文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「素晴らしい人間環境づくり」のコーポレートスローガンのもと、「お客様本位の姿勢」「創意開発」「明るい風通しのよい職場づくり」を経営方針としております。
(2) 目標とする経営指標
経営指標として当社グループは、前中期経営計画(2021年4月~2024年3月)においては自己資本当期純利益率(ROE)を重視し、ROE10%程度を目標としてまいりました。
当連結会計年度においては、増収となったものの、資材価格の高止まりや固定費増、米国第二工場の稼働低迷などによる減益の影響を受けてROEは6.6%の実績となりました。
後述する第一次中期経営計画(2024年度~2026年度)においては、ROEのほか、投下資本利益率(ROIC)、株価純資産倍率(PBR)を重視しております。ROEについては、株主資本コストの市場期待値を上回る水準である9%を、ROICについては、株主資本コストと負債コストを加重平均することによって算出した加重平均資本コスト(WACC)を上回る水準である8%をそれぞれ目標として設定しております。
PBRについては、前中期経営計画期間中は0.8から0.9倍と1倍を割れる水準で推移しましたが、今後は安定的に1倍超とすることを目指してまいります。
(3) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、この度、2030年度をターゲットとする長期ビジョン‘Challenge Global to 2030’を策定いたしました。日本の住宅関連市場の縮小が避けられない中、事業の中心を国内住宅市場に加えて、国内非住宅市場及び海外市場に拡大するとともに、「開発から調達、生産、営業、物流までのバリューチェーン、資本効率、リスク管理など、あらゆる面でGlobalに通用する」企業を目指してまいります。この中で、2030年度における数値目標を連結売上高1,850億円、営業利益220億円といたしました。
長期ビジョン‘Challenge Global to 2030’の実現に向けては、第一次中期経営計画(2024年度~2026年度)と第二次中期経営計画(2027年度~2030年度)に分け、まずは第一次中期経営計画を策定いたしました。第一次中期経営計画では、2026年度の数値目標を連結売上高1,610億円、営業利益165億円、ROE9%、ROIC8%と定め、下記の4つの重要戦略テーマにスピード感を持って取り組むことで、当社グループの企業価値向上につなげてまいります。
① 国内外の市場開拓推進
国内においては、住宅市場での更なるシェアアップと、意匠性や施工性、環境性能を活かした非住宅市場開拓をより一層進めてまいります。非住宅市場開拓においては、主力である商業施設分野での異素材からの切替促進に加え、マンション分野でも新たに開発した工法を活かして新築、リフォーム需要獲得に注力してまいります。
また、海外においては、前中期経営計画期間に完工させた米国子会社Nichiha USA,Inc.の第二工場の生産を早期に軌道に乗せ、市場開拓を進めることで、事業拡大を実現させるとともに、豪州・アジア・欧州への拡販を進めてまいります。
② 収益性の向上
売上面においては、製品ラインナップの高付加価値品シフト及び、施工用部材の開発販売強化により、販売対象物件1棟当たりの売上拡大を図ります。
生産面においては、物流2024年問題により増大している物流コスト等の削減のため、適地生産を拡大するとともに、合理化を目的とした設備改造、及び労働人口減少に対応した省人化投資に取り組むことで、生産性向上を進めてまいります。また人件費を含むコストアップに対しては、適宜製品価格の見直しにも取り組んでまいります。
③ マテリアリティへの取組強化
CO2削減につきましては、2030年度に排出量50%削減(2013年度比)、2050年にカーボンニュートラルを目標として掲げております。目標の達成に向けて生産工場における燃料転換の検討や太陽光発電の導入、全社的な省エネ活動等を進めてまいります。
また、人的資本投資につきましては、従業員が自身の成長を実感できる制度や環境づくりを推進し、中長期的な労働生産性の向上に繋げてまいります。
④ 資本政策
資本市場との対話を通じて、期待されている資本コストを把握した上で、資本コストを意識した資本収益性(ROE、ROIC)の目標を設定いたしました。
ROEの目標達成に向けては、稼ぐ力の向上に加えて、資本構成の適正化にも取り組みます。具体的には、稼ぎ出したキャッシュを設備投資と株主還元に優先的に振り向けることで自己資本が必要以上に積み上がることをコントロールいたします。
PBRについては、ROEの改善とPERの改善により、1倍を安定的に超える水準を目指してまいります。PERの改善に向けては、株主・投資家とのコミュニケーション充実化、マテリアリティへの取組、コンプライアンス・リスク管理(BCP含む)強化等を進めてまいります。
(サステナビリティ全般)
当社グループでは、コーポレートスローガンである「素晴らしい人間環境づくり」のもと、経営方針・行動規範・コンプライアンス行動基準に基づき、各種ステークホルダー(お客様・株主・お取引先・従業員・地域社会等)の期待と信頼に応えつつ、当社グループの持続的成長と環境との調和を実現することにより、豊かで快適な社会の実現に向けて尽力しております。これらの実現のため、以下のとおりサステナビリティ基本方針を定め、これに基づく活動を推進しております。
・事業活動を通じた地球環境・社会への貢献
グローバルな視点で地球環境問題や社会的な課題の解決に積極的に取り組み、社会の持続的な発展に貢献いたします。
