万円減少し、1,182百万円となりました。

 

 

(g)その他

当連結会計年度につきましては、減益による預金及び余剰資金の当社に対する短期貸付金が減少したことに加えて、固定資産の減損等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて79百万円減少し、1,810百万円となりました。

 

(h)全社

当連結会計年度につきましては、グループ各社の余剰資金である預り金が減少に伴い預金が減少したことに加えて、貸倒引当金の追加計上等により、当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて677百万円減少し、6,987百万円となりました。

 

(2)経営成績の状況

 ①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

  a.事業全体の状況

当連結会計年度につきましては、デジタル広告の回復基調が持続、第4四半期連結会計期間からはターゲットメディア事業に下げ止まり感が見え始めたものの、出版を中心としたメディア事業の減収による影響が大きく、全体としても大幅な減収となりました。事業区分別では、ネットメディアの広告収入等はアフィリエイトの好調等により増収となりましたが、出版・電子出版で、電子書籍の減収及び既刊書籍の出荷減・返品増による減収に加え、事業構造改革の実施や販売効率の悪い期末の新刊刊行の抑制等により新刊書籍も減収となりました。また、新型コロナウイルス感染症を契機とした市場成長に陰りが見え始めたターゲットメディアは、第3四半期連結累計期間においてターゲット広告及びイベント収入が弱含みな展開となったことが響き、コンテンツ事業の売上高は前年同期(12,460百万円)に比べ4.5%減少し、11,897百万円となりました。プラットフォーム事業につきましては、コンテンツホルダーとの協業による電子コミックプラットフォーム事業において、主力サービスの取扱は堅調な推移を維持しているものの、一部サービスが終了となった影響等で、売上高が前期(2,700百万円)に比べ4.9%減少し、2,569百万円となりました。

これらの結果、売上高は前期(15,161百万円)に比べ4.6%(694百万円)減少し、14,466百万円となりました。営業利益は、減収とコンテンツ事業等の収益性の悪化に加えて、報酬水準の引き上げと中長期成長投資の増加等により販売管理費が増加したことにより、前期(386百万円)に比べ870百万円減少し、483百万円の営業損失となりました。経常利益は、前期(494百万円)に比べ860百万円減少し、366百万円の経常損失となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、収益性の悪化に伴う事業構造改革の実施及び事業用資産の減損等による特別損失431百万円、繰延税金資産の回収可能性の見直しによる法人税等調整額114百万円の計上等により、前期(375百万円)に比べ1,412百万円減少1,036百万円の損失となりました。

 

   b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況

文中の事業セグメントの売上高は、セグメント間の内部振替高を含んでおり、セグメント利益は、営業利益をベースとしております。

 

 (a)IT

ITセグメントの売上高につきましては、ChatGPT関連の新刊書籍が大きなヒットとなったものの、既刊書籍の出荷減少等により、出版・電子出版は前年同期(2,845百万円)と比べ5.5%減少し2,690百万円となりました。また、ネットメディア・サービスは、デジタル総合ニュースサービス「Impress Watchシリーズ」(https://www. watch.impress.co.jp/)において、ネットワーク広告の単価下落の一巡とアフィリエイトの好調な推移により回復傾向となったことで、前年同期(1,539百万円)に比べ8.1%増加し1,664百万円となりました。ターゲットメディアは、第4四半期連結会計期間に入り下げ止まり感が出たものの、市場成長に陰りが見え始めたことで、ターゲット広告及びイベント収入が減収となり、前年同期(1,285百万円)に比べ11.7%減少し1,135百万円となりました。ソリューション事業においては、国内及び海外受託案件が堅調に推移し、前年同期(372百万円)に比べ7.0%増加し398百万円となりました。これらの結果、コンテンツ事業の売上高は前年同期(6,043百万円)に比べ2.6%減少し、5,889百万円となりました。

また、プラットフォーム事業につきましては、パートナー出版社の電子出版及び書籍の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期(278百万円)に比べ0.3%増加し279百万円となりました。

