第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)経営方針

当社グループの経営方針は、以下の方針に基づいております。

 

1)健全な財務体質により、事業継続を長期にコミットします。

長期的視野での経営を可能にするためには財務的な独立が不可欠です。当社は企業収益及びステークホルダーへの利益還元を重視するのと同様に、高い自己資本比率の維持を目指します。

公的援助や他人資本を当てにした経営では事業を長期にコミットすることは不可能です。

これはリーマン級経済危機、伝染病流行、大規模自然災害等に備えるという点においても例外ではありません。予期せぬ事情で市場規模が急に冷え込んだ場合、生産能力が落ち込んだ場合でも、ブランドを棄損することなく終息まで耐え抜くだけの体力を備えておくことが重要です。また、M&Aや新事業への展開においても、好機に迅速な決定、対応が可能となるよう、ある程度潤沢な現預金を常時持ち合わせておく必要があります。

健全な財務体質はESG(環境・地域社会・企業統治)経営を持続的に継続する意味でも重要です。ESGを疎かにしてはいずれそのツケを払う時が来ます。環境対応については、形だけ整えてお茶を濁したり、いたずらに調査や議論を重ねるのではなく、当社の身の丈に合った範囲でスピード感をもって実現して参ります。

当社は30年先、50年先も現在同様自主独立を貫く健全な企業であり続けたいと思います。

 

2)Made in Japanで勝負します。

当社の最大の資産は過去60年間で築き上げたブランドです。

そのブランドは「かっこいい」「安全」「機能的」「かぶり心地がいい」というお客様の声によって支えられております。当社のヘルメットは「造形(デザイン)・製品開発」「品質保証」「生産」という相互にトレードオフするミッションを全うして初めて市場に送り出されますが、ここが当社の競争力の源泉であり、いずれのミッションが海外に移転しても現在のブランドを維持できないと考えています。他社ではコストダウンを目的として生産部門を海外に移転するケースが散見されますが、当社は海外移転によるメリットよりデメリットの方が圧倒的に大きいと判断致します。Made in Japanで勝負し続けることこそが、ブランド力を高く維持し、競争力を保ち続ける為に当社が取るべき唯一の選択肢であると確信しております。

 

3)お客様の声に耳を傾けます。

2023年9月期において、当社が製造した二輪用ヘルメットのうち、サンバイザー付かつインターコム対応モデルは販売個数において全体の約39%となりました。

これらの機能はいずれもかつては存在していなかった機能ですが、今では「SHOEIといえばこれ」というくらい当社にとってなくてはならない商品となっています。これはほんの一例ですが、お客様がご希望される製品を供給することが、企業としての使命であり、存在意義であると確信致します。

現在はヘルメットとエレクトロニクスの融合、レトロブームへの対応といった市場ニーズに対応すべく、業界を率先して新しいチャレンジを続けており、着実に成功を収めております。当社は2020年3月東京に、2021年12月大阪に、2022年11月に横浜に、2023年5月に京都に直営ショールームをオープンしました。2023年10月には福岡店もオープンしました。また、2023年6月には海外初のショールームをパリにオープンしました。かかるショールームもお客様のニーズを直接確認する重要な拠点になると確信しています。

 

(2)経営戦略

当社グループの経営戦略は、上記方針を踏まえ、以下5つの戦略としております。

 

1)生産戦略

国内2工場での自社一貫生産体制を充実します。生産モデルを区分しつつも常時どちらの工場でも生産可能な体制とするとともに、現地現物の精神に則り、需要に合わせてフレキシブルに生産量を変更可能な生産体制を構築します。また、ジャストインタイムによる改善活動等を通じて、高度な技術やノウハウを高めると共に、それら知的財産をブラックボックス化する情報管理を強化し、当社の優位性を盤石なものにします。

 

2)商品戦略

高品質・高付加価値商品に特化し、集中的に経営資源を投下しています。多様化するライダーの嗜好に対応し、「お客様のニーズに沿った付加価値機能」を備えた、クラシックモデルや利便性の高いモデルを展開します。また、研究開発体制を拡充し、エレクトロニクス対応を促進、時代の最先端を走る製品開発によりブランド力アップを図ります。さらには、バイク用高級ヘルメット以外の高品質・高付加価値商品の開発も推進し、適切な事業の多角化を進めて参ります。

 

3)ブランド戦略

SHOEIのブランド力を一層強化するため、パーソナル・フィッティング・システム(PFS)サービス(個別フィッティング調整)の普及に引き続き努めて参ります。日本市場におけるPFSサービス普及の経験を活かし、欧米やアジア市場での普及促進を強化します。また、マルク・マルケスを中心とするスポンサー活動によるプロモーションを維持・拡大する一方、新しい切り口の広告宣伝も進めて参ります。

