当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「美と健康、清潔で快適な生活を創造する」を経営ビジョンとし、みなさまの暮らしを快適にする身近な商品を、全国の小売業様の店頭にお届けする、日用品・化粧品等の卸商社として、社会的インフラの一翼を担っております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2026年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上高・経常利益・ROE・配当性向を目標として掲げております。
(3) 経営戦略及び定量目標
2026年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標数値及びその結果
当社グループはこれまで以上の成長を果たすべく、各小売業様の「店頭」を常に意識し、当社の強みである独自の情報分析を活かし、消費者の生活様式の変化や購買意識の変化を捉えるカテゴリー戦略を図ってまいりました。
その結果、売上高は9期連続で最高を更新し、経常利益につきましても、過去最高を更新しました。利益については、全体的な値上げ、専売・優先流通品が好調に推移したことにより、売上総利益率が前期に比べ0.05ポイント改善となりました。販管費については、2024年問題の影響による運賃上昇や、将来を見据えた成長戦略への先行投資による増加要因があったものの、IT中計施策の実践による庫内・業務生産性が向上したことにより、販管費率が前期に比べ0.05ポイント改善したことが、利益への貢献となっております。また、さらなる企業価値向上を目指して、株主価値創造施策である「自己株式の取得」「株式分割」「業績予想修正に伴う増配」を実施しPBR1倍超を達成しました。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは生活必需品を取扱う社会インフラとしての使命を担い、暮らしを支え、快適な生活を創造する企業として、「世の中のお役に立ち続ける」という経営理念のもと、どのような状況においても消費者の皆様及び地域社会のために企業活動を持続させ、「強く」「正しく」そしてその先には「楽しく」というあらたESG基本方針に沿い、経済や社会に対して価値を提供し続けてまいりました。
現在、社会環境や経済環境は大きく変化しており、当社グループを取り巻く環境につきましても例外ではなく大きな転換期にあると言えます。当社グループは「長期経営ビジョン2030」の目標達成に向け、第2フェーズとなる「中期経営計画2026」の初年度としてテーマを「成長の加速」とした「成長事業」・「基盤」・「人材」における成長戦略を実施してまいりました。そのような中、不安定な国際情勢や円安の影響等を背景にした原材料や資源価格の高騰による物価の上昇など、先行き不透明な環境下ではありましたが、売上高・経常利益・ROEは順調に推移し、配当性向につきましては、2024年3月期時点で目標を達成することができました。
このような状況の中、当社グループは「長期経営ビジョン2030」で立てた売上高1兆円の目標を「中期経営計画2026」の最終年度である2026年3月期に達成するため、以下で掲げた目標及び実行すべき戦略を推進してまいります。また、PBR1倍のさらなる上を目指し、成長投資を軸に株主価値創造施策にも考慮したキャッシュ・アロケーションを実現することで成長を加速させ、企業価値向上を図ってまいります。
(中期経営計画2026の概要)
<テーマ>
「成長の加速」
「成長事業」・「基盤」・「人材」における成長戦略を加速し、長期ビジョン2030の売上目標を早期達成。
2030のその先を見据えた企業成長で存在感を発揮し、PBR1倍超も視野に、さらなる企業価値向上へ。
<目標数値> (単位:百万円)
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売上高 |
経常利益 |
ROE |
配当性向 |
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2026年3月期 目標数値 |
1,000,000 |
20,000 |
10%台 |
目標前倒し 2024年3月期 30%実現 |
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(参考) 2024年3月期実績 |
944,149 |
15,341 |
9.7% |
30.5% |
<経営課題と重要課題>
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社会環境の変化 |
経営環境の変化 |
重要課題 |
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・少子高齢化 人口減少 |
・人手不足 |
・成長性 |
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・気候変動の影響 |
・カーボンニュートラル |
・安定性 |
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・資源の高騰 |
・燃料、商品価格高騰 |
・サステナビリティ |
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・パンデミック |
・生活様式の変化 |
・株主価値 |
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・テクノロジーの進化 |
・企業間競争激化 |
・情報発信 |
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・グローバル化 |
・イン・アウトバウンド需要復調 |
・低PBR |
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・ガバナンス |
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<戦略骨子>
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成長戦略 |
基盤強化 |
サステナビリティ |
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・卸事業の更なる成長 ・商品調達・企画・開発機能強化 |
・生産性向上に向けた物流改革・IT改革・DX推進 ・人的資本経営への変革 |
・環境貢献 ・ガバナンス体制強化 |
上記戦略とともに、サプライチェーン全体も見据えた環境・社会・ガバナンスへの取組も積極的に推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
サステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
[サステナビリティの考え方]
当社グループは、「世の中のお役に立ち続ける」という経営理念に基づき、社会とともに持続的な成長・発展をめざしています。
すべてのステークホルダーとの信頼関係により強い基盤を構築し、サプライチェーン全体の環境・効率化を正しい姿勢で進め、皆様の暮らしをより豊かに、楽しくする事業戦略を実現することで私たち社員も働く楽しみを享受する。このような事業活動を通じて持続的な企業価値向上に繋げてまいります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス
ESGを推進する専門部門としてサステナビリティ推進室と、社外役員全員を委員に含むESG委員会を設置しております。ESG委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、年4回開催しており、サステナビリティに関するリスク及び機会の検討・審議を行っております。また取締役会は、ESG委員会で重要と判断された案件について報告を受け、必要に応じて審議・決定を行うことを通じて全体を監督しております。
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[サステナビリティ推進体制]
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[2024年3月期 ESG委員会 主な議題]
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(2)サステナビリティ全般に関するリスク管理
サステナビリティに関する全社的なリスク及び機会について、コーポレートガバナンス統括本部が特定しております。ESG委員会及び取締役会において、リスクが経営に及ぼすインパクトの大きさを総合的に評価し、対応策を検討しております。
リスク管理の窓口をコーポレートガバナンス統括本部が担い、各本部と連携の上で対応策を推進し、リスクの低減を図っております。
(3)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
① 気候変動
② 人的資本
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
① 気候変動
当社は、気候変動に関するリスクを重要な課題と捉え、CO2排出量の削減や、サプライチェーン全体の好循環を生む活動により地球環境の保全と経済活動の両立を図り、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しております。気候変動に関するリスク・機会の特定および対応が経営上の重要課題であるという認識のもと、TCFDに賛同し、気候変動に関する情報を積極的に開示しております。
・ガバナンス
「
・戦略
異なるシナリオ下(下表参照)における、将来の気候関連リスク・機会の財務影響および事業インパクトを把握するとともに、当社戦略のレジリエンスを評価することを目的としてシナリオ分析を実施しております。
■参照シナリオ
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区分 |
シナリオの概要 |
主な参照シナリオ |
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1.5℃/2℃ 未満シナリオ |
脱炭素社会の実現へ向けた政策・規制が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を1.5℃/2℃未満に抑えられるシナリオ。移行リスクは高いが、物理リスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。 |
・IEA World Energy Outlook 2022. Sustainable Development Scenario ・IPCC RCP2.6 |
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4℃シナリオ |
パリ協定における国別目標など、公表済み目標が達成されることを前提としたシナリオ。新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加する。移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。 |
・IEA World Energy Outlook 2022.Stated Policy Scenario ・IPCC RCP8.5 |
■リスク及び機会
気候変動の影響は、当社グループにとって事業・戦略・財務への大きなリスクとなる一方で、消費者ニーズの変化によるメーカー様・小売業様含めたサプライチェーン全体の課題に対し、卸商社としての機能を活用することで「機会」にもなり得ます。下記は、現時点での当社グループの事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会を特定し、それらの財務インパクトを定性的に評価しました。今後も定期的にシナリオ分析を実施し、リスク・機会の見直しを行う予定であります。
・リスク管理
「
・指標と目標
当社は、気候変動の緩和のため以下のGHG排出量削減目標を設定しております。
■2026年3月期 30%削減(あらた単体Scope1,2対象 2014年3月期比)
■2030年3月期 50%削減(あらた単体Scope1,2対象 2014年3月期比)
■2050年3月期 カーボンニュートラル(あらた単体Scope1,2対象)
[GHG排出量 Scope1・2 あらた単体] (単位:t-CO2)
[GHG排出量 Scope3内訳 あらた単体] (単位:t-CO2)
※2023年3月期よりScope3の対象カテゴリーを拡大し、カテゴリー11、12につきましても算定を順次進める予定としております。
なお、カテゴリー8、9、10、13、14、15については該当する排出はありません。
※2024年3月期のScope3は現在算定中であり、2024年9月発刊予定の「あらた統合報告書2024」に算定結果を掲載予定であります。
https://www.arata-gr.jp/ir/library/annual_report/
今後もグループ連結におけるGHG排出量の算出を進めると同時に、目標の達成に向けて長期的な視点での省エネ施策(物流センターや拠点における高効率設備への更新 他)や、再生可能エネルギー利用によるCO2削減計画を策定し、取り組みを進めてまいります。