・公正な事業活動の実施
国内外の法令や社会規範を遵守し、各種ステークホルダーとの間において健全な信頼関係を構築するとともに、公正かつ誠実な事業活動を行います。
・高品質の製品・サービスの提供
お客様及び社会のニーズを追求した高品質の製品・サービスの開発及び市場への提供を通じ、住環境の向上や産業技術の発展に貢献いたします。
・人権尊重
事業活動に関わる全ての人々の人権及び多様な価値観を尊重し、人権侵害に繋がる不当な取引や行為を排除いたします。
・人材育成・労働環境の整備
多様性のある人材を新たな価値創造の源泉と考え、社員一人ひとりの人権・個性を尊重し、能力を最大限に発揮できるように人材の育成及び労働環境の整備に取り組みます。
・地域社会との共存
事業活動を行う国や地域の伝統・文化・慣習・価値観等を尊重するとともに、地域社会との連携と協調を図ることにより良好な信頼関係を構築いたします。
上記基本方針の下、具体的には当社グループでは、以下(1)~(4)のような取組を進めております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的と判断した基準に基づいたものであり、様々な要因により実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) ガバナンス
当社グループにおけるガバナンスについては、「
具体的には、経営企画部サステナビリティ推進室が主体となり、当社を取り巻く社会課題について、国際的なESG開示枠組みなどを参考に評価・分析を行った上で戦略を立案いたします。立案された戦略は、経営会議での審議を経て、取締役会にて決議されます。取締役会で決定された戦略を基に、各担当部署にて施策が企画、実行されるとともに、サステナビリティ推進室によってその進捗が管理されます。サステナビリティ推進室は、進捗状況や改善措置の必要性について経営会議に諮った上で、取締役会に報告し、取締役会の監督・監視を受ける体制となっております。
(2) 戦略
当社グループは、環境・社会のサステナビリティに影響を与える課題のうち、「地球温暖化の防止」、「循環型社会の形成」、「人権の尊重」、「人的資本経営の推進」の4つをニチハの強み、特徴を生かして貢献していくべき重要課題であるマテリアリティとして特定しております。これらのマテリアリティへの対応は、中長期的に競争優位性の確保や、価値創造力の持続化・強化につながり、社会貢献だけでなく、当社グループの持続的成長につながるものと考えております。
① 気候変動
(シナリオ分析)
当社グループは、気候変動によるグループの財務影響を把握するため、国内主要5社(注)を対象として、2030年度時点及び2050年度時点の影響を想定しております。シナリオ分析においては、気候変動に伴う影響は不確実性が高いため、2℃未満/1.5℃シナリオ及び4℃シナリオという複数のシナリオを採用しております。移行リスクの分析では、主に国際エネルギー機関(IEA)の2℃未満シナリオ(APS)、1.5℃シナリオ(NZE)を参照し、物理リスクの分析では、4℃シナリオとして、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書や第6次評価報告書を参照しております。
(注)国内主要5社はニチハ(株)、ニチハマテックス(株)、高萩ニチハ(株)、八代ニチハ(株)、ニチハ富士テック(株)です。
出典:気象庁 IPCC 第6次評価報告書 第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 気象庁訳(2022年5月12日版)
2℃未満/1.5℃シナリオでは、炭素税の導入や政府の脱炭素に向けた環境政策と規制が強化されることを想定しております。
一方で、4℃シナリオでは、地球温暖化が進行することにより、自然災害の頻発化・激甚化が進み、当社グループの工場が浸水により物理的な損害が発生する可能性のほか、調達先が被災することによってサプライチェーンが寸断され、当社グループの生産が一時的に停止する可能性を想定しております。
(特定したリスクと機会)
リスク・機会の事業への影響度については、一定の条件のもとに定量的に評価し、大・中・小の3段階に分類しております。ただし、定量的な評価が難しい項目については、定性的な評価としております。
※期間:中期 10年以内、長期 30年以内
(対応策)
当社グループは、特定した気候変動に関連するリスクと機会のうち、特に当社グループに重要な影響を及ぼすと判断した項目について、以下のように対応を進めております。
② 人的資本
当社グループでは、人材の価値を最大限に引き出すことによる中長期的な企業価値の向上を目指しており、以下の人的資本に関わる戦略を推進しております。
ⅰ.人材の育成・活用
ア.「自走する人材が育つ新生ニチハ」をコンセプトとした人事制度
グループの中核であるニチハ株式会社では、「Ⅰ.責任と貢献」、「Ⅱ.チャレンジと成長」、「Ⅲ.ダイバーシティと活力」をキーワードとした人事制度を設けており、全員がプロフェッショナルな人材となる環境づくりを推進しております。
また、マネジメント層への評価軸として、自身の問題解決能力だけでなく、配下の人材の育成にも評価軸を置くことにより、組織全体の能力向上を図っております。
イ.教育制度の充実
従業員の生産性向上のための専門知識や技術の習得を目的とした研修や従業員のキャリア形成に役立つ階層別研修などとともに、多様化する現代社会の価値観や新たな規範に対応していくため、コンプライアンスやハラスメントなどの研修を充実させるなど、人材の育成を推進いたします。
また、次代の経営を担う人材の育成を目的としたリーダーシップ研修を実施しております。
