第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは以下のとおり経営理念を掲げ、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

0102010_001.jpg

 

(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略および優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境について、国内経済環境は脱炭素関連投資等の経済構造の変化に対応する投資需要に支えられ、緩やかな回復が続くと予想されます。一方、欧米の金融引き締めの長期化に伴う海外経済の減速や中国経済低迷の影響、ウクライナ情勢・中東情勢等には引き続き留意を要する状況にあると認識しております。

事業環境は激しい変化の中にあり、テクノロジーの進化や気候変動、脱炭素といった社会的課題に対するお客さまニーズの変化を的確に捉え、それらに対応するためのソリューションを提供していくことがより一層重要となっていくものと考えております。

 

こうした状況下当社グループは2023年度より2025年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画2025の目標達成に向け一層注力してまいります金融にとどまらない高い自由度を活かしたサービスを提供することでお客さまの抱える事業戦略上の課題や社会的課題に率先して取り組みステークホルダーの皆さまと共有できる新しい価値を創造しお客さまの事業活動の発展とそれを通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります

また、ビジネスの多様化、専門性の高まりを踏まえ、各事業の戦略策定・意思決定を迅速かつ機動的に行い、多様化するリスクカテゴリに応じたリスクコントロールの高度化、モニタリングの強化、リスク・リターン運営の更なる高度化を図ることで、ガバナンス・リスクマネジメント体制の高度化を図ってまいります。

さらに、ビジネス領域の拡大、新たなビジネスモデル実装に向けたデジタル技術の活用、次期システム導入等を通じた更なる業務効率化と顧客利便性の向上によりビジネス開発を加速させるとともに、女性活躍の推進、介護・育児と仕事の両立支援およびテレワーク等による柔軟な働き方の推進等の実施により、従業員が健康かつ充分にその能力を発揮できる環境の整備を行ってまいります。

 

中期経営計画2025の概要は以下のとおりであります。

① 事業ポートフォリオ運営の変革・高度化

 ・事業ポートフォリオを成長の時間軸が異なる3つの分野(コア、グロース、フロンティア)に分け、マネジ

  メントを実施

 1.期間利益の追求と成長投資を両軸で推進。投資効果の発現に一定期間を要する領域は、中長期目線での

   収益化に向けビジネス基盤を強化

 2.コア分野の着実な積み上げと、グロース分野のビジネス領域拡大が成長を牽引。フロンティア分野は長

   期目線で新たな収益源とすべく経営資源を投下、ビジネス基盤を整備

 3.みずほグループ・丸紅グループとの連携を強化、ビジネス領域・顧客基盤を更に拡大。スタートアップ

   やDXプレーヤーといった事業法人とのアライアンスを推進

 4.良質な営業資産を積極的に積み上げ(2022年度比+7,000億円超)。インオーガニック戦略の推進に注力(2025年度までに累計1,500億円規模の投資)

<事業ポートフォリオの分類>

 コア分野:成熟したマーケット、あるいは相応のプレゼンスを擁する領域。安定的・継続的な成長に向け、

良質な資産を積極的に積み上げ(例:国内リース、不動産等)

 グロース分野:顕在化した成長領域。本中期経営計画期間における成長ドライバーであり、コア分野に次ぐ

収益の柱として積極的に経営資源を投下(例:グローバル、航空機、環境エネルギー等)

 フロンティア分野:長期的にマーケットが形成され、大きく花開くことを展望する領域。先行的に経営資源を投下、ビジネス基盤を整備(例:サーキュラーエコノミー、XaaS等)

② サステナビリティ経営の推進

 ・ファイナンスを超える新たな発想と飽くなき挑戦により循環型社会を共創し、持続可能な社会の実現に貢献

 1.脱炭素社会実現への貢献

 - 再生可能エネルギー電源を確保(発電設備容量:2025年度までに1ギガワット)

 発電・送電・蓄電・利用についてトータルマネジメントを実施し、需要家へ供給

 - SCOPE1,2 CO2排出量削減:2030年度にカーボンニュートラルを実現

 2.サーキュラーエコノミーへの取り組み

 - 製品ライフサイクルの一連のプロセスにおけるトレーサビリティーを提供。透明性の高い、資源利用

  の最適化を促進するプラットフォームを構築

③ 成長を支える経営基盤の強化・高度化

 ・中期経営計画2025で掲げるビジネス戦略を遂行するため、経営基盤の強化・高度化に向けて積極的に経営資

  源を投下

 1.デジタルトランスフォーメーションの加速

 - ビジネス領域の拡大、新たなビジネスモデル実装に向け、デジタル技術を活用

 - 次期システム導入等を通じた更なる業務効率化と顧客利便性の向上、ビジネス開発の加速(ITシステム

  投資額:2025年度までに累計100億円超)

 2.人財戦略の高度化、企業カルチャーの変革

 - ビジネス戦略に即した人財ポートフォリオの構築(専門ビジネス人財:2022年度比+80名超、人財育成

  のための投資額:同3倍以上)

 - 社員一人一人が、より一層、働きがいや充実感を覚える組織へ

 3.ガバナンスの強化

 - ビジネスの多様化、専門性の高まりを踏まえ、本部・グループ制を導入するなど、各事業の戦略策定・意思決定を迅速且つ機動的に実施

 4.リスクマネジメント態勢の高度化

 - 多様化するリスクカテゴリに応じたリスクコントロールの高度化、モニタリングの強化

 - リスク・リターン運営の更なる高度化

当社グループは、お客さまの抱える課題を金融の枠を超えた価値共創のパートナーとして解決し、事業活動に貢献する、マルチソリューション・プラットフォーマーを目指してまいります。中期経営計画の3年間は、目指す姿の実現に向け、飛躍的な成長を遂げるために、ビジネス基盤・経営基盤双方に対し、積極的な経営資源投下を行う、変革に挑戦するための期間として位置づけ、ビジネスを推進してまいります。

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

中期経営計画2025では、当社グループの更なる成長とステークホルダーに提供する価値の向上を実現するため、計画最終年度(2025年度)の経営目標数値(連結)を以下のとおり設定しております。

 

0102010_002.jpg

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

0102010_003.jpg

 

当社グループは、「ニーズをつなぎ、未来を創る」という経営理念に基づき、事業活動を通じてステークホルダーの皆さまと共有できる価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

