第一部【企業情報】

 

第1【企業の概況】

 

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

 

回次

第38期

第39期

第40期

第41期

第42期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

576,692

602,749

647,576

794,621

816,701

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

678,762

310,511

243,472

149,503

125,413

親会社株主に帰属する当期純利益又は
親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

668,125

318,827

258,767

289,731

186,694

包括利益

(千円)

668,125

318,827

258,767

289,731

186,694

純資産額

(千円)

1,948,457

1,629,282

1,368,348

1,078,616

1,265,311

総資産額

(千円)

2,372,989

1,838,038

1,705,338

1,434,337

1,618,582

1株当たり純資産額

(円)

208.97

174.70

146.92

115.81

135.85

1株当たり
当期純利益金額又は
1株当たり
当期純損失金額(△)

(円)

76.00

34.23

27.78

31.10

20.05

潜在株式調整後1株
当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

82.0

88.5

80.2

75.2

78.2

自己資本利益率

(%)

15.9

株価収益率

(倍)

26.4

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

608,746

194,145

93,204

26,458

133,775

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

10,818

17,233

155,629

30,036

24,496

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

81,195

216,000

143,998

991

991

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

974,456

552,022

449,184

561,997

674,969

従業員数
[ほか、平均臨時雇用
人員]

(名)

65

65

63

60

57

[11]

[9]

[7]

[8]

[5]

 

(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2.第38期及び第39期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。第40期、第41期及び第42期については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.第41期以前の自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため記載しておりません。

4.第41期以前の株価収益率については、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

5.従業員数欄の[  ]外書きは、臨時従業員(準社員及びパートタイマー)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

 

 

(2)提出会社の経営指標等

 

回次

第38期

第39期

第40期

第41期

第42期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

500,062

531,820

603,855

790,600

812,850

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

503,432

196,675

69,963

65,973

145,815

当期純利益又は
当期純損失(△)

(千円)

547,128

219,107

123,641

630,968

186,694

資本金

(千円)

3,029,041

3,029,041

3,029,041

3,029,041

50,000

発行済株式総数

(株)

9,314,590

9,314,590

9,314,590

9,314,590

9,314,590

純資産額

(千円)

2,064,300

1,845,193

1,719,385

1,088,416

1,275,111

総資産額

(千円)

2,439,750

1,962,901

1,997,942

1,394,501

1,585,218

1株当たり純資産額

(円)

221.41

197.88

184.61

116.86

136.91

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり
当期純利益金額又は
1株当たり
当期純損失金額(△)

(円)

62.24

23.52

13.27

67.74

20.05

潜在株式調整後1株
当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

84.5

93.9

86.1

78.1

80.4

自己資本利益率

(%)

15.8

株価収益率

(倍)

26.4

配当性向

(%)

従業員数
[ほか、平均臨時雇用人員]

(名)

56

58

62

59

57

[9]

[7]

[7]

[8]

[5]

株主総利回り
(比較指標:TOPIX)

(%)

(%)

75.1

77.2

45.7

56.9

73.9

[88.1]

[122.7]

[122.2]

[125.8]

[173.9]

最高株価

(円)

1,143

725

570

530

961

最低株価

(円)

409

470

285

294

345

 

(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2.第38期については、売上高が大幅に減少したことに加え、有形固定資産の購入時全額費用処理の影響等により経常損失及び当期純損失を計上しております。
第39期については、売上高が微増したことに加え、前期と比較し販売費及び一般管理費が減少したことにより、経常損失及び当期純損失は大幅に改善しております。
第40期については、売上高が増加したことに加え、前期と比較し販売費及び一般管理費が減少したことにより、経常損失及び当期純損失が改善しております。
第41期については、売上高が大幅に増加したことに加え、前期と比較し販売費及び一般管理費が減少したことにより、経常利益は前期の損失から利益の計上に転換、当期純損失は特別損失の計上等により収支が悪化しております。

 

第42期については、売上高が増加したことに加え、有形固定資産の購入時全額費用処理を見直したことや前期と比較し販売費及び一般管理費が減少したことにより、営業利益は増加し、経常利益は、為替差益や貸倒損失の戻し益等の影響で増加し、当期純利益は税効果会計の適用により当期純損失から当期純利益に転換しております。

3.第38期及び第39期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。第40期、第41期及び第42期については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

