第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、グループ理念を「私たちは、人々の『こころ』に満足と安らぎをもたらすサービスを提供する。」と定め、全役職員の活動の基礎としております。

 また、経営方針を「(1)グループの全員が心を一つにし、高い企業価値を実現する。(2)社員の自主性とパワーを最大限に生かした、社員主役の経営をすすめる。(3)どのお客様に対しても高品質のサービスを提供する。」と定め、全役職員に示しております。

 更に、行動基準を「(1)お客様のこころに響く、いい仕事をする。(2)ネットワーク、チームワークを大切にする。(3)気概を持って進歩し続ける。」と定め、その実践に努めております。

 

(2)経営環境と中長期的な会社の経営戦略

 経営環境につきましては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されます。しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れが我が国景気を下押しするリスクとなっております。さらに人件費や物流コストの高騰による物価上昇とそれに伴う個人消費の動向、中東情勢の緊迫化、金融資本市場の変動等の影響にも十分留意する必要があります。

 また、当社グループを取巻く事業環境におきましても、少子高齢化による需要への影響、時流の変化による儀式・埋葬の形態の多様化、価値観や生活様式の変化に伴う顧客ニーズの変化、異業種からの業界参入等、今後も変化の激しい状況が継続するものと予想されます。

 こうした経営環境の中、当社グループは「2030年ビジョン」の実現に向け、「第4次中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)の重点施策に引き続き取り組んでまいります。まず、マーケティングの高度化を図るとともに、生産性向上を加速させ、価値創造のフレームづくりを推し進めます。また、戦略的アセットマネジメントや事業開発による業容拡大等、経営資源の集中と深化を進めてまいります。更に、人事戦略のブラッシュアップやコーポレートガバナンスの充実等、経営基盤の強化に努めます。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、第4次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)において、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、収益性を示す「連結売上高経常利益率」、資本効率性を示す「連結自己資本当期純利益率(RОE)」を重要な経営指標として設定しております。重点施策の着実な実行により、2025年3月期には、連結売上高経常利益率8.0%以上、連結自己資本当期純利益率(RОE)4.5%以上を達成することを目標としております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが対処すべき主な課題及び対応策は、次のとおりであります。

① 人財の確保及び育成

 当社グループは、すべての事業活動の原点は「人」であるという観点から、人事戦略を重要な課題と位置付けております。積極的な採用による人財の確保に取り組むとともに、ニューノーマル時代の働き方への適応による人財の定着に努めてまいります。また、教育研修の充実や各種資格取得の奨励によるサービス及び業務品質の向上に加え、継続的にリーダー人財を輩出する枠組み構築と風土醸成に注力してまいります。

 

② 変化するニーズへの対応

 葬祭事業につきましては、葬祭会館の需要が定着している一方、葬儀規模は縮小傾向にあり、従来の葬送儀式よりも「家族葬」や「自分らしい葬儀」を希望する等、利用者のニーズは多様化しております。このような環境の下、多様な葬儀形態を実現するため、小規模葬祭会館から大規模葬祭会館まであらゆるタイプの会館を用意するとともに、自宅感覚のくつろぎや葬送時の特別な空間を演出する等、施設面での充実を図っております。更に、利用者のニーズを的確に捉えた独自性の高い商品・サービスの開発、オンラインを活用した営業スタイルの拡充等を展開してまいります。

 石材事業につきましては、デザイン性や希望する石種のほか、墓石の耐震化、納期の短縮化等が求められております。これらのニーズに応えるため、オリジナルデザイン墓石の開発や耐震構造墓石の提案を進めるとともに、豊富な石種の安定確保、オンラインを活用した営業スタイルの拡充等を展開してまいります。また、消費者の潜在的なニーズの掘り起こしやお墓に関する疑問、不安を解消するため、供養周辺サービスや墓石の診断及びリフォーム

・メンテナンス等を推進してまいります。更に、埋葬方法の多様化への対応として、永代供養塔の提案や屋内納骨堂の販売代行等に努めてまいります。

 婚礼事業につきましては、時流の変化による婚礼需要の減少、コロナ禍以降における事業環境の変化等を踏まえ、婚礼会場の閉館及び営業規模の適正化を進めました。今後も営業を継続する婚礼会場においては、施設面での充実を図るとともに、利用者のニーズを的確に捉えた独自性の高い商品・サービスの開発、オンラインを活用した営業スタイルの拡充等を展開してまいります。

 生花事業につきましては、葬祭事業における利用者のニーズを的確に捉えた生花商品の開発と、グループ内外の葬祭事業会社に対する提案を行っております。また、今後も生花需要を的確に捉え、一般の生花小売店に対する生花の安定供給及びWeb販売の高付加価値化に努めてまいります。

 互助会事業につきましては、会員の増加は、当社グループにおける将来の顧客基盤の確保に繋がることから、グループ全社で会員募集を推進しております。また、利用者のニーズを的確に捉えた冠婚葬祭役務サービスの開発、会報誌の発行、各種相談への窓口及びオンラインでの対応、生活情報の発信等、会員サービスの充実を図り、会員数の増加に努めてまいります。

