第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、持続的に成長し企業価値の向上を図るため、「住生活に関するビジネスを基軸として、生活文化の向上と地球環境の保全に貢献します。」との経営理念のもと、住生活に関するビジネスを充実させるとともに、事業ポートフォリオを拡大することで、「安全安心でサステナブルな(持続可能な)社会を創造する」というパーパスの実現を目指しております。

 

(2) 経営環境

わが国経済は、企業の賃上げによる所得環境の改善、個人消費の持ち直しが期待され、景気は緩やかな回復基調で進むことが予想されます。しかしながら、円安の長期化、エネルギーや原材料価格の高止まり、ウクライナや中東の地政学的リスクの高まり等から、先行きは依然として不透明な状況となっております。

住宅関連業界におきましては、住宅建築価格の上昇、マイナス金利政策の解除に伴う住宅ローン金利の上昇懸念等により、当社グループの主なターゲットである持家・分譲戸建住宅の着工戸数につきましては、相応の減少を見込んでおります。また、運送業・建設業の2024年問題による物流費や外注費の増加も見込まれます。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループといたしましては、2027年3月期を最終年度とする5か年の中期経営計画において、次の3項目を基本方針とし、同方針に基づく各種施策を推進することにより、持続的な成長及び企業価値の向上を図ってまいります。

・持続的成長に向けた事業ポートフォリオの変革

・成長分野に注力した営業展開

・安定成長を支える経営基盤の確立

 

<持続的成長に向けた事業ポートフォリオの変革>

住宅需要の変化に影響を受けにくい企業体質を確立するため、M&Aを活用し、非住建分野の売上構成比率を高めてまいります。特に、建設・工事を行なうエンジニアリング事業のM&Aを積極的に推進し、事業規模の拡大に努めてまいります。

 

<成長分野に注力した営業展開>

脱炭素社会の実現等、今後の事業環境の変化を見据え、以下の取り組みを強化してまいります。

① 建材事業

  ・脱炭素関連商材の拡販

  ・リフォーム・リノベーション需要の取り込み

  ・非住宅市場の開拓

② 加工事業

  ・非住宅市場の開拓

  ・工事機能の強化

③ 環境アメニティ事業

  ・施工体制の強化

  ・EC市場の開拓

 

④ エンジニアリング事業

  ・更なるM&Aの推進による工事ネットワークの構築

  ・建材事業と連携した土木関連商材の取扱い

⑤ その他事業

  ・自動車のEV化を見据えた売上構成の転換

  ・国内製産業資材の拡販

 

<安定成長を支える経営基盤の確立>

DX推進、サステナビリティについての取り組み強化、人材の育成・確保、コーポレートガバナンスの強化等により、安定成長を支える経営基盤の確立を図ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティに関連する課題に適切に対応し、中長期的な企業価値の向上に取り組むため、サステナビリティへの取り組みを強化しております。

2023年4月1日付で、代表取締役 社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、サステナビリティ課題への対応方針や諸計画等の策定及び改定、取り組みの進捗状況の管理を行ない、原則として半年に1回開催し、適宜、取締役会へ報告します。取締役会は、「サステナビリティ委員会」から報告を受け、必要に応じて対策を決議し、監督・指示を行ないます。

 

(2) 戦略

現時点で識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は「環境」及び「人的資本」であり、それぞれの戦略は、以下のとおりであります。

① 環境

中長期的なリスクの一つとして「気候変動」を捉え、関連リスク及び機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(2℃未満シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、当社グループの建材事業・加工事業を中心に、2050年までの長期的な影響を考慮したシナリオ分析を実施しました。

また、GHG(温室効果ガス)排出量削減を目的として、ヨドプレ㈱において2024年1月に自家消費の太陽光発電設備を設置し、2月より運用を開始しております。

 

 

             (気候変動に関する主なリスクと機会)

