(注) 1.当社は、2019年7月31日付で普通株式1株につき200株、2020年4月1日付で普通株式1株につき2株、2022年1月1日付で普通株式1株につき2株、2022年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いましたが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。
2.第3期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新株予約権の残高はありますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
3.第3期の株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。
4.従業員数は、当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。臨時雇用者(パートタイマー及び嘱託社員を含み、人材会社からの派遣社員を除く)については年間の平均人員数(1日8時間換算)を()外数で記載しております。
5.第5期より、固定資産に係る控除対象外消費税等について、発生した期の費用に計上する方法から、個々の固定資産の取得原価に算入する方法に変更いたしました。そのため、第4期については、当該会計方針の変更を反映した遡及適用後の数値を記載しております。第3期以前の累積的影響額については、第4期の期首の純資産額に反映させております。
6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第6期の期首から適用しており、第6期以降に係る数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
(注) 1.当社は、2019年7月31日付で普通株式1株につき200株、2020年4月1日付で普通株式1株につき2株、2022年1月1日付で普通株式1株につき2株、2022年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いましたが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。なお、1株当たり配当額は、当該株式分割前の実際の配当金の額を記載しております。
2.第3期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新株予約権の残高はありますが、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
3.第3期の株価収益率、最高株価、最低株価については、2019年10月9日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場したため、記載しておりません。
4.第3期及び第4期の株主総利回り及び比較指標は、2019年10月9日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場したため、記載しておりません。
5.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであり、2022年4月4日から2023年3月13日の間は東京証券取引所スタンダード市場、2023年3月14日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。
6.第4期の最高株価及び最低株価は、2020年4月1日付で行われた株式分割による権利落後の金額を記載しており、()内に当該株式分割前の金額を記載しております。
7.第6期の最高株価及び最低株価は、2022年10月1日付で行われた株式分割による権利落後の金額を記載しており、()内に2022年1月1日付株式分割前の金額を記載しております。
8.第6期の最高株価及び最低株価は、2022年10月1日付で行われた株式分割による権利落後の金額を記載しており、()内に2022年10月1日付株式分割前の金額を記載しております。
9.従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含みます。臨時雇用者(パートタイマー及び嘱託社員を含み、人材会社からの派遣社員を除く)については年間の平均人員数(1日8時間換算)を()外数で記載しております。
10.第5期より、固定資産に係る控除対象外消費税について、発生した期の費用に計上する方法から、個々の固定資産の取得原価に算入する方法に変更いたしました。そのため、第4期については、当該会計方針の変更を反映した遡及適用後の数値を記載しております。第3期以前の累積的影響額については、第4期の期首の純資産額に反映させております。
11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第6期の期首から適用しており、第6期以降に係る数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