 

③ 営業エリアの拡大

 葬祭事業につきましては、既存の営業エリア内における、同業他社との競争は激しい状況が続いております。引き続き、葬祭会館の戦略的新規出店やM&A・アライアンス等によるエリア拡大を推進してまいります。

 石材事業につきましては、石材卸売数量の増加を図るため、関東地区を中心とした販路拡大に注力してまいります。また、国内における墓石の需要低迷に鑑み、ベトナムにおけるネットワーク構築と販路拡大を図ってまいります。

 生花事業につきましては、東北、北関東地区の既存営業所における販路拡大に加え、新規営業所の設置等を検討してまいります。

 これらの事業展開の中で、当社グループの相乗効果を最大限に引き出してまいります。

 

④ コンプライアンス体制の整備

 当社グループは、全役職員が常に倫理的に行動することを確保するため、コンプライアンス行動規範を開示するとともに、その浸透と遵守に努めております。また、月1回開催するコンプライアンス委員会において、コンプライアンス体制の強化並びに企業倫理の浸透を図っております。更に、組織的または個人的な、違法または不適切な行為に関する情報や疑念を伝えることができるよう、内部通報制度・相談窓口を整備し、全役職員及び当社の取引先に対して周知しております。

 

⑤ レジリエンシーの高いリスクマネジメント

 当社グループは、自然災害、感染症のまん延、企業不祥事等の事件、大規模なシステム障害、大事故、サプライチェーンの途絶等、様々なインシデントの発生に備えて、事業継続計画(BCP)の随時改訂を行い、重要事業の継続または中断からの即時復旧に努めております。また、事業継続マネジメント(BCM)を構築し、平時より予算や資源の確保、危機管理に関する教育、施設・設備等の点検等のマネジメント活動を実施しております。これらのマネジメント活動により、リスク管理体制及び危機管理体制を拡充し、事業継続能力の維持・強化を図るとともに、常に事業継続に対する意識の高い企業体質・企業文化を目指してまいります。

 

⑥ サステナビリティを巡る課題への対応

 当社グループは、ライフサポート事業を通じた社会貢献はもとより、真に豊かな社会の実現に向け、企業市民としての責任を果たすべく、「福祉分野」「文化・スポーツ分野」「環境分野」の3分野を中心に様々な活動に取り組んでおります。今後、中長期的な企業価値向上の観点から、環境問題への配慮、働く環境の整備、ガバナンスの実効性強化等のサステナビリティを巡る課題に対して、より能動的・積極的に取り組むため、基本方針の策定、推進するための枠組みの整備、目標管理及び効果測定等を進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応は重要な経営課題であると認識し、次のような様々な活動に取り組んでおります。

・「福祉分野」:「東日本大震災ふくしまこども寄附金」への寄附、放課後児童クラブへの寄附等

・「文化・スポーツ分野」:慰霊祭・供養祭・仏教行事の手伝い、地元スポーツチームへの協賛等

・「環境分野」:当社グループ施設へのソーラーパネルの設置、ペーパーレス化の推進、地域清掃活動等

 しかしながら、その取組みの基本的な方針や体系的な推進体制等については現在策定中にあります。当社グループは、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に対して、より能動的・積極的に取り組むため、第4次中期経営計画期間(2023年3月期~2025年3月期)において、基本方針の策定及び推進するための枠組みの整備等を進めてまいります。

 

(2)戦略

① 2030年ビジョン及び第4次中期経営計画

 当社グループは、2030年ビジョンにおいて、私たちのグループ理念の元、当社グループが創る社会的価値を「人々の心身ともに健やかな生活づくりへの貢献」「人々がこころの安らぎを感じる豊かな社会づくりへの貢献」「生産性向上による経済発展への貢献」と明確化しております。その追及の成果としての2030年における目標は、財務目標に加え、サステナビリティ関連の非財務目標、更には将来像を設定しております。

 また、第4次中期経営計画において、2030年の目標に向けたマイルストーンとして、財務目標のみならず、サステナビリティ関連の非財務目標及び経営資源の配分目標を設定しております。そして、重点施策「経営基盤の強化」の中に「人事戦略のブラッシュアップ」及び「コーポレートガバナンスの充実」を掲げ、サステナビリティを巡る課題への対応を進めることとしております。

 

② 人財の多様性の確保を含む人財育成方針及び社内環境整備方針

 当社グループは、事業環境の激しい変化及び顧客ニーズの多様化等に対応し、選ばれる成長企業へ変革するためには、これまで以上に人財の多様性の確保が重要になると考えております。そこで、第4次中期経営計画の重点施策において、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」に取り組むこととしております。

 また、人財育成方針として、同計画の重点施策において、「継続的にリーダー人財を輩出する枠組み構築と風土醸成」に取り組むこととしております。具体的には、人財の発掘・育成・評価・処遇サイクルの体系化、資格に応じたリテラシーと価値観を伴う行動の可視化、業績と価値観の2軸評価による制度運用等を進めてまいります。

