当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針および経営戦略
当社グループは長期ビジョン『KAWANISHI2030』及び中期経営計画『Vision2024物流イノベーションへの挑戦』を策定しており、以下の基本方針・基本戦略を掲げて取り組んでおります。
基本方針
①取引先顧客へのサービス向上を第一とし、当社のステークホルダーへの信頼関係の構築を維持します。
②健全な財務体質を意識しながら経営基盤の安定と強化を基本とし、筋肉質な体質を実現すべく、既存事業について利益率の改善を図ります。
③高度情報化社会において激しく変化し続けるビジネス環境に対応し、日進月歩の最新技術の適用検討を進めながら、地球環境にやさしい物流をテーマにSDGsやカーボンニュートラル等これからの社会で企業に要求される様々な課題に取り組みます。
基本戦略
①既存事業の拡大・強化
・物流センターの機能拡充/スマート倉庫/ロジスティクス構想の検討
・物流サービスの強化/Vendor Managed Inventory(VMI倉庫)の提案
・運送部門強化
・海外物流業務の強化
・輸出貨物案件の取り扱い増加
・メーカー物流の強化
・通関体制の強化
②成長に向けた取組と戦略的投資の調査研究
・次世代型荷役機械装置や業務効率化ツールの検討
・次世代型物流倉庫の建設地/規模の検討および既存施設の再構築の検討
・GDP倉庫・運送の調査検討
・基幹システム再構築の検討
・地球環境にやさしい物流構築の検討(SDGs・カーボンニュートラル実現に向けた取組み)
③社内体制の強化
・オフィスワークの改革
・RPAなどの省人化に寄与するシステムの導入による業務集約
・コンプライアンスの強化
・システム化推進による競争力強化
・営業体制の強化
・ダイバーシティへの対応
・労働力不足に対応した人財戦略の強化
・社内教育体制の充実
・財務基盤の強化
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、国内では労働力不足等を背景に働き方改革の推進やAI等新技術の活用が進んでおります。海外ではアジアを中心とした人口増加に伴う経済発展等により、輸出入量や消費市場のさらなる拡大が見込まれておりましたが、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進み、雇用・所得環境が改善するなか緩やかな回復基調で推移しております。
一方では、ウクライナや中東情勢の悪化、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価上昇など、依然として先行き不透明な状況が続くと見込んでおります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは既存事業の拡大・強化、成長に向けた戦略的投資の調査研究、および社内体制の強化を行うことにより利益の拡大伸長および次世代における飛躍的な発展を目指しており、そのための重要な課題として以下の点を施策としております。
①既存事業の拡大・強化
既存事業における物流サービスについては、スマート倉庫・スマートロジスティックス構想の検討を行い、オートメーション化、物流業務の改革、労働力不足への対応を行っていきます。また、貨物を預かる・運ぶだけではなく、付加価値を付けたサービスの提供を行うため、Vendor Managed Inventory(VMI倉庫)の提案を進めていく他、運送業務についても内製化や新たな仕組みの導入による事業の効率化を進めるなど、既存事業の拡大・強化を図っております。
海外物流業務については、第2倉庫が開業したインドネシアでの倉庫保管業務の安定稼働や、物流が増加している北米、ASEAN域内での物流を強化する取り組みを実施しております。
②成長に向けた取組と戦略的投資の調査研究
今後継続して成長していく上で、従来どおりの設備やシステム、業務環境ではなく新たな取り組みが必要であると考えております。次世代に向けた取組として、現状とは異なる荷役機器や物流倉庫の検討、業務効率化ツール、基幹システムの構築等の検討を行っております。また、SDGsやカーボンニュートラル実現に向けた取組として、地球にやさしい物流構築の検討も進めており、成長と環境に配慮した事業環境を構築してまいります。
③社内体制の強化
当社グループが安定的に業務を継続するためには、環境、労働力不足に対応した取り組みが重要であると考え、ペーパーレス化促進によるオフィスワークの改革、RPAなどの省人化に寄与するシステムの導入等を推進しております。また、コンプライアンスの強化については、社外役員との積極的な意見交換を図った取締役会の強化、各種ハラスメント撲滅に向けた取組みなどに努めております。その他、差別のない人事制度の実施や人材登用を行ってきましたが、ダイバーシティへのより一層の対応と、社内教育体制を充実させるとともに、人財戦略の強化を図っていきます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
長期ビジョン「KAWANISHI2030」の実現に向けて、2022年度から2024年度までの3ヵ年の中期経営計画「Vision2024物流イノベーションへ挑戦」をPhase1と位置付け、財務基盤の強化や前中期経営計画において新設した倉庫の早期安定稼働をめざし、連結営業収益260億円、連結営業利益12億円を目標に掲げております。
(1)サステナビリティ
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①サステナビリティ基本方針
当社グループは、企業価値向上の観点からサステナビリティを巡る課題への対応の重要性を認識し、長期ビジョン「KAWANISHI 2030」および中期経営計画「Vision2024 物流イノベーションへの挑戦」においても、環境問題やSDGsをはじめとする社会課題や環境の変化に対応すべく具体的な取り組みを掲げて推進しております。