環境・社会課題への取り組みの重要性はますます高まっており、当社グループは更なる持続可能な社会の実現と成長を目指していくため、社会と当社グループのそれぞれの機会とリスクの観点から、優先的に取り組むべき6つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、これらのマテリアリティに対する取り組みを事業戦略と一体化させて推進しております。

気候変動や健康・福祉、都市・インフラ・モビリティ等の社会環境課題に対し、新たなテクノロジーの活用やサプライチェーン支援、モノ・サービスの利用価値の提供等も用いて循環型社会へ移行を推進しながら解決に貢献していきます。これらすべてを支える基盤として、人材・教育・ガバナンスの強化・拡充や人権ポリシーの浸透・徹底にも努めてまいります。なお、本項に含まれている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

0102010_004.jpg

 

 

 

マテリアリティ

主要な取り組み

脱炭素社会実現への貢献

・発電・送電・蓄電・利用のマネジメントシステムの構築

・再生可能エネルギー事業へ参画しビジネスフィールドを拡大

・省エネ、エネルギー効率化ソリューションの拡充

健康で豊かな生活への貢献

・医療メーカーとのアライアンスを通じた、メンテナンスやデータ分析など

と一体化したサービスの提供

・施設、設備、機器を内包したトータルソリューションの提供

生活を支える社会基盤づくりへの貢献

・インフラ整備、モビリティ普及のためのソリューション提供

・防災や災害に備えた設備導入の仕組みづくり

・スマートシティ、地方創生事業への参画

循環型経済の牽引

・サプライチェーンの中のあらゆる段階での支援

・メーカーとの連携によるライフサイクルコスト低減

・モノの利用価値の最大化(サブスクリプション、シェアリングなど)

テクノロジーによる新しい

価値の創出

・ビックデータやAIを利用したプラットフォームの提供

・スタートアップ企業への出資を通じた新ビジネスの創出

・テクノロジーを活用した業務効率化

あらゆる人が活躍できる

社会・職場づくり

・キャリア採用による多様な人財の確保、女性の活躍支援

・労働時間と勤務場所の自由度の向上

・ガバナンス、内部統制の強化

・人権ポリシーの浸透・徹底

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関わる全社横断的な審議を行うサステナビリティ委員会を設置しております。当委員会は、サステナビリティ統括責任者および人事・総務グループ長を共同委員長とし、財務・主計グループ長、企画グループ長、リスク管理グループ長、ⅠTシステム・事務グループ長、法務コンプライアンスグループ長、および、ESGに関わる各部門の担当役員で構成し、議題に応じてほかの関係者も出席して、幅広い議論を原則四半期ごとに行っております。

具体的には、ESGを含むサステナビリティに関わる情報共有、サステナビリティ経営の基本方針・目標の立案、計画の実行状況のモニタリングと対策協議等を行い、気候変動への対応やサステナビリティへの取り組み、環境変化に対応した経営等についての議論を行っております。

 

0102010_005.jpg

 

 

(2)リスク管理

当社グループは、業務に伴って発生するリスクを、定量的管理を行うフィナンシャルリスクと、定性的管理を行うオペレーショナルリスクに分け、各々のリスク管理体制を定めるとともに、フィナンシャルリスク、オペレーショナルリスクを一元的に管理する総合的なリスク管理体制を構築しております。フィナンシャルリスクについては、信用リスク・市場リスク・アセットリスク・エクイティリスクに区分したうえで、カテゴリごとにリスクキャピタルを配賦する管理の枠組みをもとに、リスクの所在と大きさをモニタリングしております。また、オペレーショナルリスクについては、事務リスク・システムリスク・法務リスク等のリスク事象の発生、対応、予防の状況等をモニタリングしております。

当社グループは、サステナビリティに関するリスクをオペレーショナルリスクと捉え、リスク管理委員会および総合的なリスク管理体制のもとで、既往のリスク管理プロセスへの反映を開始しておりますが、今後も関係機関の分析手法や研究成果を踏まえ、高度化を検討してまいります。

 

(3)戦略/指標および目標

当社グループは、事業に与える影響の大きさという観点から、「気候変動対応」、「人的資本」および「人権」を特に重要と捉えており、以下にその取り組み内容を記載いたします。

 

①気候変動対応

a.シナリオ分析

当社グループは、気候変動に伴うさまざまなリスク・機会を、戦略上の重要な観点のひとつとして捉え、「脱炭素社会実現への貢献」 をマテリアリティとして特定し、短期だけでなく中長期の時間軸でも気候変動の影響を評価・分析しております。影響を受ける時期については、1~5年程度を短期、10年程度を中期、30年程度の時間軸を長期と想定しております。当社グループにとっての気候変動に伴う移行リスク・機会と物理的リスク・機会の影響は、主に下表に示すとおりです。

 

0102010_006.png

 

また当社グループにおいては、これらのリスク・機会との関連が強い電力セクターと不動産セクターを対象に、定性的なシナリオ分析を行い、より具体的な影響の評価や対応策を策定しております。

 

 

<電力セクター>

 

1.5~2℃シナリオ

4℃シナリオ

リスク

2030年以降、炭素税導入・炭素排出規制強化・エネルギーミックスの変化等を通した化石燃料の削減が想定されるため、電力会社の収益性への影響が想定されるが、当社の場合、与信コストへの影響は限定的

なお、当社は火力石炭発電等に関する事業運営は行っていない

将来的に洪水被害が頻発するため、発電設備等への損害が想定される。また、原油価格の上昇により発電コストが上昇し、電力会社の収益性に影響が想定されることから、当社与信コストへの間接的影響が想定される。ただし、当社事業への直接的影響は限定的

機会

再生エネルギー事業の成長が見込まれることから、事業参入や投資機会の拡大が期待される

対応

[機会を活用するための施策]

・太陽光のみならず、バイオマス、水力、風力等、様々な再エネビジネスに対し、事業リスクを取って開発

・蓄電池や水素等の新しい電源にもリーチを拡大

・事業運営管理ノウハウの蓄積や新技術の導入により、保有事業の収益の極大化を図る

・補助金等を活用した設備投資

・座礁設備や中古パネル等のリサイクルビジネスの収益化

[リスク低減策]