以上により、「IT」の売上高は、前期(6,361百万円)比2.5%減6,203百万円となりました。セグメント利益では、減収と収益性の低下に加えて販売管理費が増加したことにより、前期(903百万円)と比べ428百万円利益が減少し、474百万円となりました。

 

  (b)音楽

音楽セグメントの売上高につきましては、前期の音楽アーティスト関連のムック本が堅調に推移したことの反動や書籍の刊行点数減による減収があったものの、アーティスト関連の受託案件が拡大したことに加えて、雑誌の定価改定も奏功し、コンテンツ事業の売上高は前年同期(1,380百万円)に比べ6.6%増加し、1,471百万円となりました。

また、プラットフォーム事業につきましては、楽器マーケットプレイス「デジマート」(https://www.digimart.net/)における楽器店からの決済サービス収入が増加したものの、パートナー出版社の販売が減少したことにより、売上高は前期(460百万円)に比べ2.5%減少し、448百万円となりました。

以上により、「音楽」の売上高は、前期(1,843百万円)比4.2%増1,921百万円となりました。セグメント利益では、増収に加えて収益性が改善したものの事業開発等が増加したことにより、前期(109百万円)と比べ5百万円損失が増加し、115百万円の損失となりました。

 

 (c)デザイン

デザインセグメントの売上高につきましては、既刊書籍の返品増や事業構造改革の実施に伴う人員減で、新刊書籍や季節商品の刊行点数が減少したことにより、コンテンツ事業は大幅な減収となりました。

以上により、「デザイン」の売上高は、前期(1,013百万円)比26.2%減747百万円となりました。セグメント利益は、事業構造改革の実施等により販売管理費は減少したものの減収と収益性の悪化により、前期(75百万円の損失)と比べ71百万円損失が増加し、146百万円の損失となりました。

 

  (d)山岳・自然

山岳・自然セグメントの売上高につきましては、雑誌及び新刊書籍の売行きが良化、カレンダーの価格引き上げ等による増収に加え、登山の総合情報サイト「山と溪谷オンライン」のリニューアル等によるデジタル広告の増収はあったものの、ムック本の前期の大型刊行の反動、電子書籍や既刊書籍の出荷が減少したことにより、コンテンツ事業は減収となりました。

以上により、「山岳・自然」の売上高は、前期(1,685百万円)比2.5%減1,643百万円となりました。セグメント利益では、減収と収益性の低下に加えて販売管理費が増加したことにより、前期(32百万円損失)と比べ108百万円損失が増加し、141百万円の損失となりました。

 

 

(e)航空・鉄道

航空・鉄道セグメントの売上高につきましては、電子出版の投入タイトルの増加等による増収や、既刊書籍の販売が堅調に推移したものの、雑誌・ムックの刊行点数を絞り込んだことに加えて編集受託案件の減少により減収となったことで、コンテンツ事業は減収となりました。

以上により、「航空・鉄道」の売上高は、前年同期(1,403百万円)比2.0%減の1,375百万円となりました。セグメント利益では、減収と収益性の低下に加えて販売管理費が増加したことにより、前年同期(88百万円の損失)と比べ97百万円損失が増加し、186百万円の損失となりました。

 

  (f)モバイルサービス

モバイルサービスセグメントの売上高につきましては、電子出版の販売減による減収等により、コンテンツ事業の売上高は前期(196百万円)と比べ22.5%減少し、152百万円となりました。

プラットフォーム事業につきましては、コンテンツホルダーとの協業による電子コミックプラットフォーム事業は、主力サービスの取扱が堅調な推移を維持したものの、一部サービスの終了等により、売上高は前期(1,616百万円)と比べ7.2%減少し、1,500百万円となりました。

以上により、「モバイルサービス」の売上高は、前期(1,821百万円)比8.8%減1,660百万円となりました。セグメント利益では、収益性が改善し販売管理費は減少したものの、減収により前期(386百万円)と比べ42百万円利益が増加し、344百万円となりました。

 

  (g)その他

その他セグメントにつきましては、国内受託案件の減収があったものの、シフカの業績を取り込んだことによる増収等により、「その他」の売上高は前期(1,578百万円)比4.7%増1,651百万円となりました。セグメント利益では、増収に加えて収益性が改善したものの、プラットフォーム事業の新規開発に関わる投資の増加等により、前期(5百万円の損失)と比べ127百万円損失が増加し、133百万円の損失となりました。