② 人的資本
当社は社員を、目標を共有して協働するパートナーと考え、社員の個々の成長なくして会社としての成長はないという考え方のもと、様々な考えや価値観、それぞれの立場を尊重し、相互に意見を交わしてより良い環境をつくることを重要視しています。社員が働き甲斐をもって長く働き続けられる企業となるべく、「人材」への投資を進め、人事制度の拡充や多様な働き方を実現する仕組みづくりを推進してまいります。
・ガバナンス
「
・戦略
〈新人事制度の運用〉
人事戦略スローガン『未来の人と組織づくり~2030年に向けて強い組織を作る~』
長期経営ビジョン2030「夢をかなえる。暮らしを変える。」に向けた基盤事業や成長戦略を担う多様な人材が協働することで、より高い付加価値を生み出す組織となり、全社員が働き甲斐を持ち長く働き続けられる会社となることを目的として、2023年4月より人事制度を改定しました。評価制度や昇格要件の改定、エリア管理職の新設、シニア活躍に向けた制度改定など、老若男女問わず一人ひとりの能力が最大限発揮できる体制を整えております。2030年のさらにその先を見据えた人事戦略により、強い組織を構築してまいります。
多様性の確保:ダイバーシティ&インクルージョン方針
企業が持続的に成長するためには、国籍・性別・年齢などの区別なく多様な人材を登用し、イノベーションを生み出すことが求められており、人口減少による人手不足が進む環境下においては、多様な人材が長期間活躍できる環境を整えることが重要なテーマであると捉えています。2024年4月より「十人十色の成長をチカラに~すべての社員が夢を描ける会社を目指して~」をダイバーシティ&インクルージョン方針として掲げ、取り組みを加速させております。
〈女性活躍推進〉
ダイバーシティ&インクルージョンの推進における重点項目として、「女性活躍推進」を掲げており、中期経営計画2026の最終年度である2026年3月期までに女性管理職(課長級以上)比率を4.5%とする目標を設定し、意欲的に働き続けるための制度や環境構築に向けて、継続的かつ積極的に取組を進めております。課長級管理職の候補世代である係長級の女性社員が増加しており、女性総合職の新卒採用比率は2021年度以降継続して40%以上を維持しております。
2023年7月より当社とグループ会社のジャペル㈱の女性社員の交流を通して「全社員が働きやすく活躍できる会社」を目指し、課題発掘や経営層への提言を行う「A&Jプロジェクト」を発足し、具体的な施策に繋げています。拠点や部署を跨いで様々なバックグラウンドを持つ社員同士が議論することで、参画した社員自身の主体的なキャリア形成のきっかけにもなっており、今後も継続的に活動を進めてまいります。
なお、女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良であるとして、2024年3月に女性活躍推進に基づく厚生労働大臣認定の「えるぼし(2段階目)」認定を取得いたしました。
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女性社員比率 (あらた単体) |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
えるぼし(2段階目)認定マーク |
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管理職(課長級以上) |
2.1% |
2.2% |
2.8% |
2.9% |
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管理職(係長級) |
5.3% |
6.2% |
6.6% |
8.5% |
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新卒採用(総合職) |
52.4% |
40.5% |
44.0% |
48.5% |
人材強化:人材育成方針
全社員が働き甲斐を持ち、長く働き続けられる会社となることを目指し、社員一人一人がチャレンジングで意欲的に目標に向かって活動してもらえるよう、公正な人事評価の実施や、年齢に捉われず成果を上げている社員が早期に上位等級で活躍できる環境を構築しております。
また、新入社員から管理職まで、キャリアごとのスキルアップを支援する多種多様な研修制度を設けています。
〈研修制度〉
対面での研修だけでなく、全社員向けのEラーニングとして「Ael E研修ナビ」を提供しております。「Ael E研修ナビ」とは、部署や等級を問わず全社員が必要なときに良質な学びが受けられる場として社内イントラネットを通じて配信しているものであり、現在159のコンテンツ数を有しております。
職場環境の整備:社内環境整備方針
社員のライフステージの変化を支え、ワークライフバランスの向上を図るため、多様な働き方の実現や、長く働き続けられる環境づくりを進めております。2020年より社員意識調査を実施しており、評価と別にメッセージ欄を設けることで社員の声が直接経営層に届く仕組みとなっております。定期的に社員のエンゲージメントの状況を把握し、信頼関係構築や制度などの改善に繋げることで、意欲的に働ける環境を整備してまいります。
〈育児休暇取得推進〉
法定基準を上回る内容の「育児短時間勤務」「子の看護・介護休暇」などの制度を導入しております。2024年3月には全社員向けに育休交流会を実施し、制度説明だけでなく上司や同僚の対応や当事者の心構え、ハラスメントにつながる発言例などを紹介し、社内の理解浸透施策を講じています。また、社内報で育児休暇を取得した男性社員のインタビューを掲載するなど、男性の育児休業取得も推進しております。
〈健康経営〉
従業員が長く意欲的に働き続けられるよう、健康を維持・増進することが重要な経営課題であると認識しており、従業員の健康を企業としてサポートし、活力に満ちた職場環境の実現に努めることを社内外に公表し宣言しております。がん検診受診やインフルエンザ予防接種の無料制度、3大疾病治療中の特別休暇制度などを整備しており、今後は社員のヘルスリテラシー向上に資するセミナー開催など、健康経営への取り組みをより一層強化・推進してまいります。
・リスク管理
「
・指標と目標
上記「戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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各戦略 |
人事KPI |
実績(2024年3月期) |
目標( |
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多様性の確保 |
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人材強化 |