・当社を取り巻く環境変化に応じたセクターポリシーも踏まえて、個別案件に対する多面的で慎重なリスク判断の実施

 

1.5~2℃以下シナリオでは、電力会社の収益性への影響が想定されますが、当社に影響するリスクは限定的な一方、機会の面では再生エネルギー事業の成長が見込まれます。4℃シナリオでは、将来的な洪水被害の頻発による発電設備等への損害が想定され、また、電力会社の収益性低下から、当社への負の影響も想定されます。

 

<不動産セクター>

 

1.5~2℃シナリオ

4℃シナリオ

リスク

省エネ水準規制の厳正化による設備投資の増加や、ZEB(*1)/ZEH(*2)の義務化によるコスト上昇が想定され、テナントに転嫁できない場合等は長期的にはお客さまの事業への影響による当社与信コストへの影響が想定されるが、リスクは限定的

将来的に洪水被害が頻発するため、当社関連物件が被災した場合には不動産の資産価値の毀損や修繕コスト等が発生することが想定され、お客さまの事業への影響による当社与信コストへの影響が想定される

機会

物件によっては競争力の向上、また、低炭素への意識の高まりによる高環境性能に対する賃料の増加が想定されるため、ビジネスの拡大が見込まれる

立地条件・防災性能向上等により災害に強い物件の場合は、競争力が向上することが想定され、当社の事業への影響も想定される

対応

[機会を活用するための施策]

・環境を配慮した不動産への投融資を強化する

・アライアンスを活用し、物件開発フェーズまでビジネス領域を広げていくことで環境対応による機会を捉えていく

[リスク低減策]

・より詳細なハザードマップ等の活用によるファイナンス・投資リスク判断

・長期保有案件に関してはより慎重な信用力評価を行う

 

1.5~2℃以下シナリオでは、物件によっては競争力の向上等が想定され、環境性能の優位性を確保することによりお客さまの脱炭素社会への移行をサポートする等、当社グループのビジネスの拡大が期待されます。4℃シナリオでは、将来的に当社グループが関与する物件が洪水等による被害を受けた場合には不動産の資産価値の毀損等が想定され、当社グループへの負の影響も想定されます。

*1 ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

*2 ZEH:Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

 

 

これらの結果も踏まえ当社グループは、より具体的に気候変動の影響を考慮し、経営計画等に反映し、再生可能エネルギーの普及と、新たな社会インフラの再構築による環境負荷の低減を目指した事業の拡大に取り組んでおります。

脱炭素に向けたファイナンスを推進し、エンゲージメントを通じて、お客さまが気候変動を含む
SDGs/ESGへの取り組みを進めることを支援しつつ、自らも事業領域を広げていくことで、お客さまのニーズに沿ったソリューションを提供し、環境対応による機会を捉えてまいります。

 

脱炭素および関連する気候変動やエネルギー問題は、世界的な最重要課題であり、当社グループにおいても、排出しているCO2削減に関して目標を立てて取り組むことのみならず、再生可能エネルギーによる発電の推進や、資源・エネルギー・製品を可能な限りリサイクルし廃棄物の発生を最小限化する循環型経済の実現を目指すことで、社会的なCO2排出抑制に貢献していくため、下記の指標および目標を設定しております。

※気候変動対応に関する詳細は、当社ホームページに掲載している「統合報告書2023」をご参照ください。

 

b.指標および目標

再生可能エネルギー発電設備容量確保

1GW(2025年度)

 

SCOPE1,2 CO2排出量削減*

排出量ゼロ(2030年度)

 

ケミカル・マテリアル資源循環率

85%以上(2027年度)

 

*単体+国内連結子会社7社

 

2023年度は主要ビル使用電力の再生エネルギー化や拠点の統廃合等により、排出量を削減しました。

今後も引き続き排出量削減の取り組みを重ねてまいります。

 

0102010_007.png

 

 

②人的資本

当社グループでは、社員一人一人を大切な財産(人財)と捉え、経営理念である「Mission」「Vision」「Value」を実現するため、心理的安全性を高め、当社グループで長く活躍する社員の育成と社員が活躍できる職場環境を創出することが重要な経営戦略の一つと考えています。

 

a.人財育成方針

現在、デジタル社会への移行が進んでいる中、事業環境は急速に変化し、不確実性も増しています。このような環境下において、当社はグループ連携を軸とした積極的なビジネス領域の拡大を志向しています。

当社として更なる変革に挑戦するため、更なるビジネス領域の拡大や、取引先の潜在ニーズやその多様化を的確に捉えたソリューション提供、そして取引先の社会課題の解決に向けたビジネス戦略の推進を目指します。

戦略実現に向けて、当社の風土を「自発的・自律的にチャレンジするカルチャー」へと変革を図ると共に、下記の人財戦略の取り組みを有機的に結合させながら、今後の事業を支える人財ポートフォリオの実現を目指します。

・多様な価値観、スキルを持つ国内外の人財の採用強化と定着

・社会的課題の解決を志し専門性を備えた人財や次世代経営者候補の育成

・適切な評価・処遇の運用による人財登用

・戦略に基づく適材適所の実現

 

戦略を実現するために、当社が求める人財像は以下の通りです。

<求める社員像>

・共に挑戦し、共に変革し、共に成長していく人

<求める能力・資質>

・チャレンジ精神旺盛で、自発的かつ主体的に物事に取り組むことができる能力と資質

・さまざまなニーズや課題に向き合い、専門性を背景に適切なソリューションを提供し、実現することができる能力と資質

・多様性を尊重し、協調性と柔軟性を持って相手に接することのできる能力と資質

b.社内環境整備方針

当社は日本に基盤を持つ企業として、少子高齢化による労働力の減少などの直面する課題に対応していく必要があります。また、当社はアジア地域を中心に海外展開を進めており、国籍や性別、年齢などにとらわれず、多様な人材と価値観を積極的に取り入れ、活かしていくことが重要と考えています。

さらに、より成長し、組織風土を変革していくためには、社員一人一人が自律的に学び続けることが必要です。

キャリア機会の提供や、仕事への誇りが持てる、活躍できる職場環境を創り続けることを通して、社員一人一人が「やりがい」「働きがい」「充実感」のある組織を目指します。

 

