文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、制御、計測、検査技術を活かした製品ときめ細かいサービスの提供により、お客様から厚い信頼を獲得し、良きパートナーとして共に成長します。さらに、パートナーシップにより生み出された価値を広く社会に応用することで、「技術と信頼」の経営理念の下、豊かで持続可能な社会の実現に貢献することを経営の基本方針としています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて、財務の健全性、安定性を保ちながら収益性の拡大を目指しています。財務の健全性・安定性を示す指標として自己資本比率を重視し、その一定水準を維持するとともに、収益性の拡大を示す指標として経常利益率を重視し、業績予想等で具体的な目標値を公表します。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、いかなる環境下においても成長できる体制の実現を目指し、「市場の拡大」、「技術の進化」、「経営体質の強化」を重点テーマに掲げています。具体的には、海外販売の拡大、新規市場の開拓を進めるとともに、当社グループが保有する画像解析技術及び光応用技術などの強化により、競争優位性の向上を目指していきます。
(4)経営環境
当連結会計年度においては、ウクライナ情勢や中東情勢に起因した国際関係の不安定化や世界的なインフレの加速、金融資本市場の変化や為替の大幅な変動などもあり、不透明な環境が続いています。
上記の状況の下、当社グループの各事業分野においては、以下の環境であると認識しています。
なお、当社グループでは、2025年3月期第1四半期から従来のプロセス事業とウェブ事業を統合し、「制御機器事業」へセグメンテーションすることを予定しており、以下の記述は新セグメントの内容に基づき記載しています。
① 制御機器事業
イ.鉄鋼・非鉄金属分野
鉄鋼業界においては、中国経済環境変調などから、鋼材需要は供給が過剰となる懸念があるものと見込んでいます。その中でも、電気自動車などに用いられる高品位鋼のニーズは底堅いものと考えています。また、非鉄金属業界においても、電気自動車の普及に伴う自動車部品やインフラ向けの需要が高まっているものと認識しています。
ロ.ウェブ分野
製紙業界・印刷市場における紙需要はデジタル化の進展に伴い減少しています。また、これまで成長が続いてきた、二次電池業界においても、電気自動車業界の成長に一服感が出たことから設備投資に落ち着きが見られます。一方、食品包装業界などで、環境意識の高まりからロス低減に寄与する蛇行制御装置などの需要が拡大しています。
② 検査機事業
製造業界や第一次産業分野における省人化や高品質化ニーズにより、各種検査機の需要は堅調に推移するものと認識しています。また、ペロブスカイト太陽電池など、新たなフィルム検査用途が出てきているものと認識しています。
③ オプティクス事業
半導体業界における需要が成長する中、当事業の主要販売先である半導体業界の設備投資需要も回復基調となっているものと認識しています。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが持続的な成長と企業価値向上を実現する上で対処すべき主な課題は以下のとおりです。
① 海外展開の推進
海外子会社を、販売のみならず設計・調達・生産・サービス等の機能を持つ拠点に拡充し、各地域に即した製品・サービスを展開していきます。
② 新規事業の創出
当社グループが有する画像・センシング・光学技術を融合し、成長市場に対して競争力を持つ新製品の開発を進めていきます。
③ 多様な人材の確保
海外展開の推進や新規事業の創出など様々な経営課題に対応できる多様な人材確保を進めるとともに、グループとしての総合力を高めるべく会社間の連携並びに人材交流を強化します。
④ 各事業別の取り組み
制御機器事業の鉄鋼・非鉄金属分野では、高品位鋼向けの設備投資に向けた販売活動強化や海外販売に注力します。また、ウェブ分野では、海外の二次電池メーカーの設備投資意欲に落ち着きが見られることから、国内での当該分野向けの販売活動に注力してまいります。加えて、新規の国内展示会出展などにより新規取引先の開拓を行うと共に、ロス低減による環境負荷低減に寄与する蛇行制御装置などの販売訴求を図ってまいります。また、協力関係にあるドイツのErhardt+Leimer(エアハルト・ライマー)グループやIMSグループとの協業関係を強化し、検査装置を含め国内外での事業強化に繋げてまいります。
検査機事業においては、二次電池メーカー向けと共に販売活動に注力すると共に、新規の用途として無地検査装置が現在開発の進むペロブスカイト太陽電池の検査に適していることから、この用途開発に挑んでまいります。食品外観検査装置分野においては、加工食品分野における販売活動に注力してまいります。
オプティクス事業においては、2025年3月期は当連結会計年度のようなレーザ装置の大型受注は見込んでいないものの、期初の受注残高が高水準にあることに加え、半導体業界において極紫外光や深紫外光を利用した製造装置や検査装置の需要が拡大していることから、これらの装置に利用される光学部品分野需要の回復と保守部品販売の拡大を見込んでいます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)ガバナンス
当社は、ニレコ コーポレート・ガバナンス基本方針を定め、「技術と信頼」の経営理念の下、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の監督機能を強化しつつ積極果断な経営判断を促す仕組みの構築が重要であるとの考えに基づき、コーポレート・ガバナンス体制の充実・強化に取り組んでいます。