創立100年以上にわたり積み上げてきたステークホルダーの皆さまからの信頼と当社グループが持つ強みを基盤に、これからの新たな価値の創造に向けてチャレンジをし、魅力ある企業であり続け、生産と消費を結びつける生活の基盤を支える公共性の高い企業として、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
②マテリアリティの特定
サステナビリティ基本方針のもと、当社グループが取り組むべき9つのマテリアリティを特定しております。
社会課題のなかでの企業価値拡大マテリアリティ
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カテゴリー |
マテリアリティ |
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日本社会の少子高齢化 |
DX・省力化投資を通じて作業負荷を低減させることで、少子高齢化社会においても労働力不足がネックになることなく持続的な倉庫・物流サービスが提供できる体制の構築 |
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人手不足による物流の停滞が懸念されるなか、荷主企業、当社、協力会社の相互理解と協力のもと、DXの活用を通じて効率性を高める物流業務の革新 |
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地球温暖化・自然災害対策 |
物流GXの推進による物流施設の脱炭素化と地球温暖化対策とともに、太陽光発電・蓄電設備を活用することによって自然災害等の停電時でも倉庫の稼働を続けられる耐性の強化 |
持続的な経営基盤構築マテリアリティ
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カテゴリー |
マテリアリティ |
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コーポレート・ガバナンス |
会社の成長ステージに合ったミッション・ビジョンの策定・浸透と事業戦略の実行を通じて企業価値の拡大を図る取締役会の維持・強化 |
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従業員エンゲージメント向上 |
頑張った社員が適切に評価されることで社員の働きがいを高めるとともに、キャリアパス形成のコース選択など多様な働き方にも対応する人事評価制度の整備 |
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新しい世代の価値観を考慮しつつ、現場ノウハウを継続的に教育・研修することによる倉庫・物流サービスの品質維持・向上 |
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ダイバーシティ&インクルージョンの推進、特に中核となる女性活躍を図ることで様々なビジネスの展開に必要な多様性の維持・拡大 |
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リスク管理 |
DX化の推進に付随して高まるデータセキュリティ・リスクに対して、サイバー攻撃への備えや情報漏洩を起こさない運営体制の確立 |
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財務体質の確保 |
倉庫の新設や運送部門の強化など必要なタイミングで機動的な事業戦略を展開できるための財務体質の確保 |
参考リンク:https://www.kawanishi.co.jp/05sustainability/sdgs.htm
③ガバナンス
代表取締役社長が委員長を務める「コンプライアンス委員会」を四半期ごと、「リスク管理委員会」、「情報セキュリティ委員会」および「サステナビリティ委員会」を年1回以上開催しており、当事業年度においては、「コンプライアンス委員会」を四半期ごと、「リスク管理委員会」、「情報セキュリティ委員会」および「サステナビリティ委員会」を1回開催いたしました。同委員会において検討・協議された方針や課題などは、取締役会および経営会議へ付議又は報告され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行うこととしております。
組織体系については、「
④リスク管理
取組み、リスク、対応
(環境リスク)
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リスクの認識 |
対応、リスク管理 |
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・環境課題への対応の遅れがステークホルダーからの信用失墜、企業価値の毀損を招く恐れ ・脱炭素志向への市場の変化等が当社グループの事業や業績へ及ぼす影響 ・国際的な気候変動対応の高まりを受けた規制導入や変更 ・大規模自然災害の発生に伴う営業所の閉鎖や、サプライチェーン断絶に伴う物理的損失や機会損失の発生
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当社では、環境経営活動の一環として、交通エコロジーモビリティ財団が実施する「グリーン経営認証」を2007年に取得し、環境負荷の低減を目指し活動しております。 参考リンク:https://www.kawanishi.co.jp/05sustainability/ecology.htm (CO2の排出削減) CO2排出削減を重点課題としており、年2回((上期(1-6月)、通期(1-12月))継続して報告・確認を行い、目標達成・未達成の原因分析を行っております。数値目標については、毎期、電気使用原単位1%以上の削減目指しており、毎期の削減率については以下のとおりとなります。
