第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)会社経営の基本方針

 当社グループは事業会社である株式会社カクヤスを中核とし、グループ共通の価値観であるお客様のご要望に「なんでも」応えたいという意気込みや覚悟をもって、地域のお客様に一番便利だと感じて頂けることを願い「お酒を中心とした流通のインフラ」となることを経営方針として掲げております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社では、連結売上高及び連結経常利益が当社グループの成長を示す最重要指標と考え、重要視しております。

 また、連結営業キャッシュ・フローの最大化を常に念頭に置いた経営にも注力しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

① 業務用市場の更なる浸透

 当社グループが営業活動の中心としております酒類食品流通業界においては、コロナ禍における感染拡大防止策に伴う外出自粛や在宅勤務等による外食機会の減少に伴い、家飲みの増加や大手居酒屋チェーンを避けた個人飲食店を中心としたニーズなど密集環境を回避する様々な市場の変化がおきております。当社グループはその変化に対応し、独立料飲店市場の需要を徹底的に取り込むべく、飲食店様向けの販促サイトの充実や、他の酒販店では提供できないサービス・提案・商材の拡充を進め、また当社グループ中核会社の株式会社カクヤスにおいては効率的な物流体制を目指すべく三層物流(注)を推し進め、展開エリアでの配送密度を高めることで、業務用市場へのさらなる浸透を図ってまいります。

 

② 家庭用販売の充実

 コロナ禍における家庭消費の需要増加を追い風とし、当社グループ中核会社の株式会社カクヤスにおいては、三層物流の展開により店舗の品ぞろえから業務用の商材がなくなった分を家庭用の品ぞろえ強化に充てることで、酒以外の食品・日用品など家庭用販売のさらなる充実を図ってまいります。またグループ社全体では、受注間口を広げるための外部サイト(クイックコマース等)との連携強化を進めるとともに、「KYリカー」から「なんでも酒やカクヤス」へのブランド(看板)変更や、九州地区での「なんでも酒やカクヤス」ブランドでの出店を進めることで、さらなる認知獲得・利用促進を促すべく、リアル・デジタルを使った認知拡大施策による家庭用販売の充実を図ってまいります。

 

③ 家庭向ECモールの構築

 コロナ禍においては、PCやスマートフォンを通じての宅配・デリバリーの需要が大幅に高まっており、当社グループ中核会社の株式会社カクヤスのEC事業におきましても、家庭用での新規会員数は大幅に伸長しております。当社グループは強みとするお酒を中心とした家庭向への販売網と、自前の顧客接点(自社受注・自社配送)をもって、配達・販促プラットフォーム企業へと飛躍を遂げるべく、多頻度配達商材のさらなる拡大や、新たな販売チャネルとしてのECモールの構築などにも取り組んでまいります。

 

④ 人材育成と人材確保

 業容拡大や全国展開を見据え次世代幹部候補となりうる人材を育成・プールしていくことでグループ経営を安定的に持続促進してまいります。また、各々のライフステージにあった働き方が出来るように多様な人材が能力を発揮できる職場環境を整えるとともに、社会の変化に合わせ、多様な人材を惹きつけられるような魅力のある労働環境を整備していきます。

 

⑤ サステナビリティ(SDGs)取組みの強化・推進

 環境・社会・経済の持続可能性への配慮により、事業のサステナビリティ(持続可能性)向上を図る経営を目指すべく、現在グループ各社にて行っている各取組みを体系化し体制を整えることで、グループ全社での多角的・継続的な取り組みとして行ってまいります。

 

⑥ 財務戦略

 今後コロナ禍からの収益改善による資本の充実にともない、安全性・収益性及び株式流動性の向上の視点から目指すべき資本効率等の財務指標を設定し、経営目標を達成するための資金調達や運用を行ってまいります。

 

 (注)三層物流とは、家庭用向け宅配枠の最大化と業務用復調時の配達網整備を目的とした当社グループ独自の物流体制です。第一層は業務用センターからのルート配達、第二層は業務用小型倉庫からの即日配達、第三層は家庭用店舗・小型倉庫からの即日配達を指します。

 

(4)経営環境

 国内酒類市場の販売(消費)数量は年々減少傾向にあります(出所:国税庁課税部酒税課「酒のしおり 令和4年3月」)。これは国内人口が減少過程に入り、成人人口に占める比較的飲酒量が少ない60歳以上の割合が増加していること、また成人1人当たりの酒類消費量の減少傾向が要因にあると考えられます(出所:国税庁課税部酒税課「酒のしおり 令和4年3月」)。