 

4)市場戦略

欧米日市場の深掘りと顧客密着の販売体制を構築し、世界中の全ての国々でトップシェアを維持します。また、今後の若年層を中心にライダー人口、バイクブームの拡大が期待されるアジア、中国を中心とした新興国での販売を強化します。

 

5)ESG経営

ESG(環境・地域社会・企業統治)、サステナビリティを意識した経営を行います。特に、環境への取り組みが企業に求められた重要な社会的責務のひとつであると認識し、気候変動の緩和・適応など環境問題に配慮して行動することについて可能な範囲で積極的に対応し、持続可能な循環型経済社会の実現に貢献致します。

 

(3)経営環境

当連結会計年度(2022年10月1日から2023年9月30日まで)における世界経済は、諸物価の高止まりに加え、欧米におけるインフレ防止策の影響や地政学リスクの高まり等で、景気の天井感が出始めました。

高級二輪乗車用ヘルメット市場は、当連結会計年度前半は、コロナ禍において二輪乗用車が三密を避ける移動手段・レジャーとして高い人気を持続しましたが、後半は、ポストコロナにおける同ブームの減速、かつ上述の世界経済の現況下、欧州での天候不順などが加わり、かつての勢いが衰えてきました。然しながら、好調な前半が牽引する形で当連結会計年度を通じ、概ね良好な販売を享受することができました。

このような状況下、当社は期初に策定した計画通りに生産・販売を実行すると共に、当社が推し進めているお客様のニーズに沿った新モデルの開発・製造及びお客様の安全をサポートする販売・サービス体制を引き続き成功裏に持続させました。

 

(4)優先的に対処すべき課題

  当社グループは、以下の5点を重要課題として取り組むとともに、コーポレートガバナンスの強化を実行してまいります。

1.生産戦略

 ①実需に即した生産体制

    当連結会計年度後半に見られる需要減退の結果、当社欧州子会社をはじめとする一部の代理店の在庫が増加しており、これらの代理店が今後発注を調整する可能性があります。また、在庫が過多でない代理店においても、需要減退を見越してコンサバティブな発注となる可能性もあり、当社は需要動向を注視しております。他方、欧州、中国における規格改定による新モデル需要や、北米、東南アジアの手堅い需要もあり、今後、需要が決定的に減退するとは考えておりません。

    いずれにせよ、当社は現地現物の精神に則り、市場が消化できる量の販売に合わせて生産体制をフレキシブルに変更して参ります。

 

 ②中期的生産体制

  足下は需要減退に伴い調整局面となっておりますが、二輪乗車用高級ヘルメットの市場は、先進国においては爆発的な伸びは期待できないものの、特にアジアを含む新興国で安定的に伸長するものと予測され、当社はブランド力と商品競争力を武器に、早晩生産増強が必要になると見込んでおります。その一環として、以下の対策を進めて参ります。

  ・茨城工場に隣接し、現在茨城県が所有する江戸崎工業団地内の一区画(7.2ha)取得による工場スペースの

   拡張を進めます。当該土地については、2022年1月に茨城県企業局との間で土地売買契約を締結しており

   ますが、諸般の事情により、造成が完了して引渡しを受ける時期が2024年春頃になる予定です。

  ・まずは、新しい土地に倉庫を建設し、既存倉庫の空いたスペースを利用し、付加価値を高める生産ライン

   を拡充する方針です。

  ・新しい土地の本格的な使用内容については、今後の受注状況等を慎重に見極めながら適切なタイミングで

   判断して参ります。

 ③改善活動等を通じた製造現場の競争力強化

  当社は、Made in Japanを生産戦略として経営方針の根幹に掲げております。ジャストインタイムによる改善活動等を通じ、国内両工場の競争力を持続的に強化して参ります。

2.商品戦略

  ①当社は一部の官需製品を除き、二輪乗車用ヘルメットに特化して参りましたが、今後は更なる利益増、事業リスク分散の観点から、新分野への展開を検討して参ります。手始めとして、比較的二輪乗車用高級ヘルメットと価格帯が近いBMX(自転車モトクロス)競技用ヘルメットの上市を決定致しました。BMXはオリンピック競技にもなり、急速に注目を浴びている競技でもあります。まずは日本市場からスタートしますが、将来的には欧米への展開も検討しております。

