当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループを取り巻く物流業界の経営環境は、ECを通じて購買された商品を安定的に供給する役割を担う物流企業に対する社会的ニーズが高まる中、コロナショック以降大幅に変化しております。
このような状況のもと、当社グループといたしましては、経営資源の集中による効率化と更なるコスト削減を図りつつ、物流企業に対する社会的ニーズや取引先のご要望にお応えできるよう、業務改革や社員一人ひとりの意識・行動変革に取り組んでまいります。また、ドライバーを含め人材不足等の問題に対処するための労働力確保の取り組みを継続し、業容拡大に対処できる人材の確保を図ってまいります。主な施策としましては、以下のとおりとなります。
(1)営業体制の強化
サードパーティーロジスティクス(荷主が第三者であるロジスティクス業者に対し、物流業務全般を長期間一括して委託すること)の分野でEC市場向けと並行して、小売りチェーンや卸売業など流通業向け、食品や消費財など生活必需品を製造・販売するメーカー向けの新規開拓にも積極的に取り組んでまいります。
(2)内部管理体制の強化
社会から信用・信頼される企業づくりのため、内部管理体制やリスク管理体制を強化し、コンプライアンスの徹底に努めることで、健全な企業経営を推進してまいります。
(3)安全対策の強化
社会的責任を果たすため、安全対策の強化を推進し、作業の安全確保や交通事故の防止などの更なる安全対策の強化に取り組んでまいります。また、車両・施設における環境負荷軽減など、環境保全に対しても積極的に取り組んでまいります。
(4)優秀な人材の確保
労働人口の減少が進行する中、今後の事業拡大及び業容拡大のため多様な人材の確保が必要不可欠となります。このためITツールを積極的に活用し、求人専用サイトやSNSの有効活用など企業プロモーション活動を行うことで、優秀な人材が確保できるよう取り組んでまいります。また、国籍・年齢・性別を問わず優秀な人材の確保・育成に努めダイバーシティ推進のための取り組みを進めてまいります。
(5)SDGs(サスティナビリティ)への取り組み
SDGs(持続可能な開発目標)を当社グループのビジネスに紐づけ、取組みの大小にかかわらず常に検討し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(6)DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組み
物流DXの推進に向けた投資や取り組みを強化し、データやデジタル技術を活用した新たな価値を創出してまいります。
(7)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、中長期的な経営戦略に基づき、ECソリューションサービスの営業及び業務の拡大を図るため、営業部門と業務部門が連携し、小売業を中心とした新規顧客の開拓と既存顧客の取引拡大に取り組んでおります。人口が減少に転じており、個人消費の量的拡大は見込めませんが、BtoCサービスとして個人宅への配送など新たな成長分野への展開により業績拡大に努めております。今後の見通しにつきましては、2024年4月からトラック運転手の残業時間の上限が年960時間に設定されるいわゆる「2024年問題」により、国内の物流市場についても先行きが不透明な状況が続くとみられております。また、人材確保に向けた採用コストや人件費の上昇が見込まれるほか、高止まりの状況が続く燃料価格、高騰する電力などのエネルギー価格、車両価格やタイヤ価格の値上げといったコストアップなど、企業収益に悪影響を与える環境変化が起こる可能性もあります。
(8)経営者の問題意識と今後の方針について
国内のモノの動きはここ10年来減少傾向が続いています。90年代のピーク時とくらべて現在の貨物輸送量は7割程度と言われます。国内の工場がアジアを中心に次々と海外移転したことが大きな要因となっていますが、それにともなって物流が軽視されてきているのかと言えばそうでなく、ITが飛躍的に進歩したことでいろいろな可能性が広がったように、リアルな物流の世界でもその潜在力に熱い視線が寄せられています。ネット通販など、モノの売られ方の幅が広がり宅配便の個数は年々増加傾向にあり、業界のけん引役となっています。また、より早くそのモノが欲しいという顧客の要望に応えること等、日々複雑に高度化する物流の課題解決などで競争に勝ち残り、成長を維持するためには、ECソリューションサービスに特化すると同時にサービス領域の拡大が重要であると考えます。この実現のため当社グループは、経営資源の集中とそれを支える経営基盤の整備を推進し、どこにも真似のできないECソリューションサービスを目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、中長期的な企業価値向上と持続的な成長を実現するため特定したマテリアリティ(重要課題)に取り組むサステナビリティ経営を実現し、社会的責任を果たしてまいります。
(1)ガバナンス
サステナビリティに係る対応を含む経営上の重要課題について、グループの要職者が参加する役員会議にて協議しております。また、グループ各社から担当責任者を選出した会議体にて、サステナビリティに関わる内容について採用・教育などの項目ごとに定期的に検討しております。
(2)戦略
ファイズグループは、「持続可能な社会の実現」への貢献と、「持続的な企業価値の向上」を実現するため、2024年4月より3か年の中期経営計画「ONE2027」を進めています。中期経営計画を進めるにあたり、従業員待遇の向上や女性活躍の推進、配車プラットフォーム事業による積載効率の改善や空車率の削減によるCO2削減に取り組んでまいります。
当社グループは「人と人のつながりで未来のあたりまえを創造します」をコーポレートミッションとし、下記の3つの思いを行動指針としております。
1.人の成長を通じて、社会を日本を元気にする
私たちは、「人=社員」を中心とした経営を重視し、社員の成長を全力で支援。発想力、人間力共に備えた社員と共に、社会全体、ひいては日本全体を元気にする事業を展開していきます。
2.今ここにないものを人の力で新たに生み出す
