第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、経営理念であります「喜びを創り喜びを提供する」を経営の基本方針に、これをすべての事業活動の指針として、地域社会に貢献する企業集団として事業活動を行っております。今後もこの基本方針のもと「全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドの総合プロデューサー」として、蓄積した豊富な技術、ノウハウをもって、より一層お客様に喜ばれる商品創りとサービスの提供に精進し、当社グループの成長・拡大を目指してまいります。

 同時に、当社グループは、企業活動を支えるすべての利害関係者(ステークホルダー)の信頼と期待にお応えできるよう経営努力を続けてまいります。

 当社グループの経営理念は、次のとおりです。

 

経営理念

○経営理念 「喜びを創り喜びを提供する」

 この経営理念は、創業者であります河越庄市をはじめ、諸先輩方が幾多の試練を乗り越えてこられた中、生まれました。利潤の追求のみが企業の目的ではなく、会社が未来永劫発展し続けるためには、常に「人様に喜んでいただく」ことを最優先に考え、お客様に喜んでいただける商品を創り、お客様に喜ばれるサービスを提供し続け、地域社会への貢献、共存・共栄こそが、会社の存在意義であり、当社グループに与えられた使命であります。

 

○社是 「感謝と報恩」「創意と工夫」「本氣と誠実」

 

○経営信条

1.私達は、お客様に喜ばれることを自らの喜びとする。

1.私達は、夢を語り合い、ナンバーワンをめざし、日々チャレンヂする。

1.私達は、プロとしての自覚と真の勇氣を持ち、感動をもたらす。

1.私達は、高い目標を掲げ、執念を燃やし、必ず達成する。

1.私達は、更なる高い価値の創造により、物心両面の豊かさを実現する。

 

○基本ポリシー 「熱狂的ファンづくり」

 当社グループは、経営理念の具現化に向け、ひとつのお菓子、ひとりのお客様への接客で、一生お付き合いができる熱狂的なファンを今日一人創ることに全従業員が徹する『熱狂的ファン創り』を基本ポリシーに、実践していくことをモットーにしております。

 

○経営理念手帳「こづち」について

 経営理念を全従業員が理解を深め、共有化を図る目的で、経営哲学(フィロソフィー)100ヶ条を創り、明文化した経営理念手帳「こづち」を作成し、全従業員への周知徹底と経営理念の浸透に努めております。

 経営理念手帳「こづち」は、各職場単位で行う朝礼や研修、勉強会などで活用し、また、実践成果を全従業員が共有し、さらなる大きな成果を生み出していくことを目的に「こづち発表全国大会」を年1回開催しております。グループ各社から予選を勝ち抜いた代表者が経営理念の実践の成果を発表する当該イベントは、当社グループの最重要イベントに位置付けております。

 

○「寿スピリッツ」社名の由来及びシンボルマークについて

 「寿スピリッツ」とは、当社グループの積極果敢で熱い精神を引き継ぎ、これからの時代を全力で切り拓き、より大きな喜びを創造していく会社へ、そのような念いで2006年10月、純粋持株会社体制化を契機に制定されました。

 シンボルマークには、社員一人ひとりの気持ちが重なって、“輪”になるという意味が込められております。

 

0102010_001.jpg

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の実現に向け、収益性の改善に注力しており、「売上高経常利益率」30%以上の達成を目標指標に掲げ、ブランド価値の向上及び生産効率及び販売効率の改善などに注力いたしました。その結果、当連結会計年度の売上総利益率は、原材料価格の上昇があったものの、生産稼働率が回復したことや商品価格の改定などにより、対前期比2.2ポイント増加の62.2%となりました。また、販売管理費比率は、売上回復に加え、好立地出店の推進や大規模催事出店などにより販売効率が改善したことなどから対前期比2.7ポイント減少の37.5%となったことにより、売上高経常利益率は24.8%となりました。

 引き続き、ブランド価値の向上に拘り、売上高の増大、生産効率及び販売効率の改善などに対処し、更なる収益性の向上に努めてまいります。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当社グループを取り巻く経営環境は、少子高齢化や人口減少が進む中、限られた市場規模のもとで、業種・業態を超えた販売競争が一段と激化してくるものと予想されます。また、お客様の消費行動や価値観の多様化が進む中、商品・サービスに対するお客様の選別の目は厳しさを増してきております。特に近年ではブランド志向・本物志向の傾向が一層強まっております。こうした変化にすばやく対応し、お客様の要望に対応できる商品・サービスの企画力の有無が当社グループの将来を左右するものと考えております。

