第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)私たちの目指すもの

当社は、1974年に創業し、10万戸を超える供給実績のある新築マンションをはじめ、新築一戸建やリノベーションマンションを供給するほか、収益不動産の開発・再生、不動産賃貸管理、アパートメントホテルの開発・運営などへ業容の拡大を進めてまいりました。

新型コロナウイルス感染症の影響により働き方やライフスタイルが変化していく中、ますます不動産の利活用に対するニーズが多様化しています。

当社はMission(存在意義)として、『「Next GOOD」お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』を掲げ、これらの社会の変化とニーズの多様化にこたえる、商品・サービスを提供し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営方針、目標とする経営指標

2027年3月期を最終期とする「中期経営計画2026」において定めた重点テーマと、目標とする当社グループの経営指標は、以下のとおりです。

 

<「中期経営計画2026」 重点テーマ>

●事業・財務基盤の強化

●新たな事業創造

●ESG経営の実践

 

<「中期経営計画2026」最終年度において目標とする経営指標>

●営業利益:100億円

●営業利益率:6%

●自己資本比率:30%

 

(3)経営環境

①全般

当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が沈静化し社会経済活動の正常化が進む中で、雇用・所得環境の改善などから、景気は緩やかな回復傾向が継続いたしました。一方で、国際的な政治情勢の不安定化や資源・エネルギー価格の高騰や物価の上昇、世界的な金融引き締め等、依然として先行き不透明な状況が継続いたしました。

今後の日本経済は、インバウンド需要の拡大や個人消費の持ち直し等により、継続的な景気回復が期待される一方で、国際的な政治情勢の不安定化、金利や物価の動向など、依然として先行き不透明な状況にあり、内外経済の下振れリスク等を注視していく必要があります。

 

②レジデンシャル事業セグメント

2023年においては、首都圏・近畿圏の新築マンション市場は、供給戸数は減少した一方で、平均価格・平米単価の上昇等、住宅購入に対する需要は堅調に推移しました。首都圏の中古マンション市場についても、成約件数、成約価格ともに上昇しました。

2024年以降においては、金利や物価の上昇等を背景とした住宅購入意欲の低下や、資材・労務費高騰を背景としたコストの動向には注視する必要があります。

また、長期的には、国内マンション市場は人口減少等により緩やかに縮小する見通しとなっています。その一方で、首都圏への人口集中は継続する見通しとなっていることに加え、単身・シニア世帯の増加、消費・所有に対する意識の変化、また新型コロナウイルス感染症がもたらした働き方やライフスタイルの変化を背景とした住宅に対するニーズの多様化など、新たな商品・サービスの開発を通じたビジネスチャンスが期待できます。

 

③ソリューション事業セグメント

2023年においては、不動産投資市場は、国内における緩和的な金融環境の維持を背景に、引き続き積極的な投資姿勢が継続しました。首都圏賃貸市場は、住宅における空室率が低水準で推移いたしました。

2024年以降においては、オフィス・店舗区画等における空室率上昇や金利上昇による期待利回りの上昇などの投資用不動産市況の悪化リスクや、資材・労務費高騰を背景としたコストの動向には注視する必要がありますが、収益不動産に対する需要は底堅く、不動産投資市場は引き続き堅調に推移するものと考えられます。また、新型コロナウイルス感染症がもたらした働き方やライフスタイル、消費行動の変化と、それによる不動産の利活用に対するニーズの多様化など、新たな商品・サービスの開発や、周辺事業領域への展開を通じたビジネスチャンスが期待できます。

 

④宿泊事業セグメント

2023年においては、観光市場は、円安も追い風となりインバウンド需要の回復・拡大が進みました。

2024年以降においては、訪日外国人観光客数の増加に伴い宿泊需要が高まることが期待される一方、人手不足、原価の高騰などには注視していく必要があります。

中長期的には、日本における独自の豊富な観光資源と、東・東南アジア諸国における一人当たりGDPの増加を背景に、家族・グループでの渡航・中長期滞在ニーズの拡大が期待できます。

 

⑤工事事業セグメント

2023年においては、働き方の変化やオフィスニーズの多様化等を背景に、企業のファシリティマネジメントに対する需要は堅調に推移いたしました。

2024年以降においても、引き続き需要の高まりを背景に、オフィス移転・内装工事等の受注機会・事業拡大が期待できる一方で、資材価格や労務コストの動向については注視していく必要があります。

 

