文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「美と健康、清潔で快適な生活を創造する」を経営ビジョンとし、みなさまの暮らしを快適にする身近な商品を、全国の小売業様の店頭にお届けする、日用品・化粧品の卸商社として、社会的インフラの一翼を担っております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2020年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上高・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益・ROEを目標として掲げております。
(3) 経営戦略及び定量目標
2020年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標数値及びその結果は、目標達成に向けた活動計画として、
① 成長戦略を描き続ける
② 未来への布石を打つ
③ 経営基盤の更なる強化
以上3つの戦略をベースに、目標達成に向けて活動した結果、ROEにつきましては目標値と同水準ではありますが若干下回った以外、売上高・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は目標を達成しました。
(単位:億円)
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2020年3月期実績 |
中期経営計画目標数値 |
|
売上高 |
7,962 |
7,710 |
|
経常利益 |
101 |
100 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
71 |
65 |
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ROE |
8.8% |
9%台 |
(4) 経営環境及び対処すべき課題
日本経済は、人口減少による市場規模の縮小に伴う競争激化に加え、消費税増税による消費の冷え込み、近年頻繁に起こる自然災害など厳しい環境が続いております。
このような環境において、当社は消費者の皆様が快適に生活できる商品を提供するだけでなく、小売業様の店頭において楽しく買い物ができる売場作りの提案を行うとともに、高付加価値商品の提案を強化することにより売上高と利益の拡大を実現してまいりました。
また、頻繁に起こる自然災害に対しては、生活必需品である当社商品を安定して運ぶことができるようBCPに沿った活動を実施してまいりました。
現在、さらに新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済・日本経済全体が、これまで経験したことのない未曽有の危機に直面しております。流通業界におきましても、マスクや除菌関連商品などの需要が増大し、商品供給が追い付かない状況となり、また小売業店舗におきましては、従業員確保の問題及び感染リスク軽減のため時間短縮を行うなど企業経営に様々な影響が起きております。
このように急激な需要増大により売上高が増加しておりますが、一方では物流が逼迫する状況を打開するための物流センターの稼働時間延長や人手の増強、および臨時配送車両の確保による経費が増加しており、業績への影響が起きております。
現時点ではコロナウイルスの終息時期が不透明であり、今後当社グループに与える影響については、新型コロナウイルス感染症を意識した生活様式が常態化してくる中での消費者の生活の変化がどのような影響を及ぼすのか、また一過性のものか継続して変化がおきるのかが不透明な状況であり、2021年3月期を始まりの年とする新中期経営計画及び2021年3月期の業績予測は影響の度合いが一定程見極められた段階で速やかに開示することとしております。
新型コロナウイルス感染拡大により、直近の業績が見通せないなか、これらの自然環境・経済環境の変化に伴う日用品・化粧品市場の構造的変化への適応を対処すべき課題と認識し、持続的な価値向上を図るため、当社として10年後を見据えた将来ビジョン「夢をかなえる。暮らしを変える。」を策定いたしました。
(将来ビジョン策定の背景)
当社グループは生活必需品を取扱う社会インフラとしての使命を担い、暮らしを支え、快適な生活を創造する企業として、消費者の皆様及び地域社会とともに成長を続けてまいりました。
現在、自然環境や経済環境は大きく変化しており、当社が属する流通業界も例外ではなく大きな転換期にあると言えます。
当社グループも、自然環境・経済環境等の変化に対応し「世の中のお役に立ち続ける」という経営理念のもと、どのような状況においても消費者の皆様及び地域社会のために企業活動を持続させ、「強く」「正しく」そしてその先には「楽しく」というあらたの社会的責任に対する基本的考え方に沿い、経済や社会に対して価値を提供し続けております。
また、現在は世界規模で新型コロナウイルス(COVID-19)が蔓延し、日本におきましても全国に緊急事態宣言が発令され、国民の生活及び企業活動に大きな影響を与える重大な危機に直面している中で、ますます当社の社会的役割の重要性が増し、企業としての真価が問われています。
このような環境の中で、当社グループは将来を見据え、長期的視点に立って当社が進むべき目標を設定いたしました。
「夢をかなえる。暮らしを変える。」将来ビジョンに向け各種施策を遂行いたします。
(2030年のありたい姿)
あらたが創出する経済価値は「1兆円<売上高=夢」