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延べ |
延べ |
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職場環境の整備 |
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※継続勤務意識 |
(1~5段階評価) |
(1~5段階評価) |
目標及び実績は当社単体に関する数値を記載しておりますが、当社連結グループ又は主要な子会社に関する数値についても現在策定に向けて検討を進めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 競争激化による投資コストの増加について
当社グループが属する日用品・化粧品の卸売業界におきましては、取扱い商品における業界の垣根を越えた再編の可能性があり、主要顧客である小売業界においても同様の動きが起こる可能性があります。また、外資系小売業の進出などにより、物流機能の取り込みが起こり、卸売業の物流機能の評価が低下する可能性もあります。
このような業界再編やそれにともなう物流形態の変化等の環境変化に対応するために、新しい事業分野への進出や、物流機能の充実のための大型物流センター等の設備投資が必要となってくると考えられます。その場合には、減価償却費や物流に関連する各種経費の一時的増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、今後も積極的な売上拡大に対応する為、全国に亘る物流ネットワークの整備を継続してまいりますので、初期投資に関わる費用、減価償却費の増加は見込まれますが、従来通りに既存センターの統合、廃止などにより、在庫の削減、センター内の業務費用、配送費用の圧縮により投資コストの早期回収を進めます。
② 業績変動について
当社グループの業績は、第4四半期において他の四半期に比べて売上高及び利益は低下する傾向にあります。
これは主に、12月に日用品をまとめて購入する消費需要の反動や、2月は営業日数が少ない等の影響によるものであります。このため、第3四半期までの業績の傾向が、年間の業績の傾向を示さない可能性があります。
また、上記傾向が継続していることに加え、自然災害の発生や消費税増税など大きな環境変化が起こった際には四半期毎の傾向が大きく変わることが想定され、過去の傾向どおりには推移しない可能性もあります。
この様な各種環境変化への対応としては過去において売上高、利益に対して影響を及ぼした要因を分析し、消費の需要変化を予測し、執行役員等が出席する経営会議や取締役会において商品政策、販売政策を検討し実施しております。
なお、2023年3月期及び2024年3月期の四半期毎の業績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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2023年3月期 |
||||
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
売上高 |
220,051 |
225,169 |
233,776 |
212,603 |
891,600 |
|
(構成比 %) |
(24.7) |
(25.3) |
(26.2) |
(23.8) |
(100.0) |
|
営業利益 |
3,429 |
2,937 |
3,730 |
2,715 |
12,812 |
|
(構成比 %) |
(26.8) |
(22.9) |
(29.1) |
(21.2) |
(100.0) |
|
経常利益 |
3,768 |
3,145 |
3,871 |
2,895 |
13,680 |
|
(構成比 %) |
(27.5) |
(23.0) |
(28.3) |
(21.2) |
(100.0) |
(単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
||||
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
売上高 |
235,239 |
236,148 |
247,730 |
225,029 |
944,149 |
|
(構成比 %) |
(24.9) |
(25.0) |
(26.3) |
(23.8) |
(100.0) |
|
営業利益 |
4,347 |
3,626 |
4,454 |
2,079 |
14,508 |
|
(構成比 %) |
(30.0) |
(25.0) |
(30.7) |
(14.3) |
(100.0) |
|
経常利益 |
4,669 |
3,754 |
4,575 |
2,342 |
15,341 |
|
(構成比 %) |
(30.4) |
(24.5) |
(29.8) |
(15.3) |
(100.0) |
③ ペット生体の需給動向について
犬猫生体については、繁殖者の減少から生体が供給不足になる可能性があります。また、犬猫の平均寿命は延びているものの、高齢生体の比率が上昇しており、高齢生体の死亡により飼育頭数が減少する可能性があります。生体全般としては人獣共通感染症が発生した場合に生体が減少する可能性があります。ペットフード・用品の売上高については、ペット生体の数の増減によって業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、近年において犬の飼育頭数の減少が見られるなどの状況が発生しておりますが、高齢生体の上昇や飼い主とペットとの関係性の変化等によるペットフード・用品の高機能化などの変化に迅速に対応する等、生体数減少による売上高の減少をカバーする対応を行っております。
④ 商慣習によるリスクについて
当社グループが所属する日用品・化粧品・ペット卸売業界は、商品の販売数量や支払条件等に応じて、メーカーから販売奨励金等が支払われます。これは、メーカーと当社グループの間で取り決められた条件を達成することによって支払われますが、メーカーの営業戦略の変更により制度変更された場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの商品在庫におきましては、ほぼメーカーへの返品が可能となっております。しかしながら、メーカーの民事再生等により債務不履行が発生した場合は、在庫評価損の計上や返品が不能となる場合があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、近年ではメーカーの債務不履行により業績に大きな影響を与える事例は発生しておりませんが、買掛金、在庫管理を中心として仕入先与信管理を強化し、リスク軽減の対応を行っております。