  ②商品の高付加価値化、多種多様化するニーズの取り組み

   引き続き日々刻々変化するお客様のニーズ(機能、デザイン、被り心地等)を重視した製品の設計・開発に注力致します。当社の主力モデルであるNEOTECシリーズ、GT-Airシリーズの新モデルを順次世界展開して参ります。また、スマートヘルメット(いわゆるナビゲーション機能付ヘルメット)であるOPTICSONも日本市場にて数量限定で販売開始し、現在その市場での評価を収集しているところです。

  ③直売体制の整備

   当社はSHOEIと価値を分かち合える販売店様との協業で質の高い製品の販売を進めて参ります。一方で、自社EC(ネット通販サイト)を通じお近くに販売店がないお客様のフォロー体制を整え、自社ショールーム(現在、日本に5か所、パリに1か所)での販売を通じ、お客様から頂戴した生のご意見を既存製品の改良、次期モデルの開発に活用していきます。

3.ブランド戦略

 ①PFSサービスの普及

   パーソナル・フィッティング・システム(PFS)サービス(個別フィッティング調整)の普及に引き続き努めて参ります。現状の国内中心から欧米市場、アジア市場へ普及を拡大していくことで、いつの日か、ヘルメットは自分の頭の形状に合ったフィッティングをして購入するのが当たり前という時代が来るものと確信しております。

 ②広告宣伝

   引き続きMoto GPの代表選手であるマルク・マルケス、アレックス・マルケス兄弟とのレーサー契約を中心に、限られた経営資源を効率的に投資する一方で、今までにない新しい切り口の広告宣伝(SNSやインフルエンサーの活用等)も進めて参ります。

 

4.市場戦略

 重点新興国での販売強化

  新興国(特にアジア)における需要の伸びは目覚ましいものがあります。当社はこの需要をしっかりと取り込む為、これらの国での市場調査、マーケティングを強化して参ります。タイ市場においては、2019年8月に現地販売子会社設立後、新型コロナの影響で、日本からの輸入が困難な状況が続いておりましたが、2022年秋からその制約もようやく解除されました。現在は本格的に輸入、販売を開始すると共に、PFSサービスの普及、ディーラー網の整備やマーケティング活動を活発化させています。中国においては、2021年6月に子会社(首維(上海)摩托車用品有限公司)を設立しましたが、新型コロナの影響があったため、2023年初夏より、市場調査やマーケティング活動を本格的にスタートしております。当社にとって欧州に次ぐ第二の市場に躍り出た中国市場の実力及び将来性をしっかりと見極めて参ります。

5.その他の中長期戦略

 ①環境問題への取り組み

 当社は、環境問題への取り組みが企業に求められた重要な社会的責務のひとつであると認識しております。当社の企業規模として可能なことは限られておりますが、形だけ整えてお茶を濁したり、いたずらに調査や議論を重ねたりするのではなく、当社の身の丈に合った範囲でスピード感をもって対策を実現することにより、持続可能な循環型経済社会の実現に貢献致します。当連結会計年度は従業員向け電気自動車用充電設備の設置等を行いましたが、翌連結会計年度は自家消費型太陽光発電設備(PPA)の導入を予定しています。

 ②新事業の検討

  当社は今日まで二輪乗車用ヘルメット専業メーカーとして業容を拡大して参りました。今後ともこの祖業を強化していく方針に変更はありません。一方、世界中でライダーの高齢化や若者の趣味の多様化が進んでいることも歴然とした事実であり、当社の間尺にあった、当社らしい新事業があるのかについて議論を深めております。その第一弾として、翌連結会計年度に上述のBMX競技用ヘルメットへの進出を実行致します。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 ①ガバナンス(含むリスク管理)

当社グループでは、企業価値を持続的に向上させる観点から、サステナビリティ/ESG経営を強化しており、

    代表取締役社長 石田 健一郎がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。

     ガバナンス体制は大きく2つあります。一つは、経営管理本部がサステナビリティを推進する事務局として

    機能することです。サステナビリティ/ESGに関する各ステークホルダーの意向や動向を確認し、主に以下の取

    組を行います。

         a)中長期的な視点に立ち、当社グループにとって重要なサステナビリティの課題の抽出

         b)サステナビリティの重要課題に関するリスク及び機会の識別

         c)上記b)に対する対応の基本方針の策定及び実施

         d)上記a)-c)のサイクルを定期的に回していくこと

         e)サステナビリティに関する情報開示を適時適切に実施すること

     もう一つのガバナンス体制は、代表取締役社長 石田 健一郎を議長とする環境対策会議の構築であり、

    2022年2月に設置され、本社及び工場の関係部署がメンバーとなり、a)当社グループの環境負荷を低減するため

    の対策を特定、b)対策の検討及び実行、b)フォローアップを主な取り組みとしています。

     取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。経営

    管理本部や環境対策会議で協議した重要な内容について報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク

    及び機会への対応方針及び実行計画等についての監督を行っております。

 