 このような経営環境の中、当社グループは、お菓子の総合プロデューサーとして「高い価値の創造」をテーマに、美味しさと品質に徹底的に拘り、「地域性」と「専門店性」を追求した独創性のあるショップブランド及び商品ブランドの創造と育成により、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 また、地域ごとのマーケット特性にマッチしたお土産、パーソナルギフトから自家用まで、多用途なギフト需要に多数のプレミアム・ギフトスイーツのブランドポートフォリオで適応する独自のビジネスモデルの構築に注力してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の見通しにつきましては、インバウンド需要の回復をはじめとしたコロナ禍からの社会経済活動の正常化が

進み、景気は緩やかな回復基調に向かうことが期待されます。一方で、物価上昇に伴う消費マインドの停滞、働き

手不足の一層の深刻化や原材料価格の更なる高騰など、依然として先行き不透明な状態が続くものと見込まれま

す。

 このような状況のもと、当社グループは、2024年経営スローガンを「超絶マッハ経営!」とし、美味しさをより

一層追求した「プレミアムギフトスイーツ」に特化し、次なる高成長軌道に乗せるべく、全ての考働基準で早さと

速さに拘り、事業施策の遂行に注力してまいります。

 

<重点施策>

1. Value Up Every Day

① 美味しさを一番に、商品力のValue Up

② 独自の販売手法に磨きをかけて、販売力のValue Up

③ ブランドの世界観を最大限伝える売場力のValue Up

④ 新ブランド、新売場、新商品そして人財力のValue Up

 

2.「少数精鋭主義」による高賃金低人件費比率の実現

 少数精鋭による人員配置の最適化により、部門採算の更なる高利益化を目指す。

 

 また、引き続き需要拡大が見込めるインバウンド需要に向けた対策の一層の強化を図り、主要国際線ターミナルでの売場拡大や多言語対応による販売力の向上などに努めてまいります。

 製造面では、生産キャパシティの増大に向け、本年8月稼働予定の新工場の設置を機に、更なる生産体制の最適化を図り、生産性の向上に取り組んでまいります。また、食品の安心・安全を最優先に考え、引き続き食品安全マネジメントシステムの継続的な改善を図り、お客様に安心・感動していただける高品質な商品の提供に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方及び取り組みについて

 当社グループは、経営理念「喜びを創り喜びを提供する」を経営の根幹として、当社グループがさまざまな事業活動を推進していくうえで、社会や環境問題をはじめとするサステナビリティをめぐる問題は、中長期的な企業価値の向上を図るうえで極めて重要な経営課題であると認識しております。

 そのような認識のもと、当社グループは、「地域社会との密接な連携と協調を図り、地域社会の発展に貢献すること」、「地球から、事業活動に必要な資源などさまざまな恩恵を受けており、地球環境をより良い状態に保全していくことが、自らの存在と活動に必須の要件であることを自覚し、自主的、積極的に行動すること」などを「寿スピリッツグループ倫理綱領」に定め、サステナビリティを巡る課題に適切に対応を図ることを基本方針に取り組んでおります。

 また、当社グループは2024年6月に以下の6つの重要項目(マテリアリティ)を特定いたしました。

 マテリアリティの特定にあたっては、社会課題を抽出した後、「ステークホルダーにとっての重要度」と「当社グループにとっての重要度」の2軸からなるマテリアリティマップにより課題の整理及び優先順位づけをし、サステナビリティ委員会での審議及び取締役会の承認を経て決定いたしました。

 

 寿スピリッツグループ マテリアリティ

マテリアリティ

取り組みテーマ

持続可能な環境型社会への貢献

温室効果ガスの排出削減

食品ロスの削減

安心安全な製品の提供

食品安全マネジメントシステムの運用遵守

多様性を尊重した人財の採用と育成

多様な人財の活躍支援

健康経営を実現する働き方改革

“共育”という独自の人財育成の推進

理念共感型採用の実践

持続可能なサプライチェーンの構築

安定的な原料調達と物流の効率化

地域社会との共存共栄

子どもの学びの機会の提供

社会貢献活動を通じた地域振興

コーポレートガバナンスの強化

透明性の高いガバナンスの構築

リスクマネジメント

 