⑤ ペットフードの安全性について
「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の施行により、安全基準値を超えた商品が発見された場合にはペットフードの生産、流通に支障が生じる可能性があります。また、ペットフードの主原料になることが多いトウモロコシ等の穀物について、世界的な異常気象等による不作から、ペットフードの調達不足が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点では当該リスクが顕在化する可能性については認識しておりません。しかし今後発生する可能性を考慮し、仕入先との連携によるペットフードに関する情報収集の強化や仕入先を複数もつことでのリスク軽減などの対応を行っております。
⑥ カントリーリスクについて
当社グループは、海外事業の拡大を図っており、海外現地における政情不安、貿易制裁、文化や法制度の相違、特殊な労使関係等によるカントリーリスクにより、円滑な業務運営が妨げられ、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社仕入先の製造工場が海外にある場合にも、同様のリスクが考えられ、商品供給が滞る可能性があります。
⑦ 信用リスクについて
当社グループでは取引先の信用悪化や経営破綻による損失が発生する信用リスクを管理するため、信用調査会社による資料に基づき要注意先を設定し与信限度額を定め、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などを取り付けるとともに、会計上充分な貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、得意先の業績悪化により、債権等が回収不能となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、これまでにも債権回収不能の事態は発生しておりますが、多くが軽微であり経営に大きく影響を与える状況にはありません。しかし社会、経済環境の変化により景気が減退し、発生する可能性を考慮し、不安のある得意先に対しては取引限度額の再設定や保証の取り付け、与信保険の設定などによりリスク軽減を図っております。
⑧ 減損会計について
当社グループは、事業用資産として多くの土地及び建物等を所有しております。事業用資産の簿価に対して時価が著しく下落した場合や各支社の収益性が悪化した場合等には、固定資産の減損処理が必要となる場合があります。その場合、特別損失が計上され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、各支社の収益悪化に対して本社と連携して得意先への対応を協議・実践するなど収益改善に向けた取り組みを強化することでリスク軽減を図っております。
⑨ 投資有価証券保有にかかる株価変動リスクについて
当社グループは主として営業上の取引関係の維持、強化のため取引先を中心に政策保有株式を保有しております。
このため、株式相場の動向もしくは株式を保有している企業の業績次第では、それぞれの株価に大きな変動が発生し、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、政策保有株式全銘柄につき個別に保有の妥当性を判断し、取締役会等で継続して保有する経済合理性が乏しいと判断した場合には、その時の経済情勢や譲渡損益等を考慮したうえで、当該保有先との対話を経て、適切な時期に保有株式の売却を行うなどの対応を行っております。
⑩ 大規模災害について
当社グループは全国に多くの拠点があり、大規模災害が発生した場合にはその地域における物流機能の麻痺及びシステム障害が発生し、商品の供給が滞る可能性があります。
なお、東日本大震災や近年の大型台風、集中豪雨などにより当該リスクは発生しておりますが、BCP対策強化の一環として、一部の物流センターが被災した場合でも、他のエリアの物流センターから商品供給できる体制を持ち、また全国に分散したバックアップセンターによりシステム障害を防ぐ体制を構築しております。
⑪ システムトラブルについて
当社グループは、営業活動、商品管理等の多くをコンピューターネットシステムに依拠しております。自然災害や事故の発生、コンピューターウイルスの侵入等により機能が停止した場合、リカバリーシステムによる復旧までに時間を要し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、有事においても安定的に商品供給するために日次の業務データを複数のバックアップセンターにより分散管理し、一つのセンターが被災した場合においても迅速にシステムを復旧させ、事業継続できる体制を構築しております。
⑫ 感染症等の流行発生にかかるリスク
感染症等の流行により、当社グループの多くの従業員が感染するなど、人的資源の喪失で事業継続が困難になり、業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応といたしましては、BCPの観点からあらゆる事態を想定し、事業への影響及びその対策について、取締役会、経営会議において議論し、本社、支社においてそれぞれの環境に応じた具体的な施策を立案し、このような事象が発生した場合においても最小限の影響にとどめる対策を実施することでリスク軽減を図っております。
⑬ 気候変動によるリスク
当社グループは、生活必需品を取り扱う卸商社として皆様の生活を支える社会インフラの一部であることから、気候変動に関するリスクを重要な課題と捉え、長期経営ビジョン2030においても対応策や目標を定めております。
気候変動に伴う異常気象による当社物流網やサプライチェーン全体への損害や、脱炭素社会への移行に伴うコスト
の上昇などにより当社業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑭ 人的資本にかかるリスク
当社グループが持続的な成長を実現していくためには、多様で優秀な人材を確保・育成し、その能力を最大限に発揮することが重要であります。国内は人口減少による人手不足が進み、雇用情勢の変化や人材の流動化等の影響により、必要な人材の確保・育成が行えなかった場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、人権尊重を根底に「多様性の確保」「人材強化」「職場環境の整備」を3つの柱として人事戦略を推進しております。全社的なリスクについては、法務・広報IR・ESG本部(2024年4月1日付でコーポレートガバナンス統括本部に名称変更)が特定し、ESG委員会及び取締役会においてリスクが経営に及ぼすインパクトの大きさを総合的に評価し、各本部と連携の上、対応策を推進することでリスク軽減を図っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上5類へ移行されたことで、国内外における人流が活発となり、インバウンド需要等も回復し、経済活動が正常化に向けて動き出しました。