 当社グループが営業活動の中心としております酒類食品流通業界においても、コロナ禍における感染拡大防止策に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用、それに伴う外出自粛、在宅勤務などにより様々な変化がおきております。外食市場は外食機会の減少により縮小傾向にある一方、内食・中食は生鮮食品を中心に家庭での巣ごもり・家飲み需要の拡大により新たな市場機会となっており、在宅勤務等でのテレワークの拡大は、EC利用の増加といったライフスタイルやコミュニケーションを変化させ、リアルとオンラインでのお客様とのさらなる接点の拡大が重要となりつつあります。

 競争関係においては、業務用市場ではコロナの影響により非常に厳しい状況に置かれている酒類販売業者が多い中、当社グループは得意先をサポートする営業力や利便性の高い配達力を堅持しており、中小の酒類販売業者より比較的優位な体制を維持しております。一方で家庭用市場では、酒類事業社以外でも、ECサイトやクイックコマース等で酒類の宅配を強化する動きなどもあり、競争環境は厳しさを増しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが営業活動を行っている酒類食品流通業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により、特に飲食店等における消費の減退が顕著にみられ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続く中、当社グループが対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

①業務用販売の強化

 酒類の提供を伴う飲食店等での時短営業や休業が相次いだことで、苦戦を強いられております。そのような環境下でも、年中無休の配送サービスの強みを活かし、引き続き新規取引先の獲得による主要商圏への市場浸透を図り、また酒類に限らない新規カテゴリー商品の取扱いを拡充することで、客単価の向上にも努めてまいります。

 

②家庭用販売の強化

 感染拡大によるライフスタイルの変化により、宅配・デリバリーの需要が大幅に高まっており、当社グループでの家庭向け宅配においても新規会員数の増加は好調に推移しております。このような環境の中、当社グループは強みである「消費者の利便性を徹底的に追及したお届けサービス」を軸とし、引き続き家庭向け宅配の強化を目的とした出荷拠点の増加や、メディアやSNS等を使用した顧客認知の拡大、さらには酒類以外での商品ラインナップを充実させていくことで、お届けサービスを磨き上げ、持続的に事業モデルの価値を高めてまいります。

 

③事業運営の効率化

 感染拡大による消費の減退を背景に、売上の減少が販管費率を押し上げてきております。売上の改善を図るとともに効率的な人員及びシステムの活用を行い事業運営の効率化を図ってまいります。

 

④財務基盤の強化

 コロナ禍により当社グループの財務基盤についても影響を受けており、今後の事業拡大のための投資資金を確保するため、機動的で確実性の高い資金調達方法の検討を行い、収益力の回復と合わせ安定的・持続的成長を可能にする強固な財務基盤を構築してまいります。

 

⑤スタンダード市場移行に伴う上場維持基準への適合

 当社は2022年4月の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しましたが、流通株式比率の改善が課題となっております。株主の皆様に安心して投資対象としていただけるよう、資本政策を踏まえ、上場維持基準の適合に向けた取組みの検討を進めてまいります。

 

⑥人員確保と人材育成の強化

 当社グループの強みである自社配送網を維持するためには、人員の確保及び育成は重要な課題と認識しております。グループ全体で人材の獲得に向けて各種採用活動を進めるとともに、ワークライフバランスや業務に必要な基礎的な知識や能力、またコンプライアンス等の教育を重視し、積極的な人員確保と育成を進めてまいります。

 

⑦グループ間連携強化と企業価値の向上

 グループ全体を統括する当社と事業会社である各子会社との役割と責任を明確化することで、経営の機動性を向上させ、効果的な経営資源の調達及び配分を行いグループ全体の企業価値の向上を図ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)国内市場・経済の動向及び人口の変動による影響について

 当社グループの売上は、日本国内を販売先とし、およそ8割が酒類の販売による売上となっております。酒類販売は、今後の国内景気の動向、国内人口の減少、少子高齢化による影響を受けるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)労働環境の変化、人材の確保について

 当社グループが、今後更なる業容拡大を図るためには、配達職、パート・アルバイト労働者、優秀な人材の確保及び社内人材の育成、人材の外部流出の防止が重要な課題と考えております。足元ではEコマース市場の成長による宅急便需要の増加やサービスの高度化により、配達事業者との人材確保競争が激しくなっております。