①ガバナンス

 当社はサステナビリティにおける取り組みを推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置いたしております。サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長として、管理担当取締役、グループ管理部門責任者、当社グループ各社より任命された委員で構成され、原則年2回以上開催しております。サステナビリティ委員会における活動内容は定期的に取締役会に付議・報告され、その対応状況について取締役会が監督しております。

 

0102010_002.png

 

委員長:代表取締役社長

構成メンバー:管理担当取締役、グループ管理部門責任者、当社グループ各社より任命された委員

 

②リスク管理

 当社グループでは、事業にかかるリスクを統括するグループ経営管理本部において、全社的なリスクの洗い出しや対応方針を決定し、リスクへの適切な管理・対応を推進いたしております。気候変動に関するリスクは、当該グループ経営管理本部のメンバーを構成員とするサステナビリティ委員会において審議することで、全社的なリスク管理と統合できる体制となっております。

 また、サステナビリティ委員会においてTCFD提言に沿ったシナリオ分析を用いて気候変動に関するリスクの重要性評価を審議し、取締役会に報告し、取締役会が監督しております。

(2)気候変動への対応(TCFD提言に基づく開示)

 当社グループは、2023年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取り組みを進めてまいります。

①戦略

 気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)やIEA(International Energy Agency)が公表している情報を基に、当社グループの事業について、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを設定し、2030年及び2050年の影響を分析いたしました。当社グループにおける主な気候変動に関する事業リスク及び機会は、次のとおりであります。

 

(主な事業リスク及び機会)

(※)影響度小(10億円未満)影響度中(10億円〜50億円未満)影響度大(50億円以上)

 

分類

リスク

項目

影響度

(※)

事業への影響

対応策

移行リスク

(1.5℃シナリオで最も顕在化すると想定)

政策・法規制リスク

GHG排出

価格の上昇

炭素税導入により、電気・ガス代等のエネルギーコストが価格転嫁を受け、製造コストが増加。

炭素税導入により、カーボンプライシングに伴う税負担の増加に加え、運送費等が価格転嫁を受け、販売コストが増加。

更なる省エネの実施。新設備導入・更新の際に省エネルギーで生産が可能な設備の選択を推進。各生産拠点における効率的な生産、物流体制を構築。

市場リスク

原材料の

コスト増加

炭素税導入により、原料(チョコレート、乳製品を原料とするクリームやチーズ等)や包装資材が価格転嫁を受け、製造コストが増加。

良品率を高める事により、生産ロス削減に努める。原料供給会社との連携強化による調達コストの上昇を抑制。

顧客行動の変化

消費者の環境意識の高まりにより、環境に配慮した包材への関心が高まる。消費者ニーズに対応するために、環境に配慮した包材への移行による製造コストが増加。

地球環境を配慮した包装資材(FSC認証紙・バイオマスプラスチック等)の採用を推進。食品残さの堆肥化、肥料化等のリサイクルを進める。

物理リスク

(4℃シナリオで最も顕在化すると想定)

急性リスク

サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

豪雨、台風、洪水等による交通インフラへの影響が生じる場合、移動に伴う土産需要が減少。

豪雨、台風、洪水等により生産拠点へ物理的被害が生じる場合、物流網が寸断される場合など、損失や対応コストが発生。

自家需要商品の開発・販売を強化。全国の地域ごとのブランドで多様な販売チャネルを構築させる。ECを活用したギフト商品の販売を強化。

生産・物流拠点の分散化、最適化を推進。BCPの整備・活用。

慢性リスク

平均気温の上昇・最高気温の上昇

平均気温の上昇による主力原料の収穫量・生産量の減少につながる。

・チョコレートの原料であるカカオの収穫量が低下。

・乳牛の乳量の低下

・鶏卵の卵重量の低下

生産量の減少による収益の減少や原料の仕入価格への影響を及ぼす可能性がある。

複数原料供給会社からの原料調達を行う。不足が見込まれる原料については異なる産地からの調達、代替原料による商品製造の開発を進める。

機会

市場

平均気温の上昇・最高気温の上昇

平均気温・最高気温の上昇により、冷凍ギフト(氷菓、アイス、冷凍ケーキ等)の需要の増加を見込む。

冷凍ギフトに対応した商品開発を行う。長時間持ち運び可能な包装資材の導入検討を行う。

 