一方、個人消費につきましても、ここ数年とは違う新しい生活様式に向けて期待が持てる一方、不安定な国際情勢や円安の影響等を背景にした原材料や資源価格の高騰による物価の上昇により、消費者の生活防衛意識が一層強まり、節約志向は一段と高まりをみせており、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境において、当社グループはこれまで以上の成長を果たすべく、「中期経営計画2026」(2024年3月期~2026年3月期)で掲げた各重点施策を着実に推進しております。当社は設立時より各小売業様の「店頭」を常に意識し、当社の強みである独自の情報分析を活かし、消費者の生活様式の変化や購買意識の変化を捉えることにより従来から継続してきたカテゴリー戦略を引き続き実施し、さらに専売・優先流通品の拡大により当社グループの独自性を強化してまいりました。
このような活動の結果、売上高は9期連続で最高を更新し、経常利益につきましても、過去最高を更新しました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は316,976百万円となり、前連結会計年度末と比較して26,118百万円の増加となりました。
負債合計は207,257百万円となり、前連結会計年度末と比較して18,465百万円の増加となりました。
純資産の部は109,719百万円となり、前連結会計年度末と比較して7,652百万円の増加となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は944,149百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益は14,508百万円(前年同期比13.2%増)、経常利益は15,341百万円(前年同期比12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,322百万円(前年同期比25.5%増)となりました。
なお、セグメントの業績につきましては、当社グループは日用品・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであるため記載を省略しておりますので、カテゴリー別及び業態別の売上実績につきまして記載しております。
カテゴリー別売上実績
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当連結会計年度におけるカテゴリー別売上実績は、次のとおりであります。 (単位:百万円) |
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カテゴリー |
主要商品 |
当連結会計年度 |
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(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 |
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% |
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ヘルス&ビューティー (Health & Beauty) |
化粧品、装粧品、入浴剤、身体洗浄剤、ヘアカラー、オーラルケア、医薬品、健康食品 |
289,806 |
104.3 |
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ハウスホールド |
衣料用洗剤類、台所・食器用洗剤類、住居用洗剤類 |
134,155 |
104.0 |
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ホームケア |
芳香・消臭剤、防虫剤、殺虫剤、薫香ローソク、乾電池/乾電池応用品、記録メディア、照明用品、電気応用品、OA用品、写真関連品 |
75,957 |
105.2 |
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紙製品 |
ベビー用品、ベビー用おむつ、介護用品、大人用おむつ、生理用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパー |
183,488 |
106.3 |
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家庭用品 |
台所消耗品、洗面用品、清掃用品、収納用品、季節品、保存用品、調理用品、卓上用品、行楽用品 |
63,586 |
103.5 |
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ペット・その他 |
ペット用品、文具、玩具、カー用品 |
197,155 |
110.4 |
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合計 |
944,149 |
105.9 |
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カテゴリー別については、ペット・その他が前年同期比10.4%増、紙製品は同6.3%増、ホームケアは同5.2%増、ヘルス&ビューティー(Health & Beauty)は同4.3%増、ハウスホールドは同4.0%増、家庭用品は同3.5%増と全てのカテゴリーが前年を上回る結果となりました。カテゴリーの構成比が大きいヘルス&ビューティー(Health & Beauty)については、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行され、国内外における人流が活発になったことで消費者の外出機会が増加したことにより、基礎化粧品やメイクアップ等を中心に需要が伸びております。また、ペットについては、グループ会社であるジャペル㈱の専門性の高い提案によるペット用おやつなどの伸長により、好調に推移しております。
業態別売上実績
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当連結会計年度における業態別売上実績は、次のとおりであります。 (単位:百万円) |
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業態 |
当連結会計年度 |
