文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは企業を「社会貢献の器」と捉えており、「良質廉価」を追求し、安定した納税と雇用、環境への配慮にも取り組み、事業活動を通じて社会を支え続け、人々に幸せを届けることが最大の社会貢献であると考えております。
当社グループ全員が「ジェイテクトの基本理念」を日々実践できるよう、理解・浸透活動に注力しております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは損益分岐点売上比率を経営上の目標の達成状況を判断するための最も重要な指標とし、売上に左右されない体質づくりに取り組んでおります。また、経営状況を把握する指標として、売上収益、事業利益、事業利益率、棚卸資産回転月数、NET DEレシオ、ROA及びROE等の実績を用いております。
(3) 長期的な会社の経営戦略
社会を取り巻く環境として、地球温暖化等に代表される環境問題やエネルギー資源の枯渇、新興国の経済発展・人口増加に伴う水・食料の不足、先進国での高齢化等、様々な課題が顕在化しております。各産業分野で社会の持続的な成長に向けてテクノロジーにより社会課題の解決が図られている中で、当社グループの売上収益の約8割を占める自動車産業においても、100年に一度の大変革期と言われているとおり、自動運転や電動化等CASEに代表される技術革新が急速に進んでおります。環境規制は更に強化され、カーボンニュートラルに向けた再生エネルギーの活用や水素社会の実現に向けた取組みも着実に進んでおります。
これらの取り巻く環境の変化に対応し、社会課題の解決を通して企業を成長させるため、2030年の目指す姿及び、その実現に向けた「長期・中期経営計画」を2021年4月に策定いたしました。
<2030年の目指す姿>
・新領域:ジェイテクトグループシーズの活用、トヨタグループ連携で勝ち抜く
・既存事業:競争力を強化し、事業の更なる成長を図る
<中期経営計画>
2030年までの10か年を、3年、3年、4年の三期に分け、第一期中期経営計画期間に当たる2021~2023年度は、「体質強化の3年」と位置付け、事業部間・グループ間のあらゆる壁を壊すとともに損益分岐点にこだわり継続的に収益力向上に取り組みました。その成果として赤字体質から脱却し2020年度以降、右肩上がりの業績をあげることが出来ました。(事業利益 2020年度:159億円 2021年度:423億円 2022年度:626億円 2023年度:728億円)
次の第二期中期経営計画(2024~2026年度)は「既存事業の成長と新規事業の育成」に取り組みます。ジェイテクトグループの最大の強みは「豊富なシーズ」と「高い固有技術力」であります。それらの強みを掛け合わせ、既存の製品・サービスの付加価値を更に高めるとともに「やるならNo.1 & Only One」をキーワードに新たな価値を創出してまいります。
そのために必要なのは、「ジェイテクトの基本理念」を実践出来る人づくり、仕組みづくりであります。ジェイテクトがめざす年輪経営の実現に向けこれからも継続して取り組んでまいります。
(4) 経営環境
当連結会計年度の事業環境は、世界的なインフレ進行に対する各国の金融引き締めの影響が広がることに伴う景気後退への懸念、中国の経済成長鈍化や各地域での軍事衝突に起因するエネルギー価格の高騰リスク等、先行き不透明な状況が継続するなかでも、自動車の生産回復等により景気は緩やかな回復基調にありました。
(5) 優先的に対処すべき課題
当社は、軸受等の要素部品、工作機械という「機械をつくる機械」をともに扱うユニークな会社として「地球のため、世の中のため、お客様のため」に、社会課題やお客様の困りごとを解決することを目指しております。
「体質強化の3年」と名付けた2021年度から2023年度の第一期中期経営計画において、損益分岐点売上比率を改善させ、如何なる環境下でも黒字を確保できる体質の実現に向けて大きく前進いたしましたが、その先にある「既存事業の成長と新規事業の育成」、「刈取りと飛躍」の達成にはまだ多くの課題が山積しております。
当社グループの最大の強みは、シーズの幅広さと、世界一、日本一、業界随一といったNo.1の高い技術力であり、それらを組み合わせれば社会課題やお客様の困りごとの解決に貢献できると考えております。しかし、現在はその強みを活かしきれておらず、シーズを組み合わせて十分なシナジーを発揮するには至っておりません。これを実現する仕組みの構築が第二期中期経営計画における最大の課題であると考えております。
第一期中期経営計画においても、真の「One JTEKT」を掲げ、事業部間・グループ間のあらゆる壁を壊すことに注力してまいりました。その結果、社内、グループ内のコミュニケーションは徐々に改善されてきており、No.1、Only Oneと呼べる製品を数多く生み出してまいりました。今後は、この動きを更に加速させるとともに、互いの強みを認識し、活かし合うことで、お客様へのソリューションをスピーディに提案できる仕組みを構築してまいります。
一方で、時代の変化に対応するために様々な取組みを進める中で、新しいことにチャレンジするためには、既存の業務を効率化して余力を生み出していく必要があります。「なぜその仕事を行っているのか」という目的に立ち戻って考えることでムダを徹底的に省いた上で、業務のプロセスを整流化し、デジタル技術を最大限に活用してシステム化を進めることで大幅な効率化を実現し、課題解決に振り向ける時間の最大化を図ってまいります。
そして、これらを実際に行っていくのはグループの従業員一人ひとりであります。人の成長無くして課題の解決は実現できません。「ジェイテクトの基本理念」を軸として、それを実践できる「人づくり、仕組みづくり」に継続して取り組んでまいります。
現状に満足せず、地球のため、世の中のため、お客様のために絶え間無く改善をしていける人財が増え、自ら課題を創出し、その解決に向けて自律的に取り組むようになれば、当社グループの明るい未来が拓けてくると信じ、10年後、20年後もグループの全従業員が笑顔で安心して働ける会社であり続けるために世界一(No.1 & Only One)にこだわり、「One JTEKT」で邁進してまいります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社のサステナブル経営
当社の事業活動は、株主のほかお客様、仕入先、従業員や地域社会のみなさまといった多くのステークホルダーに支えられております。また、当社がこれからも安定して事業活動を展開していくためには、人々が安心して生活できる豊かな地球環境が大前提にあるものと考えております。
このような考え方のもと、当社は「地球のため、世の中のため、お客様のため」に全員参加で価値を提供するという「ジェイテクトの基本理念」にのっとり、事業活動を通じて当社のステークホルダーが直面する社会課題の解決に取り組み、限りある環境資源、社会資源の維持・増進に取り組むサステナブル経営を進めてまいります。
① サステナビリティ推進体制
当社は、取締役会を頂点とするコーポレート・ガバナンスの体制を構築しておりますが、サステナビリティに関する活動方針の決定、社内取組みの監督と助言については、社外役員を含む取締役会構成員全員と経営役員及びCxO(社内各機能の最高責任者)を委員とする企業価値向上委員会(2024年度よりサステナビリティ委員会に改称。)において主に行っております。
企業価値向上委員会で議論されたテーマは、関連する業務を行う主管部署において取組みとして具体化され、事業活動に反映されております。これらの事業活動は統合報告書(ジェイテクト・レポート)、コーポレート・ガバナンスに関する報告書、有価証券報告書や当社企業ウェブサイト(https://www.jtekt.co.jp/sustainability/)等を通じて情報開示しております。
これらの情報開示の主要なものは、経営管理本部の関係部署を中心として運用される情報開示委員会において、ステークホルダーに過不足なく伝わるかという観点から、内容や表現の適否について議論した上で社外へと開示されます。開示された情報に対するステークホルダーからのフィードバックは企業価値向上委員会において報告され、次なる取組みの基盤としております。

② マテリアリティの特定
当社は、2020年度に実施した2030年の目指す姿、中期経営計画の立案プロセスにおいて、マテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。このマテリアリティは、様々な社会課題の中から、当社が事業活動を通じて解決に貢献したいと考える社会課題及び当社の事業活動を支える事業基盤の重要課題に層別し、それぞれの実現すべき姿を表したものであります。

以下では、このような当社マテリアリティに基づく重点テーマを環境、社会、ガバナンスの観点から整理して記載しております。
(2) 環境
当社は、事業を通じて解決する社会課題として「未来の子どもたちのために豊かな地球を守る」をマテリアリティとして掲げ、2016年に策定した「環境チャレンジ2050」では、「製品・技術」「低炭素社会の構築」「循環型社会の構築」「自然共生・生物多様性」「環境マネジメント」を5つの柱として環境経営に関する行動計画を明記しました。本項では、これら取組みのうちマテリアリティに基づく重点テーマとしている地球温暖化防止、循環型社会への貢献、環境負荷物質削減について取り上げております。
① 地球温暖化防止
地球温暖化による気候変動は、氷河の融解や海面水位の変化、洪水や干ばつ等の影響、食料生産や健康等、人間への影響だけでなく陸上や海の生態系にも影響を及ぼしております。当社は、このような気候変動による負の影響を緩和するため、事業における中長期の気候関連リスクと機会を特定して影響を定量的に把握し、事業戦略に反映していくことが持続的に成長できる企業の条件であると考え、マテリアリティに基づく重点テーマの1つである「地球温暖化防止」に取り組んでおります。
なお、当社は、2018年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への賛同を表明いたしました。以下TCFDの考え方に基づいて開示します。
(a) 戦略
当社は、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しております。これら一連の数値目標は中長期的な環境経営の根幹となっております。
