文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。なお、本文中での年度表記は右記のように記載しています。例:2025年3月期→2024年度
1.2024年度事業方針
(1)事業方針
2024年度につきましては、事業拡大を目指す「成長事業」と収益改善に注力する「変革事業」に分けて事業を推進してまいります。
成長事業としてはゲーム制作プロセスにおけるE2E(End to End)サービスを展開する「ゲーム関連事業」、シリーズ累計3,300万部突破のライトノベル「薬屋のひとりごと」などグループ独自IPを展開する「IP創出」、自社生産・世界各国へ販売している「ハイスピードカメラ事業」、これら3つの事業拡大に注力してまいります。変革事業については、映像コンテンツのローカライズや配信向けサービスをグローバルに展開する「グローバルE2E事業」とTVやCMのポストプロダクション(編集)サービスを展開する「TV関連事業」の収益改善に注力いたします。
(2)セグメント別事業計画
セグメント別の事業計画は、以下のとおりとなります。
<映像コンテンツ事業>
映像コンテンツ事業においては、2023年度に納品した劇場映画など大型作品等の反動により減収の見通しですが、「薬屋のひとりごと」を始めとするIP創出による収益拡大の継続、アニメ制作や広告制作における粗利益率向上などにより、営業利益率は5%超えを目指してまいります。
<映像制作技術サービス事業>
映像制作技術サービス事業においては、APACでの受注強化や低コスト国への業務移管によるコスト削減などにより、グローバルE2E事業での収益改善を目指すほか、ゲーム3DCG事業の更なる拡大とグローバル展開の加速によりゲーム関連事業での増収、加えてTV関連事業での収益改善により、事業全体として増収増益を目指してまいります。
<映像システム事業>
映像システムにおいては、ハイスピードカメラにおいて東南アジアの自動車向け受注強化や新モデル導入により販売台数の過去最高値更新を目指すほか、3Dセンシング技術を活用したビジネス領域の拡大にも取り組んでまいります。
これらの事業計画に加え、前年度の映画・ドラマの大型作品計上の反動、連結子会社の売却、ならびに米国ハリウッドにおける脚本家・俳優組合のストライキの影響を織り込み、2024年度については、売上高980億円、営業利益(のれん等償却前)58億円、営業利益37億円、経常利益32億円、親会社株主に帰属する当期純利益20億円を見込んでおります。
2.今後の経営方針について
当社グループは「高収益体質のグループ」を実現するため2025年度を最終年度とした、中期経営計画「G-EST2025」(ジーエスト2025)を推進してまいりました。3年目である2023年度まで、営業利益目標を連続してクリアすることができたものの、基本戦略の5つについては想定通りに進捗しているものと、新たに取り組むべきテーマが見えてきたものがあります。さらにグローバルでの動画配信市場が急激に変化するなど、当社グループを取り巻く外部環境が大きく変化しており、中期経営計画の目標達成には、このような外部環境変化への更なる対応が必要と認識するに至りました。
<外部環境の変化>
・動画配信市場
・広告メディアの多様化に伴う業界収益モデル
・ライブエンタテインメント市場
<基本戦略別の進捗状況>
そこで今回、①変化対応 ②最適な市場の選択 ③新たなビジネスモデル、これら3つのキーワードをベースに新たな中期経営計画を策定することといたしました。
我々のビジネスは映像の制作領域を中心に競争力を有しているものの、資本効率性に課題があると認識しています。これまで築き上げてきた強みを活かしながら、高い競争優位性と資本効率を持つ、新たな事業グループを築き上げてまいります。2024年度は事業計画の完遂を目指しつつ、新たな中期経営計画を策定する1年といたします。なお、詳細につきましては、2025年5月に公表させていただく予定です。
近年、地球や社会の環境は日々刻々と変化し続けています。年々厳しくなる気候変動、人口の増加に伴う水や食料の不足、資源・エネルギーの持続性など、地球規模にて様々な課題が深刻化していく中、「サステナビリティ(持続可能性)」については、社会全体で取り組むべき課題となっています。こういった状況の中、当社では、下記「サステナビリティ方針」および「行動指針」のもと、グループ全体で総合的かつ横断的にサステナビリティ活動を推進しております。
<サステナビリティ方針>
IMAGICA GROUPは、グループ経営理念「世界の人々に“驚きと感動”を与える映像コミュニケーショングループ」のもと、当社グループの持続的な成長を実現するとともに、“映像”を軸にした様々な活動を通じて社会の多様なニーズにお応えすることで、豊かで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
<行動指針>
・“映像”とともに歩み、さまざまな事業に真摯に取り組むことで、世界の人々に“驚きと感動”をお届けします。