<目標>

・社員がゆとりや豊かさを実感できるような、快適で安全な働きやすい環境を確保します

・職場で共に働く人々が互いに尊重しあい、差別・ハラスメントのない職場を作ります

 

具体的には、『採用』『育成』『サクセッションプラン』『ダイバーシティ』『健康経営』『エンゲージメント』『労働時間や勤務場所』などの観点から、取り組みを進めていくことが重要と考えています。

また、サステナビリティに関する考え方や取り組みにおいて、そのマテリアリティの一つとして「あらゆる人が活躍できる社会・職場づくり」を特定し、「人」を大切にすることを最優先に考えた経営にも取り組んでいます。

 

これらの実現に向けて、社員の育成・能力開発・多様性の尊重等、以下のような取り組みを進めています。

 

・採用

新卒採用

各々の個性を重視する選考を基本方針として、「知的好奇心をかき立て、率先して行動できる人財」を採用しています。

 

 

キャリア採用

近年、アライアンスパートナーとのビジネス領域の拡大や、他社との競合の激化など、当社グループを取り巻く環境は常に変化しており、ビジネスの量的拡大や多様性を支えるために専門性の高い人財の獲得を強化しています。

キャリア採用の社員の経験や知見は、周囲の社員に刺激を与え、当社グループ全体の更なる前進に大きく貢献しています。

 

・育成(教育研修)

新人~管理職の各階層が必要とする知識やスキルを客観的に把握するために、キャリアプランを「見える化」しています。社員一人一人が確実に段階を踏んで成長できるよう、ステップに応じた様々な研修プログラムを用意し、人財の育成に努めています。

現在、ビジネス領域の拡大や新たなビジネスの実装に向けてデジタル技術を活用し、DXに対応する人財を育成するために、ITシステム部門と連携してDX人財育成を推進しています。2023年度からはDX関連の専門的なコンテンツが豊富な外部e-Learningを導入し、さらに資格取得の奨励策を拡充するなど、社員が積極的にITリテラシーを向上させることに取り組んでいます。

 

・サクセッションプラン

「コーポレートガバナンス・コードの重視」「計画性を持った経営層の育成」「透明性のある役員選出」という観点から、後継者育成計画(サクセッションプラン)を進めています。次世代経営者候補を明確化するとともに、計画的に時間をかけて丁寧に育成するためのプログラムを作成し、対象者をマネージャー層にまで拡大して、より中長期的な育成を図っています。

 

・ダイバーシティ(多様性の尊重)

女性の活躍推進

現在当社では毎年の新卒総合職採用者の約半数を女性で占める状況でありまた、女性管理職の比率に関しては、2025年度までに15%を目標として掲げ、2024年3月末時点では11.6%に達しています。

女性社員の活躍と女性管理職の増加を積極的に推進していくことを目的に、事業年度毎にテーマを決めた取り組みを継続的に実施しています。ワークショップや他社で活躍する女性管理職との座談会の開催、女性社員の自律的なキャリアメークを企図したキャリアポータルサイトの開設などを行っています。

また、ライフイベントの両立に関しても、育児休業取得に関する相談窓口を設け、出産・育児に関する制度案内の配布や対象となる男性社員に育児休業取得に関する個別説明を行うなど、女性社員・男性社員を問わず、仕事と育児の両面に向けたサポートを行っています。

これらの取り組みにより、次世代を担う子供の育成支援に積極的に取り組む企業として、2020年12月に「プラチナくるみん」の認定を受けています。

0102010_008.png

 

シニア社員活躍推進

経験を積んだ社員が豊富な知識や知見を最大限発揮できるよう、2019年度から65歳定年制を取り入れています。

さらに、シニア社員向けにライフデザイン研修を実施し、自己のキャリアを見直すことで自己啓発を促すとともに、将来を見据えた包括的なライフプラン設計のサポートも行っています。

 

障がい者雇用

障がい者雇用にも積極的に取り組んでおり、障がい者の能力やポテンシャルを重視し、適切なサポートを提供することで、多様な人財の活躍を実現しています。また、一般社団法人日本パラ陸上競技連盟とオフィシャルパートナーとして障がい者スポーツの支援を行っており、障がい者への偏見・差別意識の排除、多様性の理解にも努めています。

 

 

・健康経営への取組み

2023年より「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2年連続で認定されました。健康経営宣言を制定し、「健康管理」「生活習慣」をテーマとしたセミナーの開催や、健康増進アプリの導入、社員が実際に参加して健康を意識するイベントなどによる、効果的で持続的な健康の自己管理を呼びかけています。

快適で安全な働きやすい環境の確保のためには心の健康が重要であるとの認識のもと、年に1度、ストレスチェックも行っています。

0102010_009.png

 

・エンゲージメントの強化

社員の意識や心理状態をタイムリーに把握し、より働きがいのある職場を実現していくために、3か月毎にエンゲージメントサーベイを実施しています。社員一人一人がエンゲージメントの概念を深く理解し、会社主導ではなく自らが主体的に活動する風土を醸成することを目指して、各種施策を行っています。

 

・労働時間と勤務場所の自由度の向上

テレワークの推進やサテライトオフィスでの勤務、有給休暇制度の充実などにより、ワークライフバランスの取れた柔軟な働き方を促進しています。また、オフィス環境のABW化(Activity Based Working)を進め、社員がその時々の仕事の内容に応じて最も効率的な場所で仕事ができるワークスタイルを確立する取り組みを進めています。

 

c.指標および目標

専門人財の拡充

+80超(2025年度

人財育成のための資本投下

3以上(2025年度/2022年度比

デジタルIT人財の育成

200以上(2025年度

有給休暇取得率

80以上(2025年度

女性管理職比率

152025年度

男性の育児休業取得率(当社定義)

100毎年

 

<実績>

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

新卒採用人数

30人

37人

24人

22

キャリア採用人数

24人

22人

18人

22

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

女性社員数

269人

295人

316人

321

女性社員比率

36.4%

37.6%

38.8%

39.6%

新卒女性採用比率

53.3%

59.5%

58.3%

45.5%

女性管理職比率

 5.7%

 7.3%

 7.9%

11.6%

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

時間外労働および休日労働時間(月平均)*

21時間38分

21時間20分

18時間25分

18時間05分

有給休暇取得率

60.7%

68.2%

65.0%

70.8%

* 法定外残業時間

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

男性育児休業取得率**

42.9%

100%

50.0%

100%

女性育児休業取得率

100%

100%

100%

100%

** 当社定義:該当年度に子が1歳の誕生日を迎える男性社員の内、該当年度の前年度から1歳の誕生日前日までの間に育児休業を開始した男性社員の割合

 