 当社グループは、免許取得サポートや社員寮の拡充、多様な働き方の提供や業務に見合った報酬体系を構築することで、配達職の確保に努めておりますが、今後、労働力の減少により人材確保競争の激化、景気回復、雇用環境の好転に伴う賃上げ圧力の増大、社会保障政策に伴う社会保険料率の引き上げ等による人件費の上昇、処遇格差の縮小を目的とする各種労働関連法等により労働コストが増加した場合、社内人材の育成及び採用が進まない場合、人材が外部に流出した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)地震、台風、津波、豪雪等の自然災害について

 事業拠点の主要施設は、防火、耐震対策等を実施し、災害等によって事業活動の停止或いは商品供給に混乱をきたすことのないよう努めております。

 当社グループの店舗・施設の周辺地域において、予想を超える大地震・津波・風水雪害等の自然災害、火災等による、①商品、店舗、物流施設、情報システム及びネットワークの物理的な損害、②当社グループの販売活動や物流・調達活動の阻害、③料飲店等の事業運営に支障が出る等の場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの拠点が東京都23区に集中していることから、東京都23区及びその周辺において上記の自然災害が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法律、規制等の変更について

 当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、酒税法、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、未成年者飲酒禁止法、食品衛生法等様々な法的規制の適用を受けております。これらの法律、規制、基準等が変更された場合、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)税制改正について

 酒類販売、飲料販売、食品販売は、消費マインドの変化による影響を受けるため、消費税や酒税の税制改正等が行われた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)酒類販売業免許について

 当社では、酒税法で管理されている「酒類販売業免許」を取得しております。酒類販売業免許は酒類を継続的に販売すること(営利目的とするかどうか又は特定若しくは不特定の者に販売するかどうか問わない)が認められる酒類の販売免許で有効期限はありません。当該免許は、当社の主要な事業活動を継続する上で不可欠な免許であり、本書提出日までの間において、取消事由は発生しておりません。しかしながら、将来において、当該免許の取消等があった場合には、主要な事業活動に支障をきたすとともに業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該免許の主な取消事由には、①国税若しくは地方税に関する法令、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律若しくはアルコール事業法の規定により罰金の刑に処せられ、又は国税通則法若しくは関税法の規定により通告処分を受けた場合、②未成年者飲酒禁止法の規定、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより罰金の刑を受けた場合等があります。

 

(7)競合による影響について

 当社は、国内酒類市場において、業務用販売及び家庭用販売に事業展開をしており、競合他社の活動状況、顧客嗜好の変化等の影響を受けております。業務用販売については、当社を含めた大手業務用酒販店での競争が激しくなっており、家庭用販売については、酒類専門小売業者以外にも、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、インターネット通信販売等の大小様々な事業者が多く存在しており競争が激化しております。

 顧客の利便性を日々追求し、消費財流通サービスを業務用販売及び家庭用販売ともに拡大して参りますが、予期し得ない競合他社の活動、顧客嗜好の変化等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)通信回線について

 通信網等の維持管理は電話事業者において行われており、当社グループが顧客に当社サービスを確実に提供するためには、電話事業者の通信網等が適切に機能していることが前提となります。電話事業者の通信網等が適切に機能していないことにより、受注業務等に支障が生じた場合、当社サービスの全部もしくは一部の停止、又は水準低下が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)情報セキュリティ及び個人情報の管理について

 当社グループは事業の過程において、多くの個人情報を取り扱っております。コンピュータネットワークや情報システムの果たす役割が高まり、情報セキュリティ及び個人情報保護に関する対応は、事業活動を継続する上で不可欠となってきております。一方、近年ソフト・ハードの不具合やコンピュータウィルスなどによる情報システムの障害、個人情報の漏えいなど、様々なリスクが発生する可能性が高まってきております。

 当社グループは、情報セキュリティ及び個人情報保護を経営の重要課題の1つとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じて、システムとデータの保守・管理に万全を尽くしております。しかしながら、万一個人情報が外部へ漏洩するような事態となった場合や不正利用などの事態が生じた場合は、社会的信用が毀損し、売上の減少又は損害賠償による費用の発生等が考えられ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)配達業務について

 当社グループの配達業務を伴う売上高の連結売上高に対する構成比は当連結会計年度において78.5%となっており重要な割合を占めております。国や自治体等による祭礼行事等の催し物・路上競技等による交通規制、停電、通信障害等により、配達業務が困難な状況になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)重大交通事故による社会的信用低下について

 当社グループは、公道を使用して車両により営業及びサービス活動を行っております。当社グループは車両運行にあたり、人命の尊重を最優先とし、安全管理対策に努めておりますが、社員が重大な交通事故を発生させてしまった場合には、社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)訴訟その他法的手続きについて