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(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 |
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% |
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ドラッグストア |
494,582 |
107.5 |
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ホームセンター |
132,287 |
103.6 |
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スーパーマーケット (SM) |
109,016 |
104.2 |
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ディスカウントストア |
70,584 |
108.4 |
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GMS |
39,875 |
100.0 |
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その他 |
97,802 |
103.8 |
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合計 |
944,149 |
105.9 |
業態別については、ディスカウントストアが前年同期比8.4%増、ドラッグストアは同7.5%増、スーパーマーケットは同4.2%増、Eコマースやバラエティ業態が含まれるその他は同3.8%増、ホームセンターは同3.6%増と好調に推移しております。
社会全体の経済環境が厳しい中、各業態・各小売業様の特長に合わせ、消費者動向を意識した提案を行うことで小売業様に貢献してまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,244百万円増加し、27,016百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は14,059百万円(前年は10,969百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が15,184百万円、仕入債務の増加額21,901百万円等の収入に対し、売上債権の増加額18,612百万円、棚卸資産の増加額4,021百万円等の支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は5,305百万円(前年は4,281百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,545百万円、無形固定資産の取得による支出2,009百万円等の支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は4,556百万円(前年は3,311百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入10,030百万円等の収入に対して、短期借入金の純減による支出7,166百万円、社債の償還による支出5,993百万円等の支出があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産の実績及び受注実績
当社グループの事業内容は、日用品・化粧品等の卸売業であり、生産の実績は記載ができないため、当該記載を省略しております。
また、受注実績は販売実績と近似しているため、下記の販売実績を参照ください。
b.販売実績
当社グループの事業内容は、日用品・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであります。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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株式会社ツルハホールディングス |
118,067 |
13.2 |
127,452 |
13.5 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは過去の実績値や分析値、状況等を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果とは見積り特有の不確実性があるため、異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産の減損
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。資産計上した建物や構築物等について、事業環境の悪化により、減損会計におけるグルーピング単位で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産
繰延税金資産は、毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込み等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
c.貸倒引当金
当社は売掛金等債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、さらにその支払能力が著しく低下した場合には追加引当処理が必要となる可能性があります。
d.投資有価証券
当社が保有する市場価格のない投資有価証券については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産と取得価額とを比較して、1株当たり純資産が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。
このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。
なお、将来の超過収益力等を反映した価額を実質価額とすることが合理的と判断される場合には、当該金額を純資産額に代えて減損処理の要否を検討しております。減損処理の要否を検討するに当たっては、投資先から事業計画等を入手し、これまでの実績等を勘案して、超過収益力等の毀損が生じていないかにより判断しております。
このため投資先の事業計画等が達成されない場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は316,976百万円となり、前連結会計年度末と比較して26,118百万円の増加となりました。