ウ.社員の意欲に応える制度
社長への直接提案制度である「チャレンジポスト」を設置し、社員の熱意が直接届く環境を整えております。
具体例としては、若手営業職が営業所の副所長のポストに自ら立候補できる「営業副所長の立候補制度」など、社員の意欲に応える取組を進めており、挑戦を通して成長を促すよう努めております。
ⅱ.ワークライフバランスの推進
当社グループでは、行動規範の一つとして、「社員一人ひとりの個性・人格を尊重し、それぞれの立場で自己実現を目指せる職場を作ります。」と掲げております。そのためには、業務自体の働きがいとともにそれぞれの生活の充実や自己研鑽が欠かせないものと考え、ワークライフバランスを推進しております。具体的には、有給休暇取得の促進、育児休暇・介護休暇制度の充実化、在宅勤務の実施などの施策を実施しており、それらを通じて、働きがいの拡充、ひいては生産性の向上に努めております。
ⅲ.健康経営
当社グループでは、コンプライアンス行動基準の中で、「役職員の安全と健康が大切な価値であり、事業の発展を支える基盤であることを認識し、それを守るための取組を行います。」と掲げており、役職員の健康増進に努めております。
国内における労働人口の高齢化に伴い、役職員の健康は組織の活性化、生産性の向上に繋がる経営課題として認識し、さらなる取組として健康経営優良法人の取得を目指しております。
ⅳ.ダイバーシティの推進
当社グループでは、人材の多様性確保が有益な価値創造の源泉のひとつと考え、多様な社員の採用及び登用を推進し、職場における多様性の向上を図っております。また、多様な社員一人ひとりの人権・個性を尊重し、能力を最大限に発揮できる環境の整備を図るとともに、その成長を通じてグループの持続的成長を目指しております。
(3) リスク管理
全社リスク管理の体制については、「
管理すべきリスクについては、昨今、企業を取り巻く環境が大きく変化し、想定外の新たなリスクが顕在化するなど複雑化していることから、下記のとおりリスクカテゴリーを設定し、重要リスクの抽出を行うとともに、PDCAサイクルによるリスク管理活動を推進し、リスク低減を図っております。
リスクカテゴリー一覧
①経済情勢・市場リスク ⑦自然災害・設備事故(火災含む)・感染症リスク
②環境・気候変動リスク ⑧情報セキュリティ・ITリスク
③品質・製造物責任リスク ⑨コンプライアンスリスク
④調達・サプライチェーンリスク ⑩損失・コストに繋がるオペレーショナルリスク
⑤技術革新・研究開発リスク ⑪その他、業務の遂行並びに目的の達成を阻害するリスク
⑥人事関連(労働安全衛生含む)リスク
上記のうち、特に②環境・気候変動リスク、⑥人事関連(労働安全衛生含む)リスクをサステナビリティに影響を及ぼす重要な項目と捉えております。
(4) 指標と目標
当社グループではサステナビリティに係るKPIとして以下を設定しております。
気候変動に係るKPI(国内主要5社GHG排出量)
(単位:千t-CO2)
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年度 |
Scope1 |
Scope2 |
Scope1,2計 |
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2013年度(基準年) |
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2021年度 |
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2022年度 |
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2030年度目標 |
CO2排出量2013年度比50%削減 |
149.5 |
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(注)国内主要5社はニチハ(株)、ニチハマテックス(株)、高萩ニチハ(株)、八代ニチハ(株)、ニチハ富士テック(株)です。
人的資本に係るKPI(提出会社)
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目標年度 |
KPI |
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人材の育成・活用 |
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健康経営優良法人の取得 |
2024年 |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、本記載は、将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。
(1) 住宅着工の動向が業績に影響を及ぼすことについて
主力製品である窯業系外装材を始め、当社グループの製品はその多くが国内住宅産業向けであり、かつ国内窯業系外装材は業界内シェアが50%を超えていることから、当社グループの業績は住宅着工戸数の動向に影響を受けます。新設住宅着工戸数については、中長期的には、わが国の人口減少などの構造的要因により、減少が予想されています。当社グループとしては、従前より海外市場への進出や店舗・公共施設などの非住宅市場開拓にも注力しており、近年は新工法開発を武器として中高層建築物向けにも参入するなど市場開拓を図っておりますが、国内新築住宅向け市場規模の占める割合は大きく、その動向に影響を受けることになります。
