【連結財務諸表注記事項】
1.報告企業
カヤバ株式会社(以下、「当社」)は、日本に所在する株式会社です。当社及び子会社(以下、「当社グループ」)の主な事業内容は、油圧緩衝器・油圧機器の製造・販売ならびに各事業に関連するサービス業務等を行っております。
当社グループの2024年3月31日に終了する年度の連結財務諸表は、2024年6月25日に取締役会によって承認されております。
なお、当社は2023年10月1日付でKYB株式会社からカヤバ株式会社へ商号変更しております。
2.作成の基礎
(1) 連結財務諸表がIFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、連結財務諸表規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
(2) 測定の基礎
連結財務諸表は、注記「3.重要性がある会計方針」に記載している金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(3) 表示通貨及び単位
連結財務諸表の表示通貨は、当社の機能通貨である日本円であり、百万円未満を四捨五入しております。
3.重要性がある会計方針
子会社とは、当社グループがその活動から便益を享受するために、その会社の財務及び経営方針を直接的もしくは間接的に支配している会社をいいます。当社は、各連結会計年度の3月31日現在まで支配している事業体である子会社の財務諸表に基づき作成します。支配とは、親会社が投資先の企業活動から便益を獲得できるよう、当該企業の財務及び経営方針を決定する力を有することをいいます。現時点で行使可能又は転換可能である潜在的な議決権の存在とその効果は、グループが他の企業を支配しているか否かの判断時に考慮されます。子会社は当社グループが支配を獲得した日から連結を開始し、支配が終了した日以降は連結を中止します。
連結財務諸表の作成にあたり、連結会社間の内部取引高及び債権債務残高を相殺消去します。グループ企業間の残高や取引は、グループ内取引から生じた未実現利益を含め、全額消去します。
関連会社とは、当社グループが当該企業の財務及び営業の方針に重要な影響力を有している会社です。関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理します。
ジョイント・ベンチャーとは、当社グループと他の当事者が、ある経済活動を行う場合に共同支配を確立するための契約上の合意です。当社グループでは、このような共同支配される経済的活動は、被共同支配企業を通じて行われております。当社グループは、被共同支配に対する持分について、関連会社と同様に、持分法を用いて会計処理します。
当社グループは、企業結合の会計処理として取得法を適用します。企業結合において取得した識別可能資産及び引き受けた識別可能負債と偶発負債は、当初、取得日における公正価値で測定します。取得に関連して発生した費用は、発生時に費用として認識します。非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別されます。被取得企業に対する非支配持分の測定については、非支配持分を公正価値で測定するか、取得企業の識別可能な資産・負債の純額に対する非支配持分の比例割合で測定するか、個々の企業結合取引ごとに選択します。
のれんは、移転された企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定します。
割安購入により、当該金額が取得した子会社の純資産の公正価値を下回る場合、差額は純損益で直接認識されます。
当社グループ各社の財務諸表は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨で作成されます。連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示されます。
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算します。期末日における外貨建の貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算します。また、公正価値で測定する外貨建の非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算します。当該取引の決済から生じる為替換算差額は、純損益で認識します。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じるヘッジの有効部分については、その他の包括利益で認識します。
在外営業活動体の資産及び負債については、期末日の為替レート、収益及び費用については、連結会計期間中の為替レートが著しく変動していない限り、期中平均レートを用いて日本円に換算します。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、その他の包括利益で認識します。当該差額は「在外営業活動体の為替換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めます。在外営業活動体の持分全体の処分、及び支配又は重要な影響力の喪失を伴う持分の一部処分に伴い、当該累積換算差額は、処分損益の一部として純損益に振り替えます。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から概ね3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっております。
当社グループは、金融資産を(a) 償却原価で測定する金融資産、(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産、(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産、(d) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産のいずれかに分類しており、当初認識時において、その分類を決定しております。当社グループは、営業債権及びその他の債権を発生日に認識しており、その他の金融資産の通常の購入及び売却は、取引日に認識します。取引日とは、当社グループが資産を購入又は売却することを確約した日です。
当初認識時において、すべての金融資産は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、公正価値に、当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しております。
金融資産は、次の条件がともに満たされる場合に、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・ 契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている場合
・ 金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる場合
金融資産は、次の条件がともに満たされる場合に、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しております。
・ 契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている場合
・ 金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる場合
一部の資本性金融資産は、公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益を通じて認識するという取消不能の選択を行っており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に分類しております。
上記の償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産、及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。なお、当社グループは、当初認識時において、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として取消不能の選択を行ったものはありません。
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定します。
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定します。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益を通じて認識し、当該金融資産の認識を中止した場合、過去に認識したその他の包括利益は純損益に振り替えております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益を通じて認識し、当該金融資産の認識を中止した場合、利益剰余金に直接振り替えております。
なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産からの配当金については、純損益で認識しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益を通じて認識しております。
金融資産は、当該金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅したか、あるいは当該金融資産が譲渡され、当社グループが所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したときに認識を中止しております。