また、削減に向けた取組として省エネ設備への入れ替え行っており、毎期の実績としては以下のとおりとなっております。 (単位:千円)
(脱フロン) 温室効果ガスであるフロン類の排出の抑制のため、省エネ型・自然冷媒機の導入を行っており、毎期継続した投資を行っております。 (単位:千円)
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(サイバーセキュリティリスク)
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リスクの認識 |
対応、リスク管理 |
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インターネットへの不正ログインやランサムウェアによる被害が年々増加しており、システムの作動不能や内部情報の漏洩・消失により社会的信用の低下、顧客との取引機会の損失等が発生。 |
(情報セキュリティポリシー) 当社では情報セキュリティに関する国際認証であるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の規格に基づく「情報セキュリティポリシー」を作成し、リスクに対応する統制の明確化、内部監査体制の確立及び社員への教育を行うことによりリスクの低減を図っております。 |
(2)人的資本
①戦略
人的資本の拡充に関し、現在当社が取り組んでいる施策は以下のとおりとなっております。
・人事制度の改革
戦略的な人事制度運用、男女の雇用・給与格差の是正、適正な人事評価が行える仕組みづくりを目指して新たな人事制度の構築・設計を進めておりましたが、2024年4月より運用を開始しております。
・女性の活躍支援
当社は女性活躍推進法に基づく自主行動計画を実施しており、育児休暇を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備を進めております。2021年に育児時短勤務の範囲を子どもが小学校就学の始期に達するまでの期間に延長しております(以前は3歳まで)。また、今後新たなビジネスを推進していくには多様性が不可欠となっております。さまざまな事業領域において多くの女性が活躍しておりますが、当社グループについても女性管理職比率を年々向上させており、新たな役職、職場及び環境へと活躍の場を広げております。
・海外拠点における人材の活躍
当社グループでは海外拠点の業務拡大を目指し、海外での業務を担える人材の発掘、業務知識レベルの向上、キャリア形成、女性社員の登用を目的とし、2022年度より当社グループの海外拠点においての実地研修制度を開始しております。今後は、日本を含む他国拠点での勤務経験を活かし、グループでの適材適所の配置・活躍を加速していきます。2023年度については3名を海外へ派遣しており、2024年度以後についても毎年2~3名程度を継続して派遣する予定としております。
・職場におけるハラスメント防止
当社ではハラスメント防止のための仕組みとして、従業員へのコンプライアンス研修(勉強会)を毎年実施しております。ハラスメントは誰もが行う可能性があることを自覚し、相手を思いやって行動し、相談しやすく見て見ぬふりをしない風土を作るために、ハラスメントに対して毅然とした対応を行います。
(対策)
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方針: |
「コンプライアンスの行動宣言および取組」 |
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教育: |
コンプライアンス勉強会の実施、コンプライアンスマニュアルの読み合わせ |
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モニタリング: |
コンプライアンス委員会での確認・報告 |
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報告・相談: |
内部通報制度 |
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公正な処分: |
懲罰委員会での議論、懲戒処分 |
・人材育成
当社グループでは労働力不足に対応した人材(人財)育成を重要課題として認識しており、各種階層別の研修制度を実施しておりますが、今後さらに加速させていき、社員一人ひとりのスキルアップ・キャリアアップを行いグローバルに活躍できる人材の育成を行っていきます。
②指標及び目標
上記「①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材(人財)の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、「育児休暇取得人数」・「女性管理職数」・「教育・研修費用の推移」を用いております。なお、目標につきましては現在策定中となっております。
(育児休暇取得人数)
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2015年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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5 |
5 |
16 |
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うち男性(人) |
- |
- |
3 |
4 |
(当社(単体)における女性管理職数)