2030年までの10年間における目標は、売上高1兆円は通過点であり、そこにとどまらずに常に「夢」のある目標を追い続け、経済価値を生みだします。
あらたが社会へ提供する価値は、社員を核に置き、当社が属する流通業界全体のサプライチェーンへの貢献、消費者への貢献、地球環境への貢献とその価値を扇状に広げながら提供してまいります。
① 社員にとって働き甲斐のある会社
② サプライチェーンに好循環を生む会社
③ 消費者に豊かで快適な生活を届け続ける会社
④ 地球環境に配慮した事業を行う会社
(将来ビジョンに向けた戦略)
2030年のありたい姿を実現するための戦略として、
「快適な暮らしの総合プロデューサー」となることで、
1.「アイテム」をプロデュース
2.「売場」をプロデュース
3.「マーケティング」をプロデュース
以上3つの「アイテム」「売場」「マーケティング」をプロデュースする力を持つことを長期戦略に置き、実現するためのターゲット戦略を定めて実施いたします。
(事業戦略を支える基盤戦略)
将来ビジョンの実現に向け、
人事制度改革、次世代育成、ガバナンス強化
安定供給のためのBCP、地域社会との共存
3R活動、返品削減、物流の効率化、エネルギー消費量抑制
以上を掲げ、戦略を支える基盤となるCSRの重要テーマとして実践してまいります。
(女性活躍推進などのダイバーシティへの取り組み)
当社グループの取り扱う化粧品・日用品の購買決定権は女性が大きな割合を占めていることもあり、女性の活躍が求められています。その活躍をサポートするために、妊娠・出産・育児期間における制度拡充のほか、女性管理職の増加に向けた総合職の女性の採用比率UP、キャリア研修などを検討しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 競争激化による投資コストの増加について
当社グループが属する化粧品・日用品の卸売業界におきましては、取扱い商品における業界の垣根を越えた再編の可能性があり、主要顧客である小売業界においても同様の動きが起こる可能性があります。また、外資系小売業の進出などにより、物流機能の取り込みが起こり、卸売業の物流機能の評価が低下する可能性もあります。
このような業界再編やそれにともなう物流形態の変化等の環境変化に対応するために、新しい事業分野への進出や、物流機能の充実のための大型物流センター等の設備投資が必要となってくると考えられます。その場合には、減価償却費や物流に関連する各種経費の一時的増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、今後も積極的な売上拡大に対応する為、全国に亘る物流ネットワークの整備を継続してまいりますので、初期投資に関わる費用、減価償却費の増加は見込まれますが、従来通りに既存センターの統合、廃止などにより、在庫の削減、センター内の業務費用、配送費用の圧縮により投資コストの早期回収を進めます。
② 業績変動について
当社グループの業績は、第4四半期において他の四半期に比べて売上高及び利益は低下する傾向にあります。
これは主に、12月に日用品をまとめて購入する消費需要の反動や、2月は営業日数が少ない等の影響によるものであります。このため、第3四半期までの業績の傾向が、年間の業績の傾向を示さない可能性があります。
また、上記傾向が継続していることに加え、自然災害の発生や消費税増税など大きな環境変化が起こった際には四半期毎の傾向が大きく変わることが想定され、過去の傾向どおりには推移しない可能性もあります。
この様な各種環境変化への対応としては過去において売上高、利益に対して影響を及ぼした要因を分析し、消費の需要変化を予測し、執行役員等が出席する経営会議や取締役会において商品政策、販売政策を検討し実施しております。
なお、2019年3月期並びに2020年3月期の四半期毎の業績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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|
2019年3月期 |
||||
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
売上高 |
191,872 |
189,208 |
197,043 |
176,321 |
754,447 |
|
(構成比 %) |
(25.4) |
(25.1) |
(26.1) |
(23.4) |
(100.0) |
|
営業利益 |
2,486 |
1,991 |
2,450 |
1,963 |
8,892 |
|
(構成比 %) |
(28.0) |
(22.4) |
(27.5) |
(22.1) |
(100.0) |
|
経常利益 |
2,551 |
2,122 |
2,611 |
2,144 |
9,429 |
|
(構成比 %) |
(27.1) |
(22.5) |
(27.7) |
(22.7) |
(100.0) |
(単位:百万円)
|
|
2020年3月期 |
||||
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
売上高 |
195,393 |
210,947 |
195,559 |
194,326 |
796,227 |
|
(構成比 %) |
(24.5) |
(26.5) |
(24.6) |
(24.4) |
(100.0) |
|
営業利益 |
2,491 |
2,544 |
2,217 |
2,072 |
9,326 |
|
(構成比 %) |