当社グループは、償却原価で測定する金融資産に係る予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、報告期間の末日ごとに、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているかどうかを評価しております。当該評価を行う際には、金融資産の債務不履行発生のリスクを報告日現在と当初認識日現在で比較し、当初認識以降の信用リスクの著しい増大を示す、過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を考慮しております。
なお、当社グループは、金融資産に係る信用リスクが報告日現在で低いと判断される場合には、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していないと推定しております。
金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定し、著しく増加していない場合には、12か月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
なお、上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない営業債権については、常に貸倒引当金の全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
当社グループは、金融資産の予想信用損失を、以下のものを反映する方法で見積もっております。
・ 一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・ 貨幣の時間価値
・ 過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
予想信用損失は、金融資産の予想存続期間にわたる信用損失の確率加重した見積りであります。信用損失は、契約に基づいて当社グループが受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと、当社グループが受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の現在価値であります。
なお、当社グループは、営業債権の予想信用損失を見積もる際に、予想信用損失の引当マトリクスを用いた実務上の簡便法を採用しております。当該引当マトリクスは、上記の見積り方法と整合するものであります。
金融資産の予想信用損失は、減損損失として、純損益に認識しております。減損損失認識後に減損損失を減額する事象が発生した場合は、減損損失の減少額を純損益として戻し入れしております。
すべての金融負債は公正価値で当初測定しますが、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定します。
金融負債の当初認識後の測定は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失は、純損益で認識します。
金融負債は、義務が履行されたか、免除されたか、又は失効した場合に認識を中止します。
当社グループは、ヘッジ会計の開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係、並びに種々のヘッジ取引の実施についてのリスク管理目的及び戦略について文書化しております。当社グループはまた、ヘッジ取引に利用したデリバティブがヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際し極めて有効であるかどうかについても、ヘッジ開始時及び継続的に評価し文書化しております。
ヘッジ指定されていないデリバティブはデリバティブ契約を締結した日の公正価値で当初認識を行い、当初認識後は期末日ごとに公正価値で再測定し、その変動を純損益として認識しております。また、ヘッジ会計を適用している場合の会計処理は以下のとおりです。
公正価値ヘッジとして指定され、かつ、その要件を満たすデリバティブの公正価値の変動は、ヘッジされたリスクをもたらすヘッジ対象資産または負債の公正価値の変動とともに、純損益として認識しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジの手段として指定され、かつ、その要件を満たすデリバティブの公正価値の変動のうち、有効部分は、その他の包括利益を通じて資本で認識しております。非有効部分に関する利得又は損失は、純損益で即時認識しております。
資本に累積された金額は、ヘッジ対象が純損益に影響を与える期に、純損益に組み替えます。しかしながら、ヘッジ対象である予定取引が非金融資産もしくは負債の認識を生じさせるものである場合には、それまで資本に繰り延べていた利得又は損失を振り替え、当該資産もしくは負債の測定額に含めます。
ヘッジ対象である予定取引の発生の可能性がなくなった時点で、資本に計上されている利得又は損失の累計額を純損益に振り替えます。
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべてのコストを含みます。
棚卸資産は、原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上します。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額です。原価は主として総平均法を用いて算定します。
有形固定資産の測定については原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示します。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、撤去及び原状回復費用並びに借入費用で資産計上の要件を満たすものが含まれます。
取得後に追加的に発生した支出については、その支出により将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、金額を信頼性をもって測定することができる場合にのみ、当該取得資産の帳簿価額に算入するか個別の資産として認識するかのいずれかにより会計処理します。他のすべての修繕及び維持にかかる費用は、発生時に純損益で認識します。
有形固定資産項目の減価償却は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、主として定額法に基づいて行います。
主な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・ 建物及び構築物 2~65年
・ 機械装置及び運搬具 2~25年
・ 工具、器具及び備品 2~20年
有形固定資産の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度末日ごとに見直しを行います。
無形資産の認識後の測定については原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示します。
個別に取得した無形資産は、当初認識に際し取得原価で測定し、企業結合において取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定します。なお、自己創設の無形資産については、資産化の要件を満たす開発費用を除き、その支出額はすべて発生した期の費用として計上します。
無形資産は、資産の取得原価から残存価額を控除した額について、見積耐用年数にわたり、定額法で償却します。主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・ ソフトウエア:5年
・ 開発費 :5年
無形資産の償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度末日ごとに見直しを行います。
のれんは、子会社又は事業譲受時に非支配持分の取得価額が被取得企業の識別可能な取得資産及び負債の純額を上回る場合の超過額を示しております。また、当初認識時におけるのれんの測定等の詳細は「(2) 企業結合」に記載しております。
当社グループは、契約の開始時に、当該契約がリース又はリースを含んでいるかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。
契約がリースであるかリースを含んでいると判定した場合、リース開始日に使用権資産及びリース負債を認識しております。
① 使用権資産
使用権資産の認識後の測定については原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で、連結財政状態計算書において「有形固定資産」に含めて表示しております。
取得原価は、リース負債の当初測定の金額に、前払リース料等、借手に発生した当初直接コスト、リースの契約条件で要求されている原資産の原状回復義務等のコストを調整して測定しております。
使用権資産は、見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたり、定額法で償却します。
② リース負債
リース負債は、リース開始日において残存リース料を借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で測定しており、連結財政状態計算書において、流動負債及び非流動負債の「その他の金融負債」に含めて表示しております。
リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分し、金融費用は純損益で認識しております。
なお、原資産が少額であるリースについては、認識の免除を適用し、使用権資産及びリース負債を認識せず、リース期間にわたって定額法により費用として認識しております。
当社グループは、原則として、会社別・事業別に資金生成単位としてグルーピングを行っております。各年度において、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候が存在する場合、又は、毎年減損テストが要求されている場合には、その資産の回収可能価額を見積ります。回収可能価額は、資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定します。売却費用控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用します。また、使用価値の評価における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価及び当該資産に固有のリスク等を反映した税引前割引率を使用して、現在価値まで割り引きます。