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2015年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
2024年3月末 |
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女性管理職数 (課長級以上)
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1 |
9 |
9 |
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うち次長級以上(人) |
- |
2 |
2 |
1 |
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うち課長級(人) |
1 |
7 |
7 |
7 |
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女性管理職数 (課長級未満)
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3 |
3 |
3 |
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(教育・研修費用の推移)
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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|
1,799 |
7,838 |
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境の変化
当社グループの主たる事業は、普通・冷蔵倉庫業を中心に、港湾運送業務、貨物運送業務、国際運送業務及び通関業務等を行う総合物流事業であり、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸などの主要港に営業基盤を置き、輸出入貨物の取扱いを中心に事業展開を行っております。倉庫業の特性として、立地する地域の経済活動や消費動向が当該地域の物流量の変化に影響を受け、国際運送業務については、海運市況の影響を受けることから当該市況が低迷した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
当社グループが扱う輸入貨物の多くは食料品であり物流量が急激に変化する可能性は低いと認識しておりますが、海外への輸出については当該輸出地域の景気に左右される場合には、リスクが顕在化する可能性があります。当該リスクへの対応としては、取り扱う輸入、輸出貨物の多様化を図ること、また多様な地域へ事業展開を行うことによりリスクを分散させる試みを実行しております。
(2)業界に関連する法的規則
当社の主要な事業活動である倉庫業は、寄託を受けて顧客の物品を倉庫で保管する受託事業で、物流の中核となる業種であり、倉庫業者として「倉庫業法」の規制を受けております。
当社では「倉庫業法」に基づき、国土交通大臣より「倉庫業」の登録を受けております。当該登録には期限の定めはありませんが、倉庫業法及び倉庫業法に基づく処分又は登録、許可若しくは認可に付した条件に違反したとき及び営業に関し不正な行為をしたときなどは営業の停止を命じまたは登録が取り消される可能性があります。
本書提出日現在、当社グループには登録の取消し事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、将来何らかの理由により、登録の取消し等の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの重要な事業活動にかかる主な許認可は以下のとおりであります。
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許認可等の名称 |
所轄官庁等 |
許認可等の内容 |
有効期限 |
|
倉庫業 |
国土交通省 |
倉庫業法 |
なし |
また、物流事業を行う当社グループには、倉庫業法以外にも、港湾運送事業法、通関業法、貨物利用運送事業法等に関する法令の規制を受けております。これらの当社グループの事業に関わる法令等による規制の改廃や新設が行われた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
各種業法について理解と見識の低さから違法行為を行う可能性があると認識しており、当該リスクへの対応策として、各分野での勉強会の開催、役職員が常に法令遵守を意識して業務に取り組むようコンプライアンスに関する研修を毎期行っております。
(3)取扱貨物の動向等
当社グループの主要取扱貨物は、輸入貨物の農産品(コーヒー豆、小豆、落花生など)、畜産品(鶏肉、牛肉など)、食料工業品(食料品、食品原料など)であります。そのため、日本の消費者の食品嗜好の変化が当社取扱貨物の動向に影響し、間接的に当社の経営成績に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
食品についての嗜好の変化等は考えられるものの、食品についての急激な需要の低下等は見込まれておらず、リスクが顕在化する可能性は低いと認識しております。また当該リスクへの対応として、食品に対する顧客のニーズに合わせた物流の構築を行うことにより対応を行っております。
(4)食品の輸入停止措置等
当社グループが主力とする食品の輸入貨物の取扱いについては、食品の安全性を確保する見地から、関係当局による特定国を対象とした輸入制限及び輸入停止措置がとられる場合があり、また輸入食品の国内在庫量及び消費動向により輸入量が制御された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
