第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

(1) 連結経営指標等

 

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

3,776,677

7,141,139

10,581,003

16,436,599

21,044,942

経常利益

(千円)

215,144

105,909

256,973

496,060

941,007

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

152,219

50,234

172,420

336,172

647,565

包括利益

(千円)

152,454

51,327

173,570

337,710

648,137

純資産額

(千円)

318,068

872,406

1,045,976

3,111,217

3,806,935

総資産額

(千円)

6,273,014

9,046,787

10,926,264

21,492,033

35,749,123

1株当たり純資産額

(円)

80.74

203.33

243.86

540.80

641.48

1株当たり当期純利益

(円)

39.03

12.44

40.36

65.98

111.42

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

62.41

106.80

自己資本比率

(%)

5.0

9.6

9.5

14.4

10.5

自己資本利益率

(%)

57.1

8.5

18.1

16.2

18.9

株価収益率

(倍)

62.1

43.4

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

516,067

513,917

274,834

1,290,251

1,211,263

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

636,770

239,151

237,437

122,801

134,776

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,121,972

1,408,541

1,090,874

3,572,548

2,906,965

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,381,268

2,036,741

1,458,138

6,198,136

7,759,623

従業員数

(名)

44

57

62

88

127

 

(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第11期から適用しており、第11期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2.第9期、第10期及び第11期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、新株予約権の残高はありますが、非上場であったことから、期中平均株価を把握できなかったため記載しておりません。

3.第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、2022年4月28日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、新規上場日から第12期の末日までの平均株式を期中平均株式数とみなして算出しております。

4.第9期、第10期及び第11期の株価収益率については、当社株式は非上場であったため記載しておりません。

5.第10期及び第13期は将来の事業拡大のために販売用不動産の取得をしたため、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなりました。

6.従業員数は就業人員であり、臨時雇用人員はその総数が従業員の100分の10未満のため記載を省略しております。

.2021年11月11日開催の取締役会決議により、2021年12月1日付で普通株式1株につき300株の割合で株式分割を行っております。これに伴い第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算出しております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

1,502,701

3,316,525

5,735,853

11,530,917

20,340,369

経常利益

(千円)

154,125

80,697

167,342

525,994

856,364

当期純利益

(千円)

101,208

60,882

157,857

361,056

640,551

資本金

(千円)

100,000

379,000

379,000

1,239,052

1,245,424

発行済株式総数

(株)

13,000

14,240

4,272,000

5,731,200

5,857,500

純資産額

(千円)

219,800

783,693

941,550

3,030,137

3,720,542

総資産額

(千円)

5,589,263

8,031,748

10,146,598

20,546,240

35,247,421

1株当たり純資産額

(円)

55.67

182.82

219.77

526.94

627.01

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

4,230.00

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

25.95

15.07

36.95

70.87

110.21

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

67.03

105.64

自己資本比率

(%)

3.9

9.7

9.3

14.7

10.4

自己資本利益率

(%)

52.0

12.2

18.4

18.2

19.1

株価収益率

(倍)

57.9

43.9

配当性向

(%)

54.3

従業員数

(名)

20

28

37

53

111

株主総利回り

(%)

117.9

(比較指標:東証グロース市 場250指数)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(99.6)

最高株価

(円)

4,100

8,720

最低株価

(円)

983

2,874

 

(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第11期の期首から適用しており、第11期以降の主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第9期、第10期及び第11期は新株予約権の残高はありますが、非上場であったことから、期中平均株価を把握できないため記載しておりません。

3.第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、2022年4月28日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、新規上場日から第12期の末日までの平均株式を期中平均株式数とみなして算出しております。

4.第10期は事業拡大に伴い先行投資も含めた人員拡充を行ったことから、経常利益及び当期純利益が大幅に減少しました。

5.2021年12月1日付で普通株式1株につき300株の割合で株式分割を行っております。これに伴い第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算出しております。

6.2020年11月30日を払込期日とする第三者割当増資により普通株式1,064株を、また、2020年12月31日を払込期日とする第三者割当増資により普通株式176株を発行しております。

7.当社は、2022年4月28日付での東京証券取引所グロース市場への上場に伴い、2022年4月27日を払込期日として、普通株式743,000株の公募増資を実施しております。