当社はTCFD提言に基づき、脱炭素社会への移行による影響が想定される1.5℃(2℃未満)シナリオと、気候変動が進展し、物理的な影響が顕著になる4℃シナリオという複数のシナリオを使用し、分析を行いました。分析にあたっては、CO2排出量を2013年度比60%削減とする目標年の2030年度と、「環境チャレンジ」の目標年である2050年度における事業への影響を予想し、項目別にリスク/機会として特定しました。これらのリスクの最小化、機会の最大化を図るため戦略へと落とし込んでおります。
■使用したシナリオ
■リスク機会一覧
(注)1 時間軸 短期:現在~2025年 中期:2030年 長期:2050年
2 影響度評価は以下のとおり設定しております。
大: 影響額が100億円超のもの
中: 影響額が10億円~100億円以内のもの
小: 影響額が10億円以内のもの
1.5℃(2℃未満)シナリオにおいて想定される主なリスクとして、炭素税をはじめとする規制の導入・強化を背景とした操業費の増加や、自動車の燃費・排ガス規制の強化による内燃機関車向け製品の売上減少等を特定しました。これらのリスクを回避するために、生産プロセスの省エネ化や物流の改善、製品開発の加速等を行う必要があると考えております。一方、内燃機関車からBEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)への移行は、当社事業の機会としても捉えております。当社は現在、電動車向けベアリングや耐水素ベアリング、次世代車と内燃機関車に共通する製品であるステアリングシステムや駆動部品を展開しております。特に、2022年10月にリリースした超幅狭軸受「JTEKT Ultra Compact Bearing®」は軸受の幅寸法を極限までコンパクト化することに成功し、ユニットの小型化、軽量化への貢献が可能となりました。今後はこれら製品の販売や新製品の研究開発に一層注力し、市場拡大を図ります。
(b) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は「企業価値向上委員会」に報告され、監督を受けるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会、取締役会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織には環境専門部会を設置し、省エネ/資源循環/生産技術革新/エネルギーインフラ/物流/技術・研究/バリューチェーン等、スコープ3排出量の削減も含めた気候変動への対応について、各分野における実務的な検討、評価を行っております。工場レベルの体制としては、各工場において工場長を委員長とした「工場環境保全委員会」を組織しており、隔月の委員会においてCO2排出量をモニタリングしております。
その他、グループを横断した環境取組みを実現するため、ジェイテクトグループ環境連絡会を設置しており、国内・海外グループ各社の取組みの振り返りや次年度の取組み計画の審議、環境マネジメントに関する意見交換等を行います。さらに2021年度からは社長直轄の「カーボンニュートラル戦略室」を設置し、事業本部間の意思疎通の円滑化を進めております。
(c) リスク管理
当社は、環境リスクを全社レベルのリスクマネジメント体制へ統合し、管理しております。環境リスクについては、「企業価値向上委員会」が特定・評価・管理のプロセスを担っております。「企業価値向上委員会」では、「ジェイテクト環境委員会」や環境マネジメントシステム(ISO14001)で抽出されたリスクの識別・評価を行い、影響度、重要性、脆弱性、発生可能性の観点から優先順位付けした上で、回避・軽減等の対策を決定・登録・管理しており、今後の取組みについて全部署へ共有されております。また、重要リスクについては定期的に取締役会に報告しております。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、2035年までに生産(スコープ1+スコープ2)におけるCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を設定しております。また、中期目標の「2030年マイルストーン」としてCO2排出量を60%削減(2013年度比)するとともに、国内外のグループ会社を含め、当社グループ全体でCO2低減活動を進めております。
この中期目標はパリ協定が求める水準と整合すると考えておりますが、このことを客観的な視点から確かなものとするため、当社は、科学的な根拠に基づく目標設定が認定されるSBT(Science Based Targets)の取得を目指しております。
■中長期目標

■スコープ別CO2排出量 (単位:千t-CO2)

当社は、気候変動への対応に関する取組みが高く評価され、国際環境非営利団体CDPによる「2023年気候変動」部門の調査において8段階評価中、最上位の評価となるAに認定され、リーダーシップレベルの評価を獲得しました。
② 循環型社会への貢献
世界的に加速する経済成長の中、消費される資源の増大に伴う天然資源の枯渇や資源採掘による自然破壊、廃棄物の埋立処分場の逼迫や周辺汚染等が問題となってきております。
当社は、循環型社会への貢献をマテリアリティに基づく重点テーマの1つとして掲げ、生産における副資材使用量の削減、生産品目上発生量の多い廃棄物の削減、水使用量の削減、プラスチック資源の循環等、様々な取組みを行っております。
(a) 戦略
当社では、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込み、廃棄物及び水使用量の削減活動を推進しております。
現在、世界的な人口増加や経済成長に伴う消費拡大により、世界の資源採掘量及び廃棄物量は増加傾向にあり、その枯渇も懸念されております。このような状況において、当社の継続的な事業活動のためには生産に必要な副資材使用量及び廃棄物の削減が不可欠と考えております。特に排出量の多い汚泥、廃油を重点品目に指定し、優先的に改善を行うとともに、金型の長寿命化の取組みを行い、副資材使用量の削減活動を推進しております。
また、事業を継続する上で必要な良質な淡水は、その利用が制限された場合には当社の生産工程である熱処理、洗浄工程等の稼動に多大な影響を与える可能性があるため、水使用量削減に向けた取組みが必要となります。当社は、特に水ストレス地域であるインド・メキシコに対して水使用量の削減目標を設定する等、取組みを進めております。
(b) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は「企業価値向上委員会」に報告・審議されるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織である環境専門部会の一つである「生産環境改善部会」において、廃棄物と水使用量の削減に関するKPIを設定し、経営役員である全社環境総括役員を筆頭として、取組みの進捗確認、議論、審議等を行っております。
(c) リスク管理
「①地球温暖化防止(c)リスク管理」の記載をご参照ください。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、内製生産高当たり廃棄物量/水使用量の原単位削減目標を設定し、2025年までに2018年度比7%削減を目標として取り組んでおります。また、5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込み、活動を推進しております。このような取組みが高く評価され、国際環境非営利団体CDPによる「2023年水セキュリティ」部門において、上位2番目の評価となるA-に認定されました。
③ 環境負荷物質削減
地球の生態系や人の健康に悪影響をおよぼす環境負荷物質に対しては、その使用・排出規制が強化されており、企業には生産から廃棄に至るまで、全ての段階において徹底した環境負荷物質管理と削減対策、そして各種規制の遵守が求められております。モノづくりの企業である当社にとっての環境負荷物質削減は重要な社会的責務であると考え、マテリアリティに基づく重点テーマの1つに掲げております。
(a) 戦略
当社は製品含有化学物質管理において製品を提供する上での法的/社会的責任を果たすため、各種法令規制や要請を遵守することを企業活動における重要な方針としております。
(b) リスク管理
当社の製品含有化学物質管理が抱える社会/お客様へのリスクは、環境負荷物質の流出による法的責任の発生と、世の中からの信頼失墜が生じることであります。また、社内管理が不十分であると、国内外の規制変更や厳格化に対応できず、当社製品の使用が制限されることがあります。これにより、製品の供給/販売が困難となり、回収や切り替えコストの発生による価格競争力の低下がリスクとして懸念されます。
上記リスク回避のため、化学物質の安全性に関する最新の情報収集や、適切な規制遵守、社内外への製品含有化学物質管理の重要性周知等、製品含有化学物質管理の強化と改善を継続します。具体的な一例として、製品の研究や設計段階から、原材料や部品の調達時に化学物質の安全性や使用量を確認、成分表示を明確にした上で、必要に応じて顧客へ正確な情報を提供するようにしております。
(c) ガバナンス
当社では、研究開発本部領域長が委員長を務める「製品環境委員会」を中心とした製品含有化学物質管理体制を構築しております。同委員会は年2回開催され、会社方針に基づいて課題の明確化と目標設定をするほか、方策の妥当性協議及び決定、進捗状況の管理を行っております。
また、同委員会の下部組織には、7つのワーキング・グループを設け、製品含有化学物質管理に関する全社方針の策定、国内外の体制構築、社内外の監査/教育、製品含有化学物質変更の際の設計変更や製品の切り替え推進について、役割分担と責任の所在を明確化した上で、活動を進めております。
(d) 指標と目標
当社は、製品環境委員会のビジョンを策定しました。2023年度までは顧客要求に追随するため、年2回以上の製品含有化学物質管理リストの更新を行なうことや、属人化しない仕組みを構築するために社内規程の見直しを実施しました。さらに化学物質の安全性に関する最新の情報収集や、サプライチェーンを含む関係会社の教育/監査体制の仕組みを強化し、2029年度までに顧客要求を超える管理体制の構築により、顧客に選ばれ続ける安全/品質の提供を目指しております。現在、国内外グループ会社のルール統一化を目指し、製品含有化学物質管理体制の強化を推進しております。