(26.7) |
(27.3) |
(23.8) |
(22.2) |
(100.0) |
|
経常利益 |
2,693 |
2,709 |
2,537 |
2,183 |
10,124 |
|
(構成比 %) |
(26.6) |
(26.8) |
(25.0) |
(21.6) |
(100.0) |
③ ペット生体の需給動向について
犬猫生体については、繁殖者の減少から生体が供給不足になる可能性があります。また、犬猫の平均寿命は延びているものの、高齢生体の比率が上昇しており、高齢生体の死亡により飼育頭数が減少する可能性があります。生体全般としては人獣共通感染症が発生した場合に生体が減少する可能性があります。ペットフード・用品の売上高については、ペット生体の数の増減によって業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、近年において犬の飼育頭数の減少が見られるなどの状況が発生しておりますが、高齢生体の上昇や飼い主とペットとの関係性の変化等によるペットフード・用品の高機能化などの変化に迅速に対応する等、生体数減少による売上高の減少をカバーする対応を行っております。
④ 商慣習によるリスクについて
当社グループが所属する日用品化粧品・ペット卸売業界は、商品の販売数量や支払条件等に応じて、メーカーから販売奨励金等が支払われます。これは、メーカーと当社グループの間で取り決められた条件を達成することによって支払われますが、メーカーの営業戦略の変更により制度変更された場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの商品在庫におきましては、ほぼメーカーへの返品が可能となっております。しかしながら、メーカーの民事再生等により債務不履行が発生した場合は、在庫評価損の計上や返品が不能となる場合があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、近年ではメーカーの債務不履行により業績に大きな影響を与える事例は発生しておりませんが、買掛金、在庫管理を中心として仕入先与信管理を強化し、リスク軽減の対応を行っております。
⑤ ペットフードの安全性について
「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の施行により、安全基準値を超えた商品が発見された場合にはペットフードの生産、流通に支障が生じる可能性があります。また、ペットフードの主原料になることが多いトウモロコシ等の穀物について、世界的な異常気象等による不作から、ペットフードの調達不足が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点では当該リスクが顕在化する可能性については認識しておりません。しかし今後発生する可能性を考慮し、仕入先との連携によるペットフードに関する情報収集の強化や仕入先を複数もつことでのリスク軽減などの対応を行っております。
⑥ カントリーリスクについて
当社グループは、海外事業の拡大を図っており、海外現地における政情不安、貿易制裁、文化や法制度の相違、特殊な労使関係等によるカントリーリスクにより、円滑な業務運営が妨げられ、当社グループの業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社仕入先の製造工場が海外にある場合にも、同様のリスクが考えられ、商品供給が滞る可能性があります。
なお、直近では新型コロナウイルス感染症による世界的な事業活動停滞が要因となり、一時的に需給バランスが崩れる現状が発生いたしましたが、国内仕入先の国内工場の増産に合わせた商品調達や在庫管理、また新規取引を行うことでリスク軽減の対応を行っております。
⑦ 信用リスクについて
当社グループでは取引先の信用悪化や経営破綻による損失が発生する信用リスクを管理するため、信用調査会社による資料に基づき要注意先を設定し与信限度額を定め、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などを取り付けるとともに、会計上充分な貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、得意先の業績悪化により、債権等が回収不能となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、これまでにも債権回収不能の事態は発生しておりますが、多くが軽微であり経営に大きく影響を与える状況にはありません。しかし社会、経済環境の変化により景気が減退し、発生する可能性を考慮し、不安のある得意先に対しては取引限度額の再設定や保証の取り付け、与信保険の設定などによりリクス軽減を図っております。
⑧ 減損会計について
当社グループは、事業用資産として多くの土地及び建物等を所有しております。事業用資産の簿価に対して時価が著しく下落した場合や各支社の収益性が悪化した場合等には、固定資産の減損処理が必要となる場合があります。その場合、特別損失が計上され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、各支社の収益悪化に対して本社と連携して得意先への対応を協議・実践するなど収益改善に向けた取り組みを強化することでリスク軽減を図っております。
⑨ 投資有価証券保有にかかる株価変動リスクについて
当社グループは主として営業上の取引関係の維持、強化のため取引先を中心に政策保有株式を保有しております。