8.2023年2月20日を払込期日とする第三者割当増資により普通株式550,000株を発行しております。

9.第9期、第10期及び第11期の株価収益率については、当社株式は非上場であったため記載しておりません。

10.従業員数は就業人員であり臨時雇用人員はその総数が従業員の100分の10未満のため記載を省略しております。

11.第9期から第12期の株主総利回り及び比較指標については、2022年4月28日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、記載しておりません。第13期の株主総利回り及び比較指標は、2023年3月期末を基準として算定しております。

12.最高株価及び最低株価については、東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。なお、2022年4月28日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、それ以前の株価については該当事項がありません。

 

 

2 【沿革】

 当社は2011年に「株式会社ブリッジ・シー」として設立されました。当社の沿革は以下のとおりであります。

 

年月

概要

2011年5月

東京都港区港南において、資産運用サービスの提供を目的として、株式会社ブリッジ・シー(現、クリアル株式会社)を設立

2013年10月

日本不動産イニシアティブ株式会社(現、クリアルパートナーズ株式会社)の株式100%を取得

 

2014年4月

日本不動産イニシアティブ株式会社の全株式を、株式会社ブリッジ・シーの親会社であるBRIDGE-C HOLDINGS PTE. LTD.(シンガポール法人)に譲渡、株式会社ブリッジ・シーと日本不動産イニシアティブ株式会社が兄弟会社となる

2015年6月

その他資本剰余金の資本組入により資本金を10百万円に増資

 

2015年12月

ドムスレジデンシャルエステート株式会社の株式を日本不動産イニシアティブ株式会社が100%取得

2016年1月

第二種金融商品取引業、投資助言・代理業登録

 

2016年3月

日本不動産イニシアティブ株式会社が、飲食事業の運営を目的として、アメリカ合衆国ハワイ州にてBRIDGE C HAWAII INC.を合弁にて設立

 

2017年5月

株式移転により、完全親会社株式会社ブリッジ・シー・ホールディングスを設立

日本不動産イニシアティブ株式会社が所有するドムスレジデンシャルエステート株式会社の株式を株式会社ブリッジ・シー・ホールディングスに譲渡

株式会社ブリッジ・シー、日本不動産イニシアティブ株式会社、ドムスレジデンシャルエステート株式会社がそれぞれ株式会社ブリッジ・シー・ホールディングスの100%子会社となる

2017年7月

宅地建物取引業免許取得

2017年8月

有限会社明香苑(現、株式会社向島ダイニング)の持ち分を100%取得

 

2017年9月

日本不動産イニシアティブ株式会社が、飲食事業の運営を目的として、シンガポールにてMEAT HERO PTE. LTD.を合弁にて設立

 

2017年10月

当社の商号を株式会社ブリッジ・シー・キャピタル(現、クリアル株式会社)に変更

日本不動産イニシアティブ株式会社が、株式会社ブリッジ・シー・エステート(現、クリアルパートナーズ株式会社)に商号変更

有限会社明香苑が、株式会社ブリッジ・シー・ダイニング(現、株式会社向島ダイニング)に商号変更

 

2017年11月

株式会社ブリッジ・シー・エステートが所有するBRIDGE C HAWAII INC.株式及びMEAT HERO PTE. LTD.株式を株式会社ブリッジ・シー・ダイニングに譲渡

2018年3月

株主割当増資を実施し資本金を100百万円に増資

 

2018年10月

不動産特定共同事業者許可(電子取引業務)を取得

株式会社ブリッジ・シー・ダイニングの株式を100%売却し、飲食事業より撤退

 

2018年11月

「CREAL」のブランド名でインターネットを利用した不動産ファンドオンラインマーケットサービスを開始

 

2018年12月

親会社株式会社ブリッジ・シー・ホールディングスを吸収合併し、株式会社ブリッジ・シー・キャピタルが存続会社となる

 

2019年7月

合同会社RLSプロジェクトに対して匿名組合出資58百万円を行い、その子会社である合同会社RLSプロパティとともに子会社化

 

2019年11月

合同会社RLSプロジェクトに対して匿名組合出資52百万円を追加出資

 