 ②リスク管理

  リスク管理については、上記①記載の通り、経営管理本部によるサステナビリティ推進体制と環境対策会議に

  おいて、サステナビリティに関する重要課題、リスクと機会、対応策について協議されるなかでリスク管理を

 実施しております。重要なリスク項目については下記(2)に記載しており、適宜、取締役会に報告され、監督が

 行われております。

 

(2)戦略並びに指標及び目標

 当社グループでは、企業価値を持続的に向上させる観点から、サステナビリティ/ESG経営を全社の経営方針に明確に掲げております。その方針に沿って、経営管理本部では、サステナビリティに関する重要課題の抽出、リスクと機会及び対応状況を整理しています。具体的には、下表の通り、4つの重要課題ごとにリスクと機会、対応を整理しています。

 

   ①お客様に安全・快適で楽しい二輪車を始めとするモビリティ生活を提供

重要課題

・安全性と品質の向上

・製品の付加価値を高める開発

・顧客が満足するデザインや機能性の追求

リスクと機会

<リスク>

・安全基準の未充足による信用失墜

・品質悪化によるブランド力の低下

<機会>

・顧客が求めるデザインや機能を備えた製品提供によるシェア向上

・新技術を活用して付加価値を上げることで顧客層の拡大

主な取組内容

・安全基準を常に満たす品質管理体制の維持強化

・快適さや楽しさを意識した製品開発による付加価値向上

・顧客が満足するデザインや機能性の情報収集の強化

 

 

   ②社員が安心して活躍出来る職場作りと地域社会への貢献

重要課題

・労務管理と健康管理による快適な職場作り

・多様性を取り入れた人的資本の有効活用

・従業員が生活する地域社会への貢献

リスクと機会

<リスク>

・労災などの重大事故の発生

・心身の健康状態の悪化

・優秀な従業員が流出することによる人的損失

<機会>

・多様な人材が活躍出来る職場環境の整備による優秀な人材の確保

・地元の活性化により、質の高い労働力の継続的な確保

主な取組内容

・安全な職場環境を維持するための体制継続

・メンタルヘルスを保つための体制整備

・女性管理職比率を高める目標設定と取り組み強化

・企業版ふるさと納税とふるさと納税制度等を活用し、地元の活性化に資する財源の提供

 

   ③社会的責任を意識したガバナンス体制の強化

重要課題

・ステークホルダーを意識した透明性のある経営

・コンプライアンスの徹底

リスクと機会

<リスク>

・法令違反によるレピュテーションの低下

・重大なコンプライアンス違反による企業価値の毀損

<機会>

・実効性の高いコーポレートガバナンスの実現と継続的な改善を通じた企業価値の持続的向上

主な取組内容

・全従業員に対するコンプライアンス研修体制の強化

・多様性を確保する為、女性役員の継続的登用

・投資家とのコミュニケーション強化

・取締役会の実効性評価を実施、継続

 

   ④気候変動問題への適切な対応と循環型経済社会への貢献

重要課題

・二酸化炭素排出量の削減

・再生可能エネルギーの活用

・原材料や製品のリサイクル・リユース等による環境配慮

リスクと機会

<リスク>

・地球温暖化の進展による地球環境の悪化

・環境対策の遅れによるレピュテーション低下

<機会>

・効率的なエネルギー利用によるコスト削減

・リサイクル・リユースによる廃棄物の削減

主な取組内容

・従業員向けEV/PHV 用充電器設置によるエコカーの導入促進

・太陽光パネルの導入による再生可能エネルギーの有効活用

 

 

(3)人的資本の活用

     当社グループは、企業価値を持続的に向上させる観点から、人的資本の育成・活用を重要な課題と認識してお

    ります。本社・工場において従業員のモチベーションを維持する人事評価体制やOJTを中心とする教育体制を充

    実させております。特に全従業員の9割を占める工場においては、毎月の改善活動であるジャストインタイム

    (JIT)会議において、中堅社員が日々の課題の抽出、原因分析や対応を実行する一連の改善策について起案・

    実行・発表する機会があり、人的資本の育成に大きく貢献しております。

  また、人材の多様性についても重要視しております。特に女性管理職を増やすことを目標にしており、現在

 1.6%の女性管理職比率を2028年3月までに8%へ引き上げる指標を掲げております。そのための対策として

 は、女性活躍推進、次世代育成支援対策推進といった方針を掲げ、本社と工場が協力して進めてまいります。

 具体的な取組内容は、2023年4月から、男女公正な昇進基準となっているか検証を行い、必要に応じて基準の

 見直しを行います。2024年4月から、管理職候補となる男女社員に対して、育成面談を行います。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク要因は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特に重要なリスク