 当社グループは、現在業績及び財務状況に影響を及ぼすような訴訟等は発生しておりませんが、その事業活動の遂行において、消費者、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。これらの手続きは結果の予想が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)特定商品への依存について

 当社グループの売上は、ビール類の仕入高比が重要な割合を占めております。当社グループは、ビール類以外の酒類全般における商品ラインアップの充実、酒類事業以外の飲料、食品の取扱い等の拡大を図っておりますが、市場動向によるビール類販売の大幅な減少等、予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)業績の季節変動、天候等について

 酒類の販売は、一般的には行事やお祝い事等の特別な日に需要が高まり、ビール類は気温の高い日に需要が高まるなど、季節や天候に左右されることがあります。当社グループにおいては、年末の12月や夏季の7月に需要が高まり、売上が増加いたします。このような繁忙期に何らかの要因により営業に支障が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)商品の安全性について

 当社グループは、商品の安全性に日頃より十分な注意を払い、食中毒や異物混入の未然防止のため、商品管理の徹底、チェック体制の確立などに努めておりますが、当社グループの取り組みを超えた問題が発生した場合には、当社グループの商品に対する信頼の低下、対応コスト等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)レピュテーションリスクについて

 当社グループは、現在業績及び財務状況に影響を及ぼすような従業員等による不適切な情報発信からなる風評被害は発生しておりませんが、事業を遂行していくため、多くの従業員を雇用しております。近年、社会的に、SNS等を用いた従業員による不適切な情報発信からなる風評被害が頻発していることを受け、当社グループでもSNSに関するガイドラインを設けて研修、教育を行ない防止に努めております。しかしながら、従業員から不適切な情報が発信された場合には、当社グループの社会的信用が毀損し、レピュテーションが低下する事があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)親会社グループ等との関係について

①資本的関係について

 当社の親会社である株式会社SKYグループホールディングスは、当連結会計年度末現在、当社発行済株式の48.8%を所有しておりますが、当社グループは親会社への事前承認事項はなく、独自に経営方針・政策決定及び事業展開についての意思決定を行っております。同社は、当社の筆頭株主として基本事項に関する決定権又は拒否権を保有しているため、当社グループの意思決定に対して同社が影響を与える可能性があります。

 

②人的関係について

 当社グループと株式会社SKYグループホールディングスとの間で、役員の兼務、従業員の出向など人的な関係はありません。今後も親会社グループからの独立性を確保していくために、親会社グループとの間で役員の兼務、従業員の出向等は行わない方針であります。

 

③競合について

 親会社グループ各社の事業内容は、業務用食品・食材の企画・販売、オフィス建装、生花・花器・輸入及び販売、冠婚葬祭用の贈答品、投資事業等となっております。

 しかし、今後、当社グループの経営方針及び事業展開を変更した場合、又は、親会社グループ各社が経営方針及び事業展開を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(18)新型コロナウイルス感染拡大の影響

 今般の新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、世界的な規模で経済活動に影響を及ぼしております。当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、厚生労働省や保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域へ渡航の原則禁止、可能な職種でのテレワーク(在宅勤務)や時差出勤等、対応を実施しております。提出日現在、業務用販売の需要低迷を家庭用販売で補完する等により、事業影響の低減を図っておりますが、今後、事態が長期化又は更なる感染拡大やパンデミックにあたる状況が進行すれば、世界的な景気の悪化及び各種イベントの中止や延期等による酒類・飲料・食品の全体消費量の減少が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)M&A及び事業提携・資本提携について

 当社グループは、既存事業の規模拡大及び新たな事業分野に進出するに際し、M&A、資本提携を行う場合があります。実行するにあたっては対象会社に対して、入念な調査、検討を行いますが、実施後に業績未達等によるのれん等の減損、当初予期していなかった事業上の問題の発生・取引関連費用の負担等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、資本・業務提携については、当初に企図した成果が得られないと判断される場合は、契約の解消による出資の解消等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)減損損失について

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。今後とも収益性の向上に努める所存でありますが、店舗業績の不振等により、固定資産及びリース資産の減損会計による損失を計上することとなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21)資金調達及び調達コストについて

 当社グループは、資材の調達などのための資金を迅速に、かつ確実に取得するために、資金の一部を有利子負債で調達しております。調達の際は、金利の変動リスクを軽減するために、固定金利での調達やデリバティブ取引を利用しているものの、金利の大幅な上昇があった場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22)ストック・オプションと株式の希薄化について