資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、その資産又は資金生成単位について減損を認識し、回収可能価額まで評価減します。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかについて評価を行います。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、減損損失を戻し入れます。
のれんは、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施します。のれんは、帳簿価額は取得原価から減損損失累計額を控除した額で表示します。持分法適用会社については、のれんの帳簿価額を投資の帳簿価額に含めます。のれんの減損損失は純損益で認識し、戻し入れは行いません。
のれんは、減損テスト実施のために、企業結合からの便益を得ることが期待される個々の資金生成単位又は資金生成単位グループに配分します。
当社グループの各会社は、さまざまな年金制度を有しております。年金制度は通常、保険会社、又は信託会社が管理する基金への支払いを通じて積み立てます。その積立金額は定期的な数理計算によって算定されます。当社グループは確定給付制度と確定拠出制度を有します。
確定給付制度に関連して連結財政状態計算書で認識される負債は、報告期間の末日現在の確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を差し引いた額です。確定給付制度債務は、予測単位積増方式を用いて毎年算定します。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定します。
確定給付負債の純額の再測定による増減は、発生時にその他の包括利益に計上するとともに、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は、発生した期間に純損益で認識します。
確定拠出型の退職後給付に係る費用は、確定拠出制度に支払うべき拠出額を従業員が関連するサービスを提供した期間に費用として認識します。
引当金は、当社グループが過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識します。
引当金は、貨幣の時間価値が重要である場合には、債務の決済に必要とされると見込まれる支出に、貨幣の時間価値の現在の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、現在価値で測定します。時間の経過による引当金の増加は利息費用として認識します。
決算日現在において発生可能性のある債務を有しているが、それが決算日現在の債務であるか否か確認ができないもの、又は引当金の認識基準を満たさないものについては、偶発負債として注記します。
自己株式を取得した場合は、直接関連する費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識します。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加として認識します。
ステップ1:顧客との契約の識別
ステップ2:履行義務の識別
ステップ3:取引価格の算定
ステップ4:履行義務への取引価格の配分
ステップ5:履行義務の充足による収益認識
① 一時点で充足される履行義務
当社グループはAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては四輪用油圧緩衝器、二輪用油圧緩衝器、四輪用油圧機器等の製造販売を行っており、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては産業用油圧機器、舞台機構、艦艇機器、免制振装置等の製造販売を行っております。航空機器事業においては航空機用の離着陸装置、操舵装置、制御装置等の製造販売を行っています。また、その他事業では、特装車両、電子機器等の製造販売を行っています。これらの製品の販売においては顧客との契約に基づき、顧客が製品の支配を獲得した時点(主として当該製品の引渡時点や船積日等)で履行義務が充足され、一時点で収益を認識しており、主として1年以内に対価を受領しています。また、仮単価等の取引はあるものの変動対価の見積もりに重要性はありません。返品が認められた契約については、認識した収益の累計額に重大な戻入が生じない可能性が非常に高い範囲で収益が認識されますが、重要な戻入は生じていません。
② 一定期間にわたって充足される履行義務
当社グループは一定の規模を有する舞台機構などの工事等に係る収益については、顧客との契約に基づき、履行義務の進捗に応じて一定期間にわたって収益を認識しております。顧客に提供する当該工事等の性質を考慮した結果、原価の発生が工事の進捗度を適切に表すと判断したため、進捗度は、見積原価総額に対する実際原価の割合で算出しています。
政府補助金は、企業は補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に公正価値で認識します。政府補助金が費用項目に関連する場合は、当該補助金で補償することが意図されている関連費用を認識する期間にわたって、規則的に収益認識しております。資産に関する政府補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から控除しております。
意図された使用又は販売が可能になるまでに相当の期間を必要とする資産である、適格資産の取得又は製造に直接関連する借入費用は、当該資産が実質的に使用又は売却することができるようになるまで、当該資産の取得原価の一部として資産計上します。その他の借入費用は、発生した会計期間に費用として認識します。
① 法人所得税
法人所得税費用は当期税金費用及び繰延税金費用から構成されます。当該法人所得税費用は、その他の包括利益又は直接資本の部で認識される項目を除き、純損益として認識します。
当期税金費用は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定します。税額については、決算日までに制定又は実質的に制定された税率及び税法に基づいて算定しております。
繰延税金費用は、決算日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に対して認識します。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は将来加算一時差異等について認識します。ただし、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・ のれんの当初認識から生じる一時差異
・ 企業結合取引ではなく、取引時に会計上の利益にも税務上の課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引から発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・ 子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債の相殺が行われるのは、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、単一の納税主体又は純額ベースでの決済を行うことを意図している異なる納税主体に対して、同一の税務当局によって課されている法人所得税に関連するものである場合です。
当社及び一部の国内子会社は、グループ通算制度を適用しております。
② グローバル・ミニマム課税制度の取扱い
令和5年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税が創設され、それに係る規定(以下「グローバル・ミニマム課税制度」という。)を含めた税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第3号))が2023年3月28日に成立しました。
当社グループは、2023年5月に公表された国際会計基準第12号「法人所得税」の修正で定められる例外措置を適用しており、当連結会計年度末時点において、これに関する繰延税金資産および負債は認識しておりません。
また当社グループの在外子会社の一部所在地国においても、グローバル・ミニマム課税制度に係る税制が成立しており、一部所在地国において上乗せ課税が生じる可能性がありますが、これらの課税が当社グループの連結財務諸表へ与える影響は軽微であります。
当社は、取締役に対する持分決済型の株式に基づく報酬制度として、事後交付型業績連動型株式報酬制度を採用しております。
事後交付型業績連動型株式報酬は、付与する資本性金融商品の付与日における公正価値を参照して測定しており、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。
4.重要な会計上の見積り及び判断
当社グループの連結財務諸表は、経営者の見積り及び仮定を含みます。これらの見積り及び仮定は過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づきますが、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある、主な見積り及び仮定は以下のとおりです。
(1) 法人所得税
当社グループは、複数の租税区域の法人所得税の影響を受けます。世界各地における法人所得税の見積額を決定する際には、重要な判断が必要です。取引及び計算方法によっては、最終的な税額に不確実性を含むものも多くあります。当社グループは追加徴収が求められるかどうかの見積りに基づいて、予想される税務調査上の問題について負債を認識します。これらの問題に係る最終税額が当初に認識した金額と異なる場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度において、法人所得税費用として計上した金額は4,063百万円です。