・全てのステークホルダーとの誠実な対話を通じて、公正かつ透明性の高い信頼ある経営を実現します。
・様々なパートナーとの協働により、地域社会の発展や社会課題の解決に貢献します。
以下、当該情報は当連結会計年度末現在での情報に基づいて開示しております。
(1) ガバナンス
当社では、「サステナビリティ委員会」を設置し、グループ全体のサステナビリティに係る重要方針・取り組みの策定および経営戦略への反映を行っております。
サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、当社執行役員および当社直接子会社社長の計12名(2024年3月31日現在)で構成され、人事総務部門及び経営管理部門が事務局となり定期的に開催しております。本委員会およびリスク管理委員会(後述)は、人的資本経営や気候変動対応、リスクマネジメント、SDGsなどを含むサステナビリティ全般に関する活動に総合的かつ横断的に取り組んでおります。
2023年度はサステナビリティ委員会を年3回開催し、人的資本経営の方針策定・気候変動リスクと機会の特定・カーボンニュートラルに向けた温室効果ガス排出量調査と削減目標の設定・SDGs推進活動などについて議論を行いました。
さらに、本委員会は取締役会への上記に関する報告・提言を年2回行い、取締役会はその方針・取り組みについて監督・指示を行っております。
サステナビリティ推進体制図

(2024年3月31日現在)
当事業年度における具体的なサステナビリティ委員会、取締役会での議論内容
(2) リスク管理
当社グループでは、グループ会社を横断したリスク管理委員会を組成しております(本委員会の役割は「
(3) 気候変動への取り組み
当社グループは気候変動に伴うリスクと機会を、重要な経営課題の一つであるものと認識しており、TCFDの考え方に準じたシナリオをもとに、グループ会社を横断するグループリスク管理委員会において気候変動リスクと機会が当社グループの事業や経営に与える影響について分析・評価を行っております。
その主要な内容は下記のとおりになります。
① 気候変動がもたらすリスクの分析
② 気候変動に伴う機会の分析
③ カーボンニュートラルに向けた取り組み
・指標と目標
気候変動にかかる指標としては国内における当社連結グループ会社全体におけるGHG(温室効果ガス)排出量(Scope1,2)を測定するとともに、その削減目標を下記のとおり設定いたしました。
2030年度目標 2021年度比50%削減
2050年度目標 実質ゼロ
当社としてGHG排出量の削減を推進するにあたっては、引き続き節電・省エネに取り組むのはもちろん、GHG低排出となる設備や機材・車両の導入・更新、GHG排出のない再生可能エネルギーの導入や国の認証するクレジット等を最大限に活用し、脱炭素経営の実現を目指して取り組んでまいります。
(4) 人的資本への取り組み
(経営戦略と人材戦略の連動)
当社グループの経営理念は、世界の人々に「驚きと感動」を与える映像コミュニケーショングループを目指すことです。グループが長期的になりたい姿として、「グループの総合力により、グローバルに映像コミュニケーションをお届けするOnly Oneのクリエイティブ&テクノロジー集団」を掲げており、足元の中期経営計画「G-EST2025」では、事業戦略として、「グローバルに事業領域を拡大」「新たなライブエンタテインメントビジネスの確立」「映像システム事業領域において新たな価値を創造」「ゲーム関連事業の拡大」「事業変革の完遂」を掲げています。グループの総合力発揮、並びにグループ会社の事業戦略を実現するために必要な人材を確保・育成・活性化させていくことを、当社グループにおける人的資本経営の基本的な考え方としています。
当社グループでは、当社の社内取締役とグループ会社社長で構成されるグループ情報共有会や、同メンバーによるオフサイトミーティングを定期的に開催しております。昨年は、人的資本経営をテーマにグループ情報共有会を3回、オフサイトミーティングを1回開催しており、グループ会社社長より、自社で5年後に必要な人的資本とそのための人材マネジメント施策について発表のうえ、グループ横断で実施すべき施策を議論いたしました。その後、グループ会社社長の意見を踏まえ、グループ経営層および当社人事部にて、当社グループとして行っていく人材マネジメントの方向性とタイムスケジュールを定めております。
具体的には、経営戦略と人材戦略の連動を実現するにあたり、グループとして目指していく総合力発揮の姿として以下を定め、そこに連動していく各種人事施策を検討・実施しております(具体的な施策は人材育成方針、社内環境整備方針を参照)。
<目指すべきグループ総合力発揮の姿>
以下2つのアプローチを同時進行していきます。
・「バリューチェーン高度化」:当社グループが提供するサービスのバリューチェーン上でのカバー範囲拡大と、グループ各社の進化を当社が支援
・「グループ内共創」:当社は各領域でNo.1のグループ会社同士を繋ぎ、グループ内共創を実現