シナリオ

要因

項目

リスク/
機会

影響度

当社グループ
への影響

当社グループの対策

2℃
未満

炭素税の導入

調達コストの増加

リスク

原材料の調達コストが大幅に増加し、利益を圧迫するため、影響は大きいと考えられる。

↓↓↓

脱炭素型商材への切り替え

国産材及び地域材の活用

調達ビジネス以外のビジネスモデルの拡大(フィービジネス・コンサルタントビジネス等)

配送コストの増加

リスク

販売運賃が増加し、利益を圧迫するため、影響は一定程度あると考えられる。

↓↓

物流体制の更なる効率化

・自社配送ルートの見直し

・グループ企業との共販体制の構築

・IT技術の積極的活用

・委託配送の効率化

脱炭素政策の強化/社会的風潮の高まり

脱炭素関連
商材の需要
拡大

機会

政府の各種政策を受けて、脱炭素商材の売上拡大が見込まれるため、影響は大きいと考えられる。

↑↑↑

ZEH・ZEB関連商材、太陽光発電関連商材の拡販・推進

環境に優しい木質素材や断熱材等の環境配慮製品の拡販・推進

新商品・新企画の提案

木造建築の
需要拡大

機会

環境意識の高まりに伴い、大気中にCO2を吸収・固定化(炭素貯蔵)し、製造・施工時におけるCO2排出量も少ない木材を活用した木造建築物の需要が拡大する。

非住宅建築物の木造・木質化は公共建築物も含め推進されるため、影響は一定程度あると考えられる。

↑↑

輸入木材に比べ、調達時のCO2排出の少ない国産木材活用への積極的な提案

非住宅木造建築物の需要に応える資材供給・工事体制の効率的な構築

4℃

急性
リスク

自然災害による自社拠点(営業所・工場)や商品在庫への損害発生

リスク

在庫量が多い自社拠点、プレカット工場が沿岸浸水・河川浸水を受け、被害を受ける可能性が一定程度考えられる。

↓↓

自社拠点被災リスクの洗い出し・対応方針の策定

被災後の迅速な復旧に向けた体制構築・準備の推進

・社内重要データバックアップ

・自社工場の復旧体制構築等

グループ内における災害発生時復旧策の策定(被災時「災害対策本部」設置等)

被災による
建築資材調達先の操業停止

リスク

代替調達の困難な主要調達先の工場が沿岸浸水・河川浸水による被害を受けるリスクは現時点では小さいと考えられる。

災害時の調達リスクの洗い出し・対応方針の策定を通じ、災害時事業継続体制の確立

災害対策・復旧需要の
拡大

機会

台風等自然災害の激甚化により、防災性能の高い住宅や防災関連商品の需要拡大は一定程度考えられる。

↑↑

防災に資する商品、サービスの積極的な提案

防災に優れた「レジリエンス住宅」や耐力面材等「レジリエンス強化商品」の積極的な提案

災害時の復旧・仮設住宅需要に応じた供給体制の確立

 

 

② 人的資本

当社グループの事業には、専門的な知識、様々な実務経験、建設に関する資格等を有する人材が不可欠であります。優秀な新卒者の採用及び育成や即戦力の中途採用に注力しており、併せて、女性活躍推進を含む多様な人材の登用、次世代経営人材の育成等を推進しております。人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。

・多様な働き方の推進

従来からの働き方に加え、テレワーク、時差出勤、有給休暇取得の推進等、個人のライフスタイルに合わせた勤務体系を推進すべく、その環境づくりを行なっています。

・女性活躍推進

女性の活躍推進を行なうため、育児休業や短時間勤務制度の利用推進等、育児中の社員が働きやすい環境づくりや、有期雇用社員の正社員転換の推進を行なっています。

・エンゲージメントの向上

2024年3月に当社及び中核事業会社である越智産業㈱の社員を対象にエンゲージメントサーベイを実施いたしました。今後、様々な施策を実施しエンゲージメントの向上に努めてまいります。

・次世代リーダーの育成

次世代リーダーの育成を行なっています。

 