図 製品環境委員会のビジョン(2024年度改訂)
(3) 社会
当社は、「社会から信頼され、社会に貢献できる組織と人をつくる」ことをマテリアリティに掲げており、「人づくり、仕組みづくり」の要素として社内環境整備、人財育成及び多様性の確保と尊重に関する様々な取組みを行っております。
社内環境の整備については、従業員の安全を第一としております。機械製造業を主要な事業とする当社においては、工業機械や化学物質の取扱いにあたって従業員の安全・健康への危険が伴います。このような危険から従業員を保護し、安心して働ける環境の維持を重視しております。また、従業員のモチベーションやパフォーマンス向上にも従業員の健康が欠かせないものと考え、より積極的な健康経営を推進しております。
また人財育成については、個々の能力向上に加えて、取り巻く環境の変化に対応できるよう様々な育成プログラムを提供するとともに、人財の多様性を確保し誰もが活躍できる組織を目指します。
本項では、マテリアリティに基づく重点テーマとしての「労働安全衛生」「健康経営」「人財育成」と「ダイバーシティ&インクルージョン」に加え、昨今サステナブル経営において重視される「ビジネスと人権」の取組みについて取り上げております。
① 労働安全衛生(社内環境整備①)
当社は「ジェイテクトの基本理念」において「安全第一・品質第二」を掲げ、価値ある製品を提供するための基盤となる従業員の心身の安全(労働安全衛生)をマテリアリティに基づく重点テーマの1つとしております。
(a) 戦略
当社グループでは「全ての災害は必ず防ぐことができる」を安全衛生理念とし、全従業員が一体となって全員参加の安全衛生活動や快適な職場環境づくりに取り組んでおり、安全衛生理念を表したグローバルメッセージ"All for One in Life"のもと、命と健康を中心に置いた活動を通じて災害ゼロ実現を目指しております。

(b) ガバナンス
当社は、健康で安全・安心で働きやすい快適な職場環境づくりを目指して、取締役社長を委員長とし、経営層を含めた各工場・事業所の安全衛生業務事務局メンバーで構成された「全社安全衛生委員会」を設け、国内外のグループ会社を含めた安全・衛生の一元管理体制を構築しております。この「全社安全衛生委員会」は、期央・期末の年2回開催され、安全スコアの振り返りや従業員の声に基づき、安全・衛生・防火に関する方針展開と進捗状況の確認を実施し、その結果は全従業員に展開されております。
また、「全社安全衛生委員会」の活動を補う組織として、「安全衛生推進会議」を毎月開催し、安全に関するトップメッセージ、年度方針の進捗状況のフォローに加え、災害事例の情報共有や再発防止対策の検討や展開も行っております。さらに工場を含む各事業所においては、事業所長を委員長にした各事業所単位での安全衛生委員会を設置し、各種安全衛生活動の実施・確認や、労使の協力による課題の対策を積極的に行っております。
(c) リスク管理
当社では、過去の災害の分析から重大な障害に結び付きやすい災害を重点6災害として分類し、重点的に対策を行っております。中でも「挟まれ・巻き込まれ」による災害が頻度も高く、特に対策を進めており、リスクがある設備に対して、リスクレベルによるランク付け、ラベル表示を行い、現地現物でのリスク明確化を実施するとともに、改善に向けた計画の立案から推進まで全社一丸となって取り組んでおります。
これら労働災害未然防止のため、各工場で「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)」の考え方に基づき管理体制を構築し運用しております。各現場においてはリスクアセスメントによるリスク管理を行い、労働災害の未然防止に取り組んでおります。
また、労働災害発生時の速やかな情報共有にも取り組んでおり、労働災害発生時は、「発生部署→工場安全担当部署→総括安全衛生管理者→全社」と、全社規程により伝達ルートが定められ、迅速な情報共有と再発防止に活用しております。

(d) 指標と目標
当社では、前述の「全ての災害は必ず防ぐことができる」という安全衛生理念に基づき、事業活動における重大災害(死亡災害)をはじめとするあらゆる災害の予防を目標としており、重大災害(死亡災害)の件数及び、休業度数率(休業1日以上を計上)を指標として定めております。
② 健康経営(社内環境整備②)
当社では、従業員の健康づくりに投資することが、従業員のモチベーションやパフォーマンス向上につながり、結果的に企業の持続的成長による企業価値の向上につながると考え、マテリアリティに基づく重点テーマの1つとして「健康」を掲げ、健康経営を推進しております。
(a) 戦略
当社は、「健康宣言」に基づき、「従業員の心身の健康増進」を重要な経営戦略の一つに設定し、健康習慣等の実践状況と休職状況等の両面で総合的に評価し、PDCAサイクルを回す取組みを実践しております。

(b) ガバナンス
当社は、取締役社長を責任者とする経営層が中心となり、人事機能部署、労働組合、健康保険組合で組織する「健康経営推進体制」を中核に、関係者が一体となって健康経営を推進しております。また、取締役社長を委員長とする「全社安全衛生委員会」では健康経営施策の計画・結果等を報告し、各施策について承認を得た上で、各職場や従業員に展開しております。

(c) リスク管理
当社は、従業員の健康問題による労働損失を重要なリスクと捉え、アブセンティーズム(健康問題による欠勤)の低減に重点を置いた取組みを実施しております。具体的には私傷病による休務者数・休務日数で評価を行い、メンタルヘルス不調者対応や生活習慣病の予防・改善、健康意識向上に注力しております。これら各施策を通じて、従業員一人ひとりが健康にいきいきと働ける会社を目指します。
(d) 指標と目標
当社では、健康経営の取組みにあたって様々な管理指標を設定しておりますが、その成果を測る指標としては健康経営度調査の結果を採用しております。健康経営度調査とは経済産業省主催で毎年実施している健康経営の取組み状況に関する調査で、自社の健康経営に対する客観的な評価を確認することができると考えております。
当社では2025年までにこの調査で上位評価である500位以内に入り、「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定取得を目標としております。
③ 人財育成
当社は、競争環境、労働環境をはじめとした取り巻く環境が急速に変化していく中で、これらの環境変化に対応しつつ組織として成果を出し続けるためには、従業員一人ひとりが自ら学び、主体的に成長することが必要であると考え、人財育成をマテリアリティに基づく重点テーマの1つに設定して取組みを行っております。
(a) 戦略
人財育成方針
<事技職従業員の人財育成>
OJT、Off-JT、キャリア開発の3つの柱で構成され、OJTでは、対話と実践を通じてメンバーの主体性を引き出すための定期的な面談やOJTトレーナー制度を実施しております。Off-JTでは、当社の仕事の基本である「問題解決力」を強化する研修を軸として、職位別、年齢別、テーマ別研修等、体系的に実施するとともに、自発的な学びの促進のため、e-ラーニングによる選択型教育を実施しております。キャリア開発では、従業員の自己実現のため、キャリア面談やサクセッションプラン、社内公募制度があり、従業員の価値観に応じて自発的なキャリア選択ができる環境を整備しております。
<技能職従業員の人財育成>
全社教育、職場教育、自己啓発の3つの柱で構成しております。全社教育では、高等学園での教育を基礎とするキャリア開発プログラム(階層別教育)のほか、職場リーダー養成のためのTWIトレーナー(監督者訓練指導員)・リーダー養成講習、新任監督者に向けた研修では、生産調査部と連携しトヨタ生産方式(TPS)の実践訓練を実施する等、理解度向上に力を入れております。また自己啓発では、国家技能検定、QC検定、自主保全士等の取得に挑戦できるよう支援しております。
(b) ガバナンス
人財育成に関する取組みの状況や課題については「企業価値向上委員会」にて報告をし、社外役員を含めた取締役、監査役及び経営役員らによる監督・助言を受けております。
(c) リスク管理
日本国内における少子化、要求される人財の高度化や雇用の流動化の中で事業活動に必要かつ有用な人財の確保は困難の度を増しており、当社は、人財の育成は事業継続の根本的な課題の一つと認識しております。このような考え方のもと、当社は心身両面での人財の育成に取り組んでまいります。
<高いモチベーション維持と能力向上>
人財育成、評価、処遇の3要素を有機的に結びつけ、入社から退社まで高いモチベーションを維持しながら能力向上を図れるよう、各種人事制度を関係づけて構築しております。
(d) 指標と目標
当社は、環境の変化に対応し、未来志向をもってお客様のニーズに応えるために必要なものとして、従業員一人ひとりの問題解決能力を特に重視しております。そのため、Off-JTである問題解決研修を入社以降の複数年と主任(係長級の役職)登用時に対象従業員の全てに受講させることとしており、人財育成の主要な指標・目標として同研修への参加率を掲げております。
④ ダイバーシティ&インクルージョン
当社では、多様な人財の誰もがそれぞれの能力を発揮できることは、倫理的観点だけでなくイノベーション創出や競争力向上等、企業の持続的成長においても欠かせないものであると考え、マテリアリティに基づく重点テーマの1つとしてダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)の取組みを進めております。
(a) 戦略
当社では、従業員の誰もが公平な機会を持ち、組織の中で必要とされていると感じ、その中でそれぞれの能力や特性を最大限に発揮できるようにするため、職場環境や働き方の仕組みの整備に取り組んでおります。
D&I方針を定め、年齢、性別、人種等の表層的な多様性だけでなく、価値観やスキル、経験、文化、性的指向、性自認等、深層的にも多様な人財が働きやすい職場づくりへの取組みも行っております。
D&I方針
(b) ガバナンス
D&Iに関する状況や課題については、「企業価値向上委員会」にて報告し、その監督・助言を受け、取組み状況の進捗については経営管理本部本部長に適宜報告をしております。また、女性管理職人数、男性の育児休業取得率等の重要指標については適切に社外公表を行っております。