(人材育成方針)
映像業界におけるエンジニアとクリエイターは、新しい映像体験の提供を可能とするために、技術と表現の両面から映像制作を支える重要な存在です。一人ひとりの高い専門性の発揮と技術力の向上に向けて、グループ各社において人材育成に取り組んでおります。昨年のグループ情報共有会を契機に、今後はより一層、事業戦略連動で必要な人的資本を見極めのうえ、そのための人事施策をグループ各社で検討していく予定です。なお、エンジニア人材においては、産学連携にも力を入れており、グループR&D組織であるアドバンストリサーチグループを設置し、グループ会社と連携しつつ、国内外の大学と各種共同研究を実施しています。
また、グループ横断で、グローバル人材の育成に向けた、グローバルマインドセットを身に着ける研修やグローバルリーダー育成研修、海外トレーニー制度、および若手層や管理職向けなど各階層別の研修を計画的に実施しています。今後は加えて、グループ社員の保有スキルを見える化のうえ、事業戦略の変化に応じた効果的な育成をグループ横断で検討・実施していく予定です。
さらに、グループ総合力の発揮「グループ内共創」を進めていくにあたり、各事業の持つ強みを理解し、組織の壁を超えてシナジーを生む新しい事業を創造し、その事業を牽引する覚悟と行動力を持った創造型リーダーの発掘と育成を目指した、次世代経営人材育成研修にも計画的に取り組んでいます。加えて、グループ各社への事業理解と人脈形成をベースにしたビジネスの横展開や企画提案ができる人材、および同じく各社への広い技術知見をベースにグループでの技術開発をリードできる人材について、裾野拡大へ取り組んでおります。
(社内環境整備方針)
グループ総合力を発揮するために、グループの理念浸透、グループ経営ガバナンス、相互連携のためのプラットフォーム、働きやすい環境づくりといった、社内環境整備にも取り組んでおります。
グループ社員共通の価値観を明文化したものとして、当社の経営層及びグループ社員が議論を経て創り上げたものが「4We's」です。「4We's」はIMAGICA GROUP共通の行動指針であり、グループ合同の新入社員研修、グループ報やプレジデントメールなどを通じて、グループ社員へ都度発信・共有されています。
他にも、国内グループ会社の経営人材とその候補を一元管理するタレントマネジメントシステムの導入や、現在実施中のグループ内公募制度の更なる進化などグループ相互連携の仕組みを整えているほか、働きやすい職場環境づくりとして、テレワーク、フリーアドレス推進、ICT基盤整備、健康経営の取組み(人間ドックの対象年齢の引き下げ、メンタルヘルスチェック、ワークライフバランス推進等)、ダイバーシティ&インクルージョンの取組(クリエイター・エンジニアにおける外国人の採用、男性の育児休暇取得の推進、女性リーダーの育成と登用)、シニア活躍などを実施しています。
加えて、グループ総合力の発揮にあたり、グループ目線での活躍や他社異動を希望する社員の意向をキャッチするための自己申告制度のグループ統一といった、環境整備もあわせて進めていく所存です。
(注)1.多様性に関する3指標「管理職に占める女性労働者の割合」「男性労働者の育児休業取得率」「労働者の男女の賃金の差異」についての実績は、「
2.「4We's」の具体的な内容は以下となります。
We lead, <私たちは先駆ける。>
社会の変化に一早く対応し、業界をリードする存在であり続けます。
We collaborate, <私たちは協働する。>
グローバル&ワンストップという強みを生かし、お客様に高い価値を提供します。
We serve, <私たちは貢献する。>
高い技術と誠実な精神を持って、どのような状況においてもお客様の要望に応え続けます。
We discover, <私たちは発見する。>
人の心を動かすためのカギを、そして日常の中でも仕事を深化させるための発見を探し続けます。
当社グループでは、リスク管理規程を制定し、同規程に基づき、リスク管理の一元化・高度化を図ることを目的にリスク管理委員会を組成しております。
同委員会はグループ内において発生したリスクに関するマネジメントの窓口になるとともに、具体的対応策等実施すべき事項等を判断することに加えて、リスクアセスメント・事業継続計画の策定等、グループにおける平時のリスクマネジメントも継続して実施する役割を担っています。代表取締役社長を委員長、総務部門が事務局となり、グループ各社においてはリスク管理責任者等を任命し、同委員会を構成しています。委員会では発生リスク事案の対応や、定期的な会議を開催しております。
同委員会は、各社事業を遂行する上でのリスクについて、事業年度ごとにグループ各社においてリスクの抽出・評価を行い、リスクマップの作成・更新を行っております。当該リスクマップをもとに、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。なお、以下の事項は、リスクマップにより認識したリスクをすべて網羅的に記載したものではなく、以下の記載以外のリスクも存在いたします。