リスク

リスクの内容

主な対応

当社製品の市場について①

日米欧等の二輪先進国においては、ライダーの平均年齢が50数歳と高齢化しており、現在の少子高齢化が進み、若年層のライダー増加が無いと、いずれかの時点で二輪先進国におけるライダー数(即ち我々にとっての顧客数)が減少に転じることが予想され、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:大

発生時期:中期

現在当社はその対応策として日米欧および二輪先進国においてレトロタイプモデルの需要やIT・エレクトロニクスと融合したモデルへの対応をすると共に、PFSサービスを鋭意推進することにより、顧客の満足度向上及び囲い込みを図りシェア維持拡大に努めております。

加えて、今後の成長が期待される日本を除くアジア等に注力し、新興国の需要を着実に取り込むべく努力致します。

 

当社製品の市場について②

当社は二輪用ヘルメット専業メーカーとして着実に成長して参りましたが、一つの事業に経営資源を集中することは極めて効率的である一方、二輪用ヘルメットを取り巻く経営環境や業界のパラダイムシフトが起こった場合は壊滅的な影響を受けかねず当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:長期

当社は①の推移を注視しつつ、当社の間尺にあった、当社らしい新事業分野への進出も一つの可能性として議論を進めており、その第一弾としてBMX(競技用)ヘルメットへの進出を2023年11月15日に決議し、実施致します。

 

 

 

 

 

為替リスク

当社グループでは海外における営業展開を積極的に行ってきた結果、連結売上高に占める海外売上高比率が高く、2023年9月期は81.1%となっております。当社グループは為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:大

発生時期:随時

当社は、Made in Japanで勝負しますので、国内で効率的且つ効果的な開発・生産を行い、付加価値を高めて高い利益水準の維持を継続します。そのうえで、為替に左右されにくい体質とすべく、円建て輸出取引の拡大、円高に振れた場合の値上げ、為替に左右されない日本国内における利益面でのシェアーアップ等出来る対応を進めております。

尚、歴史的な円高が継続する場合に備え、販売量や利益の落ち込みの継続に耐えつつ、必要な対応策を行うべく、内部留保及び現預金を手厚く確保しています。

自然災害・大規模事故等①

工場所在地において、地震、異常気象、火災等が発生した場合、工場の操業が一定期間停止するリスクがあります。リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:随時

 

国内の2つの工場のうち、1つの工場が操業停止に追い込まれた場合、操業再開までに必要な対応や資金を準備しています。また、もう1つの工場が可能な限りカバーしていく体制についても準備しています。こうした対応が可能となるよう、内部留保及び現預金を手厚く確保しています。

 

 

 

 

リスク

リスクの内容

主な対応

自然災害・大規模事故等②

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や同種の伝染病拡大は、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。足許のコロナ禍は、本社・工場における感染リスクを高めています。

 

発生可能性:大

発生時期:随時

コロナ禍において、事務所・工場内での感染拡大リスクや外部の人との接触による感染リスクを極小化し、事業を継続出来る様、以下の施策を実施しました。

・事務所や工場にて、手洗い・うがい・マスク着用等を徹底しています。

・必要に応じてリモート会議を活用しております。

今後、同様の伝染病拡大のリスクが顕在化する場合には、その時の状況に応じて、同種の施策を実施していきます。

 

(2)重要なリスク

リスク

リスクの内容

主な対応

当社製品に対する法規制

二輪乗車用ヘルメットの販売を行うには、世界各国における法的規制及び安全規格に適合させる必要があり、法的規制としては、日本では販売するための強制規格として消費生活用製品安全法(PSC)、北米では各州法で定め、オートバイライダーに着用が義務づけられている、自動車関係規格FMVSS(Federal Motor VehicleSafety Standards)No.218、欧州では国連ヨーロッパ経済委員会のRegulation’22等があり、また、安全規格(産業規格)として日本ではJIS規格、北米では任意規格のSNELL規格等があります。

当社の生産する二輪乗車用ヘルメットは、上記の他それぞれの販売地域における法的規制及び安全規格を満たしておりますが、今後新たな法律の制定や法改正並びに新たな安全規格の制定や既存の安全規格の変更等が行われ、当社の対応が遅れた場合は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:小