②指標及び目標

 当社グループは、気候変動を緩和するため、2030年に国内グループ製造拠点のCO2排出量(Scope1+2)を2020年3月期(11,115t)比30%削減、2050年にCO2などの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指してまいります。

 

0102010_003.png

 

(3)人的資本(人財の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標に関する事項

①人財育成方針及び社内環境整備方針

 当社グループは、全ての従業員が顧客をはじめ、職場のメンバーやステークホルダーへの「熱狂的ファン創り」を基本ポリシーに、従業員一人ひとりが当事者意識を持って経営に参画する「全員参画経営」の徹底実践を目指しております。そのために、経営理念の浸透、戦略的な人事の展開、加えて人財育成強化に向けたキャリア設定と研修、女性の活躍推進等人財の多様性の推進、マネジメントの意識改革等に取り組んでいます。

 そのほか、当社グループでは多様性の推進の一環として男性の育児休業取得を推進し、働きやすい環境を整えていく方針であります。また、定年後継続雇用制度の見直しを通じて、60歳以上のシニア人財が一層活躍できる環境を整備推進いたしております。

 

②人財の多様性の確保について

1)多様性の確保についての考え方

 当社グループは、多様な視点を有する人財の確保と活躍等、働き方や雇用におけるダイバーシティの推進は、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上へは欠かせない最重要課題の一つと認識しております。

 多様性の確保に向けた施策として、以下の取り組みを推進いたしております。

 ・女性の活躍推進に向けた管理職登用

 ・中途採用によるプロフェッショナル人財や外国人の採用

 ・働き方改革と健康経営の推進

 ・人財育成の強化

 ・多様性に係るマネジメントの意識改革

 

2)多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標

・女性の管理職への登用

 2024年3月末時点での管理職に占める女性労働者の割合は、8.3%ですが、当社グループの事業内容から女性ならではの視点を経営に活かすことは大変有用であると判断しており、今後とも中途採用を含め能力ある女性を積極的に管理職に登用し、女性管理職比率30%を目標に取り組んでまいります。

 

・中途採用の管理職への登用

 当社グループは、事業拡大に併せて、商品開発、生産技術、WEBマーケティング、IT、海外事業部門等に係るプロフェッショナル人財を積極的に採用しており、2024年3月末時点での中途採用者の管理職比率は、58.3%となっております。今後は、新卒採用者の人財育成強化による管理職登用にも一層注力するとともに、事業推進に応じて必要な中途採用による管理職の登用を含めバランス良く対応してまいります。

 

・外国人の管理職への登用

 海外事業の推進拡大と国内インバウンド事業等に対応し、戦略的な必要性等を考慮のうえ、適宜、外国人の採用と管理職への登用を進めてまいります。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日において、当社グループが判断したものであります。

(1)異常気象、大規模災害等による消費動向の急激な変動について

 当社グループの主力事業は、菓子類を主とした嗜好品を取り扱っており、用途等の性質上、季節変動があり、気象変動の影響を受ける傾向があります。当社グループでは、天候予測を注視しながら、経営成績に与える影響を最小限に抑えるよう対策を講じておりますが、想定をはるかに超え、消費動向に急激な変動を及ぼす猛暑・暖冬などの異常気象や大規模災害、また、新型インフルエンザなどの感染症災害が発生した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(新型コロナウイルスなど、感染拡大によるリスク)

 当社グループでは新型コロナウイルスなど重大な感染症が発生・蔓延した場合、外出自粛に伴う移動の減少や出店施設の臨時休業など、様々な活動の自粛により消費活動が急激に縮小し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの従業員に新型インフルエンザやノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業及び営業を停止するなど、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、感染防止に向けた対策を講じております。

 