(3) リスク管理

当社グループは、「リスクマネジメント基本規則」に基づき、全社的なリスクマネジメント体制を構築しており、リスクマネジメント委員会が組織横断的かつ包括的なリスク管理を行ないます。サステナビリティ委員会はサステナビリティ関連リスクを管理し、リスクマネジメント委員会と連携してリスク管理を実行し、適宜、取締役会に報告を行ないます。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、「環境」及び「人的資本」に関する指標については、主要な事業を営む会社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行なわれているものの、連結グループに属する全ての会社では行なわれてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む会社のものを記載しております。

① 環境

当社グループの主要6社における環境に関する指標と、その目標及び実績は次のとおりであります。

指標

2030年度 削減目標

実績(当連結会計年度)

実績(2020年度)
基準年

Scope1及びScope2の
GHG排出量の合計

30%削減

 (2020年度比)

2,682t-CO2
(11.3%削減)

3,024t-CO2

 

(注) 目標及び実績の対象会社は、以下の6社であります。

OCHIホールディングス㈱、越智産業㈱、㈱ホームコア、㈱松井、太陽産業㈱、ヨドプレ㈱

 

② 人的資本

当社グループの中核事業会社である越智産業㈱における人的資本に関する指標と、その目標及び実績は次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

労働者の男女の賃金の差異

2028年3月まで70

59.7

正社員に占める女性割合

2028年3月まで30

26.3

係長級の役職者に占める女性割合

2028年3月まで20

15.9

課長級の女性役職者

2028年3月まで7

3

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「重要なリスク」に分類しております。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特に重要なリスク

① 住宅市場の動向

当社グループは、建材事業及び加工事業において住宅関連資材の販売を行なっており、その販売は新設住宅着工戸数の変動等の住宅市場の動向に左右されます。景気低迷、税制及び住宅関連政策の変更、木材等の資材の供給不足・価格高騰等で住宅関連資材の需要が減少した場合には、当社グループの経営成績等の状況に特に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおきましては、住宅関連資材の需要減少の影響を軽減するために、脱炭素関連商材の拡販、リフォーム・リノベーション需要の取り込み、非住宅市場の開拓等、成長分野に注力した営業展開を行なっております。また、住宅需要の変化に影響を受けにくい企業体質とするために、非住建分野の事業、特に、建設・工事を行なうエンジニアリング事業の規模拡大に努めております。

 

② 取引先に対する信用リスク

当社グループは、取引先に対して売上債権等について信用供与を行なっておりますが、取引先には建材・材木販売店や工務店等の中小企業が多く含まれております。特に景気後退期には、当社グループの取引先が売上不振、不良債権の発生、取引金融機関の対応変化等により支払不能に陥り、当社グループの債権が貸倒れとなる懸念が高まります。債権の貸倒れによる損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、実際の債権の貸倒れがこれを超過した場合には、当社グループの経営成績等の状況に特に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおきましては、持株会社である当社がグループ各社の与信管理を一元的に行なうなど、管理を徹底しております。

 

③ 企業買収等に関するリスク

当社グループは、M&Aによる事業ポートフォリオの拡大を経営戦略の一つとしております。M&Aを実施する際には、対象企業の財務内容、法的な問題点等についてデューデリジェンスを行なうことや、投資額、投資効果等を慎重に検討すること等により、事前にリスクを回避するように努めております。

しかしながら、その後の市況の変化や不測の事態により、当初予定していた効果を得ることができず、買収した企業の価値が大幅に低下する状況が生じた場合には、当社グループの経営成績等の状況に特に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害、感染症等に関するリスク

地震や風水害等の自然災害により当社グループの事務所、工場等が被災した場合や、感染症の大規模な流行が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障を来たす可能性があります。また、建材メーカー等の工場に自然災害による被災や感染症による操業停止が発生した場合には、仕入商品の品不足または仕入価格の高騰等により、当社グループの事業活動に支障を来たす可能性があります。さらに、サプライチェーンが寸断した場合には、復旧まで商品を供給できない可能性があります。事業継続計画(BCP)の策定等の対策は講じておりますが、これによって自然災害や感染症流行による被害を完全には回避できず、当社グループの経営成績等の状況に特に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 情報システムに関するリスク