(c) リスク管理
当社では、多様性の欠如がイノベーション創出や競争力において影響を及ぼすだけでなく、人権侵害や差別、ハラスメント等を起こすことや、モチベーションの低下に繋がることもリスクと捉えております。また、多様性が低い職場はグループシンク(集団浅慮)により、誤った判断に繋がりやすいこともリスクと認識しており、多様性を活かす職場環境や働き方の仕組みを整備することによりリスクを低減できると考えております。特に介護や育児、不妊治療等のライフイベントによりキャリアを中断することのないよう仕事と家庭の両立支援制度の充実に力を入れております。
具体的には、法定以上の育児短時間勤務制度の整備や託児所支援、ベビーシッター補助制度、カムバックサポート制度(退職した従業員の復職制度)等を整備しております。また、両立支援や障がい、LGBTQ+等に関する研修を実施し、安心して働くことのできる職場風土の醸成にも力を入れております。
(d) 指標と目標
当社は、上記のとおり様々な観点からD&Iに関する取組みを行っておりますが、特に仕事と家庭の両立支援を重視する立場から、ジェンダーに関わらず活躍できる環境整備を進めております。そのため、女性管理職人数と男性の育児休業取得率をD&Iの主要な指標と定め、2025年度時点での目標を掲げております。
⑤ ビジネスと人権
世界的にビジネスが人権に与える影響に対する関心が高まっており、企業に対して責任ある対応が求められております。当社でもサステナビリティ経営に不可欠な要素として人権を尊重する事業活動を志し、「ビジネスと人権」の取組みを進めております。
(a) 戦略
当社では、当社の事業活動が自社だけでなく、サプライチェーン上における人権課題にも影響することを認識しております。そのため、「ジェイテクトグループ人権方針」に基づき、人権デュー・デリジェンスに取り組んでおります。(https://www.jtekt.co.jp/sustainability/human_rights_policy.html)
2022年には、人権インパクト・アセスメントを実施し、リスクを「深刻度」と「発生可能性」の観点から評価しました。その結果、「強制労働・奴隷的拘束」「児童労働」「差別」「ハラスメント」の4つを当社グループにとって最優先で対応すべき人権リスクとして特定し、「重点取組み課題」としております。また、2023年度には国内主要仕入先向け人権調査や従業員研修、役員研修等を実施しております。
人権取組みの全体図

(b) ガバナンス
当社の人権尊重に関する取組みについては、「企業価値向上委員会」にて報告・審議をしており、取組み状況の進捗については経営管理本部及び調達本部の本部長に適宜報告をしております。
(c) リスク管理
企業の人権対応が不十分な場合には、レピュテーションリスクや調達取引への負の影響、各国での法務リスクや人財の確保・定着へ悪影響等が生じることをリスクとして捉えております。当社は、人権デュー・デリジェンスを適切に実施し、その結果を踏まえたリスク・アプローチにより、人権侵害の予防、軽減措置を講じてまいります。
(d) 指標と目標
当社は、人権デュー・デリジェンス等により人権侵害の発見と予防に取り組んでおり、当社事業活動に関連する重大な人権侵害の発生を指標として、これを発生させないことを目標としております。
(4) ガバナンス
当社は、サステナブル経営による企業価値向上を目指すにあたって、経営戦略に基づく事業プロセスの正常な機能を確保するため、コンプライアンス(法令及び社内規程等の事業活動に関わるルールの遵守)とリスク管理を重視しております。当社のリスク管理に関する取組みは多岐にわたりますが、本項では昨今特に重要性を増している情報セキュリティについて取り上げております。
① コンプライアンス
当社は、コンプライアンスが企業価値を支える前提・基礎であり、「ジェイテクトの基本理念」を実現するために不可欠なものであると位置づけ、マテリアリティに基づく重要テーマの1つに位置付けております。
(a) 戦略
当社では、「JTEKTグローバル・コンダクト・ガイドライン」を役職員の行動指針として、継続的なコンプライアンス・プログラムを実施しております。このコンプライアンス・プログラムにおいては、毎年の実施計画に基づき、全ての役職員に対し、時々の事例を元にした全社教育、啓発活動を行うとともに、階層別、役職別の各役割に応じた教育を実施しております。また、社内各部署及び国内外のグループ会社におけるコンプライアンスの体制整備、運用、各施策の実施等の状況をモニタリングしております。さらに、社内各部署の従業員に対し、継続的に品質不正やハラスメント等のコンプライアンス違反に関するアンケートを実施し、未然防止に努めております。
当社は、これらの成果をもとに次年度の実施計画を立案するというプロセスを繰り返すことで、コンプライアンス違反のない事業活動を目指しております。
(b) リスク管理
当社の多岐にわたる事業活動においては各種法令による規制を受けるほか、社会の一員として要求される社会規範のレベルは高いものであり、これらに違反する事態の発生は大きなリスクであると理解しております。その中でも、主力製品の性質及び多くの国と地域に顧客をはじめとするステークホルダーを有することに鑑み、公正な取引慣行の遵守が強く求められているとの考えから、当社は、カルテル行為と腐敗行為(贈収賄や横領等)の防止及び下請取引を含む取引適正化に特に重点を置いております。
当社は、これらリスクの顕在化を未然に防止し、早期に発見するため、前述のコンプライアンス・プログラムの実施に加え、当社グループの誰もが利用できる内部通報制度を整えるとともに、社外ステークホルダーからの苦情等を受け付ける各種窓口を設置することで、日々リスク管理に努めております。
(c) ガバナンス
以上のコンプライアンスに関する取組みの状況及び課題については、内部監査部門及び監査役による監査を受けるとともに、取締役をはじめとする経営層が出席する経営会議において定期的に報告され、確認を受けております。
(d) 指標と目標
当社は、継続的な施策の実施によって違反行為の発生リスクを低減し、独自に設定する重要法令違反(カルテル行為、腐敗行為等を含む当社が独自に設定する事項)を発生させないことを目標としております。
② 情報セキュリティ
当社は、会社情報、お客様情報の取り扱いに対し、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しております。また、当社グループ製品には、モビリティの運転支援機能や各種サービスに貢献する様々な情報技術システムが利用されております。当社は、これらの情報技術ネットワークやシステムに対するサイバー攻撃に対処し、当社やお客様、バリューチェーンの安全と事業継続を確保するため、情報セキュリティを重視しております。
(a) 戦略
当社は、情報セキュリティの継続的な対策強化に取り組むとともに、安心安全なITデジタル基盤の醸成を目指し、グループを含めたセキュリティガバナンスの強化、グローバル標準への対応、セキュリティ人財育成により、情報セキュリティ体制の維持・構築とセキュリティレベルの向上を推進しております。
(b) ガバナンス
当社は、CISO(最高情報セキュリティ責任者)及び専門部署を設置し、様々な情報技術システムの利用や、当社製品に搭載される情報技術システムに対する安全性確認、及びその脅威に対する情報収集、展開をグループ全体で実施し、早期検知及び対応に努めております。
(c) リスク管理
企業に対するサイバー攻撃による情報リスクへの脅威は増加しており、いくら安全対策が施されていても、情報システムの障害発生や機密情報が外部流出するリスクは排除できません。さらには、サプライチェーンを含めた事業活動が一時的に中断するリスクも存在します。このような事態となった場合には、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用低下により、当社グループの財務状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、情報技術ネットワークやシステム利用においては、必要な防御策を施した上で、攻撃による侵入や不正通信を監視し、万が一の場合に対応できる体制を整備しております。
当社製品においても、該当製品にはセキュリティを考慮した設計、開発を行なっており、脆弱性等のリスクが発見された場合に対応できる体制も整備しております。また、サプライチェーンも含めたリスクに対しては、2022年より当社仕入先との対話を通じた対策強化の取組みを継続して実施しております。
(d) 指標と目標
当社は、事業継続・生産計画への影響、損害額、社会に対するインパクト等を勘案した独自の基準に基づく「重要インシデント」を指標として設定し、これを発生させないことを目標としております。
(5) サステナビリティに関する指標と目標
当社グループは、長期・中期計画の達成を妨げるリスクをグループ全体で統合的に管理することを目的に、リスク管理の最高責任者であるCRO(チーフリスクオフィサー)を議長とするリスク管理委員会を設置しております。
具体的には、国内外のグループ会社までを適用範囲に含む「リスク管理規則」に基づき、外部/内部の環境変化を取り込んだリスクの自己評価を実施し、評価した結果を基に、リスク管理委員会での審議を経て、重点リスクを特定し、リスク毎に統括責任者を選定し、組織横断的なリスク対応を進め、定期的に対応の進捗を確認しております。
一例として、上記に基づき、当社グループにおけるリスク分析結果及び近年の社会環境・情勢を踏まえ、例えば「品質データの偽装、改ざんリスク」を重点リスクと定め、その対策として、品質に関する社内規程や教育関連情報等の周知・共有を推進するとともに、「心理的安全性の浸透のための役員・部署長向けのワークショップ」を実施しました。
上記の重点リスクを含め、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(自動車業界及び自動車市場への依存)
当社グループは、ステアリングシステム、駆動部品、ベアリング及び工作機械等の製造販売を主な事業としております。