(4)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略

当社は2022年度に「中期経営計画2026」を策定いたしました。重点テーマである「事業・財務基盤の強化」「新たな事業創造」「ESG経営の実践」を通じてさらなる企業価値の向上に努めてまいります。「中期経営計画2026」における主要な取り組みは以下のとおりです。

 

①成長と安定を両立する事業ポートフォリオの構築

●安定的な経営を支える現在の事業ラインアップを継続強化するとともに、戦略的に拡大を進めてきたリノベーションマンション販売・収益不動産等販売をドライバーとして事業成長を加速させます。

●宿泊事業について、インバウンド市場の回復・再拡大に応じ新規案件への投資を再開し、将来的には運営室数3,000室を目処に、運営受託と自社開発の両輪で事業拡大をめざします。

●不動産に対するニーズの多様化を念頭においた高付加価値戦略と、その実現に向けたバリューチェーン強化やデジタル活用により収益性の向上をめざします。

 

②セグメント別戦略

a.レジデンシャル事業

●新築分譲住宅及びリノベーションマンションのブランドを「INITIA」へ統合し、ブランド価値のさらなる向上を追求してまいります。

●リノベーションマンション販売をドライバーとした事業成長と、10万戸超の分譲マンション開発で培ったノウハウと製販一貫体制を活かした付加価値の高い商品企画による収益性向上をめざします。

●新築マンションにおける全住戸ZEHの採用や地域コミュニティ形成、中古ストック再生等によりESG経営を実践します。

b.ソリューション事業

●新築・中古を問わない多様なアセットタイプの収益不動産販売と、独自の不動産運営コンテンツとのシナジー効果により、さらなる事業拡大と収益性向上をめざします。

●中古ストック再生や、コミュニティ形成に寄与する不動産コンテンツの開発・展開等によりESG経営を実践します。

 

c.宿泊事業

●家族・グループでの中長期滞在ニーズにこたえる都市型アパートメントホテル「MIMARU」のブランド力のさらなる向上をめざします。

●社会経済活動の正常化が一段と進み、国内外需要の回復基調が鮮明であることから、今後も安定した事業活動が図れる環境となったと判断し、新規案件への投資を再開いたします。

●将来的には運営室数3,000室を目処に、アクセスのよい都市部を中心に運営受託と自社開発の両輪で事業拡大をめざします。

●積極的な外国人採用や、公的不動産をアウトドアリゾートとして有効活用した「ETOWA」の展開等により、ESG経営を実践します。

d.工事事業

●国内・海外のデザインアワード等で多くの受賞実績がある、空間設計・デザイン力のさらなる強化を進めます。

●ファシリティ領域(オフィス移転・内装工事等)、建築領域(建築・リノベーション工事・マンションギャラリー設営工事等)における事業拡大・収益性向上をめざします。

●環境配慮型商品の活用等、環境負荷の低い事業展開への取り組みによりESG経営を実践します。

 

③新たな事業創造

a.海外事業

豪州・シドニーエリアで展開している分譲住宅開発事業の深耕・拡大をめざすとともに、国内で培ったノウハウを活用できる事業について、米国・テキサス州ダラスやベトナム・ホーチミンなど市場の成長性が高い地域への進出・展開を開始します。

b.新たな運営コンテンツの開発

アパートメントホテル、レンタルオフィス、シェアレジデンス、アウトドアリゾート等に続く新たな運営コンテンツの開発を進め、収益不動産の価値最大化と運営受託による収益基盤の拡充をめざします。

c.アセットマネジメント事業

ソリューション事業で培ってきた収益不動産の価値向上ノウハウを活用できるアセットマネジメント事業への展開を検証します。また、収益不動産販売における仕入機会や販売チャネルの拡充とともに、不動産賃貸管理・運営の受託機会の拡張もめざします。

 

④DXへの取り組み強化

これまで推進してきたビジネス領域・コーポレート領域でのデジタル化に加え、DXへの取り組みを加速して経営・事業の革新と多様な働き方の実現をめざします。

 

⑤ESG経営の実践

上記セグメント別戦略に沿った社会的価値の高い事業運営を通じてESG経営を実践し、さらなる企業価値の向上をめざします。ESG取り組み方針は以下のとおりです。

 