 更に、社内環境整備方針として、同計画の重点施策において、「ニューノーマル時代の働き方への適応」に取り組むこととしております。具体的には、新しい働き方に沿った人事制度の最適化、健康経営の実効性向上、ワークライフバランスの更なる改善等に努めてまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適正な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。

 当社グループは、中長期的な企業価値向上の観点から、これらの課題により能動的・積極的に取り組むため、リスク管理委員会を設置し、定期的に各種リスクの特定と評価及び対応方針について報告を受け、検討を行っております。なお、内部監査部門が当社グループにおけるリスクの特定と評価に係る運用状況を確認し、その結果について監査等委員会及び取締役会に報告しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、「(2)戦略」で記載したとおり、2030年ビジョン及び第4次中期経営計画において、サステナビリティ関連の非財務目標として、「女性管理職比率」「産休・育休取得率」「産休・育休復帰率」「障碍者雇用率」「HV・EV・FCV率」を掲げております。2024年3月期実績、2025年3月期及び2030年における目標は下表のとおりです。

指標及び目標(連結)

2024年3月期

実績

2025年3月期

目標

2030年

目標

算出式

女性管理職比率

23.2

30.5

50.0

女性管理職数÷管理職数

産休・育休取得率

77.8

70.0

100.0

育休取得者数÷子が生まれた社員数

産休・育休復帰率

100.0

100.0

100.0

復職社員数÷育休取得終了者数

障碍者雇用率

1.2

2.3

2.5

常用雇用障碍者数÷常用労働者数

HV・EV・FCV率

23.0

38.0

100.0

HV・EV・FCV台数÷一部社有車数(注)

(注) 全社有車から軽自動車、トラック(小型・軽)及び除雪車を除いた台数となります。

 なお、2024年3月31日現在の当社グループにおける女性正社員比率は43.7%となっております。この現況を踏まえたうえで、特に女性管理職比率の目標達成に向け、女性社員の積極的な採用、多様なキャリアパスの構築及びキャリアオーナーシップの育成等を進めてまいります。

 当社グループは更に、第4次中期経営計画において、経営資源の配分目標として、3ヵ年合計で「人的資本(人財開発・確保等)」に250百万円、「自然資本(SDGs他)」に250百万円を投資する目標を設定しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性として認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本資料並びに決算短信等の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)当社グループの営業エリアについて

当社グループは、葬祭事業及び婚礼事業においては福島県内に施設展開が集中しており、石材事業の小売部門及び互助会事業等においても同県内を中心とした事業展開を行っております。これらのことから、福島県内における景気及び消費動向、人口構成及び死亡者数・婚姻数の推移並びに冠婚葬祭に関する地域慣習とその変化等による影響を受けております。また、他商圏からの同業者の流入及び異業種からの新規参入等により、競争激化が進んでおります。

当社グループでは、葬祭会館の新規出店やM&A・アライアンス、石材事業のベトナムにおける事業展開等により営業エリアの拡大・分散及び既存の営業エリアにおける販路拡大に努めるとともに、婚礼事業の営業規模の適正化を進めておりますが、社会経済環境や地域慣習の変化等による影響が生じた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自然災害の影響について

地震等の大規模な自然災害が発生した場合には、事業用施設の稼働停止、事務所や附属設備の損壊等により重要な事業が中断し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対応するため、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短期間で復旧するよう、事業継続計画(BCP)を策定し、役職員に周知しております。また、事業継続マネジメント(BCM)ガイドラインに基づき、マネジメント活動を実践しております。

 

(3)感染症のまん延について

当社グループでは、事業継続計画において感染症のまん延をインシデントとして想定し、感染者や感染者の濃厚接触者等が発生した場合には、情報共有を図るとともに迅速な対応により2次・3次感染の発生防止に努めることとしております。

しかしながら、感染症の流行が長期化し、多数の従業員及びキーパーソンが出勤停止となった場合、及び消費行動が抑制された場合には、営業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症については、5類への移行に伴う行動制限の緩和や各種政策の効果等により、景気は緩やかな回復傾向にあります。当社グループでは、アフターコロナも見据えた商品開発等を進め、ニーズの多様化に対応してまいります。

 

(4)海外情勢の影響について

ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化により、日本国内でもエネルギー価格や原材料価格の高騰、円安等の為替変動が継続しており、当社グループにおいてもその影響を受けております。

当社グループでは、販売価格の見直しや原材料の安定確保等により影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、この軍事的対立が更に長期化し、地政学的リスクが日本にも及んだ場合や物価高騰等が進んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)経営成績及び財政状態について

(M&A・新規事業等の不成功)

当社グループは、業容拡大の手段として、M&A及び新規事業等の開発を行うことを重要な経営課題の一つと考えております。M&Aを行う場合には、その対象企業の財務内容や契約内容について綿密なデューデリジェンスを行い、また新規事業等の開発を行う場合には、投資基準に基づき計画し、撤退基準を明確にしてモニタリングすることで、リスクを極力回避することとしております。

 

