文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社経営の基本方針
「なんでも酒や」の事業名の「なんでも」とは、お客様のご要望に「なんでも」応えたいという、当社グループの意気込みや覚悟の表れです。
カクヤスの想いとは、「いつでも、どこへでも、どれだけでも」「お客様が必要とされるものを、ご要望にそった形態で」お届けすることです。お客様に一番便利だと感じていただけることを願い、「お酒を中心とした流通のインフラ」となることを経営方針として掲げております。
(2)目標とする経営指標
当社では、連結売上高及び連結経常利益が当社グループの成長を示す最重要指標と考え、重要視しております。
また、連結営業キャッシュ・フローの最大化を常に念頭に置いた経営にも注力しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
①トップラインの成長戦略
(顧客接点の拡大)
WEBサイト及びスマホアプリの充実並びに業務用向サイトの開発や活用等を通じて、お客様と接触できる機会を増やしてまいります。
(顧客とのつながりの構築)
家庭用顧客に対しては、宅配件数の最大化に向けてのプロジェクトの発足やOne to Oneコミュニケーションを行うためのデータベースマーケティングの導入を行います。
業務用顧客に対しては、販売アイテムの拡充、営業サポートの充実等を通じ、業務用1顧客当たりの購入点数を上げるなど、既存顧客の販売拡充にかかる取り組みを行ってまいります。
(新しい顧客層の取込み)
IT(WEBやスマホ)を活用し、当社のコンセプトや利便性について全国的に認知を拡大するためのアプローチを行います。
WEBやPOSでの多言語表示を行い、在留外国人への対応を強めてまいります。
②収益力向上への取組み
(粗利率の向上)
「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」の改定である「公正な取引の基準」(以下「酒類の公正な取引に関する基準」)を遵守し、業務用のビール(瓶・樽)の値上げを適切に転嫁していきます。また、お酒以外の関連商品を含め、商品ミックスによりトータルの粗利率向上を図るとともに、高粗利を確保できる商材(PB商品等)を各カテゴリーに準備してまいります。
(経費効率の向上)
社内向け物流拠点である平和島流通センターを最大限活用できるよう、商品ボリューム、配達エリア、店舗配置、オペレーション変更、システム導入等により最適効率を追求し、実質的な仕入価格を低減させていき、出店の低コスト化に取り組みます。さらに、経費の使用に当たっては、費用対効果をより厳しく審査していきます。投資案件においては、改めて相見積りを取ることにより投資金額のミニマム化を図ってまいります。
(4)経営環境
国内酒類市場の販売(消費)数量は年々減少傾向にあります(出所:国税庁課税部酒税課「酒のしおり 令和2年3月」)。これは国内人口が減少過程に入ると共に、成人の人口に占める60歳以上の割合が増加していることにより、飲酒者が減少している点が挙げられます。また、成人1人当たりの酒類消費量も減少傾向にある事も要因と考えられます(出所:国税庁課税部酒税課「酒のしおり 令和2年3月」)。更には、今般の新型コロナウイルスの感染拡大などの影響による消費の減退が顕著にみられ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。しかしながら、人口の一極集中化により、当社グループの主要販売エリアである、東京・神奈川・大阪の酒類消費数量は増加傾向で推移しており、また今般の新型コロナウイルスの影響から「巣ごもり消費」の市場が拡大し、家庭向けにおいては個人消費の高まりにより需要の拡大が予測されます。
(5)優先的に対処すべき会社の事業上及び財務上の課題
当社グループが営業活動を行っている、酒類食品流通業界を取り巻く環境は、若年層の飲酒離れや高齢者の増加により酒類飲用量が減少傾向となっております。また、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により、特に料飲店等における消費の減退が顕著にみられ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続く中、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
①事業運営の効率化
新型コロナウイルスの感染拡大による消費の減退を背景に、売上の減少が販管費率を押し上げてきております。効率的な人員及びシステムの活用を行い事業運営の効率化を図ってまいります。
②業務用販売の強化
新型コロナウイルスの影響に伴い料飲店、ホテルなどの自粛や休業が相次いだことで、苦戦を強いられております。そのような環境下でも、引き続き新規取引先の獲得による持続的な成長を目標とし、様々な顧客の要望に対応するための受注サイトの構築や営業担当者の育成などを強化し、販売先の増加に努めてまいります。
③家庭用販売の強化
配達時及び店頭における新型コロナウイルス感染対策の徹底を図りながら、ご注文の集中時における配達人員の確保等の取り組みを行うと共に、自社配達のきめ細やかなサービスの提供により今後の成長に努めてまいります。なお、今般の新型コロナウイルスの影響から「巣ごもり消費」の拡大で、お酒以外でも飲料、食品などを充実させたことにより、家庭用販売は大幅に伸長しております。「家飲み」拡大の傾向は今後も続くと思われ、さらに積極的な商品提案・販促をすることで「家飲み・巣ごもり」を更に充実させる商品領域への拡大を進めてまいります。
④Eコマース活用による取組み
宅配受注におけるWEBサイト、スマホサイト経由比率は年々上昇し、今後も増加する傾向にあります。Eコマース市場においても他社との競争が激化しており、配達料負担の有無を含めた実質販売価格での競争となっておりますが、当社グループとしましては、収支のバランスを見極め、お客様視点からの利便性を追求し営業活動を行ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)国内市場・経済の動向及び人口の変動による影響について