私たちは、常に時代の変化やニーズを見据え、今ここにないサービス、時代の一歩先をゆく事業に先進的に取り組みます。“未来のあたりまえ”を全社員一丸となって追い求めていきます。
3.社員とその家族の幸せも大切に、共に成長する
私たちは、社員はもちろん、その家族の幸せも大切に考え、全員が幸せを実感できる企業経営に注力します。人の成長=企業の成長を基本において、共に発展・進化する企業をめざします。
コーポレートミッション及び行動指針に基づいた、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、下記のとおりです。
・人材育成方針
当社グループは、人材採用及び人材教育について積極投資を継続する方針です。採用面においては新卒採用および内部昇格による社員数の増加及び経験豊富な管理職層のキャリア採用を継続してまいります。教育面においては外部講師を招いた専門性の高い研修の実施や資格取得の支援を継続してまいります。
・社内環境整備方針
物流業界のステータスを高めるべく従業員待遇を向上させてまいります。また、希望する従業員については地域限定社員や時短勤務など希望する労働条件にも柔軟に対応いたします。
また、安全対策をはじめコンプライアンス経営のための社内体制の強化にも努めてまいります。
(3)リスク管理
当社にて定期的にコンプライアンス委員会を実施し、当社グループを取り巻く環境を分析し、サステナビリティを含む経営リスクや機会等について包括的に検討しております。また、リスクについては定性的及び定量的に重要性を評価し、必要に応じてリスク対策についても検討しております。コンプライアンス委員会については定期的に実施し、リスクの重要性の変化の有無や対策の有効性についても検討しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、配車プラットフォーム事業による積載効率の改善や空車率の削減によるCO2削減に向け、2024年3月期における取引社数3,100社について2025年3月期においては3,500社を目標としております。
当社グループの事業等のリスクで投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスクを十分に認識した上で、発生を極力回避し、また発生した場合に適切に対応を行うための努力を継続してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来においての発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に係るリスクについて
①法的規制について
当社グループは、コンプライアンス経営を最重要課題として認識し、当社グループ一丸となって法令遵守体制を推進しており、現時点におきましては、各種免許の取消事由は発生しておりません。将来、各種法令に違反した事実が認められた場合、車両運行の停止、事業の停止、許可の取り消し等の罰則を受ける場合があります。また、今後の各種法令の新設・改正への対応に際し費用負担が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
主要事業の許認可などの概要
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許認可等の名称 |
法律名 |
監督省庁 |
取消事由 |
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一般貨物自動車運送事業 |
貨物自動車運送事業法 |
国土交通省 |
3年の累積期間に、違反点数の付与により、一つの管轄区域に係る累積点数が81点以上となった場合。 |
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貨物利用運送事業 |
貨物利用運送事業法 |
国土交通省 |
貨物利用運送若しくはこの法律に基づく処分又は登録若しくは認可に付した条件に違反したとき。 |
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貨物軽自動車運送事業 |
貨物自動車運送事業法 |
国土交通省 |
不正の手段により届出を行ったとき。 |
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労働者派遣事業 |
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法) |
厚生労働省 |
労働者派遣法に規定する許可の欠格事由に該当した場合(刑法・出入国管理局及び難民認定法等に役員が抵触する行為等) |
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有料職業紹介事業 |
職業安定法 |
厚生労働省 |
職業安定法に規定する許可の欠格事由に該当した場合(刑法・出入国管理局及び難民認定法等に役員が抵触する行為等) |
②原油価格の高騰について
当社グループは、貨物自動車運送事業を行っているため、原油価格の高騰に伴い軽油燃料価格が上昇した場合、運送コストの増加は避けられません。運送コストの増加分を運賃に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③同業他社との競合について
当社グループは、ECソリューションサービスを中心としたサービスを行っており、EC市場において業務請負を主たる事業とする企業等と競合しております。当社グループは、顧客の求めるニーズに対応すること及び顧客に当社独自の提案を行うことにより差別化を図っております。今後も競争力の維持・強化に向けた様々な取り組みを進めてまいりますが、差別化ができなくなったことにより将来にわたって優位に展開できなくなる可能性があります。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業運営体制に係るリスクについて
①特定取引先への依存について