同基本方針においては、サステナビリティに関する考え方として、以下の項目を明記しており、取締役会でサステナビリティに関する具体的なリスクや機会の議論を進め、ガバナンスの統制及び手続を行っています。
第2章 ステークホルダーとの適切な協働
(基本方針)
第7条 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、全てのステークホルダーとの適切な協働が不可欠であるとの認識の下、その関係構築に向け取り組む。
(SDGs推進)
第8条 当社は「技術と信頼」の経営理念の下、当社が関わり生み出した価値を広く社会において応用することで、豊かで持続可能な社会の実現に貢献する経営を目指している。その経営理念を実現するためには、持続可能性を追求することも重要と考え、地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害への危機管理等を重視している。気候変動やサステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、積極的に取り組んでいる。
(多様性の確保)
第9条 当社は、多様な視点や価値観を取り入れることも自社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資するものと考え、個人の属性に拘らない多様な人材の確保・活用を積極的に推進する。
(2)戦略
当社は、コーポレート・ガバナンス基本方針第9条「多様性の確保」の方針の下、年齢、性別、国籍に拘らない通年採用方針をとることで多様な人財の確保に努め、海外子会社の経営幹部および従業員の多くは現地採用の人材で構成しています。管理職登用におきましても個人の属性に拘ることなく実績を重視し、選抜しています。
また、全ての従業員に公平な教育機会を提供し、能力向上を求めることが結果として中核人材の多様性確保につながるものと考えており、優秀な人材の確保が結果としてサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処し、サステナビリティの向上に結びつくものと認識しています。
そのような方針の下、ITの活用による教育インフラの整備、経営コンサルティング会社、役員、人事部メンバー、組合委員長を主体とするコアメンバーが主体的となりつつも、各事業部、部門、事業所から選抜されたサブメンバーと打合せ、意見を吸い上げることにより、より努力と成果に応え、公平性の確保された評価・処遇のための人事制度改革の推進、人事、経営コンサルティング会社の活用など専門の外部講師による部長対象の上級管理職研修、課長対象の管理職研修も積極的に進めており、従業員の能力向上意欲を醸成する教育制度、評価制度の導入など社内環境を整備しています。退職者とも良好な関係を築いており、カムバック採用で戻ってきた社員も、特に構えることなく以前同様に活躍しています。加えて、当社は全ての役員・従業員が順守すべき行動規範に「人権の尊重・人材の育成」を掲げ、あらゆる差別を排除し、従業員の人格、価値観を尊重した中立かつ公正な立場で、物事を捉える視野が広く、異文化における様々な商習慣などに対し理解・共感を持ちながら他者に接する人材を育成することを主眼としており、評価制度にも反映しています。
さらに、ニレコ本体では多様な働き方を可能とする制度として、在宅勤務制度やフレックスタイム制度を確立し、さらに充実し、よりよい制度への改善を図るとともに多様な人材が能力を最大限発揮できる社内環境の整備に努めており、グループ会社においても従業員の能力発揮や福利厚生に配慮した施策に取り組んでいます。
事業においても、顧客の製造ラインにおける検査・計測・制御装置の開発、提供を通じ、エネルギー消費の低減や製品廃棄ロスの削減に貢献することで、サステナビリティ社会の実現のみならず当社企業価値の向上にもつながるものと捉え、経営戦略を立案しています。
(3)リスク管理
当社は、(2)に記載の優秀な人材の確保によるリスク及び機会への対処を図っている他、すべての規定・規則・細則等に優先する行動規範の中において「自然環境の保護」を掲げています。また、基本方針第8条(SDGs推進)のとおり、環境保全に努めることは「技術と信頼」の経営理念の実現につながるものと考えており、環境問題の解決に積極的に取り組んでおり、グループ会社においても同様の取り組みを行っています。これらの活動を通じ、グループ各社の取締役会においてサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理すべく取り計らっています。
当社単体では、二酸化炭素排出量の削減や紙・金属・水資源の再利用を図るなど環境負荷の低減に取り組んでおり、エネルギー消費量、廃棄物量の年度実績を基に全社的なエネルギー消費量や廃棄物量の削減に向けた具体的な対策を講じています。また、年度末には実績の検証を行うことにより、対策に活かしています。
(4)指標及び目標
当社グループでは現時点においては中核人材の登用における多様性の確保目標について測定可能な目標を設定しておりませんが、今後目標設定に向けて議論を進めていきます。なお、現在、取締役会を構成する取締役6名のうち、1名は女性取締役が就任しており、中核人材の多様性確保に留意しています。
また、当社は、人材の多様性を確保するため誰にとっても働きやすい職場環境であることを重視しています。その方策の一つとして子育て世代の支援の一環である育児休業制度の活用を推奨しています。