当社グループの売上は、日本国内を販売先とし、およそ9割が酒類の販売による売上となっております。酒類販売は、今後の国内景気の動向、国内人口の減少、少子高齢化による影響を受けるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)労働環境の変化、人材の確保について
当社グループが、今後更なる業容拡大を図るためには、配達職、パート・アルバイト労働者、優秀な人材の確保及び社内人材の育成、人材の外部流出の防止が重要な課題と考えております。足元ではEコマース市場の成長による宅急便需要の増加やサービスの高度化により、配達事業者との人材確保競争が激しくなっております。
当社グループは、免許取得サポートや社員寮の拡充、多様な働き方の提供や業務に見合った報酬体系を構築することで、配達職の確保に努めておりますが、今後、労働力の減少により人材確保競争の激化、景気回復、雇用環境の好転に伴う賃上げ圧力の増大、社会保障政策に伴う社会保険料率の引き上げ等による人件費の上昇、処遇格差の縮小を目的とする各種労働関連法等により労働コストが増加した場合、社内人材の育成及び採用が進まない場合、人材が外部に流出した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)地震、台風、津波、豪雪等の自然災害について
事業拠点の主要施設は、防火、耐震対策等を実施し、災害等によって事業活動の停止或いは商品供給に混乱をきたすことのないよう努めております。
当社グループの店舗・施設の周辺地域において、予想を超える大地震・津波・風水雪害等の自然災害、火災等による、①商品、店舗、物流施設、情報システム及びネットワークの物理的な損害、②当社グループの販売活動や物流・調達活動の阻害、③料飲店等の事業運営に支障が出る等の場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの拠点が東京都23区に集中していることから、東京都23区及びその周辺において上記の自然災害が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法律、規制等の変更について
当社グループは、国内で事業を遂行していくうえで、酒税法、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、未成年者飲酒禁止法、食品衛生法等様々な法的規制の適用を受けております。これらの法律、規制、基準等が変更された場合、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)税制改正について
酒類販売、飲料販売、食品販売は、消費マインドの変化による影響を受けるため、消費税や酒税の税制改正等が行われた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、2020年から段階的に実施される酒税の税率変更は、酒類販売への影響が大きく、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)酒類販売業免許について
当社では、酒税法で管理されている「酒類販売業免許」を取得しております。酒類販売業免許は酒類を継続的に販売すること(営利目的とするかどうか又は特定若しくは不特定の者に販売するかどうか問わない)が認められる酒類の販売免許で有効期限はありません。当該免許は、当社の主要な事業活動を継続する上で不可欠な免許であり、本書提出日までの間において、取消事由は発生しておりません。しかしながら、将来において、当該免許の取消等があった場合には、主要な事業活動に支障をきたすとともに業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該免許の主な取消事由には、①国税若しくは地方税に関する法令、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律若しくはアルコール事業法の規定により罰金の刑に処せられ、又は国税通則法若しくは関税法の規定により通告処分を受けた場合、②未成年者飲酒禁止法の規定、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより罰金の刑を受けた場合等があります。
(7)競合による影響について
当社は、国内酒類市場において、業務用向販売及び個人向販売に事業展開をしており、競合他社の活動状況、顧客嗜好の変化等の影響を受けております。業務用向販売については、当社を含めた大手業務用酒販店での競争が激しくなっており、個人向販売については、酒類専門小売業者以外にも、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、インターネット通信販売等の大小様々な事業者が多く存在しており競争が激化しております。
顧客の利便性を日々追求し、消費財流通サービスを業務用向販売及び個人向販売ともに拡大して参りますが、予期し得ない競合他社の活動、顧客嗜好の変化等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)通信回線について
通信網等の維持管理は電話事業者において行われており、当社グループが顧客に当社サービスを確実に提供するためには、電話事業者の通信網等が適切に機能していることが前提となります。電話事業者の通信網等が適切に機能していないことにより、受注業務等に支障が生じた場合、当社サービスの全部もしくは一部の停止、又は水準低下が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)情報セキュリティ及び個人情報の管理について
当社グループは事業の過程において、多くの個人情報を取り扱っております。コンピュータネットワークや情報システムの果たす役割が高まり、情報セキュリティ及び個人情報保護に関する対応は、事業活動を継続する上で不可欠となってきております。一方、近年ソフト・ハードの不具合やコンピュータウィルスなどによる情報システムの障害、個人情報の漏えいなど、様々なリスクが発生する可能性が高まってきております。