このうち、ステアリングシステム及び駆動部品は、ともに大半を自動車業界向けに製造販売しております。ベアリングは各産業において広く使用される部品でありますが、当社グループでは、その売上収益の過半が自動車業界向けであります。また、工作機械につきましても、その受注は自動車業界からのものが中心であります。
なお、当社の筆頭株主であるトヨタ自動車株式会社との取引金額は、連結売上収益の19.5%を占めております。
当社グループは、日本をはじめグローバルな自動車の需要見通し及び顧客より提示される自動車の販売見通し等を総合的に検討・判断した上で経営資源の効率的な投入を行っております。また、ベアリング及び工作機械における自動車業界以外の幅広い顧客層の維持に努めているほか、現代において解決が求められる社会課題に対し、当社グループがこれまで培ってきた技術の活用を提案するために、様々な新規事業を企画し、自動車以外の業界に対しても展開しております。しかし、これらの取組みが必ず功を奏する保証はなく、当社グループの売上収益減少や投下資本の回収の遅れにつながることがあります。
これらのことから自動車業界及び自動車市場の動向は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(価格競争)
当社グループ製品の市場における価格競争は大変激しいものとなっております。
このような状況下でも、当社グループは、それぞれの製品分野において技術的に進化した製品を送り出す世界的なリーディング・カンパニーであると自負しており、より魅力的な製品を低価格で提供できるよう、「ジェイテクトの基本理念」の要素である「本気」と「対話」を通じて顧客も気付いていない「潜在ニーズ」の発掘、不断の技術開発、製造原価の低減等に努めております。
しかし、将来においても市場で優位性を保ち続けることができるという保証はありません。特に自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっており、当社グループは、各製品及び市場において競争激化の渦中にあり、競合先である他自動車部品メーカーの一部は当社グループよりも低価格で製品を提供しております。さらに、モータリゼーションの進展その他の顧客ニーズの変化や高度化に伴い、新しい競合先の台頭又は既存競合先の躍進・連携により、当社グループの競争力が相対的に低下したときは市場でのシェアを失う可能性があります。また、長期的な事業戦略の上で、収益性を犠牲にして製品価格を下げるといった判断を余儀なくされる場合があります。
このように、価格競争の結果としての市場シェアの縮減や収益性の低下は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(新製品開発)
当社グループは、斬新で魅力ある新製品・新技術の開発に邁進し、顧客からの支持をいただいてまいりました。今後も製品開発力の強化はもちろんのこと、生産準備期間の短縮、コストの低減、品質の向上等、様々な面から施策を講じて顧客の要求を満たすために努力してまいります。
しかし、これら開発には多くの資金と資源を投入する必要がある一方で、顧客からの支持を得て売上につながる確実な保証はありません。また、顧客からは一層の技術の高度化、開発期間の短縮等を求められ、当社グループは同種製品を扱う競合先との激しい開発競争に晒されております。そのため、当社の施策が将来にわたって常に競合先を上回る競争力を保持し続けることができるという保証はありません。
当社グループが業界と市場の変化に対応しきれず、あるいは必要十分な資源を投入することができないことにより、競合先よりも魅力ある新製品を開発できない場合には、中長期的な市場シェアの縮減や製品の売上減少につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品その他の多くを外部の事業者からの供給に頼っております。
そのため、これら供給元の生産能力不足や廃業、市況の変化等による価格の高騰や品不足、工場火災のような事故や地震のような自然災害の発生等の様々な要因により、半導体その他の主要な原材料や部品の調達に支障をきたすことがあります。
このようなリスクを回避するため、当社グループでは、各種の原材料や部品等を複数の事業者から調達し、安定的な供給の維持を図っております。
しかし、供給元の選択肢は限定的である場合もあり、供給が不安定となるリスクを完全に払拭できるものではありません。このようなリスクが顕在化した場合、製品の生産不能による売上の減少や顧客に対する供給責任、製造原価の上昇による収益性の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「品質」を経営の最重要事項の一つとして掲げ、顧客から認められた世界水準を満足する品質管理基準に則って製品を製造しております。また、品質問題の発生に備え、製品保証引当金による会計上の手当、保険加入による製造物責任等のリスクヘッジも行っております。
しかしながら、製品の開発・製造等における品質上のリスクの全てを将来にわたって完全に排除することは困難であり、また、リスクヘッジのための諸施策をもってしても、大規模なリコールへの対応や製造物責任等に基づく高額の賠償請求に対して、その全てをカバーできないことも想定されます。さらには、製品の品質不良が原因となって災害や人身事故等が発生した場合には製品、ひいては当社グループ自体の社会的信頼の低下を招き、顧客との取引停止等につながることがあります。
これらに伴う支出及び品質問題に起因する社会的信用の低下や顧客との取引停止等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これまでの製品開発において蓄積してきた技術・ノウハウを当社の知的財産権として適切に保全、活用しております。しかしながら、これらの技術・ノウハウは、特定の国・地域においてはその法制度上の制限等により、知的財産権としての完全な保護を受けることが困難な場合があります。このような場合には、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造する等の行為を十分に阻止できない可能性があります。
また、当社グループは第三者の知的財産権を尊重し、紛争等に巻き込まれることを防止するため、第三者知的財産権の事前調査等の対策を行っております。しかしながら、全世界の全ての権利を完璧に把握することは困難であり、将来的に当社グループの製品において第三者の知的財産権が発見され、製品の製造販売に支障をきたす可能性は排除できません。
これら知的財産権に内在する問題に起因する、製品販売の機会喪失や、第三者からの損害賠償請求等に基づく支出によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業拡大や競争力の強化等を目的として、M&Aや資本参加、資本提携等を行うことがあります。これらの企画においては事業戦略上の意義を確認し、リスクを踏まえた慎重な検討により最善と考える方法を選択し、また、実現した後は当初の目的を達成できるよう努めておりますが、その全てが計画通りに成功を収める保証はありません。
これら企画の目標達成が遅延、不可能となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多様な顧客のニーズに対応し、また、事業活動上のリスクを分散するため、グローバルな事業展開を行っており、連結売上収益に占める海外売上収益の割合は61.1%を占めております。米州、欧州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を行っており、また、取引先も多岐の産業分野に属しているため、グローバルベースの経済状況変化は勿論のこと、当社グループが生産、販売を行っている特定の国・地域の経済状況の変動や、取引先の属する産業の景気変動が、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表作成にあたり、現地通貨で作成される海外関係会社の財務諸表を円換算しているため、現地通貨における価値が変わらなくとも、当社グループの連結財務諸表は為替レートの変動による影響を受けます。
また、当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、円高の進行により価格競争力の低下を招く可能性があります。一方、急激な円安進行は、原材料や物流、エネルギー等の調達コスト高騰を招く可能性があります。海外で使用する原材料等の現地調達比率の向上や為替予約等により当該リスクの軽減を図っておりますが、全てのリスクを排除することは困難であります。従いまして、当社グループの財政状態及び経営成績等は、為替レートの変動による影響を受ける可能性があります。
(3) 政治・規制・法的手続・災害等に関するイベント性のリスク
当社グループは、東海・東南海・南海地震や暴風、豪雨等の大規模自然災害、世界規模の感染症拡大(パンデミック)の発生等の可能性に備え、これらの災害による被害を最小限に抑えるため、事業活動への影響を考慮し、異常事態への対応体制や緊急時の事業継続計画(BCP)策定等の施策を講じております。
しかしながら、これら施策により災害発生によるリスクを完全に回避することは困難であります。また、顧客又は供給元の罹災等、当社グループによる施策のみでは回避しきれないものも存在します。
これら災害が当社グループに与える影響は多岐にわたり、顧客の生産停止等による需要の停滞、労働力及び原材料等の不足による供給停止又は世界景気の後退等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現在、新型コロナウイルス感染症は収束に向かっているものの、感染症の影響以外にも、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ紛争の激化、世界的な金融引き締めの影響が広がることに伴う景気後退、中国における不動産市場の低迷を受けた中国経済の減速、中国自動車市場の急速な電動化シフトの影響といったリスクが懸念されております。当社グループでは、様々な施策を講じて従業員の安全確保、生産体制の維持に努めておりますが、自動車業界をはじめとする産業における需要の停滞等が予想され、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点では具体的な影響額の算定は困難であります。