当社は、介護保険法、健康保険法、及び、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、「障害者総合支援法」と言います。)に基づく訪問看護事業、訪問介護事業及びこれらに付随する業務を行うため、2013年9月、三重県桑名市において株式会社アンビスとして発足いたしました。創業者の柴原慶一は、医師であり生命科学分野の研究者として約20年のキャリアを有しておりますが、研究の第一線を退いて後、医療資源の十分な供給を得ることができない「医療過疎地」での地域医療の再生に係る活動や、東日本大震災の災害復興支援活動に従事しました。その後、「新たな仕組みの提案と実践により超高齢社会が直面する医療の課題を解決したい」、「閉鎖的な医療業界を健全な競争原理が働く成長産業へと昇華させる一助になりたい」、「限られた医療財源・資源を適正化し、来るべき革新的な医療の恩恵をひとりでも多くの方に届けたい」という志のもと、同社を設立いたしました。そして、2016年10月に株式移転により株式会社アンビスホールディングスを東京都中央区八重洲に設立し、株式会社アンビスを100%連結子会社とする持株会社体制に移行しております。2020年3月には医療機関及び介護施設の経営に関するコンサルティング等を目的とした連結子会社「株式会社明日の医療」を設立しております。
株式会社アンビス設立以後の企業集団に係る経緯は、表1のとおりであります。
表1 企業集団に係る経緯
有価証券報告書提出日現在
当社グループは、当社と連結子会社2社の計3社で構成され、当社は持株会社であります。当社の連結子会社には株式会社アンビス(以下、「アンビス」と言います。)、株式会社明日の医療(以下、「明日の医療」と言います。)があります。また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
当社の中核事業は、アンビスに対する、有料老人ホーム※の運営及び経営に係るコンサルティング、有料老人ホームの用に供するための土地及び建物の賃貸の実施であります。
アンビスの中核事業は、ホスピス事業であります。アンビスでは、有料老人ホーム「医心館」事業所内における訪問看護、訪問介護、居宅介護支援及び障害者を対象とした居宅介護といった各種サービスの提供と事業所運営により、ホスピス事業を行うことを「医心館事業」と称し、現在のところ当社グループの主軸事業となっております。グループ会社として連携することで、医療依存度が高い方、例えばがん末期状態にある方、人工呼吸器を装着されている方ほかを積極的に受入れ、特化して終末期における看護ケアを提供いたします。具体的には、アンビスがこれら各種サービスの提供と事業所運営を行い、当社が「医心館」の開設戦略の企画から協力医療機関の獲得、顧客営業先の開拓、集客・サービス提供状況の分析及び改善、適正運営の確保、診療/介護報酬請求、債権管理、物品調達までのサポートを行うことで、当社グループは一気通貫型の地域医療/看護の強化再生ビジネスモデル(以下、これらの総称を「医心館事業」と言います。)を構築しております。
なお、当社グループの報告セグメントは医心館事業のみの単一セグメントであります。
※ 本文中の有料老人ホームにはサービス付き高齢者向け住宅も含みます。
有料老人ホームとは、老人福祉法に定められた手続きを経て設置された高齢者のための住居であり、厚生労働省が所管しています。
サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者住まい法に定められた手続きを経て設置された賃貸住宅であり、国土交通省が所管しています。
医心館事業
主にはアンビスが運営する医心館事業では、訪問系サービスである「訪問看護」、「訪問介護」及び「居宅介護支援」等と施設系サービスである「有料老人ホーム」とを有機複合的に組み合わせることにより、退院後の行き先に不安や心配がある医療依存度が高い方やその家族といった顧客の幅広いニーズに応える「医心館」を1都1道18県、82事業所(有価証券報告書提出日現在)を展開しております。また、医心館では障害者の受入れにも取り組んでおり、障害者総合支援法によるサービス提供を行っております。特に看護師の人員体制を強固にすることで、医療依存度が高い方の終末期の療養において充実した看護ケアを提供していることを特徴としております。また、原則として医師を外部化(業務委託ではなく、医療・介護従事者の共感に基づく連携と協力関係のこと。当社では“医師のアウトソーシング”と表現しております。)することで、事業の透明性と公正性を担保し、在宅療養を含めた地域包括ケアシステムや「地域医療」のプラットフォームの一翼を担う存在として地域から認められることを目指しています。
医心館側の視点からは、終末期の療養生活の場では、医師が医心館に常駐して医療を提供する必要性は小さく、連携と協力関係を礎に非常駐化と外部化が可能であるため、看護や介護への人材投入の余力が発生します。一方、地域の開業医等病床をもたない医院(無床診療所)側の視点からは、病床を必要とする患者を診る必要が生じた際には、医心館のベッドを利用することで対応が可能となり、実質的に病床を有するような状態となることで患者対応力の向上につながると考えております。かつ診療時間外に患者の容態や病床を管理する負担が軽減されます(当社では“シェアリング病床”と表現しております。)。また、病床を有する市中病院においても病床回転率が向上し、経営の安定につながると考えております。これらのことを事由のひとつとして、医心館(当社グループ)と医療機関等との間では強固な信頼関係が築かれていると考えております。