2020年11月

第三者割当増資を実施し資本金を339百万円に増資

 

2020年12月

第三者割当増資を実施し資本金を379百万円に増資

 

2021年3月

商号をクリアル株式会社に変更

株式会社ブリッジ・シー・エステートが、クリアルパートナーズ株式会社に商号変更

2021年4月

ドムスレジデンシャルエステート株式会社の株式を100%売却

2022年4月

東京証券取引所グロース市場に上場

2023年1月

SBIホールディングス株式会社と資本業務提携契約を締結

2023年2月

SBIホールディングス株式会社を割当先とする第三者割当増資を実施

2023年11月

当社の100%出資により、CREAL ASIA Pte Ltdを設立

 

 

 

<当社グループの変遷>

 


 

(注) 上記の変遷については、当社及び現在の連結子会社にかかる変遷を記載しております。

 

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社(クリアルパートナーズ株式会社、CREAL ASIA Pte Ltd、合同会社RLSプロジェクト、合同会社RLSプロパティ)の計5社で構成されており、「不動産投資を変え、社会を変える」というグループミッションを実現すべく、DX(注1)を活用した資産運用プラットフォーム事業を展開しております。当社グループが展開する資産運用プラットフォーム事業は不動産への投資、資金調達、物件仕入れ、運用、売却といった不動産投資運用にかかる一連のフローのDXを推進しており、ITの活用により効率的に運営される新しい資産運用プラットフォームです。

世界の運用資産残高は増え続け、また国内でも老後の年金問題に挙げられるように、資産運用の重要性やニーズは機関・個人投資家問わず増しています。あらゆる資産運用の手段の中でも、不動産投資は他の上場金融商品と比較して、金融市場の影響を受けにくく、価値が相対的に安定した、資産運用に欠かせない重要な商品のひとつにもかかわらず、不動産投資への機会は一部の富裕層や機関投資家に限定され、また管理手法や業務プロセスには大きな変革の余地がある状況です。従来イノベーションが進んでいなかった不動産投資の業界においても、大きなIT化の進む局面に来ており、当社ではITプラットフォームの有無が資産運用業界における競争優位性を持ち始める時代に入っていると考えています。海外では不動産投資のDX化が進展を続け、例えばグローバルの不動産投資クラウドファンディング (注2)のマーケットは約142億ドル(2022年)から約7,934億ドル(2032年) (注3)へ成長するという予測もされております。

当社では、従前より機関投資家等のプロ向けに不動産投資運用サービスを展開しておりますが、当社の有するプロ向け資産運用ノウハウにDXを組み合わせ、一般個人には手の届きにくい非公開市場である不動産投資市場へすべての個人がアクセスできるようなプラットフォームを構築しています。不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」は従来の人的リソースに依拠していた資産運用プロセスのDXを推し進め、多くの人が手軽に楽しく安心してオンラインで不動産投資による効率的な資産運用を始められるサービスを創造し、金融包摂(注4)の実現を企図するサービスです。すなわち「CREAL」は、いままで大型不動産投資への参加機会を持てなかった多くの個人へ不動産投資の門戸を開放することにより、不動産投資の民主化を実現します。また、「CREAL」では個人投資家の多くの共感を呼び込むことが可能であるため、従来投資が進んでいなかったESG不動産(注5)及び地方創生領域を含めた新しい不動産投資対象領域への投資の促進を図り、経済的リターンと社会的リターン(注6)の両立を図ります。

このように当社は、ITと資産運用のノウハウの活用により、誰もが不動産投資による安定的な資産運用を開始できる資産運用プラットフォーム事業を提供することで、資産運用の民主化という社会課題を解決します。また同時に、日本に滞留する約1,100兆円(注7)の現預金を資産運用へ振り向ける転機となるサービスとなることを目指しています。


 

(注)1. DXとはDigital Transformationの略で、進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革していくことを指します。

2.クラウドファンディングとは群衆(クラウド)と資金調達(ファンディング )を組み合わせた造語で、インターネットを通じて特定のプロジェクト等に共感した人より資金を募る仕組みです。

3.Polaris Market Research & Consulting LLP, Real Estate Crowdfunding Market Report (Forecast to 2032)より。