しかし、M&Aにおいては、偶発債務の発生や未確認債務が判明する可能性も否定できません。また、当社グループの経営方針及び経営戦略が対象企業に十分に浸透しない等の可能性もあります。

M&A・新規事業等が不成功となり、当初、期待した業容拡大や収益性改善が得られない場合には、当社グループの業績や成長見通し及び事業展開等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(債権等の回収不能)

当社グループは、売掛金及び貸付金・保証金等の回収状況を適切に管理し、リスク管理委員会において定期的に報告を行うこととしております。また、回収可能性の検討を行い、状況に応じて引当金を計上するなど、適切な対応を実施しております。

しかしながら、取引先の急激な業績の悪化等から、倒産及び廃業等による債権の貸し倒れが多数発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(資産価値の低下)

当社グループは、事業用施設の展開が重要な要素であり、営業対象地域の需要動向や競合他社の状況等を十分に調査したうえで、新規施設開設及び既存設備改築等の設備投資を実施しております。

しかしながら、事業環境の変化や経済的要因等により、事業用施設ごとの採算性が低下し、継続的に損失を計上した場合には、減損損失を認識する必要があり、当該状況により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)事業体制等について

(法令遵守)

当社グループは営業活動において、貨物自動車運送事業法、食品衛生法、割賦販売法、特定商取引に関する法律、個人情報保護法等の規制を受けております。法令遵守につきましては、コンプライアンス規程、リスク管理規程、内部通報ホットライン管理規程及びコンプライアンス行動規範等に則り法令遵守を浸透させております。また、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会を開催するとともに、定期的なコンプライアンス勉強会の開催とeラーニングによる理解度確認テスト等の実施により、法令遵守の徹底を図っております。

しかしながら、法改正への未対応や法令違反等が発生した場合には、多額の費用負担の発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(企業不祥事)

当社グループは、コンプライアンス規程及びコンプライアンス行動規範を制定し、法令、社内規則及び企業倫理を遵守するとともに、社会人としての良識と責任をもって業務を遂行することとしております。また、コンプライアンス委員会において、コンプライアンス体制の構築・運用を推進するとともに、定期的に開催するコンプライアンス勉強会を通じて、コンプライアンスの強化及び企業倫理の浸透を図っております。

しかしながら、役職員等による重大な不正・不祥事が発生した場合には、社会的信用の失墜により、営業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(システム・ネットワーク障害)

当社グループは、事業活動をコンピュータシステムに依存しており、販売・購買・在庫管理及び会計処理等については、外部委託業者のシステムを使用しております。

そのため、運営上の安全性・効率性・拡張性等を考慮し、外部バックアップシステムやクラウドサービス利用等の対策を講じており、ネットワーク回線の冗長化等の対策強化を検討しております。

しかしながら、自然災害や事故等により設備が甚大な損害を被った場合、または人為的ミスによる大規模なシステム・ネットワーク障害等が発生した場合には、事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報セキュリティ)

当社グループは、事業上の機密情報及び事業の過程で入手した顧客の個人情報等を保有しております。

日頃の営業活動に加え、リモートワーク等の多様な働き方により、情報の紛失、漏洩等のリスクは高まっております。また、それらの情報に関して、当社グループの想定を超えるウイルス感染やサイバー攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出及びシステム停止等を引き起こす可能性もあります。

当社グループでは、これら情報の取扱いに関するルールを整備し、全役職員がルールを遵守することで情報漏洩等の回避に努めております。また、高度化する社外からの脅威に対しては、情報セキュリティが万全な外部バックアップシステムやクラウドサービス利用等の対策を講じております。

 

しかしながら、予期せぬ事態により情報漏洩等が発生した場合には、損害賠償の発生及び社会的信用の失墜により、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(人財の確保及び育成)

当社グループは、人事戦略を重要な課題と位置付けており、積極的な採用による人財の確保に取り組むとともに、ニューノーマル時代の働き方への適応による人財の定着に努めてまいります。また、業界における各種資格取得を奨励し、各事業におけるサービス及び業務品質の向上に努めるとともに、継続的にリーダー人財を輩出する枠組み構築と風土醸成に注力してまいります。

しかしながら、事業展開に必要な優秀な人財の確保及び環境変化に迅速に対応できるリーダー人財の育成が困難となった場合、または人財流出が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響が生じること等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)葬祭事業について

(葬儀ニーズの変化)

葬祭事業においては、高齢化もあり今後における死亡者数は増加が予測されており、葬儀施行件数は増加が見込まれております。一方で、小家族化や近隣とのコミュニケーションの希薄化、葬儀に係る価値観の変化等により業界全体として葬儀の小規模化及び葬儀施行単価の低下が生じております。

当社グループでは、小規模葬祭会館から大規模葬祭会館まで施設面での充実を図るとともに、各種パッケージプランの開発及び提供を行い、ニーズの多様化に対応しております。

しかしながら、葬儀ニーズの変化に対して十分な対応が困難となった場合、または想定以上の儀式の簡素化及び小規模化により葬儀施行単価の低下が進んだ場合には、売上高の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(競争激化)