なお、事業の内容に関しましては、章末に「用語集」として用語の解説を記載しております。
医心館事業で提供する各サービスの内容は以下のとおりであります。アンビスの売上高は、主にこれらサービスの提供を通じて社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会等(以下、「国保連等」と言います。)の審査支払機関から得る医療保険報酬+介護保険報酬+入居者から収受する家賃、管理費、食費等の保険適用外売上による三階建構造で構成されております。
・利用者に対する訪問看護サービスを提供し、このことに対して、国保連等の審査支払機関から得た報酬(医療保険制度による場合は診療報酬、介護保険制度による場合は介護報酬)を主に売上として計上いたします。
・提供したサービスの対価は、原則として、負担割合に応じたサービス利用料の1割~3割を利用者に請求し、残り7割~9割を国保連等に請求します。
・訪問看護は、何らかの病気や障害のある方が、自宅で療養生活をおくることを希望した際に、主治医から交付される訪問看護指示書に基づき、療養上の世話及び診療の補助を実施していくものであります。
・難病児者や障害児者等を含め、すべての年齢の在宅療養者に対して訪問看護を提供することが可能となっております。
・訪問看護を提供する者は、国家資格又は都道府県知事資格免許をもった看護師、准看護師、保健師等、理学療法士、作業療法士等となっています。
また、サービスを提供する法人形態は、医療法人、社会福祉法人、特殊法人をはじめ、株式会社等の営利組織、非営利組織など様々であります。
・訪問看護で提供できる療養上の世話とは、リハビリテーション、排泄及び身体清潔への援助などを指しております。
また、診療の補助とは、留置カテーテルやドレーン類の管理、点滴の実施、その他に注射類、在宅酸素及び人工呼吸器の管理、褥瘡の処置など多岐にわたります。
・アンビスでは、医心館の同一敷地内に訪問看護事業所を併設し、入居者に対し、訪問看護サービスと訪問介護サービスを併せて提供しております。
・利用者に対する訪問介護サービス等を提供し、①同様、国保連等の審査支払機関から得た報酬を主に売上として計上いたします。
・①同様、提供したサービスの対価は、原則として、負担割合に応じたサービス利用料の1割~3割を利用者に請求し、残り7割~9割を国保連等に請求します。
・ホームヘルパー(訪問介護員)や介護福祉士が要介護者の自宅を訪問し、入浴や排泄、食事、着替えなどの介護(身体介護)や、調理、洗濯、掃除などの家事や生活等に関する相談、助言(生活援助)を受けることができるものであります。
・アンビスでは、医心館の同一敷地内に訪問介護事業所を併設し、入居者に対し、訪問介護サービスと訪問看護サービスを併せて提供しております。
サービス内容は、ケアマネジャーなどが作成したケアプランに基づいて設定されています。
・アンビスでは、各種サービスの利用者に説明を行ったうえで契約を締結、その後にケアプランに沿ったサービス提供を行います。
医心館の入居者は要介護度が高い方が多いため、主として身体介護サービスを提供しております。
・サービスの利用者から依頼を受けて、その心身の状況やおかれている環境、本人や家族の希望などを考慮したうえで、利用するサービスの種類や内容などの居宅サービス計画書(ケアプラン)を作成するサービスのことであります。
・居宅サービス計画書の作成の他にも、その計画に基づいてサービスが適切に提供されるよう、サービス事業者や事業所などとの連絡調整も行います。
・アンビスには、居宅介護支援事業所を併設している事業所もありますが、当該事業所においても、医心館の入居者は外部の居宅介護支援事業所のサービスを受けることが可能であり、その選択は自由であります。
・アンビスでは、同社のケアマネジャーがケアプランを作成するなど、要介護認定者の介護保険サービス利用を支援した場合、介護保険での報酬を請求し、これを売上として計上いたします。報酬額はサービス利用者の要介護度に応じて設定されており、居宅介護支援サービスについては、利用者の負担はなく全額が介護保険から給付されます。
・障害者総合支援法に基づき、障害のある方が住み慣れた地域で生活するため、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした居宅介護サービス及び重度訪問介護サービスの提供を行うものです。
・居宅介護とは、自宅で、入浴、排泄、食事の介護等を行うものであります。
・重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする方(2014年4月より対象者が重度の知的障害者・精神障害者に拡大)に、自宅で、入浴、排泄、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行うものであります。