海外からの輸入制限等が行われる可能性については常に起こりうると認識しておりますが、輸入のみならず多様な地域での事業展開を行うことによりリスクを低減させる取組みを実施しております。
(5)自然災害・感染症等
当社グループの主たる事業は、倉庫業を中心とする物流事業であり、地震等の大規模災害が発生した場合は、当社施設も被災し、物流事業の停滞を招く可能性があります。これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、未知のウイルス等による感染症の拡大により、事業活動に係る物流体制や営業活動に支障が生じた場合や人的被害が拡大した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
台風をはじめ地震等による自然災害については地理的要因からも常に発生のリスクがあると認識しております。当該リスクへの対応として、物流業という公共性の高い事業を停滞させないためにもBCPの構築を行うとともに、当社施設への被災を防ぐための処置を実施しております。
感染症については、世界的に影響を及ぼすものが一定期間内において発生した場合には、顕在化するリスクがあると認識しております。
(6)顧客等の情報管理
当社グループは、国内物流事業及び国際物流事業において、多くの顧客情報を取り扱っており、これらの情報管理に関するセキュリティ管理体制の維持・向上、コンプライアンスの強化については、情報セキュリティポリシーを定め、社員教育の徹底を図り、リスク発生を予防する一方で、リスク発生時の影響を軽減する対応策を講じております。
管理体制と社員教育を強化し、情報漏洩防止に努めておりますが、不測の事態により情報が外部に漏洩した場合、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
当該リスクへの対応策として、役職員の情報セキュリティ意識向上のために情報セキュリティに関する研修を毎期行うこととし、また、情報セキュリティ委員会を設置し意識向上を徹底しており、リスクが顕在化する可能性は低いと認識しております。
(7)システムトラブルによる影響
当社グループは、各種の物流事業において情報システムを構築し、顧客との情報交換にはインターネットを利用しており、システム上のトラブルなど、万一の場合に備えて最大限の保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。
しかしながら、災害などにより機器やソフトウエアが被災し、システム作動不能や内部情報が消失した場合には、当社グループの経営成績や社会的信用に影響を与える可能性があります。
また、外部からの想定を超えた不正アクセスやコンピュータウイルス感染などにより、システム障害、情報漏洩や改ざんなどの被害を受けた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
不正アクセスやコンピュータウイルス感染による障害等についてはセキュリティ対策を万全に行っているものの、常に発生の可能性はあると認識しております。また災害によりシステムが被災することも想定されますがシステムのクラウド化など、BCP構築の一環として対応しております。
(8)コンプライアンスに関するリスク
当社グループは法令遵守及び企業倫理とそれらの精神を守り、実践していくことを業務遂行の基本とすることを宣言し、役員及び全従業員に研修会などを通じて、コンプライアンス意識を高めることに努めております。しかし、このような取組みを講じても、完全に履行できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
当該リスクへの対応策として、役職員が常に法令遵守を心掛けるようコンプライアンスに関する研修を毎期行い、また、コンプライアンス委員会を設置し法令遵守を徹底しており、リスクが顕在化する可能性は低いと認識しております。
(9)設備投資に係るリスク
当社グループは、国内及び海外において積極的な事業展開を計画しておりますが、仮にこれらの事業戦略が当初計画した経営計画、利益計画及び設備投資計画の通りに進捗せず、投入された資本の回収計画が低下、停滞又は計画の中断に至った場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
国内及び海外での様々な要因により事業計画が当初の計画通りとならない可能性は存在しますが、事業計画のモニタリングを随時行い、事業計画の進捗及び分析並びに必要に応じた施策を実行できる体制を整えております。
(10)固定資産の減損処理
当社グループは、倉庫業を中心とした物流事業を営んでおり、事業用の有形固定資産を有しております。2006年3月期から固定資産に関する減損会計が導入され、今後の収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
国内外での事業環境の変化等により固定資産の減損の発生の可能性は常にあると認識しておりますが、事業の収益性を検証し、現在の事業環境に合わせた適切な運営を行うことにより影響を低減する体制を整えております。
(11)退職給付債務による影響
当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付債務及び費用は、年金数理人が計算する基礎率に基づいて算出しておりますが、基礎率の変更があった場合、年金資産の時価や運用利回りが低下した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
特に国内外での景気や金融政策により年金資産の時価や運用が低下する可能性はあると認識しておりますが、年金資産の運用を毎期見直すことにより、影響を低減する取り組みを実施しております。