このため、株式相場の動向もしくは株式を保有している企業の業績次第では、それぞれの株価に大きな変動が発生し、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当該リスクへの対応といたしましては、政策保有株式全銘柄につき個別に保有の妥当性を判断し、取締役会等で継続して保有する経済合理性が乏しいと判断した場合には、その時の経済情勢や譲渡損益等を考慮したうえで、当該保有先との対話を経て、適切な時期に保有株式の売却を行うなどの対応を行っております。
⑩ 大規模災害について
当社グループは全国に多くの拠点があり、大規模災害が発生した場合にはその地域における物流機能の麻痺及びシステム障害が発生し、商品の供給が滞る可能性があります。
なお、東日本大震災や近年の大型台風、集中豪雨などにより当該リスクは発生しておりますが、BCP対策強化の一環として、一部の物流センターが被災した場合でも、他のエリアの物流センターから商品供給できる体制を持ち、また全国に分散したバックアップセンターによりシステム障害を防ぐ体制を構築しております。
⑪ システムトラブルについて
当社グループは、営業活動、商品管理等の多くをコンピューターネットシステムに依拠しております。自然災害や事故の発生、コンピューターウイルスの侵入等により機能が停止した場合、リカバリーシステムによる復旧までに時間を要し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、有事においても安定的に商品供給するために日次の業務データを複数のバックアップセンターにより分散管理し、一つのセンターが被災した場合においても迅速にシステムを復旧させ、事業継続できる体制を構築しております。
⑫ 感染症等の流行発生にかかるリスク
新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済・日本経済全体が、これまで経験したことのない未曽有の危機に直面しております。流通業界におきましては、マスクや除菌関連商品及び紙製品などの生活必需品等への需要集中により、商品供給が追い付かない状況となり、また小売業店舗におきましては、従業員確保の問題及び感染リスク軽減のため時間短縮を行うなど企業経営に様々な影響が起きております。
当社におきましてはこのような急激な需要増大により売上高が増加しておりますが、一方では物流が逼迫する状況を打開するための物流センターの稼働時間延長や人手の増強、および臨時配送車両の確保による経費が増加しております。
2020年5月に緊急事態宣言は解除されましたが、今後第2波・第3波の感染拡大懸念など長期化することも予想されており、メーカーの活動自粛による商品供給の不足や小売業店舗の休業や時短営業などによる売上減少のリスク、当社物流センター内での感染者発生による稼働停止による事業継続のリスクなど、通常の営業が出来なくなる可能性等があり、このような状況が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては取締役会、経営会議において今後想定される事業への影響、及びその対策について議論し、本社、支社においてそれぞれの環境に応じた具体的な施策を立案し、安定的な商品供給を継続しております。今後もBCPの観点からあらゆる事態を想定し、このような事象が継続する場合においても最小限の影響にとどめる対策を実施いたします。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦等の不安定な海外情勢や、相次ぐ自然災害、消費税率引上げ後の消費者マインドの低迷に加え、年明け以降、企業の業況判断は新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化し、極めて厳しい状況となりました。
このような中、当連結会計年度において当社グループは人口減少による市場規模の縮小に伴う競争激化に加え、第1四半期は冷夏による季節品の不振、第2四半期は消費税増税の駆け込み需要、第3四半期はその反動減、第4四半期は暖冬による季節品の不振や新型コロナウイルス感染症の影響による衛生関連品の需要拡大、紙製品のパニック需要など四半期毎に状況が目まぐるしく変わる厳しい環境の中、中期経営計画の達成に向けて積極的な営業活動を進めてまいりました。
特に第4四半期の新型コロナウイルス感染症が拡大する状況下では、急激な需要増大により売上高が増加しておりますが、一方では物流が逼迫する状況を打開するための物流センターの稼働時間延長や人手の増強、臨時配送車両の確保による経費が増加しており、業績への影響が発生しております。
また、人口減少や消費税増税による消費の冷え込みについては、消費者から選ばれる商品の提案や売れる売場提案、収益性の高い商品の販売拡大と生産性向上に向けた施策を実施してまいりました結果、中期経営計画最終年度の目標数値である売上高予算771,000百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円については目標を達成することができました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は249,712百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,098百万円の増加となりました。
負債合計は166,811百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,712百万円の増加となりました。