4.自己資本利益率の第41期以前は、当期純損失が計上されているため記載しておりません。

5.株価収益率の第41期以前は、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

6.配当性向は、配当を行っていないため記載しておりません。

7.従業員数欄の[  ]外書きは、臨時従業員(準社員及びパートタイマー)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

8.第40期まで、株主総利回りの比較指標にJASDAQグロースを用いておりましたが、2022年4月4日の東京証券取引所の市場再編に伴い廃止されました。このため比較指標を継続して比較することが可能なTOPIXに変更し、第38期にさかのぼり数値の変更をしております。

9.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ(グロース)におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。

 

 

2【沿革】

年月

事項

1982年9月

医薬品及び医薬部外品の免疫学的研究、開発、製造及び販売を目的として、東京都千代田区に資本金5,000千円をもって株式会社免疫生物研究所を設立。
同時に、群馬県高崎市に研究所を設置。

1986年8月

研究設備拡充のため、群馬県藤岡市に藤岡研究所を新設し、研究所を移転。

1987年12月

藤岡研究所内に本社を移転。

1994年4月

生産能力向上のため、藤岡研究所内に工場を新設。

1999年10月

初の受託製造品となる関節炎発症カクテル抗体の大量生産に成功。

2001年4月

藤岡研究所内に遺伝子組換え実験施設を備えた新研究棟を建設。

2004年6月

群馬県高崎市に本社を移転。

2005年3月

北海道三笠市に医薬シーズの探索を目的とする実験動物飼育施設を備えた三笠研究所を新設。

2006年12月

当社創製の抗アミロイドβ抗体(82E1)に関して、米国Intellect Neuroscience, Inc.とライセンス契約を締結。

2007年3月

大阪証券取引所ヘラクレス(現東京証券取引所グロース市場)に株式を上場。

2009年1月

診断薬の品質管理及び品質保証を目的にISO13485認証を取得。

2010年6月

群馬県藤岡市に本社を移転。

2013年7月

生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え、予防・診断支援などを強化する目的で、株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社)の株式取得及び簡易株式交換により完全子会社化。

2013年11月

「ネオシルク-ヒト型コラーゲンⅠ」含有化粧品の通信販売を目的として、当社の完全子会社、株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社)を設立。

2016年7月

群馬県前橋市に遺伝子組換えカイコ事業におけるGMP対応のパイロットプラントである前橋研究所を新設。

2021年2月

Abcontek.Inc(韓国企業)との間で、合弁会社「株式会社AI Bio」(持分法適用会社)を設立。

2021年11月

完全子会社の株式会社スカイライト・バイオテックを吸収合併。

2023年3月

株式会社AI Bio(合弁会社)を子会社化

 

(注)用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

 

 

3【事業の内容】

1.当社グループの事業概要について

(1)当社グループの概要

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社で構成されております。

当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

①抗体関連事業

主要なサービスは、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスを展開しております。診断試薬サービスは、主に抗体を基盤とした研究用試薬、体外診断用医薬品、及び体外診断用医薬品原料の製造・販売並びに試薬関連受託サービスの提供、さらに、医薬シーズライセンス導出事業を行っております。検査サービスは主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。また、藤岡研究所内に登録衛生検査所「IBL解析センター」を開設し、当社独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しております。TGカイコサービスは、カイコの繭中に目的タンパク質や抗体を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや試薬原料の製造・販売を行っております。

・・・株式会社免疫生物研究所

・・・株式会社AI Bio(連結子会社)

 

②化粧品関連事業

化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。

・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社)

 

当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。


 

 

2.当社グループの事業セグメントについて

(1)抗体関連事業

抗体関連事業は、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスから構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。

①診断試薬サービス

診断試薬サービスは、研究用試薬販売、試薬関連受託サービス、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品並びに体外診断用医薬品原料の製造・販売から構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、ELISA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、合成ペプチドその他を販売しております。

 

 

・抗体関連試薬販売

主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業では様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。また、免疫反応を利用した体外診断用医薬品及び体外診断用医薬品原料では抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。これらの事業を適正に遂行するために、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。

イ  ELISA測定キット

抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。

ロ  抗体

生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。

 

・その他の試薬販売

イ  細胞培養関連試薬

細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。

ロ  合成ペプチド

抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。

ハ  その他

細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。

 

・試薬関連受託サービス

製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。

イ  抗体の作製、精製、標識

ロ  細胞培養によるタンパク質製造

ハ  抗体による測定系の開発

ニ  受託試験

 