 

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

教育研修費対前年度比

-

-

+47.2%

32.5%

1人当たり研修費

-

37,210円

52,760円

70,180

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

エンゲージメントスコア(全社)***

-

70

70

69

*** 年度平均

 

人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標については当社においては具体的な取り組みと関連する指標のデータ管理を行っているものの、現時点では連結グループに属する全ての会社では行われていないため、単体での記載としております。

 

③人権

当社グループは、社会課題を率先して解決し、持続可能な社会の実現へ貢献していくことを目指しており、自らの経営理念を実現していく上で、人権の尊重が不可欠の前提であると認識しています。「みずほリースグループの企業行動規範」を制定し、役員および社員の具体的な行動指針を示すとともに、人権に対する当社グループの責任と決意を対外的に示すべく「人権ポリシー」を策定しております。

2023年度は、自社グループを対象とした人権デュー・デリジェンスを実施しました。

社員一人一人の人格や個性を尊重し、一切のハラスメント行為を断じて許さず、働きがいのある職場環境の維持に努めるべく、ホットラインや各種相談窓口にて問題行為への継続した対応を実施し、今後さらに防止・軽減・モニタリング等に向けて取り組んでまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況など、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している事業等に関する主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループは、これら個々のリスクに対する施策を講じるとともに、リスクが顕在化した際には適切な対応が迅速に行えるように、リスク管理体制の整備・強化を図っております。

また、本項に含まれている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営環境に関するリスク

当社グループは、お客さまの事業活動に対して、リース取引を基盤とした事業展開を行っております。

地域間の紛争等を背景にしたエネルギー価格・資源価格の高騰、世界的な供給網の混乱による製造業の生産活動の停滞、国際金融市場における金利や為替の急激な変動により、お客さまの事業活動に支障をきたし、設備投資が大幅に減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 信用リスク

当社グループの主たる事業活動であるリース取引等は、比較的長期間(平均5年程度)に亘り、お客さまに賃貸という形で信用を供与する取引で、お客さまからリース料等を全額回収して当初の期待収益が確保されますが、経済状況の低迷により、お客さまの業況が悪化し、当初想定したリース料等の回収ができなくなるリスクがあります。

このような事態に対応するため、当社グループは、取引開始時に厳格な与信チェック、リース物件の将来中古価値の見極め等により契約取組の可否の判断を行うとともに、取引開始後は、お客さまの信用状況につき定例的にモニタリングを行い、必要に応じ債権保全等の措置を講じております。

また、お客さまの信用状況が悪化しリース料等の不払いが生じた場合には、リース物件の売却または他のお客さまへの転用等により可能な限り回収の促進を図っております。

しかしながら、経済環境の急激な変化、お客さまの信用状況の悪化等により、想定以上の信用コストが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 流動性リスク(資金調達)

当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等によって資金調達を行っております。金融市場の急激な変動や当社グループの財務状況の悪化によって調達が困難となった場合、資金調達の制約が当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

このような流動性リスクに対応するため、資金調達手段の多様化、市場環境を考慮した調達構造や手元流動性

の調整を行っております。

 

(4) 金利変動リスク

当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等によって資金調達を行っております。

当社グループの収入であるリースや有価証券投資の金利条件(水準・期間・固定または変動の別など)と、当社グループの支払である資金調達の金利条件が異なることにより、金利の変動が金利収支に影響を与える可能性があります。

このような金利変動に対応するため、資産の金利条件に合わせた資金調達を実行するほか、デリバティブ取引を利用したヘッジを行っております。

具体的には、ALM(資産負債の統合管理)の手法によるマッチング比率(固定・変動金利の資産に対して固定・変動金利の負債・デリバティブを割り当てることにより、資産のうち金利リスクを負っていない部分の割合)をコントロールすることにより金利変動リスクの管理を行っております。

 

(5) アセットリスク

当社グループは、不動産賃貸や不動産への投融資事業、航空機リース事業等を展開しております。取組みにあたっては、取引先の信用力や将来収支、資産価値を慎重に見極めておりますが、取引先の業績が悪化した場合や物件の資産価値が著しく減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このような資産価値の下落に対する対応として、取引先の信用状況や資産価値の動向、将来収支の見込みに関して社内における管理体制を整備し、機動的な対応を実施し、当社グループへの影響を最小限にとどめる為の運営を行っております。

 

(6) 事業活動に関して生じるリスク

事業活動に関して生じるリスクとして、事務の不適切な対応、システムの障害・誤作動によるシステムリスク、情報の紛失、漏洩、持ち出し等による情報セキュリティに関するリスク、法令や社会規範が順守されなかった場合に社会的信用の喪失に繋がるコンプライアンスリスク、事業活動に伴い当社グループに対して訴訟が提起されるリスク等があります。これらのリスクが顕在化した場合、収益機会の逸失や損害賠償への対応が生じ、結果として当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このような事態に対応するため、当社は、各種事案への対応を全社横断的かつ機動的に実施するよう、リスク管理体制を整備し、当社グループへの影響を最小限にとどめるよう、リスクのコントロールを行っております。

 

(7) 災害等によるリスク

地震、風水害、感染症の拡大等の予測不能な事象が発生することにより、想定外の経済的損失を被った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このような事態への対応として、事業継続計画を策定し、事業活動の継続体制を整備し、当社グループへの影響を最小限にとどめる為の対策を講じております。

 

(8) サイバーセキュリティリスク

当社グループは、様々な情報システムを利用し、事業活動に関する管理を行うほか、電子メール等の外部への接続手段を利用しており、これらの情報システムについては、コンピュータウイルスの侵入、外部からの不正アクセス等、サイバー攻撃を受けるリスクがあります。その結果、システムの停止や障害、情報の漏洩、不正使用等が発生した場合、損害賠償への対応、信用の失墜、営業活動の停滞による経済的損失により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このような事態への対応として、セキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しております。SOC(Security Operation Center)による24時間365日の監視体制を整え、ウイルス解析、多層的防御等、レジリエンス態勢強化に取り組む等、対策強化を図っています。クラウド活用や働き方の多様化で増大する脅威に適合するために、内部における攻撃者の自由な行動を阻害しようとするセキュリティ対策としてゼロトラストアーキテクチャーの導入を推進する等、最新のセキュリティ脅威への対応に向けての対応も進めております。