(12)重要な訴訟について
当社グループの経営に大きな影響を及ぼす重要な訴訟等は提起されておりません。しかし、将来、重要な訴訟等が発生し不利な判断を受けた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
予期せぬ訴訟等については発生の可能性はあると認識しておりますが、現時点で予測できる内容はなく、どの程度の可能性があるかは想定できません。
(13)海外事業展開におけるカントリーリスク
当社グループは、アジアを中心に海外事業展開を拡大しつつありますが、海外においては、政治、経済情勢の変化、予期せぬ法規制の変更、自然災害、テロ、戦争等の事態により、事業の継続が困難となる等のリスクが存在します。これらのリスクが顕著化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
当社グループでは近年はインドネシアへの投資を拡大しており、今後もインドネシアの経済が発展すると見込んでおりますが、自然災害、為替の変動、景気の減速による消費への影響等もありリスクが顕在化する可能性があると認識しております。リスクの低減を図るため、状況に合わせた投資が行えるよう段階的に展開を行っております。
(14)金利の変動
当社グループは安定的に事業を継続するため必要な設備の新規投資や更新を毎年行っております。その際、有利子負債や自己資本比率について適正水準維持に努めつつも、必要な設備資金を主として銀行借入により調達しております。現在は主に固定金利の長期借入金により資金を調達しているため、一定期間においては金利変動による影響は軽微でありますが、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
ここ何年かの金利水準は極めて低く変動もなく、今後も当面は大きな変動がないと見込んでおります。一方では積極的な事業展開により借入金が膨らむなどリスクとしては増加する傾向となっております。リスクの低減を図るため、自己資本比率等に一定の基準を設けるなどの対策を行い、調達コストの上昇に備えた対応をしております。
(15)保有資産の時価の変動
当社グループは、事業用資産(土地、建物等)及び取引先との緊密な関係維持・強化等を目的とした投資有価証券を保有しております。事業用資産については時価下落や収益性の低下により、また、投資有価証券については株式相場の下落や投資先の財政状態の悪化により、投資額の回収が見込めなくなった場合、減損損失を計上します。これらにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
投資有価証券については、景気や環境の変化により常に損失発生の可能性があると認識しております。リスクの低減を図るため、投資有価証券については時価の変動を含めた有用性の検証を行い保有の可否を検証しております。
(16)他社との競合リスク
当社グループの事業は同業者が多く、厳しい競合状況にあります。当社グループでは、冷蔵倉庫及び普通倉庫の設備を有し、保管・輸送等に一定のノウハウが必要な輸入食料品の取扱いで他社との差別化を図っておりますが、競合の結果、収益や利益率の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(当該リスクが顕在化する可能性及び対応策)
他社との競合のリスクは事業を運営していく上では存在するリスクであり常に顕在化するリスクがあります。リスクを低減する取り組みとしては、当社の培った食料品の取扱いのノウハウと顧客のニーズに合わせた物流の構築を行うことにより対応しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進み、雇用・所得環境が改善するなか緩やかな回復基調で推移いたしました。一方でウクライナや中東情勢の悪化、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと当社グループは、2024年度を最終年度とする中期経営計画『Vision2024物流イノベーションへの挑戦』で掲げる、物流センターの機能拡充や運送部門強化、海外物流業務の強化による既存事業の拡大・強化、次世代型物流倉庫の建設や基幹システム再構築の検討など、成長に向けた取組と戦略的投資の調査研究に取り組んでおります。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に計上した補償金(未収入金)の受領等により「現金及び預金」が増加したほか、株式相場の上昇に伴い「投資有価証券」が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ302百万円増加の38,138百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、「未払法人税等」が減少したほか、「長期借入金」の返済等により、前連結会計年度末に比べ1,329百万円減少の14,593百万円となり、また、当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による「利益剰余金」の増加、円安の影響による「為替換算調整勘定」及び「非支配株主持分」の増加、株式相場の上昇による「その他有価証券評価差額金」の増加により、前連結会計年度末に比べ1,632百万円増加の23,545百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度においては、国内物流事業では前期と比較して倉庫業務において入出庫高は減少したものの、保管高は前期を上回り、運送業務も堅調に推移いたしましたが、国際物流事業において前期に比べ海上運賃が大きく下落したほか、貨物の取扱いも減少したことにより営業収益は前期を下回りました。