4. 「金融包摂(Financial Inclusion)」とは、世界銀行による定義では「すべての人々が、経済活動のチャンスを捉えるため、また経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、またそれを利用できる状況」のことを指しており、経済活動に必要な金融サービスをすべての人々が利用できるようにする取り組みです。

5.「ESG不動産」は、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資対象となる不動産を指します。

6.「社会的リターン」とは、社会的な成果をもたらす事業に資金を投入することにより得られる、社会の状況が改善したという成果・事実を指します。

7. 日本銀行が2024年3月21日発表した2023年第4四半期の資金循環統計(速報)によると、2023年12月末時点の家計の金融資産は2,141兆円、うち現預金が1,127兆円となっています。

 

(1) 事業の具体的内容

当社グループでは資産運用プラットフォーム事業を有機的に一体となり運営しているため単一セグメントでありますが、当社が展開する、①「CREAL」②「CREAL PRO」③「CREAL PB(注1)」、当社連結子会社が展開する賃貸管理サービス等の④「その他」の4つのサービスにより構成されております。①1万円から資産運用が可能なサービスである「CREAL」では、保育園などESG不動産からレジデンスに至るまで多様な不動産へ投資ができる不動産ファンドオンラインマーケットです。また、②1億円からの資産運用となる「CREAL PRO」は、機関投資家・超富裕層(注2)向けの大型不動産への投資を通じた資産運用サービスです。そして、③1,000万円からの資産運用が可能な「CREAL PB」は、ITを活用し効率的に実物不動産(主に首都圏の中古区分レジデンス)に投資ができる個人投資家向けの資産運用サービスです。なかでも、「CREAL」及び「CREAL PB」はDXを大きく活用したサービスであり、「CREAL」は当社の主軸成長事業です。

 

(注)1. 当連結会計年度の期首より「CREAL Partners」は「CREAL PB」にサービス名を変更し、プロパティマネジメントサービスを「その他」としております。 

2.「超富裕層」とは、純金融資産(預貯金、株式、投資信託、一時払い生命保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた金額)について5億円以上の保有額を誇る世帯を指します。

 

セグメント

サービス

投資金額

サービス内容

資産運用

プラットフォーム事業

CREAL

1万円~

・不動産ファンドオンラインマーケット

CREAL PRO

1億円~

・機関投資家や超富裕層向けの不動産投資サービスの提供

CREAL PB

1,000万円~

・実物不動産(主に首都圏の中古区分レジデンス)への投資を通じた資産運用サービスの提供

その他

・賃貸管理サービスの提供等

 

 

(2) 事業の特徴

  「CREAL」

「CREAL」は、クラウドファンディングを活用した不動産ファンドオンラインマーケットです。資産運用において重要な位置づけを占めるにも拘わらず、投資に必要な多額の資金と手間、専門的な知識が障害となり個人にとっては遠い存在であった不動産投資への門戸を広く個人に開放するサービスです。

当社が予め設定した分配金リターンを目的として投資家が一口1万円からさまざまな不動産へ投資できるサービスであり、投資家登録から投資実行に至るまですべてオンラインで不動産投資を完結することができる仕組みです。また、投資後の物件の管理から運用、そして売却に至る全運用プロセスについて不動産投資ノウハウを有する当社に一任することができ、投資家は手間や高度な知識を要することなく不動産投資運用が可能となります。

 

 


 


 

「CREAL」の業務の流れは以下のとおりであります。

a.  物件供給の業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営者、仲介会社等から収集した投資物件情報からスクリーニングを行い投資適格物件の選定を行います。

b.  当社が選定した投資適格物件についてファンドの組成を行い、不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」上に公開します。

c.  投資家は掲載されたファンド情報及びファンドに応じて設定された利回りを考慮のうえ投資金額を決定します。

d.  ファンドが成立した場合には、当社が「CREAL」にて募集完了した投資金額を用いて対象不動産を売主より購入します。その際、当社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)を受領します。

e.  ファンド運用期間中に不動産を賃貸することにより賃借人から得られる賃料を基にして、投資家へ配当を行います。当社はファンド運用時に管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領します。

f.  ファンド運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家へ最終配当及び元本償還を行います。ファンド運用終了時においては不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに当社が物件を売却して利益が生じた場合には、当社は当該売却利益または当該売却利益の一部(プロフィットシェア)を受領します。