(2)自然災害

 当社グループの事業地域であります日本国内は、頻度や程度を予測することが難しい地震、台風、豪雨、噴火といった自然災害の影響を受けやすい環境にあり、万一発生した場合に備え、必要と考えられる設備の定期点検や火災保険などを付保しております。また、事業戦略上、生産拠点及び販売拠点は国内各地に分散化しており、特定地区への生産集中及び売上依存は回避されております。

 しかしながら、大規模な自然災害の発生によりこれらの事業拠点が甚大な被害により、長期間稼働不能の状態に陥るなど生産活動または販売活動に大きな支障をきたす場合や、一部の商品を除き基本的には一商品一工場の生産体制であるため、販売できなくなる商品が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)食品の安全性について

 消費者の食品の安全性に対する関心が非常に高まっています。また、菓子・食品業界におきましては、食品表示偽装、原材料や製品の消費期限・賞味期限の管理の問題など、食品の品質・安全性に係る問題が発生しております。

 当社グループでは、食品の品質・安全性の確保は経営上の最重要課題であるとの認識の下、「食品衛生法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(通称、JAS法)」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」など各種法令の遵守、対応マニュアルの整備、適正表示の徹底、異常が発生した場合に原因をトレースできる体制の構築など品質管理体制の強化に取り組んでおりますが、原材料や製造工程に想定外の問題が発生した場合や、当社グループのみでは回避できない社会・業界全般にわたる品質・衛生的な問題などが発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制について

 当社グループは事業活動を遂行するにあたり、食品衛生法、JAS法、食品表示法、景品表示法、不正競争防止法、製造物責任法など、様々な法的規制を受けており、主に下表の許認可を受けております。当社グループはこれらの許認可を受けるための諸条件及び法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可が取消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりこれらの許認可が取消された場合または業務の停止命令を受けた場合には、当社グループの事業継続及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、今後において規制の強化または新たな規制の導入により、事業活動が制約され、各業務の遅滞が発生した場合等には、当社グループの事業継続及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

許可の種類

有効期限

関連する法令

取消等となる事項

菓子製造業

5年

食品衛生法

第55条および第56条に違反した場合

食品の冷凍または冷蔵業

飲食店営業

アイスクリーム類製造業

喫茶店営業

乳類販売業

 

(健康食品事業の法的規制について)

 当社グループは、新規事業として2012年10月より健康食品事業を営んでおりますが、当該事業において食品衛生法、JAS法、食品表示法、薬事法、健康増進法など様々な法的規制を受けております。当社グループは、当該法的規制の遵守を徹底しておりますが、万が一これらに抵触し、行政処分の対象となった場合の社会的信用力の失墜や法律が改正され、規制が強化された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)原材料の調達及び価格高騰

 製菓原材料は主に小麦粉、小豆、砂糖、油脂など多くの農産物を使用しており、産地の天候不順や自然災害の影響、世界的な需給状況の変化により価格の高騰や安定的な調達が困難になる可能性があり、輸入原料の場合には、為替変動によっても仕入価格が変動する可能性があります。また、原油価格の高騰により重油等の燃料や石油製品である包装資材、容器類の価格が上昇する可能性があります。

 当社グループでは、安定的な調達を実現するため、迅速な情報収集や調達先の多様化、事前の価格交渉によるリスク分散など様々な対応策を進めておりますが、突発的事情により安定的調達ができなくなった場合、また、仕入価格が急激かつ想定を大幅に超えて上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)情報の漏洩

 当社グループは、企業情報及び個人情報の漏洩対策につきましては、「情報管理規程」及び「個人情報管理規程」の制定など、社内体制を整備し、ハード面を含めた一層のセキュリティ強化に取り組んでおります。特に、通信販売においては、多くのお客様の個人情報を保有していることから、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)を遵守するとともに、厳重な管理に努めております。しかしながら、万一何らかの理由により情報漏洩や個人情報保護法に抵触する事象が発生した場合には、損害賠償の発生や対応費用の発生のみならず、当社グループの信用に重大な影響を与え、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外での事業展開

 当社グループは、主にアジア地域において、製品の輸出及び現地法人及びフランチャイズパートナーを通じ、事業活動を展開いたしております。事業展開地域において、予期しない不利な経済的、政治的要因、法的規制などの発生、また、地震などの自然災害、紛争テロの発生、感染症疾病の流行などの事象が発生した場合には、海外での事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損