 

  (h)全社

全社区分につきましては、純粋持株会社である当社のみが属しており、グループ会社からの配当、情報システム等の経営インフラ使用料の手数料収入や経営管理業務の受託を売上高として計上し、経営インフラ等の運営に係る費用を負担しております。

全社区分の売上高は、グループ会社からの配当収入の減少等により、前年同期(1,984百万円)比15.6%減の1,675百万円となりました。セグメント利益では、販売管理費が減少したものの、減収により、前年同期(151百万円)と比べ234百万円減少し、82百万円の損失となりました。

 

 

  ②生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

また、「その他」の金額には、報告セグメントの合計額と連結財務諸表計上額との差異調整が含まれております。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

IT

3,859,215

102.2

音楽

1,387,787

100.0

デザイン

573,738

78.1

山岳・自然

1,167,003

102.5

航空・鉄道             

1,148,531

97.4

モバイルサービス

624,616

85.7

その他

603,519

87.9

合計

9,364,411

97.2

 

(注) 金額は当期製品製造原価により記載しており、セグメント間取引については相殺消去しております。

  b. 商品仕入実績

商品仕入実績については、全ての事業セグメントにおいて重要性が乏しいため、記載を省略しております。

  c.受注実績

受注実績については、全ての事業セグメントにおいて売上に対する受注高の割合が低いため、記載を省略しております。

  d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

IT

6,168,140

97.6

音楽

1,920,236

104.4

デザイン

724,833

73.1

山岳・自然

1,628,772

97.7

航空・鉄道            

1,365,610

98.1

モバイルサービス

1,653,616

91.2

その他

1,005,356

88.6

合計

14,466,566

95.4

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

   2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱トーハン

2,536,381

16.7

2,369,099

16.4

アマゾンジャパン(合)

1,855,305

12.2

1,964,004

13.6

日本出版販売㈱

2,271,388

15.0

1,793,031

12.4

㈱集英社

1,467,464

9.7

1,250,070

8.6

 

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、法人税等の還付額(511百万円/前期比129百万円の増加)等の増加要因があったものの、税金等調整前当期純損失797百万円(前期514百万円の利益)を計上し、期末日が休日による売上債権の増加(401百万円/前期比389百万円の増加)や仕入債務の減少(231百万円/前期比104百万円の減少)等の減少要因の方が大きく、営業活動によるキャッシュ・フローは513百万円の資金の支出となっております。(前期比454百万円の支出増加)

投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金の返金による収入(25百万円)があったものの、投資有価証券の取得(100百万円)及び有形・無形固定資産の取得(190百万円)による支出等により、265百万円の支出となっております。(前期比195百万円の支出増加)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払168百万円(前期比48百万円の減少)や長期借入金の返済115百万円(前期比9百万円の減少)等により290百万円の支出となっております。(前期86百万円の支出増加)

以上により、当連結会計年度末の資金残高は、前連結会計年度末と比べ1,069百万円減少し、4,914百万円となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

自己資本比率、時価ベースの自己資本比率、債務償還比率、インタレスト・カバレッジ・レシオの推移

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

自己資本比率

60.3%

59.0%

58.7

59.6

57.0

時価ベースの自己資本比率

32.5%

57.2%

46.8%

44.6

40.0

キャッシュ・フロー対有利子

負債比率

0.6年

0.6年

10.5年

- 年

- 年

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

252.5

328.0

6.2

 

(注)  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象にしております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※算出の結果、数値がマイナスとなる場合は「-」で表記しております。

 

   (4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社は、グループ全体の資金効率を高めることを目的にCMSを導入し、資金の一元管理を行っており、事業リスクに対する迅速な意思決定を可能としています。

また、運転資金の一部については銀行等の金融機関からの借入金で賄っており、手元資金と安全性の高い運用資金から有利子負債を差し引いたネット・キャッシュの当連結会計年度末の残高は4,492百万円であり、前連結会計年度末から853百万円減少しております。