特に窯業系外装材は、主に木造及び鉄骨造の建築物に使用されるため、戸建及び低層アパートの新設着工戸数と相関関係が認められます。従って、同着工戸数が窯業系外装材業界全体の出荷量の先行指標でもあり、当社グループの業績もその動向に大きく影響を受けることになります。
(2) 景気動向と競合等について
住宅関連業界では厳しい企業間競争が続く中、窯業系外装材業界は過去に提携・再編・統合などの動きがありましたが、最近はこれら業界再編の動きは落ち着いております。販売価格については、ここ数年は業界内で値上げ発表が相次いだことから上昇基調となっておりますが、先行きについては需要動向等によっては価格競争が再び激化するリスクがあります。
当社グループといたしましては、業界トップ企業として今後も商品力を背景に価格をリードする意向であり、高付加価値品を中心とする高級品化への移行を推進するとともに、一層のコストダウン・合理化に努め対応していく方針ですが、価格改定が計画通りに進まない場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料・エネルギー価格等の変動と調達について
当社グループの製品製造における原材料・エネルギーは、その多くは塗料を始めとする原油からの生成品・セメント・パルプなどから構成されております。近時、これら諸資材の価格が短期間に大きく変動する傾向にあり、この傾向は今後も続くことが考えられ、従前のように比較的安価な材料等を安定的に調達できなくなるリスクがあります。また、特定の原材料について調達そのものが困難になるリスクもあります。
当社グループでは対策として、調達先の多様化や一括調達の検討、あるいは材料配合の見直しなど様々な調達方法の検討と合理化策を講じる一方で、次期の業績予想においても、一定の前提の下、資材価格の変動の影響を織り込むなどしておりますが、諸資材の価格が予想を上回ったり、販売価格への転嫁が不十分となった場合には当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(4) 製品の欠陥及び製造物責任について
当社グループは、従来より製造業の原点として製品の品質管理を徹底しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、将来的にもクレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
大規模なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が生じれば、多額の費用を要するのはもちろん、当社グループの製品に対する信頼性を損ない、それにより売上額が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(5) 海外市場での事業展開について
当社グループは、海外事業を「次の成長エンジンの一つ」に位置付けております。米国については、日本国内及び米国で生産した窯業系外装材を住宅市場向け、及び商業施設などの非住宅市場向けに販売しております。人口増を背景に住宅市場は根強い需要があり、非住宅市場も経済成長の下、堅調に推移しております。今後はさらなる増産や高付加価値品の生産に取り組み、米国事業の拡大を図ります。
この方針の下、2021年10月に米国子会社にて高付加価値品を生産する第二工場を建設し、2022年6月から生産を開始いたしました。本工場は、日本で生産しているものと同等の高付加価値品を生産できる工場です。この第二工場により、高付加価値商品の現地での供給能力が増大することから、その拡販に一層注力してまいりますが、大きな生産トラブルや現地従業員の不足等によって第二工場が計画した通りに稼働せず、拡販のペースが遅れる可能性があります。
また、市場としての可能性を有する中国市場については、浙江省にある生産子会社2社が窯業系外装材を製造・加工しており、その大半を当社及び米国子会社に供給しているほか、一部は中国国内でも販売しております。
海外進出に際しては、海外市場での成長の機会に乗り遅れないために、収益の計上が見込まれる時期より早期に多額の投資を行う必要が生じます。このような立ち上がり期の投資額の増大によって、利益を上回る費用が必要となることがあります。さらに、海外における事業展開には、市場開放の問題、予期しない法律又は諸規制の変更、税務や政治的・経済的要因、あるいは戦争・テロなど様々なリスクが内在すると考えられ、それら要因が障壁となり、当社グループの事業成長が妨げられる可能性があります。
海外における事業活動の結果は、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替変動の影響について
当社グループの業績及び財政状態は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替の変動は、①当社及び在外子会社における外貨建取引や海外との間接的な輸出入取引に関わる資産・負債、収益・費用及びキャッシュ・フローに影響する場合、②連結財務諸表における在外連結子会社の資産・負債、収益・費用の円貨への換算額に影響する場合の二つの側面において影響を及ぼします。
現時点では営業利益段階での為替感応度は大きくありませんが、急激な為替変動によって資材調達額に大きな影響を受けたり、連結に占める米国事業の比率が変化することで為替変動の影響を受けやすくなる可能性があります。
(7) 大規模な自然災害の影響について
大規模な自然災害の影響につきましては、2011年3月11日に発生した東日本大震災後、国内では大地震に対するリスク認識が強まっております。かかる状況下、報道等によれば、東南海地震等の大地震が近い将来に発生する可能性が高いことが指摘されております。当社グループでは、東南海大地震が発生した際に「震度6弱」の揺れが予測される地域内に、当社名古屋工場、ニチハマテックス株式会社衣浦工場・大江工場等が存在します。