 当社グループは、事業活動で使用する工場や店舗などにかかる様々な資産を保有しております。経営環境や事業活動の著しい変化による収益性の低下、将来キャッシュ・フローの状況などにより、対象資産に対して減損処理を行った場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症法上の分類が5類に移行したことを受け、行動制限が解除されたことにより、人流の増加とインバウンド需要が復調したことで、社会経済活動は一段と正常化に向かいました。一方で、年度後半は、前年の全国旅行支援の反動減も見られました。また、働き手不足の深刻化、原材料価格・エネルギー価格の更なる高騰や物価上昇による消費マインドの悪化懸念など、依然として先行き不透明な状態が続きました。

 こうした中、当社グループは、2023年経営スローガンを「超絶ド成長元年!」とし、経営理念の徹底実践をベースとした「全員参画による超現場主義」経営を推進し、人財力及び組織力の向上に注力いたしました。また、「プレミアムギフトスイーツ」の創造と育成に邁進し、商品力・販売力・売場力の更なるレベルアップ、人財採用と共育、ブランド開発と売場獲得、インバウンド復活準備などの重点対策の推進に取り組みました。

 製造面では、生産性の向上に向け、生産設備の更新や製造ラインの拡充などに注力するとともに、引き続き、各生産拠点における食品安全マネジメントシステムの運用強化に努めました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、64,035百万円(前期比27.7%増)、営業利益は、15,780百万円(前期比58.6%増)、経常利益は、15,867百万円(前期比54.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、10,831百万円(前期比54.3%増)となり、売上面、利益面ともに過去最高値を更新いたしました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 

区分

売上高

営業利益

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

シュクレイ

20,698

26,455

5,756

4,144

5,843

1,699

ケイシイシイ

14,113

18,052

3,939

2,113

3,818

1,705

寿製菓・但馬寿

10,042

12,834

2,792

1,694

2,776

1,082

販売子会社

5,354

6,957

1,603

472

889

417

九十九島グループ

4,627

6,382

1,754

365

783

417

その他

733

743

9

97

87

△10

小計

55,570

71,427

15,856

8,886

14,198

5,312

(調整額)

△5,414

△7,391

△1,976

1,065

1,582

516

合計

50,155

64,035

13,880

9,951

15,780

5,828

 

 1)シュクレイ

 シュクレイは、売場ディスプレイの改良、限定商品の発売や超試食販売による販売力の強化、大型催事出店の推進などにより、更なるブランド価値の向上に注力いたしました。また、インバウンド対策では、早期に人員体制を整え、主要国際線ターミナルでの展開強化などに取り組みました。出退店では、2023年5月に「ザ・メープルマニア」京王新宿店を、同年6月にはJR東京駅「グランスタ東京」に新ブランド「ザ・ドロス」を、同年11月には阪神百貨店梅田本店に新ブランド「バニ」を出店するなど、計5店の出店及び2店の退店を行いました。その結果、売上高は26,455百万円(前期比27.8%増)、営業利益は5,843百万円(前期比41.0%増)となりました。

 2)ケイシイシイ

 ケイシイシイは、25周年を迎えた「小樽洋菓子舗ルタオ」の更なるブランド価値の向上を図るため、「ルタオ本店」及び「ルタオパトス」の売場改装を行い、商品面では、「ドゥーブルフロマージュ」、「小樽色内通りフロマージュ」などの主力商品を軸に、「まああるガトーノワール」や25周年記念菓「フロマネージュ」などの新商品を加えて、各販売チャネルでの販売強化に注力いたしました。また、インバウンド対策では、主要国際線ターミナルを中心に、販売体制を早期に整え、販売力の向上に努めました。道外店舗では、「ナウオンチーズ」などの首都圏ブランドの育成に注力いたしました。その結果、売上高は18,052百万円(前期比27.9%増)となり、営業利益は3,818百万円(前期比80.7%増)となりました。