営業利益については、海外での倉庫業務が堅調に推移したほか、前期に発生した修繕費や不動産諸税の減少、政府補助等による動力費の減少の影響等により前期を上回り、経常利益も前期を上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益については、前期に受取補償金等を特別利益に計上した影響等により、前期を下回る結果となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は前期比7.8%減少の24,993百万円、営業利益は前期比29.8%増加の1,159百万円、経常利益は前期比28.7%増加の1,233百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比46.6%減少の796百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
国内物流事業
(倉庫業)
貨物の入庫高、出庫高は前期を下回りましたが保管残高が堅調に推移したことにより保管高は前期を上回り、倉庫業全体では前期を上回りました。
(港湾運送業)
港湾運送業務は、昨年まで好調に推移していた神戸港での港湾運送業務の取扱量が減少したこともあり、前期を下回る結果となりました。
(貨物運送取扱業)
貨物の取扱いが好調に推移したことにより前期を上回りました。
(その他物流関連業)
流通加工業務については選別作業等の取扱いが減少したことにより前期を下回りましたが、手続業務については前期と同程度で推移いたしました。
その結果、国内物流事業の営業収益は前期比2.4%増加の20,386百万円となり、セグメント利益は修繕費や電力費、荷役用具費等の減少もあり前期比50.8%増加の1,655百万円となりました。
国際物流事業
国際物流事業においては、海外での倉庫業務については取扱いが増加したものの、輸出入貨物の減少や、海上運賃マーケットの下落により営業収益およびセグメント利益は前期を下回りました。
その結果、国際物流事業の営業収益は前期比37.7%減少の4,248百万円、セグメント利益は前期比49.7%減少の342百万円となりました。
なお、不動産の賃貸事業及び物流資材の販売事業並びに太陽光発電の売電事業等のその他事業は、営業収益は前期比7.6%減少の372百万円、セグメント利益は前期比0.1%増加の243百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が1,101百万円となり、減価償却費、移転補償金の受取額、法人税等の支払額、有形固定資産の取得による支出、長期借入金の返済による支出等により、前連結会計年度末に比べ424百万円増加し、当連結会計年度末には4,592百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、2,146百万円(前期は2,681百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,101百万円、減価償却費1,353百万円、移転補償金の受取額746百万円、法人税等の支払額1,055百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、754百万円(前期は1,654百万円の使用)となりました。これは主として、定期預金の純増加額197百万円、有形固定資産の取得による支出403百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、1,022百万円(前期は948百万円の使用)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出781百万円、配当金の支払額132百万円によるものであります。
③営業の実績
当社グループの主たる事業は、倉庫業を中心とした貨物の保管・荷役業務、港湾運送業務、貨物運送取扱業務、通関業務及び流通加工業務等を行う国内物流事業ならびに国際複合一貫輸送業務(NVOCC)を中心とした海外輸送業務、海外との輸出入貨物取扱業務、海外での現地作業及び海外での倉庫事業を行う国際物流事業であり、セグメントごとの営業収益及び取扱高等を示すと以下のとおりであります。
a.セグメントごとの営業収益
(千円)
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内物流事業 |
20,386,301 |
102.4 |
|
国際物流事業 |
4,248,960 |
62.3 |
|
報告セグメント計 |
24,635,261 |
92.2 |
|
その他 |
372,154 |
92.4 |
|
合計 |
25,007,416 |
92.2 |
(注)セグメント間の内部取引消去前の数値によっております。
b.セグメントごとの取扱高等
(国内物流事業)
倉庫業の入出庫高及び保管残高
・普通倉庫
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
数量(トン) |
|||
|
入庫高 |
985,909 |
95.8 |
|
|
出庫高 |
986,533 |
98.8 |
|
|
保管残高 |
期末 |
291,256 |
99.8 |
|
期中平均 |
297,353 |
102.0 |
|
(注)数量には、再保管にかかる取扱高を含んでおります。
・冷蔵倉庫
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
数量(トン) |
|||
|
入庫高 |
48,034 |
94.6 |
|
|
出庫高 |
49,278 |
96.0 |
|
|
保管残高 |
期末 |
13,343 |
91.5 |
|
期中平均 |
14,730 |
91.5 |
|
(注)数量には、再保管にかかる取扱高を含んでおります。
港湾運送業の取扱トン数