当社グループは、販売管理システム、会計システム、人事管理システム等の情報システムや通信ネットワークを使用しております。当社グループといたしましては、システムトラブルの発生を防ぐため、セキュリティの強化、データセンターへのサーバーの設置、クラウドサービスの利用等の対策を行なっております。

しかしながら、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、自然災害等によって、情報システムの停止、情報の消失、漏洩、改ざん等の事態が発生した場合には、商品・サービス提供の中断、業務処理の遅延や混乱を来たし、当社グループの経営成績等の状況に特に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループにおきましては、業務の効率化に向けて、建材事業に共通した新しい販売管理システムの導入を2020年4月から開始しております。同システムは販売管理に加え、仕入及び原価管理、在庫管理、債権債務管理までの幅広い業務を対象とする基幹システムであります。旧システムから新システムへの移行を一斉ではなく段階的に行なうことで、新システムに不具合等が発生した場合の事業活動への影響を軽減することとしております。当連結会計年度までに越智産業㈱、㈱ソーケン、坂口建材㈱、㈱トーソー及び㈱丸滝に導入しております。今後、建材事業の他のグループ会社に順次、導入してまいります。

 

⑥ 人材の確保及び育成

当社グループの事業には、専門的な知識、様々な実務経験、建設に関する資格等を有する人材が不可欠であります。当社グループといたしましては、優秀な新卒者の採用及び育成や即戦力の中途採用に注力しており、併せて、女性活躍推進を含む多様な人材の登用、次世代経営人材の育成等を推進しております。

しかしながら、採用環境の変化等により必要な人材の採用及び育成が十分にできない場合や、重要な役割を果たしている人材が多数流出した場合には、事業活動に支障を来たし、当社グループの経営成績等の状況に特に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 重要なリスク

① 他社との競合

当社グループは、建材、環境アメニティ、加工、エンジニアリング、その他の5つの事業を行なっておりますが、それぞれの事業において競合会社が存在しております。当社グループといたしましては、顧客のニーズに合った、また、環境の変化に対応した商品・サービスを提供することにより、他社との競合に耐えうる事業基盤の構築に努めております。

しかしながら、異業種からの新規参入による競合激化や、競合会社によるМ&A、資本提携等を通じた寡占化が発生した場合には、当社グループが顧客を失う、もしくは顧客の維持・確保のため販売価格の引下げを余儀なくされ、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 公的規制に関するリスク

当社グループが事業活動を行なう上では、建設業等の許認可、廃棄物の処理規制、租税、介護保険等に関する法令等の様々な規制が存在します。当社グループにおきましては、コンプライアンス経営を重視し、法令遵守の徹底に努めておりますが、これらの規制を遵守できなかった場合には、事業認可の取消や事業活動への制約を受けることになり、当社グループの経営成績等の状況や社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、これらの規制の改廃や新たな公的規制の制定等が行なわれた場合には、事業活動への制約を受け、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 減損損失のリスク

当社グループは、不動産、機械設備等の有形固定資産、のれん等の無形固定資産、投資不動産等の投資その他の資産を保有しておりますが、これらの資産については減損会計を適用し、当連結会計年度末時点において、必要な減損処理を行なっております。

しかしながら、今後、市況の悪化や需要の減退等により保有する固定資産の経済価値が著しく低下した場合には、追加の減損処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績の状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられ、国内における行動制限や海外からの入国制限の緩和等により経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、エネルギーや原材料価格の高騰、ウクライナや中東における地政学的リスクの高まり等、景気下振れリスクもあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

住宅関連業界におきましては、建築資材や住設機器の値上がりによる住宅建築価格の上昇、物価高による住宅取得に対する消費者マインドの低下もあり、当連結会計年度における新設住宅着工戸数は、前期比7.0%減の80万戸となりました。また、当社グループの主なターゲットである持家・分譲戸建住宅の着工戸数につきましては、前期比10.0%減となりました。