●Environment:環境負荷の低い建物・都市生活づくり

・新築マンション全住戸ZEHの実現

・リノベーションマンション販売・収益不動産等販売における中古ストック再生の取り組みのさらなる強化

・環境負荷の低い都市生活につながる商品・サービスの創造

●Social:人と人との温かなつながりにあふれる豊かな都市生活づくり

・コミュニティ形成、子どもの成長や子育てを支援する商品・サービスの創造

・当社独自の働き方改革(WSI※)のさらなる推進 ※WSI:Work Style Innovation

●Governance:さらなる成長の基礎づくり

・多様な事業ラインアップに対応し、継続的な事業成長を支えるリスク管理機能とコーポレートガバナンスの継続強化

 

これまで実施してきた取り組みを継続することに加え、2024年3月期から当期純利益の2%程度をESG推進への投資予算に充当することを企図し、様々な取り組みを開始しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、取締役会での協議を経て、中長期的な企業価値の向上に向けてMission『「Next GOOD」お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』を定めており、中長期の成長実現にむけて2022年5月に「中期経営計画2026」(2022年度〜2026年度)を策定し、公表しています。

(1)ガバナンス

「中期経営計画2026」の基本方針を「事業・財務基盤の強化」「新たな事業創造」「ESG経営の実践」と掲げ、取締役会において中期経営計画・年度計画の実行モニタリングを行うこととしております。また、経営管理本部長、建築本部長を担当役員とする部門横断のプロジェクト組織ESGプロジェクトを組成し、全社のESGへの取り組みの推進と各部署の取り組み支援を行うとともに、2024年4月よりサステナビリティ推進機能の更なる強化に向けて経営管理本部の直下にサステナビリティ推進準備室を新設しています。また、執行役員及び各事業部・部門の組織長等により構成される「戦略方針確認会議」にて、事業環境の予測、マクロ市場動向の意見交換、エリア別の市場変化、各事業の戦略に加えて、各事業に置けるESG取り組み具体案を確認・共有しております。

(2)戦略

「中期経営計画2026」の基本方針を「事業・財務基盤の強化」「新たな事業創造」「ESG経営の実践」と掲げ、ESG取り組み方針を、以下のとおりに定め、サステナビリティを巡る課題に対し積極的に取り組んでまいります。

Environment:環境負荷の低い建物・都市生活づくり

・新築マンション全住戸ZEHの実現

・リノベーションマンション販売・収益不動産等販売における中古ストック再生の取り組みのさらなる強化

・環境負荷の低い都市生活につながる商品・サービスの創造

Social:人と人との温かなつながりにあふれる豊かな都市生活づくり

・コミュニティ形成、子どもの成長や子育てを支援する商品・サービスの創造

・当社独自の働き方改革(WSI※)のさらなる推進 ※WSI:Work Style Innovation

Governance:さらなる成長の基礎づくり

・多様な事業ラインアップに対応し、継続的な事業成長を支えるリスク管理機能とコーポレートガバナンスの継続強化

また、2024年3月期からは、これまで実施してきた取り組みを継続することに加えて、当期純利益の2%程度をESGへの投資予算に充てるとともに、ボランティア等を含めた人的支援や、当社の強みや商品サービスを活かした効果的な取り組みとなることなどもめざして、より積極的な活動を開始しております。

人的資本は特に重要な経営資源と考え、ビジネススキル・リーダーシップなどの能力を高める研修の強化や自主的な学びを支援する制度、子育て支援制度、各種の休暇制度などを充実させることに加え、価値創造と生産性向上に向けた当社らしい働き方改革「WSI(Work Style Innovation)」の継続や、従業員の心身の健康維持・向上をはかる健康経営への取り組み、性別に関わらず誰もが活躍していける会社づくりを目指す「コスモスイニシアらしいジェンダーフリーを考えるプロジェクト」の推進等を通じて、人的資本の強化および従業員が長く安心していきいきと働ける環境づくりに取り組んでいます。

(3)リスク管理

当社は代表取締役社長を委員長とし、各事業部、子会社の責任者を委員として構成する「コスモスイニシアグループリスク管理委員会(以下、「グループリスク管理委員会」という。)」を開催し、各事業部、子会社におけるリスクの抽出、評価、対応策の検討を実施しております。(当事業年度においては12回開催)

事業等のリスクや、中長期的な機会を踏まえて、取締役会における中期経営計画及び年度計画の策定・モニタリングを行っております。

 

(4)指標及び目標

環境負荷の低い建物・都市生活づくりの一環として、新築マンション全住戸ZEHの実現を目標として掲げております。新築マンションでは2023年度に着工した397戸のうち217戸において、ZEH-M orientedの取得(申請中取得予定を含む)しており、今後も継続的に取得してまいります。