繰延税金資産は、将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識します。繰延税金資産の認識に際しては、課税所得が生じる可能性の判断において、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定します。将来獲得しうる課税所得は、取締役会で承認された最新の事業計画を基に見積りを行っております。なお、当連結会計年度において繰延税金資産に計上した金額は3,048百万円です。
当連結会計年度において、事業計画は顧客の生産計画を基礎として作成しており、新規製品の販売見込みや外部機関による市場の成長率の予測等の一定の仮定を加味しています。ただし、課税所得が生じる時期及び金額は、当社製品の主要な需要先の市場環境には高い不確実性を伴うため、見直しが必要になった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製品保証引当金等、種々の引当金を連結財政状態計算書に計上しています。これらの引当金は、決算日における債務に関するリスク及び不確実性を考慮に入れた、債務の決済に要する支出の最善の見積りに基づいて計上されます。
債務の決済に要する支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しますが、予想しえない事象の発生や状況の変化によって影響を受ける可能性があり、実際の支払額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
また、偶発負債については、決算日におけるすべての利用可能な証拠を勘案し、その発生可能性及び金額的影響を考慮した上で開示します。
免震・制振用オイルダンパーの不適切行為に係る製品保証引当金に関しては、当社グループは、現時点において収集可能な情報、及びその情報が合理的な事実に基づくものであると判断された免震・制振用オイルダンパーの交換工事に要する費用及び営業補償等について製品保証引当金を計上しております。本件に関する当連結会計年度の製品保証引当金の残高は2,873百万円です。
なお、本製品保証引当金に関する会計上の見積りの内容の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 16.引当金」をご参照ください。
当社グループは、原則として、会社別・事業別に資金生成単位としてグルーピングを行っております。減損の兆候があると認められる場合には、資産の回収可能価額を見積ります。回収可能価額は、資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定します。売却費用控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用します。また、使用価値の評価における将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価及び当該資産に固有のリスク等を反映した税引前割引率を使用して、現在価値まで割り引きを行います。資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、その資産又は資金生成単位について減損損失を認識いたします。
当連結会計年度の連結財務諸表に計上した有形固定資産、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、156,950百万円、248百万円及び3,087百万円であり、減損損失は1,030百万円であります。
なお、将来キャッシュ・フローは、取締役会で承認された最新の事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見込額、及び資産の使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローを用いております。また、事業計画には新規製品の販売見込みや外部機関による市場の成長率の予測等の一定の仮定を加味しております。これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定しますが、将来の不確実な経済状況の変動の結果によっては影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、棚卸資産については、原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で測定しており、正味実現可能価額が帳簿価額より下落している場合には、当該正味実現可能価額で測定し、帳簿価額との差額を原則として売上原価に認識しております。
当連結会計年度の売上原価に計上した棚卸資産の評価損の金額は6,882百万円であり、棚卸資産の金額は70,020百万円であります。
当社製品の主要な需要先の市場環境には高い不確実性を伴うため、市場環境が悪化して正味実現可能価額等の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
5.未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が公表された基準書及び解釈指針のうち、当社グループが早期適用していない主なものは、以下のとおりであります。これらの適用による当社グループの連結財務諸表に与える影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
6.セグメント情報
当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、製品・サービス別に事業本部又は事業部を置き、各事業本部又は事業部は、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しておりますので、事業セグメントは「AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業」、「HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業」、「航空機器事業」、「特装車両事業」及びそのいずれにも属さない「その他」によって区分しております。
このうち、「特装車両事業」及び「その他」については、報告セグメントにおける量的基準等を勘案した結果、「その他」に含めて開示しております。したがって、当社グループは、「AC事業」、「HC事業」及び「航空機器事業」の3つを報告セグメントとしております。
「AC事業」は、四輪車用・二輪車用油圧緩衝器及びパワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器等を生産しております。「HC事業」は、建設機械向けを主とする産業用油圧機器、舞台機構、艦艇機器、免制振装置等を生産しております。「航空機器事業」は、航空機用の離着陸装置、操舵装置、制御装置等を生産しております。
なお、各セグメントにおける主要製品は、下記のとおりであります。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、注記「3.重要性がある会計方針」における記載と同一であります。
報告セグメントの損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメント間の内部売上高及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない特装車両事業及びその他を含んでおります。
2.セグメント損益の調整額62百万円は、セグメント間取引消去であります。
3.セグメント損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
4.その他の収益・費用については、注記「25.収益・費用(金融収益及び金融費用を除く)」に記載しております。
5.非流動資産には、持分法で会計処理されている投資、その他の金融資産、及び繰延税金資産等を含めておりません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない特装車両事業及びその他を含んでおります。
2.セグメント損益の調整額13百万円は、セグメント間取引消去であります。
3.セグメント損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
4.その他の収益・費用については、注記「25.収益・費用(金融収益及び金融費用を除く)」に記載しております。
5.非流動資産には、持分法で会計処理されている投資、その他の金融資産、及び繰延税金資産等を含めておりません。
当連結会計年度より、当社グループ再編に伴いセグメント管理区分の見直しを行った結果、従来「その他」に含まれていたその他製品の一部を「AC事業」に含めて開示しております。
このため、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを記載しております。
製品及びサービスの区分が報告セグメント区分と同一であるため、記載を省略しております。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
2.地域は、地理的近接度により区分しております。
3.各区分に属する主な国又は地域
(1) 日本……………日本
(2) 欧州……………ドイツ、イギリス、スペイン、イタリア、フランス、チェコ、ポーランド
(3) 米国……………米国
(4) 中国……………中国
(5) 東南アジア……インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム
(6) その他…………台湾、韓国、アラブ首長国連邦、メキシコ、ブラジル、カナダ、トルコ、インド
(注) 1.非流動資産は所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