当該指標に関する当連結会計年度の目標及び実績は次の通りです。なお、本指標については、当社単体に加えて当社の連結子会社のうち、当社グループの収益に一定以上の割合を占める子会社である株式会社光学技研の目標及び実績を加えて示しています。
当連結会計年度実績(当社及び株式会社光学技研)
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目標 |
実績 |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中にある将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
①経済状況による業績への影響について
当社グループは、制御・計測・検査機器の専門メーカーとして、鉄鋼業、製紙・化学・印刷業・食品業および半導体産業まで幅広く産業界の合理化、省力化・品質向上ニーズに応えてきました。このように当社グループの事業対象は国内外の産業界であり、その設備投資動向が当社グループの事業、業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症による経済的な影響は概ね収束したものと考えられる中、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢などを要因としたエネルギー価格上昇や物価上昇などもあり、不透明な環境が続くものと見込んでいます。これらの原材料価格の変動、地政学的リスク、経済状況の変動なども、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②競合に関するリスク
当社グループは、激しい競争にさらされている製品を有しています。また、アジア諸国を中心に海外での事業展開に伴い、欧米グローバル企業や現地企業との価格面、機能面における競争が熾烈になっています。当社グループとして、このような競合先に打ち克つべく全社一丸となって事業運営に取り組んでいますが、当社グループが競合相手に比べて優位に展開できない場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③取引先との関係等に関するリスク
ⅰ)顧客に対する信用リスク
当社グループの顧客の多くは、代金後払いで当社グループから製品・サービスを購入しています。当社グループでは顧客の信用状況に細心の注意を払っていますが、こうした対策をとっているにも関わらず、当社グループが多額の売上債権を有する顧客に業績の悪化等による信用リスクが発生した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ)資材等の調達
当社グループの生産活動はグループ内の生産子会社及び外注先が担っており、原材料等が適時、適量に調達できることを前提とした生産体制を敷いています。また、原材料・部品等の一部については、その特殊性から仕入先が限定されているものや仕入先の切替えが困難なものもあります。このような外注先、仕入先による供給の遅延・中断等があった場合に、製品の生産が困難となることや納期が長期化する恐れがあります。加えて、原材料・部品等の調達を他の仕入先に変更した際に購入費用が増加する可能性があり、これらの事象が当社グループの事業、業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④製品開発に関するリスク
当社グループの成長は新製品の開発と販売に依存するものと考え、新製品の開発を進めています。当社グループは今後も継続して魅力ある新製品を開発できると考えていますが、そのすべてが想定通りに進み、販売できるようになるとは限らず、また、途中で開発を断念しなければならない事態に陥る恐れもあります。そのような場合、製品によっては、当社グループの事業、業績及び状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤製品品質に関するリスク
当社グループは厳しい品質管理基準に従って各種の製品・サービスを提供していますが、すべての製品・サービスに欠陥がないとは言い切れません。当社グループの製品・サービスの中には顧客の生産ラインにおいて高い安全性が求められるものもあることから、故障が顧客に深刻な損失をもたらす危険があり、欠陥が原因で生じたそのような損失に対する責任を当社グループが問われる可能性があります。また、これらの問題に伴い、当社グループの製品・サービスに対する顧客の信頼を低下させる可能性があります。上記いずれの要因によっても、当社グループの事業、業績及び財務状況が重大な影響を受ける可能性があります。
⑥海外進出に関するリスク
当社グループは経営方針として「グローバル展開」を掲げ、中国、台湾、韓国に生産及び販売拠点を設立し、また、その他の国々への販売も展開しています。これら進出各国における政情の変化、経済状況の変動、予期せぬ法律や規制の変更、未整備の技術インフラ等が、当社グループの事業、業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑦自然災害に関するリスク
地震、火災、洪水等の自然災害や新型コロナウイルス等疫病の蔓延により、当社グループの各拠点、サプライチェーン企業、あるいは、当社グループの製品ユーザーが壊滅的な損害を受ける可能性があります。そのような場合に、当社グループの事業、業績及び財務状況が重大な影響を受ける可能性があります。
⑧退職給付債務