資産の部では、流動資産が242,745百万円となり、前連結会計年度末と比較して25,064百万円の増加となりました。
これは主に受取手形及び売掛金が18,626百万円、現金及び預金が4,037百万円、商品が4,033百万円増加したことによるものであります。
固定資産は74,230百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,054百万円の増加となりました。
これは主に建物及び構築物が1,052百万円減少した一方で、投資有価証券が1,318百万円、ソフトウエアが694百万円増加したことによるものであります。
負債の部では、流動負債が170,647百万円となり、前連結会計年度末と比較して11,887百万円増加となりました。
これは主に、1年内償還予定の社債が6,000百万円、短期借入金が5,128百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が21,365百万円増加したことによるものであります。
固定負債は36,609百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,578百万円の増加となりました。
これは主に、新規発行により社債が5,000百万円増加したこと及び、長期借入金が2,034百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は109,719百万円となり、前連結会計年度末と比較して7,652百万円の増加となりました。
これは主に利益剰余金が7,692百万円増加したことによるものであります。
このような結果、自己資本比率は34.6%となりました。
b.経営成績の分析
イ.経営環境 長期ビジョンによる企業価値向上 PBR1倍達成
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上5類へ移行されたことで、国内外における人流が活発となり、インバウンド需要等も回復し、経済活動が正常化に向けて動き出しました。
一方、個人消費につきましても、ここ数年とは違う新しい生活様式に向けて期待が持てる一方、不安定な国際情勢や円安の影響等を背景にした原材料や資源価格の高騰による物価の上昇により、消費者の生活防衛意識が一層強まり、節約志向は一段と高まりをみせており、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境において、2024年3月期は「長期経営ビジョン2030」の第2フェーズである「中期経営計画2026」の初年度としてテーマを「成長の加速」とした「成長事業」・「基盤」・「人材」における成長戦略を実施してまいりました。また、さらなる企業価値向上を目指して、株主価値創造施策である「自己株式の取得」「株式分割」「業績予想修正に伴う増配」を実施しPBR1倍超を達成しました。
ロ.事業戦略 化粧品とペットカテゴリーへ注力 ITによる生産性の改善
売上総利益の拡大にむけて設立時より各小売業様の「店頭」を意識し、当社の強みである独自の情報分析を活かし、消費者の生活様式の変化や購買意識の変化を捉えるカテゴリー戦略を引き続き実施してまいりました。
特に化粧品関連商品については外出機会が増加したことに合わせて基礎化粧品やメイクアップの提案等、消費者の行動変化を見据えて、専売・優先流通品の拡大により独自性を強化して豊かで快適な暮らしに結びつく店頭提案の強化を実施してまいりました。
ペット関連商品については、ペットの体調やライフステージに合わせたフードの提案、ペットとの生活をより楽しくするためにペット用おやつ等の提案を実施する等、あらたグループのペット専門卸商社であるジャペル株式会社の専門性を活かした戦略を実施してまいりました。
販売費及び一般管理費については、好調に推移する売上に合わせて2024年物流問題の影響により配送費等が増加しております。また、長期的視点に立った人材戦略として人的資本への投資を積極的に行うこととしており、2023年4月よりスタートした新人事制度で社員の給与水準向上を図ったことにより、人件費が増加しております。
一方で、生産性向上に向けてIT中計施策を中心とした各種施策を戦略的に実施することによって庫内・業務生産性が向上し、結果的に2024年3月期通年では売上高が前年同期比5.9%の増加の中、販売費及び一般管理費は、前年同期比5.3%増加と0.6ポイント抑えることができました。
ハ.業績 9年連続の増収増益 第4四半期は成長へ積極的な先行投資
今後も主要な顧客である大手小売チェーンストアの規模拡大に伴う競争激化により予想される売上総利益率の低下や販管費率上昇の課題に対し、第3及び第4四半期を中心に売上総利益額改善に向けた新規取引獲得、ITを活用した物流費率や人件費率抑制に向けた先行投資を実施しました。これらにより販売費及び一般管理費は増加傾向にありますが2026年3月期目標達成に向けて大きな成果を生む中期経営の視点に立った積極的な施策であります。
以上のような結果、当連結会計年度における売上高は944,149百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益は14,508百万円(前年同期比13.2%増)、経常利益は15,341百万円(前年同期比12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,322百万円(前年同期比25.5%増)となり、9期連続で増収増益を達成し、また企業の経営効率を表すROEは9.7%まで上昇し、中期経営計画2026実現に向けて順調に推移しております。
このような好調な業績に加え、前述の株主価値創造施策の実施や「えるぼし2つ星」獲得や女性活躍推進などESGの活動も積極的推進してきたことで、2024年3月期末においてPBRが1.01倍となり、各種施策が企業価値向上につながっております。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入であります。投資を目的とした主な資金需要は、物流センターに関する設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入及び債権流動化を基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入及び社債の発行を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は38,408百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は27,016百万円となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。