当社グループは、抽出したリスクの中から、事業年度ごとにリスクに対する統制活動を強化する優先順位を決定し、各リスクに対する統制活動を実施しているものの、リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。
第1.セグメント共通のリスク
(1) 映像関連事業における成長性に関するリスク
当社グループは、映像関連事業領域において多様な事業を営んでおります。
映像関連メディアの多様化により、多種多様な媒体における映像の利用頻度が増加していることから、ユーザーの映像に対するニーズ・嗜好が変化しています。そのような多様なニーズに対応するべく、きめ細やかなサービスを提供する体制を整えるとともに、ライブエンタテインメント事業やゲーム関連事業の強化を行うなど、新たな映像体験機会の創出の実現等を図ることにより対処してきております。
しかし、このような映像に対するニーズの多様化が、映像の有する市場価値の低下を招き、過度な競争、景気動向等により、映像関連事業の成長が鈍化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 映像関連事業における技術変化のリスク
当社グループが事業展開を行う映像関連事業領域においては、映像制作及び流通にかかる映像システム等の技術分野における進歩及び変化が著しく、クラウドストレージを利用した編集システムの導入やリモート制作の促進への継続対応とその実現に最適な新たな拠点の開設、バーチャルプロダクションサービスの開始などによる新たな技術サービスの提案等を展開しております。今後においても引き続きこのような技術変化に常に対応をしていく必要があることから、グループ事業の再編による最適化をこれまでにも実施してきております。
しかし、映像に関する技術変化にいち早く対応することにより、新たな映像制作手法や映像システムの開発等にかかる費用が増加する可能性があります。また、競合が技術変化に対応する中、当社グループに技術変化の遅れが生じる可能性もあります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
映像関連事業において、従来のテレビ放送、映画館、DVDなどの映像流通経路からインターネット、特にスマートフォンの普及によって、誰もが映像コンテンツにアクセス可能になるとともに、誰もが簡単に安価で映像コンテンツを制作できるようになっており、映像流通の仕組みが劇的に変化しています。これまでにはなかった競合の出現による競争も激化してきていることもあり、これら映像に対するニーズの変化を見極め、柔軟に映像事業を展開していくことが必要とされます。
このような環境下において、海外も含めたインターネット動画配信事業者との取引拡大、多岐にわたる映像の流通経路に対応するグローバルE2Eサービスの拡充、加えてライブエンタテインメント事業や独自IP創出など、従来型のビジネスモデルにとどまらぬ、新たな展開を図っているところではありますが、当社グループにおいて、急激に変化する消費者の動向を的確にとらえ、消費性向に応じたビジネスモデルの変化に即座に対応できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、映像制作・技術サービス市場のシェアの拡大、新規サービスの展開、既存事業の拡充、映像関連技術の獲得や人員不足への対処を目的として、業務提携、企業結合(M&A)等の展開を行っており、経営の重要な戦略として位置付けています。
企業結合等を行うにあたって、対象となる企業の事業価値、財務面、法務面等についての詳細な調査を行い、企業結合等のリスク回避を行っております。
しかし、企業結合等の実施後、対象となる企業の事業価値の低下や当社グループ間のシナジーの効果が十分に発揮されない場合などには、のれん等の減損を行う必要が発生することにより当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、対象となる企業において偶発的な債務や未認識のコンプライアンス違反事象が判明する可能性があります。
ベンチャー企業への投資等を実施することにより、新たな映像事業のビジネスモデルを獲得することも実施しておりますが、経営環境の変化や投資先の運営上の問題により、想定する投資効果があげられない場合もあり、このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行う映像関連事業においては、映像制作、映像システムの開発の分野において専門性を有する人材やクリエイティブの素質ある人材が必要であり、当社グループではそのような人材獲得をグループ一体となって推進しております。なお、詳細は「人的資本への取り組み」に記載している通りでありますが、映像制作手法や技術、ユーザーの映像に対する嗜好の劇的な変化により、当社グループの映像関連事業に対するブランド力が低下するような場合には、優秀な人材を十分に確保、育成できずに、競争優位性のある組織力が低下するおそれがあります。