2.非流動資産には、持分法で会計処理されている投資、その他の金融資産、及び繰延税金資産等を含めておりません。
3.地域は、地理的近接度により区分しております。
4.各区分に属する主な国又は地域
(1) 日本……………日本
(2) 欧州……………ドイツ、イギリス、スペイン、イタリア、フランス、チェコ
(3) 米国……………米国
(4) 中国……………中国
(5) 東南アジア……インドネシア、タイ、ベトナム
(6) その他…………台湾、アラブ首長国連邦、メキシコ、ブラジル、インド
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
2.地域は、地理的近接度により区分しております。
3.各区分に属する主な国又は地域
(1) 日本……………日本
(2) 欧州……………ドイツ、イギリス、スペイン、イタリア、フランス、チェコ、ポーランド
(3) 米国……………米国
(4) 中国……………中国
(5) 東南アジア……インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム
(6) その他…………台湾、韓国、アラブ首長国連邦、メキシコ、ブラジル、カナダ、トルコ、インド
(注) 1.非流動資産は所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
2.非流動資産には、持分法で会計処理されている投資、その他の金融資産、及び繰延税金資産等を含めておりません。
3.地域は、地理的近接度により区分しております。
4.各区分に属する主な国又は地域
(1) 日本……………日本
(2) 欧州……………ドイツ、イギリス、スペイン、イタリア、フランス、チェコ
(3) 米国……………米国
(4) 中国……………中国
(5) 東南アジア……インドネシア、タイ、ベトナム
(6) その他…………台湾、アラブ首長国連邦、メキシコ、ブラジル、インド
当社グループは、トヨタ自動車株式会社及びその子会社に対し製品の販売等を行っております。当該顧客に対する売上高は、前連結会計年度において41,835百万円、当連結会計年度において50,000百万円であり、AC事業に含まれております。
7.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、以下のとおりです。
8.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は、以下のとおりです。
連結財政状態計算書では、貸倒引当金控除後の金額で表示しております。
営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
9.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、以下のとおりです。
当連結会計年度において売上原価として認識した棚卸資産の評価減の金額は、6,882百万円(前連結会計年度は6,017百万円)です。
10.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減は、以下のとおりです。
負債の担保に供した有形固定資産の金額については、注記「15. 社債及び借入金」に記載しております。
減損損失については、注記「13.非金融資産の減損」に記載しております。
建設中の有形固定資産については、上記の中で建設仮勘定の科目として表示しております。
11.のれん及び無形資産
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減は、以下のとおりです。
(注) 無形資産の償却費は、連結損益計算書上の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
また、当社グループの前連結会計年度及び当連結会計年度における期中に費用として認識された研究開発活動による支出は、7,139百万円及び7,589百万円であり、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
減損損失については、注記「13.非金融資産の減損」に記載しております。
12.リース
当社グループがリースにより使用している使用権資産の内訳、及び期中における増減は以下のとおりです。
なお、当社グループはリースの原資産を主として事業活動に使用しております。
(注) 「その他」は主にリース契約の解約による減少です。
当社グループのリース契約の一部には、更新オプション及び購入選択権が付されておりますが、これらのオプションを行使する可能性が合理的に確実である場合にのみ、オプションの対象期間をリース期間に反映しております。
リース負債の満期分析については、注記「18. 金融商品 (5)流動性リスク管理」に記載しております。
純損益に認識された金額は以下のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度のリースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、それぞれ6,652百万円、6,476百万円であります。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、使用権資産のサブリースによる収益及びセール・アンド・リースバック取引から生じた利得または損失はありません。
13.非金融資産の減損
当社グループは、会社別・事業別にキャッシュ・フローを生み出す最小単位をグルーピングしています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、事業環境の悪化等により、関連する資産について減損処理を行いました。当該減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれております。
減損損失の報告セグメントごとの内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 地域の区分は、注記「6.セグメント情報」に記載しております。
遊休資産については、個別資産毎に資金生成単位としております。当該遊休資産は事業用途としての利用が見込めなくなったことから、回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は使用価値であり、その価値は零としております。
事業用資産については、過年度に減損処理を実施したものの、引き続き収益性が低く将来キャッシュ・フローが見込めない資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値により測定しており、公正価値ヒエラルキーのレベルは3です。
のれんは期末日毎に減損テストを行っております。減損テストでは資金生成単位毎の帳簿価額(当該資金生成単位に配分されたのれんの額を含む)と当該資金生成単位の使用価値の比較を行いました。使用価値は、各資金生成単位の将来キャッシュ・フローを割り引いて算定しております。将来キャッシュ・フローの見積額は、取締役会で承認された最長5年間の事業計画を基礎としており、それ以降の将来キャッシュ・フローについては、一定で推移するとの推定により試算しております。また、割引率については、税引前加重平均資本コスト等を基礎に、外部情報や内部情報を用いて事業に係るリスクが適切に反映されるように算定し、14.2%としております。
なお、前連結会計年度において、のれんの減損損失は認識しておりません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 地域の区分は、注記「6.セグメント情報」に記載しております。
遊休資産については、個別資産毎に資金生成単位としております。当該遊休資産は事業用途としての利用が見込めなくなったことから、回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は使用価値であり、その価値は零としております。
事業用資産については、過年度に減損処理を実施したものの、引き続き収益性が低く将来キャッシュ・フローが見込めない資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値により測定しており、公正価値ヒエラルキーのレベルは3です。
のれんは期末日毎に減損テストを行っております。その他事業において、事業環境の悪化等に伴う収益性の低下により、のれんを含む資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回ったため、のれんの全額296百万円について減損損失を計上しております。回収可能価額は、マーケット・アプローチを用いた鑑定評価額に基づく処分費用控除後の公正価値により測定しております。公正価値のヒエラルキーはレベル3です。
14.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、以下のとおりです。
営業債務及びその他の債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
15.社債及び借入金
社債及び借入金の内訳は、以下のとおりです。
(注)1.平均利率は当連結会計年度末の残高に対する加重平均利率を記載しております。
(注)2.社債及び借入金は償却原価で測定する金融負債に分類しております。
社債の発行条件の要約は以下のとおりであります。
担保に供している資産及び担保付債務は、以下のとおりです。
上記以外に所有権に対する制限及び負債の担保として抵当権が設定されたものはありません。
16.引当金
引当金の内訳は、以下のとおりです。
(注)1.製品保証引当金については、製品の品質保証費用の支払に備えるため、過去の発生実績に基づく連結会計年度の売上高に対応する発生見込額に、発生した品質保証費用の実状を考慮した保証見込額を加えて計上しており、当該製品保証引当金の当連結会計年度末の残高は、2,737百万円(前連結会計年度2,847百万円)であります。