葬祭事業において、特段の法的規制がないことから、参入障壁は低い業界であります。また、高齢化による死亡者数の増加予測から市場成長を見越し、業界各社における事業所拡大、Web系葬儀業者の攻勢や異業種からの新規参入等により競争は激化しており、価格競争による葬儀施行単価低下の一因となっております。

当社グループでは、既存葬祭会館のシェア向上、葬祭会館の戦略的新規出店、サービス品質の向上及び各種パッケージプランの開発等に注力しておりますが、今後において、更なる新規参入及び競争激化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(株式会社JAライフクリエイト福島との取引)

当社グループは、葬祭事業の一部において、株式会社JAライフクリエイト福島より葬儀施行に係る一部業務を受託しており、その売上高は、当社グループの連結売上高の10%以上を占めております。なお、同社はJA全農福島及び福島県内のすべてのJAが出資する企業であり、各JAが組合員等より申込みを受けた葬儀施行を事業の一つとしております。

当社グループは、これら取引先との良好な関係を維持し、受託業務を継続していく方針でありますが、将来において同社及び各JAの事業戦略や方針等に変更が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)石材事業について

(墓石ニーズの変化)

石材事業の墓石販売においては、宗教観やライフスタイル、顧客の購入意欲の主因となる経済環境の変化等の影響を受けております。近年においてはこれらに加え都市部における屋内納骨堂(永代使用権)の浸透、また霊園における墓地区画面積の縮小化、更には縦長の和型石塔から横置き等の洋型石塔への志向の変化といった、ニーズの多様化に伴う石材使用量の減少が進んでおります。

当社グループでは、墓石商品の独自仕入ルートの構築や設計部門の設置により、高品質な石材の調達と付加価値の高い商品や耐震構造工法等を開発・提案することでニーズに応え、受注件数の確保に努めております。

しかしながら、墓石ニーズの変化に対して十分な対応が困難となった場合には、受注件数の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(商品仕入及び商品品質)

石材事業においては、中国・インド・ベトナム等を中心とした海外から墓石・石材加工商品を輸入しております。特に、依存度が高い中国については、政府が環境保護政策や外資規制等の産業規則に係る広範な裁量を有していること及び規制内容とその運用・解釈についての重大な変更が頻繁に行われること等から、円滑な商品仕入や安定した商品品質に少なからず懸念があるものと認識しております。

当社グループでは、中国福建省厦門市に事務所を設置し、中国国内の情勢・情報の収集に努めるとともに、仕入取引先との密接なコミュニケーションを図ることにより、商品仕入業務の円滑化及び商品品質の維持向上に努めております。

しかしながら、当該各国及びその他近隣諸国において、予期せぬ政治・経済・社会情勢の変化、テロ・戦争・暴動・ストライキ、自然災害及び感染症のまん延等が生じた場合並びに原材料価格や人件費及び物流費の高騰による仕入価格の上昇等が生じた場合には、石材事業における商品仕入及び商品品質に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(為替変動)

石材事業における商品仕入は、米ドル建ての決済取引を基本としております。

為替変動による仕入価格変動については基本的に販売価格に反映することにより、その影響を低減していく方針であります。

しかしながら、大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(保証金)

石材事業においては、宗教法人等が開発・経営する霊園での建墓工事の権利や屋内納骨堂での販売代行の権利を取得し、販売促進活動を行っております。霊園・屋内納骨堂の経営は宗教法人等非営利法人に限られており、当社グループは当該権利を確保するため、開発段階において保証金等(一部は寄附形態)を差し入れ、他社との共同または単独で指定業者となっております。

当該保証金については、霊園や屋内納骨堂(永代使用権)の販売に伴い回収されることとなりますが、完売には長期間を要し、保証金の回収が滞るおそれがあります。

当社グループでは、参入した霊園や屋内納骨堂(永代使用権)の販売促進活動に注力し、早期の保証金回収を図っておりますが、霊園や屋内納骨堂(永代使用権)の販売不振その他の要因から保証金の回収が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)婚礼事業について

(婚礼ニーズの変化)

婚礼事業においては、時流の変化による婚礼需要の減少、コロナ禍以降における事業環境の変化等を踏まえ、婚礼会場の閉館及び営業規模の適正化を進めております。また、結婚披露宴を行わず入籍だけで済ませるカップルの増加や晩婚化の背景により、フォトウエディングや家族・親族だけの少人数結婚式等のニーズ増加は継続することが予測されます。

当社グループでは、多様な婚礼ニーズに対応した各種婚礼プランの充実、顧客に対する提案力の強化等により、顧客層の拡大及び掘り起こしに努めております。

しかしながら、婚礼ニーズの変化に対して十分な対応が困難となった場合、または想定以上に婚礼市場の縮小が進んだ場合には、受注件数及び売上高の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(衛生管理)

婚礼事業においては、結婚披露宴及び宴会等において料理を提供しており、また、葬祭会館等に対して仕出料理等の提供も行っております。これらは食品衛生法の規制を受けており、食品衛生責任者を配置するとともに、衛生管理に係る自主検査の実施及び衛生コンサルタントによる外部検査を実施し、当該法令の遵守及び料理提供に係る食中毒等の事故発生防止に努めております。