人的資本に関して、従業員が長く安心していきいきと働ける環境づくりの一環として、健康経営を掲げ、その目標及び指標と進捗状況をHPにおいて開示しております。なお、経済産業省が創設し日本健康会議が認定する優良な健康経営を行う企業「健康経営優良法人2024」に、当社は2024年3月11日に認定されております。2021年から4年連続で認定となり、客観的な指標として同制度の継続的な認定を目標としております。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく指標・数値に関しては、「5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。性別に関わらず誰もが活躍していける会社づくりに向けて、当社は各指標の向上を目標としております。

3【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他の重要と考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で、重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避に努め、また、発生した場合には、その影響を最小限にとどめるよう対応に努めていく方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

本項における将来に関する事項は、この有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)不動産市況について

不動産販売は、景気動向、金利動向、地価動向、新規供給動向及び不動産に係る税制等の影響を受けやすい事業となります。例えば、レジデンシャル事業では大幅な金利上昇によるお客さまの住宅購入意欲の減退、ソリューション事業では空室率の上昇や大幅な金利上昇による期待利回りの上昇などが挙げられます。それらが生じた場合には、収益性の低下、保有資産・販売用不動産の評価損が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループといたしましては、市場動向の観測や不動産市況の悪化時の影響度合いを想定したリスク評価を定期的に実施するほか、不動産販売以外の事業比率を高めることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。

(2)物件の引渡時期等に拠る業績の変動について

不動産販売における売上高の計上は、売買契約を締結した時点ではなく、顧客への引き渡しを行った時点で計上しております。レジデンシャル事業における不動産販売では一般的に転勤及び学期末の時期であること、ソリューション事業や宿泊事業における不動産販売では決算期末にかけて投資法人や不動産事業者による不動産取引が増加することなどを背景に、引き渡し時期が2~3月頃に集中することが多くなるため、第4四半期連結会計期間の売上高が他の四半期連結会計期間と比べ高くなる傾向があります。

当社グループといたしましては、四半期連結会計期間の業績動向を注視するとともに、不動産販売以外の事業比率を高めること等により業績の平準化を図ることで、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。

(3)金利変動について

当社グループは、不動産販売における事業用地の取得資金及び建築費の一部を、主に金融機関等からの借入金により調達しており、2024年3月現在のネット有利子負債は663億円、ネットD/Eレシオは1.5倍となっています。現行の金利水準が大幅に変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループといたしましては、自己資本のさらなる拡充と、資金調達手法の拡張を図ることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。

(4)契約不適合責任について

当社グループの商品において、設計・施工上の問題等に起因する不具合が生じた場合には、契約不適合責任として損害賠償等による費用の発生、又は商品・サービスに対する信用の失墜による売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループといたしましては、当社独自の「標準仕様書」「品質管理基準」を定め、専任スタッフが検査・確認するなど一貫した品質管理の体系的な実施と、継続的な品質管理体系の改善を図ることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。

 

(5)協力会社について

当社グループは、不動産開発事業において建設業者との間で工事請負契約を締結し、建物の建設工事を行っておりますが、国内外の経済情勢等の影響により物価高騰などの問題が発生した場合には、建設業者にて調達する資材・部材の価格高騰等、当社の建築費上昇という結果をもたらす可能性があります。加えて、2024年4月より建設業においても時間外労働の上限規制が適用され、人手不足による工期延長やコスト上昇等が事業経営等に影響を与える可能性があります。また、その他事業においても提供する商品及びサービスにおいて協力会社へ発注しており、協力会社の予期せぬ業績不振や事故等により事業継続できなくなるなどの不測の事態が発生した場合には、代替措置に伴う追加の費用発生やサービス提供が遅延するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループといたしましては、資材・労務費の動向を注視していくとともに、特定会社への依存関係を強めないこと、所定の審査を経て登録した協力会社へ発注すること、日ごろより良好な取引関係を構築すること等により、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。

(6)個人情報及び情報システムの管理について

当社グループは、各事業を展開するにあたり、個人情報をお預かりしており、「個人情報の保護に関する法律」に定められる個人情報取扱事業者であります。当社グループといたしましては、「情報セキュリティ規程」をはじめとした情報管理に関する規程等の整備、個人情報保護方針(プライバシーポリシー)の制定と、それらに準拠した社員教育を含むセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセスその他不測の事態により、万が一、個人情報が外部へ漏洩した場合には、損害賠償等による費用の発生、又は信用の失墜による売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループといたしましては、規程類並びにセキュリティ対策の継続的な強化・拡充を図ることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。