当社グループは、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理、有害物質の排除、土壌・地下水汚染等に関する日本及び諸外国の環境に関する規制を受けており、それらを遵守するために必要な経営資源を投入しております。また気候変動をはじめとした地球環境問題は、その課題の解決に貢献できれば好影響を及ぼす可能性がある一方、対応を誤れば将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループは、製品の生産工程において、温室効果ガス、産業廃棄物、環境負荷物質等の発生を極力抑えるよう設計・製造の各段階で対策を講じておりますが、これらの対策により、現在及び過去の生産活動に関わる環境への影響を完全に排除することは困難であり、規制や市場の要求が厳格化した場合や、当社グループの活動に起因して環境への悪影響が発生したと判明した場合には、必要な対策を講じるために費用負担が増加することが見込まれます。
特にカーボンニュートラルへの対応が不十分と評価された場合には取引の継続にも関わる可能性があり、これらの事態が、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業運営に関連して各国の法令の適用を受けており、これらを遵守しつつ企業価値の向上に努めることを責務と考えております。また、事業遂行の過程で関わる顧客をはじめとする第三者との間では、公正で相互利益を基礎とした関係の構築を重視しております。当社グループでは、このような企業としてのあり方の実践のため、法令違反を未然に防止するための仕組みづくり、定期的な社内点検や役職員に対する教育等を継続して実施しております。
しかしながら、これらの取組みをもってしても、当社グループの事業活動に伴い、各国各種の法令等への違反や利害の対立に起因する訴訟紛争が発生する可能性を、完全に排除することはできません。
既存又は将来の法令違反に対する処分及び訴訟紛争により、制裁金等又は損害賠償責任等を負担するに至った場合の支出、さらには法令等に違反したことによる社会的信用の低下に起因する様々な結果は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの工作機械は、多くの国と地域での輸出関連法規により規制される貨物に該当します。最近の輸出関連法規に対しては、社内外のリソースを活用して情勢をモニタリングし、グループ内で情報を共有・周知し、変化に対応しております。しかしながら、国際情勢の変化による予期できない規制強化等に直面した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度の事業環境は、世界的なインフレ進行に対する各国の金融引き締めの影響が広がることに伴う景気後退への懸念、中国の経済成長鈍化や各地域での軍事衝突に起因するエネルギー価格の高騰リスク等、先行き不透明な状況が継続するなかでも、自動車の生産回復等により景気は緩やかな回復基調にありました。
当社は、第一期中期経営計画(2021~2023年度)に基づき、モビリティの電動化・自動運転化や持続可能な循環型社会への移行等変化し続ける時代のニーズに対応し、社会課題の解決を通じて競争力を強化することで事業を成長させるため、徹底した原価低減と固定費削減により生まれた資金をDX(デジタルトランスフォーメーション)や新規事業等の将来の成長に向けた投資に振り向ける構造改革を進めてまいりました。
第一期中期経営計画に掲げた4つの柱のうち「経営基盤強化」につきましては、2019年度の親会社の所有者に帰属する当期利益が37億円の赤字という状況に対して損益分岐点の引き下げが急務と考え、聖域なき収益改善、関係会社統廃合、欧米の構造改革といった合理化を進めてまいりました。その結果、2020年度時点で92%であった損益分岐点売上比率(2019年度売上収益比)は、2023年度は82.5%となり、大きく改善が進みました(外部環境変化による影響を除いた体質評価)。2023年度の目標としていた80%は達成できませんでしたが、インフレの逆風の中でも2020年度以降は黒字を継続し、3年連続の増収増益という年輪経営を実現しております。
収益体質を支えるガバナンスの面では、今期は全社リスクマネジメントの強化のためリスク管理委員会を新たに設置し、重点的に管理すべきリスクは何か、経営戦略との結びつきやリスク対応の体制と目標等について議論しました。また、一層の業務のDX化を推進するためITデジタル本部を組織し、全員参加のDXパートナー活動等の取組みを始めております。今後もグループ一体経営でのコーポレート・ガバナンス強化に努めてまいります。
「競争力強化」の取組みとして、「自動車事業」においては固定費削減や量産プロジェクトの原価低減(売上Top5を優先した活動)等により着実に収益性を回復させるとともに、将来を見据えて更なる高収益化を目指し『シンプル・スリム』をコンセプトに設計・工程を抜本的に見直した次世代電動パワーステアリング(EPS)を投入いたしました。「産機・軸受事業」では、2030年に向けて注力分野を電動車及び産機成長領域へとシフトしてまいりました。電動車向けにはJTEKT Ultra Compact BearingⓇ(JUCB)、JTEKT Ultra Earth BearingⓇ(JUEB)等の“電費貢献No.1”製品を投入し、産機成長領域については売上拡大に向けてNo.1プロジェクト活動により新規商談の獲得に伴うシェア向上といった成果を挙げつつあります。
「工作機械・システム事業」は、当社のNo.1製品である円筒研削盤のラインアップ拡充や、トヨタグループの一員として電動化対応に貢献するために電池製造設備の開発・製造を開始いたしました。
「アフターマーケット事業」は、ライフサイクルを支えるソリューションパートナーを目指し、自動車市販品の品ぞろえを強化するほか、軸受製品を中心とした裾野の広い顧客情報を収集分析することで事業を超えた販売シナジーを発揮するため、グループ営業本部を立ち上げグループ各社の販売拠点を集約し、クロスセールス強化を進めております。
「将来への種まき」の取組みとしては、拡大する電動車市場において、eAxleの部品メーカーとして幅広いお客様に貢献するために、電池搭載スペースを多く確保できるウルトラコンパクトな製品としてJTEKT Ultra Compact Diff.Ⓡ(JUCD)、JUCB、JTEKT Ultra Compact SealⓇ(JUCS)を投入しております。また、安全・安心・快適な自動運転の実現に貢献するJ-EPICSⓇ(ステアバイワイヤ:自動運転に親和性の高い新ステアリングシステム)やPairdriverⓇ(人とシステムがシームレスに調和した自動運転を実現するシステム)を付加価値の高い新製品として順次投入してまいります。
さらに、測量、設備点検、警備、物流等多くの社会課題解決に向け、ドローンを活用した社会課題解決プロジェクトに参画し、高耐熱リチウムイオンキャパシタ及び関連技術の提供により貢献しております。
その他の社会課題解決への貢献として、既存事業で培ったアシスト技術や高い安全設計技術等を活かしたアクティブライフ事業においては、介助者の負荷を軽減する介助用車いす電動アシストユニット軽e(かるいー)Ⓡを開発し、量産開始いたしました。
当社が第一期中期経営計画のなかでも、最も重視してきた「人づくり、仕組みづくり」においては、従業員一人ひとりが「お客様が何を求めているのか」「そのために自分は何をするべきか」を主体的に考え実行できる、「言いたいことが言える、やりたいことができる会社」を目標としております。そのために、問題解決を実践できる人づくりと本気と対話のあふれる風通しの良い職場づくりを進めてまいりました。この目標を体現するものとして、お客様の課題解決に答えを出すため、営業本部の有志社員が互いに切磋琢磨する社内コミュニティ「Answers-Laboratory(A-Lab.)」が発足いたしました。
なお、他社で発生した認証不正等の問題を契機に、当社グループ全体で、ルール違反が行われていないかの職場の総点検を実施した結果、不正案件は発見されなかったものの職場風土に関する課題の発見に繋がりました。これらの解決すべき職場の課題について労使が本音の対話を重ねることで、風通しの良い職場の実現に取り組んでおります。
今後も「ジェイテクトの基本理念」の浸透を通じて、真の「One JTEKT」として一体感のある「人づくり、仕組みづくり」を着実に進めてまいります。
「地球のため、世の中のため、お客様のため」を基本理念に掲げる当社では、環境へ配慮した取組みにも注力しております。近年、国内外のお客様からのカーボンニュートラルへの要求は具体的になりつつあり、気候変動への対応の重要性は日に日に高まっております。2022年5月に宣言したオールジェイテクトでの「2035年生産におけるカーボンニュートラルの達成」に向けて、生産技術革新による省エネの推進、再生可能エネルギーの積極的な導入、モデル工場での実証を通じた新エネルギーの採用に取り組み、加えて、全従業員が主体的に日常業務の改善を通じた徹底的な省エネ活動に取り組むことで、かけがえのない地球を次世代に繋ぐための挑戦を続けております。
特に、気候変動においては、TCFD*のフレームワークに沿って、複数のシナリオ(1.5℃/4℃)を使用して分析を行い、それらのシナリオにおける定量的なリスク及び機会や財務的な影響の評価を行っております。評価の内容については、有価証券報告書や当社ホームページ(環境報告)にて開示を行うとともに、想定されるリスク及び機会に対する対策の実行を進めてまいります。
*TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):気候関連財務情報開示タスクフォース
当連結会計年度の連結業績につきましては、次のとおりであります。
前連結会計年度に比べ、売上収益は2,133億57百万円(12.7%)増収の1兆8,915億4百万円、事業利益は102億40百万円(16.3%)増益の728億98百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は59億81百万円(17.4%)増益の402億57百万円となりました。
なお、売上収益事業利益率は3.9%と前連結会計年度より0.1ポイント上昇しております。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