・医薬シーズライセンス

当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。

イ  当社はABCONTEK社との間で合弁企業の株式会社AIBioを設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期導出を目指しておりました。しかしながら、ABCONTEK社より同社の経営事情において、今後AI Bioへの研究開発費の負担が困難となる旨の通知を受け、取締役及び監査役の員数の変更などにより、当社のAI Bioの経営における実質的な支配権が増加したため、AI Bio を子会社化することといたしました(2023年3月14日発表)。この度の子会社化により、研究開発資金が縮小されることになりますので、予定していたカニクイザルを使用した非臨床試験を一旦中止し、現時点で取得済みの試験結果を用いて早期の導出に注力して参ります。

 

ロ  国立大学法人徳島大学との共同開発によって、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を開発し、製薬企業等への導出等を目指しております。現在は、日本国内における「c-KIT陽性腫瘍特異的抗体断片」に関する特許を取得(2024年4月4日公表の「特許取得に関するお知らせ」参照)し、今後について、提携先と協議を進めております。

 

・体外診断用医薬品販売及び体外診断用医薬品原料

今までに研究用試薬として販売していたELISA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品や体外診断用医薬品原料登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、生産量に応じた収益を見込んでまいります。

イ  学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明を元に、体外診断用医薬品としての薬事申請・販売の権利を株式会社コスミックコーポレーションに譲渡しました。その後、2020年6月に体外診断用医薬品承認され、さらに、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載(保険点数:460点)されました(2022年8月3日発表)。当社は本品の製造を担当いたします。
外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、外リンパ瘻の疑われる患者に対して本CTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。
さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。

ロ  グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。
当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品として、2025年3月期の承認申請に向けて研究開発を行っております。

ハ  神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。

ニ  赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。
そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っておりましたが、体外診断用医薬品(製品名:赤痢アメーバ抗体 ELISA-IBL)の製造販売承認を取得いたしました。現在、保険適用に向けて準備をしており、保険適用後、販売を開始致します。

ホ  シスメックス株式会社との業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携によりIBLは、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。またIBLの強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。
現在、数品目の診断薬原料候補の抗体やたんぱく質の共同開発を行っております。詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。

 

 

②検査サービス

当サービスは、秋田解析センターにおける「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。

秋田解析センターでは、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。

本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。

さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師を経由して飼い主様に提供しております。

また、IBL解析センターでは、診断試薬サービスで開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しており、生活習慣病関連疾患や老化関連疾患領域での総合的な支援を推進しております。

このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。

 

③TGカイコサービス

当サービスは、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。


当サービスは、遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、美容機器製品等の開発に成功したイタリア法人の303 Pharma との間でOEM契約を締結し、同社の自社ブランド製品として提供してまいります。

 

また、当サービスにおいては、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®,Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売を開始しました。

フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。

 

(2)化粧品関連事業

当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコサービスにおいて開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や美容業界に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。また、化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売が開始され、今後は、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。

 

(注)用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

 

 

4【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金
(千円)

主要な

事業の内容

議決権の
所有(被所有)割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱ネオシルク化粧品

群馬県藤岡市

50,000

化粧品関連事業

100%

役員の兼任 1名

資金の貸付

㈱AI Bio

群馬県藤岡市

10,000

抗体関連事業

49%

役員の兼任 3名

資金の貸付

 

(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

3.㈱ネオシルク化粧品及び㈱AI Bioは、特定子会社であります。

 

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

抗体関連事業

57

化粧品関連事業

[5]

合計

57

[5]

 

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.従業員数欄の[  ]外書きは、臨時従業員(準社員及びパートタイマー)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

3.当社グループは従業員数が少ないため、同一の従業員が複数の事業に従事しております。

 

(2)提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

57

45.5

16.8

4,558

[5]

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

抗体関連事業

57

[5]

合計

57

[5]

 

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.従業員数欄の[  ]外書きは、臨時従業員(準社員及びパートタイマー)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める
女性労働者の
割合(%)
(注1)

男性労働者の
育児休業
取得率(%)
(注2)

労働者の男女の
賃金の差異(%)(注1、3)

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

25.0

66.4

69.1

62.1

従業員数が少ないため、
目標は設定して
おりません。

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しております。

 

②連結子会社

当社グループは従業員数が少ないため、同一の従業員が複数の事業に従事しております。