当社グループは、情報セキュリティ及び個人情報保護を経営の重要課題の1つとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じて、システムとデータの保守・管理に万全を尽くしております。しかしながら、万一個人情報が外部へ漏洩するような事態となった場合や不正利用などの事態が生じた場合は、社会的信用が毀損し、売上の減少又は損害賠償による費用の発生等が考えられ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)配達業務について
当社グループの配達業務を伴う売上高の連結売上高に対する構成比は第38期連結会計年度において85.6%となっており重要な割合を占めております。国や自治体等による祭礼行事等の催し物・路上競技等による交通規制、停電、通信障害等により、配達業務が困難な状況になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)主要な物流拠点について
当社グループの主要な物流拠点は業務用センター11拠点、首都圏各店舗のマザーセンターである平和島流通センターが1拠点あります。業務用センター及び平和島流通センターで災害、停電、通信障害、施設の破損やメーカー及び問屋から何らかの理由により商品が納品されない等の事象が発生し各センターが運営出来ない状況になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)重大交通事故による社会的信用低下について
当社グループは、公道を使用して車両により営業及びサービス活動を行っております。当社グループは車両運行にあたり、人命の尊重を最優先とし、安全管理対策に努めておりますが、社員が重大な交通事故を発生させてしまった場合には、社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)訴訟その他法的手続きについて
当社グループは、現在業績及び財務状況に影響を及ぼすような訴訟等は発生しておりませんが、その事業活動の遂行において、消費者、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。これらの手続きは結果の予想が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)特定商品への依存について
当社グループの売上は、ビール類の仕入高比が重要な割合を占めております。当社グループは、ビール類以外の酒類全般における商品ラインアップの充実、酒類事業以外の飲料、食品の取扱い等の拡大を図っておりますが、市場動向によるビール類販売の大幅な減少等、予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(15)業績の季節変動、天候等について
酒類の販売は、一般的には行事やお祝い事等の特別な日に需要が高まり、ビール類は気温の高い日に需要が高まるなど、季節や天候に左右されることがあります。当社グループにおいては、年末の12月や夏季の7月に需要が高まり、売上が増加いたします。このような繁忙期に何らかの要因により営業に支障が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(16)商品の安全性について
当社グループは、商品の安全性に日頃より十分な注意を払い、食中毒や異物混入の未然防止のため、商品管理の徹底、チェック体制の確立などに努めておりますが、当社グループの取り組みを超えた問題が発生した場合には、当社グループの商品に対する信頼の低下、対応コスト等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(17)レピュテーションリスクについて
当社グループは、現在業績及び財務状況に影響を及ぼすような従業員等による不適切な情報発信からなる風評被害は発生しておりませんが、事業を遂行していくため、多くの従業員を雇用しております。近年、社会的に、SNS等を用いた従業員による不適切な情報発信からなる風評被害が頻発していることを受け、当社グループでもSNSに関するガイドラインを設けて研修、教育を行ない防止に努めております。しかしながら、従業員から不適切な情報が発信された場合には、当社グループの社会的信用が毀損し、レピュテーションが低下する事があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(18)親会社グループ等との関係について
①資本的関係について
当社の親会社である株式会社SKYグループホールディングスは、当連結会計年度末現在、当社発行済株式の63.9%を所有しておりますが、当社グループは親会社への事前承認事項はなく、独自に経営方針・政策決定及び事業展開についての意思決定を行っております。同社は、当社の筆頭株主として基本事項に関する決定権又は拒否権を保有しているため、当社グループの意思決定に対して同社が影響を与える可能性があります。
②人的関係について
当社グループと株式会社SKYグループホールディングスとの間で、役員の兼務、従業員の出向など人的な関係はありません。今後も親会社グループからの独立性を確保していくために、親会社グループとの間で役員の兼務、従業員の出向等は行わない方針であります。
③競合について
親会社グループ各社の事業内容は、業務用食品・食材の企画・販売、文房具・オフィス用品の通信販売、オフィス建装、生花・花器・輸入及び販売、冠婚葬祭用の贈答品、投資事業等となっております。このうち、業務用食品・食材の企画・販売を行う株式会社ミクリードは酒類の取り扱いをしておりますが、販売品目としては主に料理酒、みりん等の調味料の取扱いとなることから、当社が主に販売する飲料用の酒類とは棲み分けがなされており、競合関係はありません。
しかし、今後、当社グループの経営方針及び事業展開を変更した場合、又は、親会社グループ各社が経営方針及び事業展開を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に何らかの影響を及ぼす可能性があります。