(7)法的規制等について

当社グループの事業は、各種の法的規制等を受けております。

不動産関連事業においては、「宅地建物取引業法」「国土利用計画法」「建築基準法」「都市計画法」「住宅の品質確保の促進等に関する法律」「不動産特定共同事業法」「土壌汚染対策法」「犯罪による収益の移転防止に関する法律」などの法的規制等を受けております。当社は不動産業者として、「宅地建物取引業法」に基づく免許を受け、事業展開しております。

宿泊事業は、「旅館業法」などの法的規制等を受けております。当社の連結子会社である株式会社コスモスホテルマネジメントは「旅館業法」に基づく許可を受け事業展開をしております。

工事事業は、「建設業法」「建築士法」「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」「労働安全衛生法」などの法的規制等を受けております。当社及び当社の連結子会社である株式会社GOOD PLACEは、建設業者として、「建設業法」に基づく許可を受け、事業展開しております。

今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制等が設けられる場合には、当社グループの事業活動に制限が生じるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)当社の主要株主について

大和ハウス工業株式会社は当社の筆頭株主(発行済株式(自己株式を除く)総数の38.22%を保有)であり、当社は同社の持分法適用会社であります。同社による当社株式の保有方針が変更された場合は、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

株式会社共立メンテナンスは当社の主要株主(発行済株式(自己株式を除く)総数の25.03%を保有)であり、当社は同社の持分法適用会社であります。同社による当社株式の保有方針が変更された場合は、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)自然災害等について

天災、事故、大規模な感染症その他予測し得ない要因等の不測の事態により、当社グループ及び当社協力会社、資材調達先等に被害があった場合には、不動産価値の棄損や引渡時期の遅延、事業活動の中断による損失など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)海外情勢について

宿泊事業では、訪日外国人観光客による宿泊需要をメインターゲットとしております。海外におけるテロ行為や戦争の勃発、又は新たな感染症の発生や蔓延等の情勢の変化が生じ、渡航の自粛又は規制による訪日外国人観光客の減少や、訪日旅行に対する消費マインドの減退が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)為替変動について

当社グループは、豪州及び米国に連結子会社を有しており、会社の売上高、費用、資産・負債等は、当社の連結財務諸表作成のために円換算されることから、為替相場の変動によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、前項記載のとおり、宿泊事業では訪日外国人観光客による宿泊需要をメインターゲットとしており、為替変動により訪日旅行に対する消費マインドの減退が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)繰延税金資産について

当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断された場合には、繰延税金資産は減額され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。

なお、経営環境につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」をご参照ください。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が沈静化し社会経済活動の正常化が進む中で、雇用・所得環境の改善などから、景気は緩やかな回復傾向が継続いたしました。一方で、国際的な政治情勢の不安定化や資源・エネルギー価格の高騰や物価の上昇、世界的な金融引き締め等、依然として先行き不透明な状況が継続いたしました。

2023年度の不動産業界は、首都圏・近畿圏の新築マンション市場におきまして、供給戸数は減少した一方で、平均価格・平米単価はともに上昇する等、住宅購入に対する需要は堅調に推移しました。首都圏の中古マンション市場についても、成約件数・成約価格ともに上昇しました。不動産投資市場については、国内において緩和的な金融環境の維持を背景に、引き続き積極的な投資姿勢が継続しました。観光市場については、円安も追い風となりインバウンド需要の回復・拡大が進みました。

このような事業環境におきまして、当社は、2022~2026年度を対象期間とする「中期経営計画2026」の重点テーマである「事業・財務基盤の強化」「新たな事業創造」「ESG経営の実践」を通して、企業価値の更なる向上に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。

 

財政状態

当連結会計年度末の総資産は1,733億33百万円となり、前連結会計年度末比159億48百万円増加いたしました。

当連結会計年度末の負債合計は1,277億30百万円となり、前連結会計年度末比118億58百万円増加いたしました。

当連結会計年度末の純資産は456億2百万円となり、前連結会計年度末比40億90百万円増加いたしました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度末比

総資産

157,384

173,333

15,948

総負債

115,871

127,730

11,858

純資産

41,512

45,602

4,090

自己資本比率(%)

25.96

25.75

△0.21

 