・これらのサービスは、個々の方の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に報酬の支給決定が行われます。アンビスでは、これらサービスの提供に基づく報酬を売上として計上いたします。
[事業系統図]
事業の内容を事業系統図により示すと図1のとおりであります。
図1 事業系統図

[事業化の背景と事業機会]
医心館事業の事業化の背景と事業機会は以下のとおりであります。
医療過疎地にある病院では医師の慢性的な不足と経営赤字という共通課題を抱え、病床の休廃止や廃院の危機に瀕しております。医師の確保が難しい背景には、日常の外来診療や病棟管理のほか、救命救急や周産期といった緊急性が高い対応までを少ない人員で行わざるを得ない結果としての過密な労働環境があります。労働環境を改善するべく、病院の経営側は医師の確保を試みるも叶わず、給与条件を引き上げることで人件費は高騰し、経営状況はさらに圧迫され、病床の休廃止や外来閉鎖、サービスの質量低下で患者数は一層減少、さらなる経営悪化で廃院するといった構造的な問題(地域医療の崩壊スパイラル)が存在しております。
わが国の超高齢社会(65歳以上の人口割合が全人口の概ね20%を超えている社会)は、医療や介護の需要がさらに高まることに併せて、「多死社会」を実相としており、人生の最終段階を「在宅(自宅や施設等)」で過ごすことを希望する方、さらには要介護度が高く医療を必要とする在宅療養者が急増する状況に、現状はその適切な受け皿や仕組みの整備が質量ともに不十分であります。
これまで受け皿としての機能を果たしてきた、療養病床をはじめとする慢性期病床は、総数削減の方向性が示されております(病床機能評価の厳格化)。2014年に創設された地域包括ケア病床に関して、患者を病院内及び病院間で移動させるのではなく、「在宅」に帰す(在宅復帰)割合を上げることに対し高い報酬が設定されていることからも明らかなように、国は「時々入院、ほぼ在宅」といった、病院から「在宅」へという流れを強力に推進しております。この病床機能評価の厳格化の背景には、病床機能分化と全体的な病床数の削減、とりわけ療養病床の再編を促進する意図があると考えております。
国は「地域医療構想」の達成に向け、2022年度時点で30.8万床の慢性期病床を、2025年には28.4万床まで縮減することを目標とし、縮減の行き先を介護施設や在宅医療等の利用で補うとされております。また、「超高齢」「多死」社会の進展に伴う需要の増大に対し、地域で関係機関及び職種が連携し一体となって患者を支えること(地域包括ケアシステム)を構想しております(出所:厚生労働省ホームページ「政策について/地域包括ケアシステム」ほか)。しかしながら、その整備状況については地域差が大きく、医療資源や機能的な連携が不十分であり需要に応えられる状況にはありません。療養病床を削減するその先、療養病床に代わる「療養の場」は時間を経るごとにますます社会全体で、特に医療過疎地で不足していくことを予想いたします。
このような状況において、病床の不足から退院後にかかりつけ病院等へ転院できない、医療的な対応の不足から介護施設等へ移れない、なおさら家族等での負担が増えることから自宅へさえ戻れないといった、医療依存度が高い方の退院後の行き先に係る問題「医療ケア難民化」が存在しております。
当社グループが行う事業の特徴は、以下のとおりであります。
医心館事業は「医心館」と称する有料老人ホームの運営と、併設している訪問看護事業所、訪問介護事業所の運営によるホスピス事業であります。有料老人ホームでは職員が24時間365日、入居者の見守りと健康管理を行い、訪問看護事業所と訪問介護事業所のそれぞれの職員は、医師の訪問看護指示あるいはケアマネジャーのケアプランに従い、入居者への日常的なケアに加えて病変時対応を行います。これらの点では、他の事業者が運営する有料老人ホームと運営方法に決定的な違いはなく、建築物の構造及び設備にも大きな特徴もありませんが、事業を安定的かつ持続的に発展運営するため、「医心館」は以下に掲げる特徴を有しております。
医心館は、医療依存度が高い方々の安寧と尊厳のために、安心して暮らせる療養の場を提供できるよう事業を展開しております。一般的な介護施設では受け入れることが困難な、がんの末期状態にある方、特定疾患等の難治性の病を患う方、人工呼吸器の装着や気管切開で呼吸管理が必要な方、入退院を繰り返さざるを得ない方、看取り対応の方、重度障害により「在宅」での日常生活が困難な方など、いずれも医療依存度が高く「自宅等」で看護・介護を十分に得ることが難しい方々に対して、終末期の“療養”の機能を“住まい”に付加した場(退院後の行き先)を提供し、看護職員がメーンプレイヤーとなって、最期まで責任あるケアを提供しております。
医療資源(医療従事者及び業務補助者、医療施設及び設備など)の充足状況と、結果としての医療提供状況は、地域ごとに大きく異なるため、医心館では医療機関との棲み分けを考慮しながら、地域のニーズに応じて柔軟に受入れ対象を調整しております。