純資産の部は82,901百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,385百万円の増加となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は796,227百万円(前年同期5.5%増)、営業利益は9,326百万円(前年同期4.9%増)、経常利益は10,124百万円(前年同期7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,191百万円(前年同期4.2%増)となりました。
なお、セグメントの業績につきましては、当社グループは日用品・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであるため記載を省略しておりますので、カテゴリー別及び業態別の売上実績につきまして記載しております。
カテゴリー別売上実績
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当連結会計年度におけるカテゴリー別売上実績は、次のとおりであります。 (単位:百万円) |
|
カテゴリー |
主要商品 |
当連結会計年度 |
|
|
(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比 |
||
|
|
|
|
% |
|
Health & Beauty |
化粧品、装粧品、入浴剤、身体洗浄剤、ヘアカラー、オーラルケア、医薬品、健康食品 |
249,973 |
105.1 |
|
ハウスホールド |
衣料用洗剤類、台所・食器用洗剤類、住居用洗剤類 |
111,992 |
106.0 |
|
ホームケア |
芳香・消臭剤、防虫剤、殺虫剤、薫香ローソク、乾電池/乾電池応用品、記録メディア、照明用品、電気応用品、OA用品、写真関連品 |
69,084 |
99.6 |
|
紙製品 |
ベビー用品、ベビー用おむつ、介護用品、大人用おむつ、生理用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパー |
162,150 |
110.1 |
|
家庭用品 |
台所消耗品、洗面用品、清掃用品、収納用品、季節品、保存用品、調理用品、卓上用品、行楽用品 |
55,282 |
105.8 |
|
ペット・多角品・その他 |
ペット用品、文具、玩具、カー用品 |
147,744 |
104.0 |
|
合計 |
796,227 |
105.5 |
|
(注)当連結会計年度より、カテゴリーの商品分類を一部変更しております。なお、前年同期比につきましては、前連結会計年度の数値を組み替えて算定しております。
詳細を見るとHealth & Beautyが、5.1%増と伸びており、構成比では31.4%となっております。
Health & Beautyは利益率の高い商品が多く、成長戦略の重要なカテゴリーとして、2019年4月に化粧品専門卸の子会社であった「ファッションあらた」を統合し、注力してまいりました。
洗剤等のハウスホールドは、6.0%増加しており、大容量の詰替商品の好調が続いていることに加え、感染症対策への意識向上により、除菌効果の高い、高機能の洗剤類が伸張していることも要因となっております。
ホームケアについては、昨年が冷夏で始まったことによる殺虫剤の不振や、記録的な暖冬によりカイロなどの季節品が伸び悩んだため、0.4%の減少となりました。
紙製品は10.1%増と大きく伸びておりますが、こちらは新型コロナウイルスに関連し、ティッシュやトイレットペーパーにおいてパニック需要が発生したことが大きな要因です。
その他、家庭用品、ペット用品も順調に拡大しております。
業態別売上実績
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当連結会計年度における業態別売上実績は、次のとおりであります。 (単位:百万円) |
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業態 |
当連結会計年度 |
|
|
自 2019年4月1日 至 2020年3月31日 |
前年同期比 |
|
|
|
|
% |
|
ドラッグストア |
391,911 |
106.4 |
|
ホームセンター |
126,820 |
102.1 |
|
SM |
98,583 |
105.1 |
|
ディスカウント |
59,502 |
106.8 |
|
GMS |
41,750 |
103.1 |
|
その他 |
77,659 |
108.1 |
|
合計 |
796,227 |
105.5 |
(注)当連結会計年度より、業態別分類を一部変更しております。なお、前年同期比につきましては、前連結会計年度の数値を組み替えて算定しております。
業態別の売上高を見てみますと、ドラッグストアが6.4%増と引き続き大きく増加しており、構成比で49.2%となっております。
ディスカウントストアも6.8%増と順調な伸びを示しております。
ホームセンターやスーパーマーケット、GMSにつきましては、第3四半期までは前年同水準でしたが、新型コロナウイルスに関する特需の影響もあり、伸張しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,327百万円減少し、17,782百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は5,262百万円(前年は9,513百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が10,646百万円、減価償却費4,281百万円等の収入に対し、投資有価証券売却益536百万円、売上債権の増加額3,470百万円、たな卸資産の増加額810百万円、仕入債務の減少額700百万円等の支出があったことによるものであります。