経営成績

当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度と比較して、ソリューション事業及び工事事業において減収減益レジデンシャル事業において増収減益となった一方で宿泊事業においてインバウンド需要の増加に伴い事業環境が改善したこと等から増収増益となりましたその結果売上高1,245億88百万円(前連結会計年度比1.0%増)、営業利益74億22百万円(同50.7%増)、経常利益66億81百万円(同49.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益42億78百万円(同21.4%増)を計上いたしました。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度比

連結業績予想

連結業績予想比

売上高

123,374

124,588

1,214

125,000

△411

営業利益

4,924

7,422

2,498

6,500

922

経常利益

4,469

6,681

2,211

5,700

981

親会社株主に帰属する当期純利益

3,524

4,278

754

3,800

478

 

 

 

 

報告セグメントの業績は以下のとおりであります。

なお、各セグメントの売上高はセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、セグメント損益は営業損益ベースの数値であります。

 

a.レジデンシャル事業

レジデンシャル事業におきましては、前期に豪州での分譲住宅の引渡があった一方で新築マンション及びリノベーションマンションの引渡戸数が増加したことから増収となりましたが利益面においては販売が長期化する一部完成在庫に対する棚卸資産評価損を計上したこと等により減益となったことから売上高434億89百万円(前連結会計年度比5.9%増)セグメント利益6億17百万円(同64.9%減)を計上いたしました

 

<レジデンシャル事業の業績>                                (単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度比

増減率(%)

売上高

41,052

43,489

2,436

5.9

 

新築マンション・一戸建販売

21,979

23,349

1,369

6.2

 

リノベーションマンション販売

16,467

19,360

2,892

17.6

 

その他(不動産仲介・海外事業等)

2,605

779

△1,825

△70.1

セグメント利益

1,762

617

△1,144

△64.9

※新築マンション・一戸建販売には、新築タウンハウス及び宅地分譲を含んでおります。

※リノベーションマンション販売には、物件保有期間中の賃貸収入を含んでおります。

※その他(不動産仲介・海外事業等)には、豪州での分譲住宅開発事業を含んでおります。

 

<契約の状況>

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度比

契約数

(戸)

売上高

(百万円)

契約数

(戸)

売上高

(百万円)

契約数

(戸)

売上高

(百万円)

増減率

(%)

新築マンション

538

25,278

432

22,925

△106

△2,353

△9.3

リノベーションマンション

316

16,141

368

19,384

52

3,242

20.1

 

<引渡数・売上高・売上総利益率>

 

2023年3月期

2024年3月期

引渡数

(戸)

売上高

(百万円)

売上総利益率(%)

引渡数

(戸)

売上高

(百万円)

売上総利益率(%)

新築マンション

427

20,061

22.5

476

23,076

22.8

リノベーションマンション

313

16,071

13.4

367

19,046

11.8

※新築マンションには、新築タウンハウスを含んでおります。

※共同事業物件における戸数については、事業比率に基づき計算しております。

※売上総利益率の算出に際し、棚卸資産評価損は含めておりません。

 

<完成在庫>                                     (2024年3月31日現在)

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度比

新築マンション

(戸)

完成在庫

321

255

△66

(うち未契約完成在庫)

(293)

(232)

(△61)

 

 

b.ソリューション事業

ソリューション事業におきましては、収益不動産等販売において減収となったこと及び売上総利益率が低下したこと等により売上高489億54百万円(前連結会計年度比12.6%減)セグメント利益25億96百万円(同51.8%減)を計上いたしました

 

<ソリューション事業の業績>                                (単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度比

増減率(%)

売上高

55,980

48,954

△7,026

△12.6

 

収益不動産等販売

39,788

32,997

△6,790

△17.1

 

不動産賃貸管理・運営

15,784

15,546

△238

△1.5

 

その他(不動産仲介等)

407

409

2

0.6

セグメント利益

5,386

2,596

△2,789

△51.8

※収益不動産等販売には、共同出資型不動産、賃料収入及び土地売却等を含んでおります。

 

<引渡数・売上高・売上総利益率>

 

2023年3月期

2024年3月期

引渡数

(棟)

売上高

(百万円)

売上総利益率(%)

引渡数

(棟)

売上高

(百万円)

売上総利益率(%)

収益不動産等販売

(うち一棟物件)

25

35,564

15.6

20

31,648

10.9

※共同事業物件における棟数については、事業比率に基づき計算しております。

※売上総利益率の算出に際し、棚卸資産評価損は含めておりません。

 

c.宿泊事業

宿泊事業におきましては、インバウンド需要の増加に伴い事業環境が改善したことからホテル施設運営において平均客室単価・稼働率が改善したこと及びホテル施設販売において高収益施設の引渡があったこと等により売上高223億67百万円(前連結会計年度比93.9%増)セグメント利益62億66百万円(前連結会計年度はセグメント損失9億9百万円)を計上いたしました