当社グループでは、将来予想される大地震の発生に備え、人的被害対応の訓練を実施するほか、建物の補強工事などの対策を講じておりますが、ひとたび大地震が発生すれば、当社グループの生産設備等に重大な影響を及ぼすことが想定されます。一方では、国内における経済活動の停滞に伴う消費動向の悪化により、当社グループの業績にマイナス影響が生じる可能性があります。
(8) 工場における火災・事故と設備トラブルについて
生産工場における火災・事故と重大な設備トラブルは、労働災害の発生や稼働停止による製品供給の中断に繋がります。特に、当社グループの一部工場においては、木質系材料の使用に伴う飛散ファイバー(木材ダスト)の発生と現場での高熱利用が相まって火災が発生するリスクがあります。
当社グループは、火災・事故を発生させないための体制や安全防火に係る各種マニュアル等の整備を進めるとともに、ダスト除去設備・モニター設置なども行い現場管理を強化しておりますが、火災・事故が発生した場合は当社グループの業績や財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
なお、不測の事態に備え、資産の保全や事業中断に伴う機会損失をカバーするために、損害保険によるリスクヘッジを併せて行っております。
(9) 知的財産について
当社グループでは、事業の優位性を確保するため、開発した製品や技術について知的財産権による保護に努めておりますが、出願する特許等に対して権利が付与されない場合や十分な保護が得られないことが起こり得る可能性があります。
また、知的財産権に関して、第三者の技術を使用したい場合に、その技術が使用できない、若しくは不利な条件で使用せざるを得ない、あるいは第三者から訴訟を提起されたり、第三者に対して訴訟を提起しなければならないことがあります。
当社グループでは、侵害警告等を受けることのないよう、体制・対応を整備して業務にあたっておりますが、万一、当社グループによる第三者の知的財産権侵害が認定された場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(10) 環境保全について
当社グループが製品を製造する過程で使用する材料等の中には、人の健康や自然体系に影響を与える物質等を含んでいるものがあります。
当社グループは、これらの有害物質を扱う社員の健康被害を防止するために作業環境の管理・改善を推進する一方で、大気・土壌汚染、水質汚濁等の環境汚染防止に係る各種環境関連法令を遵守するとともに、法令上使用が認められている材料等であっても、より環境に配慮した材料等の選択・利用にも取り組んでおりますが、万一、当社グループの事業活動に起因する環境汚染が発生した場合には、対応に多額の費用が生じたり、社会的信用が低下することにより、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(11) 情報システムについて
当社グループは、生産・販売等の各種事業活動を行う上で、コンピュータシステム及び情報通信システムを利用しています。コンピュータシステム上のハードウェア・ソフトウェアの不具合や欠陥、通信ネットワークにおける障害等が生じた場合には当社グループの事業活動に支障が出る可能性があります。
また、これらの障害が生じた場合には、当社グループが保有する各種機密情報が外部に漏洩するリスクがあります。
当社グループでは、効率的で安定した事業活動の遂行と情報の秘密保持のため、適時・適切なシステムの更新やデータ処理能力の増強、障害発生時のバックアップ機能付加など体制を整備しておりますが、テロ、自然災害、ウイルス等による情報通信システムの不具合など、不測の事態が起きた場合には、当社の事業活動継続に影響が及ぶ可能性があります。
(12) 人材確保について
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営を企画推進できるマネジメント能力に優れた人材など、多種多様な能力を有する人材の確保・教育を継続的に行っていく必要があります。特に、工場などの現場においては、操業等に必要な有資格者を適切に配置し、運営を管理する必要があります。
当社グループでは、新卒採用のみならず経験者の通年採用を積極的に行うとともに、中長期を見据えた計画的な採用と育成に努めておりますが、これらが計画的に進まない場合には、長期的観点からの事業運営の有効性が損なわれ、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(13) 納期管理・供給責任について
当社グループは、適切な納期を確保すべく事業活動を継続しておりますが、競合企業の価格施策や生産能力の変化などの影響に伴い、当社の供給能力を上回る受注により欠品や納期遅延等が発生するリスクがあります。
当社グループでは、このような状況を生じさせないためにも、販売・生産・調達などの各部門において情報の収集と共有を強化するとともに、前中期経営計画期間(2021年4月~2024年3月)には生産能力の大幅増強を実施し供給力を高めておりますが、深刻な欠品や納期遅延が長期間に亘って発生した場合は、顧客からの信用低下により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(14) 法的規制について
当社グループは、「(5) 海外市場での新規事業について」で前述した規制等の他にも、事業展開をする上で国内外の法令や許認可など様々な法的規制の適用を受けております。