このような状況の中で、当社グループにおきましては、脱炭素関連商材の拡販、リフォーム・リノベーション需要の取り込み、非住宅市場の開拓等の成長分野に注力した営業展開を図ってまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、113,366百万円(前期比1.9%減)となりました。利益面につきましては、営業利益は2,155百万円(前期比26.8%減)、経常利益は2,731百万円(前期比22.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,093百万円(前期比15.7%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

 <建材事業>

太陽光発電システム、蓄電池、高効率給湯器等の脱炭素関連商材の拡販、快適な水回りや空気環境等の実現のためのリフォーム・リノベーション需要の取り込み、非住宅の木造・木質化の推進に注力してまいりました。

工事機能の強化のため、2023年5月には、長崎市に本社を置き、外壁工事を中心とした住宅建築工事、住宅関連資材販売を行なうTRESSA㈱を新たに子会社化しました。加えて、2024年1月には、東京都北区に本社を置き、全国各地に拠点を有し、主として外壁工事や太陽光パネルの設置工事を行なう㈱アイ・ビルドを新たに子会社化しました。

しかしながら、持家・分譲戸建住宅の着工戸数減少の影響もあり、当事業の売上高は69,927百万円(前期比1.7%減)、営業利益は807百万円(前期比38.5%減)となりました。

 

 <環境アメニティ事業>

冷凍冷蔵機器及び空調機器の販売・設置工事が好調に推移したことにより、当事業の売上高は17,769百万円(前期比2.7%増)、営業利益は271百万円(前期比38.3%増)となりました。

 

 <加工事業>

主力の戸建住宅に加えて、事務所や店舗等の非住宅物件の受注に向けて営業を強化してまいりました。しかしながら、持家・分譲戸建住宅の着工戸数減少の影響に加えて、木材価格が下落したことにより、当事業の売上高は14,729百万円(前期比21.3%減)、営業利益は850百万円(前期比46.1%減)となりました。

 

 <エンジニアリング事業>

前期に子会社化した日本調査㈱及び芳賀屋建設㈱の業績が寄与したこと、及び、既存の子会社においても工事売上が堅調に推移したことにより、当事業の売上高は8,258百万円(前期比46.3%増)、営業利益は833百万円(前期比133.7%増)となりました。

 

 

 <その他>

産業資材の販売を行なっている太平商工㈱の事業を報告セグメントに含まれない事業セグメント「その他」に区分しております。

自動車関連及び産業用電気絶縁材の販売が減少したことにより、売上高は3,142百万円(前期比7.7%減)、営業利益は120百万円(前期比9.0%減)となりました。

  

 ② 財政状態の状況

 (資産)

流動資産は前連結会計年度と比べ696百万円(1.6%)減少し、43,947百万円となりました。「電子記録債権」が459百万円、「現金及び預金」が452百万円それぞれ増加しましたが、「受取手形、売掛金及び契約資産」が1,618百万円減少したことが主な要因であります。

固定資産は前連結会計年度と比べ2,501万円(12.6%)増加し、22,389百万円となりました。「建設仮勘定」が149百万円、無形固定資産の「その他」が104百万円、無形固定資産の「リース資産」が101百万円それぞれ減少しましたが、「土地」が1,453百万円、投資その他の資産の「その他」が556百万円、「建物及び構築物(純額)」が514百万円、「投資有価証券」が288百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。

 

 (負債)

流動負債は前連結会計年度と比べ576百万円(1.5%)減少し、37,921百万円となりました。「電子記録債務」が625百万円、「短期借入金」が214百万円それぞれ増加しましたが、「支払手形及び買掛金」が1,072百万円、「未払消費税等」が248百万円、「未払法人税等」が110百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。

固定負債は前連結会計年度と比べ594百万円(13.3%)増加し、5,071百万円となりました。「長期借入金」が110百万円、「リース債務」が106百万円それぞれ減少しましたが、「繰延税金負債」が408百万円、「役員退職慰労引当金」が251百万円、「社債」が144百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。

 

 (純資産)