 

<宿泊事業の業績>                                     (単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度比

増減率(%)

売上高

11,536

22,367

10,831

93.9

 

ホテル施設販売

6,015

6,460

445

7.4

 

ホテル施設運営

5,520

15,906

10,385

188.1

セグメント利益又はセグメント損失(△)

△909

6,266

7,175

 

d.工事事業

工事事業におきましては、前期に大型案件があったことの反動等により売上高100億31百万円(前連結会計年度比34.6%減)セグメント利益2億49百万円(同64.1%減)を計上いたしました

 

<工事事業の業績>                                     (単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

前連結会計年度比

増減率(%)

売上高

15,343

10,031

△5,311

△34.6

セグメント利益

695

249

△446

△64.1

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は343億81百万円となりました。[前連結会計年度末は335億40百万円]

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

主に税金等調整前当期純利益を66億73百万円計上した一方で、棚卸資産が78億91百万円増加したこと及び未収入金が53億67百万円増加したことから、93億14百万円の資金の減少となりました。[前連結会計年度は27億48百万円の減少]

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

主に貸付けによる支出が6億80百万円あったこと及び投資有価証券の取得による支出が2億13百万円あったことから、9億56百万円の資金の減少となりました。[前連結会計年度は6億34百万円の減少]

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

主に長期借入金の返済による支出が224億23百万円あった一方で、長期借入れによる収入が388億72百万円あったことから、110億33百万円の資金の増加となりました。[前連結会計年度は38億85百万円の増加]

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

項目

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

24.0

24.8

26.0

25.7

時価ベースの自己資本比率(%)

10.5

10.0

10.6

18.5

債務償還年数(年)

3.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

39.7

 

自己資本比率

:自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率

:普通株式時価総額÷総資産

債務償還年数

:有利子負債÷キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ

:キャッシュ・フロー÷利払い

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.普通株式時価総額は、期末株価終値及び自己株式を除く期末発行済株式数より計算しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

5.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※2022年3月期2023年3月期及び2024年3月期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。なお、当社グループにおける不動産販売事業の特性として、営業活動によるキャッシュ・フローが毎期大きく変動する可能性があります。

 

③生産、受注及び販売の実績

生産、受注及び販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」における報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

a.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は1,733億33百万円となり、前連結会計年度末比159億48百万円増加いたしました。主な増減及びその要因は以下のとおりであります。

当連結会計年度末の流動資産は1,619億99百万円となり、同157億45百万円増加いたしました。

これは、仕掛販売用不動産が同112億24百万円増加したことによるものです。

また、当連結会計年度末の固定資産は113億33百万円となり、同2億2百万円増加いたしました。

これは、繰延税金資産を同5億円取り崩した一方で、長期貸付金が同6億86百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は1,277億30百万円となり、前連結会計年度末比118億58百万円増加いたしました。主な増減及びその要因は以下のとおりであります。

当連結会計年度末の流動負債は741億8百万円となり、同67億96百万円増加いたしました。

これは、支払手形及び買掛金が同45億1百万円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金が同141億84百万円増加したことによるものです。

また、当連結会計年度末の固定負債は536億21百万円となり、同50億61百万円増加いたしました。

これは、長期借入金が同26億64百万円増加したことや、不動産特定共同事業出資受入金が同24億円増加したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は456億2百万円となり、前連結会計年度末比40億90百万円増加いたしました。

これは主に、前連結会計年度及び当連結会計年度に係る配当金を支払った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益42億78百万円を計上したことによるものです。

また、当連結会計年度末の自己資本比率は、25.75%となりました。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比12億14百万円増収の1,245億88百万円となりました。

主な要因は、収益不動産等販売において減収となったこと等によりソリューション事業において同70億26百万円の減収、工事事業において同53億11百万円の減収となった一方で、新築マンション及びリノベーションマンションの引渡戸数が増加したこと等によりレジデンシャル事業において同24億36百万円の増収、ホテル施設運営において平均客室単価・稼働率が改善したこと等により宿泊事業において同108億31百万円の増収となったことによるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比24億98百万円増益の74億22百万円となりました。