また、これらの法的規制が従来よりも厳格になることも考えられます。
当社グループでは、これらの法規制に加えコンプライアンスを遵守すべく、行動指針を定め、研修等を通じて役職員への徹底を図っておりますが、法令の改変や規制強化に伴い当社グループの事業活動が制限されたり、法的規制に対応するための費用が増加することにより、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(15) 気候変動について
気候変動に関しては、現状を上回る対策が採られなかった場合には、地球温暖化が進行することにより、自然災害の頻発化・激甚化が進み、当社グループの工場において浸水等による損害が発生するリスクのほか、調達先が被災することによってサプライチェーンが寸断され、当社グループの生産が一時的に停止するリスクがあります。
一方で地球温暖化阻止のための厳しい対策が採られた場合は、炭素税の導入によるコスト負担発生のほか、当社グループを含むサプライチェーン全体で温室効果ガスの排出抑制、カーボンニュートラルが求められることにより、資材・エネルギーコストや脱炭素に向けた設備投資が増加し、当社グループの業績が悪化するリスクがあります。
当社グループは、2022年6月に気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明いたしました。今後も、脱炭素化の推進や地球環境に配慮した商品の開発などを企業経営の重要課題と位置づけ、取組強化を加速していく方針ですが、想定を超えるような自然災害が発生した場合や当社グループの脱炭素化が計画どおりに進捗しなかった場合には、事業活動の継続や業績に影響を与える可能性があります。
(16) 人権及びコンプライアンスについて
サプライチェーンのグローバル化・複雑化が進む中、取引先において児童労働や強制労働等の人権問題の発生が判明した場合、取引先との取引停止を始め調達活動に大きな支障が生じるリスクがあります。
当社グループとしましては、調達基本方針の一つとして、「人権の尊重と労働安全衛生への配慮」を掲げており、取引先に対しても「基本的人権の尊重」と「安全で衛生的な職場環境の実現及び維持」をお願いしております。さらに新たに契約を行う取引先には人権の尊重に関する誓約をお願いするなどの取組を行っております。
また、当社グループにおいて、ハラスメントを始めとする労務関連のコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの企業イメージ低下や争訟の発生等、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループとしましては、ハラスメントは重大な人権の侵害に繋がる行為として、以前より発生防止に努めておりますが、パワハラをはじめとする各種ハラスメントのさらなる発生防止策として、従業員に対してeラーニングや定期的な動画視聴による教育活動を推進しております。
(1)財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。
前連結会計年度末に比し純資産が66億83百万円、総資産が63億51百万円それぞれ増加した結果、自己資本比率は72.0%と1.3ポイントの増加となりました。
増減の主なものは、流動資産では主として現金及び預金が60億40百万円減少した一方で、商品及び製品が38億45百万円、受取手形及び売掛金が21億48百万円、仕掛品が13億87百万円それぞれ増加したことなどにより、流動資産全体で4億69百万円増加しております。また、固定資産では有形固定資産が10億43百万円、投資その他の資産が50億94百万円それぞれ増加したことなどにより、全体では58億81百万円増加しております。
負債では、流動負債が18億56百万円減少した一方で、固定負債が15億24百万円増加したことにより、負債合計は3億32百万円減少しております。
(2)経営成績等の状況
① 事業全体及びセグメントごとの経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかに回復しているものの、資材価格の高止まりや為替変動等が企業収益に影響を与える状況が続きました。
当社製品の主要マーケットである国内住宅市場における2023年度の新設住宅着工戸数は、主として戸建住宅が減少したことから、800千戸と前年度比7.0%の減少となりました。これに加え、平屋建の割合の上昇もあって、窯業系外装材の業界全体の国内販売数量は、前年度比7.9%(JIS規格対象外の12mm厚製品を含む基準)の減少となりました。
他方、海外主要マーケットである米国市場について、住宅着工戸数は住宅価格の上昇や住宅ローン金利の高止まりを背景に一進一退の状況が続きました。また、米国の非住宅市場についても、年後半は金利高を受けて投資を控える動きが一部に出ております。
このような市場環境下、当社グループの当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
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(金額単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2023年3月期) |
当連結会計年度 (2024年3月期) |
増 |
減 |
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金額 |
率(%) |