「自動車」におきましては、中国を除く全地域で販売が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度に比べ2,017億44百万円(17.7%)増収の1兆3,444億38百万円となりました。事業利益は、販売増や為替の影響、原価低減の効果等により、140億46百万円(45.3%)増益の450億39百万円となりました。
「産機・軸受」におきましては、日本やアジアで販売が減少したものの、欧州等で販売が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度に比べ65億69百万円(1.9%)増収の3,580億77百万円となりました。事業利益は、為替の影響や原価低減の効果はあるものの、原材料価格やエネルギー費の高騰影響等により、43億54百万円(25.6%)減益の126億86百万円となりました。
「工作機械」におきましては、北米やアジアで販売が増加したことにより、前連結会計年度に比べ売上収益は50億43百万円(2.7%)増収の1,889億89百万円となり、事業利益は9億77百万円(7.1%)増益の147億36百万円となりました。
財政状態につきましては、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産は、現金及び現金同等物や棚卸資産の増加等により、1兆6,285億14百万円と前連結会計年度末に比べ1,871億58百万円の増加となりました。
負債につきましては、借入金の返済による減少等があったものの、営業債務及びその他の債務や繰延税金負債の増加等により、8,057億43百万円と前連結会計年度末に比べ651億23百万円の増加となりました。
また、資本につきましては、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上やその他の資本の構成要素の増加等により、8,227億70百万円と前連結会計年度末に比べ1,220億35百万円の増加となりました。
なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の1,945円44銭から2,300円32銭に増加いたしました。
また、社債及び借入金につきましては、2,419億47百万円と前連結会計年度末に比べて132億22百万円減少しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3) 長期的な会社の経営戦略」や「(5) 優先的に対処すべき課題」に記載しております様々な取組みにより、経営上の目標達成につなげてまいります。
連結キャッシュ・フローにつきましては、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の計上や営業債務及びその他の債務の増加等により、当連結会計年度は1,544億61百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は782億79百万円の資金の増加)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出や無形資産の取得による支出等により、当連結会計年度は713億52百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は521億9百万円の資金の減少)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入があったものの、借入金の返済や配当金の支払等により、当連結会計年度は472億24百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は287億7百万円の資金の減少)
これらに換算差額を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,670億19百万円となりました。
(注) 1 金額は平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注加工費及び購入部品費が含まれております。
当社グループの販売高の大部分を占める、自動車業界向け部品については、納入先から提示される生産計画を基に、当社グループの生産能力等を勘案して生産を行っております。
なお、工作機械の受注実績は以下のとおりであります。
(注) 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「3.重要性がある会計方針」に記載しております。
① 売上収益
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ2,133億57百万円(12.7%)増収の1兆8,915億4百万円となりました。
セグメント別に見ると次のとおりであります。
「自動車」は前連結会計年度に比べ2,017億44百万円(17.7%)増収の1兆3,444億38百万円となりました。地域別の主な内訳は、日本5,058億83百万円(1,007億16百万円、24.9%の増収)、アジア・オセアニア3,432億66百万円(53億17百万円、1.6%の増収)、北米2,791億45百万円(557億38百万円、24.9%の増収)であります。
「産機・軸受」は前連結会計年度に比べ65億69百万円(1.9%)増収の3,580億77百万円となりました。地域別の主な内訳は、日本1,527億73百万円(4億57百万円、0.3%の減収)、北米924億83百万円(32億50百万円、3.6%の増収)、アジア・オセアニア543億30百万円(21億10百万円、3.7%の減収)であります。
「工作機械」は前連結会計年度に比べ50億43百万円(2.7%)増収の1,889億89百万円となりました。地域別の主な内訳は、北米948億87百万円(74億5百万円、8.5%の増収)、日本770億63百万円(29億64百万円、3.7%の減収)、アジア・オセアニア155億71百万円(7億7百万円、4.8%の増収)であります。
② 事業利益
当連結会計年度の事業利益は、前連結会計年度に比べ102億40百万円(16.3%)増益の728億98百万円となりました。
セグメント別に見ると次のとおりであります。
「自動車」は、販売増や為替の影響、原価低減の効果等により、前連結会計年度に比べ140億46百万円(45.3%)増益の450億39百万円となりました。
「産機・軸受」は、為替の影響や原価低減の効果はあるものの、原材料価格やエネルギー費の高騰影響等により、前連結会計年度に比べ43億54百万円(25.6%)減益の126億86百万円となりました。
「工作機械」は、販売増加の効果等により前連結会計年度に比べ9億77百万円(7.1%)増益の147億36百万円となりました。
③ その他の収益・その他の費用
その他の収益は、固定資産売却益等が減少しましたが、当連結会計年度に製品保証引当金戻入を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ31億46百万円(37.9%)増加の114億37百万円となりました。
その他の費用は、製品保証引当金繰入額等の減少がありましたが、固定資産減損の増加等により、前連結会計年度に比べ5億15百万円(2.4%)増加の221億40百万円となりました。
④ 金融収益・金融費用
金融収益は、円安進行に伴う為替差益の増加やデリバティブ評価益の増加等により、前連結会計年度に比べ84億64百万円(78.6%)増加の192億38百万円となりました。
金融費用は、円安進行に伴う支払利息の増加やデリバティブ評価損の増加等により、前連結会計年度に比べ46億64百万円(91.6%)増加の97億54百万円となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益
上記の要因等により、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ59億81百万円(17.4%)増益の402億57百万円となりました。
当社グループは、2030年の目指す姿を達成するための第一期中期経営計画期間の目標を以下のとおりとし、また、2023年度に事業利益1,000億円の達成を目指し、中期経営計画を推進してまいりました。
第一期中期経営計画(期間:2021~2023年度)の目標及び実績
※2019年度売上収益比
なお、目標及び実績につきましては、インフレに伴う急激なコストアップの影響を除く体質評価としております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資、研究開発費等の長期資金需要と、当社製品製造のための材料及び部品購入等の運転資金需要であります。
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持及び健全な財政状態の維持を財務方針としております。
現金及び現金同等物等の流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、市場あるいは金融機関からの資金調達を通じ、現行事業の推進と事業拡大に必要となる資金を確保できる状況と考えております。
また、グループ各社に偏在する余剰資金の相互融通を図る等、資金効率の向上に努めております。
該当事項はありません。
当社グループでは、「ジェイテクトの基本理念」に掲げる「全員参加」のもと、グループで保有する多様なシーズを掛け合わせ、No.1 & Only One の製品やサービスを未来志向のソリューションとして成長市場へ投入することで、より多くのお客様の困りごとを解決するとともに、環境・安全・エネルギー・少子高齢化等の社会課題解決への貢献を更に加速させてまいります。祖業である軸受や工作機械で培った、トライボロジー(潤滑、摩擦)、材料、システム制御、計測・解析、成形・加工等、多様な基盤技術を融合させ、新しい製品や製品を融合させたシステムやソリューションを発明することで、これからも変化し続ける世の中の多様なニーズに応えてまいります。
また、デジタル技術等を活用し既存領域の開発効率を徹底的に高める一方で、新規・先行領域の研究開発への投資を強化することで新たな価値づくりに挑戦し、更なる成長を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は