 

 


 

また、「CREAL」では、これまでの不動産投資において課題となっていた「情報の非対称性」(注1)を解消すべく、楽しくも分かりやすい徹底した情報開示を実践しております。以下は「CREAL」における情報開示項目の例となります。

・募集金額、想定利回り(インカムゲイン、キャピタルゲイン内訳)、想定運用期間、想定初回配当日

・投資対象の不動産や運営者へのインタビューについてのとりまとめ動画

・プロジェクトについての投資リスクの考え方

・物件が所在する地図と建物図面

・不動産価格調査報告書やエンジニアリングレポート等の不動産鑑定を含めた専門家の第三者レポート

・物件の運営者の概要

・投資対象が所在するエリアや市場のマクロマーケットの概況

・投資リターンの参考となる類似物件についての賃貸事例や売却事例

・ファンドにおける調達資金とその使途

・投資リターンのシミュレーション

 

 


 

 

「CREAL」はサービス開始以来、社会的に資金を必要としているが十分に流れていないESG不動産領域へ注力してまいりました。今までは投資規模が小さいため世の中に必要な不動産であるのにもかかわらず機関投資家からの投資がされにくかった保育園、学校、ヘルスケア、地方創生関連のアセットに対して、クラウドファンディングにより個人投資家からの投資資金を送る導管としての役割を果たし、社会性と投資商品性の両立を図ることを目指しております。「CREAL」における初めてのESG不動産への投資は2019年4月、東京都豊島区駒込に所在する保育園となります。以後、「CREAL」におけるこれまでの投資金額に占めるESG不動産への投資額は50億円超(注2)となっております。

 


 

(注)1.不動産会社である売主と一般個人である買主の間で保有する情報に格差があり、買主にとって不利な条件で不動産投資をせざるを得ない状況のことを指します。

2.サービスローンチから2024年3月末日時点における「CREAL」にて投資した全不動産の投資金額のうちESG不動産が占める金額の総額。

 

   「CREAL PRO」

1億円からの資産運用サービスである「CREAL PRO」は、機関投資家・超富裕層向けの資産運用サービスであり、大型不動産への投資を通じた資産運用サービス事業を展開しております。具体的には、当社が情報を入手した投資物件を基に仲介業務や私募ファンドを組成・運用する業務が中心となります。また、当社グループが固定資産として保有するホテルの運営事業も含まれております。

 

「CREAL PRO」の業務の流れは以下のとおりであります。

a. 物件供給の業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営会社、仲介会社等から収集した投資物件情報からスクリーニングを行い投資適格物件の選定を行います。

b. 当社が選定した投資適格物件についてファンドの組成もしくは仲介業務を行い、当該ファンドへ出資に興味をもつ投資家の探索もしくは当該物件への購入意欲のある投資家の探索を行います。

c. 投資家による当該ファンドへの出資が行われファンドが成立した場合、もしくは投資物件を購入した場合には、当社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)もしくは仲介手数料を受領します。

d. ファンド運用期間中、当社は物件の運用管理を行うことにより管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領します。

e. ファンド運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家へ最終配当及び元本償還を行います。ファンド運用終了時においては不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに当社が物件を売却して利益が生じた場合には、当社は当該売却利益の一部(プロフィットシェア)を受領します。

 

 

法人や機関投資家向けの不動産投資運用サービスを提供するに当たっては、取り扱う商品により適用される法規制・必要な許認可は異なりますが、当社では宅地建物取引業・第二種金融商品取引業及び金融商品取引法第29条に基づく登録を行い、現物不動産のみならずファンドの信託受益権の媒介業務や投資助言・代理業を行っています。また、CREAL PRO」における不動産特定共同事業法による現物不動産の取引・運用業務につきましても今後展開していく予定でございます。

 

   「CREAL PB」

「CREAL PB」は、個人投資家向けに、実物不動産(主に首都圏の中古区分レジデンス)への投資を通じた資産運用サービスを提供しております。個人投資家向けに販売する投資用不動産を当社が仕入れ、個人投資家に販売することにより売却利益を獲得します。