 3)寿製菓・但馬寿

 寿製菓・但馬寿は、代理店及びグループ会社との連携強化を図り、売場改善提案などによる主力商品対策や新商品開発に注力いたしました。また、山陰地区では、12年に一度の「うさぎ年」に発売55周年を迎えた山陰銘菓「因幡の白うさぎ」の販売強化や築城30周年を迎えた「お菓子の壽城」ではイベント開催などによる集客力の強化に努めました。その結果、売上高は12,834百万円(前期比27.8%増)、営業利益は2,776百万円(前期比63.9%増)となりました。

 4)販売子会社

 販売子会社は、交通拠点チャネルを重点に、主力商品及び新商品による売場面積の拡大に注力いたしました。エリア別では、関西地区において、主力商品「フレンチトーストラングドシャ」のリニューアルや新商品「大阪いちごチーズケーキタルト」の発売、また、「京都ヴェネト」ブランドによる展開強化などに取り組みました。福岡地区では「博多まっかな苺」ブランドの展開強化などに取り組みました。東海地区では、主力商品「小倉トーストラングドシャ」の拡販などに取り組みました。その結果、売上高は6,957百万円(前期比29.9%増)、営業利益は889百万円(前期比88.4%増)となりました。

 5)九十九島グループ

 九十九島グループは、製造小売型経営への変革を図るため、当社グループのシナジーを最大限活用し、製品の改廃、組織改革、製造ラインの見直しなどの経営改革を推進いたしました。また、10周年を迎えたフレンチトースト専門店「アイボリッシュ」では、グランスタ東京のリニューアルオープンに「フレンチトーストプディング」などの東京駅限定商品を発売するなど、更なるブランド認知度の向上に取り組みました。新規出店では、2023年10月にJR博多駅構内に新ブランド「アイム リリー」を出店、また、退店では2023年10月にアイボリッシュ福岡本店を閉店いたしました。その結果、売上高は6,382百万円(前期比37.9%増)、営業利益は783百万円(前期比114.3%増)となりました。

 6)その他

 その他は、損害保険代理業、健康食品事業、海外(台湾)における菓子事業が含まれております。売上高は743百万円(前期比1.3%増)となり、営業利益は87百万円(前期比10.4%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、46,510百万円となり前連結会計年度末と比べ9,557百万円増加いたしました。

 主な要因は、現金及び預金の増加(6,527百万円)、受取手形及び売掛金の増加(941百万円)、有形固定資産

の増加(714百万円)などによるものです。

(負債)

 負債は、11,287百万円となり前連結会計年度末と比べ851百万円増加いたしました。

 主な要因は、未払金の増加(483百万円)、未払法人税等の増加(266百万円)、賞与引当金の増加(205百万

円)などによるものです。

(純資産)

 純資産は、35,223百万円となり前連結会計年度末と比べ8,705百万円増加いたしました。

 主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加(10,831百万円)、配当金の支払いによる減少

(2,178百万円)などによるものです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.9ポイント増加し

75.7%となりました。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ6,527百万円増加し、22,689百万円(前期比40.4%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、10,845百万円(前期比19.4%増)となりました。

 主な要因は、税金等調整前当期純利益が15,662百万円となり、非資金項目であります減価償却費が1,164百万

円になったことによる増加要因があった一方、法人税等の支払額が△4,861百万円、棚卸資産の増減額が△1,005百万円、売上債権の増減額が△937百万円になったことなどによる減少要因によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、2,004百万円(前期比24.1%増)となりました。

 主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,872百万円などの減少要因によります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、2,322百万円(前期比89.9%増)となりました。

 主な要因は、配当金の支払額2,178百万円などの減少要因によります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

シュクレイ(千円)

21,937,351

131.2

ケイシイシイ(千円)

15,750,194

135.4

寿製菓・但馬寿(千円)

14,717,279

132.7

九十九島グループ(千円)

7,328,064

144.5

合計(千円)

59,732,888

134.2

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主に、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したこと等から人流が回復し、業績が伸長したことに伴い、生産実績及び販売実績が著しく増加したことによります。

 

②受注実績

当社グループは、基本的に販売計画に基づいた見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

シュクレイ(千円)

26,455,827

127.8

ケイシイシイ(千円)

18,052,989

127.9

寿製菓・但馬寿(千円)

12,834,664

127.8

販売子会社(千円)

6,957,496

129.9

九十九島グループ(千円)

6,382,697

137.9

 報告セグメント計(千円)

70,683,673

128.9

その他(千円)