自動車事業は、ステアリング及び駆動製品の充実化と、車両(モビリティ)の「走る、曲がる」の領域を一括し、市場の新規ソリューションに繋がるシステムを提供することを目指しております。
ステアリング領域では、モビリティの運転支援・自動運転の高度化するニーズに対応する技術の開発を進めるとともに、商用車を含めた車両の電動化や電費向上に貢献する電動パワーステアリングの開発とその小型・軽量化に取り組みました。
駆動領域では、電動車xEV(※1)の「電費向上」、「安全・安心な走りの質向上」に貢献する差動制限機能付きデファレンシャルギヤの開発を進めるとともに、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)の商用車への適用を可能にするための高圧水素供給バルブ及び高圧水素減圧弁の開発に取り組みました。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
・小型軽量コラムアシストタイプ電動パワーステアリング「C-EPS」を新開発。広州汽車集団有限公司の「E8」に採用
・第2世代ラックパラレルタイプ電動パワーステアリング「RP-EPS」を新開発。トヨタ自動車株式会社の新型「センチュリー」、「アルファード」、「ヴェルファイア」に採用
・大型商用車向けレーンキーピングアシストをサポートする操舵アクチュエータを新開発。いすゞ自動車株式会社の「ELF」に採用
・安全・安心・快適な自動運転に貢献する人中心の自動操舵制御システム「Pairdriver®」を開発
・自動運転とドライバーの快適性に貢献するリンクレスステアバイワイヤシステム「J‐EPICS®」を開発
・eAxle小型化や、安全・安心な走りに貢献する電動化に対応した「JTEKT Ultra Compact Diff.®」を開発
※1:BEV(Battery Electric Vehicle)等を含めた電動化された自動車の総称
※2:Limited Slip Differential 差動制限機能付きデファレンシャルギヤの略称
産機・軸受事業では、低トルク、小型軽量化、長寿命化、高速回転対応等、これまで培ってきた基盤技術を更に進化させ、自動車の電動化や産機分野での使用環境の多様化に対応する新たな商品開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
◆自動車用軸受
・JTEKT Ultra Compact Bearing® (JUCB)のシリーズラインナップ拡充
BEV(Battery Electric Vehicle)の普及拡大に伴い、その心臓部であるeAxle用の超幅狭軸受「JUCB®」について、適合サイズでのラインナップを整備しました。短納期でのサンプル納入を可能とし、国内外のお客様へ提案を進めております。
・磁気軸受を採用したBEV(Battery Electric Vehicle)用超高速、急加減速軸受試験設備の導入
BEV(Battery Electric Vehicle)用モーターのさらなる高速化ニーズに対応するため、超高速、急加減速軸受試験機を開発しました。心臓部にグループ会社である株式会社ジェイテクトマグネティックベアリングの磁気軸受を採用することで、超高速、急加減速の条件で軸受寿命限界までの評価を実現。これにより、製品課題の抽出や、MBD(※1)のキーとなるシミュレーション精度を向上させ、安全・安心・快適なBEV(Battery Electric Vehicle)の開発加速に貢献いたします。
・耐水素環境用軸受「EXSEV-H2®」の量産を開始
水素環境での耐久性、耐食性を大きく向上させた「EXSEV-H2®」の量産を開始しました。本製品は燃料電池の水素循環ポンプ等に使用され、カーボンニュートラルの実現に貢献いたします。
◆産機用軸受
・ターボ分子ポンプ用タッチダウン軸受の高耐久化提案の推進
半導体製造装置等、高真空用途で広く使用される、磁気軸受型ターボ分子ポンプ用タッチダウン軸受について、従来品比4倍以上の耐久性を有するMVコーティング品をお客様へ提案し、市場拡大を進めております。
・超高精度軸受「PRECILENCE®」のラインナップを拡充
再生可能エネルギーとBEV(Battery Electric Vehicle)の普及拡大に不可欠な、二次電池等の製造を支える塗工機のロール支持用軸受として採用されました。塗工面精度の向上は、二次電池の品質、生産の安定化に貢献します。
・ロードバイク用高性能軸受「ONI BEARING®」
2022年の発売以来、圧倒的な低トルク性能が評価され、第20回2023年超モノづくり部品大賞「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました。また、世界最高峰のロードレースチーム「Team Visma/Lease a Bike」とオフィシャルパートナー契約を締結し、名実ともに「日本力」として世界に認められました。
※1:MBD:Model Based Development
開発品のモデルをコンピューター上で製作し、そのモデルをベースにシミュレーション技術を活用することで、開発期間の飛躍的な短縮と製品品質を向上させる効率的な開発手法であります。
工作機械事業においては、モノづくりイノベーションカンパニーとして、お客様のモノづくりの価値を高めることを目指しております。研究開発活動においては、JTEKTグループのシーズを活かし、新しいニーズに応え続ける商品開発と次世代を見据えた技術開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
・車載用電池性能の肝である源泉工程を担う製造設備を開発
シンプル・スリム・コンパクトをコンセプトとして掲げたBEV(Battery Electric Vehicle)用電池製造設備開発を進め、省スペース・高生産性を実現しております。
・硬脆材料ウェーハ研削盤「R631BM」(株式会社ジェイテクトマシンシステム)及びダイヤモンドホイール「nanoVi」(株式会社ジェイテクトグラインディングツール)をSEMICON Japan 2023に出展
ジェイテクトグループのコラボレーションにより8インチSiC研削に対応し、低い砥石摩耗率を実現いたしました。
・過熱水蒸気を利用した熱処理装置「AllFit®」(株式会社ジェイテクトサーモシステム)が一般社団法人日本ファインセラミックス協会より技術振興賞を受賞
ファインセラミックスの脱脂工程の生産性改善に寄与いたしました。
・省エネに貢献する次世代電磁弁を開発(株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム)
従来比で消費電力30%減を実現し、とりわけCO2排出量が多い製造業で求められる省エネに貢献できる設備や部品のニーズに対応いたしました。
・環境にやさしい水圧ポンプを新開発(株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム)
河川や水路を制御する水門に使うポンプを油圧から水圧に置き換えることで水質汚染リスク軽減に貢献いたしました。
(4) その他新領域
当社は、取り巻く環境の変化を先読みして持続的に成長するために、少子高齢化や環境・エネルギー・食料問題といった将来の社会課題に対するニーズと、既存の事業で培った技術やノウハウといったシーズを掛け合わせることで、新規事業領域の創出に取り組んでおり、前連結会計年度に立ち上げた新組織「事業開発領域」で、事業の育成、拡大を加速させております。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
◆アクティブ・ライフ事業
・介護用アシストスーツ「J-PAS fleairy® (フレアリー)」の販売拡大
電動パワーステアリングのアシスト制御技術をベースに、介護作業における腰への負担低減を通じて、介護離職率の増加という社会課題の解決に貢献。販売網の拡大を推進中。更なる販売拡大を目指して、農業分野等への展開を模索中であります。
・介助用車いす電動アシストユニット「軽e®(かるいー)」の販売
在宅介護での介助者の負担軽減に貢献する介助用車いす電動アシストユニット「軽e®(かるいー)」を日進医療器株式会社へ納入、同社から介助用電動アシスト車いすとして販売展開中であります。
・病院ベッド用搬送アシストユニット「ラクステア®」の実証
医療現場における看護業務の負荷軽減に貢献する病院ベッド用搬送アシストユニット「ラクステア®」(株式会社ジェイテクトマシンシステム)の病院での実証を完了いたしました。
◆蓄電デバイス事業
・高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy®(リバディー)」が市販される製品に初採用
メンテナンス不要な無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply:UPS)の心臓部として、システムの安定稼働や重要なデータの保護に貢献しております。
・自動車向け次世代品の開発
自動車向け用途においても、コスト競争力向上と低温出力アップを目指した次世代品の開発を目途付けいたしました。
・ドローンへのLibuddy®の活用
産業用ドローンに強みを持つ株式会社プロドローンと技術連携を推進し、ドローンへのLibuddy®の活用を展示会で提案。愛知県、株式会社プロドローン、名古屋鉄道株式会社との社会課題解決と地域振興を目指す共同プロジェクト「空と道がつながる愛知モデル2030」に参画いたしました。
◆歯車事業
・豊橋工場で産業用ロボット用歯車の生産を開始
自動車事業、産機・軸受事業、工作機械事業、グループ会社で培った歯車関係技術を活用し、歯車装置の小型化、高効率化、静粛性向上に貢献する技術開発を推進。ギヤイノベーションセンター(刈谷工場)での歯車試作に加え、自動車、産業用ロボット等に歯車を提供できる生産設備を豊橋工場に設置し、生産を開始いたしました。
◆サステナブルフード
・コオロギの食品としての可能性に着目し当社の技術を活かした安全・安心・高機能な食料資源の開発を推進
将来の食料資源、タンパク質供給源の多様化に向けた解決策として、既存事業で培った自動化技術、データ・品質管理技術を基盤とした飼育・加工一貫プラントによる生産を実現し、社会に貢献することを目指しております。