また、昨今の人員不足の環境においては、従業員の勤務過多や業務の属人化、外注・委託費の増大などのリスクがあります。
これらのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多数の映像に係る設備を所有運営しているとともに、映像制作や人材派遣等の事業展開を行っております。
自然災害による人的あるいは物的な直接被害の発生や、災害に起因する社会的要請等により、事業活動に支障をきたす場合、従業員安否確認システムの導入や事業継続計画の整備を行うとともに、火災保険等の加入により被害を最小化する対策も進めておりますが、その被害全てが補償されるものではなく、これら要因によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、インフルエンザ、新型コロナウイルスをはじめとする新型感染症の拡大により、営業活動や映像制作活動の制限による事業の停滞、更には各種イベントの自粛要請や延期、景気悪化に伴う広告宣伝活動の中止等の環境変化がもたらされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
主要な当社グループ会社において、その業態に応じてプライバシーマーク、ISMS/ISO-IEC27001:2013(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得しております。また、従業員の情報管理に対する意識向上に向けて、全従業員を対象に情報セキュリティも含めたコンプライアンス研修を実施しているとともに、情報セキュリティリスクアセスメントを行い、グループ会社間のセキュリティ基準の統一化を図るなどその対策を強化しております。
しかし、情報資産漏えいリスクの危険性や脆弱性認識の不足、対策の想定を超えるシステム停止時の業務継続対策の整備不足、外部委託先からの漏洩など現状の管理基準を逸脱した不測の事態の発生、あるいは悪意のある第三者による不正アクセス等により顧客情報等の機密情報が流出した場合には、サイバーリスク保険の加入等による対策は講じてはいるものの、社会的信用の低下や損害賠償、復旧対応に伴うコストの発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、映像コンテンツに関する著作権、映像技術に関する特許や商標権等の知的財産権の取得、又は知的財産権のライセンスを受けることで、当社グループの映像関連事業の国内はもとより国際展開を行う上で各国において権利保護を行っております。また、同時に第三者の知的財産権等を侵害しないように管理を行っております。
しかし、当社グループの映像コンテンツや映像技術の盗用、模倣等などが多発し、国際的にすべての知的財産権の侵害を防ぐことができない可能性があります。また、当社グループが利用している映像に関する知的財産権等の侵害に対する主張がなされる可能性もあります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、映像関連事業の遂行にあたって、各種法的規制の適用を受けています。また、事業展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。
当社グループでは、全従業員を対象としたコンプライアンス研修並びにグループ各社においても独自に必要とされる事項に特化したコンプライアンス研修を並行して実施することにより、コンプライアンスの推進や社会的規範意識の醸成に努めています。
しかし、従業員による法令違反や不祥事等、社会的な期待に反した行動等に起因する、処罰、訴訟の提起やレピュテーションの低下により当社グループに対する取引先や顧客からの信頼を失う可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいて、映像関連事業の遂行にあたって、受注したプロジェクトの規模や内容が予想と大きく乖離する場合や、納入時期が変更され売上・収益の計上が翌月、翌四半期あるいは翌連結会計年度にずれ込む場合があります。特にCMやテレビ関連のコンテンツ制作・映像制作技術サービス事業は広告主の宣伝広告費の予算執行やテレビ局の番組改編に連動するため他の月に比較して9月及び3月の期末付近に売上や収益が集中する傾向があります。そのため、計上時期の年度のずれが発生し、額の大きさによっては各々の期間における当社グループの経営成績及び財政状態に変動が生じる可能性があります。