(注)2.2019年3月期において、当社及び当社の子会社であったカヤバシステムマシナリー株式会社(当該子会社は2021年7月1日をもって当社を存続会社とした吸収合併により解散しております)にて、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品(以下、「不適合品」といいます。)を建築物に取り付けていた事実が判明いたしました。
当連結会計年度においては、2024年3月31日時点で交換が未完了の不適合品及び性能不明品(性能検査記録のデータ書き換え有無が確認できないもの)の全数(免震用オイルダンパー55本、制振用オイルダンパー344本の合計399本)を対象として、交換用免震・制振用オイルダンパーの交換工事に要する費用及び営業補償等を製品保証引当金に計上しており、当該製品保証引当金の当連結会計年度末の残高は2,873百万円(前連結会計年度4,445百万円)であります。
(注)3.その他には、訴訟や補償などの支払に備えた引当金が含まれておりますが、当社及び当社子会社の立場が著しく不利になる可能性があるため、IAS第37号第92項に従い個別に記載しておりません。
引当金の増減は、以下のとおりです。
引当金の説明については、注記「3.重要性がある会計方針 (12) 引当金及び偶発負債」に記載しております。
その他は、主に環境対策引当金、資産除去債務、役員賞与引当金及び従業員給付に係る負債です。
17.退職後給付
当社及び一部の連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度を採用しております。確定給付制度における給付額は、勤続年数、職能・職務等級、役職などの評価要素に基づき決定しております。また、従業員の退職等に際して割増退職金を支払う場合があります。
積立型の確定給付制度は、連結会社と法的に分離された年金基金により運営されています。年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先にして行動する事が法令により求められており、所定の方針に基づき制度資産の運用を行う責任を負っております。また、当社は基金への掛金拠出等の義務を負っております。なお、当社は将来にわたって財政の均衡を保つことができるように、5年毎に掛金の額を再計算する事を規則で規定しております。
確定給付制度の会計方針については、注記「3.重要性がある会計方針 (11)退職後給付」をご参照ください。
また、一部の連結子会社は、確定給付制度のほか確定拠出制度を設けております。
(1) 確定給付制度
① 確定給付制度に関するリスク
当社グループは、確定給付制度について様々なリスクに晒されております。主なリスクは、以下のとおりです。なお、当社グループは、制度資産に関して重大な集中リスクには晒されておりません。
② 連結財政状態計算書上の認識額
確定給付制度債務の現在価値、制度資産の公正価値及び連結財政状態計算書上の退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債は、以下のとおりです。
③ 確定給付制度債務(資産)の純額
確定給付制度債務(資産)の純額の現在価値の調整表は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
④ 制度資産の内訳
制度資産の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
国内株式合計には、退職一時金制度に対して設定した退職給付信託が23,479百万円含まれております。
当連結会計年度(2024年3月31日)
国内株式合計には、退職一時金制度に対して設定した退職給付信託が20,752百万円含まれております。
⑤ 数理計算上の仮定
数理計算のために使用した主要な仮定は、以下のとおりです。
⑥ 感応度分析
数理計算上の仮定が変動した場合の確定給付制度債務への影響は、以下のとおりです。本分析においては、その他すべての変数は一定のものと仮定しております。また、本分析は報告期間の末日において合理的と見込まれる変数の変動幅に基づいております。
⑦ 将来キャッシュ・フローに関連する情報
当連結会計年度における確定給付制度への翌年度の予想拠出額は1,101百万円です。また、確定給付負債の加重平均残存期間は11.13年(前連結会計年度は11.72年)です。
⑧ 資産・負債の対応に関する情報
当社グループでは、積立を有する制度の場合、年金スキームに基づく義務に対応した、長期的な投資により資産・負債を対応させております。投資のデュレーションと予想利回りが、年金債務から生じる予想キャッシュ・アウトフローとどのように対応しているのかを積極的にモニターしており、このリスク管理のプロセスは前連結会計年度から変更しておりません。
(2) 確定拠出制度
確定拠出制度に係る退職後給付費用は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識し、未払拠出額を債務として認識しております。
確定拠出制度に係る退職後給付費用は、以下のとおりです。
18.金融商品
(1) 資本管理
当社グループの資本管理における目的は、株主へのリターンの提供、他の利害関係者への便益の供与、ならびに資本コスト削減に向けた最適な資本構成の維持のために、継続企業として存続するためのグループの能力を維持することにあります。
資本構成を維持又は調整するために、当社グループは、株主に対して支払う配当の金額を調整したり、株主に対して資本を償還したり、新株を発行したり、又は資産の売却による債務の削減を行う場合があります。
当社グループは資本負債比率に基づいて資本を監視しています。この比率は正味負債額を総資本で除することで算出されます。正味負債額は借入総額から現金及び現金同等物を差し引いて算出されます。総資本は連結財政状態計算書に示される「資本」に正味負債額を加えて算出されます。
当社グループは、中期経営計画の策定及び見直しの都度、収益及び投資計画に加え、これらの指標についてもマネジメントがモニターし、確認しております。
なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
(2) 金融商品の分類
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、連結財政状態計算書における「その他の金融資産」に含まれております。
(その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産)
当社グループは、投資先との取引関係の維持、強化による収益基盤の拡大を目的とする長期保有の株式について、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において「その他の金融資産」に計上されている、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値及び受取配当金は以下のとおりです。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産のうち、上場株式の主な銘柄及び公正価値は以下のとおりです。
期中に処分したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、以下のとおりです。
これらは主に、取引関係の見直し等により売却したものです。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、その他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた累積利得・損失(税引後)は、それぞれ△90百万円、1,070百万円です。
(3) 財務リスク管理
当社グループは、信用リスク、流動性リスク、市場リスク(為替リスク、金利リスク及び株価変動リスク)などの様々なリスクに晒されております。また、当社グループは市場リスクをヘッジするために、先物為替予約、金利スワップ等のデリバティブ金融商品を利用しています。デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程に従っており、デリバティブ金融商品を利用した投機的な取引は行わない方針です。
また、当社グループは設備投資計画に照らして、必要な資金を調達しております。一時的な余剰資金は安全性の高い金融資産で運用し、短期的な運転資金を銀行借入により調達しております。資金調達に係る流動性リスクについては、各社が月次で資金繰り計画を作成するなどの方法により管理しております。
(4) 信用リスク管理
当社グループは、保有する金融資産の相手先の債務が不履行になることにより、金融資産が回収不能になるリスク、すなわち信用リスクに晒されております。当該リスクに対応するために、当社グループの与信管理規程に従い、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制としております。さらに、必要に応じて担保設定・ファクタリング等を利用することによって保全措置を図っています。
また、当社グループでは、為替相場の変動に係るリスクを軽減するために、金融機関等とデリバティブ金融商品の取引を行っていますが、デリバティブ金融商品の取引については、信用力の高い金融機関を相手方として行うことが基本となっており、信用リスクに及ぼす影響は限定的です。
なお、特定の取引先について重要な信用リスクのエクスポージャーはなく、特段の管理を有する信用リスクの過度の集中はありません。
金融資産については、連結財政状態計算書に表示されている減損後の帳簿価額が、当社グループの信用リスクに係る最大エクスポージャーとなります。
これらの信用リスクに係るエクスポージャーに関し、担保として保有する物件及びその他の信用補完するものはありません。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
貸倒引当金の増減
当社グループは、取引先の信用状態に応じて営業債権等の回収可能性を検討し、貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金の増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
(5) 流動性リスク管理