当社グループは、ECソリューションサービスを主たる事業としているため、特定の取引先に対する依存度が高くなる傾向にあります。最大顧客であるアマゾンジャパン合同会社への第11期連結会計年度の売上高は、当社グループ売上高の66.2%を占めております。同社とは、引き続き現状の関係を維持していくために競争力の維持・強化に向けた様々な取り組みを進めてまいりますが、将来において個人消費の低迷など何らかの要因により、同社の事業戦略に変化が生じ取引契約の条件変更或いは契約解消が起こった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②重大な事故の発生について
当社グループは、貨物自動車運送事業を営む上で多くの事業用車両を保有し、多種多様な商品の輸配送を行っており、運行管理の徹底、安全運転の指導等の安全活動に積極的に取り組んでおります。しかしながら、万一重大な車両事故又は貨物事故が発生した場合には、顧客の信頼及び社会的信用が低下するとともに、事業所の営業停止、事業許可の取消しなどの行政処分を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③重大な災害の発生について
当社グループは、数多くの物流センターの運営を受託し、顧客企業の商品やそれらに関わる情報を取り扱っていることから、災害の未然防止、災害発生時における対応方法の策定及び、バックアップ体制の構築に取り組んでおります。しかしながら、火災、地震、風水害などの災害や停電の発生等により、輸配送経路の遮断、物流システムの停止等の事態が発生した場合、業務の停滞を招く可能性があります。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④顧客情報管理について
当社グループは、ECソリューションサービスの提供に際し顧客情報等を取扱っているため、社内教育を通じてセキュリティの強化や個人情報管理の徹底など、情報管理に努めています。しかしながら、情報の外部漏洩やデータ喪失などの事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下を招くだけでなく、損害賠償請求を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤システムダウンについて
当社グループは、情報管理をシステム化しております。ウイルス対策やバックアップセンター機能の構築などの対策を講じておりますが、万一、自然災害の他、コンピュータウイルスやハッキング等により、システムの長期間の停止を余儀なくされた場合、これらの事象が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥人材の確保及び育成について
当社グループは、今後の業容拡大のために管理能力の高い優秀な人材の確保及びその育成が急務となっております。当社グループは採用を積極的に行うことにより、優秀な人材の確保に努めるとともに、社内研修制度の充実を図り、管理者の育成に注力してまいります。また、取引先の業務推進に必要な人員を迅速かつ十分に提供することを期待されており、アルバイトの直接雇用及びパートナー企業の活用により人員の確保に努めております。しかしながら、計画どおりの採用が困難、もしくは、雇用、活用に伴う費用の上昇が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦特定人物への依存について
当社の代表取締役である大澤隆は経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社グループの依存度は高くなっております。
当社グループにおいては、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、事業本部に権限委譲を進めておりますが、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧小規模組織であることについて
当社グループは、2024年3月31日現在、取締役23名、監査役2名、従業員644名で構成されており、現在の内部管理体制はこの規模に応じたものとなっています。当社グループは今後、業容の拡大及び従業員の増加にあわせて組織整備、内部管理体制の拡充を図る予定ですが、拡充が順調に進まなかった場合には、当社グループの業務に支障が生じ、経営成績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。
(3)その他
①配当政策について
当社グループは成長性を第一義と考えており、成長資金とするため内部留保の確保に努めてまいりますが、経営成績及び財政状態等を勘案しながら余剰資金については配当として還元する方針であります。
②大株主の存在について
当連結会計年度末現在、当社筆頭株主AZ-COM丸和ホールディングス株式会社が所有する当社株式の総数は6,264,575株であり、当社グループの発行済株式総数に占める割合は58.4%であります。中長期的な安定株主として当社株式を保有いただいており、当社株式を売却する場合には可能な限り市場動向に配慮しながら行う旨、確認しております。しかしながら将来的に当社株式が売却された場合、当社株式の市場価格や流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループがAZ-COM丸和ホールディングス株式会社との取引を行う場合は、取引条件の妥当性、当該取引の合理性を検討した上で取締役会の承認を得ることとしており、取引の適正性を確保する体制を築いております。AZ-COM丸和ホールディングス株式会社の議決権の行使により当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストックオプション(新株予約権)を発行しております。ストックオプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は17,600株であり、発行済株式総数10,822,800株の0.2%に相当しております。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、円安基調が継続する中、物価やエネルギー価格が上昇しました。また、度重なる自然災害(大型地震等)の発生や中国経済の不振など、景気の先行きについては依然として不透明感が漂っています。