「CREAL PB」では、不動産投資に関わる一連のプロセス各所でのDX化を通じ、業務改善やコスト削減、また顧客にとっての利便性が高まるような取り組みをしております。

 

 ・投資案件の物件評価・仕入システム「CREAL buyer」

物件仕入れを効率的に行うために自社開発をしたAIを用いた物件評価・仕入システム「CREAL buyer」は、膨大なオンライン上の中古区分レジデンス不動産情報の中から、当社グループが仕入れるべき物件を自動的に収集・提案します。「CREAL buyer」のAIは、不動産に関わる膨大な量のデータを常時学習しており、ロケーションやエリア、面積・築年数・スペックに応じた適正な賃料や価格査定を可能としており、当社グループの購入する物件についての適切な価格査定を行っている他、割安な価格や賃料が設定されているハイパフォーマンスな物件をインターネット上で常に選別し、そのような物件がある際には仕入れの提案を担当者に通知します。「CREAL buyer」のAIによる適正賃料・適正価格の提示を通じ、投資商品の安定的な供給をサポートしています。

 


 

・不動産投資運用のDXを推進する「CREAL concierge

物件の収支や契約書がオンラインで一元管理できる「CREAL concierge」の利用により、いままで書面や対面でのやりとりに大きく依存していた不動産投資運用プロセスのDXを推進します。「CREAL PB」の顧客である不動産オーナーは、物件の賃貸状況や収支状況がオンラインでいつでも手軽に確認可能となります。また、顧客である不動産オーナーに対して最新の販売中の不動産を表示することも可能とすることにより、顧客の更なるロイヤルティ育成をし、物件の買い増しを促進します。

 


 

④「その他」

「その他」は、主に連結子会社であるクリアルパートナーズ株式会社が提供する不動産賃貸管理サービスとなります。顧客である不動産オーナーより、集金代行手数料や契約事務手数料等の賃貸管理収入を継続して受領します。

 

・物件管理業務効率化ツール「CREAL manager」

物件の賃貸管理を一元化する「CREAL manager」の利用により、区分中古レジデンス不動産における賃貸管理業務を効率的に運用できる仕組みを構築しています。書面やエクセルなどで分散管理していた情報が一元化され、契約管理及び入出金管理を効率的に管理することはもちろん、オーナー向け明細の作成や希望者への郵送が自動化され効率的な作業を可能としております。


 

 

[事業系統図]

当社グループの事業系統図は以下のとおりです。

 


 

※「CREAL」は短期の資産運用(5年以内)サービスとなりますが、サービスローンチから2024年3月末までの各ファンドの想定運用期間は4か月~7年となっております。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
 割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

クリアルパートナーズ
株式会社

東京都港区

千円

14,000

不動産管理業務

100.0

不動産の賃貸管理委託

不動産の賃貸

CREAL ASIA Pte Ltd

(注)4

シンガポール

千SGD

400

不動産関連業務

100.0

合同会社RLSプロジェクト

(注)3

東京都中央区

千円

100

不動産の投資

匿名組合出資

アセットマネジメント契約受託

合同会社RLSプロパティ

(注)3

東京都中央区

千円

100

不動産の投資

アセットマネジメント契約受託

 

(注)1.特定子会社に該当する子会社はありません。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

3.実質的な支配力を有しているため、連結子会社としております。

4.CREAL ASIA Pte Ltdは新規設立により、連結子会社となっております。

5.SBIホールディングス株式会社は、当社株式の一部を売却したことにより議決権割合が減少した結果、その他の関係会社ではなくなりました。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

資産運用プラットフォーム事業

127

 

(注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時従業員の総数は従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。

2.従業員が当連結会計年度で39名増加しておりますが、主として事業拡大に伴う採用によるものであります。

3.当社グループは資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

111

37.9

2.3

6,041

 

(注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時従業員の総数は従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。

2.従業員が当連結会計年度で58名増加しておりますが、主として、クリアルパートナーズ株式会社の吸収分割により個人向け投資用不動産販売に関する事業部門を当社へ承継したことによるもの、及び拡大に伴う採用によるものであります。

3.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

4.当社は資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるためセグメントごとの記載はしておりません。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)3

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

6.7%

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

②連結子会社

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。