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売上高 |
138,063 |
142,790 |
4,727 |
3.4 |
|
営業利益 |
11,704 |
10,205 |
△1,498 |
△12.8 |
|
経常利益 |
12,805 |
11,856 |
△949 |
△7.4 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
9,037 |
8,066 |
△970 |
△10.7 |
売上高につきましては、国内窯業系外装材事業が、住宅市況低迷の影響を受けたものの、シェアアップと価格改定効果の浸透により増収となりました。また、米国外装材事業も、住宅市況低迷の影響はありましたが、コマーシャル事業の営業体制増強が奏功したことなどにより増収となりました。以上により、全体の売上高は1,427億90百万円と前連結会計年度比47億27百万円(3.4%)の増収となりました。
なお、窯業系外装材の国内シェアについては、通期(12ヵ月)57.2%、下期(6ヵ月)58.6%、第4四半期(3ヵ月)58.9%と何れも過去最高となりました。
損益につきましては、価格改定効果やエネルギー価格下落などの増益要因があったものの、資材価格の高止まりや固定費増、米国第二工場の稼働低迷などによる減益影響を補えず、営業利益は102億5百万円と前連結会計年度比14億98百万円(△12.8%)の減益、経常利益は118億56百万円と同9億49百万円(△7.4%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、国内子会社において、固定資産の減損損失を特別損失に計上したこともあり、80億66百万円と同9億70百万円(△10.7%)の減益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
外装材事業
売上面では、前記のとおり、国内外装材事業、米国外装材事業のいずれも増収となったことから、売上高は1,341億44百万円と前連結会計年度比48億60百万円(3.8%)の増収となりました。
他方、損益面では、能力増強投資に伴う固定費増加や住宅市況低迷に伴う販売数量減の影響などにより減益となったため、セグメント利益(営業利益)は130億5百万円と前連結会計年度比14億47百万円(△10.0%)の減益となりました。
その他
売上面では、FP事業を中心に減収となったことから、売上高は117億16百万円と前連結会計年度比7億6百万円(△5.7%)の減収となりました。
損益面では、前記のとおり減収となったため、セグメント利益(営業利益)は68百万円と前連結会計年度比39百万円(△36.7%)の減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し60億40百万円減少し、当連結会計年度末には267億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は69億19百万円(前連結会計年度比13億75百万円の増加)となりました。これは、主に、償却前利益(税金等調整前当期純利益+減価償却費)で168億36百万円を計上した一方で、棚卸資産が47億46百万円、売上債権が20億29百万円、法人税等の支払額が18億51百万円それぞれ増加するなど資金の減少要因もあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は60億39百万円(前連結会計年度比65億80百万円の減少)となりました。これは、主に、有形固定資産の取得による支出が58億93百万円(前連結会計年度比41億94百万円の減少)あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は71億21百万円(前連結会計年度比22億26百万円の増加)となりました。これは、主に、配当金の支払額が38億22百万円、自己株式の取得による支出が27億38百万円あったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
外装材事業(百万円) |
112,556 |
106.0 |
|
報告セグメント計(百万円) |
112,556 |
106.0 |
|
その他(百万円) |
8,778 |
99.2 |
|
合計(百万円) |
121,334 |
105.5 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
ⅱ.製品商品仕入実績
当連結会計年度における製品商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
外装材事業(百万円) |
14,502 |
100.1 |
|
報告セグメント計(百万円) |
14,502 |
100.1 |
|
その他(百万円) |
219 |
74.2 |
|
合計(百万円) |
14,721 |
99.6 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
ⅲ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
その他 |
478 |
111.4 |
72 |
150.1 |
(注)その他における注文住宅、住宅リフォームに係るものであります。なお、上記以外については、主として見込み生産によっており、受注生産はほとんど行っておりません。
ⅳ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
外装材事業(百万円) |
133,153 |