主な要因は、ソリューション事業において減収及び収益不動産等販売の売上総利益率が低下したこと等により同27億89百万円減益、レジデンシャル事業において販売が長期化する一部完成在庫に対する棚卸資産評価損を計上したこと等により同11億44百万円減益、工事事業において減収となったこと等により同4億46百万円減益となった一方で、宿泊事業において平均客室単価・稼働率が改善したこと及び高収益施設の引渡があったこと等からセグメント利益率が改善したことにより同71億75百万円増益となったことによるものです。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比22億11百万円増益の66億81百万円となりました。

主な要因は、受取配当金が同4億80百万円減少した一方で、資金調達費用が同91百万円減少したことや、営業利益が同24億98百万円増益となったことによるものです。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比7億54百万円増益の42億78百万円となりました。

主な要因は、税金費用が同30億40百万円増加したことや、前連結会計年度において子会社清算損を12億80百万円計上した一方で、経常利益が同22億11百万円増益となったことによるものです。

 

c.経営上の目標の達成状況

「中期経営計画2026」の2年目である2024年3月期の達成状況は以下のとおり、業績予想比で減収となった一方、売上総利益の増加、販売費及び一般管理費の減少により営業増益となりました。また、棚卸資産に対するプロジェクト借入が進捗したこと等により、前連結会計年度比でネット有利子負債は増加、ネットD/Eレシオは概ね維持となりました。

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

実績

実績

連結業績予想

実績

連結業績予想比

売上高

1,073億円

1,234億円

1,250億円

1,246億円

△4億円

営業利益

33.5億円

49.2億円

65.0億円

74.2億円

9.2億円

自己資本比率

24.8%

26.0%

25.7%

ネット有利子負債

514億円

574億円

663億円

ネットD/Eレシオ

1.4倍

1.4倍

1.5倍

 

「中期経営計画2026」の3年目となる2025年3月期の業績につきましては、各セグメントでの業績向上をめざし、売上高1,340億円、営業利益80億円を見通しております。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載しております。なお、当社グループは、これらのリスクを十分認識した上で、発生の回避、又は発生した場合には、その影響を最小限にとどめるように対応する方針であります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

(1) 財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、財務体質の強化と事業成長に向けた投資を両立し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを、財務戦略の基本方針としております。

財務体質の強化に関しては、「中期経営計画2026」最終年度において自己資本比率を30%の水準へ改善させ、投資能力の拡張と、リスク耐性の強化を図ります。同時に、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減に努めるとともに、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めてまいります。

投資に関しては、前述の自己資本比率の目標水準への改善を前提に、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。

なお、「中期経営計画2026」においては、企業価値の向上に資する成長に向けて、システム・R&Dなどを含む新規投資を進めてまいります。

 

(2) 経営資源の配分に関する考え方

当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。「中期経営計画2026」期間においては、イベントリスク耐性も考慮し、当社グループの資金支出の多くを占める提出会社の月商約2か月分を、安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、「追加的に配分可能な経営資源」と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。

 

(3) 資金需要の主な内容

当社グループの資金需要においては、営業活動における資金支出の中で、不動産販売に関わる事業用地・事業用不動産の取得が最も重要かつ大きな資金支出となっております。

 

(4) 資金調達

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金、外部資金を有効に活用しております。内部資金については、「中期経営計画2026」に定める自己資本比率も念頭に内部留保の拡充を図ってまいります。また、安定的な外部調達能力の維持向上は重要な課題と考えており、筆頭株主及びその他の関係会社である大和ハウス工業株式会社から融資保証枠400億円の供与を受けるほか、当社独自での金融機関からの借入による資金調達を実施しております。また、資金の流動性確保のために金融機関との当座貸越契約の締結や長期運転資金借入を進めるほか、当社グループ資金の効率化のためのグループ会社とのキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)契約の締結を行っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積りは以下のとおりであり、当該見積りに用いた仮定については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

(販売用不動産等の評価)

当社グループは、販売用不動産等(販売用不動産及び仕掛販売用不動産)の評価について、個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)によっており、収益性の低下した販売用不動産等については、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。国内経済の変化等により、不動産市場が悪化したこと等により正味売却価額が下落した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると慎重に判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、国内経済の変化及び国際情勢等の見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

2024年1月11日開催の取締役会決議に基づき、同日付で大和ハウス工業株式会社及び株式会社共立メンテナンスとの間で、各グループの事業提携によるシナジーを促進し、各グループの企業価値を向上させることを目的とし、3社間での資本業務提携契約を締結いたしました。

6【研究開発活動】

該当事項はありません。