しかしながら、何らかの理由で衛生管理に係る問題の発生や食品衛生法への抵触等の事態が生じた場合には、行政処分または社会的信用の失墜により、営業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)生花事業について

(仕入数量及び価格の変動)

生花事業において、生花商品は気候や天候等に影響を受けやすい特性があり、その商品価格は季節要因に加えて当該影響により変動しております。また、異常気象や台風等の自然災害により、その収穫・出荷量が著しく減少し、市況価格の高騰が生じる場合があります。

当社グループでは、仕入数量の確保と仕入価格の安定化等を強化するため、複数の生花市場及び生産者との仕入ルートの構築を図っております。

しかしながら、極端な収穫・出荷量の減少や市況価格の高騰等が生じた場合には、生花事業の事業展開に影響が生じることに加えて、葬祭事業等への生花商品の供給に影響が生じること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)互助会事業について

(会員獲得)

当社グループにおける互助会会員による葬儀・婚礼施行件数は、葬祭事業の約5割、婚礼事業の約1割を占めており、当社グループの顧客戦略において重要な役割を有しております。

しかしながら、互助会事業においては、葬儀・婚礼の小規模化及び顧客ニーズの変化等により会員数が減少傾向にあります。

当社グループでは、施行後の顧客の再加入や営業エリア内での新規会員募集等の推進により会員数の維持・増加に努めております。

しかしながら、更なる会員数の減少が進行した場合には、将来における葬儀・婚礼施行件数の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴う行動制限の緩和等を背景に、雇用・所得環境が改善する下で、景気は緩やかな回復傾向で推移しました。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

このような環境の下、当社グループでは、「第4次中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)の重点施策である「価値創造のフレームづくり」「経営資源の集中と深化」「経営基盤の強化」に引き続き取り組みました。具体的には、マーケティングの高度化に向けたWebマネジメント体制の再構築や葬祭事業のコンタクトセンター開設等を推し進めました。次に、戦略的アセットマネジメントとして葬祭会館2施設の開設と葬祭会館1施設の事業譲受、仏壇・仏具及び墓石等を販売する葬祭事業と石材事業のコラボレーション店舗1施設の開設、婚礼会場2施設の閉館等を実施しました。加えて、事業開発による業容拡大として喜月堂ホールディングス株式会社(山梨県韮崎市)の全株式を取得し、同社及び同社の子会社3社(以下「喜月堂グループ」という。)を連結子会社化するとともに、当該4社を株式会社喜月堂セレオに組織再編しました。また、コーポレートガバナンスの充実を図るため、取締役会の実効性評価の実施及び結果の概要の開示や、株主総会の議決権行使に係る環境整備、BCM活動の実践によるリスク管理体制の強化等に取り組みました。

当連結会計年度の当社グループの経営成績は、主に既存の葬祭事業における増収及び株式会社喜月堂セレオが連結業績に貢献したこと等により、売上高は10,035百万円(前年同期比5.0%増)となりました。売上高の増加等に伴う売上原価の増加や広告宣伝の強化等に伴う販売費及び一般管理費の増加に加え、喜月堂グループの連結子会社化に伴い売上原価、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収幅がコスト増加幅を上回ったため、営業利益は658百万円(同5.5%増)となりました。また、為替差益の計上及び持分法による投資損失の減少等により、経常利益は830百万円(同24.2%増)となりました。加えて、婚礼会場の閉館に伴う減損損失が前年よりも大幅に減少したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は579百万円(同288.5%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高または振替高を除き記載しております。

 

(葬祭事業)

営業エリアの死亡者数はほぼ横ばいで推移した一方で、他社との競争は激しい状況が続きました。また、社会全体でアフターコロナへの移行が進んでいるものの、葬儀の小規模化は依然として継続しました。

このような状況の下、葬祭会館の新規出店として2023年9月に「家族葬のこころ斎苑 牛久南」(茨城県牛久市)、2023年12月に「もとみや斎場 家族葬ホール」(福島県本宮市)を開設するとともに、2024年2月に「こころ館 西川田」(栃木県宇都宮市)の事業譲受をいたしました。また、石材事業とのコラボレーション店舗として2023年11月に「ぶつだんプラザ会津・石のカンノ 会津支店」(福島県会津若松市)を開設しました。加えて、2023年9月に山梨県韮崎市を本拠地とする喜月堂グループとのM&Aを実施し、営業エリアの拡大を図りました。更に、広告宣伝やアフターフォロー営業等を強化し、一般葬の受注やオプション販売が好調に推移したこと等により、葬儀施行単価及び法事施行件数等が前年同期よりも増加しました。

その結果、売上高は6,136百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益は692百万円(同12.0%増)となりました。

 

(石材事業)