当社グループは、金融機関からの借入により、運転資金や設備投資資金の調達を行っておりますが、これらの債務の履行が困難となるリスク、すなわち流動性リスクに晒されております。当社グループは、事業を遂行するにあたって必要最小限の手元資金を確保するために、適宜金融機関からの借入を行っており、また突発的な資金需要の発生や市場の流動性が著しく低下した時などの緊急的な事態に備えて金融機関との借入枠を設定しています。
また、当社は、グループ各社の資金需要を適宜把握した上で、月次ベースの資金計画を作成し、日々のキャッシュ・フローと比較するという方法でモニタリングを行い、流動性リスクを管理しております。
当社グループの非デリバティブ金融負債及びデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
(6) 市場リスク管理
① 為替リスク管理
当社グループは、グローバルに事業展開を行っており、一部の原材料の調達及び製品の販売を外貨建取引で実施していることから、当該取引より発生する外貨建の債権債務について、為替リスクに晒されております。当社グループの為替リスクは、主に米ドルの為替変動により発生しています。
為替感応度分析
当社グループの為替リスクエクスポージャー(純額)に対する感応度分析は、以下のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、日本円が、米ドル及びユーロに対して1円円高又は円安となった場合の、当社グループのセグメント利益に与える影響額は、上記のとおりです。本分析においては、その他すべての変数は一定のものと仮定しております。
② 金利リスク管理
当社グループは、事業活動を進める上で、運転資金及び設備投資等に必要となる資金を調達することに伴い発生する利息を支払っていますが、変動金利での借入を行っている場合には、利息の金額は市場金利の変動に影響を受けることから、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクに晒されております。当社グループは、資金使途を設備投資等の目的としている長期借入金のうち、変動金利の借入の一部については、金利の上昇による利息の支払額の増加を抑えるために、利息の受取額を変動金利、利息の支払額を固定金利としてその差額を授受する金利スワップ契約を金融機関と締結しています。その結果、長期の借入金の利率を実質的に固定化することによって、利息の将来キャッシュ・フローの安定化が図られ、金利リスクをヘッジすることが可能となっております。
金利感応度分析
当社グループの金利リスクエクスポージャーに対する感応度分析は、以下のとおりです。
感応度分析は、金利スワップ契約により利息の支払い額を固定化していない変動金利の有利子負債を対象に、金利が1%変動(上昇又は低下)した場合における税引前利益に与える影響額を示しています。本分析においては、その他すべての変数を一定のものとして仮定しております。
③ 株価変動リスク管理
当社グループは、業務上の関係を有する企業の上場株式を保有しており、それらは市場価格の変動リスクに晒されておりますが、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、取引状況や規模等・資本コストとの比較なども勘案し、保有状況を継続的に見直しております。
(7) 金融商品の帳簿価額及び公正価値
① 公正価値の測定方法
金融資産及び金融負債の公正価値は、次のとおり決定しております。金融商品の公正価値の見積りにおいて、市場価格が入手できる場合は、市場価格を用いております。市場価格が入手できない金融商品の公正価値に関しては、将来キャッシュ・フローを割り引く方法、又はその他の適切な評価方法により見積もっております。
② 金融商品の区分ごとの公正価値
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債及び償却原価で測定する金融負債の公正価値は以下のとおりです。なお、公正価値で測定する金融商品については、「(2) 金融商品の分類」において開示しております。
社債及び借入金を除く、償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は帳簿価額と近似しています。
③ 公正価値ヒエラルキー
公正価値で測定する金融商品について、測定に使用したインプットの観察可能性及び重要性に応じた公正価値測定額を、レベル1からレベル3まで分類しております。
レベル1:同一の資産又は負債の活発な市場における相場価格
レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して測定した公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算出された公正価値
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
「② 金融商品の区分ごとの公正価値」で開示している、償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値ヒエラルキーは全てレベル3です。
公正価値ヒエラルキーのレベル間での振替は、振替を生じさせた事象又は状況の変化が生じた日に認識することとしております。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、上記のレベル間での振替はありません。
④ レベル2、3に区分される公正価値測定に関する情報
公正価値ヒエラルキーのレベル2及びレベル3に区分される公正価値評価の方法は、非上場株式及び出資金は類似企業比較法等、適切な評価技法を用いて算定しております。会員権については、活発でない市場における同一資産を基に評価しています。また、事後の公正価値の変動をその他の包括利益として計上しております。
デリバティブの公正価値については、取引先金融機関等から提示された価格等に基づき測定しております。
借入金については、将来キャッシュ・フローを、同様の新規借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しております。社債については、元利金の合計額を当該社債の残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しております。
(8) デリバティブ及びヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとは、予定取引又は既に認識された資産もしくは負債に関連して発生する将来キャッシュ・フローの変動に対するヘッジであります。キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値の変動はその他の包括利益として認識し、ヘッジ対象に指定された未認識の予定取引又は既に認識された資産もしくは負債に関連して発生する将来キャッシュ・フローの変動が純損益に認識されるまで当該会計処理を継続しております。
当社グループでは、社内管理規程に基づき、外貨建取引に係る為替変動及び借入金に係る金利変動に伴うキャッシュ・フロー変動リスクをヘッジするために金利通貨スワップ及び金利スワップを利用し、これをキャッシュ・フロー・ヘッジに指定しております。
ヘッジ会計の適用にあたっては、ヘッジ期間にわたりヘッジ関係の高い有効性を保つため、原則としてヘッジ手段とヘッジ対象の想定元本、期間(満期)及び金利基礎数値が一致するようにしております。前連結会計年度及び当連結会計年度において、ヘッジの非有効部分及びヘッジの有効性評価から除外した部分に関して純損益に認識された金額はありません。
19.株式報酬
(1) 株式に基づく報酬制度の内容
当社は、前連結会計年度より、取締役(社外取締役を除き、以下「対象取締役」という。)に対して、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを付与すると共に、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、事後交付型業績連動型株式報酬制度(パフォーマンス・シェア・ユニット)(以下「本制度」という。)を導入しております。
本制度は、対象取締役の役位毎に設定した基準交付株式数に、前事業年度期末決算短信に記載した翌事業年度(以下「評価期間」という。)の連結業績の予想値の達成割合、及び役務提供期間比率を乗じて算定される数の当社の普通株式を、対象取締役の報酬等として交付する業績連動型の報酬制度です。本制度の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」に記載のとおりです。
また、当社は、前連結会計年度において、本制度の導入目的の一つである、取締役と株主の皆様との一層の価値共有を早期に実現するため、本制度導入に係る移行措置(以下「本移行措置」という。)として、本制度に準じて、第100期事業年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで。)を評価期間とみなして算定された数の当社の普通株式を、対象取締役の報酬等として交付しております。
本制度及び本移行措置は、持分決済型の株式報酬として会計処理しております。
(2) 期中に付与された株式数及び株式の加重平均公正価値
本制度及び本移行措置に係る期中に付与された株式数、基準交付株式数及び株式の加重平均公正価値は、以下のとおりです。
本制度の公正価値は、モンテカルロ・シミュレーションを用いて算定しております。算定に使用した主な基礎数値は、以下のとおりです。
また、本移行措置の公正価値は、付与日における当社株式の市場価格を基礎として算定し、予想配当利回りを考慮に入れた修正は行っておりません。
(3) 株式に基づく報酬費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における本制度及び本移行措置に係る費用計上額は、43百万円及び18百万円であり、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれております。
20.資本及びその他の資本項目