発生時期:随時

当社グループでは、品質保証部が世界各国における法規制の動向を日々チェックしており、重要な変更やその方向性が出た段階から、開発・生産や営業と密接に連携し、必要な対策を立てて対応しています。また、国内の両工場において、各国の法的規制及び安全規格を満たすべく、必要十分な検査設備を整え、日々改善を進めております。

上記の動向について、重要な変更や対応状況等については、毎月経営会議や開発会議等で議論され、リスクを最小化すべく努めております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リスク

リスクの内容

主な対応

製造物責任(PL)

当社グループの主な販売地域には、製品の欠陥によっては生命、身体又は財産に損害を被った場合に、被害者が製造会社などに対して損害賠償を求めることができる法律があり、当社の生産する二輪乗車用ヘルメットに関しても、PL案件がアメリカを中心に発生しております。最近5年間のPL案件の発生件数は下表の通りであります。想定外のPL案件が顕在化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:随時

当社は当該損害賠償請求に備えて、損害保険会社と国内外のPL保険契約を締結し、損害の補填と、交渉の代行を委託しております。当該保険は、万一敗訴の場合の損害賠償金の他、交渉のための弁護士費用や、和解による出費等も保険の対象となっております。PL案件の進展状況によって保険金額以上の支払いが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がありますが、当社では、毎年リスクの動向を分析しながら必要な保険金額を掛けております。なお、当社単体の販売費及び一般管理費に占めるPL保険料を含む保険料(2023年9月期)は、57,425千円であります。

原材料価格の変動

当社グループの製造販売する「プレミアムヘルメット」の製造原価における原材料比率(2023年9月期)は50.6%となっております。原油、素材市況により全ての原材料価格が変動するわけではありませんが、原材料価格が大きく変動した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:大

発生時期:随時

当社では、競争力のある製品を投入しつづけることで、仮に原材料価格が高騰してもある程度価格に転嫁するよう努めます。また、原材料を極力減らす努力を行ったり、製造工程の効率化に努めることで、材料価格の上昇を吸収するバッファーを作ります。

 

 

 

 

知的財産権(産業財産権)

プレミアムヘルメットとしてのポジション堅持のため特許、意匠、商標などの知的財産権の確保に努めておりますが、仮に他社製品の知的財産権(産業財産権)に抵触した場合には、その係争内容次第では当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:随時

当社グループでは、品質保証部が中心となって、他社からのクレームに対応するとともに、自社の知的財産権の確保に向け、専門家の意見を充分に吸収しながら、対応しています。また、未公開特許侵害リスクに対する対策として、知財保険に加入しております。

 

 

 

 

最近5年間のPL案件の発生件数

 

期中の発生件数

期末の未解決件数

北米(件)

欧州(件)

日本(件)

北米(件)

欧州(件)

日本(件)

2019年9月期

1

1

1

1

2020年9月期

1

1

2021年9月期

1

2022年9月期

1

2

2023年9月期

1

1

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①財政状態及び経営成績の状況

足許の経営環境については、「1(3)経営環境」に記載の通りです。

そのような状況の下で、当連結会計年度における日本及び海外を合わせた販売数量は前年度比2.8%増となりました。欧州市場の販売数量は、需要の落ち着きを反映して前年度比0.2%増で推移しました。北米市場の販売数量は、代理店が前連結会計年度において販売好調ななかで積み増した在庫の調整を図ったこと、及び当連結会計年度の需要減により、前年度比47.7%減となりました。日本市場の販売数量は、前年度比2.3%減ですが当連結会計年度内ではポストコロナの需要減は見受けられませんでした。アジア市場の販売数量は、中国において好調な需要が続くなか、前々連結会計年度の代理店による発注出遅れの影響も一巡し、販売が前年度比90.1%増と大幅に増加したことから、前年度比72.8%増となりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,376,847千円増加し、32,805,478千円となりました。主な変動要因は、現預金が880,064千円、棚卸資産が1,310,931千円、設備投資により有形固定資産が871,566千円増加したことによるものです。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ873,006千円減少し、5,660,235千円となりました。主な変動要因は、買掛金が858,642千円減少したことによるものです。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,249,854千円増加し、27,145,242千円となりました。主な変動要因は、利益剰余金が4,058,954千円増加したことによるものです。これらの結果、自己資本比率は前年度比5.0ポイント増加し、82.7%となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の業績につきましては、中国を中心とするアジア市場の好調と円安効果が牽引し、売上高は33,616,724千円と前年度比4,663,211千円(16.1%)の増収となりました。資材費等のコストアップはありましたが、2022年10月に行った一斉値上げと新たに投入した新モデル(X-Fifteenシリーズ)発売に伴う単価アップ等から、営業利益は9,825,750千円と前年度比1,443,489千円(17.2%)の増益となりました。経常利益は9,858,156千円と前年度比1,354,637千円(15.9%)の増益、税金等調整前当期純利益は9,859,169千円と前年度比1,355,599千円(15.9%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,068,677千円と前年度比1,050,068千円(17.4%)の増益となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」と表示します。)の残高は、前年度末に比べ880,064千円(6.34%)増加し、14,767,282千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果による資金は、6,354,767千円の増加(前年度は6,027,263千円の増加)となりました。主な増加は、税金等調整前当期純利益による資金の増加9,859,169千円、減価償却費による資金の増加1,486,429千円であり、主な減少は、棚卸資産の増加による減少1,081,709千円、法人税等の支払による資金の減少3,004,117千円などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果による資金は、2,350,506千円の減少(前年度は1,845,714千円の減少)となりました。主な内訳は、生産設備の維持・増強のための有形固定資産の取得2,237,150千円、システム導入による無形固定資産の取得59,520千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果による資金は、3,461,862千円の減少(前年度は2,270,898千円の減少)となりました。主な内訳は、配当金の支払額3,002,990千円、自己株式の取得353,599千円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