医心館では、常時複数の医師と連携して入居者に必要な医療を提供しており、仮に入居者の病状が変化して、現在の主治医では対応が難しいような場合、専門分野を異にする医師の診療が必要になるような場合には、医心館の看護師を介して入居者への紹介が行われます。これは、地域の医療従事者等の円滑な連携によって、入居者にとって真に必要な医療が提供される仕組みと言え、結果として医心館のみならず、その地域における在宅医療の質的な向上と医療資源の効率的な利用を期待することができます。
医心館事業の収益は、国保連等の審査支払機関から得る医療保険報酬+介護保険報酬+入居者から収受する家賃、管理費、食費等の保険適用外売上による三階建構造で構成されております。
医心館は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設や他の介護施設(有料老人ホーム等)と異なり、医療依存度が高い方に特化した事業であるため、病院から在宅へのシフトを推進する政策の「追い風」環境下において、介護保険報酬に加えて医療保険報酬の両方から収益を得ており、事業運営は安定していることが最大の特徴であります。
・手厚い看護体制
医療依存度が高い方の医療需要に応えるため、経験豊か(総合病院に一定期間勤務している等)な看護職員を、一般病棟入院基本料に係る施設基準(入居者数:一日に看護を行う看護職員数が10:1~13:1)と同等数で人員配置しております(ただし、医心館もしくは併設する訪問看護事業所に配置する人数の合計)。また、看護職員と介護職員を合計した職員の総数は入居者数とほぼ同数になります。
・在宅療養に関わる人材の育成
今後の「多死」社会への対応を考えるとき、看取りを支える人材を育成していくことが必要となります。医心館では、2014年5月~2023年9月の間、16,604人の看取りに対応いたしました。2022年10月~2023年9月の間においては、アンビスの職員数を上回る6,649人の看取りを対応し、医心館で終末期に係る医療や介護の経験を個人として、また組織として次回の看取りに還元しています(デスカンファレンスの実施など)。このことは、医心館事業が社会の要請にかなった、在宅療養に関わる人材を育成している証であります。
医心館では、原則として医師を外部化することで、事業の透明性と公正性を担保し、同時に医療依存度が高い方のケアへの共感を軸に協業を図ることで、在宅療養を含めた地域包括ケアシステムや「地域医療」のプラットフォームを組み立てていることを特徴としております。なお、アンビスを含め当社グループは病院等の系列には属さず、また特定の医師と包括的な資本関係を持たない事業運営を行っております。
有価証券報告書提出日現在、アンビスが運営する医心館は、82事業所、定員4,098人となりました。これまで、延べ21,504人(2023年9月末日現在)の利用者を得ております。
〈用語集〉
(注) 1.特定子会社であります。
2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
3.株式会社アンビスについては、売上高(連結会社相互間の内部取引売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ① 売上高 31,978百万円
② 経常利益 8,472百万円
③ 当期純利益 6,275百万円
④ 純資産額 11,449百万円
⑤ 総資産額 22,943百万円
(注) 1.従業員数は、当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。臨時雇用者(パートタイマー及び嘱託社員を含み、人材会社からの派遣社員を除く)については年間の平均人員数(1日8時間換算)を()外数で記載しております。
2.当社グループは、医心館事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2023年9月30日現在
(注) 1.従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含みます。臨時雇用者(パートタイマー及び嘱託社員を含み、人材会社からの派遣社員を除く)については年間の平均人員数(1日8時間換算)を()外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、医心館事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社及び連結子会社株式会社明日の医療には労働組合は結成されておりません。連結子会社株式会社アンビスには労働組合が結成されております。
なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
② 連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規程に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規程に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.株式会社アンビスを除く連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。