当社グループの従業員に係る退職給付費用及び債務は、年金資産の時価の下落及び運用利回り・割引率等の退職給付債務算定に用いる前提に変更があった場合、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、国際情勢における緊張の高まり、欧米でのインフレや金融引き締めの
継続、中国の景気減速などによる停滞感が強まりました。日本においては、企業収支や雇用・所得環境の改善の
下、個人消費の持ち直しが見られるなど緩やかな回復基調となりました。
当社グループ(当社及び連結子会社)の主要取引先である半導体や二次電池業界、電子部品、鉄鋼、化学、
印刷・紙加工、食品など各メーカーの設備投資は、業種により強弱はあるものの一定の回復基調が続きました。
一方、一部製品分野では、米中関係の地政学的な競争環境の高まりや中国経済の変調などによる影響を受けまし
た。このような状況の下、当社グループはいかなる環境下においても成長できる企業グループの実現を目指し、
当社グループのコア技術である画像処理、センシング及び光学技術の強化を進めるとともに顧客需要の取り込み
に努めた結果、特に、オプティクス事業においては、レーザ光源装置を中心に従来の水準を大きく上回る受注を
得ることが出来ました。また、期初の受注残高が高水準であったことを背景に売上高が前期を上回ったことに
加え、部材調達状況の改善や価格転嫁等を含めた収益改善努力により、大幅な増益となりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,571百万円増加し18,573百万円となりました。負債は前連結会計年度末に比べて351百万円増加し2,748百万円となりました。純資産は前連結会計年度末に比べて1,220百万円増加し15,825百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高9,861百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益1,386百万円(前年同期比17.3%増)、経常利益1,470百万円(前年同期比17.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,011百万円(前年同期比17.5%増)となりました。また、受注残高は5,454百万円(前年同期比2.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
プロセス事業
当事業においては、鉄鋼メーカー向けの更新需要などから、売上高は前年同期比で増加しました。利益面においては、製品ミックスから、前年同期比で減少しました。
その結果、当事業の売上高は2,585百万円(前年同期比7.2%増)、セグメント利益は442百万円(前年同期比4.0%減)となりました。また、受注残高は2,020百万円(前年同期比18.8%増)となりました。
ウェブ事業
当事業においては、二次電池製造装置業界向けなどを中心に需要に落ち着きがみられるものの、高水準の期初受注残高や産業界の設備投資回復を背景に売上高は前年同期比で増加しました。利益面では、売上高の増加や収益性の高い製品の販売増などを受け前年同期比で増加しました。
その結果、当事業の売上高は3,058百万円(前年同期比24.0%増)、セグメント利益は589百万円(前年同期比137.4%増)となりました。また、受注残高は1,147百万円(前年同期比28.2%減)となりました。
検査機事業
当事業においては、二次電池製造装置業界向けや農業用の食品検査装置などで受注に落ち着きがみられ、受注高及び売上高は前年同期比で減少しました。利益面においては、売上高の減少や利益率の高い製品の販売が少なかった影響を受け前年同期比で減少しました。
その結果、当事業の売上高は1,711百万円(前年同期比4.8%減)、セグメント利益は87百万円(前年同期比56.5%減)となりました。また、受注残高は664百万円(前年同期比35.0%減)となりました。
オプティクス事業
当事業においては、半導体製造・検査装置業界向け光学部品の受注が回復すると共に、半導体検査装置向けレーザ光源分野における2年先までの大型受注が入り、受注が大きく増加しました。売上高は、高水準の期初受注残高を背景に前年同期比で増加し、利益面においても、売上高の増加や収益性の高い製品の販売増を受け前年同期比で増加しました。
その結果、当事業の売上高は1,954百万円(前年同期比5.4%増)、セグメント利益は807百万円(前年同期比9.0%増)となりました。また、受注残高は1,509百万円(前年同期比85.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により892百万円増加、投資活動により449百万円減少、財務活動により431百万円減少しました。その結果、当連結会計年度末の資金残高は前連結会計年度末と比べて26百万円増加し、2,779百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの概況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は892百万円(前年同期135百万円)となりました。これは主なフローインとして税金等調整前当期純利益1,468百万円などがあり、主なフローアウトとして法人税等の支払額551百万円などがあったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は449百万円(前年同期91百万円)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入83百万円などがあったものの、固定資産の取得による支出606百万円などがあったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は431百万円(前年同期476百万円)となりました。これは主に配当金の支払額359百万円、長期借入金の返済による支出65百万円などがあったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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プロセス事業(千円) |