(19)新型コロナウイルス感染拡大の影響
今般の新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、世界的な規模で経済活動に影響を及ぼしております。当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、厚生労働省や保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域へ渡航の原則禁止、可能な職種でのテレワーク(在宅勤務)や時差出勤等、対応を実施しております。提出日現在、業務用向販売の需要低迷を個人向販売で補完する等により、事業影響の低減を図っておりますが、今後、事態が長期化又は更なる感染拡大やパンデミックにあたる状況が進行すれば、世界的な景気の悪化及び各種イベントの中止や延期等による酒類・飲料・食品の全体消費量の減少が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)M&A及び事業提携・資本提携について
当社グループは、既存事業の規模拡大及び新たな事業分野に進出するに際し、M&A、資本提携を行う場合があります。実行するにあたっては対象会社に対して、入念な調査、検討を行いますが、実施後に業績未達等によるのれん等の減損、当初予期していなかった事業上の問題の発生・取引関連費用の負担等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、資本・業務提携については、当初に企図した成果が得られないと判断される場合は、契約の解消による出資の解消等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(21)減損損失について
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。今後とも収益性の向上に努める所存でありますが、店舗業績の不振等により、固定資産及びリース資産の減損会計による損失を計上することとなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(22)資金調達及び調達コストについて
当社グループは、資材の調達などのための資金を迅速に、かつ確実に取得するために、資金の一部を有利子負債で調達しております。調達の際は、金利の変動リスクを軽減するために、固定金利での調達やデリバティブ取引を利用しているものの、金利の大幅な上昇があった場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(23)ストック・オプションと株式の希薄化について
当社グループは、当社取締役及び当社従業員に対するインセンティブ付与を目的としたストック・オプション制度を採用しております。そのため、現在、当社取締役及び当社従業員に付与されている新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は下記のとおりとなります。
①財政状態の状況
(資産)
資産は、前連結会計年度末に比べ448百万円減少し、28,472百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の減少1,919百万円、投資有価証券の減少287百万円が、現金及び預金の増加1,648百万円、ソフトウエアの増加232百万円を上回ったことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ927百万円減少し、23,310百万円となりました。主な要因は、買掛金の減少
1,157百万円、長期借入金の減少678百万円、リース債務の減少201百万円が、短期借入金の増加
1,632百万円を上回ったことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ479百万円増加し、5,162百万円となり自己資本比率は18.1%となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加513百万円、東京証券取引所市場第二部への上場に伴う普通株式の発行等による資本金及び資本剰余金のそれぞれの増加255百万円、利益剰余金の配当による減少360百万円によるものであります。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費が持ち直し、雇用・所得環境の着実な改善が続く中、緩やかに回復していましたが、米中貿易摩擦の影響や2019年10月に実施された消費税率の引き上げに加え、今般の新型コロナウイルスの感染拡大などの影響による消費の減退が顕著にみられ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
酒類食品流通業界におきましては、小売業の業態を超えた販売競争が激化するとともに、人手不足を背景とした人件費や物流費の上昇、更には2020年2月からの新型コロナウイルスの感染拡大防止策の実施に伴い、料飲店、ホテル等の自粛や休業が相次いだことで、依然として厳しい経営環境となっております。
このような市場環境の中、当社グループは「お客様のご要望になんでもお応えしたい」という基本コンセプトのもと、中期経営計画に掲げた「トップラインの成長」、「収益力の向上」に向けて、新規顧客の開拓及び既存販売先との関係強化、店舗の新規出店・リニューアルやWEBサイトの充実等、各種施策を推進しました。また昨今では、国民生活のライフライン維持事業者としてご家庭向け商品の拡充や配達体制の確保に努めております。
当社グループは、今後も中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現を目指して、さまざまなサービスの提供に積極的に取り組んでまいります。