 当社グループは、当社取締役及び当社従業員に対するインセンティブ付与を目的としたストック・オプション制度を採用しております。そのため、現在、当社取締役及び当社従業員に付与されている新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(23)国際情勢等の影響によるリスク

 当社グループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国際紛争や貿易摩擦の影響を被った場合、サプライチェーンの寸断等により商品の仕入れが滞るなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループの配達業務には、軽油・ガソリンなどの燃料が不可欠であり、世界的な原油価格の高騰や為替変動による燃料価格の想定を超えた値上がりは、コストの増加要因となり当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(24)財務制限条項等

 当社の借入金の一部には財務制限条項及び資産制限条項が付されております。財務制限条項及び資産制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失する等、当社グループの財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 財務制限条項等の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係 5 財務制限条項等」に記載のとおりであります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は下記のとおりとなります。

①財政状態の状況

(資産)

 資産は、前連結会計年度末に比べ1,547百万円増加し、28,541百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加841百万円、商品の増加664百万円、建物及び構築物の増加371百万円及び繰延税金資産の増加377百万円が、未収還付法人税等の減少623百万円及びのれんの減少159百万円を上回ったことによるものであります。

(負債)

 負債は、前連結会計年度末に比べ2,452百万円増加し、26,233百万円となりました。主な要因は、短期借入金の増加2,031百万円及び買掛金の増加1,313百万円が、流動負債のその他(主に未払消費税等)の減少557百万円を上回ったことによるものであります。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ905百万円減少し、2,307百万円となり自己資本比率は8.1%となりました。主な要因は、第三者割当増資による資本金の増加1,109百万円、資本剰余金の増加1,109百万円、減資による資本金の減少1,459百万円、資本剰余金の増加1,459百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少2,808百万円によるものであります。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う大都市圏を中心とした緊急事態宣言の再発出や、まん延防止等重点措置により、経済活動への抑制が断続的に行われました。ワクチン接種等の対策促進により2021年10月に緊急事態宣言が解除されたものの、足元では新たな変異株による感染拡大の影響や原油価格の高騰に伴うインフレ圧力の高まり、国際情勢の緊迫化等もあり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループが事業活動の中心としております酒類食品流通業界におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、飲食店等では酒類の提供停止や休業、また営業時間の短縮、滞在時間の制限など各行政機関の要請がなされ、引き続き感染拡大防止策を取りながらの営業が続いております。一方で、感染防止策に伴うライフスタイルの変化は、家飲みやフードデリバリーサービス、ネットショッピング等の家庭内需要を高めており、当社グループを取り巻く経営環境を著しく変化させております。

 このような状況のなか、当社グループは「お客様のご要望になんでも応えたい」という基本コンセプトのもと、従業員の徹底した感染防止策に加えて、配達業務を行う従業員向けに定期的な抗原定性検査を実施し、お客様が安心・安全に利用できるように努めました。また、コロナ禍でも需要が急拡大している家庭向け宅配の強化に軸を置き、当社グループ中核会社の株式会社カクヤスにおいては、アフターコロナを見据えた新たな宅配モデル「三層物流」構築のための出荷拠点の増加や配達能力の確保、さらなる店頭販売強化のための店舗改装や店頭販売特化型の新業態「KAKUYASU SELECT」の開店、また、介護用品や生活用品など酒類以外の商品ラインナップの拡充などにも積極的に取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高85,514百万円(前連結会計年度比6.6%増)、営業損失3,328百万円(前連結会計年度は営業損失2,602百万円)、経常損失2,898百万円(前連結会計年度は経常損失1,728百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,808百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,601百万円)となりました。

 売上高全体としましては、2021年3月期に取得した子会社3社(株式会社ダンガミ、サンノー株式会社、明和物産株式会社)の売上の一部及び、家庭用売上の伸びにより前連結会計年度を上回りました。

 売上高を区分別にみますと、「業務用」の売上高は、46,455百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。2021年3月期に子会社化した九州2社(株式会社ダンガミ、サンノー株式会社)の影響を除きますと、売上高は前連結会計年度比0.6%増で同水準でした。客数については、上半期の緊急事態宣言時の落ち込みが大きく、結果通年で減少したものの、客単価につきましては11、12月頃に一時的に客単価の回復があり、通期でも若干の回復となりました。