純資産は前連結会計年度と比べ1,787百万円(8.3%)増加し、23,345百万円となりました。「利益剰余金」が1,384百万円、「その他有価証券評価差額金」が288百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比べ556百万円(4.0%)増加し、14,560百万円となりました。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,385百万円(前連結会計年度は1,856百万円)となりました。これは主として、「仕入債務の減少額」が1,044百万円、「法人税等の支払額」が1,020百万円であった一方で、「税金等調整前当期純利益」が3,346百万円、「売上債権の減少額」が1,889百万円、「減価償却費」が821百万円であったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,539百万円(前連結会計年度は364百万円)となりました。これは主として、「投資不動産の売却による収入」が693百万円、「投資有価証券の売却及び償還による収入」が411百万円であった一方で、「有形固定資産の取得による支出」が2,043百万円、「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」が677百万円であったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、△1,289百万円(前連結会計年度は△376百万円)となりました。これは主として、「長期借入れによる収入」が800百万円であった一方で、「長期借入金の返済による支出」が1,414百万円、「配当金の支払額」が709百万円であったことによるものであります。

 

 

 ④ 受注及び販売の実績

   a 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

建材事業

7,746

2.8

2,142

62.2

環境アメニティ事業

1,593

83.3

155

582.0

加工事業

13,532

△20.5

1,138

△17.8

エンジニアリング事業

7,314

45.8

4,270

△0.3

合計

30,186

△0.8

7,707

9.9

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

   b 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

建材事業

69,693

△1.6

環境アメニティ事業

17,763

2.6

加工事業

14,510

△21.2

エンジニアリング事業

8,258

46.3

その他

3,139

△7.8

合計

113,366

△1.9

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、持家・分譲戸建住宅の着工戸数が減少する中、売上高は、113,366百万円(前期比1.9%減)となりました。当連結会計年度及び前連結会計年度に実施したM&Aの寄与分を除けば3.9%の減収となります。営業利益は、人件費等、販売費及び一般管理費が増加したことから、2,155百万円(前期比26.8%減)となりました。M&Aの寄与分を除けば28.4%の減益となります。

当社グループの当連結会計年度の財政状態につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、その結果として、自己資本比率は前連結会計年度と比べ1.7%上昇し、35.1%となりました。

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

 <建材事業>

持家・分譲戸建住宅の着工戸数が減少する中、2023年5月にTRESSA㈱を子会社化し、2024年1月には㈱アイ・ビルドを子会社化しましたが、売上高は69,927百万円(前期比1.7%減)、営業利益は807百万円(前期比38.5%減)となりました。

両社のM&Aの影響額を除けば、売上高は前期比2.2%の減収、営業利益は前期比27.7%の減益となります。

 

 <環境アメニティ事業>

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 <加工事業>

持家・分譲戸建住宅の着工戸数減少の影響に加え、木材価格が下落したことから、売上高は14,729百万円(前期比21.3%減)、営業利益は850百万円(前期比46.1%減)となりました。

ただし、ウッドショック前の水準(2020年3月期:売上高15,471百万円、営業利益835百万円、2021年3月期:売上高13,455百万円、営業利益704百万円)は確保しております。

 

 <エンジニアリング事業>

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

<その他>

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

  a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、その結果として、手元流動性比率は前連結会計年度と比べ0.09ヶ月上昇し、1.54ヶ月となりました。

 

  b 資本の財源及び資金の流動性

資本政策につきましては、中長期的な株主価値の向上を図る観点から、M&A等の成長戦略及び財務の健全性強化のための内部留保の積上げと、株主の皆様への利益還元の拡充とのバランスを考慮することを基本としております。

成長戦略に伴うM&Aや設備投資のための所要資金につきましては、グループ内での営業活動による自己資金及び金融機関からの借入等で調達しております。なお、当連結会計年度末においては、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は6,370百万円となっており、一方、現金及び現金同等物の残高は14,560百万円となっております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結財務諸表作成時点において過去の実績等を勘案し合理的に見積りを行なっておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。