国際情勢の影響等による海外における原石の在庫不足等への影響は、解消傾向に向かいました。

このような状況の下、石材卸売においては、新規取引先の開拓と既存取引先への販売促進及び販売価格の見直し等に注力し、石材卸売単価等が前年同期よりも増加しました。石材小売においては、「石のカンノ 会津支店」(福島県会津若松市)を移転し、葬祭事業とのコラボレーション店舗として2023年11月に「ぶつだんプラザ会津・石のカンノ 会津支店」を開設しました。また、広告宣伝の強化による来店客誘致と成約率の向上、墓石のリフォーム・メンテナンスの提案及び単価向上施策等に取り組み、石材小売単価等が前年同期よりも増加しました。

その結果、売上高は2,269百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は63百万円(同23.7%増)となりました。

 

(婚礼事業)

社会全体でアフターコロナへの移行が進んでいるものの、婚礼の需要減少及び小規模化は依然として継続しました。

このような状況の下、事業環境の変化等を踏まえ、2022年6月にゲストハウス「アニエス郡山」(福島県郡山市)を閉館したことに加え、2023年11月にゲストハウス「アニエス会津」(福島県会津若松市)、2024年3月に総合婚礼会場「クーラクーリアンテ サンパレス」を閉館し、営業規模の適正化を進めました。婚礼会場の閉館により婚礼施行件数が減少した一方で、婚礼の招待客数促進や宴会の受注促進等を強化したこと等により、婚礼施行単価及び宴会施行単価等が前年同期よりも増加しました。

その結果、売上高は849百万円(前年同期比2.4%減)、営業損失は122百万円(前年同期は営業損失195百万円)となりました。

 

(生花事業)

社会全体でアフターコロナへの移行が進んでいるものの、葬儀の小規模化の継続等に伴い、生花及び生花商品の需要は減少傾向で推移しました。

このような状況の下、葬儀社への生花商品の提案、生花店や葬儀社へのオンラインショップの訴求及びDM・SNSによる情報発信の強化等に注力しました。また、生花の鮮度保持システムを導入し、商品ロスの削減に取り組みました。しかしながら、卸売先における業況の影響もあり、生花の卸売数量等は前連結会計年度よりも減少しました。また、葬祭事業から生花事業への配送要員の移管に伴い、販売費及び一般管理費が増加しました。

その結果、売上高は586百万円(前年同期比9.5%減)、営業利益は106百万円(同29.8%減)となりました。

 

(互助会事業)

互助会の新規会員募集や葬儀施行後の再加入促進等に注力するとともに、販売費及び一般管理費の圧縮等に努めました。しかしながら、婚礼会場の閉館に伴う不動産賃貸収入及び葬祭事業からの手数料収入等が前年同期よりも減少しました。

その結果、売上高は9百万円(前年同期比21.9%減)、営業損失は14百万円(前年同期は営業損失12百万円)となりました。

 

(その他)

卸売先における業況の影響もあり、棺の卸売数量が減少した一方で、オリジナル紙棺「悠舟」や高級棺の販売促進等に注力し、棺の卸売単価が前年同期よりも増加しました。

その結果、売上高は175百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は0百万円(前年同期は営業損失4百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ883百万円減少し、3,122百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,059百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益790百万円、減価償却費397百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,293百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出701百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出858百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は649百万円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出535百万円及び配当金の支払額112百万円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 石材事業にて一部建築受注請負がありますが、金額が少額なため記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における各セグメントの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

葬祭事業

6,136,910

110.1

石材事業

2,269,151

99.8

婚礼事業

849,906

97.6

生花事業

586,865

90.5

互助会事業

9,161

78.1

報告セグメント計

9,851,995

105.1

その他

175,402

99.0

全社

8,400

121.7

合計

10,035,798

105.0

(注)1 セグメント間の内部売上高を除いております。

2 最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

㈱JAライフクリエイト福島

1,070,931

11.2

1,081,318

10.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の認識及び分析

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は19,267百万円(前連結会計年度末比3.3%増)となりました。

 流動資産は4,546百万円(同18.4%減)となりました。これは主に現金及び預金が883百万円、有価証券が145百万円減少したことによるものです。

 固定資産は14,721百万円(同12.6%増)となりました。これは主に喜月堂グループの連結子会社化等により建物及び構築物が570百万円、土地が204百万円、のれんが529百万円及び前払式特定取引前受金保全のための金銭供託により供託金が275百万円増加したことによるものです。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は10,694百万円(前連結会計年度末比1.1%増)となりました。

 流動負債は1,511百万円(同9.0%増)となりました。これは主に買掛金が72百万円減少した一方で、未払法人税等が60百万円及びその他(未払金)が107百万円増加したことによるものです。

 固定負債は9,182百万円(同0.1%減)となりました。これは主に喜月堂グループの連結子会社化等により資産除去債務が39百万円増加した一方で、長期借入金が31百万円減少したことによるものです。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は8,572百万円(前連結会計年度末比6.2%増)となりました。これは主に、利益剰余金が466百万円増加したことによるものです。

 

b.経営成績の認識及び分析

(売上高)