生産実績を品目別に示すと、次の通りであります。

 

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

品目名

金額(千円)

前年同期比(%)

ヘルメット関連事業

 

 

二輪乗車用ヘルメット

32,622,660

118.8

官需用ヘルメット

70,235

96.8

その他

3,884,113

134.9

合計

36,577,009

120.3

 (注) 金額は、販売価格によっております。

 

 b.受注実績

受注実績を品目別に示すと、次の通りであります。

 

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

品目名

受注金額(千円)

前年同期比(%)

期末受注残高

(千円)

前年同期比(%)

ヘルメット関連事業

 

 

 

 

二輪乗車用ヘルメット

21,270,787

100.7

8,052,591

48.6

官需用ヘルメット

38,206

55.6

8,665

18.8

その他

2,999,554

107.3

549,706

42.5

合計

24,308,548

101.4

8,610,962

48.1

 (注) 前第1四半期後半より、受注から出荷までのリードタイムを短縮させる目的で、月次の受注数量をコントロー

     ルしておりましたが、当第3四半期後半より解除しております。

 

 c.販売実績

  (ⅰ)品目別販売実績

 

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

品目名

金額(千円)

前年同期比(%)

ヘルメット関連事業

 

 

二輪乗車用ヘルメット

29,798,184

113.7

官需用ヘルメット

75,617

252.5

その他

3,742,922

137.3

合計

33,616,724

116.1

 

  (ⅱ)主要相手先別販売実績

相手先名

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

岡田商事㈱

4,196,738

14.5

4,255,247

12.7

XIAMEN CHUANGJIAN HELMETS CO.,LTD.

1,978,416

6.8

3,709,618

11.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①経営成績等

 当連結会計年度の外部環境は「1(3)経営環境」に記載の通りでありますが、そのなかにおいて、「1(1)経営方針」に記載している「Made in Japanで勝負すること」、「お客様の声に耳を傾けること」を徹底したことで、世界の殆どの国でシェアNo.1の地位を維持・拡大しており、当連結会計年度の業績は、前年度比増収増益、高い利益率(ROE 28.3%)を確保することができました。

 まず、「Made in Japanで勝負すること」については、ジャストインタイムシステム(JIT)による改善活動が大きな柱となりますが、各工場工程における日々の活動に加え、毎月のJIT会議で両工場の成果を共有して全社で徹底することでコストダウンと品質向上を実現しています。新型コロナウイルスの感染者が再拡大した時期においても、工場において手洗い・うがい等の予防対策を徹底しつつ、月次のJIT会議も出張を控えて各工場で活動を行い、それらをリモートで共有することで継続してきました。

 次に、「お客様の声に耳を傾けること」については、市場のニーズに対して真摯に耳を傾け、業界を率先して商品化やモデルチェンジを行っております。ネオクラシックブームに合わせて投入したGlamster等は好調を維持するとともに、当社の主力製品であるレーシング対応最上位フルフェイスモデルであるX-Fifteenシリーズ(X-Fifteen/X-SPR Pro)を刷新し、2022年から2023年にかけて欧州・日本・北米と順次投入した効果が当連結会計年度はフルに寄与しました。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因は、「3(1)特に重要なリスク」に記載の通りであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性