なお、第4四半期連結会計期間において新型コロナウイルス感染の影響によりマスクなど衛生関連商品を中心として売上高が増加し、またティッシュやトイレットペーパーにおいてもパニック需要が発生し、その結果、前述しましたように期末における売上債権が3,470百万円と大きく増加したことにより営業キャッシュ・フローが減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は2,742百万円(前年は880百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入735百万円、投資有価証券の売却による収入794百万円等の収入に対して、有形固定資産の取得による支出2,191百万円、無形固定資産の取得による支出1,284百万円、関係会社株式の取得による支出631百万円等の支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は3,833百万円(前年は6,678百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増による収入1,040百万円、長期借入れによる収入7,080百万円、自己株式の処分による収入997百万円等の収入に対して、長期借入金の返済による支出6,724百万円、自己株式の取得による支出3,999百万円、配当金の支払による支出1,417百万円、リース債務の返済による支出808百万円等の支出があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産の実績及び受注実績
当社グループの事業内容は、日用雑貨・化粧品等の卸売業であり、生産の実績は記載ができないため、当該記載を省略しております。
また、受注実績は販売実績と近似しているため、下記の販売実績を参照ください。
b.販売実績
当社グループの事業内容は、日用雑貨・化粧品等の卸売業を主たる事業とする単一セグメントであります。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
株式会社ツルハホールディングス |
97,743 |
13.0 |
99,876 |
12.5 |
(注)上記金額には、消費税等を含んでおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは過去の実績値や分析値、状況等を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果とは見積り特有の不確実性があるため、異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積もりの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産の減損
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。資産計上した建物や構築物等について、事業環境の悪化により、減損会計におけるグルーピング単位で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産
繰延税金資産は、毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込み等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
c.貸倒引当金
当社は売掛金等債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、さらにその支払能力が著しく低下場合には追加引当処理が必要となる可能性があります。
d.投資有価証券
当社が保有する時価のない投資有価証券については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産と取得価額とを比較して、1株当たり純資産が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは2020年3月期を最終年度とする中期経営計画を2018年3月期にスタートさせ、それ以前までをファーストステージ、中期経営計画からをセカンドステージとして10年先を見据えた「あるべき姿」を考え、中期経営計画における戦略(1)成長戦略を描き続ける(2)未来への布石を打つ(3)経営基盤の更なる強化という3つの戦略を軸に各種施策を実施してまいりました。
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は249,712百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,098百万円の増加となりました。
資産の部では、流動資産が181,744百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,588百万円の増加となりました。
これは主に受取手形及び売掛金が3,471百万円、未収入金が2,757百万円増加したことによるものであります。