国内の物流市場は、買い控えによる消費の低迷や「2024年問題」に伴うドライバー不足によるコスト負担の増加、円安による輸入貨物の荷動き鈍化などの影響を大きく受けました。
このような厳しい経済・社会情勢下において、当社グループでは、主にECビジネスを手掛ける企業を対象にしたサードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業である「ECソリューションサービス事業」として、①物流センターの運営機能(業務)を提供する「オペレーションサービス」、②拠点間の幹線輸送や配車プラットフォーム機能の提供(利用運送)、ルート配送やラストワンマイル配送などを担う「トランスポートサービス」の2つのサービスメニューを軸に、事業拡大を進めてきました。
また、輸出入貨物に関する海外および国内の運送取扱(ドレージ手配等)や、通関手続き代行サービスを提供する「国際物流サービス事業」にも注力しました。
コンピュータシステムの開発や、システムエンジニアの人材派遣を行う「情報システム事業」についても事業拡大を進めてきました。
なお、当連結会計年度より、量的重要性が増したため「情報システム事業」を報告セグメントとしております。
「オペレーションサービス」では、大手ネット通販会社向けや流通業向け、メーカー向けの物流センター運営受託業務(人材派遣・請負・3PL)を中心に事業を展開しました。このうち、ネット通販業界向けでは、既存顧客向けの物流センターや配送デポに加え、家電専門店向け倉庫運営業務や、消費者間取引関連のネット通販センターの庫内運営業務をスタートしました。また、ドラッグストア、食品スーパー、ホームセンターなど流通業向け物流センターや自動車部品などメーカー向け物流センターの運営業務にも取り組みました。
「トランスポートサービス」では、配車プラットフォームサービスにおいて取引社数(荷主および実運送会社)と成約件数が伸長しました。東名阪の各サービス拠点で積極的な営業活動を展開したほか、既存顧客を対象にした配車取扱件数の拡大に取り組みました。実運送では、拠点間輸送(幹線輸送)の新規案件の獲得、家電専門店向けEC商品配送でのサービス対象エリアや取扱アイテムの拡大、家具専門店向けEC商品配送の新規受託などに取り組む一方で、受託運賃および支払い運賃の見直しなどを実施しました。
「国際物流サービス」では、円安や中国経済の影響で輸入貨物の荷動きが低迷する中、機械製品などアパレル関連製品以外の営業開拓、中東や北米など取り扱い対象エリアの拡大、不採算案件の見直しなどに取り組みました。
「情報システム事業」では、グループ会社の日本システムクリエイト株式会社を通じて、金融機関や官公庁向け情報システムの開発受託や技術者派遣、中小企業向けパッケージソフトの企画・開発・販売などを推進しました。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高27,530,365千円(前年同期比16.3%増)、営業利益1,319,873千円(同15.5%増)、経常利益1,365,385千円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益853,983千円(同5.7%増)となり、売上高及び各段階利益について過去最高を達成しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです。
なお、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
ECソリューションサービス事業
物流センターの運営受託事業では、当連結会計年度に、ネット通販会社向けとして、新たに「茨木彩都事業所」(大阪府茨木市)、「弥富木曽岬事業所」(三重県桑名郡木曽岬町)、「千葉営業所」(千葉市中央区)、方面別仕分け機能(ソートセンター)を担う「海老名事業所」(神奈川県海老名市)、「美濃加茂事業所」(岐阜県美濃加茂市)、「名古屋中村第二事業所」(愛知県名古屋市)などを開設しました。
その一方で、ネット通販会社向け以外として、家電などを扱う「堺築港八幡事業所」(堺市堺区)、自動車部品などを扱う「岩倉事業所」(愛知県岩倉市)、消費者間取引関連のネット商材を扱う「江東深川事業所」(東京都江東区)をオープンしました。事業所開設により主に3PLサービスを提供する自社倉庫(自社で賃借している倉庫)の延べ床面積は2万2000坪超となりました。
輸配送の領域では、利用運送である配車プラットフォームサービスの取引社数および成約件数が拡大したほか、拠点間輸送やラストワンマイル配送など実運送の受託件数も伸長しました。ラストワンマイル配送においては、受託対象エリアや取り扱いアイテムの拡大、新規クライアントの開拓(家具ネット通販向けなど)に取り組みました。
その結果、当セグメントの売上高は25,264,701千円(前年同期比18.7%増)、セグメント利益は1,171,956千円(同10.7%増)という結果となりました。
ECソリューションサービス事業の各サービス別の売上は次のとおりであります。
ⅰ オペレーションサービス
ネット通販会社向け物流センター、流通業向け物流センター、配送デポ(配送センター)など、既存の受託案件が堅調に推移するとともに、3PLを展開する自社運営倉庫など、新規に開設した事業所の安定稼働にも成功しました。その結果、売上高は17,123,390千円(前年同期比19.3%増)となりました。
ⅱ トランスポートサービス
配車プラットフォームサービスの取引社数および成約件数が大幅に増加しました。実運送では拠点間輸送の取引拡大、ラストワンマイル配送では対象エリアの拡大や取扱商品群の拡大、新サービスの提供に取り組みました。その結果、売上高は8,141,311千円(前年同期比17.6%増)となりました。
国際物流サービス事業
円安や中国経済停滞で輸入貨物の荷動きが鈍化した影響を受ける中、機械、雑貨などアパレル分野以外での新規営業、中東や北米などを対象にした輸出入貨物の需要開拓、不採算案件の見直しなどに取り組みました。その結果、当セグメントの売上高は752,130千円(前年同期比36.0%減)となりました。
情報システム事業