103.8 |
|
報告セグメント計(百万円) |
133,153 |
103.8 |
|
その他(百万円) |
9,637 |
98.4 |
|
合計(百万円) |
142,790 |
103.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
SMB建材(株) |
35,634 |
25.8 |
37,787 |
26.5 |
|
住友林業(株) |
29,566 |
21.4 |
30,003 |
21.0 |
|
伊藤忠建材(株) |
19,796 |
14.3 |
20,458 |
14.3 |
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、「(1)財政状態の状況 (2)経営成績等の状況 ① 事業全体及びセグメントごとの経営成績の状況」の項に記載のとおりであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」の項で前述した各リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
また、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用に伴い、今後の業績等の内的要因や地価の下落等の外的要因を含め、当社グループが所有する固定資産につき、将来キャッシュ・フローが十分に見込めない資産又は資産グループが存在すると判定された場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことがあります。
③ キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「(2)経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」の項に記載のとおりであります。
ⅱ.資金調達と資金需要
当社グループはメイン銀行をはじめ取引金融機関と良好な関係を維持しております。当連結会計年度には設備投資資金の調達及び長期安定資金の確保のため、26億96百万円の長期借入を行いました。一方、長期借入金の約定返済が進んだこともあり、長期・短期合わせた借入金残高は、前連結会計年度末に比し、2億92百万円減少して148億41百万円となりました。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、「素晴らしい人間環境づくり」のスローガンのもと、循環型社会の実現に貢献する創造開発型企業として、新しい建築材料の可能性を探る基礎研究から顧客ニーズに寄り添った商品開発、高品質・低コストを両立するための生産技術、さらには施工技術の開発に至るまで、時代を先取りする新商品・サービスの提供を目指して研究開発活動を行っております。
当社グループにおける研究開発活動は、主として当社並びに子会社(株)チューオー及び子会社(株)FPコーポレーションが行っております。
当連結会計年度には、当社は「世界で通用する建物の壁材専業メーカー」を目指し、商品構成の充実を図るとともに、非住宅市場や海外市場にも適応する外装材の追求・開発に精力的に取り組みました。(株)チューオーにおいては金属を素材とする外壁材と屋根材を中心に、また(株)FPコーポレーションにおいてはウレタン断熱パネルを中心に、それぞれ新商品の上市や画期的な改良に向けて活発な研究開発活動を展開しております。
なお、当連結会計年度末現在の研究開発人員は90名、当連結会計年度の研究開発費は
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。
(1) 外装材事業
窯業系外装材については、当社独自の技術を活かし、環境負荷低減と住宅性能向上に貢献する機能・工法の開発を基本思想に、様々な商品を開発し発売しております。
当社グループは、前中期経営計画(2021年度~2023年度)において非住宅市場開拓を重点課題の一つとして取り組んでまいりましたが、第一次中期経営計画(2024年度~2026年度)においても、これを重要戦略テーマの一つである「国内外の市場開拓推進」の施策として掲げております。具体的には、中高層建築物向けの市場開拓に注力しており、この実現に向けて新商品開発や工法開発を進めております。
非住宅市場開拓に向けた取り組みの一環といたしまして、株式会社長谷工コーポレーションと鉄筋コンクリート造(RC造)建築物における複合乾式外装工法「RC×EX工法」を前連結会計年度に共同開発いたしましたが、当連結会計年度はこの工法においてリノベーション工事にも応用出来るよう共同開発いたしました。これは、既存のタイル貼りの上から施工することで、外観デザインにもこだわりつつ、既存タイルの落下防止と廃棄物削減を可能とすることで、環境にも貢献する工法です。
金属系外装材においては、金属系屋根材として、明暗のあるグラデーション塗装を活かした南欧風スタイルの「横暖ルーフαS窯変」を2023年7月に発売いたしました。
以上の外装材事業に係る研究開発費は
(2) その他
当社グループは、その他事業においても研究開発に積極的に取り組んでおります。FP事業では、断熱強化商品として、天井用断熱材「ラクティー・ジーピー(Rakuty Gp)」を2023年6月より全国で販売開始いたしました。これは、経年劣化が極めて少なく、これまで多くの省エネ住宅づくりに寄与してきた独自処方の硬質ウレタンフォームを天井用に応用することにより、夏季の日射熱侵入による屋内温度の上昇を抑制する遮熱効果を発揮する商品であります。
以上のその他に係る研究開発費は34百万円であります。