また社員に対しては、フィッシングメール訓練、全社横断的な初動対応訓練の実施の他、eラーニングを通じたセキュリティ意識の向上に努めております。

 

 

(9) 気候変動に関するリスク

当社グループでは、気候変動に関するシナリオ分析の実施と情報開示を開始するなど、気候変動への対応を進めております。台風・豪雨等の異常気象や、法規制の強化等により,それらの対応のための技術革新やビジネスモデルの転換に対応できない場合、お客さまの事業活動や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(リスク管理体制)

上記に係る各リスクの発生の可能性、程度、時期、ならびに当社グループの経営成績および財務状況等に与える影響を正確に見積ることは困難ではありますが、経済環境の変化に伴う与信状況の悪化や、金利の変動が当社グループに与える影響については、一定の統計的手法により想定される最大損失額を算出しております。

当社グループは、事業活動にかかわるリスクを的確に把握・分析・制御し、経営への影響を低減していくため、リスク管理グループ長が全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進するとともに、各リスク所管部門を通じてリスク事象に対し迅速かつ機動的に対応する体制を整備しております。

各リスクの所管部門は、事業に関連するリスクの把握、制御を適時に実施するとともに、実効性を検証し、「リスク管理委員会」において、リスク低減に関する諸施策の遂行状況や施策の浸透状況、有効性に関する検証を行い、その結果を取締役会に報告しております。

(「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」にリスク管理体制を含めた取締役会決議の概要およびその運用状況について記載しております。)

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①  財政状態および経営成績の状況

2023年度の経済情勢を顧みますと、欧米では高インフレと金融引き締めの影響が徐々に顕在化しております。米国では景気は堅調に推移している一方、欧州では消費や企業活動に弱さがみられ、中国では不動産市場の調整長期化等により停滞感がみられます。日本経済においては、物価高により個人消費が伸び悩んでいるものの、設備投資の持ち直し等により、緩やかな回復が続いております。

リース業界におきましては、設備投資の持ち直しを背景に、リース取扱高は前年度を上回る実績となりました。

当社グループは、持続的に成長し、目指す姿の実現に向け更なる飛躍を遂げるため、2023年度より2025年度までの3年間を計画期間とする「中期経営計画2025」を策定、開始いたしました。リース会社という枠に捉われることなく、お客さまの抱える事業課題や社会的課題を解決するための価値共創のパートナーとして、多様なソリューションを提供するとともに、みずほグループや丸紅グループ等のアライアンスパートナーとの連携・協業による事業基盤の拡充と新たな事業領域への挑戦を行ってまいります。

また、当社グループの更なる成長とステークホルダーの皆さまに提供する価値の向上を目指し、最終年度の連結数値目標として「当期利益 420億円」、「ROA1.6%以上」および「ROE12%以上」を掲げております。

このような中、2023年度は、各事業分野で様々な取り組みを進めました。

 

損益状況につきましては、売上高は、大口の不動産案件の満了に伴う物件の売却により、前期(2023年3月期)比126,427百万円(23.9%)増加して656,127百万円となり、売上原価については同114,172百万円(24.4%)増加して582,506百万円となりました。売上総利益は、同12,254百万円(20.0%)増加して73,621百万円となりました。販売費及び一般管理費は、人件費、物件費、信用コスト等が増加したことから、同4,499百万円(15.2%)増加して34,109百万円となりました。営業利益は、同7,755百万円(24.4%)増加して39,511百万円となりました。経常利益は、船舶案件の売却に伴う配当金、海外不動産売却の配当金、持分法による投資利益の増加等もあり、同10,787百万円(26.9%)増加して50,897百万円となりました。特別損益は、投資有価証券売却益により特別利益が211百万円となった一方、特別損失にて投資有価証券評価損により28百万円となったことから、総額で182百万円の利益となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、同6,821百万円(24.0%)増加して35,220百万円となりました。

財政状態につきましては、以下のとおりであります。

契約実行高は、リース・割賦セグメントでは、注力する不動産分野等における案件の積み上げもあり、前期(2023年3月期)に比べ、38.1%増加して675,682百万円となりました。一方、ファイナンスセグメントでは、同19.2%減少して792,759百万円となりました。この結果、契約実行高全体では、同0.1%減少の1,468,441百万円となりました。営業資産残高は、〈みずほ〉との連携を中心に主に不動産や環境分野において、お客さまへの経営課題解決に資する提案での成果があがったことで残高を積み上げ、前期末比278,761百万円増加して2,858,898百万円となり、資産合計額は同408,701百万円増加して3,363,336百万円となりました。

また、負債合計額は前期末比354,735百万円増加して3,033,535百万円となり、このうち有利子負債は営業資産の増加に伴い、同304,872百万円増加して2,842,428百万円となりました。

純資産は期間利益の蓄積により引き続き増加し、329,800百万円となりました。

 

② セグメントごとの経営成績

セグメントの業績は次のとおりであります。(売上高は外部顧客への売上高を記載しております。)

〔リース・割賦〕

リース・割賦の売上高は、前期(2023年3月期)比22.9%増加して620,783百万円となり、営業利益は同18.5%増加して25,375百万円となりました。

当期(2024年3月期)末の営業資産残高は、注力分野における資産積み上げにより、前期末比99,108百万円増加し1,694,916百万円となりました。

〔ファイナンス〕

ファイナンスの売上高は、資産積み上げにより前期比43.3%増加して33,769百万円となり、営業利益は同23.6%増加して20,077百万円となりました。

当期末の営業資産残高は、注力分野における資産積み上げにより、前期末比113,148百万円増加し1,097,477百万円となりました。

〔その他〕

その他の売上高は、前期比38.7%増加して1,574百万円となりましたが、営業利益は同32.0%減少して264百万円となりました。

当期末の営業資産残高は、発電事業の取得により、前期末比66,504百万円増加し66,504百万円となりました。

 