日本システムクリエイト株式会社を通じた情報システムの開発代行・開発販売、技術者派遣などが堅調に推移しました。その結果、当セグメントの売上高は1,513,532千円(前年同期比24.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,202,277千円と前連結会計年度末と比べ94,332千円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,365,385千円、減価償却費147,722千円、未払費用の増加415,627千円等の資金の増加要因と、売上債権の増加673,877千円、法人税等の支払額626,791千円等の資金の減少要因により、785,793千円の収入(前年同期は1,575,659千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び差入保証金の差入による支出145,513千円、有形固定資産の取得による支出149,703千円等の資金の減少要因により、146,361千円の支出(前年同期は210,380千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入100,000千円等の資金の増加要因と、長期借入金の返済による支出350,715千円、配当金の支払額375,125千円等の資金の減少要因により、733,816千円の支出(前年同期は381,459千円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ生産実績
当社グループはECソリューションサービス事業を中核とするサービス提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。
ⅱ受注実績
当社グループはECソリューションサービス事業を中核とするサービス提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。
ⅲ販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ECソリューションサービス(千円) |
25,264,701 |
118.7 |
|
国際物流サービス事業(千円) |
752,130 |
64.0 |
|
情報システム事業(千円) |
1,513,532 |
124.8 |
|
合計(千円) |
27,530,365 |
116.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
アマゾンジャパン合同会社 |
13,082,883 |
55.3 |
18,213,001 |
66.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討な内容
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ881,728千円増加し、7,743,538千円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が697,038千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ356,103千円増加し、4,392,963千円となりました。これは主に未払費用が416,512千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ525,625千円増加し、3,350,574千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるものであります。
(売上高、営業利益)
当連結会計年度の売上高は、新規事業所の安定稼働やトランスポートサービスにて配車プラットフォーム事業の取引社数や成約件数が増加した結果、前連結会計年度に比べ16.3%増加し27,530,365千円となりました。
営業利益につきましては、新規拠点の開設や配車プラットフォーム事業の拡大など売上高が増加した結果、前連結会計年度に比べ15.5%増加し、1,319,873千円となりました。
なお、セグメント別売上高の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、固定資産売却益等の計上により65,137千円となりました。また、営業外費用は、支払利息及び固定資産除売却損等の計上により19,625千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ13.1%増加し1,365,385千円となりました。
(特別利益、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ13.1%増加し1,365,385千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等は451,512千円となりました。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ5.7%増加し853,983千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。M&A等により大型の投資資金が必要になった場合には、財務健全性を考慮しながら長期借入を行うことを検討してまいります。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は823,194千円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は2,202,277千円となっております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、法的規制の変化、顧客の動向、競合との競争の激化、人材の確保及び育成、システム障害等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは法令遵守の浸透、顧客ニーズへの対応、新たなサービス開発、優秀な人材の確保と育成、システム基盤の増強等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。