 「宅配」の売上高は、20,631百万円(前連結会計年度比5.6%増)となりました。コロナ禍において、引き続き在宅勤務の増加や外食機会の減少に伴うデリバリー需要を取り込み顧客数は好調に推移し前連結会計年度を上回りました。客単価においては、単価を押し上げていた大人数でのパーティーや法人企業のオフィスでの納会等による需要が減少したことで、前連結会計年度を下回る結果となりました。

 

 「POS」の売上高は、17,128百万円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。前年の緊急事態宣言下で食品、備蓄品を目的とした来客が急増していたことと比較すると顧客数は前連結会計年度を下回り、客単価は前連結会計年度と同水準となりました。

 「卸その他」の売上高は、1,298百万円(前連結会計年度比394.4%増)となりました。2020年に子会社化した明和物産株式会社の実績が加算され、大きく伸長しております。

 この結果、売上区分別の売上状況につきましては、売上構成比が「業務用」54.3%、「宅配」24.1%、「POS」20.1%、「卸その他」1.5%となりました。

 営業損失につきましては、主に2021年3月期に取得した子会社3社の人件費、賃借料、リース料等が加算されたことや、家庭向けのTVCMの費用などにより、前連結会計年度より増加しました。また、親会社株主に帰属する当期純損失につきましても、前連結会計年度と比較して雇用調整助成金の受給額が減少し、固定資産の減損及び繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性の評価見直し等が発生したことで前連結会計年度を下回る結果となりました。

 なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は2,748百万円となり、前連結会計年度末に比べ223百万円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は2,442百万円(前連結会計年度は1,634百万円の支出)となりました。これは主に、減価償却費(756百万円)、仕入債務の増加額(1,246百万円)、法人税等の還付額(629百万円)、助成金の受取額(699百万円)等の増加要因が、税金等調整前当期純損失(3,100百万円)、売上債権の増加額(871百万円)、棚卸資産の増加額(926百万円)等の減少要因を下回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,056百万円(前連結会計年度は1,385百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入(185百万円)等の増加要因が、固定資産の取得による支出(1,170百万円)等の減少要因を下回ったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は3,723百万円(前連結会計年度は2,055百万円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入(2,209百万円)、短期借入金の純増加額(2,020百万円)等の増加要因が、長期借入金の返済による支出(1,034百万円)、配当金の支払額(286百万円)等の減少要因を上回ったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

酒類販売事業(百万円)

68,230

109.2

合計

68,230

109.2

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

酒類販売事業(百万円)

85,514

106.6

合計

85,514

106.6

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

2.販売実績の4つの区分の「業務用」、「宅配」、「POS」、「卸その他」別の売上は以下の通りです。

区分名

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

業務用  (百万円)

46,455

109.1

宅配    (百万円)

20,631

105.6

POS  (百万円)

17,128

96.1

卸その他(百万円)

1,298

494.4

合計

85,514

106.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たりまして、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

 当社の経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、当連結会計年度の繰延税金資産の回収可能性及び固定資産の減損については、新型コロナウイルス感染症の影響について、入手可能な情報を基に合理的に見積り、数値を反映しております。

イ.繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金を有しております。これらにかかる繰延税金資産の計上にあたりましては、「税効果会計に係る会計基準」及び社内で定める基準等に従い回収可能性を判断しており、将来の課税所得見積りは、機関決定された利益計画等を基礎にその実現可能性について十分な検討を行い、必要に応じて評価性引当額を計上しております。しかし、将来の経営環境の変化などにより回収可能見込額が変動した場合には、繰延税金資産の取崩又は追加計上が発生する可能性があります。

ロ.固定資産の減損

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け営業活動から生じる損益が継続してマイナスである資産グループ及び移転等により使用方法について変更が生じた資産グループについて、減損処理の要否を検討し、減損対象となった資産は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として特別損失に計上しております。また、共用資産については、割引前の将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を上回っていることから、減損損失の認識は不要であると判定しております。

 

 重要な会計上の見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、自社直営の店舗と店頭販売を行わない小型倉庫拠点及び業務用センターを組み合わせた配達網の構築への投資を積極的に行い、継続的な事業成長を実現いたしました。

 また、売上高の拡大に向けて、顧客数増加の各種施策に取り組んでまいりました。業務用販売におきましては取引先の維持及び新規顧客の獲得に取り組むとともに、家庭用販売においては顧客接点の拡大に向けて新規店舗の出店やWEBサイトの利便性向上を継続して行ってまいりました。新規出店につきましては、既存店舗との相乗効果や配達効率を考慮して、効率的な配達ネットワークを構築し、売上成長を加速してまいります。

 なお、経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4)経営者の問題認識と今後の方針

 経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資等に充当しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。