当社グループでは、事業展開をより効果的に進めるために、事業上の提携会社の株式(有価証券)を取得することがあります。株式の取得に際しては、対象企業の経営状況及び将来の事業計画等についての事前調査を行い、当社グループとの事業シナジー・収益性・リスク要因等を総合的に勘案して実施いたしますが、それらの要素を完全に予測することは困難であります。将来、対象企業の事業展開が当初計画を下回る等、企業価値が低下した場合には、当社グループが取得した有価証券に関して減損処理を余儀なくされることもあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、保有方針及び保有の合理性についての検証方法等については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (5) 株式の保有状況」をご参照下さい。
映像コンテンツの制作過程における、制作スケジュールのずれ込みによる制作期間の延長、制作キャパシティオーバーによる外注費の増大等の、映像コンテンツ制作過程で発生する変更に伴い、当初見込んでいた制作予算を超えてしまうことがあります。管理体制を更に強化することで対処しておりますが、このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、映画をはじめとした各種メディア向けコンテンツの製作について共同出資等を行うことにより、収益分配金や二次使用権等による収益を得ることがあります。これらの出資については、収益性やリスク要因を検討した上で決定しておりますが、市場の反応を完全に予見することは極めて難しいものであり、想定していた収益が得られなくなってしまうことがあります。調査を徹底し、作品ごとのリスクを見極める体制づくりを行うことで対処しておりますが、このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
国内のE2Eサービス及びTV番組・TVCM向けのポストプロダクションサービス等は、CM関係業務及び企業の広告支出を源とするテレビ番組業務において、景気変動の影響を受けやすく、景気低迷時には受注件数・金額ともに低減する傾向があり、結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ロケーション撮影やライブ中継サービスにおいて、特定の取引先への依存度が高い業務があり、それら取引先に突発的又は想定外の事態が発生して取引が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
海外のE2Eサービスは、Pixelogic Media Partners LLCを中心とした複数の海外子会社により構成されており、事業展開する国や地域において異なる各種制度や慣習・文化、政治的・経済的状況等の変化や外国為替相場の変動等が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
人材サービス等は、労働者派遣法をはじめとした各種法的規制下にあります。法令遵守を徹底し、常にその対策を行ってはいるものの、これら法的規制の強化、解釈の変化に伴いコスト増大や新たな事業上の制約等が発生するような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
映像システム事業では、各種映像機器の開発・製造を行っておりますが、その新製品の販売において想定通りの収益が得られなかった場合、又は製品に瑕疵・不具合・クレームがあった場合には、減損や対応費用等のコスト増大により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、特定の取引先への依存度が高い業務があり、それら取引先に突発的又は想定外の事態が発生して取引が困難となってしまう可能性があります。グループ一体での人材獲得やシステムソリューションを業務とする会社の株式を取得するなどによる研究開発部門の増員・集約と、教育研修の強化、並びに新規事業開発の専門部署の設置により対処しておりますが、このような場合当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、各種映像機器の製造・販売にあたっては必要な部品・資材の確保が必要になりますが、それら部品・資材の想定を超える価格高騰や入手困難部品等が発生した場合には製造コストの増大、もしくは計画に基づく製造を継続することができなくなるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
製造した映像機器の海外輸出や医療関連映像機器等の開発製造も行っていることから、外国為替及び外国貿易法や医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の遵守が求められており、必要な許認可を受けた上で業務を実施しております。品質保証部門が最新の情報をもとに監視することでそれら法律の遵守徹底に対応しておりますが、これら規制の予期せぬ変更や厳格化によって、新たなコストが発生するような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 当社グループの業績
(金額単位:百万円/%表示は対前期増減率)