店舗及び配達拠点の展開につきましては、配達体制や配達効率の強化、またワイン販売の強化を図るために、2019年4月に「KAKUYASU class 六本木駅前店」、6月に「KAKUYASU class 赤坂2丁目店」を出店いたしました。閉鎖店では、2019年4月に「六本木5丁目SS」を「KAKUYASU class 六本木駅前店」の出店に伴い業務の移管のためにスクラップアンドビルドし、不採算店であった「有楽町SS」を2020年2月に閉店し、定期借家契約の期間満了を迎えた「大久保店」を2020年3月に閉店いたしました。また、KYリカーの業態では、2019年10月に「高座渋谷店」を閉店いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における各業態の物流センター、店舗数は下の表のとおりとなっております。
|
地域 |
業務用センター・ 社内物流センター |
なんでも酒やカクヤス(注) |
KYリカー店舗他 |
|||||||
|
2019年 3月末 |
2020年 3月末 |
増減 |
2019年 3月末 |
2020年 3月末 |
増減 |
2019年 3月末 |
2020年 3月末 |
増減 |
||
|
関東 |
東京都(23区) |
7 |
7 |
- |
145 |
144 |
△1 |
4 |
4 |
- |
|
東京都(23区外) |
1 |
1 |
- |
2 |
2 |
- |
6 |
6 |
- |
|
|
神奈川県 |
1 |
1 |
- |
11 |
11 |
- |
21 |
20 |
△1 |
|
|
千葉県 |
1 |
1 |
- |
1 |
1 |
- |
- |
- |
- |
|
|
埼玉県 |
1 |
1 |
- |
1 |
1 |
- |
1 |
1 |
- |
|
|
関西 |
大阪府 |
1 |
1 |
- |
12 |
12 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
12 |
12 |
- |
172 |
171 |
△1 |
32 |
31 |
△1 |
|
(注)なんでも酒やカクヤスの拠点は、店舗・小型倉庫及びWEBセンターを含んでおります。
(各売上区分の状況)
「業務用」では、売上高76,871百万円(前連結会計年度比0.7%減)の結果となりました。
顧客数は新規顧客の獲得件数の増加などにより前年同期を上回って(前連結会計年度比3.9%増)推移しております。客単価は、2020年2月から3月にかけての料飲店、ホテル等の自粛や休業が相次いだことで注文量が大幅に減少し、前年同期を下回りました(前連結会計年度比4.4%減)。
「宅配」の売上高は、16,039百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。消費税率引き上げ前の駆け込み需要の取り込みや、また2020年2月からの新型コロナウイルスの感染拡大防止策の実施に伴う在宅勤務や外出自粛による家庭内消費の増加に伴い配達体制の確保に努めたことで顧客数は前年同期を上回りました(前連結会計年度比6.8%増)。客単価は、2019年6月から7月にわたる天候不順により飲酒需要が伸び悩んだことや、消費税率の引き上げ後の反動、また2020年3月における花見や納会等の自粛の影響により前年同期を下回りました(前連結会計年度比6.5%減)。
「POS」の売上高は、15,295百万円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。消費税率の引き上げ後の反動や2019年10月の台風19号による関東全店休業などの影響はあったものの、2020年2月からの新型コロナウイルスの感染拡大防止策の実施に伴う在宅勤務や外出自粛による巣ごもり消費の影響から顧客数は前年同期を上回りました(前連結会計年度比1.3%増)。客単価は、値ごろ感のあるワインや高額な国産ウイスキーを中心に販売が好調で前年同期と同推移となりました(前連結会計年度比0.3%増)。
※顧客数とは、「業務用」においては1カ月に1回以上売上がある料飲店等の数(個店ベース)、「宅配」においては配達件数、「POS」ではPOSレジの取引件数を指します。
客単価とは、「業務用」では1カ月に1回以上売上がある料飲店等の1カ月当りの売上金額の平均金額、「宅配」では配達1回当たりの平均金額、「POS」では、POSレジ取引件数の1回当たりの平均金額を指します。
(利益等の状況)
売上総利益は、新型コロナウイルスの影響による売上高の減少に伴い売上総利益率が19.8%(前連結会計年度比同率)となり、21,514百万円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、外形標準課税の適用会社となったことと、当社の成長の源泉である配送力を強化するため新卒など従業員が増加したことにより、20,255百万円(前連結会計年度比2.4%増)となりました。
営業外損益は、0百万円となりました。収益では前連結会計年度に当社関連会社への業務受託料による営業外収益が計上されましたが、当連結会計年度は関連当事者取引が解消され、取引なしとなりました。
特別損益は、特別損失において、新型コロナウイルスの影響により店舗等の設備の減損損失が計上されたことにより、367百万円(前連結会計年度比30.0%減)の損失となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高108,562百万円(前連結会計年度比0.1%減)、経常利益1,259百万円(前連結会計年度比30.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益513百万円(前連結会計年度比31.2%減)となりました。
なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
また、売上区分別、出荷拠点別の売上構成比は以下のようになっております。
(%)
|
|
業務用センター |
なんでも酒やカクヤス |
KYリカー他 |
合計 |
|
業務用 |
43.9 |
26.3 |
0.5 |
70.8 |
|
宅配 |
- |
14.7 |
0.0 |
14.8 |
|
POS |
- |
7.8 |
6.3 |
14.1 |
|
卸その他 |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
0.3 |
|
合計 |
44.1 |