③  キャッシュ・フローの状況

当期(2024年3月期)のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業資産残高の増加やRent Alpha Pvt.Ltd.の株式取得等の事業活動に伴う支出に対し、資金の流動性を確保しつつ、金融機関からの借入や市場での資金調達を行いました。その結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期(2023年3月期)末比22,740百万円増加し、56,194百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、営業資産が増加したことにより、192,205百万円の支出となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、Rent Alpha Pvt.Ltd.の株式取得等により、51,969百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による8,085百万円の支出に対し、間接調達で246,733百万円の収入、コマーシャル・ペーパーおよび社債等による直接調達で27,422百万円の収入となり、財務活動全体では266,524百万円の収入となりました。

 

(2)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金およびその他の営業貸付債権)の状況

「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社における貸付金の状況は次のとおりであります。

① 貸付金の種別残高内訳

2024年3月31日現在

 

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

有担保(住宅向を除く)

住宅向

事業者向

 

 

 

 

 

1,401

100.00

683,612

100.00

3.15

合計

1,401

100.00

683,612

100.00

3.15

 

② 資金調達内訳

2024年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

1,454,668

0.98

その他

1,021,264

0.25

 

社債・CP

923,118

0.24

合計

2,475,933

0.68

自己資本

158,505

 

資本金・出資額

26,088

 

③ 業種別貸付金残高内訳

2024年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

76

14.45

44,436

6.50

建設業

5

0.95

370

0.05

電気・ガス・熱供給・水道業

16

3.04

34,305

5.02

運輸・通信業

60

11.41

154,458

22.59

卸売・小売業、飲食店

71

13.50

9,247

1.35

金融・保険業

13

2.47

89,881

13.15

不動産業

98

18.63

286,554

41.92

サービス業

170

32.32

33,885

4.96

個人

その他

17

3.23

30,473

4.46

合計

526

100.00

683,612

100.00

 

④ 担保別貸付金残高内訳

2024年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

うち株式

債権

 

うち預金

商品

不動産

1,978

0.29

財団

その他

206,169

30.16

208,148

30.45

保証

27,030

3.95

無担保

448,433

65.60

合計

683,612

100.00

 

⑤ 期間別貸付金残高内訳

2024年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

216

15.42

19,923

2.91

1年超 5年以下

713

50.88

444,447

65.02

5年超 10年以下

346

24.70

170,653

24.96

10年超 15年以下

48

3.43

30,876

4.52

15年超 20年以下

65

4.64

13,876

2.03

20年超 25年以下

12

0.86

2,691

0.39

25年超

1

0.07

1,143

0.17

合計

1,401

100.00

683,612

100.00

1件当たり平均期間

5.61年

(注)期間は、約定期間によっております。

 

 

(3) 営業取引の状況

①  契約実行高

当連結会計年度における契約実行高の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

契約実行高(百万円)

前年度比増減率(%)

リース・割賦

情報・事務用機器

91,095

△22.7

産業・土木・建設機械

97,848

21.4

その他

75,619

9.0

ファイナンス・リース計

264,562

△1.2

オペレーティング・リース

357,116

91.3

リース計

621,678

36.8

割賦

54,003

55.7

 

 

675,682

38.1

ファイナンス

792,759

△19.2

その他

-

-

合計

1,468,441

△0.1

(注)リースについては、当連結会計年度に取得した賃貸用資産の取得金額、割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

②  営業資産残高

連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

期末残高

(百万円)

構成比(%)

期末残高

(百万円)

構成比(%)

リース・割賦

情報・事務用機器

309,829

12.0

283,173

9.9

産業・土木・建設機械

373,016

14.5

355,911

12.4

その他

439,365

17.0

411,625

14.4

ファイナンス・リース計

1,122,211

43.5

1,050,711

36.7

オペレーティング・リース

378,300

14.6

539,846

18.9

リース計

1,500,511

58.1

1,590,557

55.6

割賦

95,296

3.7

104,359

3.7

 

 

1,595,808

61.8

1,694,916

59.3

ファイナンス

984,328

38.2

1,097,477

38.4

その他

66,504

2.3

合計

2,580,137

100.0

2,858,898

100.0

(注)割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

 

③  営業実績

連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(a)前連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース・割賦

ファイナンス・リース

332,370

オペレーティング・リース

166,479

リース計

498,849

454,281

44,568

6,590

37,977

割賦

6,151

2,464

3,686

439

3,246

 

 

505,000

456,746

48,254

7,030

41,224

ファイナンス

23,563

240

23,323

3,902

19,420

その他

1,135

413

721

721

合計

529,700

457,400

72,299

10,932

61,366

 

(b)当連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース・割賦

ファイナンス・リース

361,029

オペレーティング・リース

252,110

リース計

613,139

560,666

52,472

9,987

42,485

割賦

7,643

3,085

4,558

641

3,916

 

 

620,783

563,752

57,031

10,628

46,402

ファイナンス

33,769

318

33,451

6,873

26,577

その他

1,574

860

714

73

641

合計

656,127

564,930

91,197

17,575

73,621

(注)セグメント間取引については相殺消去しております。

 

(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①  経営成績および財政状態

当社グループは、2023年度より2025年度までの3年間を計画期間とする「中期経営計画2025」において、お客さまを取り巻く社会的課題・事業課題に対し、金融の枠を超えた価値共創のパートナーとして、各事業分野で様々なソリューションの提供に注力しております。

 

2023年度の各事業分野における具体的な取り組みにつきましては、次のとおりであります。

〔国内リース事業〕

お客さまの事業戦略パートナーとして、価値共創・課題解決型の提案に注力いたしました。冷凍自動販売機を対象としたベンダーファイナンスに関する業務提携や、家具やドローンを対象としたサブスクリプションサービスなど、「モノを貸す」だけではなく、サービスの内容やレベルを向上させる「サービスビジネス」にも積極的に取り組み、〈みずほ〉との連携も活かして顧客基盤をさらに拡大いたしました。

 