743,546

101.3

セグメント間の内部売上高又は振替高(千円)

△7,391,491

136.5

合計(千円)

64,035,728

127.7

(注)当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したこと等から人流が回復基調で推移したことによりますが、その内容等については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況の概要 ①経営成績の状況」における各セグメント別の経営成績の状況に記載しております。

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、13,880百万円増加し、64,035百万円(前期比27.7%増)となり、大幅な増収となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症法上の分類が5類に移行したことを受け、行動制限が解除されたことにより、人流の増加とインバウンド需要が復調したことで、社会経済活動が一段と正常化に向かった一方、年度後半は、前年の全国旅行支援の反動もあった中で、好立地出店などの売場拡大、主力商品対策や季節イベントにおける需要喚起対策などの施策遂行に起因するものであります。

 販売チャネル別で見ますと、国内小売が前期比20.2%増の30,181百万円、国内卸売が前期比52.9%増の26,415百万円とそれぞれ大幅増収となり、また、通信販売は、前期比1.6%増の5,892百万円となりました。海外事業は、中国及び韓国のフランチャイズ契約の終了などにより前期比21.4%減の1,537百万円となりました。

 なお、各セグメントの売上高の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益率)

 当連結会計年度の売上総利益率は、前連結会計年度に比べ2.2ポイント増加の62.2%となりました。これは主に、売上回復に伴い生産稼働率が改善されたことや商品価格の改定などによるものであります。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3,868百万円増加し、24,023百万円(前期比19.2%増)となり、対売上高比率は、前連結会計年度に比べ2.7ポイント減少の37.5%となりました。対売上高比率の減少は主に、好立地出店や大規模催事出店などによる販売効率の改善や販売促進費などの経費の効率的な使用によるものであります。

(営業利益)

 上記の結果、営業利益は、15,780百万円(前期比58.6%増)となりました。

 なお、セグメント別の営業利益の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(経常利益)

 経常利益は、15,867百万円(前期比54.1%増)となりました。これは主に、売上の伸長に伴い大幅増益となった営業利益によるものであります。

 なお、当社グループは売上高経常利益率を目標指標としており、当該指標の分析等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載しております。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に、減損損失198百万円を計上し、また、法人税等を4,964百万円計上したことにより10,831百万円(前期比54.3%増)となりました。なお、賃上げ促進税制の適用など税額控除が増加したことなどにより、税金負担率が減少いたしました。

 

②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備資金は、主として自己資金及び金融機関からの借入金により充当いたしております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末と比較して140百万円減少の300百万円であります。また、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して6,527百万円増加の22,689百万円であります。

 また、複数の金融機関と当座貸越極度を設定することで、将来の事業活動のための手元流動性の確保に努めております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載いたしております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載いたしております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。

 

6【研究開発活動】

 「喜びを創り喜びを提供する」の経営理念のもと、当社グループの研究開発活動は、市場のニーズを敏感にとらえながら、お客様に満足していただける新製品の開発を基本に、連結子会社寿製菓㈱の研究開発部が中心となって、各関係会社とも密接な連携・協力関係を保ち、取り組んでおります。

 主要テーマとして、全国各地の特産品(農産物、水産物等)を、原料メーカーでは扱っていない製菓原料として加工する技術の研究開発を進めております。また、食品業界における新素材に関する情報や、加工技術、食品保存技術情報について幅広く資料等を収集し、これらの基礎・応用研究を積極的に行い、新製品の開発、既存商品の品質のレベルアップを図っております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は52,697千円であります。

 また、当社グループは「寿製菓・但馬寿」セグメントでのみ研究開発活動を行っており、以下の記載は「寿製菓・但馬寿」セグメントにおける研究開発活動であります。

当連結会計年度における主な研究開発活動は次のとおりであります。

1.焼菓子の新商品開発(ラングドシャ、サンドクッキー、ガレット等のアイテム開発)

2.チョコレートタルトの開発

3.栄養調整食品の研究開発

4.藍由来ポリフェノールの機能に関する研究

・島根大学生物資源科学部と藍の機能性について共同研究

5.主力商品の改良改善

6.食品廃棄削減に向けた商品の賞味期限延長の検討

7.各関係会社との技術情報の共有化