2,670,653 |
103.6% |
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ウェブ事業(千円) |
3,128,323 |
117.9% |
|
検査機事業(千円) |
1,948,622 |
137.1% |
|
オプティクス事業(千円) |
1,832,408 |
98.5% |
|
報告セグメント計(千円) |
9,580,007 |
112.6% |
|
その他(千円) |
525,633 |
86.9% |
|
合計(千円) |
10,105,640 |
110.9% |
(注)金額は販売価格によっています。
(b)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比(%) |
|
プロセス事業(千円) |
2,905,083 |
99.0% |
2,020,238 |
118.8% |
|
ウェブ事業(千円) |
2,608,117 |
97.7% |
1,147,507 |
71.8% |
|
検査機事業(千円) |
1,353,433 |
57.2% |
664,098 |
65.0% |
|
オプティクス事業(千円) |
2,649,886 |
153.6% |
1,509,045 |
185.4% |
|
報告セグメント計(千円) |
9,516,519 |
98.2% |
5,340,889 |
104.0% |
|
その他(千円) |
454,346 |
74.1% |
114,062 |
54.0% |
|
合計(千円) |
9,970,865 |
96.7% |
5,454,951 |
102.1% |
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
プロセス事業(千円) |
2,585,489 |
107.2% |
|
ウェブ事業(千円) |
3,058,028 |
124.0% |
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検査機事業(千円) |
1,711,122 |
95.2% |
|
オプティクス事業(千円) |
1,954,911 |
105.4% |
|
報告セグメント計(千円) |
9,309,550 |
109.1% |
|
その他(千円) |
551,653 |
88.2% |
|
合計(千円) |
9,861,203 |
107.7% |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されています。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし、合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。特に、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えています。
1) コストに基づくインプット法により認識した収益
当社グループは、長期工事契約による取引については、受注生産品による納入機器等を他の顧客又は別の用途に振り向けることができず、完了した作業に対する支払いを受ける権利を有します。そのため、機器の納入及び試運転調整の進捗によって履行義務が充足されていくものと判断しており、完成までに要する総原価を合理的に測定できる場合には、コストに基づくインプット法(期末日における見積総原価に対する累積実際発生原価の割合に応じた金額)により収益を認識しております。なお、収益総額、見積総原価及び期末日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
2) 貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上しています。将来、顧客等の財政状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
3) 資産の評価
当社グループは、棚卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用していますが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに収益性が低下していると判断される場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上しています。実際の正味売却価額が当社グループの見積りより悪化した場合には、評価損の追加計上が発生する可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価しています。市場価格のある株式については将来において時価が著しく下落し、回復する見込があると認められる場合を除き、評価損を計上する可能性があります。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