〔不動産・環境エネルギー事業〕

不動産事業では、子会社であるエムエル・エステート㈱を通じてリート等のお客さまのニーズに合った期間で不動産を一時的に保有するビジネスに引き続き取り組んだほか、持分法適用会社である日鉄興和不動産㈱との連携を一段と深化させ、CRE提案力の強化、商品ラインナップの拡充を図るなど、新しいビジネスへの挑戦にも取り組みました。

環境エネルギー事業では、再生可能エネルギー導入拡大と電力需給安定化へ向けた系統用蓄電池事業への参入、国内6か所の特別高圧太陽光発電所プロジェクトへの出資等、設備のリースに留まらず事業そのものへの取り組みを推進しました。また、国内ラストワンマイル輸送のEVシフトに向けた実証事業を開始するなど、お客さまの脱炭素、サステナビリティの取り組みを支援しております。

 

〔ファイナンス・投資事業〕

コーポレートベンチャーキャピタルファンドである未来創造投資事業有限責任組合を通じて、業務DXロボットの開発を手掛ける企業への出資や、自律ロボット遠隔支援サービスを手掛ける企業への出資を行うなど、既存ビジネスの枠組みに留まることなく、事業パートナーとの連携・協業による新たなビジネスに挑戦しております。

 

〔海外・航空機事業〕

インドのエクイップメント(機器設備)リース会社、Rent Alpha Pvt.Ltd.を連結子会社化するなど、ビジネスフィールドの拡大に取り組みました。

また、アライアンスパートナーとの協業を進め、当社と丸紅㈱は、両社の持分法適用会社である米国航空機リース会社Aircastle Limitedの増資を共同で引き受けることについて、関連契約を締結いたしました。Aircastle Limitedは、環境負荷の低い機材をリースにて提供するなど航空会社への財務的支援を通じて、航空業界の持続的成長に貢献してまいります。

 

アライアンスパートナーとの連携、協業につきましては、みずほグループ各社と当社グループとの連携を一段と深化させ、双方の機能を掛け合わせることにより、様々なソリューションをお客さまに提供してまいりました。

また、丸紅グループとの海外ビジネスでの連携では、既存事業の強化および新たな事業機会の創出に向けた取り組みを推進いたしました。

さらに、新たな事業領域への挑戦として、先進的な蓄電池の制御技術を保有するNExT-e Solutions㈱に出資するとともに、当社が保有するモビリティ由来蓄電池の活用を企図し、同社との蓄電池関連ビジネスの業務提携に向けた基本合意書を締結しました。バッテリー制御技術に強みを有するNExT-e Solutions㈱との協業により、新品蓄電池のサービス提供に加え、モビリティ由来の蓄電池を利活用したリユース蓄電池(定置用)のサービス提供に向けた事業開発を検討し、この取り組みを通じて、蓄電池の普及と再生可能エネルギーの拡大に貢献してまいります。

 

経営成績および財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況、②セグメントごとの経営成績」に記載のとおりであります。

 

② 資本の財源および資金の流動性

当社グループは、お客さまのニーズに対応して幅広い金融サービスを提供するため、資金調達については安定性の確保とコストの抑制を図るよう努めております。また、各年度の資金計画と金融環境の変化に即したALM(資産負債の統合管理)運営方針のもと機動的な資金調達を行っております。

当社グループの資金調達につきましては、金融機関からの借入による間接調達と市場からの直接調達による長期および短期の資金により構成されております。当期(2024年3月期)末において、間接調達は前期(2023年3月期)末比270,295百万円増加し1,685,399百万円となりました。直接調達はコマーシャル・ペーパーおよび社債の発行などにより、同34,577百万円増加し1,157,028百万円となりました。

また、運転資金の流動性や調達の機動性を確保するため、当期末において取引金融機関51社と総額987,997百万円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約による借入未実行残高は486,558百万円であり、資金の流動性は十分に確保しております。

 

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

(a)貸倒引当金の計上

当社グループの貸倒引当金は、予め定めた償却・引当基準に則り、次のとおり計上しております。

破産、特別清算等法的に経営破綻の事実が発生している債務者に係る債権およびそれと同等の状況にある債務者に係る債権については、債権額から、担保の処分可能見込額および保証による回収可能見込額を控除し、その残額を直接減額しております。

また、現在は経営破綻の状況にないものの、今後経営破綻に陥る可能性が高いと認められる債務者に係る債権については、債権額から、担保の処分可能見込額および保証による回収可能見込額を控除し、その残額のうち、将来の予想損失額を算定し、計上しております。

上記以外の債権については、過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率等に基づき計上しております。

 

すべての債権は、資産の自己査定基準に基づき、営業関連部署が自己査定を実施し、当該部署から独立した部署が査定結果を確認しております。

当社グループは、債権の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分な額を計上しており、債権額から貸倒引当金を控除した額は回収可能な額として計上していると判断しております。

ただし、債権の評価には経営者が管理不能な不確実性が含まれております。

このため予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があり、この場合には、将来、当社グループが貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。

 

(5) 客観的な指標等の進捗状況・分析等

「中期経営計画2025」の財務目標・非財務目標に対する実績は以下のとおりです。

 

〔財務目標〕

2023年度実績

最終年度(2025年度)の

数値目標

 当期利益

 352億円

 420億円

 ROA *1

 1.6%

 1.6%以上

 ROE

 12.3%

 12%以上

*1 ROA:経常利益/総資産

 

〔非財務目標〕

 

2023年度実績

数値目標

 Carbon Neutral

 

 脱炭素社会実現

 再生可能エネルギー発電設備容量確保

 590MW

 1GW(2025年度)

 Scope1,2 CO2排出量削減 *2

 FY16比 22%

 排出量ゼロ(2030年度)

 Circular Economy

 

 循環型経済実現

 ケミカル・マテリアル資源循環率

 (速報)

 80.5%

 85%以上(2027年度)

 Human Capital

 

 土台としての

 人的資本経営

 専門ビジネス人財の拡充

 +26名

 +80名超(2025年度)

 人財育成のための投資額

 FY22比 2.03倍

 3倍以上(2025年度/2022年度比)

 デジタルIT人財の育成

 280名

 200名以上(2025年度)

 有給休暇取得率

 70.8%

 80%以上(2025年度)

 女性管理職比率

 11.6%

 15%(2025年度)

 男性の育児休暇取得率

 100.0%

 100%(毎年)

*2 単体及び国内連結子会社7社

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。