当連結会計年度における当社グループの業績は、上場来最高となる売上高996億84百万円(前年同期比5.9%増)、ならびに営業利益39億24百万円(前年同期比1.4%増)を計上し、経常利益37億27百万円(前年同期比2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益23億73百万円(前年同期比38.6%減)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前年に移転補償金を含む特別利益を計上したため減益となりました。
② セグメント別の業績
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの名称を従来の「映像制作サービス事業」から「映像制作技術サービス事業」へ変更しております。当該変更はセグメント名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
当連結会計年度における映像コンテンツ事業の業績は、売上高は281億86百万円(前年同期比19.8%増)、営業利益は12億76百万円(前年同期比138.4%増)となりました。
映画・ドラマ作品は、劇場映画「ゴジラ-1.0」、Netflix映画「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」、などの大型作品を計上し増収となりました。アニメーション作品は、CGアニメーションやテレビシリーズの受注が好調なことにより大幅な増収となりました。出版事業は、2023年10月から2024年3月までテレビアニメが放映されたライトノベル「薬屋のひとりごと」の書籍販売などが好調なことにより大幅な増収となりました。一方、CM制作についてはTV向けの受注は低調でしたが、Web向けは伸長しました。
これらの結果、映像コンテンツ事業全体は大幅な増収増益となりました。
当連結会計年度における映像制作技術サービス事業の業績は、売上高は539億67百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益は14億30百万円(前年同期比43.5%減)となりました。
国内のE2Eサービス※1は、デジタルシネマ向けのサービスなどが堅調に推移したことにより増収となりました。
海外のE2Eサービス※1は、デジタルシネマ向けサービスが伸長したものの、米国ハリウッドにおける脚本家・俳優組合のストライキが予想より長期化し、新作の遅れなどによって、ローカライズの売上が減少し減収となりました。これら減収に伴う利益の減少、及び設備投資拡大に伴う減価償却費などの増加により、減益となりました。
ゲーム関連事業※2は、3DCG制作の受注が増加したことなどにより増収となりました。
TV向けポストプロダクションサービスは、動画コンテンツの多様化によるTV業界の環境変化により、受注が低調に推移し減収となりました。
これらの結果、映像制作技術サービス事業全体は減収減益となりました。
※1:E2Eサービス:End to End。映画・ドラマ・アニメーション等の映像コンテンツを制作するポストプロダクションから、それらを劇場、テレビ、インターネットを介した動画配信などあらゆるメディアで流通させるために必要なローカライズ(吹替、字幕制作)、ディストリビューション(流通)のためのメディアサービスまでをワンストップで提供するサービスの総称。なお、海外のE2Eサービスの業績につきましては、決算日が12月31日であるため、当連結会計年度には2023年1月1日~2023年12月31日の実績を反映しております。
※2:ゲーム関連事業:ゲームソフトの開発、ビジュアル制作(CG)、翻訳/音声収録や品質管理、クリエイティブ人材派遣・紹介等
当連結会計年度における映像システム事業の業績は、売上高は197億56百万円(前年同期比4.4%増)、営業利益は24億4百万円(前年同期比15.2%増)となりました。
ハイスピードカメラは、前連結会計年度の部品不足が解消され、特に海外向けの受注が好調に推移したことにより、年間の製品出荷台数が過去最高を更新し大幅な増収となりました。放送映像システムは、案件の受注が低調により減収となるもコスト構造の見直しにより増益となりました。一方、映像・画像処理LSIは市場環境の回復遅れなどにより減収となりました。
これらの結果、映像システム事業全体は増収増益となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記以外の事業につきましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
当社グループは、映像ビジネスにおいて幅広く多種多様な事業内容・形態で展開されており、その多くが進捗に応じて受注・販売金額が確定するため、受注高及び受注残高は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