4) 繰延税金資産
当社グループは、合理的で実現可能な事業計画又は予算に基づき将来の課税所得を見積り、回収可能性を十分に検討し、繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該連結会計年度において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性があります。
5) 退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するにあたり、採用した数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいています。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来にわたって償却されるため、今後計上される退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
6) 資産除去債務
当社グループは、事業用建物に含まれるアスベストの除去費用に係わる資産除去債務を算出するにあたり、物件ごとに使用見込み期間を見積り、割引率は国債利回りを使用して現在価値に割り引いた金額を資産除去債務として計算しておりますが、将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べて1,571百万円増加して18,573百万円となりました。これは主に投資有価証券の増加407百万円、契約資産の増加363百万円、土地の増加315百万円、商品及び製品の増加312百万円があったことによります。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べて351百万円増加して2,748百万円となりました。これは主に未払法人税等の減少55百万円があったものの、支払手形及び買掛金の増加126百万円、繰延税金負債の増加89百万円、資産除去債務の増加56百万円、退職給付に係る負債の増加44百万円、役員退職慰労引当金の増加43百万円、未払消費税等の増加36百万円があったことによります。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末に比べて1,220百万円増加して15,825百万円となりました。これは主に配当金の支払360百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の増加1,011百万円、その他有価証券評価差額金の増加330百万円、退職給付に係る調整累計額の増加134百万円があったことによります。
b.経営成績の分析
1)売上高の状況
当社グループは、製品・サービスの収益力強化に取り組むとともに、競争力強化・新規事業領域の開拓に向
けた事業展開を積極的に推し進めました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は9,861百万円となり、前連結会計年度と比べて7.7%増となりました。セグメント別の詳細な状況については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
なお、海外売上高については、アジア向けや欧州向け売上高の増加により、前連結会計年度と比べて4.4%減の1,936百万円となりました。
2)利益の状況
当連結会計年度における当社グループの利益の状況については、売上の増加、全社的なコストの削減及び継続的な生産性向上に努めた結果、営業利益は1,386百万円(前連結会計年度比17.3%増)となりました。経常利益は1,470百万円(前連結会計年度比17.1%増)、経常利益率は14.9%となり、期初予想の12.6%を上回りました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は1,011百万円(前連結会計年度比17.5%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは財務の健全性、安定性を保ちながら収益性の拡大を目指すため、財務の健全性・安定性を示す指標として自己資本比率を重視し、その一定水準を維持するとともに、積極的な投資により成長に向けた競争力の強化を図ります。主な資金需要は、製品の原材料費、研究開発費、事業活動に必要な有形・無形固定資産投資、配当金支払などであり、その主な資金原資は、事業活動で積み上げた内部留保及び営業キャッシュ・フローです。また、資金の流動性については、自己資金で充分確保されています。
なお、配当金については、市場のニーズに応えうる研究・開発体制の強化、グローバル展開を進めるための投資、機動的な自己株式の取得など、持続的な成長と株主価値向上へ内部留保を活かすと共に、株主の皆様へ適切な利益還元を図るべく、連結配当性向45%以上かつ連結自己資本配当率(DOE)2.5%以上を利益還元目標としています。
当社は、2023年12月25日開催の取締役会において、2024年4月1日を合併効力発生日として、当社の完全子会社であるミヨタ精密株式会社(以下、「ミヨタ精密」)を吸収合併することを決議し、同日付で合併しました。合併の概要は、次のとおりです。
1. 吸収合併の目的