48.9 |
7.0 |
100.0 |
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は3,489百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,648百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,945百万円(前連結会計年度は1,975百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益892百万円、減価償却費701百万円、減損損失381百万円、売上債権の減少額1,919百万円等の増加要因が、仕入債務の減少額1,157百万円、法人税等の支払額677百万円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,195百万円(前連結会計年度は1,700百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出1,179百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は899百万円(前連結会計年度は438百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額1,636百万円等の増加要因が、長期借入金の返済による支出682百万円、配当金の支払額360百万円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
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酒類販売事業(百万円) |
87,123 |
100.0 |
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合計 |
87,123 |
100.0 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
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酒類販売事業(百万円) |
108,562 |
99.9 |
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合計 |
108,562 |
99.9 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.販売実績の4つの区分の「業務用」、「宅配」、「POS」、「卸その他」別の売上は以下の通りです。
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区分名 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
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業務用 (百万円) |
76,871 |
99.3 |
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宅配 (百万円) |
16,039 |
99.9 |
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POS (百万円) |
15,295 |
101.5 |
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卸その他(百万円) |
355 |
176.8 |
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合計 |
108,562 |
99.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たりまして、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社の経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当連結会計年度の貸倒引当金及び固定資産の減損は、新型コロナウイルス感染症の影響について、入手可能な情報を基に合理的に見積り、数値を反映しております。
イ.貸倒引当金
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、得意先の業績悪化等により、支払延期の申請があった得意先に対する当連結会計年度末の売掛金について、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
ロ.固定資産の減損
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、当連結会計年度において営業活動から生じる損益がマイナスとなった資産グループについて、将来キャッシュ・フローに基づく評価額がマイナスであると仮定して、減損損失を計上しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、自社直営の店舗と店頭販売を行わない小型倉庫拠点及び業務用センターを組み合わせた配達網の構築への投資を積極的に行い、継続的な事業成長を実現いたしました。
また、売上高の拡大に向けて、顧客数増加の各種施策に取り組んでまいりました。業務用販売におきましては取引先の維持及び新規顧客の獲得に取り組むととともに、家庭用販売においては顧客接点の拡大に向けて新規店舗の出店やWEBサイトの利便性向上を継続して行ってまいりました。新規出店につきましては、既存店舗との相乗効果や配達効率を考慮して、効率的な配達ネットワークを構築し、売上成長を加速してまいります。
なお、経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資等に充当しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。