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
数量(トン) |
||
|
船内荷役 |
773,831 |
73.5 |
|
艀運送 |
- |
- |
|
荷捌 |
1,400,413 |
89.6 |
|
船積 |
50,889 |
91.1 |
|
合計 |
2,225,133 |
83.3 |
貨物運送取扱業務、通関業務及び流通加工業務等については、取扱実績の明示が困難でありますので記載を省略しております。
(国際物流事業)
国際物流事業については、取扱実績の明示が困難でありますので記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ302百万円増加の38,138百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度から大きな変動なく10,148百万円となりました。これは主に、現金及び預金が575百万円増加したことや未収入金の減少等によりその他(流動資産)が757百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ302百万円増加の27,990百万円となりました。これは主に、有形固定資産が減価償却により504百万円減少したものの、投資有価証券が時価評価の影響により450百万円増加し、長期預金が増加したことによりその他(投資その他の資産)が180百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,329百万円減少の14,593百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ635百万円減少の3,728百万円となりました。これは主に、前期に計上した法人税等の支払いにより、未払法人税等が619百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ694百万円減少の10,864百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による減少額818百万円によるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,632百万円増加の23,545百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が増加したことや、株高の影響によりその他有価証券評価差額が増加、円安の影響により為替換算調整勘定が増加、また円安や海外子会社の利益剰余金の増加により非支配株主持分が増加したことによるものであります。
b.経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益については前期に比べ2,113百万円減少し24,993百万円となりました。主な減少要因としては、前期まで国際物流事業において世界的な海上運賃マーケットの上昇が続いておりましたが、急激なマーケットの下落、輸出入貨物の減少等が影響いたしました。海外での倉庫事業および国内物流事業では引き続き好調に推移したものの、国際物流事業の影響が大きく全体では減少いたしました。
営業利益については前期に比べ265百万円増加し1,159百万円となりました。国際物流事業での落ち込みの影響はありましたが、国内物流事業が堅調に推移したほか、前期に高騰した電力費が大きく減少し、その他前期に発生した倉庫の外壁修繕、荷役資材の購入等が減少した影響により増加いたしました。なお、営業利益率については当期4.6%(前期比+1.3ポイント)となっております。
経常利益については営業利益の増加、海外子会社での利息収入の増加等により前期に比べ275百万円増加し1,233百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、前期は特別利益に当社営業所の移転に伴う受取補償金1,763百万円を計上したことにより、前期に比べ695百万円減少し796百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、下払作業費や運送費用の支払いのほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の適正額を維持することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入れを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は9,481百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,592百万円となっております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響については収まっておりますが、今後の経済情勢及び金融情勢が不透明であることから、金融機関からの短期の借入枠を増額し今後の情勢に備えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、以下のとおりであります。
(有形固定資産等に関する減損損失)
当社グループは、減損の兆候がある有形固定資産等について、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しております。
有形固定資産等に減損の兆候がある場合、減損損失の認識の要否を判定する必要がありますが、この減損損失の認識の要否の判定に用いる個々の有形固定資産等の将来キャッシュ・フローの見積りは不確実性が高く、将来の経営環境の変化等により回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。