(1) 資本金及び資本剰余金
日本の会社法(以下、会社法)では、株式の発行に対しての払込又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることができると規定されております。また、会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
授権株式総数、発行済株式数及び資本金等の残高の増減は、以下のとおりです。
(2) 利益剰余金
利益剰余金は、利益準備金とその他利益剰余金により構成されます。その他利益剰余金は、主に当社グループの稼得した利益の累積額であります。
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが想定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができることとされております。
(3) 自己株式
会社法では、株主総会の決議により分配可能額の範囲内で、取得する株式数、取得価格の総額等を決定し、自己株式を取得することができると規定されております。また、市場取引又は公開買付による場合には、定款の定めにより、会社法上定められた要件の範囲内で、取締役会の決議により自己株式を取得することができます。
自己株式数及び自己株式残高の増減は、以下のとおりです。
(4) その他の資本の構成要素
① その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の評価差額です。
② キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値の純変動
当社グループは将来キャッシュ・フローの変動リスクを回避するためのヘッジを行っており、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブ取引の公正価値の純変動額のうち有効と認められる部分です。
③ 在外営業活動体の為替換算差額
外貨建で作成された在外営業活動体の財務諸表を連結する際に発生した換算差額です。
④ 確定給付制度の再測定
確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(利息収益に含まれる金額を除く)及び資産上限額の影響(利息収益に含まれる金額を除く)の変動額です。
21.配当金
各連結会計年度における配当金支払額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(1) 配当金の支払額
(2) 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(1) 配当金の支払額
(2) 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
22. 売上高
当社グループの事業は、AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業、航空機器事業、その他により構成されており、当社グループでは、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループでは、これらの事業を通じて得られる収益を売上高として表示しています。また、売上高は主要な製品別に分解しています。これらを分解した売上高と注記「6.セグメント情報」で記載しているセグメント別の売上高との関連は、以下のとおりです。
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の残高は以下のとおりです。
契約資産は主に、一定期間にわたり充足した履行義務に係る対価に対する当社グループの権利であり、支払に対する権利が無条件になった時点で債権に振り替えられます。
契約負債は主に、製品の引渡前に当社グループが顧客から受け取った対価です。
前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した収益のうち、前期首現在及び当期首現在の契約負債残高に含まれていたものは、296百万円及び510百万円です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期間に充足(または部分的に充足)した履行義務から認識した収益の金額に重要性はありません。
当社グループにおいては、個別の予想契約期間が1年を超える重要な取引がないため、実務上の便法を使用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しております。また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
当連結会計年度において顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産はありません。なお、認識すべき資産の償却期間が1年以内である場合には、実務上の便法を使用し、契約の獲得コストを発生時に費用として認識しています。
23.費用の性質別内訳
売上原価、販売費及び一般管理費の内訳は、以下のとおりです。
24.金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は、以下のとおりです。
25.収益・費用(金融収益及び金融費用を除く)
(1) 売上高
売上高の内訳は、以下のとおりです。
(2) その他の収益
その他の収益の内訳は、以下のとおりです。
(3) その他の費用
その他の費用の内訳は、以下のとおりです。
(注) 当連結会計年度において、免震・制振用オイルダンパーの不適合品の交換工事等が進捗したことに伴い、免震・制振用オイルダンパー事案に係る製品保証引当金の繰入及び取崩額を製品保証引当金繰入額として計上し、当連結会計年度に追加的に発生した交換工事に要する費用及び対応部の人件費等の諸費用を製品保証対策費として計上しております。
26.法人所得税
(1) 税金費用
法人所得税費用の主要な内訳は、以下のとおりです。
従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益のうち、当期税金費用の減額のために使用した額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ907百万円及び4,786百万円であり、これらは当期税金費用に含めております。また、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益のうち、繰延税金費用の減額のために使用した額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ20百万円及び357百万円であり、これらは繰延税金費用に含めております。
(2) 法定実効税率と実際負担税率の調整表
当社グループの法定実効税率と実際負担税率との調整は、以下のとおりです。実際負担税率は税引前利益に対する法人所得税費用の負担割合を表示しています。
当社グループは、主に法人税、住民税及び損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した前連結会計年度及び当連結会計年度の法定実効税率はいずれも29.9%となっています。ただし、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されています。
(3) 繰延税金資産及び負債の変動内訳
繰延税金資産及び負債の変動の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 為替の変動による差額は純損益で認識した額に含めて表示しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 為替の変動による差額は純損益で認識した額に含めて表示しております。
(4) 繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金は、以下のとおりです。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効予定は、以下のとおりです。
27.その他の包括利益
その他の包括利益に係る組替調整額及び税効果額は、以下のとおりです。
28.1株当たり利益
基本的及び希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎は、以下のとおりです。
29.キャッシュ・フロー情報
財務活動に係る負債の変動は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 当連結会計年度における「リース負債」の「その他」は、主にリース契約の解約による減少です。
30.偶発負債
建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為に関連して訴訟を提起されている案件もありますが、当社の立場が著しく不利な立場になる可能性があるため、IAS第37号第92項に従い、個別に記載しておりません。
なお、本件の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 16.引当金」に記載のとおりです。
31.コミットメント
有形固定資産の取得に関して契約上確約している重要なコミットメントは、前連結会計年度末1,453百万円であり、当連結会計年度末3,442百万円であります。
32.関連当事者との取引
経営幹部に対する報酬
当社グループの経営幹部に対する報酬は、以下のとおりです。
33.子会社
当社グループの主要な子会社は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。
34.持分法で会計処理されている投資
持分法で会計処理されている、個々に重要性のない関連会社に対する当社グループに帰属する持分の帳簿価額は、以下のとおりです。
持分法で会計処理されている、個々に重要性のない関連会社の要約財務情報は、以下のとおりです。なお、これらの金額は、当社グループの持分比率勘案後のものであります。
35.後発事象
該当事項はありません。