ミヨタ精密は、当社子会社としてプロセス事業、ウェブ事業製品を中心に当社製品の製造及び販売を行っております。この度、グループ内でのノウハウの効果的な維持・蓄積及び業務効率の改善に繋げることを目的として、同社を吸収合併することといたしました。
2. 合併の要旨
(1)合併の日程
・取締役会決議日 2023年12月25日
・合併契約締結日 2023年12月25日
・合併効力発生日 2024年4月1日
※本吸収合併は、当社においては会社法第 796条第2項に基づく簡易合併であり、ミヨタ精密においては会社法第784条第1項に規定する略式合併に該当するため、いずれも合併契約承認の株主総会は開催いたしません。
(2)合併の方式
当社を吸収合併存続会社とし、ミヨタ精密を吸収合併消滅会社とする吸収合併方式です。
(3)合併に係る割当ての内容
当社の完全子会社との合併であるため、本吸収合併による株式やその他の金銭等の交付及び割当は行いません。
(4)消滅会社の新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、制御・計測・検査機器の専門メーカーとして、顧客からの多様なニーズに応えるため、電子、電気、流体、光学などの技術分野を中心として、グループの今後を担う新製品の研究開発及び既存製品の改良研究を進めています。
(1)当社製品と研究開発の特徴
当社グループは、創業以来長年培ってきた制御の技術を進化させるとともに、その過程で派生した技術を成長させていくことにより、工場の生産・加工ラインにおける制御・計測・検査のための様々な製品を創り出してきました。我が国において、戦後の復興から一貫して製造業が経済の牽引役を担ってきた中で、品質の高い製品を効率的に生産するという製造業のニーズに合致するものでありました。このような背景を持った当社グループの研究開発の特徴は以下の点にあります。
①多様な市場に向けて多品種かつ少量に製品を生産・供給すること
②顧客の工場における生産ラインの環境や条件は千差万別で、それぞれの環境や条件の中で正しく稼動し、機能することが求められること
③顧客の生産効率や歩留まり率向上に貢献し、不良品の流出を防ぐ高いレベルの機能が求められること
これらの特徴から、当社グループにおける研究開発が目指しているところは、生産ラインの多様性に対応しつつも、高精度の計測・制御・検査を同時に追求していく点にあります。
(2)問題点と今後の課題
当社グループにおける研究開発の問題点として考えられることは、顧客の生産ラインの多様な条件に適応しながら、高精度であるという要求に対して高いレベルで応えることが常に求められている中、開発にかかる時間とコストが増える傾向にあるという点です。
この問題点を解決するには、当社グループのコア技術の中でも特に強みであり、また、開発余地の大きい独自のセンシング技術、画像処理技術、及び光学技術を各事業分野に応用展開することが最も重要だと考えています。他社にはない長年の技術的蓄積とノウハウを活かすことにより、一から開発するよりも時間とコストを節減できるのみならず、競合他社との差別化にもつながると考えています。
(3)研究開発の体制
当社グループの研究開発は、顧客ニーズにきめ細かく対応した製品をタイムリーに供給することを目指しています。
当社グループにおける研究開発体制の特徴は、営業、サービス、技術、開発の各部門及びグループ会社が連携
し、一体となって顧客要求に応える製品を開発する点にあります。
なお、当連結会計年度における研究開発担当人員は51名であり、これは総従業員数の約11.3%に相当します。
(4)セグメント別の目的、課題、成果等
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要な課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
プロセス事業
創業以来の基幹事業であるプロセス事業は、鉄鋼業を主体としたプロセス産業の発展とともにその技術を進化させてきました。また、その過程で新たに生まれた制御や画像処理の技術をその他の事業にも活かすことで事業の多角化にも貢献してきました。現在は、既存技術に新技術を融合させることにより、成熟産業の新たなニーズを掘り起すことを目指して研究開発を進めています。
ウェブ事業
ウェブ事業のコア技術である位置制御技術は、当初、製鉄所での鋼板製造ラインにおける位置制御の技術を、製紙、印刷、フィルムなど帯状素材(ウェブ)の分野に応用・展開したものです。現在、高機能フィルムの製造工程において、耳端位置制御装置や張力制御装置が不可欠の装置となっており、微細レベルの制御と製造コストの削減というユーザーのニーズに応えるため、更なる機能向上を進めています。
検査機事業
検査機事業のコア技術である画像処理技術は、鉄鋼製品の品質検査向けに開発以来、長年にわたり培われてきた技術です。この技術を活かして、多方面の分野に応用・展開することが重要だと考え、研究開発に取り組んでいます。現在では、液晶パネルや二次電池の部材をはじめとした高機能フィルムなど帯状素材の品質検査をする無地検査装置と、青果物向けの品質検査をする選果装置や加工食品向け外観検査装置、近赤外分析装置等の研究開発を進めています。当連結会計年度は液体計測専用の近赤外分光アナライザ「A8860」用のオプションとして最大6検体の連続測定が可能となる6チャンネルオートサンプラの提供を開始しました。
オプティクス事業
オプティクス事業は高精度な特殊光学部品技術やレーザ技術を、長年にわたり培ってきた技術です。この技術を多くの分野に応用・展開することを目指し、研究開発に取り組んでいます。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は