 

 

  (5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。当社はこの連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。当社グループでは、過去の実績や将来予測される状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積りの評価を実施しておりますが、実際の結果は、前提条件の相違等によりこの見積り及び仮定に基づく数値と異なる場合があります。

当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与え得る会計上の見積り、判断並びに仮定は以下のとおりです。

 

①投資有価証券の減損

当社は、パートナー企業との協業体制の強化による当社グループの中長期的な事業価値向上及び取引関係の維持に限定した目的で、特定の取引先の株式を保有しております。これらの株式には、時価があり価格変動性の高い上場会社と、市場価格のない非上場会社の株式が含まれております。時価のある株式につきましては、決算日の市場価格に基づく時価により評価しており、時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはその回収可能性等を勘案し必要と認められる額について減損処理を行うこととしております。市場価格のない株式等につきましては、それらの会社の純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を行うこととしております。

当社は、これまで必要な減損処理を行っておりますが、将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は回収不能が発生し、減損処理を行うことにより、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

②貸倒引当金

当社グループは、貸倒れが懸念される特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額に基づき貸倒引当金を計上しております。また、その他の一般債権については、過去3年間の貸倒損失発生額に基づく実績繰入率を乗じて算出し、貸倒引当金を計上しております。なお、将来相手先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。また、貸倒損失の発生により、貸倒実績率が上昇し、一般債権に係る貸倒引当金の追加計上の可能性があります。

 

③繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異について、税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の計上にあたり、将来の収益力に基づく課税所得及びタックス・プランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。その結果、回収が見込まれないと判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。

なお、課税所得の見積りにおける主要な仮定は売上高見込みであります。売上高見込みについては、事業区分毎の事業環境や各セグメントの事業計画の変動リスクを分析し、より確実性の高い課税所得の見積ったうえで、回収可能性の判断を実施しております。当該事業計画には、紙の出版市場及び電子出版市場のそれぞれの過去からのトレンドを基礎として、当社グループが取扱う製品の需要予測に加え、さらに原材料価格や配送価格等の製造から販売に至るコスト上昇リスクを加味しております。

経営者は、当該回収可能性の評価は合理的であると判断しておりますが、将来の業績及び課税時期に関する判断が変動する場合、繰延税金資産の計上金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④返品資産及び返金負債

当社グループの出版・電子出版事業においては、各種専門書籍や雑誌、電子書籍、季節商品(年賀状ムック、カレンダー、手帳)等、出版物の販売に加え、雑誌への広告掲載も行っております。書籍及び雑誌の販売については、当該製品を納品した時点で履行義務が充足されたと判断し、収益を認識しております。ただし、当社グループは、出版業界の慣行に従い、原則として出版取次経由で書店に配本した書籍及び雑誌等については、配本後、約定期間(委託期間)内に限り、返品を受け入れることを販売条件とする委託販売制度を採用しております。そのため、将来返品が見込まれる額を変動対価として販売時に収益を認識せず、返品資産および返金負債を計上する方法を採用しております。返金負債の見積りについては、直近の販売額に過去の返品実績に基づいた率を乗じて算出し、返品資産は、返金負債をもとに書籍及びムックについて、回収すると見込める金額を見積もって計上しております。また、返品抑制のため、販売予測の精査による製造・出荷部数の適正化、マーケティングデータに基づいた書店への配本調整等を行っておりますが、返品率の悪化により返品資産及び返金負債の追加計上が必要となる可能性や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑤退職給付に係る負債

当社グループは、退職給付債務の算定にあたり、予想昇給率及び退職率を見積り、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び国債市場利回りを勘案した割引率を使用して退職給付見込額を算出し、給付算定式基準により当連結会計年度末までの期間に帰属させております。退職給付見込み額の算出に用いたこれらの仮定や国債市場利回りの変化により実際の結果が異なる場合や変更となる場合には、その影響は累積され、将来にわたって認識されるため、将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、将来にわたって認識される数理計算上の差異を、発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(7年)による定額法により按分し、発生の翌連結会計年度から費用処理することとしております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。