3.上記の他に不動産賃貸収入等が8,848千円計上されております。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて31億93百万円(3.9%)減少し、786億94百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて36億82百万円(8.2%)減少し、412億88百万円となりました。これは主に、現金及び預金、並びに売掛金が減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて4億88百万円(1.3%)増加し、374億5百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が減少した一方で、関係会社株式、並びに有形固定資産のその他、のれんが増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて27億96百万円(6.7%)減少し、387億88百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて42億54百万円(12.8%)減少し、289億50百万円となりました。これは主に、契約負債及び短期借入金が減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて14億58百万円(17.4%)増加し、98億37百万円となりました。これは主に、リース債務が減少した一方で、長期借入金が増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3億97百万円(1.0%)減少し、399億6百万円となりました。なお、自己資本比率は48.1%となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて12億28百万円減少し、172億19百万円となりました。これは主に売掛金が増加した一方、棚卸資産が減少したことによります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて22億97百万円減少し、423億27百万円となりました。これは主に売掛金が減少したことによります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて3億93百万円増加し、169億94百万円となりました。これは主に現金及び預金が減少した一方、棚卸資産及び売掛金が増加したことによります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度末に比べて25億71百万円(32.9%)減少し、52億41百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、57億30百万円(前年同期は61億9百万円の収入)となりました。
これは主に、契約負債の減少により資金が減少した一方、売上債権及び契約資産、並びに棚卸資産の減少により資金が増加したことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、44億61百万円(前年同期は23億80百万円の使用)となりました。
これは主に、有形固定資産及び関係会社株式の取得により資金が減少したことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、41億17百万円(前年同期は25億85百万円の使用)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入により資金が増加した一方、長期借入金の返済及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得により資金が減少したことによるものであります。
当社グループの主要な資金需要は、運転資金、設備投資及びM&A等の事業投資であります。
これらの資金需要については、自己資金に加え、金融機関からの借入などによる資金調達にて対応していくこととしております。
運転資金については、当社及び一部を除く国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、コミットメントライン契約を締結し、不測の事態における機動的かつ安定的な資金調達手段を確保しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発活動は、映像システム事業セグメントにおける製品開発を重点に実施いたしました。主なものは、ハイスピードカメラの継続開発になります。また、ハイスピードカメラで使われている技術を用いた高速画像処理システムの開発、放送映像システム分野・教育分野・医療分野の各事業分野向けの製品開発を実施いたしました。
このような活動を行った結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、