 アフターコロナへの移行が進む中、葬祭事業においては、葬祭会館の新規開設や事業譲受、喜月堂グループの連結子会社化等による事業拡大を進めました。また、葬儀施行単価向上やアフターフォロー営業の強化等により、売上高が増加いたしました。一方で、石材・婚礼・生花事業においては、各施策により単価向上は図ったものの、件数が伸び悩み、売上高が減少しました。その結果、売上高は10,035百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上高の増加による仕入高及び材料費の増加に加え、喜月堂グループの連結子会社化に伴い労務費及び減価償却費が増加しました。一方で、外注加工費や業務委託費等の製造経費の圧縮に努めたことにより、売上原価は6,656百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。その結果、売上総利益は3,379百万円(同10.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 各セグメントにおいて、広告宣伝の強化をしたことに加え、喜月堂グループの連結子会社化による人件費等の増加により、販売費及び一般管理費は2,721百万円(前連結会計年度比12.2%増)となりました。その結果、営業利益は658百万円(同5.5%増)となりました。

 

(営業外収益及び営業外費用、経常利益)

 為替差益の計上やその他の雑収入が増加したこと等により、営業外収益は215百万円(前連結会計年度比85.3%増)となりました。一方で、持分法による投資損失が減少したこと等により、営業外費用は43百万円(同39.7%減)となりました。その結果、経常利益は830百万円(同24.2%増)となりました。

 

(特別利益及び特別損失、税金等調整前当期純利益)

 前連結会計年度で増加要因となった投資有価証券売却益の計上が無かったこと等により、特別利益は8百万円(前連結会計年度比78.6%減)となりました。また、婚礼会場の閉館に伴う減損損失が、前連結会計年度に比べ大幅に減少したことにより、特別損失は48百万円(同91.4%減)となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は790百万円(437.6%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額(益)の計上が減少したこと等により、法人税等合計は210百万円(前連結会計年度は法人税等合計△2百万円)となりました。以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は579百万円(同288.5%増)となりました。

 

c.財政状態及び経営成績等の状況に関する検討内容

 当社グループは「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、第4次中期経営計画において、2025年3月期には、連結売上高経常利益率8.0%以上、連結自己資本当期純利益率(RОE)4.5%以上を達成することを目標としております。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 当該要因への対応として、当連結会計年度におきましては、下記を実施しました。

・マーケティングの高度化(「攻め」のDXの基礎づくり)

・生産性向上の加速(「守り」のDXの基礎づくり、ワークアウトの体系化・浸透等)

・戦略的アセットマネジメント(婚礼会場の閉館、葬祭会館の開設等)

・コーポレートガバナンスの充実(譲渡制限付株式報酬制度の導入、リスクマネジメント体制の再構築等)

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 なお、当連結会計年度の連結売上高経常利益率は8.3%(前連結会計年度比1.3ポイント増)、連結自己資本当期純利益率(ROE)は7.0%(同5.1ポイント増)となりました。

 今後の方針としては、当社グループでは第4次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)において、「成長をスパイラルアップするフレームづくり」を基本方針として掲げております。この基本方針に基づき、マーケティングの高度化を図るとともに、生産性向上を加速させ、価値創造のフレームづくりを推し進めます。また、戦略的アセットマネジメントや事業開発による業容拡大等、経営資源の集中と深化を進めてまいります。更に、人事戦略のブラッシュアップやコーポレートガバナンスの充実等、経営基盤の強化に努めます。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入れ(当座借越)を基本としており、設備資金やその他投資案件等に係る資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入れを基本としております。

 また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、グループ内の資金調達・資金管理の一元化を行い、グループ全体の資金効率化を進めております。当社グループは、健全な財政体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する手許流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能と考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)業務委託契約

当社の連結子会社である株式会社たまのやが、JA及びJAが出資する株式会社並びにJA組合員の負託に応えられる葬祭業務を円滑に行うために、葬祭事業に関する基本契約を締結しております。

相手方の名称

契約名称

契約内容

契約年月日

契約期間

備考

㈱JAライフクリエイト福島

葬祭事業に関する業務委託契約書

葬祭業務全般の取決め

2011年4月1日

2011年4月1日~

2012年3月31日

自動更新

㈱JAライフクリエイト福島

葬祭事業に関する覚書

委託手数料の取決め

2011年4月1日

2011年4月1日~

2012年3月31日

自動更新

 

(2)株式譲渡契約

当社は、2023年7月20日、会社法370条に基づく決議(取締役会の決議にかわる書面決議)により、喜月堂ホールディングス株式会社の全株式を取得し、子会社化することを決議し、同日付で同社と株式譲渡契約を締結しました。この株式譲渡契約に基づき、2023年9月1日に全株式を取得しております。また、本株式取得に際し、同社の子会社である株式会社セレオ、株式会社四季、有限会社喜月堂の3社は当社の孫会社となりました。

なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(3)連結子会社間の合併

当社は、2023年10月26日、会社法第370条に基づく決議(取締役会の決議にかわる書面決議)により、当社の連結子会社である喜月堂ホールディングス株式会社及び同社の子会社である株式会社セレオ、株式会社四季、有限会社喜月堂を合併することを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。

なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。