固定資産は67,968百万円となり、前連結会計年度末と比較して489百万円の減少となりました。
これは主に有形固定資産のリース資産が613百万円増加し、工具、器具及び備品が518百万円、土地が383百万円、投資有価証券が193百万円減少したことによるものであります。
負債の部では、流動負債が136,239百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,410百万円の増加となりました。
これは主に短期借入金が4,690百万円、未払金が1,206百万円増加したことによるものであります。
固定負債は30,571百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,697百万円の減少となりました。
これは主に固定負債のリース債務が595百万円増加し、長期借入金が3,294百万円減少したことによるものであります。
純資産の部は82,901百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,385百万円の増加となりました。
これは主に利益剰余金が5,773百万円増加した一方で、純資産の部から控除される自己株式が取得期間2019年8月5日~2020年1月31日までとする自己株式取得等により2,888百万円増加し、その他有価証券評価差額金が537百万円減少したことによるものであります。
このような結果、自己資本比率は33.2%となりました。
b.経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は796,227百万円(前年同期5.5%増)となりました。主な要因は、業態別では、全業態が前年を上回っており、その中でもドラッグストア業態が前年同期比6.4%増、ディスカウントストア業態が同6.8%増と高い伸びを示しており、さらに近年において低い伸び率で推移しておりましたスーパーマーケット(SM)業態が5.1%増と高い伸びを示し、またカテゴリー別では、暖冬による季節品の不振からホームケアが前年を下回ったほかは、中期経営計画における重点カテゴリーであるHealth & Beautyが同5.1%増、紙製品が新型コロナウイルス感染症拡大の中、パニック需要が発生したことも要因となり前年同期比で10.1%増、ハウスホールドが同6.0%増、家庭用品が同5.8%増と好調に推移しております。
次に営業利益は9,326百万円(前年同期4.9%増)、経常利益は10,124百万円(前年同期7.4%増)となっており、売上高拡大により運賃など物流関連費用が増加する中で業務集約などにより間接業務費用の増加を抑制し、販売費及び一般管理費比率を前年同期より0.08ポイント減少させ9.11%まで改善したことにより、当連結会計年度の営業利益は9,326百万円となり前年同期に対して4.9%増となりました。
経常利益については、前年同期に営業外費用として計上したコミットメントラインなどのアレンジメント手数料が当連結会計年度には計上がなく、また支払利息の低減などにより10,124百万円となり前年同期比7.4%増加し、経常利益率は1.27%になりました。
次に親会社株主に帰属する当期純利益は7,191百万円(前年同期4.2%増)となりました。主な要因は、特別損失として、固定資産売却により316百万円の特別損失を計上いたしましたが、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に則り、政策保有株式についてその保有目的と経済合理性を鑑みて売却を進めたことで536百万円、土地の売却により309百万円の特別利益を計上したことが主な要因です。
ROEについては、8.8%と中期経営計画の目標数値である9%台は下回りましたが、同水準を維持しております。
新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済・日本経済全体が、これまで経験したことのない未曽有の危機に直面しており、終息の兆しが見えておらず、当社グループの業績に与える影響について、現時点において見極めることが困難なことから、2021年3月期の業績予想及び2021年3月期を始まりの年とする新中期経営計画の発表を延期いたしておりますが、先の見えない状況の中で当社が進むべき方向として2030年将来ビジョンを策定いたしました。
「夢をかなえる。暮らしを変える。」
この先もずっと豊かで快適な毎日を送りたい。そんな人々の「夢」を叶える会社でありたい。
新たな暮らしへ。あらたが変えていきます。
今後、終息の兆しが見え影響の度合いが一定程度見極められた段階で、速やかに業績予想と中期経営計画を発表いたします。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入であります。投資を目的とした主な資金需要は、物流センターに関する設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入及び債権流動化を基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入及び社債の発行を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は35,678百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,782百万円となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。