 当社グループでは、持続的に成長するために必要不可欠な設備投資や研究開発を継続しており、それら全ての資金は自己資金で賄っております。1(1)経営方針に記載の通り、当社は、「健全な財務体質により、事業継続を長期にコミット」しており、それを実現するため、他人資本等に頼らない財務的な独立を維持します。そのために当社グループは、長年築き上げた高いブランド力を背景に高収益体質、無借金経営を維持しております。

 また、当社グループでは、将来の様々な成長投資のみならず、伝染病流行、大規模自然災害等の発生や、予期せぬ市場の冷え込みによる生産能力の落ち込みを受けても、ブランドを棄損することなく終息まで耐え抜くだけの体力を備えるべく、現預金を手厚く維持しております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は14,767,282千円(前年度末比6.3%増)となっております。

 株主還元につきましては、当社の方針は連結配当性向50%を目途としておりますが、今般、資本効率の向上や株主還元の充実を図るため、経営環境の変化に対応して機動的に資本政策を遂行することを基本方針に追加しました。配当総額は3,534,538千円(連結配当性向は50.1%)となり、引き続きこの水準の維持に努めて参ります。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、健全な財務体質を維持するには高収益体質の継続が重要であることから、売上総利益率及びROE(自己資本当期純利益率)を重要な経営指標として位置付けております。当連結会計年度においては、前項①~③に記載の取り組みにより、売上総利益率45.5%(前年同期45.5%)、ROE 28.3%(前年同期29.1%)となりました。また、期末配当による株主還元は基本方針に従い連結配当性向50%を目途とし、配当総額3,534,538千円(連結配当性向は50.1%)となりました。引き続きこれらの指標の維持に努めてまいります。

 

⑤キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの分析は、「3(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」及び前項③をご参照ください。

 

⑥重要な会計上の見積り

 財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益や費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっております。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しております。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。

 次に挙げるものは、当社及び連結子会社のすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。当社及び連結子会社の会計方針については、「第5 経理の状況」連結財務諸表等注記の「3 会計方針に関する事項」に記載されております。

連結財務諸表に関して、認識している重要な見積りを伴う会計方針に関する補足情報は、以下の通りです。

 

(商品及び製品の評価)

 商品及び製品の連結貸借対照表価額については、取得価額を基本としております。また、その収益性の低下について、将来の販売見込数や販売可能性を踏まえた価格設定を踏まえて、営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の商品及び製品については、帳簿価額を正味売却価額又は処分見込価額まで切り下げております。なお、経営環境の変化等により市場における需要が見積りより悪化した場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表において追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

(退職給付関係)

 退職給付債務については、割引率等の数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は195,265千円であり、代表的な研究開発は、以下、研究開発の成果に記載の新規モデルの開発であります。

 また、製品開発の都度、必要に応じて競合他社との製品の差別化、他者による模倣防止のため、特許権取得を検討しており、2023年9月30日現在取得済み、出願中の特許権は下表の通りであります。

 

取得済件数(件)

出願中件数(件)

 特許権

200

17

 なお、当連結会計年度における研究開発の成果は下表の通りであります。

研究開発の課題

開発モデル

内容

NEOTECⅡ後継モデル

NEOTEC3

 

 

フリップアップタイプモデルとして全世界に拡販を行なっているNEOTECⅡを全て新設計として開発。当連結会計年度は欧州向けモデルの先行生産、販売を開始。先ずは欧州新規格のECE-R22/06に合致する構造の開発を軸として、デザインは先代モデルの正常進化としてよりシンプルで洗練したデザインを目指した。また対応インターコムを新型とする事でインターコムの性能向上、デザインの先進性、風切音の低減を目指す。シールドはセンターロックの新型CNS-3Cシールドを採用。操作性、密着性の向上を図っている。サンバイザーは上下長が長いQSV-2を装備。より利便性を高めた。

欧州向けを皮切りに国内、中国、北米、ブラジル、タイ等、各仕向け地仕様を翌連結会計年度に生産予定。

GT-AirⅡ後継モデル

GT-Air3

スポーティーツーリングモデルのGT-AirⅡを全て新設計として開発。全世界に拡販している当モデルの欧州向けを当連結会計年度に生産、販売を開始。第一の開発目的である欧州新規格のECE-R22/06に合致する構造の開発を軸とする。デザインは先代モデルの正常進化版としリファイン。対応インターコムを新型とする事でインターコムの性能向上、デザインの先進性、風切音の低減を目指す。シールドはセンターロックの新型CNS-1Cシールドに変更。操作性、密着性の向上を図っている。欧州向けを皮切りに国内、中国、北米、ブラジル、タイ等、各仕向け地仕様を翌連結会計年度に生産予定。